説明

フェナントロリン誘導体を含む電子素子

陽極、正孔注入層、光活性層、電子輸送層および陰極を有する有機電子素子が提供されている。光活性層および電子輸送層の少なくとも一方が、式I
【化1】


(式中:
1は、同一または異なり、ならびに、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノまたはカルバゾリルフェニルであることが可能であり;
ならびに、以下の条件:
(i)R2=R3であると共に、H、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノあるいはカルバゾリルフェニルである;または
(ii)R2はHであるかもしくはフェニルであり;ならびに
3は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルである;
の一方が満たされ、両方のR1がフェニルである場合、R2およびR3は、2−ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、9−フェナントリル、トリフェニルアミノまたはm−カルバゾリルフェニルであることが可能である)
を有する化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月22日出願の、その全体が参照により援用される米国仮特許出願第61/139,811号明細書に基づく米国特許法第119条(e)による優先権を主張する。
【0002】
本開示は、全体として、光活性組成物を有する少なくとも1つの層を含む有機電子素子に関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDディスプレイを形成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子素子において、有機活性層は、OLEDディスプレイにおける2つの電気コンタクト層の間に挟まれている。OLEDにおいて、有機光活性層は、電気コンタクト層に電圧が印加されると、光透過性電気コンタクト層を介して光を放射する。
【0004】
有機エレクトロルミネセント化合物を発光ダイオードにおける活性成分として用いることは周知である。単純な有機分子、共役ポリマーおよび有機金属錯体が用いられている。
【0005】
光活性材料を用いる素子は、多くの場合、1つまたは複数の電荷輸送層を備えており、これは、光活性(例えば発光)層と、コンタクト層(正孔注入コンタクト層)との間に配置されている。素子は、2つ以上のコンタクト層を含有していることが可能である。正孔輸送層は、光活性層と正孔注入コンタクト層との間に配置されることが可能である。正孔注入コンタクト層は陽極とも呼ばれ得る。電子輸送層は、光活性層と電子注入コンタクト層との間に配置されることが可能である。電子注入コンタクト層はまた陰極とも呼ばれ得る。電荷輸送材料はまた、光活性材料との組み合わせにおいてホストとして用いられることが可能である。
【0006】
電子素子のための新規の材料に対する要求が継続的に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
陽極、正孔注入層、光活性層、電子輸送層および陰極を備え、光活性層および電子輸送層の少なくとも一方が式I
【0008】
【化1】

【0009】
(式中:
1は、同一であるかまたは異なっていると共に、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択され;
ならびに、以下の条件の一方が満たされる:
(i)R2=R3であると共に、H、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されるか;または
(ii)R2はHおよびフェニルからなる群から選択され;
3は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択され;
ただし、両方のR1がフェニルである場合、R2およびR3は、ビフェニル、2−ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、9−フェナントリル、トリフェニルアミノおよびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択される)
を有する化合物を含む有機電子素子が提供されている。
【0010】
前述の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的であり、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明を限定しない。
【0011】
本明細書に提示されているコンセプトの理解を向上させるために、実施形態が添付の図に示されている。当業者は、図中の対象物は簡潔性および明確性のために図示されており、必ずしも縮尺どおりに描画されていないことを理解している。例えば、図中の対象物の寸法は、実施形態の理解の向上を助けるために他の対象に比して強調されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、例示的な有機素子の図示を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
多くの態様および実施形態が上記に記載されているが、これらは単に例示的であり、限定的ではない。この明細書を読了した後には、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態も可能であることを理解している。
【0014】
1つまたは複数の実施形態のいずれかの他の特性および有益性は、以下の詳細な説明、および、特許請求の範囲から明らかになるであろう。詳細な説明は、先ず、用語の定義および明確化、続いて、フェナントロリン誘導体、電子素子、および、最後に実施例に言及している。
【0015】
1.用語の定義および明確化
以下に記載されている実施形態の詳細に言及する前に、いくつかの用語が定義または明確化されている。
【0016】
「アルキル」という用語は、脂肪族炭化水素に由来する基を意味することが意図されている。
【0017】
「アリール」という用語は、芳香族炭化水素に由来する基を意味することが意図されている。「芳香族化合物」という用語は、非局在化π電子を有する少なくとも1個の不飽和環式基を含む有機化合物を意味することが意図されている。この用語は、炭素および水素原子のみを有する芳香族化合物、ならびに、環式基の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄等などの他の原子によって置き換えられている芳香族複素環式化合物の両方を含むことが意図されている。
【0018】
層、材料、構成要素または構造を参照している場合、「電荷輸送」という用語は、このような層、材料、構成要素または構造の厚さ方向へのこのような電荷の移動を、比較的高い効率および小さい電荷の損失で促進するような層、材料、構成要素または構造を意味することが意図されている。正孔輸送材料は正電荷を促進させ;電子輸送材料は陰電荷促進させる。発光材料もまたいくらかの電荷輸送特性を有し得るが、「電荷輸送層、材料、構成要素または構造」という用語が、主たる機能が発光である層、材料、構成要素または構造を包含することは意図されていない。
【0019】
「ドーパント」という用語は、このような物質が存在していない層の電子的特徴、または、放射線の放射、受光あるいはフィルタリング波長に比して、層の電子的特徴、または、放射線の放射、受光あるいはフィルタリングの目標波長を変える、ホスト材料を含む層中の材料を意味することが意図されている。
【0020】
「ホスト材料」という用語は、ドーパントが添加されてもされなくてもよい通常は層の形態の材料を意味することが意図されている。ホスト材料は、電子的特徴または放射線を放射し、受光しあるいはフィルタリングする能力を有していてもいなくてもよい。
【0021】
「層」という用語は、用語「フィルム」と同義に用いられており、所望の領域を覆うコーティングを指す。この用語はサイズによっては限定されない。この領域は、素子全体と同程度の大きさであっても、または、実際のビジュアルディスプレイなどの特定の機能領域と同程度の小ささ、または、単一のサブピクセルと同程度の小ささであることが可能である。層およびフィルムは、蒸着、液相堆積(連続および非連続技術)、および、熱転写を含む従来の堆積技術のいずれかによって形成されることが可能である。連続堆積技術としては、これらに限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティング、および、連続ノズルコーティングが挙げられる。非連続堆積技術としては、これらに限定されないが、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0022】
「有機電子素子」、または、時々、単に「電子素子」という用語は、1つまたは複数の有機半導体層または材料を含む素子を意味することが意図されている。
【0023】
「光活性」という用語は、印加電圧(発光ダイオードまたは化学セルなどにおいて)により活性化された場合に発光して、または、放射エネルギーに応答して発光して、印加バイアス電圧(光検出器などにおいて)を伴って、または、伴わずにシグナルを生成する材料もしくは層を意味することが意図されている。
【0024】
他に示されていない限りにおいて、すべての基は未置換であることも置換されていることも可能である。他に示されていない限りにおいて、すべての基は、可能である場合には、直鎖、分岐または環式であることが可能である。いくつかの実施形態において、置換基は、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択される。
【0025】
本明細書において用いられるところ、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語、または、これらのいずれかの他の変形は、非排他的な包含をカバーしていることが意図されている。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、または、装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されることはなく、明示的に列挙されていないか、または、このようなプロセス、方法、物品、または、装置に固有である他の要素が包含されていてもよい。さらに、そうでないと明記されていない限りにおいて、「または」は、包括的なまたはを指し、排他的なまたはを指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか一つにより満たされる:Aが真であり(または存在し)およびBが偽である(または不在である)、Aが偽であり(または不在であり)およびBが真である(または存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0026】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載の要素および構成成分の記載に採用されている。これは、単なる簡便性のために、および、本発明の範囲の一般的な意味を付与するために行われる。この記載は、そうでないことを意味することが明らかでなければ、1つまたは少なくとも1つを含み、および、単数形はまた複数形をも含むと読解されるべきである。
【0027】
元素周期律表中の列に関連する族数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,第81版,(2000〜2001年)に見られる「新表記」技法を用いている。
【0028】
そうでないと定義されていない限りにおいて、本明細書において用いられている技術用語および科学用語のすべては、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験において本明細書に記載のものと類似のまたは同等の方法および材料を用いることが可能であるが、好適な方法および材料は以下に記載されている。特定の経路が言及されていない限りにおいては、本明細書に記載されているあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりそれらの全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。加えて、材料、方法および例は、単なる例示であり、限定的であることは意図されていない。
【0029】
本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料、加工行為および回路に関する多くの詳細は従来のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力および半導電部材の技術分野における教科書および他の資料に見出され得る。
【0030】
2.フェナントロリン誘導体
電子輸送材料は、光活性層および電荷輸送層においてホスト材料として用いられてきている。Al、Ga、またはZrなどとのキノリンリガンドの金属錯体系の電子輸送材料がこれらの用途において用いられてきている。しかしながら、数々の欠点が存在している。これらの錯体は、ホストとして用いられた場合に大気中での安定性に劣っている場合がある。このような金属錯体が採用されて製作された部品をプラズマ洗浄することは困難である。低い三重項エネルギーは>2.0eVエネルギーのリン光発光の消光をもたらす。バソフェナントロリン材料もまた電荷輸送層として用いられている。しかしながら、特に溶解度といった処理特徴が、ホスト材料としてのいくつかの用途については頻繁に不十分となってしまう。
【0031】
本明細書に記載のフェナントロリン誘導体は既に報告されている材料よりも新規の置換パターンを有しており、多様な置換配置に対する一般的な合成アプローチが開発されている。いくつかの実施形態において、フェナントロリン誘導体は、OLED素子用の溶液加工可能な電子が支配的なホストとして、または、厚い電子輸送層を有するOLED素子におけるn−ドーピング用に好適な電子輸送材料として有用である。得られる素子は漏れ電流が低い。良好な電子移動度および高いTgは長い寿命および高い効率の素子を可能とする。いくつかの実施形態において、これらの材料は、光電装置およびTFTを含む、いずれかの印刷されたエレクトロニクス用途に有用である。
【0032】
本明細書に記載のフェナントロリン誘導体化合物は、式I
【0033】
【化2】

