説明

フェイスマスク

【課題】左右の頬部から横方向に連続して外側に凸となる3次元形状の鼻部を形成できるようにし、小鼻に確実に接触させることができるようにする。
【解決手段】この発明のフェイスマスクは、口部14と鼻孔部13との間、及び口部14の下方を左右に分離するように縦方向の切取り線4を備えている。顔面の鼻梁に対応する鼻梁部31は、顔面の左右の頬に対応する頬部32,33に横方向に連続する。鼻孔部13よりも下側の部分は、切取り線4で左右に分離される。鼻孔部13よりも下側の部分で切取り線4を挟む左右の部分を重ね合わせると、左右の幅が短くなり、鼻梁部31は、顔面の額に対応する額部34よりも大きな弛みを生じ、顔面の鼻梁の隆起に沿って鼻梁部31が鼻の全面に密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙、織布又は不織布等のシート体から顔面の形状に合わせて裁断され、化粧水や美容液等の液体を含浸させた状態で顔面に載置して使用されるフェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水や美容液等の美容効果のある液体を顔面に塗布する際に、紙、織布又は不織布等の液体含浸性を有する素材からなるシート体のフェイスマスクが用いられる。フェイスマスクは、液体を含浸させた状態で顔面に載置される。
【0003】
フェイスマスクを顔面に載置することで、フェイスマスクが含浸している化粧水等の液体を長時間にわたって顔面の皮膚に接触させることができ、液体の美容効果を十分に作用させることができるとされている。
【0004】
しかし、フェイスマスクは、平面状のシート体であるため、3次元の曲面で構成されている顔面の全面に完全に密着させることはできない。
【0005】
このため、従来のフェイスマスクは、顔面の目、鼻、口のそれぞれに対応する目部、鼻部、口部に、切込線や切り抜き孔が形成されている。顔面にフェイスマスクを載置した状態で、使用者の視覚及び呼吸を確保し、会話や飲食を可能にしつつ、顔面に対する接触面積を広くするためである。特に、鼻は顔面の中央から隆起しており、従来のフェイスマスクでは、鼻部にU字状の切込線が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−262901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のフェイスマスクでは、鼻部をU字状の切込線で構成しているため、小鼻にフェイスマスクを接触させることができず、小鼻に十分な美容効果を作用させることができない問題があった。これは、鼻梁に当接した鼻部の中央部が浮き上がり、鼻部が左右の頬部及び鼻下部から離間するためである。鼻部の幅を広くすることで鼻部を小鼻に接触させることはできるが、頬部の幅が狭くなって頬の中央部側にフェイスマスクを接触させることができなくなる。
【0008】
この発明の目的は、口部の上下部分を横方向に重ね合わせることで鼻部を弛ませることができるようにし、左右方向について鼻部と頬部とを連続させることができ、小鼻にも確実に接触させることができるフェイスマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のフェイスマスクは、可撓性を有する平面状のシート体からなり、顔面に載置されるフェイスマスクであって、切り抜き孔、第1切込線、第2切込線を備えている。切り抜き孔は、顔面の口唇に対向する口部に形成されている。第1切込線は、顔面の鼻孔に対向する鼻孔部に横方向に形成されている。第2切込線は、口部と鼻孔部との間、及び口部の下方を左右に分離するように縦方向に形成されている。
【0010】
この構成では、顔面の鼻梁に対応する鼻梁部は、顔面の左右の頬に対応する頬部に横方向に連続する。鼻孔部よりも下側の部分は、第2切込線で左右に分離される。鼻孔部よりも下側の部分で第2切込線を挟む左右の部分を重ね合わせると、左右の幅が短くなり、第2切込線の無い鼻孔部よりも上方の部分に下側が上側よりも大きな弛みを生じる。特に、顔面の鼻梁に対応する鼻部は、顔面の額に対応する額部よりも大きな弛みを生じ、顔面の鼻梁の隆起に沿って鼻部が鼻の全面に密着する。鼻部の左右には切込が存在しないため、左右方向で鼻部は頬部に連続しており、鼻部と頬部とが隣接する部分が小鼻に密着する。
【0011】
この構成において、第2切込線は、縦方向に間欠的に形成することが好ましい。未使用の状態で鼻孔部より下側の部分が分離せず、包装のための折り畳み作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、顔面の左右の目に対応する一対の目部であって外側を上方にして傾斜した一対の目部をさらに備えることが好ましい。使用者の視覚を確保することができるとともに、鼻孔部よりも下側の部分を中央で重ね合わせることによって外側が内側よりも下方に変位した際に、目部を目に対向させることができる。
【0013】
さらに、一対の目部の間に、少なくとも1つの横方向の第3切込線を形成することが好ましい。鼻部が鼻梁に沿って弛むことによって顔面の眉間に対応する眉間部に皺が発生することを防止し、眉間部を眉間に確実に密着させることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、口部の上下部分を横方向に重ね合わせることで鼻部を弛ませることができ、左右方向に連続した鼻部と頬部との間を小鼻に確実に密着させることができ、小鼻に対する美容効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施形態に係るフェイスマスクの平面図である。
【図2】(A)及び(B)は、同フェイスマスクの使用前の状態を示す図である。
【図3】(A)及び(B)は、同フェイスマスクの使用時の状態を示す図である。
【図4】同フェイスマスクの使用状態を示す図である。
【図5】この発明の別の実施形態に係るフェイスマスクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下にこの発明の実施形態に係るフェイスマスクについて図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すフェイスマスク10は、一例として不織布のシート体を人体の顔面に対応した所定の形状に裁断して形成されている。フェイスマスク10は、顔面の全面を被覆できるように、一例として横幅が221mmで高さが216mmの外周が略円形を呈している。フェイスマスク10には、左右一対の目部11,12、鼻孔部13、口部14、切取り線4、上下2本のスリット5が形成されている。
