説明

フェキソフェナジン塩基の多形体

【課題】 有利な特性をもつ、新規な生物学的活性化合物の多形体を提供すること。
【解決手段】 本発明は、フェキソフェナジン塩基の新規な結晶性形体、その製造方法および治療におけるその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェキソフェナジン塩基の新規な結晶性形体、その製造方法、および治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
【化1】

で示されるフェキソフェナジン、すなわち(4-[4-[4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル]−1−ヒドロキシブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸)は、アメリカ合衆国において、製品名アレグラ(Allegra:登録商標)として市販されている抗ヒスタミン、抗アレルギーおよび気管支拡張性医薬である。
フェキソフェナジンの製造方法が数多く知られており、たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている。
特許文献4、特許文献5および特許文献6には、フェキソフェナジン塩酸塩の種々の多形体が開示されており、特許文献7には、フェキソフェナジン塩基の種々の多形体が開示されている。
【特許文献1】US 4,254,129
【特許文献2】US 5,750,703
【特許文献3】EP 1 260 505
【特許文献4】WO 02/066429
【特許文献5】US 2003/0021849
【特許文献6】WO 95/31437
【特許文献7】WO 03/039482
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多形体などの生物学的活性化合物の異なる形体は、たとえば、用量減少または投与間隔の延長を可能にする、異なるバイオアベイラビリティ、放出時間および溶解度をもつことが知られている。さらに、医薬の異なる物理的形体に関連することが多い異なる物理的特性は、医薬製剤の製造において有利に活用されうる。
したがって、有利な特性をもつ、新規な生物学的活性化合物の多形体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の公知の結晶性形体に加えて、フェキソフェナジン遊離塩基が、室温で安定な3種類の新規な結晶性形体において存在しうることが見出されている。
第1の態様において、本発明は、フェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体αと称する)およびその製造方法を提供する。
第2の態様において、本発明は、フェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体βと称する)およびその製造方法を提供する。
第さらなる態様において、本発明は、フェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体γと称する)およびその製造方法を提供する。
さらに、本発明の目的は、治療用途に適した品質のフェキソフェナジン遊離塩基またはフェキソフェナジン塩酸塩を得るのに有用な、フェキソフェナジン遊離塩基またはフェキソフェナジン塩酸塩の精製方法における中間体としての新規なフェキソフェナジン遊離塩基の結晶性形体の使用である。
さらに、本発明は、賦形剤および/または担体ならびに少なくとも1種のフェキソフェナジン遊離塩基の形体α、βまたはγからなる有効成分を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(図面の解説)
XRPD(X線粉末回折)技術によって、フェキソフェナジン遊離塩基の3種の新規な結晶性形体の特徴を分析した。X線回折スペクトル(XRPD)は、以下の操作条件、すなわちCuKα線放射(λ=1.5418Å)、1秒間で0.03°の角度ステップで走査して、粉末および液体用APD−2000θ/θ自動回折計(Ital-Structures製)で記録した。
【0006】
(発明の詳細な記載)
本明細書において、語句「フェキソフェナジン遊離塩基」および「フェキソフェナジン塩基」は同意義であり、同じ生成物に関する。
以下において、用語沈澱形成(または「沈澱」)は、結晶化(または「結晶」)と同じ意味を有し、固体形体の獲得を示す。
第1の目的として、本発明は、実質的に図1に示されるXRPDスペクトル(ここで、最も強い回折ピークは、2θにて4.37、8.75、10.07、13.16、15.65、16.22および23.57に現れる)を有するフェキソフェナジン塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体αと称する)に関する。
