説明

フェニル−オキセタニル−誘導体

特に(ヒト)自己免疫系により誘発される疾患の処置に使用し得る新規有機化合物を記載し、特許請求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多環式化合物、それらの製造方法、それらの医薬としての使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(該当項目なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(該当項目なし)
【課題を解決するための手段】
【0004】
より詳細には、本発明は、第一の局面において、式I:
【化1】

〔式中、
Xは、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルであり;
R5は、ハロゲンにより置換されていてもよいアルコキシ、ハロゲンにより置換されていてもよいC3-6シクロアルキルオキシであり;
R6は、シアノ、アシル、ハロゲンにより置換されていてもよいアルキル、またはアルコキシにより置換されたアルキルであり;
R7は、H、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルコキシ、またはハロゲンである。〕
の化合物および/またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素、好ましくはフッ素または塩素、より好ましくはフッ素であり得る。
【0006】
基として、または基中に存在するアルキルは、直鎖状または分枝状であり得、8個までの炭素原子を含有し得る。アルキルにおける低級は、4個までの炭素原子を有する基を示す。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、sec-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどである。
【0007】
基として、または基中に存在するアルコキシは、直鎖状または分枝状であり得、8個までの炭素原子を含有し得る。アルコキシにおける低級は、4個までの炭素原子を有する基を示す。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、i-ブチルオキシ、t-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどである。
【0008】
ハロゲンにより置換されたアルキルまたはアルコキシは、1ないし5個のハロゲンにより置換されたC1-8アルキルまたはC1-8アルコキシ、例えばCF3またはCF3-CH2-O-であり得る。C1-8アルキル-ハロC1-8アルコキシは、例えば1位において、C1-8アルキルによりさらに置換されたハロC1-8アルコキシであり得る。他の基についても同様である。
【0009】
本明細書で使用されるアシルは、ラジカルRdCO〔式中、Rdは、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルオキシ、C1-6アルコキシ、ベンジルまたはベンジルオキシである。〕である。
好ましくは、アシルは、C1-6アルキル-CO、C1-6アルコキシ-CO、ベンジルオキシ-COまたはベンジル-CO、より好ましくはC1-6アルキル-COまたはC1-4アルコキシ-CO、特にC1-4アルキル-CO、C1-4アルコキシ-CO、t-ブトキシカルボニルまたはアセチルである。
【0010】
本明細書で使用されるアルキルアミノは、アミンの1個または2個の水素が1から8個(これらも含む)までの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルにより置換されたアミンを示す。好ましいアルキルアミノは、低級アルキルアミノである。アルキルアミノの例には、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-n-プロピルアミノ、N,N-ジ-n-プロピルアミノ、N-i-プロピルアミノ、N,N-ジ-i-プロピルアミノ、N-ブチルアミノなどが含まれる。
【0011】
以下の意味が、独立して、集合的に、または任意の組合せで、または任意の下位の組合せで好ましい:
i) R1がHまたはメチルであり;
ii) R2がHまたはメチルであり;
iii) R3がHまたはメチルであり;
iv) R4がHまたはメチルであり;
v) R1がR2と同義であり;
vi) R1がR3と同義であり;
vii) R1、R2、R3およびR4が全て水素であり;
viii) R5が、ハロゲンにより置換されていてもよいアルコキシ、またはハロゲンにより置換されていてもよいC3-6シクロアルキルオキシ、より好ましくはアルコキシまたはC3-6シクロアルキルオキシ、特に好ましくは低級アルコキシであり;
ix) R6が、シアノまたはアシル、より好ましくはシアノであり;
x) R7が水素であり;
xi) Xがアミノであり;
xii) Xがヒドロキシルであり;
xiii) Xがアミノアルキルであり;
xiv) Xがフルオロである。
【0012】
式Iの化合物は、遊離形または塩形、例えば薬学的に許容される塩形で存在し得る。本明細書に記載の化合物、特に式Iの化合物は、異性体、例えば光学異性体の形態で存在し得る。例えば、R4は、例えばR4が分枝状アルキルである場合、不斉炭素原子を含み得る。或いは、別の式(I)の化合物の例において、基Xが結合している炭素原子は、さらに3個の異なる(同一でない)リガンドを含有し得るので、それ自体、不斉中心を示し得る。
【0013】
本明細書で使用される「異性体」なる用語は、同じ分子式を有するが、原子の配列および立体配置が異なる化合物を意味する。また、本明細書で使用される、「光学異性体」または「立体異性体」なる用語は、得られる本発明の化合物について存在し得る種々の立体異性の立体配置のいずれかのものを意味し、幾何異性体を含む。何れの置換基もキラル中心の炭素原子に結合し得ると理解される。したがって、本発明は、化合物のエナンチオマー、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む。「エナンチオマー」は、互いの鏡像を重ね合わせることができない一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1の混合物が「ラセミ」混合物である。該用語は適切なときラセミ混合物を示すために使用する。「ジアステレオマー」は少なくとも2個の不斉原子を有し、互いに鏡像体ではない立体異性体である。絶対立体化学はCahn-lngold-Prelog R-S系にしたがって特定される。化合物が、純粋なエナンチオマーであるとき、それぞれのキラル炭素での立体化学は、RまたはSのいずれかによって特定され得る。絶対的立体配置が未知である分割された化合物は、ナトリウムD線波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)によって、(+)または(-)と示すことができる。本明細書に記載されている特定の化合物は、1個以上の不斉中心を含むので、絶対立体化学の用語において、エナンチオマー、ジアステレオマー、および(R)-または(S)-として定義され得る他の立体異性体形態を生じ得る。本発明は、全てのこのような可能性のある異性体(ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間的混合物を含む)を含むことを意味する。光学的に活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル反応剤を使用して調製できるか、または慣用の技術を使用して分割できる。化合物が二重結合を含むとき、置換基はEまたはZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含むとき、シクロアルキル置換基はシス-またはトランス-立体配置を有し得る。また、全ての互変異性体形態を含むことを意図する。