【0034】
(式中:
1は、同一であるかまたは異なっていると共に、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択され;
ならびに、以下の条件の一方が満たされる:
(i)R2=R3であると共に、H、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されるか;または
(ii)R2はHおよびフェニルからなる群から選択され;
3は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択され;
ただし、両方のR1がフェニルである場合、R2およびR3は、ビフェニル、2−ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、9−フェナントリル、トリフェニルアミノおよびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択される)
を有する。
【0035】
上記で参照されている基は以下のとおり定義され、ここで、破線は可能性のある結合点を表す。
【0036】
【化3】

【0037】
【化4】

【0038】
新規のフェナントロリン誘導体は、高い溶解度、高い熱安定性(高いTg>100℃)および良好な電子移動度を有していることが可能である。この化合物は、良好な空気安定性を示す。これらは、溶液加工OLED素子における、n−ドープOLED素子用の電子輸送材料として、ならびに、放射層用の電子が支配的なホスト(蛍光性およびリン光放射体の両方について)として用いられることが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態において、フェナントロリン化合物は対称であり、ここで、両方のR1は同一であると共に、R2=R3である。いくつかの実施形態において、R1=R2=R3である。いくつかの実施形態において、フェナントロリン化合物は非対称であり、ここで、2つのR1基は異なり、R2≠R3であり、または、両方である。
【0040】
いくつかの実施形態において、R1基は同一であると共に、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R1基はフェニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R1基は、4−トリフェニルアミノおよびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態において、R2=R3であると共に、トリフェニルアミノ、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、およびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、アリールアントラセニル基は、構造
【0042】
【化5】

【0043】
(式中、Arは、フェニル、ナフチル、およびナフチルフェニルからなる群から選択される)
を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、R2=Hであると共に、R3は、フェニル、ビフェニル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、フェナントロリン化合物は、以下に示す化合物1〜化合物21からなる群から選択される。
【0046】
【化6】

【0047】
【化7】

【0048】
【化8】

【0049】
【化9】

【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
これらの化合物は、以下の表1に示す特性を有する。
【0056】
【表1】

