説明

フェイスアップディバイス

【課題】顔全体、すなわち、目尻周辺のみならず、口角周辺のしわやたるみ、額のしわ、顎から首にかけてのたるみ全体を補整することの可能なフェイスアップディバイスを提供することにある。
【解決手段】頭頂部付近の毛髪に固定する中央ヘアクリップ部1と、この中央ヘアクリップ部1から放射状に配設する4個の補助ヘアクリップ部5と、中央ヘアクリップ部1と補助ヘアクリップ部5との間をそれぞれ独立して連結するストレッチ部材7とから構成され、中央ヘアクリップ部1を頭頂部付近の毛髪に固定し、補助ヘアクリップ部5をストレッチ部材7の弾性収縮力に抗してそれぞれ引っ張った状態で前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪に固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭髪に固定して顔全体をリフトアップさせることができる補整具、すなわちフェイスアップディバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴って顔面にはたるみやしわが生ずる。顔に生じるたるみやしわは美容上、マイナスファクターである。そのため、顔面の皮膚をリフトアップさせてたるみやしわを補整し若々しくするための器具類が、後述する特許文献に示されているように、いくつか提案されている。
【0003】
特許文献1に示されたフェィスリフトアップ用器具は、顔のしわをのばすように該部に対応する部位の毛髪を束ねて引張るフェースリフトアップ用器具であって、毛髪の束を沿わせるように又は巻き付けるように保持する芯体と、この芯体に対して芯体周面部に外嵌する着脱可能な割筒形の外装体によりなるクリップ体を主構成とし、クリップ体の芯体後部に毛髪牽引用のフック掛け部を有し、芯体と外装体とを毛髪を挟んで軸方向一体に固定しフック掛け部にリフトバンドを係着することにより毛髪を牽引するようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2に示された顔のしわ矯正具は、装着者の頭部の左右こめかみ部分に近い毛髪を挟持し該頭部の左右両側に取り外し可能に止着される左右一対のクリップと、該頭部の後頭部に沿って装着され、前記頭部の左右両側に止着された前記一対のクリップ同士を互いに後頭部側に引き寄せた状態で保持する紐とから構成され、前記左右一対のクリップはそれぞれ板バネである第1板バネ部材及び当該第1板バネ部材と一体化されている第2板バネ部材とからなり、前記第1板バネ部材は、第1板バネ部材の第一の本体部の基端と、第1板バネ部材の第二の本体部の基端とが直交し、正面視で略L字状になるように形成されている第1板バネ部材の本体部を備えており、前記第2板バネ部材は、第2板バネ部材の第一の本体部の基端と、第2板バネ部材の第二の本体部の基端とが直交し、正面視で略L字状になるように形成されている第2板バネ部材の本体部を備えており、前記第1板バネ部材の第一の本体部と、前記第2板バネ部材の第一の本体部とがそれぞれ左右方向に延び、前記第1板バネ部材の第二の本体部と、前記第2板バネ部材の第二の本体部とがそれぞれ当該左右方向に直交する方向に延びる状態で、前記第1板バネ部材の第二の本体部の先端の裏側面と前記第2板バネ部材の第一の本体部の先端の正面側面、前記第1板バネ部材の第一の本体部の先端の裏側面と前記第2板バネ部材の第二の本体部の先端の正面側面をそれぞれ接合することによって前記第1板バネ部材と前記第2板バネ部材とが一体化されており、前記第1板バネ部材は、前記第1板バネ部材の第一の本体部側を基端とし、先端が前記第1板バネ部材の第一の本体部から第2板バネ部材の第一の本体部側に向かって延びる複数本の櫛歯を更に備えており、当該櫛歯の先端部は、第2板バネ部材の第一の本体部から離れる正面側方向に向かって段差を設けて途中から折り曲げられ、クリップ部として構成され、前記第2板バネ部材の第一の本体部は、前記第1板バネ部材のクリップ部の正面側において前記第1板バネ部材のクリップ部を左右に横切る形で配設され、非クリップ状態では、前記第1板バネ部材の第一の本体部と、前記第2板バネ部材の第一の本体部とがそれぞれ裏面側方向に向かって膨出するように湾曲し、前記第1板バネ部材の櫛歯先端部のクリップ部裏側面と、前記第2板バネ部材の第一の本体部の正面側面との間が所定間隔離れた状態で対峙し、前記左右一対のクリップの前記裏面側方向に向かって膨出するように湾曲している前記第1板バネ部材の第一の本体部及び前記第2板バネ部材の第一の本体部の中央部の裏面側を装着者の頭に当て、前記第1板バネ部材の第二の本体部及び前記第2板バネ部材の第二の本体部を前記装着者の頭の方向に向かって押すことによりクリップ状態となり、前記第1板バネ部材の第一の本体部及び前記第2板バネ部材の第一の本体部の各中央部が正面側方向に向けて膨出するように反転変形し、前記第1板バネ部材の櫛歯先端部のクリップ部と前記第2板バネ部材の第一の本体部との間に前記装着者の毛髪がクリップされ、これによって前記左右一対のクリップが前記装着者の毛髪に止着されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3990200号公報
【特許文献2】特許第4536772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の開示技術においては、クリップ体が芯体と、その芯体外周部に嵌着される外装体から構成され、毛髪の束を堅固な状態で固定することができるので、リフトバンドを掛けることによって目尻付近のしわを伸ばすことに一定の効果がある。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に係るフェィスリフトアップ用器具では左右のこめかみ付近の毛髪にクリップ体を固定して、1本のリフトバンドで相互に牽引するようにしたに過ぎないものであるから、目尻付近のしわ伸ばしに効果があるとしても、口角周辺のたるみや、顎から首にかけてのたるみを補整することはできない。