形体αは、以下のステップを含む工程を通して製造される:
有機プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;および
沈澱の分離。
【0007】
以下に報告するように、フェキソフェナジン塩基の新規な形体α、βおよびγの製造のための出発物質としてのフェキソフェナジン付加塩は、たとえばWO 95/31437に記載されているような適当な無機酸または有機酸との、無水物または水和物のいずれかである、その塩でありうる。無機酸の好ましい例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸である。有機酸の好ましい例は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸などのカルボン酸またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびβ−ヒドロキシエタンスルホン酸などのスルホン酸である。フェキソフェナジン塩酸塩が特に好ましい。本明細書において、語句「フェキソフェナジン付加塩」および「フェキソフェナジン塩」は、同意義であり、同じ生成物に関する。
【0008】
形体αの製造は、たとえば、有機プロトン溶媒中のフェキソフェナジン付加塩の分散(溶液または懸濁液など)から出発して行うことができる。本発明によれば、有機プロトン溶媒の好ましい例は、アルコールであり、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたはその混合物などのC1-C6アルカノールが好ましく、メタノールが特に好ましい。出発溶液または懸濁液中のフェキソフェナジン塩の濃度は、約5〜50%、好ましくは15〜30%でありうる。得られる溶液または懸濁液の温度は、室温と還流温度の間、好ましくは室温に維持することができる。フェキソフェナジン遊離塩基は、対応する付加塩と塩基性有機試薬を反応させることによってインサイトゥで直接得ることができる。塩基性有機試薬は、典型的にはアンモニア;式:N(R1R2R3)などのアミン(ここで、R1、R2およびR3の少なくとも1つはC1-C6アルキルまたはアリール基であり、その他は独立して水素またはC1-C6アルキルまたはアリール基である);または、ピリジン、ピペリジンまたはモルホリンなどの少なくとも1つの窒素原子を含む飽和または不飽和5もしくは6員複素環式化合物である。直鎖または分枝鎖C1-C6アルキル基は、C1-Cアルキル基が好ましく、メチルまたはエチルが特に好ましい。アリール基は、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノおよびアミノから選ばれる1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたフェニルが好ましい。特定の塩基性有機試薬の例は、ブチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンであり、特にブチルアミン、トリエチルアミンおよびトリブチルアミンである。フェキソフェナジン塩に対する塩基性試薬のモル比は、約0.8〜1.2、好ましくは0.95〜1.05である。沈澱したフェキソフェナジン遊離塩基の形体αは、従来の技術により、好ましくは濾過し、次いで、反応に用いた溶媒と同じ溶媒または溶媒混合物で洗浄し、次いで、使用した溶媒に応じて室温にて減圧乾燥して回収することができる。この温度は、約0℃〜溶媒の沸騰温度であり、乾燥を室温にて行うのが好ましい。
【0009】
第2の態様において、本発明は、実質的に図2に示されるXRPDスペクトル(ここで、最も強い回折ピークは、2θにて8.28、10.68、16.23、16.80、19.35および21.12に現れる)を有するフェキソフェナジン塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体βと称する)に関する。
形体βは、以下のステップを含む工程によって製造される:
有機プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;
形体βのフェキソフェナジン塩基を沈澱させるための有機カルボン酸による溶液の酸性化;および
沈澱の分離。
【0010】