【0057】
フェナントロリン化合物は、公知の合成技術により形成されることが可能である。いくつかの実施形態において、これらの化合物は、ジクロロフェナントロリンの所望の置換基のボロン酸類似体でのスズキカップリングにより形成される。これは、実施例においてさらに例示されている。
【0058】
3.電子素子
本明細書に記載の青色発光材料を含む1つ以上の層を有することにより利点がもたらされ得る有機電子素子としては、これらに限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換する素子(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイまたはダイオードレーザ)、(2)エレクトロニクスプロセス中のシグナルを検出する素子(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換する(例えば、光起電力素子または太陽電池)素子、ならびに、(4)1つまたは複数の有機半導体層を有する1個または複数の容量型電子部品を備える素子(例えば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。
【0059】
有機電子素子構造の一例が図1に示されている。素子100は、第1の電気コンタクト層、陽極層110および第2の電気コンタクト層、陰極層160を有すると共に、これらの間に光活性層140を有する。陽極にはバッファ層120が隣接している。バッファ層には正孔輸送材料を含む正孔輸送層130が隣接している。陰極には、電子輸送材料を含む電子輸送層150が隣接していてもよい。任意で、素子は、1つまたは複数の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)を陽極110に隣接して、および/または、1つまたは複数の追加の電子注入層または電子輸送層(図示せず)を陰極160に隣接して用いていてもよい。
【0060】
層120〜150は、独立して、および、全体として、活性層と称される。
【0061】
一実施形態においては、異なる層は、以下の範囲の厚さを有する:陽極110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;バッファ層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;正孔輸送層130、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層140、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層150、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;陰極160、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。素子における電子−正孔再結合ゾーンの位置、それ故、素子の発光スペクトルは、各層の相対的な厚さによって影響されることが可能である。層厚の所望の比は、用いられる材料の正確な性質に依存することとなる。
【0062】
素子100の用途に応じて、光活性層140は、印加電圧により活性化される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学電池などにおいて)であることが可能であり、または、放射エネルギーに応答すると共に、印加バイアス電圧を伴って、または、伴わずにシグナルを生成する材料の層(光検出器などにおいて)であることが可能である。光検出器の例としては、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタおよび光電管、ならびに、光起電力電池が挙げられ、これらの用語は、Markus,John,Electronics and Nucleonics Dictionary,第470ページおよび第476ページ(McGraw−Hill,Inc.1966年)に記載されているとおりである。
【0063】
a.光活性層
式Iのフェナントロリン化合物は、層140における光活性材料用のホスト材料として有用である。この化合物は、単独で用いられることが可能であり、または、他のホスト材料との組み合わせで共ホストとして用いられることが可能である。これらのフェナントロリン化合物は、液相堆積用途のために良好な溶解度を有する。いくつかの実施形態において、フェナントロリン化合物は、青色発光性ドーパント材料用のホストとして用いられる。ホスト対ドーパントの比は、一般に5:1〜25:1の範囲内であり;いくつかの実施形態においては、10:1〜20:1である。いくつかの実施形態において、光活性層は、実質的に、光活性材料および式Iを有するフェナントロリン誘導体から構成される。
【0064】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパント材料はエレクトロルミネセントであり、赤色、緑色および青色の発光色を有する材料から選択される。エレクトロルミネセント材料としては、小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光材料金属錯体、共役ポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。蛍光化合物の例としては、これらに限定されないが、クリセン、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、アントラセン、チアジアゾール、これらの誘導体、および、これらの混合物が挙げられる。金属錯体の例としては、これらに限定されないが、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(AlQ)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovら、米国特許第6,670,645号明細書および国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されているフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンリガンドとのイリジウムの錯体などのシクロメタレート化イリジウムおよび白金エレクトロルミネセント化合物、ならびに、例えば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレットおよび国際公開第03/040257号パンフレットに記載の有機金属錯体、ならびに、これらの混合物が挙げられる。電荷担持ホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネセント放射層が、Thompsonらによって米国特許第6,303,238号明細書に、ならびに、BurrowsおよびThompsonによって、国際公開第00/70655号パンフレットおよび国際公開第01/41512号パンフレットに記載されている。共役ポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、これらのコポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは、イリジウムのシクロメタレート化錯体である。いくつかの実施形態において、錯体は、フェニルピリジン、フェニルキノリンおよびフェニリソキノリンから選択される2個のリガンド、ならびに、β−ジエノレートである第3のリガンドを有する。これらのリガンドは、未置換であるか、または、F、D、アルキル、CN、またはアリール基で置換されていてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレンおよびポリスピロビフルオレンからなる群から選択されるポリマーである。
【0067】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは、非高分子スピロビフルオレン化合物およびフルオランテン化合物からなる群から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは、アリールアミン基を有する化合物である。いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは以下の式から選択される。
【0069】
【化15】

【0070】
(式中:
Aは、各出現で同一であるかまたは異なると共に、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Qは、単結合であるか、または、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
nおよびmは、独立して、1〜6の整数である)。
【0071】
上記式のいくつかの実施形態において、各式におけるAおよびQの少なくとも一方が少なくとも3つの縮合環を有する。いくつかの実施形態において、mおよびnは1に等しい。
【0072】
いくつかの実施形態において、Qは、スチリルまたはスチリルフェニル基である。
【0073】
いくつかの実施形態において、Qは、少なくとも2つの縮合環を有する芳香族基である。いくつかの実施形態において、Qは、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、およびルブレンからなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態において、Aはフェニル、トリル、ナフチル、およびアントラセニル基からなる群から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは以下の式を有する。
【0076】
【化16】

【0077】
式中:
Yは、各出現で同一であるかまたは異なると共に、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Q’は、芳香族基、二価トリフェニルアミン残渣基または単結合である。
【0078】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントはアリールアセンである。いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは非対称アリールアセンである。
【0079】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントはクリセン誘導体である。「クリセン」という用語は、1,2−ベンゾフェナントレンを意味することが意図されている。いくつかの実施形態において、光活性ドーパントはアリール置換基を有するクリセンである。いくつかの実施形態において、光活性ドーパントはアリールアミノ置換基を有するクリセンである。いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは2個の異なるアリールアミノ置換基を有するクリセンである。いくつかの実施形態において、クリセン誘導体は濃い青色の発光を有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、光活性ドーパントは、以下に示されるE1〜E10からなる群から選択される。
【0081】
【化17】

【0082】
【化18】

【0083】
【化19】

【0084】
【化20】

【0085】
いくつかの実施形態において、フェナントロリン誘導体化合物は、追加のホスト材料と共に用いられる。いくつかの実施形態において、フェナントロリン誘導体化合物は、光活性層においてホストとしては用いられない。単独で、または、フェナントロリン化合物と組み合わせて用いられることが可能である他のタイプのホストの例としては、これらに限定されないが、ビス−縮合環式芳香族化合物およびアントラセン誘導体が挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態において、アントラセンホスト化合物は、式:
An−L−An
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Lは二価結合基である)
を有する。
【0087】
この式のいくつかの実施形態において、Lは、単結合、−O−、−S−、−N(R)−または芳香族基である。いくつかの実施形態において、Anは、モノまたはジフェニルアントリル部分である。
【0088】
いくつかの実施形態において、アントラセンホストは、式
A−An−A
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Aは、各出現で同一であるかまたは異なると共に、芳香族基である)
を有する。
【0089】
いくつかの実施形態において、A基は、アントラセン部分の9位および10位に結合している。いくつかの実施形態において、Aは、ナフチル、ナフチルフェニレンおよびナフチルナフチレンからなる基から選択される。いくつかの実施形態において、化合物は対称であると共に、いくつかの実施形態においては化合物は非対称である。
【0090】
いくつかの実施形態において、アントラセンホストは、式:
【0091】
【化21】

【0092】
(式中:
1およびA2は、各出現で同一であるかもしくは異なると共に、H、芳香族基およびアルケニル基からなる群から選択されるか、または、Aは1つまたは複数の縮合芳香族環を表し得;
pおよびqは、同一であるかまたは異なっていると共に、1〜3の整数である)
を有する。
【0093】
いくつかの実施形態において、アントラセン誘導体は非対称である。いくつかの実施形態において、p=2およびq=1である。いくつかの実施形態において、A1およびA2の少なくとも一方がナフチル基である。
【0094】
いくつかの実施形態において、ホストは、
【0095】
【化22】

