説明

フィーダ搬送装置

【課題】 単一のトラフで物品を効率良くほぐすことができ、搬送方向を転換する際に物品を詰まらせることなく、物品を安定的に供給することができるフィーダ搬送装置を提供する。
【解決手段】 トラフを振動させることにより物品を搬送するフィーダ搬送装置において、水平で振動方向に応じた方向(X)に物品を搬送する第一搬送部(3)と、第一搬送部(3)とは搬送方向が異なり、かつ、搬送方向(Y)に傾斜する第二搬送部(4)と、段差をもって連結したトラフ(2)を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラフを振動させて物品を搬送するフィーダ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラフを振動させて物品を搬送するフィーダ搬送装置としては、特許文献1に示されるものがある。このフィーダ搬送装置は、第一振動駆動源Pにより物品を所定方向に搬送する第一トラフ1と、第一トラフ1の下流側に連結されて第二振動駆動源Q,Rにより物品を前記所定方向とは反対方向に搬送する第二トラフ2と、第一トラフ1の下流側と第二トラフ2の上流側を連結するように設けられる物品ほぐし装置3と、を備えてなる。
【0003】
物品ほぐし装置3は、第一トラフ1から搬送供給される物品を、横向きの円筒体32a,32b内に受け入れて、円筒体の底面部に設けられる空気噴出口8から噴出する空気でほぐしながら、第二トラフ2に供給する。第二トラフ2は、内部に物品を一個ずつ整列させて次工程に搬送する整列台5を備えており、整列台5に入り切らなかった物品を第一トラフ1に向かう下向きの傾斜で誘導して、下流側の開口22から第一トラフ1の上流側の開口12へ循環させる。
【特許文献1】実開平6−87330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるフィーダ搬送装置は、からみ合った物品をほぐすために噴出空気を使用するため、第一及び第二トラフ1,2を振動させる振動駆動源P,Q,R以外に、コンプレッサ(空気供給源)を設置する必要がある。そのため、装置構造が複雑で、設置コスト及び運転コストが高くなるという問題点がある。また、第一トラフ1と第二トラフ2は、振動方向の異なる振動駆動源により駆動されるため、その点においても、装置構造の複雑化、設置コスト及び運転コストの上昇を招いていた。
【0005】
また、第二トラフ2から第一トラフ1に向かう傾斜は、第二トラフ2の搬送方向と直交する方向に設けられているため、物品ほぐし装置3でほぐされた物品が、第一トラフに向う搬送路で片寄らされて再びからみ合うため、必ずしも運転効率が良いものではない。さらに、第二トラフ2の下流側の開口22の手前には、斜め方向に延びて物品の搬送方向を第一トラフ1に向かうように誘導する誘導面21が設けられているが、この誘導面21によって搬送路が絞られるため、物品を詰まらせてしまう恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、単一のトラフで物品を効率良くほぐすことができ、搬送方向を転換する際に物品を詰まらせることなく、物品を安定的に供給することができるフィーダ搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、トラフを振動させて物品を搬送するフィーダ搬送装置であって、前記トラフは、その振動に応じた所定方向に物品を搬送する第一搬送部と、該第一搬送部の終端部に連結して設けられ、前記所定方向とは異なる方向に物品を搬送する第二搬送部と、を有し、前記第一搬送部は、水平面を備えており、前記第二搬送部は、物品の搬送方向に傾斜する傾斜面を備えており、前記第一搬送部と前記第二搬送部との連結部には段差が設けられていることを特徴とするフィーダ搬送装置を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のフィーダ搬送装置であって、前記第二搬送部は、その搬送方向に沿って幅が広がっていることを特徴とするフィーダ搬送装置を提供する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のフィーダ搬送装置であって、前記第二搬送部の側壁が、前記第一搬送部の搬送方向に対して略直角に交差する垂直壁であることを特徴とするフィーダ搬送装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のフィーダ搬送装置によれば、以下の優れた効果を奏し得る。