製法は、特にメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたはその混合物などのC1-C6アルカノール、より好ましくはメタノールなどの前記の有機プロトン溶媒中のフェキソフェナジン付加塩の分散(溶液または懸濁液など)から出発して行うことができる。得られる溶液または懸濁液の温度は、室温と還流温度の間、好ましくは室温に維持することができる。フェキソフェナジン遊離塩基は、前記と同様に、対応する付加塩と塩基性有機試薬を反応させることによってインサイトゥで直接得ることができる。塩基性有機試薬の特に好ましい例は、トリエチルアミンである。フェキソフェナジン付加塩に対する塩基性試薬のモル比は、約1.5〜3.0、好ましくは1.95〜2.05である。フェキソフェナジン遊離塩基の形体βは、有機カルボン酸で溶液をpH4〜7、好ましくは5〜6に再度酸性化することによって沈澱させることができる。このような酸は、たとえば、ギ酸、酢酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸およびクエン酸といったようなモノ、ジまたはトリカルボン酸などである。好ましい例は、ギ酸および酢酸、より好ましくは酢酸である。得られる固体生成物は、従来技術により、好ましくは濾過し、次いで、反応に用いた溶媒と同じ溶媒または溶媒混合物で洗浄し、次いで、使用した溶媒に応じて室温にて減圧乾燥して回収することができる。この温度は、約0℃〜溶媒の沸騰温度であり、室温が好ましい。
【0011】
さらなる目的として、本発明は、実質的に図3に示されるXRPDスペクトル(ここで、最も強い回折ピークは、2θにて5.63、12.11、15.83、16.91、20.39および24.44に現れる)を有するフェキソフェナジン塩基の新規な結晶性形体(ここで、形体γと称する)に関する。
形体γは、以下のステップを含む工程によって製造される:
有機非プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;および
沈澱の分離。
【0012】
製法は、たとえば、有機非プロトン溶媒中のフェキソフェナジン付加塩の分散(溶液または懸濁液など)から出発して行うことができる。本発明によれば、有機非プロトン溶媒の好ましい例は、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトニトリルまたはその混合物であり、アセトンまたはアセトニトリルもしくはその混合物が好ましく、アセトンもしくはアセトンとアセトニトリルの混合物が特に好ましい(ここで、アセトン/アセトニトリル混合物中のアセトンの体積パーセンテージは、約0.4〜0.8、好ましくは0.5〜0.7である)。出発溶液または懸濁液中のフェキソフェナジン塩の濃度は、約5〜50%、好ましくは15〜30%でありうる。得られる溶液または懸濁液の温度は、室温と還流温度の間、好ましくは室温に維持することができる。フェキソフェナジン遊離塩基の形体γは、前記と同様に、対応する付加塩と塩基性有機試薬を反応させることによってインサイトゥで直接得ることができる。好ましい塩基性有機試薬は、ブチルアミン、トリブチルアミンおよびトリエチルアミンである。フェキソフェナジン塩に対する塩基性試薬のモル比は、約0.8〜1.2、好ましくは0.95〜1.05である。沈澱したフェキソフェナジン遊離塩基の形体γは、従来の技術により、好ましくは濾過し、次いで、反応に用いた溶媒と同じ溶媒または溶媒混合物で洗浄し、次いで、使用した溶媒に応じて室温にて減圧乾燥して回収することができる。この温度は、約0℃〜溶媒の沸騰温度であり、50℃が好ましい。
【0013】
熟練した化学者であれば、非プロトンまたはプロトン溶媒中のフェキソフェナジン付加塩の分散液を得るための条件が、得られる多形体に影響を及ぼすことなく変更されうるものであることを留意するであろう。同様に、得られる多形体に影響を及ぼすことなく結晶化技術をわずかに変更することができる。例として、予め作成した結晶を加えることによって、結晶化を迅速に行ってもよい。
本発明の新規な結晶性形体を得るための上記回収工程において、寄生的反応または生成物自体の分解に由来する、フェキソフェナジン合成工程中に形成された不純物から最終生成物を精製することができる。
したがって、本発明のさらなる目的は、医薬用途または獣医用途に適した純度を有するフェキソフェナジン遊離塩基またはその塩もしくは多形体の製造方法における、本明細書に定義するフェキソフェナジン遊離塩基の形体α、形体βまたは形体γの使用である。
【0014】
フェキソフェナジン塩基の新規な形体α、形体βおよび形体γは、処置を必要とする哺乳動物におけるフェキソフェナジンの投与に有用である。このような形体は、単独またはその混合物もしくは1種以上の公知のフェキソフェナジン塩基または塩、特に塩酸塩の多形体との混合物として投与される。混合物におけるその含有量は、それらの物理学的および生物学的特性に応じて変化し、当業者の判断に委ねられる。このような形体は、公知技術にしたがって、ヒトまたは動物への投与のための種々の医薬組成物に製剤することができる。カプセル剤、錠剤、糖衣丸剤またはその他の単位剤形におけるフェキソフェナジン塩基の用量は、約20〜200 mgの範囲である;正確な用量は、医師の判断に委ねられる。
したがって、本発明はまた、適当な担体および/または賦形剤および有効成分として少なくとも1種のフェキソフェナジン塩基の形体α、形体βまたは形体γもしくはその混合物または1種以上のそれらと1種以上の公知のフェキソフェナジン塩基またはその塩との混合物を含む医薬組成物に関する。このような医薬組成物は、必要に応じて医薬的有効量の偽エフェドリンを含むことができる。