【0096】
およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0097】
b.電子輸送層
式Iのフェナントロリン化合物は、層150における電子輸送材料として有用である。化合物は、単独で、または、他の電子輸送材料との組み合わせで用いられることが可能である。上述のとおり、これらの材料は、液相堆積用途のための多くの溶剤に良好な溶解度を有する。
【0098】
いくつかの実施形態において、電子輸送層は、実質的に、式Iを有するフェナントロリン誘導体から構成される。いくつかの実施形態において、フェナントロリン化合物は、n−ドーパントとの組み合わせで用いられる。このようなドーパントの例としては、これらに限定されないが、Csまたは他のアルカリ金属が挙げられる。
【0099】
単独で、または、フェナントロリン化合物と組み合わされて用いられることが可能である他の電子輸送材料の例としては、これらに限定されないが、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノレート)ハフニウム(HfQ)およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノレート)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キノレート誘導体を含む金属キレート化オキシノイド化合物;ならびに、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン;ならびに、これらの混合物が挙げられる。これらの材料は、n−ドーパントとの組み合わせでも用いられ得る。
【0100】
c.他の素子層
素子中の他の層は、このような層において有用であると公知である任意の材料で形成されることが可能である。
【0101】
陽極110は、陽電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。これは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物あるいは混合金属酸化物を含有する材料で形成されることが可能であり、または、導電性ポリマー、または、これらの混合物であることが可能である。好適な金属としては、第11族金属、第4〜6族の金属、および、第8〜10族遷移金属が挙げられる。陽極が光透過性である場合には、インジウム−錫−酸化物などの第12、13および14族金属の混合金属酸化物が一般に用いられる。陽極110はまた、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」,Nature,第357巻、第477〜479ページ(1992年6月11日)に記載されているポリアニリンなどの有機材料を含んでいることが可能である。陽極および陰極の少なくとも一方は、生成された光が観察可能であるように少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0102】
正孔注入層120は、バッファ材料を含み、特にこれらに限定されないが、下位層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の掃去、ならびに、有機電子素子の性能を促進させるか向上させる他の態様を含む、有機電子素子における1つまたは複数の機能を有し得る。バッファ材料は、ポリマー、オリゴマーまたは小分子であり得る。これらは、蒸着されるか、または、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド状混合物、あるいは、他の組成物の形態であり得る液体から堆積され得る。
【0103】
正孔注入層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの、度々プロトン酸でドープされる高分子材料で形成されることが可能である。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)等であることが可能である。
【0104】
正孔注入層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物等を含んでいることが可能である。
【0105】
いくつかの実施形態において、正孔注入層は、少なくとも1種の導電性ポリマーおよび少なくとも1種のフッ素化酸ポリマーを含む。このような材料は、例えば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および、米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。
【0106】
層130用の正孔輸送材料の例は、例えば、Y.Wangによる、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版,第18巻,第837〜860ページ,1996年にまとめられている。正孔輸送分子およびポリマーの両方が用いられることが可能である。通例用いられる正孔輸送分子は:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチル−フェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、および、銅フタロシアニンなどのポリフィリン化合物である。通例用いられる正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)−ポリシランおよびポリアニリンである。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーに上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることにより正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。いくつかの場合において、トリアリールアミンポリマーが用いられ、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが用いられる。いくつかの場合において、ポリマーおよびコポリマーは架橋性である。いくつかの実施形態において、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp−ドーパントでドープされる。
【0107】
陰極160は、電子または陰電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。陰極は、陽極より低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であることが可能である。陰極用の材料は、第1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、第2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタノイドを含む第12族金属、ならびに、アクチニドから選択されることが可能である。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの材料、ならびに、組み合わせが用いられることが可能である。Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2O、およびCs2COもまた、動作電圧を下げるために有機層と陰極層との間に電荷輸送層として配置されることが可能である。
【0108】
他の層を備える有機電子素子が公知である。例えば、注入される正電荷の量を制御するために、および/または、層のバンドギャップマッチングをもたらすために、または、保護層として機能するために、陽極110とバッファ層120との間に層(図示せず)が存在していることが可能である。銅フタロシアニン、ケイ素酸化−窒化物、フルオロカーボン、シラン、または、Ptなどの金属の超薄層などの、技術分野において公知である層を用いることが可能である。あるいは、陽極層110、活性層120、130、140、および150、または陰極層160のいくつかまたはすべてが、電荷キャリア輸送効率を高めるために表面処理されることが可能である。構成層の各々についての材料の選択は、素子のエレクトロルミネセンス効率を高めるための放射層における陽電荷および陰電荷のバランスにより決定されることが好ましい。
【0109】
各機能層は、2つ以上の層から形成されることが可能であることが理解される。
【0110】
いくつかの実施形態において、素子は:
陽極;
導電性ポリマーおよびフッ素化酸ポリマーを含む正孔注入層;
エレクトロルミネセント材料および式Iを有するフェナントロリン誘導体ホスト材料
を含む光活性層;
金属キノレート誘導体を含む電子輸送層;
Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2O、およびCs2CO3からなる群から選択される材料を含む電子注入層;ならびに
陰極
を備える。
【0111】
いくつかの実施形態において、上記素子は、正孔輸送層を正孔注入層と光活性層との間にさらに備える。上記素子のいくつかの実施形態において、式Iのフェナントロリン誘導体は、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されるR1を有する。いくつかの実施形態においては、式Iのフェナントロリン誘導体においてR1=フェニルおよびR2=R3であり、ここで、R2およびR3は、ビフェニル、ナフチルフェニル、およびアリールアントラセニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、式Iのフェナントロリン誘導体においてR1=フェニル、R2=Hであると共に、R3は、フェニル、ビフェニル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。
【0112】
いくつかの実施形態において、素子は:
陽極;
導電性ポリマーおよびフッ素化酸ポリマーを含む正孔注入層;
エレクトロルミネセント材料およびホスト材料を含む光活性層;
式Iを有するフェナントロリン誘導体を含む電子輸送層;
Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2O、およびCs2CO3からなる群から選択される材料を含む電子注入層;ならびに
陰極
を備える。
【0113】
いくつかの実施形態において、上記の素子は、正孔輸送層を正孔注入層と光活性層との間にさらに備える。上記素子のいくつかの実施形態において、式Iのフェナントロリン誘導体は、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されるR1を有する。いくつかの実施形態においては、式Iのフェナントロリン誘導体においてR1=フェニルおよびR2=R3であり、ここで、R2およびR3は、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、式Iのフェナントロリン誘導体においてR1=フェニル、R2=Hであると共に、R3は、フェニル、ビフェニル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノ、およびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される。
【0114】
d.素子作製
素子層は、任意の堆積技術、または、蒸着、液相堆積および熱転写を含む技術の組み合わせにより形成されることが可能である。ガラス、プラスチックおよび金属などの基板が用いられることが可能である。熱蒸発、化学蒸着等などの従来の蒸着技術が用いられることが可能である。有機層は、好適な溶剤中の溶液または分散体から、特にこれらに限定されないが、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールツーロール技術、インクジェット印刷、連続ノズル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等を含む従来のコーティングまたは印刷技術を用いて適用されることが可能である。
【0115】
いくつかの実施形態において、この素子は、バッファ層、正孔輸送層および光活性層の液相堆積により、ならびに、陽極、電子輸送層、電子注入層および陰極の蒸着により製作される。
【0116】
液相堆積方法に関して、特定の化合物または関連するクラスの化合物のために好適な溶剤は、当業者によって容易に決定されることが可能である。いくつかの用途については、化合物は非水性溶剤中に溶解されることが好ましい。このような非水性溶剤は、C1〜C20アルコール、エーテルおよび酸エステルなど比較的極性であることが可能であり、または、C1〜C12アルカンもしくはトルエン、キシレン、トリフルオロトルエン等などの芳香族化合物など比較的非極性であることが可能である。本明細書に記載の溶液または分散体のいずれかとして、新規の化合物を含む液体組成物の形成における使用に好適な他の液体としては、特にこれらに限定されないが、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、芳香族炭化水素(置換および非置換トルエンおよびキシレンなど)、トリフルオロトルエンを含む)、極性溶剤(テトラヒドロフラン(THP)、N−メチルピロリドンなど)エステル(酢酸エチルなど)アルコール(イソプロパノール)、ケトン(シクロペンタノン)およびこれらの混合物が挙げられる。光活性材料用の好適な溶剤は、例えば、国際公開第2007/145979号パンフレットに記載されている。
【実施例】
【0117】
本明細書に記載のコンセプトを、以下の実施例においてさらに説明するが、これは、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定しない。
【0118】
実施例1
実施例1は、中間体ジクロロバソフェナントロリン化合物、2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの調製を示す。
【0119】
a)Yamadaら、Bull Chem Soc Jpn,63,2710,1990年からの手法を用いて、トリメチレン橋架けバソフェナントロリンを以下のとおり調製し:2gのバソフェナントロリンを20g 1,3−ジブロモプロパン中に取り、空気中で還流させた。約30分後、濃密なオレンジ色のスラリーを冷却した。メタノールを添加して固形分を溶解させ、次いで、アセトンを添加して明るいオレンジ色の固体を沈殿させた。これをろ過し、トルエンおよびジクロロメタン(「DCM」)で洗浄し、オレンジ色の粉末を2.8g収率で得た。
【0120】
【化23】