【0014】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」なる用語は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩であり、生物学的にもその他でも有害でない塩を意味する。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/もしくはカルボキシル基またはそれらに類似の基の存在により、酸および/または塩基との塩を形成できる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸とで形成でき、例えば酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩である。塩を誘導し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩を誘導し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基で形成できる。塩を誘導し得る無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含み; 特に好ましくは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。塩を誘導し得る有機塩基は、例えば、一級、二級および三級アミン、天然に存在する置換されているアミンを含む置換されているアミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含み、具体的には、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンである。本発明の薬学的に許容される塩は、慣用の化学方法により親化合物、塩基性または酸性部分から合成できる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態と化学量論量の適切な塩基(例えば、水酸化、炭酸または重炭酸Na、Ca、MgまたはKなど)を反応させることによるか、またはこれらの化合物の遊離塩基形態と化学量論量の適切な酸を反応させることにより製造できる。このような反応は、一般的に水もしくは有機溶媒または2つの混合物中で実施する。一般的に、実施できるとき、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。さらなる適切な塩の一覧は、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences", 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985);およびStahlおよびWermuthによる"Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use"(Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)で見ることができる。
【0015】
本発明には、(1) 1個以上の原子が、原子番号は同一であるが、自然界に通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置換され、そして/または(2) 1個以上の原子の同位体比率が自然界に通常見出される比率と異なる、全ての薬学的に許容される同位体標識化した本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物が含まれる。
【0016】
本発明の化合物に適した同位体の例としては、水素の同位体、例えば、2Hおよび3H、炭素の同位体、例えば11C、13Cおよび14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば13Nおよび15N、酸素の同位体、例えば15O、17Oおよび18O、リンの同位体、例えば32P、および硫黄の同位体、例えば35Sが含まれる。
【0017】
所定の同位体標識化した式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を取り込んでいるものは、医薬および/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム(3H)および炭素-14(14C)は、取り込みの容易さおよび迅速な検出手段の観点からこうした目的に特に有用である。
【0018】
重水素(2H)のようなより重い同位体を用いる置換は、大きな代謝安定性による一定の治療的利点、例えば、インビボの半減期の増大あるいは必要用量の減少を提供し得て、それゆえ、ある状況下では好ましいであろう。
【0019】
ポジトロン放出同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nを用いる置換は、基質受容体占有率を試験するためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究に有用であり得る。
【0020】
同位体標識化した式(I)の化合物は、一般に、当業者に既知の常套技術により、または、以前に使用されていた非標識化反応剤の代わりに適切な同位体標識化反応剤を用いて、付随する実施例および製造例に記載の方法と同様の方法により、製造することができる。
【0021】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体で置換されていてよい、例えばD2O、d6-アセトン、d6-DMSOが含まれる。
【0022】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用し得る基を含有する本発明の化合物、すなわち式Iの化合物は、適した共結晶形成体と共に共結晶を形成可能であり得る。これらの共結晶は、既知の共結晶形成方法により、式Iの化合物から製造され得る。このような方法には、粉砕、加熱、共昇華、共溶融、または結晶化条件下、溶液中で式Iの化合物と共結晶形成体を接触させ、次いで、これにより形成された共結晶を単離することが含まれる。適した共結晶形成体には、WO 2004/078163に記載されるものが含まれる。したがって、本発明は、式Iの化合物を含む共結晶をさらに提供する。
【0023】
合成
さらに、本発明は、一般式(I)の化合物〔式中、可変基は上記で定義された通りである。〕の製造方法に関する(次のスキームを参照)。
【化2】