以下の実施例により、本発明を説明する。
【実施例1】
【0015】
フェキソフェナジン遊離塩基の形体αの製造
磁気撹拌機を備えた100 mlの丸底フラスコに、10 g(18.6 mmol)のフェキソフェナジン塩酸塩および50 mlのメタノールを入れ、透明な溶液を得る。その後、2.5 mlのトリエチルアミン(1.81 g; 17.9 mmol)を加える。約2分後、形成された沈澱を濾過し、メタノールで洗浄し、室温にて乾燥して、8.9 g(17.7 mmol)のフェキソフェナジン遊離塩基を得る。生成物のXRPD分析は、それが、図1に記載したピークによって実質的に特徴が決定されるフェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体であることを示す。
【実施例2】
【0016】
フェキソフェナジン遊離塩基の形体βの製造
磁気撹拌機を備えた100 mlの丸底フラスコに、10 g(18.6 mmol)のフェキソフェナジン塩酸塩および50 mlのメタノールを入れ、透明な溶液を得る。その後、5 mlのトリエチルアミン(3.63 g; 35.9 mmol)を加える。約2分後、形成された沈澱を濾過し、メタノールで洗浄し、室温にて乾燥して、7.9 g(15.8 mmol)のフェキソフェナジン遊離塩基を得る。生成物のXRPD分析は、それが、図2に記載したピークによって実質的に特徴が決定されるフェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体であることを示す。
【実施例3】
【0017】
フェキソフェナジン遊離塩基の形体γの製造
磁気撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた100 mlの丸底フラスコに、10 g(18.6 mmol)のフェキソフェナジン塩酸塩、30 mlのアセトンおよび20 mlのアセトニトリルを入れる。混合物を攪拌しながら60℃に温め、懸濁液を得る。その後、2.5 mlのトリエチルアミン(1.81 g; 17.9 mmol)を加える。得られる透明溶液から、急速に形成された沈澱を濾過し、最初は製造に用いた同じアセトン−アセトニトリル混合物で繰り返し洗浄し、次いで、アセトンのみで洗浄する。最後に、固体生成物を50℃にて静電乾燥機にて減圧乾燥して、8.1 g(16.2 mmol)のフェキソフェナジン遊離塩基を得る。生成物のXRPD分析は、それが、図3に記載したピークによって実質的に特徴が決定されるフェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体であることを示す。
【実施例4】
【0018】
フェキソフェナジン遊離塩基の形体γの製造
磁気撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた100 mlの丸底フラスコに、5 g(9.32 mmol)のフェキソフェナジン塩酸塩および25 mlのアセトンを入れる。混合物を攪拌しながら還流して、懸濁液を得る。その後、0.9 mlのブチルアミン(0.68 g; 9.32 mmol)を加える。得られる透明溶液から、急速に形成された沈澱を濾過し、アセトンで繰り返し洗浄する。最後に、固体生成物を50℃にて静電乾燥機にて減圧乾燥して、4.1 g(8.21 mmol)のフェキソフェナジン遊離塩基を得る。生成物のXRPD分析は、それが、図3に記載したピークによって実質的に特徴が決定されるフェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体であることを示す。
【実施例5】
【0019】
フェキソフェナジン遊離塩基の形体γの製造
磁気撹拌機、還流冷却器および温度計を備えた50 mlの丸底フラスコに、5 g(9.32 mmol)のフェキソフェナジン塩酸塩および25 mlのアセトンを入れる。混合物を攪拌しながら還流して、懸濁液を得る。その後、2.22 mlのトリブチルアミン(1.73 g; 9.32 mmol)を加える。得られる透明溶液から、急速に形成された沈澱を濾過し、アセトンで繰り返し洗浄する。最後に、固体生成物を50℃にて静電乾燥機にて減圧乾燥して、3.5 g(7 mmol)のフェキソフェナジン遊離塩基を得る。生成物のXRPD分析は、それが、実質的に図1のスペクトルに記載したピーク特徴をもつ、図3に記載したピークによって実質的に特徴が決定されるフェキソフェナジン遊離塩基の新規な結晶性形体であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フェキソフェナジン遊離塩基の形体αのXRPDスペクトルである。
【図2】フェキソフェナジン遊離塩基の形体βのXRPDスペクトルである。