【0121】
b)上記からの2.8gの生成物を12mLの水中に溶解させ、氷冷した21gカリウムフェリシアニドおよび10g水酸化ナトリウムの30mLの水中の溶液に、約30分間かけて滴下し、次いで、90分間攪拌した。これを再度氷冷し、60mLの4M HClで約8のpHに中和した。薄い黄褐色/黄色の固体をろ過し、減圧乾燥させた。ろ過した固体をソックスレーに入れ、クロロホルムで抽出して、茶色の溶液を抽出した。これを蒸発させて茶色がかった油状の固体とし、次いで、少量のメタノールで洗浄して薄い茶色の固体(約1.0g、47%)を得た。生成物は、混合物からクロロホルムを蒸発させることにより、金色の板状結晶としてクロロホルム/メタノールから再結晶させてもよい。構造を以下のジケトンとしてNMRにより識別した。
【0122】
【化24】

【0123】
c)上記ステップ(b)からのジケトンの分量を組み合わせて合計で5.5g(13.6mM)を39mL POCl3中に懸濁させると共に、5.4g PCl5を添加した。これを脱気し、窒素下で8時間還流した。過剰量のPOCl3を蒸発により除去した。氷を添加して残留する塩化物を分解すると共に、混合物をアンモニア溶液で中和した。茶色の沈殿物を回収し、減圧下で乾燥し、一方で、母液は塩化メチレンで抽出した。すべての茶色の材料を組み合わせ、茶色のガムに蒸発させると共に、メタノールを添加した。振盪および攪拌した後、薄い黄色の固体を単離し、これをオフホワイトの針状結晶としてCHCl3およびメタノール(1:10)から再結晶させた。NMRによる分析は、以下のジクロロバソフェナントロリン構造を示した。
【0124】
【化25】

【0125】
実施例2
実施例2は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの4−(1−ナフチル)−フェニルボロン酸でのスズキカップリングを用いるフェナントロリン誘導体化合物3の調製を示す。
【0126】
グローブボックス中で、実施例1からの2.0gのジクロロバソフェナントロリン(5mM)に2.6g(11mM)ボロン酸を添加した。これに、0.15gトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(「Pd2DBA3」)(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水中に溶解させた。これを混合すると共に、100℃のグローブボックス中で1時間加熱し、次いで、窒素下に、一晩、穏やかに(最低レオスタット設定)温めた。約80℃に達すると、混合物は黄褐色の茶色のスラリーであり、これは、徐々に、高密度の沈殿物を伴って清透な茶色になった。溶液を還流(空気式コンデンサ)したところ、白色の繊維状の沈殿物が形成された。これを冷却すると共に、白色の繊維を追加の水を添加した後にジオキサンからろ過した。これらの繊維をクロロホルム中に溶解させ、次いで、蒸発させると共に、メタノールを添加することによりトルエン中にオフホワイトの粉末として沈殿させた。これをろ過により回収すると共に、メタノールで十分に洗浄して約2.75gの化合物3を単離した。
【0127】
【化26】

【0128】
実施例3
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの4−トリフェニルアミノボロン酸でのスズキカップリングを用いる、フェナントロリン誘導体化合物4の調製を示す。
【0129】
実施例1からの2.0gのジクロロバソフェナントロリン(5mM)に3.0g(11mM)ボロン酸を添加した。これに、0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加し、すべてを30mLジオキサンおよび15mL水に溶解させた。これを、100℃のグローブボックス内で1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温めた(最低レオスタット設定)。約80℃に達すると、混合物は黄褐色の茶色のスラリーであり、これは、徐々に、高密度の沈殿物を伴って清透な茶色になった。溶液を還流(空気式コンデンサ)したところ、白色の粉末状の沈殿物が形成された。混合物を冷却すると共に、グローブボックスから取り出した。ジオキサンを蒸発により除去すると共に、追加の水を添加した。明るい茶色のゴム状の固体をろ過により単離すると共に、水で洗浄した。固体は、トルエンおよびジクロロメタン中に良好に溶解した。この生成物は化合物4であった。
【0130】
【化27】

【0131】
実施例4
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いたフェナントロリン誘導体化合物9の調製を示す。
【0132】
【化28】