【0018】
一対の目部11,12は、顔面における左右一対の目に対応し、各々が一例として上側に凸となるU字状であって各々の外側が上方になるように約15度傾斜した切込線1で構成されている。鼻孔部13は、顔面の鼻孔に対応し、一例として下側に凸となる比較的大きな半径の円弧状の切込線(この発明の第1の切込線)2で構成されている。なお、切込線1は、下側に凸となるU字状であって各々の外側が上方になるように約15度傾斜した切込線1で構成してもよい。
【0019】
口部14は、顔面の口に対応し、一例として横方向に長い楕円形状であって下側に凸となる状態に折り曲げられた切り抜き孔3で構成されている。
【0020】
切取り線4は、この発明の第1の切込線であり、各々が切り抜き孔3の上下に配置された上側切取り線41及び下側切取り線42で構成されている。上側切取り線41は、上下端の各々と鼻孔部13の切込線2及び口部の切り抜き孔3との間に1mm程度の間隙を設けて形成されている。下側切取り線42は、上下端の各々と切り抜き孔3及びフェイスマスク10の外周との間に1mm程度の間隙を設けて形成されており、中間部分の連結部43で上下方向について中断されている。上下2本のスリット5は、顔面の眉間に対応する眉間部15に形成されており、各々が一例として上側に凸となる切込線2よりも小径の円弧状に形成されている。
【0021】
フェイスマスク10の外周の上部には、左右非対称となる位置にタブ16,17が突出して形成されている。タブ16,17は、フェイスマスク10を図2(A)に示す未使用時の4つ折に折り畳んだ状態から使用時に図2(B)に示すように拡げる際に、使用者が左右の手指で摘むことで、作業を容易にするものである。なお、タブ16,17を省略することもできる。
【0022】
フェイスマスク10の外周の上下方向における中間部には、切込18,19が左右対称となる位置に形成されている。切込18,19は、フェイスマスク10を顔面に載置した際の周縁部の密着性を向上させる。
【0023】
フェイスマスク10は、化粧水や美容液等の美容効果のある液体を含浸させた状態で、顔面に載置して使用される。フェイスマスク10は、液体を含浸していない状態で包装し、使用者が使用前に所望の液体を含浸させることができる。また、フェイスマスク10は、液体を含浸させた状態で水密性の袋内に収納しておくこともできる。
【0024】
液体を含浸させたフェイスマスク10を顔面に載置した後、図3(A)に示すように、上側切取り線41を切込線2及び切り抜き孔3に連続させ、連結部43を破断した下側切取り線42を切り抜き孔3及び外周に連続させる。これによって、鼻孔部13の下方が中心線を挟んで左右に分離する。
【0025】
この後、図3(B)に示すように、切取り線4を挟む左右両側を重ね合わせると、フェイスマスク10の左右方向の幅が短縮され、鼻孔部13よりも上方で弛みを生じる。切取り線4は、フェイスマスク10の上下方向における下方にのみ形成されているため、上端部での弛みは小さいが、中央部では大きな弛みを生じる。このため、鼻孔部13の上方における顔面の鼻梁に対応する鼻梁部31に、顔面からの鼻梁の隆起に応じた3次元の変形を生じさせることができる。
【0026】
鼻梁部31の左右には、顔面の頬に対応する頬部32,33が位置する。鼻梁部31と頬部32,33との間には切込線が存在しないため、鼻梁部31は頬部32,33と左右方向に連続している。このため、図4に示すように、フェイスマスク10は顔面の頬から小鼻を経由して鼻梁に至る間の全面に密着し、フェイスマスク10が含浸している液体を顔面の小鼻にも十分に作用させることができる。
【0027】
顔面の眉間は額よりも窪んでいる場合が多いが、フェイスマスク10の眉間部15にはスリット5が形成さているため、前面側に凸となるように鼻梁部31が変形しても眉間部15を顔面の眉間に密着させることができる。
【0028】
また、切込線1、切込線2及び切り抜き孔3は、何れも外側を上方にして傾斜している。このため、切取り線4を挟んで左右を重ね合わせることによって、フェイスマスク10の外周が下方に変位した際に、略水平となって顔面の目、鼻孔及び口に対向することができる。
【0029】
さらに、切込線2から上方に向かって2本の切込線52が形成されており、鼻梁部31の下部を鼻尖の下側に密着させることができる。
【0030】
なお、図5に示すように、左右一対の目部11,12は、各々の外側が上方になるように傾斜した左右一対の切り抜き孔51で構成してもよい。また、目部11,12は、下側に凸となるU字状の切込線で構成することもできる。
【0031】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
1,2−切込線
3−切り抜き孔
4−切取り線
5−スリット
10−フェイスマスク
11,12−目部
13−鼻孔部
14−口部
15−眉間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する平面状のシート体からなり、顔面に載置されるフェイスマスクであって、
顔面の口唇に対応する口部に形成された切り抜き孔と、
顔面の鼻孔に対応する鼻孔部に形成された横方向の第1切込線と、
前記口部と前記鼻孔部との間、及び前記口部の下方を左右に分離する縦方向の第2切込線と、
を備えたフェイスマスク。
【請求項2】
前記第2切込線は、縦方向に間欠的に形成された請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
顔面の左右の目に対向する一対の目部であって外側を上方にして傾斜した一対の目部をさらに備えた請求項1又は2に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
前記一対の目部の間に、少なくとも1つの横方向の第3切込線を形成した請求項1乃至3の何れかに記載のフェイスマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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