OTf = トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)
【0024】
反応は、典型的に、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、N-メチルピロリドン、キシレン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、tert-ブチルメチルエーテルのような溶媒中で行う。上記化合物は、当業者に既知の方法(例えば、結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLC)を使用することにより、単離することができる。
【0025】
一般式(I)の化合物は、典型的に、1,2,4 オキサジアゾール合成を通じて、すなわち、式(i)のカルボン酸を、典型的に塩基(例えばEt3N)の存在下、式(ii)のアミドオキシムと反応させ、最終的に、典型的に加熱下、カップリング剤(例えばEDC/HOBt)と反応させることにより、製造することができる。
式(i)のカルボン酸は市販されているか、または、文献に示唆および/または記載される方法により製造することができる。カップリングの相手、すなわち、式(ii)のアミドオキシムは、式(iii)のニトリルから、例えば水のような溶媒中、例えばそれをヒドロキシルアミンと反応させることによって、得ることができる。
【0026】
式(I)の化合物〔式中、X = OHまたはO-アルキル〕において、式(iii)のニトリル反応剤は、式(v)の適切なハロゲン化アリールまたはアリールトリフレートを、例えばn-BuLiまたはマグネシウムと反応させることにより、例えばインサイチュでリチウムまたはマグネシウム中間体を生じさせることにより、ハロゲン交換を行い、これを対応する式(iv)のケトオキセタンと反応させることにより、得ることができる。
【0027】
式(I)の化合物〔式中、X = NH2またはNH-アルキル〕において、式(iii)のニトリル反応剤は、式(v)の適切なハロゲン化アリールまたはアリールトリフレートを、例えばn-BuLiまたはマグネシウムと反応させることにより、例えばインサイチュでリチウムまたはマグネシウム中間体を生じさせることにより、ハロゲン交換を行い、これを対応する式(vi)のスルフィンアミド〔式中、Rはアルキル基を示す。〕と反応させることにより、得ることができる。
【0028】
鍵となる構成要素は、式(vi)の化合物により示され、好ましくは本発明の化合物、すなわち、式(I)の化合物の合成において使用される:
【化3】