【0133】
2.0gのジクロロ−フェン(5mM)をグローブボックス中に取り、2.0g(11mM)ホウ酸エステル(Aldrich)を添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、ゆっくりと清透な茶色になる黄褐色の茶色のスラリーである。溶液が冷却されるに伴って綿状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出すと共にさらに水を添加することにより冷却およびワークアップする。水性層および有機層を分離すると共に、水性層をDCMで洗浄する。すべての有機層を組み合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、および、シリカプラグでろ過する。オレンジ色の溶液を回収し、これを蒸発させて体積を低減させると共に、メタノールを添加して薄いオレンジ色の固体を沈殿させた。熱トルエン中に溶解させると共に、フロリジルカラムに通して薄い黄色のバンドをトルエン、次いで、DCMで溶離させる。蒸発させて体積を減らすと共に、結晶性の白色の固体をメタノールを添加して沈殿させる。約2.55g材料を単離する。構造は、NMR分析により化合物9と確認された。
【0134】
【化29】

【0135】
実施例5
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いたフェナントロリン誘導体化合物10の調製を示す。
【0136】
【化30】

【0137】
2.0gのジクロロ−フェン(5mM)をグローブボックス中に取り、1.5g(11mM)ボロン酸を添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、ゆっくりと濃密な沈殿物を伴う清透な茶色になる清透な茶色の溶液である。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されると、白色の繊維状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出し、さらなる水を添加した後に白色の繊維をジオキサンからろ過することにより冷却およびワークアップする。クロロホルム中に溶解させ、次いで、速く流れる青色のPLバンドとしてクロロホルムで溶出される塩基性アルミナでのクロマトグラフィに供されると共に、乳白色の針に蒸発させる。ろ過により回収すると共に、メタノールで十分に洗浄し、次いで、薄い黄色の溶液としてトルエン中に再溶解され、および、トルエンで溶出されるフロリジルでのクロマトグラフィに供して、蒸発およびメタノールの添加の後に約1.6gの白色の結晶性材料が単離される。固体は深い青色/紫色のPLを有する。構造は、NMR分析により化合物10と確認された:
【0138】
【化31】

【0139】
実施例6
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いたフェナントロリン誘導体化合物11の調製を示す。
【0140】
【化32】

【0141】
1.0gのジクロロ−フェン(2.5mM)をグローブボックス中に取り、2.6g(5.5mM)ホウ酸エステルを添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、ゆっくりと清透な茶色になる黄褐色の茶色のスラリーである。溶液が冷却されるに伴って綿状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出すと共にさらに水を添加することにより冷却およびワークアップする。水性層および有機層を分離すると共に、水性層をDCMで洗浄する。すべての有機層を組み合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、および、シリカプラグでろ過する。オレンジ色の溶液を回収し、これを蒸発させて体積を低減させると共に、メタノールを添加して薄いオレンジ色の固体を沈殿させた。熱トルエン/DCM中に溶解させると共に、DCM/トルエンで溶出されるシリカ/フロリジル/B−アルミナ充填カラムを薄い黄色の溶液として通される。材料は、クロマトグラフィ媒体(特にフロリジル)を強固に着色する。蒸発させて体積を減らすと共に、黄色の固体をメタノールを添加して沈殿させる。約2.55g材料が単離される。構造は、NMR分析により化合物11と確認された:
【0142】
【化33】

【0143】
実施例7
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いたフェナントロリン誘導体化合物12の調製を示す。
【0144】
【化34】

【0145】
1.0gのジクロロ−フェン(2.5mM)をグローブボックス中に取り、3.12g(6mM)ホウ酸エステルを添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および2.0gリン酸カリウム(9mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、黄褐色の茶色のスラリーであるが、徐々に、高密度の沈殿物を伴った清透な茶色になる。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されると、茶色のゴム状の材料が形成される。グローブボックスから取り出すと共に水を添加することにより冷却およびワークアップする。DCMに抽出すると共に、硫酸マグネシウムで乾燥させる。DCM、次いで、DCM/メタノール2:1で溶出されるシリカ/フロリジルのプラグでのクロマトグラフィに供する。薄い黄色の溶液が回収され、これを蒸発させると共に、メタノールの添加で、白色/薄い黄色の固体を沈殿させた。構造は、NMR分析により化合物12と確認された:
【0146】
【化35】

【0147】
実施例8
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いる、フェナントロリン誘導体化合物13の調製を示す。
【0148】
【化36】

【0149】
2.0gのジクロロ−フェン(5mM)をグローブボックス中に取り、3.4g(11mM)ボロン酸を添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、110℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、黄褐色の茶色のスラリーであるが、徐々に、高密度の沈殿物を伴った清透な茶色になる。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されると、白色の繊維状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出し、さらなる水を添加した後に白色の繊維をジオキサンからろ過することにより冷却およびワークアップする。クロロホルムに溶解させ、次いで、蒸発させ、および、メタノールを添加することにより、オフホワイトの微小な針状にトルエン中に沈殿させる。ろ過により回収すると共に、メタノールで十分に洗浄して約2.25gの材料を単離した。構造は、NMR分析により化合物13と確認された:
【0150】
【化37】

【0151】
実施例9
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いる、フェナントロリン誘導体化合物1の調製を示す。
【0152】
【化38】

【0153】
2.0gのジクロロ−フェン(5mM)をグローブボックス中に取り、4.0g(11mM)ホウ酸エステルを添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、110℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、黄褐色の茶色のスラリーであるが、徐々に、高密度の沈殿物を伴った清透な茶色になる。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されると、綿状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出し、さらなる水を添加した後に白色の繊維をジオキサンからろ過することにより冷却およびワークアップする。クロロホルムに溶解させ、次いで、蒸発させ、および、メタノールを添加することにより、オフホワイトの微小な針状にトルエン中に沈殿させる。ろ過により回収すると共に、メタノールで十分に洗浄して約3.55gの材料を単離した。構造は、NMR分析により化合物1と確認された:
【0154】
【化39】

【0155】
化合物1の特性は以下のとおりであった:
Tg=172℃
光ルミネセンスピーク(トルエン中に2%)=406nm
UV/Visピーク=341,293nm
エレクトロルミネセント発光ピーク=405nm
【0156】
実施例10
この実施例は、4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いる、フェナントロリン誘導体化合物14の調製を示す。
【0157】
【化40】

【0158】
2.0gのジクロロ−フェン(8mM)をグローブボックス中に取り、4.7g(17mM)ボロン酸を添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、ゆっくりと清透な茶色になる黄褐色の茶色のスラリーである。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されても、清透な茶色が維持される。グローブボックスから取り出すことにより冷却およびワークアップすると共に、ジオキサンが留去され、次いで、さらなる水が添加される。明るい茶色のゴム状の固体がろ過されると共に、水で洗浄される。固体は、トルエンおよびDCMに良好に溶解する。構造は、NMR分析により化合物14と確認された:
【0159】
【化41】

【0160】
実施例11
この実施例は、4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いる、フェナントロリン誘導体化合物15の調製を示す。
【0161】
【化42】