【0008】
また、特許文献2の開示技術においては、前記特許文献1に示された、芯体及び当該芯体の周面部に外嵌する着脱可能な割筒形の外装体から構成されるクリップ体に代えて、第1板バネ部材の第一の本体部の基端と、第1板バネ部材の第二の本体部の基端とが直交し、正面視で略L字状になるように形成されている第1板バネ部材と、第2板バネ部材の第一の本体部の基端と、第2板バネ部材の第二の本体部の基端とが直交し、正面視で略L字状になるように形成されている第2板バネ部材とから構成されるクリップを用いて、装着者の頭部の左右こめかみ部分に近い毛髪を挟持し、左右一対のクリップ同士を紐を用いて互いに後頭部側に引き寄せるようにしたもので、目尻周辺のしわを目立たなくすることができる。
【0009】
しかしながら、この特許文献2に係る顔のしわ矯正具においても、従来例と同様に頭部の左右のこめかみ部分に近い毛髪を、左右のクリップ体によって挟持し、紐によってクリップ同士を互いに後頭部側に引き寄せるようにしたものであるから、その効果は部分的にしか過ぎず、フェイス全体、特に口角周辺のしわやたるみ、顎から首にかけてのたるみなどを補整することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術に伴う問題点を解決し、顔の全体、すなわち、目尻周辺のみならず、口角周辺のしわやたるみ、顎から首にかけてのたるみ全体を補整することの可能なフェイスアップディバイスを提供することにある。
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係るフェイスアップディバイスの構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、頭頂部付近の毛髪に固定する中央ヘアクリップ部と、この中央ヘアクリップ部から放射状に配設する4個の補助ヘアクリップ部と、前記中央ヘアクリップ部と前記各補助ヘアクリップ部との間をそれぞれ独立して連結するストレッチ部材とからなり、前記中央ヘアクリップ部を頭頂部付近の毛髪に固定し、4個の補助ヘアクリップ部をストレッチ部材の弾性収縮力に抗してそれぞれ引っ張った状態で前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪に固定し、当該4個の補助ヘアクリップ部を、頭頂部の中央ヘアクリップ部に向けて牽引するようにしたことを特徴とするフェイスアップディバイスである。
【0012】
請求項2に係る発明は、ストレッチ部材を構成する素材がゴム弾性を有する天然ゴムまたは合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの複合ゴムである請求項1記載のフェイスアップディバイスである。
【0013】
請求項3に係る発明は、ストレッチ部材は環状に形成してあり、当該環状のストレッチ部材を挿通させるための環状部材または通孔を、中央ヘアクリップ部の各隅角部付近に設けてあると共に、補助ヘアクリップ部の左右両端部に前記環状のストレッチ部材を係着させるための凹溝を凹設してある請求項1または請求項2のいずれかに記載のフェイスアップディバイスである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフェイスアップディバイスによれば、中央ヘアクリップ部をコアとして、放射状に4個の補助ヘアクリップ部を配設してあるので、ストレッチ部材によって、前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪を頭頂部に向けて少しの牽引力によって引っ張り上げることができ、それに伴って目尻周辺部だけでなく、フェイス全体、特に口角周辺のしわやたるみ、顎から首にかけてのたるみなどを補整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るフェイスアップディバイスの使用状態の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るフェイスアップディバイスの一実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフェイスアップディバイスの具体的構成を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図中1はバネ弾性を有する素材によって作製された角型状をなす中央ヘアクリップ部であり、2は当該中央ヘアクリップ部1に突設されたクシ歯部を示す。なお、このヘアクリップの構造自体は公知のかつら装着用のクリップとほぼ同一であるので詳細な説明は省略する。
【0018】
角型状をなす中央ヘアクリップ部の各隅角部付近には後述する環状のストレッチ部材を挿通させるための通孔3を穿設してある。また、この通孔3に環状部材4を取付け、当該環状部材4にストレッチ部材を挿通させるようにしてもよい。
【0019】
次に、図中5は前記中央ヘアクリップ部1から放射状に配設した4個の補助ヘアクリップ部であり、その構造および材質は前記中央ヘアクリップ部1と同一である。なお、補助ヘアクリップ部5の左右両端部には環状のストレッチ部材を係着させるための凹溝6,6を凹設してある。