水平で振動方向に応じた方向に物品を搬送する第一搬送部と、第一搬送部とは搬送方向が異なり、かつ、搬送方向に傾斜する第二搬送部とを連結することにより、単一のトラフで物品を効率良くほぐすことができる。また、第一搬送部と第二搬送部の連結部に設けた段差により、物品のほぐし効果をさらに高めることができる。なお、第一搬送部及び第二搬送部のいずれも搬送方向と交差する方向に傾斜するものではなく、搬送途中で物品が片寄って固まる不都合が防止される。
【0011】
請求項2に記載のフィーダ搬送装置によれば、請求項1に記載のフィーダ搬送装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。搬送方向に沿って幅が広げられているので、より効率的に物品をほぐすことができ、また、一度ほぐされた物品が再度固まってしまう不都合を確実に防止する。
【0012】
請求項3に記載のフィーダ搬送装置によれば、請求項1又は2に記載のフィーダ搬送装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。垂直壁が第一搬送部の搬送方向に略直角に設けられているので、第一搬送部から搬送される物品が垂直壁に当たって効率的にほぐされるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。図1乃至図3は、本発明を実施する形態であるフィーダ搬送装置の一例を示す図である。図1は、フィーダ搬送装置1の正面図である。図2は、フィーダ搬送装置1に搭載されるトラフ2の平面図であり、図3は、トラフ2の斜視図である。
【0014】
〔フィーダ搬送装置1の構成〕
本実施形態に係るフィーダ搬送装置1は、トラフ2を振動させることにより、トラフ2内に搬入されるスナック菓子やその原料となるナマ生地等の物品を、そのからみをほぐしながら、次工程へ向けて少しずつ切り出すように搬送する。トラフ2は、図1に示されるように、基台Bに設けられる振動駆動部Dで支持されており、その振動を利用して、始端部3a側に搬入された物品を矢印X方向に搬送する第一搬送部3と、第一搬送部3の終端部3bから排出される物品を受けて、矢印X方向と略直交する矢印Y方向(図2及び図3)へ搬送する第二搬送部4と、を一体的に連結してなる。
【0015】
第一搬送部3は、概ね矩形状に形成されて、その長手方向が矢印X方向となる水平面31を備えてなる。水平面31の両側部には、水平面31に載置される物品が外側へこぼれないように堰き止める側壁部32,33が形成されている。
【0016】
第二搬送部4は、概ね矩形状に形成されて、その長手方向が搬送方向へのみ傾斜する傾斜面41を備えてなる。傾斜面41は、その傾斜方向に延びる一側縁部41aが、第一搬送部3の終端部3b、すなわち水平面31の終端部31bと段差をもって連結されている。傾斜方向は、より具体的には、傾斜面41は、最上端となる縁部41bが水平面31と同じ高さに設定されており、そこから下方へ傾斜することにより、全体として水平面31との間に線型的に変化する段差Δhが生じている。また、傾斜面41は、搬送方向に沿って、縁部41bから最下端の縁部41cへ向かうにつれて幅が広がっている。
【0017】
傾斜面41には、第一搬送部3と連結される側縁部41aと対向する側縁部41dから略垂直方向に延びて、第一搬送部3の搬送方向に対して略直角に交差する側壁部42が備えられている。側壁部42は、第一搬送部3から第二搬送部4へ搬入される物品を堰き止めつつ物品のからみをほぐす。なお、側壁部42は、その両端を側壁部32,33と連結することにより補強されているが、側壁部33には、傾斜面41上を搬送される物品の通路となる貫通穴33aが形成されている。
【0018】
〔上記実施形態の作動〕
次に、上記実施形態の作動を説明する。まず、フィーダ搬送装置1のトラフ2に設けられる第一搬送部3の始端部3a付近に、スナック菓子等の物品をひとかたまりに投入すると、物品は、振動駆動部Dによる振動でほぐされながら、水平面31上を矢印X方向に搬送される。第一搬送部3でほぐされた物品は、終端部3bから下方に設けられる傾斜面41に落とされる。傾斜面41は、矢印Y方向に下方傾斜しているため、物品は振動を受けながら最下端の縁部41cへ向けて搬送されることになる。