【0162】
2.5gのジクロロ−フェン(10mM)をグローブボックス中に取り、8.0g(22mM)ホウ酸エステルを添加する。0.30g Pd2DBA3(0.30mM)、0.2gトリシクロヘキシルホスフィン(0.70mM)および7.5gリン酸カリウム(34mM)を添加すると共に、すべてを60mLのジオキサンおよび30mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、ゆっくりと清透な茶色になる黄褐色の茶色のスラリーである。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されても沈殿物は形成されない。グローブボックスから取り出すことにより冷却およびワークアップすると共に、さらなる水(セライトに)の添加の後、オレンジ色のガムがジオキサンからろ過される。クロロホルム中に溶解させ、次いで、シリカ/フロリジル/アルミナ(B)のカラムおよびDCMでの溶出のクロマトグラフィに供する(青色のPL画分がきわめて少量で薄い黄色の溶液として溶離される)。50:50メタノール/DCMに変更すると共に、材料の大部分であると見られるオレンジ色の溶液が溶離される。生成物は非常に可溶性であると見られるが、アセトン/メタノール/DCM混合物から白色の粉末として「結晶化」する。DCMでのnmrに供された約5.6gの白色の生成物が回収される(青色のPLを伴う無色の溶液)。構造は、NMR分析により化合物15と確認された:
【0163】
【化43】

【0164】
実施例12
この実施例は、フェナントロリン誘導体化合物17の調製を示す。
【0165】
THF(20ml)中の2,4,7−フェニル−1,10−フェナントロリン(2グラム)を攪拌するために、1−ナフタルマグネシウムブロミド(THF中に0.0130mol)を添加すると共に還流した。混合物を冷却すると共に、水で処理し、クロロホルムを分離した。有機混合物をMnO2で処理すると共にろ過した。得られた材料をヘキサンおよびDCMでのシリカカラムクロマトグラフィで精製し、次いで、トルエンから再結晶させて、.467gの生成物を得た。構造は、NMR分析により化合物17と確認された:
【0166】
【化44】

【0167】
実施例13
この実施例は、フェナントロリン誘導体化合物18の調製を示す。
【0168】
2,4,7−フェニル−1,10−フェナントロリン(2g、.0049mol)および20mL THFを攪拌するために、2−ナフチルマグネシウムブロミドを添加し(3g、THF中に.0130mol)、および、一晩還流した。混合物を冷却すると共に、水を添加し、有機溶剤に抽出し、91gのMnO2で処理し、ろ過し、および、固体が溶液から析出したら濃縮し、この沈殿物をトルエンから再結晶して260mgを得た。構造は、NMR分析により化合物18と確認された:
【0169】
【化45】

【0170】
実施例14
この実施例は、フェナントロリン誘導体化合物19の調製を示す。
【0171】
4,7−ジクロロフェナントロリン(1.245g、0.0050mol)およびトリフェニルアミンの3−ボロネートエステル(4.1g、.0111mol)に、30mL 1,4−ジオキサン中のPd2/DBA3(0.3g)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.21g)を添加し、続いて15mLの水中の4.75g K3PO4を添加すると共に、一晩還流した。冷却すると共に、混合物の水/クロロホルム抽出を行った。DCM/ヘキサンから再結晶し、次いで、CHCl3/MeOHを用いるシリカクロマトグラフィを行い、ほとんど全体の中心切片を濃縮し、および、1.6グラムにろ過した。収率は89%である。構造は、NMR分析により化合物19と確認された:
【0172】
【化46】

【0173】
実施例15
この実施例は、フェナントロリン誘導体化合物20の調製を示す。
【0174】
4,7−ジクロロフェナントロリン(1.245g、0.0050mol)、および4−(1−ナフチル)フェニルボロン酸(5.5g、.0111mol)に、30mL 1,4−ジオキサン中のPd2/DBA3(0.3g)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.21g)を添加し、続いて、15mLの水中の4.75g K3PO4を添加すると共に、一晩還流した。冷却すると共に、混合物の水/DCM抽出を行った。主な画分をDCMおよびメタノールから再結晶し、次いで、ろ過すると共に、2.23g、67%収率に乾燥させた。構造は、NMR分析により化合物20と確認された:
【0175】
【化47】

【0176】
実施例16
この実施例は、フェナントロリン誘導体化合物2の調製を示す。
【0177】
フェニルリチウム(.0384mol)、1.8mol/ジブチルエーテルを、456mLのトルエン中の4,7−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)−1,10−フェナントロリン(11.647g、0.0175mol)(上記化合物14)に添加した。反応は、室温で1時間以内に完了する。121gの氷を加え、DCMに抽出し、200g MnO2で処理し、酢酸エチル/ヘキサン中でのシリカカラムクロマトグラフィにより精製し、エタノール中に1回倍散させ、次いで、トルエンで倍散させ、また、クロロホルムおよびトルエンで塩基性アルミナプラグに通し、ならびに、2グラムに乾燥させた。構造は、NMR分析により化合物2と確認された:
【0178】
【化48】

【0179】
実施例17
この実施例は、実施例1からの2,9−ジクロロ−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの以下に示すホウ酸エステルでのスズキカップリングを用いたフェナントロリン誘導体化合物16の調製を示す。
【0180】
【化49】

【0181】
2.0gのジクロロ−フェン(5mM)をグローブボックス中に取り、2.2g(11mM)ボロン酸を添加する。0.15g Pd2DBA3(0.15mM)、0.1gトリシクロヘキシルホスフィン(0.35mM)および3.75gリン酸カリウム(17mM)を添加すると共に、すべてを30mLのジオキサンおよび15mLの水に溶解させる。マントル中のグローブボックス中で、100℃で、1時間混合すると共に加熱し、次いで、一晩、窒素下で穏やかに温める(最低レオスタット設定)。直後の溶液は濃い紫色であるが、約80℃に達すると、これは、黄褐色の茶色のスラリーであるが、徐々に、高密度の沈殿物を伴った清透な茶色になる。溶液が還流(空気式コンデンサ)に供されると、白色の繊維状の沈殿物が形成される。グローブボックスから取り出し、さらなる水を添加した後に白色の繊維をジオキサンからろ過することにより冷却およびワークアップする。クロロホルムに溶解させ、次いで、蒸発させ、および、白色の毛羽としてトルエン中に沈殿させる。ろ過により回収すると共に、メタノールで十分に洗浄して約2.6gの材料を単離した。構造は、NMR分析により化合物16と確認された:
【0182】
【化50】