【0020】
図中7は前記中央ヘアクリップ部1と前記各補助ヘアクリップ部5との間をそれぞれ独立して連結するストレッチ部材を示し、当該ストレッチ部材7はゴム弾性を有する天然ゴムまたは合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムからなる複合ゴムによって伸縮自在に構成される。なお、角型状をなす補助ヘアクリップ部5が均等に中央ヘアクリップ部1に向けて牽引されるように、ストレッチ部材7は環状に形成するとよいものである。
【0021】
すなわち、ストレッチ部材7を環状でなく1本の紐状体を以って構成し、当該1本の紐状体によって補助ヘアクリップ部5を中央ヘアクリップ部1方向に引っ張るようにしてもよいが、この場合はストレッチ部材7のテンションが偏向してしまい、バランスが悪くなる。しかしながら、前記したようにストレッチ部材7を環状に形成した場合にはこのような不具合を解消することができる。
【0022】
本発明フェイスアップディバイスは上記のように、頭頂部付近の毛髪に固定する中央ヘアクリップ部1と、この中央ヘアクリップ部1から放射状に配設する4個の補助ヘアクリップ部5と、前記中央ヘアクリップ部1と前記各補助ヘアクリップ部5との間をそれぞれ独立して連結するストレッチ部材7とから構成されるものであり、次にその使用法につき説明する。
【0023】
先ず、バネ弾性を有する素材によって作製された中央ヘアクリップ部1の両端を摘んで中央部を押すことによりクシ歯部2とクリップ部1の間に毛髪を差し込むことのできる空隙を形成する。
【0024】
次いで、当該中央ヘアクリップ部1を頭頂部付近の毛髪に固定する。その操作はクシ歯部2とクリップ部1の間の空隙に毛髪を差し込んでから、クリップ部1の中央を前記とは逆の方向に押すことによりクシ歯部2とクリップ部1の間の空隙が瞬時に閉じられ、クシ歯部2とクリップ部1の間に毛髪が挟持される。
【0025】
次に、4個の補助ヘアクリップ部5をストレッチ部材7の弾性収縮力に抗してそれぞれ引っ張った状態で前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪に固定する。その操作は前記中央ヘアクリップ部1の固定方法と同一である。
【0026】
なお、補助ヘアクリップ部5の左右両端部には環状のストレッチ部材7を係着させるための凹溝6,6を凹設してあり、補助ヘアクリップ部5の横方向全体が当該環状ストレッチ部材7によって保持され、安定した状態で補助ヘアクリップ部5によって挟持した毛髪を中央ヘアクリップ部1方向に牽引することができるものである。
【0027】
なお、図示の実施形態においては、中央ヘアクリップ部1および補助ヘアクリップ部5として公知のかつら装着用ワンタッチクリップを用いているが、本発明の要旨は前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪を頭頂部方向に牽引して顔の全体をリフトアップさせることにあり、この要旨が同一である限り、かつら装着用のワンタッチクリップ以外のヘアクリップを用いて、毛髪に固定するようにしてもよいのは勿論であり、当該変更例についても本発明の範囲に含まれるのは云うまでもない。
【0028】
このように、前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪が頭頂部方向に牽引されることに伴って、目尻周辺部だけでなく、フェイス全体、特に口角周辺のしわやたるみ、額のしわ、顎から首にかけてのたるみ全体を補整することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:中央ヘアクリップ部
2:クシ歯部
3:通孔
4:環状部材
5:補助ヘアクリップ部
6:凹溝
7:ストレッチ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭頂部付近の毛髪に固定する中央ヘアクリップ部と、この中央ヘアクリップ部から放射状に配設する4個の補助ヘアクリップ部と、前記中央ヘアクリップ部と前記各補助ヘアクリップ部との間をそれぞれ独立して連結するストレッチ部材とからなり、前記中央ヘアクリップ部を頭頂部付近の毛髪に固定し、4個の補助ヘアクリップ部をストレッチ部材の弾性収縮力に抗してそれぞれ引っ張った状態で前頭部、後頭部、あるいは側頭部付近の毛髪に固定し、当該4個の補助ヘアクリップ部を、頭頂部の中央ヘアクリップ部に向けて牽引するようにしたことを特徴とするフェイスアップディバイス。
【請求項2】
ストレッチ部材を構成する素材がゴム弾性を有する天然ゴムまたは合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの複合ゴムである請求項1記載のフェイスアップディバイス。
【請求項3】
ストレッチ部材は環状に形成してあり、当該環状のストレッチ部材を挿通させるための環状部材または通孔を、中央ヘアクリップ部の各隅角部付近に設けてあると共に、補助ヘアクリップ部の左右両端部に前記環状のストレッチ部材を係着させるための凹溝を凹設してある請求項1または請求項2のいずれかに記載のフェイスアップディバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−42849(P2013−42849A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181421(P2011−181421)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(511179172)株式会社ライズ (2)