【0019】
物品は、矢印Y方向に向う搬送途上においても、振動の影響を受けることにより、矢印X方向、すなわち傾斜面41の搬送方向と略直交する方向に広がるようにして、ほぐされる。また、物品は、矢印X方向の正面に設けられる側壁部42に当たることがあるが、それによって更にほぐされる。
【0020】
〔上記実施形態の特徴点〕
上記実施形態は、第一に、トラフ2が、その振動に応じた矢印X方向に物品を搬送する第一搬送部3と、第一搬送部3の終端部3bに連結して設けられ、矢印X方向と異なる矢印Y方向に傾斜して物品を搬送する第二搬送部と、を有するという特徴点を有している。この特徴点により、第一搬送部3では搬送方向に、第二搬送部4では搬送方向と交差する方向に、物品を振動させることができ、これらの複合的なほぐし運動により、単一のトラフ、及び単一の振動駆動部(一方向の振動)でも、物品を効率的にほぐしながら搬送することができるものである。
【0021】
第二に、第一搬送部3と第二搬送部4との連結部には、段差が設けられているという特徴点を有している。この特徴点により、物品が、第一搬送部3から第二搬送部4へ落下させられる際の衝撃を受けて、より効率的にほぐされるものである。
【0022】
第三に、第一搬送部3は水平面であり、第二搬送部4は搬送方向へのみ傾斜するものであって、いずれも各々の搬送方向(矢印X方向及び矢印Y方向)と交差する方向に傾斜させられるものではないため、搬送途中で物品が片寄って固まる不都合が防止されるものである。
【0023】
第四に、第二搬送部4は、搬送方向(矢印Y方向)に沿って、幅が広がっているという特徴点を有している。この特徴点により、一層効率的に物品をほぐすことができ、また、一度ほぐされた物品がからみ合って再度固まってしまうという不都合を確実に防止することができる。
【0024】
第五に、第二搬送部4の側壁部42が、第一搬送部3の搬送方向(矢印X方向)に対して略直角に交差する垂直壁であるという特徴点を有している。この特徴点により、第一搬送部3から搬送される物品が、第二搬送部4上で側壁部42に当たって効率的にほぐされるものである。
【0025】
本発明のフィーダ搬送装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るフィーダ搬送装置の正面図。
【図2】本実施形態に係るフィーダ搬送装置に搭載されるトラフの平面図。
【図3】トラフの斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 フィーダ搬送装置
2 トラフ
3 第一搬送部
3b 終端部
4 第二搬送部
31 水平面
41 傾斜面
42 側壁部(垂直壁)
Δh 段差
D 振動駆動部
X 第一搬送部による搬送方向
Y 第二搬送部による搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフを振動させて物品を搬送するフィーダ搬送装置であって、
前記トラフは、その振動に応じた所定方向に物品を搬送する第一搬送部と、該第一搬送部の終端部に連結して設けられ、前記所定方向とは異なる方向に物品を搬送する第二搬送部と、を有し、
前記第一搬送部は、水平面を備えており、
前記第二搬送部は、物品の搬送方向に傾斜する傾斜面を備えており、
前記第一搬送部と前記第二搬送部との連結部には段差が設けられていることを特徴とするフィーダ搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィーダ搬送装置であって、
前記第二搬送部は、その搬送方向に沿って幅が広がっていることを特徴とするフィーダ搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィーダ搬送装置であって、
前記第二搬送部の側壁が、前記第一搬送部の搬送方向に対して略直角に交差する垂直壁であることを特徴とすることを特徴とするフィーダ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−335481(P2006−335481A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158431(P2005−158431)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】