【図3】フェキソフェナジン遊離塩基の形体γのXRPDスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も強い回折ピークが、2θにて5.63、12.11、15.83、16.91、20.39および24.44に現れるXRPDスペクトルを有するフェキソフェナジン塩基の結晶性形体γ。
【請求項2】
実質的に図3に示すXRPDスペクトルを有する、請求項1に記載の結晶性形体。
【請求項3】
以下のステップ:
有機非プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;および
沈澱の分離;
を含む請求項1に記載のフェキソフェナジン塩基の製造方法。
【請求項4】
有機非プロトン溶媒が、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトニトリルまたはその混合物から選ばれ;および塩基性有機試薬が、アンモニア;式:N(R1R2R3)のアミン(ここで、R1、R2およびR3の少なくとも1つはC1-C6アルキルまたはアリール基であり、その他は独立して水素またはC1-C6アルキルまたはアリール基である);または少なくとも1つの窒素原子を含む飽和または不飽和5もしくは6員複素環式化合物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
最も強い回折ピークが、2θにて8.28、10.68、16.23、16.80、19.35および21.12に現れるXRPDスペクトルを有するフェキソフェナジン塩基の結晶性形体β。
【請求項6】
実質的に図2に示すXRPDスペクトルを有する、請求項5に記載の結晶性形体。
【請求項7】
以下のステップ:
有機プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;
形体βのフェキソフェナジン塩基を沈澱させるための有機カルボン酸による溶液の酸性化;および
沈澱の分離;
を含む請求項5に記載のフェキソフェナジン塩基の製造方法。
【請求項8】
塩基性有機試薬が、アンモニア;式:N(R1R2R3)のアミン(ここで、R1、R2およびR3の少なくとも1つはC1-C6アルキルまたはアリール基であり、その他は独立して水素またはC1-C6アルキルまたはアリール基である);または少なくとも1つの窒素原子を含む飽和または不飽和5もしくは6員複素環式化合物であり;有機プロトン溶媒が、アルコールであり;および有機カルボン酸が、モノ、ジまたはトリカルボン酸である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
最も強い回折ピークが、2θにて4.37、8.75、10.07、13.16、15.65、16. 22および23.57に現れるXRPDスペクトルを有するフェキソフェナジン塩基の結晶性形体α。
【請求項10】
実質的に図1に示すXRPDスペクトルを有する、請求項9に記載の結晶性形体。
【請求項11】
以下のステップ:
有機プロトン溶媒中におけるフェキソフェナジン付加塩と塩基性有機試薬との反応;および
沈澱の分離;
を含む請求項9に記載のフェキソフェナジン塩基の製造方法。
【請求項12】
塩基性有機試薬が、アンモニア;式:N(R1R2R3)のアミン(ここで、R1、R2およびR3の少なくとも1つはC1-C6アルキルまたはアリール基であり、その他は独立して水素またはC1-C6アルキルまたはアリール基である);または少なくとも1つの窒素原子を含む飽和または不飽和5もしくは6員複素環式化合物であり;および有機プロトン溶媒が、アルコールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医薬用途または獣医用途に適した純度を有するフェキソフェナジン遊離塩基またはその塩もしくは多形体の製造方法における請求項1、5および9に記載のフェキソフェナジン遊離塩基の形体γ、形体βまたは形体αの使用。
【請求項14】
適当な担体および/または賦形剤および有効成分として少なくとも1種の請求項1、5および9に記載のフェキソフェナジン塩基の形体α、形体βまたは形体γもしくはその混合物または1種以上のそれらと1種以上の公知のフェキソフェナジン塩基またはその塩との混合物を含み、必要に応じて医薬有効量の偽エフェドリンを含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−45227(P2006−45227A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217564(P2005−217564)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(504348563)ディファルマ・ソシエタ・ペル・アチオニ (6)
【氏名又は名称原語表記】DIPHARMA S.p.A.
【Fターム(参考)】