【0183】
化合物5〜8および21は、上記実施例において示されているものと同様の手法を用いて形成されることが可能である。
【0184】
実施例18
この実施例は、OLED素子の電子輸送層におけるフェナントロリン化合物の使用を示す。
【0185】
以下の材料を用いた。
陽極=インジウム錫酸化物(ITO)、50nm
正孔注入層(HIL)=バッファ1(これは、導電性ポリマーおよび高分子フッ素化スルホン酸の水性分散体である)。このような材料は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、米国特許出願公開第2004/0127637号明細書、および、米国特許出願公開第2005/0205860号明細書に記載されている。
【0186】
正孔輸送層(HTL)=N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(NPB);25nm
光活性層(PAL)=ホストH1と8重量%のドーパントE1
電子輸送層(ETL)=以下に列挙されているフェナントロリン化合物
電子注入層(EIL)=LiF、1nm
陰極=Al、100nm
【0187】
バッファ材料はスピンコーティングにより適用した。他の層は蒸着により適用した。
【0188】
素子厚および結果が以下の表2にまとめられている。
【0189】
【表2】

【0190】
実施例19
この実施例は、OLED素子における光活性材料用のホストとしてのフェナントロリン化合物の使用を示す。
【0191】
以下の材料を用いた。
陽極=ITO、50nm
HIL=バッファ1
HTL=NPB
PAL=以下に示されているとおり、ホストと、8重量%のドーパント
ETL=以下に列挙されているフェナントロリン化合物、または、金属キノレート誘導体であるMQ1
EIL=表に示されているとおり
陰極=Al、100nm
【0192】
バッファ材料はスピンコーティングにより適用した。他の層は蒸着により適用した。
【0193】
素子材料、厚さおよび結果は以下の表3にまとめられている。
【0194】
【表3】

【0195】
実施例20
この実施例は、OLED素子の電子輸送層における、本明細書に記載のフェナントロリン化合物の使用を示す。比較素子は従来技術のフェナントロリン誘導体で形成されている。
【0196】
比較化合物Aは、Tetrahedron Letters,第23巻(50)、第5291〜5294ページ(1982年)に示されている手法に準拠して形成した。
【0197】
【化51】

【0198】
素子は以下の構成で形成した。
陽極=ITO:50nm
HIL=バッファ1、40〜50nm
HTL=NPB、25nm
PAL=ホストH1と8重量%のドーパントE1
ETL=以下に列挙されているフェナントロリン化合物
EIL=LiF、1nm
陰極=Al、100nm
【0199】
バッファ材料はスピンコーティングにより適用した。他の層は蒸着により適用した。
【0200】
素子材料、厚さおよび結果は以下の表4にまとめられている。
【0201】
【表4】

【0202】
実施例21
この実施例は、OLED素子における光活性材料用のホストとしてのフェナントロリン化合物の使用を示し、ここで、光活性層は溶液加工により形成される。
【0203】
以下の材料を用いた。
陽極=ITO(180nm)
バッファ層=バッファ1(20nm)
正孔輸送層=HT−1、これは、ビナフタレンポリマーである(20nm)
光活性層=92:8の比での、ホスト(表中に示されているとおり)およびドーパントE9
電子輸送層=金属キノレート誘導体(20nm)
陰極=LiF/Al(0.5/100nm)
【0204】
バッファ材料、正孔輸送材料および光活性層材料は溶液から逐次的なスピンコーティングにより適用し、各層を乾燥させた。電子輸送層および陰極は蒸着により適用した。
【0205】
素子材料、厚さおよび結果は以下の表5にまとめられている。
【0206】
【表5】

【0207】
概要または実施例において上記されている作業のすべてが必要とされているわけではなく、特定の作業の一部分が必要でない場合があり、および、1つまたは複数のさらなる作業が記載されたものに追加して実施されてもよいことに注目すべきである。さらに、作業が列挙されている順番は、これらが実施される順番では必ずしもない。
【0208】
前述の明細書において、特定の実施形態を参照してコンセプトを記載してきた。しかしながら、技術分野における当業者は、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および変形をなすことが可能であることを理解している。従って、明細書および図面は、限定的ではなく、例示的であるとみなされるべきであり、すべてのこのような変更は発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0209】
有益性、他の利点および問題に対する解法が、特定の実施形態に関して上述されている。しかしながら、有益性、利点、問題に対する解法、および、利益、利点あるいは解法のいずれかを生じさせ得るか、もしくは、より顕著とさせ得るいずれかの特性は、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての決定的な、必要な、または、必須の特性としては解釈されるべきではない。
【0210】
明確さのために本明細書において個別の実施形態の文脈に記載されている一定の特性はまた、単一の実施形態において組み合わせで提供され得ることが認められるべきである。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈に記載されている種々の特性はまた、個別にまたは任意のサブコンビネーションで提供され得る。さらに、範囲で記載されている値の参照は、その範囲内の値の各々およびすべてを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、正孔注入層、光活性層、電子輸送層および陰極を備え、前記光活性層および前記電子輸送層の少なくとも一方が、式I
【化1】

(式中:
1は、同一でまたは異なり、ならびに、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択され;
ならびに、以下の条件:
(i)R2=R3であり、ならびに、H、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される;または
(ii)R2はHおよびフェニルからなる群から選択され;
3は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、フェナントリル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択される;
の一方が満たされ、
ここで、両方のR1がフェニルである場合、R2およびR3は、ビフェニル、2−ナフチル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、9−フェナントリル、トリフェニルアミノおよびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを条件とする)
を有する化合物を含むことを特徴とする有機電子素子。
【請求項2】
前記R1基が同一であり、ならびに、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記R1基がトリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項4】
2=R3であり、ならびに、トリフェニルアミノ、ナフチルフェニル、アリールアントラセニルおよびm−カルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項5】
前記アリールアントラセニル基が、構造
【化2】

(式中、Arは、フェニル、ナフチルおよびナフチルフェニルからなる群から選択される)
を有することを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項6】
2=Hであり、ならびに、R3が、フェニル、ビフェニル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項7】
前記フェナントロリン化合物が、化合物1〜化合物21からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項8】
前記正孔注入層が、導電性ポリマーおよびフッ素化酸ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項9】
電子注入層をさらに備え、前記電子注入層は、Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2OおよびCs2CO3からなる群から選択される材料を含み、前記電子注入層は、前記電子輸送層と前記陰極との間にあることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項10】
前記正孔注入層と前記光活性層との間に正孔輸送層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項11】
前記式Iの化合物が前記光活性層中のホスト材料であることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項12】
1=フェニルであり、R2=R3であり、R2およびR3は、ビフェニル、ナフチルフェニルおよびアリールアントラセニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の素子。
【請求項13】
前記式Iの化合物が電子輸送層中にあることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項14】
1が、ビフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項11または13に記載の素子。
【請求項15】
1=フェニル、R2=Hであり、R3が、フェニル、ビフェニル、ナフチルフェニル、アリールアントラセニル、トリフェニルアミノおよびカルバゾリルフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項11または13に記載の素子。

【図1】
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【公表番号】特表2012−513679(P2012−513679A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542570(P2011−542570)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069184
【国際公開番号】WO2010/075379
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】