〔式中、波線はR-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体を示し、R1、R2、R3、R4は上記で定義された通りであり、Rはアルキル基を示す。〕
式(vi)の化合物は、例えば一般式(iv)のケトオキセタンを、対応するスルフィンアミド(例えば、アルキルスルフィンアミド)と反応させることにより、得ることができる。ここでR-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体は、Ti(OEt)4のような脱水剤の存在下、使用することができる。
【0029】
上記式(ii)、(iii)、(iv)および(vi)の中間体は、キラル、例えばS-エナンチオマーまたはR-エナンチオマーであり得るか、またはラセミ体であり得、そして、一般式(I)の化合物の製造において特に有用であり得る。該キラル中間体は、典型的に、例えば式(I)、(ii)、(iii)、(iv)および/または(vi)の化合物中のオキセタン部分が不斉である場合、例えばR1、R2、R3および/またはR4の少なくとも1種(ただし、全部ではない)が水素とは異なる場合、最終生成物のキラリティーを制御するのに適する。
【0030】
以下の実施例は、限定されない本発明の例示である。
溶液の濃縮は、典型的に、減圧下、ロータリーエバポレーターで行う。常套のフラッシュクロマトグラフィーは、典型的に、シリカゲルで行う。フラッシュクロマトグラフィーはまた、典型的に、Biotageフラッシュクロマトグラフィー装置またはFlashmaster機器を使用して行う。
【0031】
他の局面において、本発明は、請求項および/または実施例に、個々に、集合的に開示および記載された任意の局面、またはそれらの任意の選択および/または組合せに関する。
【0032】
本明細書で典型的に使用される略語は、次のものである:
TBME = tert.-ブチルメチルエーテル
BOC = tert.-ブチルオキシカルボニル
BOC2O = tert.-ブチルオキシカルボニル無水物
DMAP = N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF = ジメチルホルムアミド
LiOH = 水酸化リチウム
HCl = 塩酸
THF = テトラヒドロフラン
CH2Cl2 = ジクロロメタン
RT = 室温
NaOH = 水酸化ナトリウム
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDC.HCl = 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩
MS = 質量分析
ES = 電子スプレー
m/z =質量電荷比
【0033】
実施例1: 5-{3-[4-(3-アミノ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-イソ-プロポキシ-ベンゾニトリル
【化4】

【0034】
a) 2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸オキセタン-3-イリデンアミド
【化5】

塩化メチレン中のオキセタン-3-オン(1当量)の20%溶液を、THF中に希釈する。その後、tert. ブチルスルフィンアミド(1.1当量; ラセミ体または光学的に純粋な(R)-または(S)-類似体)およびオルトチタン酸テトラエチル(1.9当量)を、アルゴン下、氷/水冷却しながら添加する。室温で16時間後、該反応混合物を、酢酸エチルとブラインの混合物中に注ぐ。Hyfloで濾過し、濾過ケーキを大量の酢酸エチルで洗浄した後、有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られた残渣を、塩化メチレン/メタノール 97.5/2.5を溶離剤として使用して、シリカゲルで精製して2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸オキセタン-3-イリデンアミドを得る。
【0035】
b) 2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸[3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-アミド
【化6】

THF中のp-ブロモベンゾニトリル(1当量)の溶液を-78℃に冷却し、次いでn-ブチル-リチウム(ヘキサン中1.6 M; 1.1当量)をアルゴン下で添加する。この反応混合物に、THF中の2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸オキセタン-3-イリデンアミド(1.1当量)の溶液を滴下する。-78℃で1時間後、該反応混合物を室温まで温め、そして1時間後、飽和水性NaHCO3溶液中に注ぐ。該水相を3回酢酸エチルで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られた残渣を、塩化メチレン/メタノール 97.5/2.5を溶離剤として使用して、シリカゲルで精製して2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸[3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-アミドを得る。
【0036】
c) [3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【化7】

塩化メチレン中の2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸[3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-アミドの溶液に、2M HCl溶液(ジエチルエーテル中; 2当量)を添加する。得られた反応混合物(沈殿が形成)をシクロヘキサンで希釈し、室温で40分間保持する。変換が完了した際、沈殿を濾過し、洗浄し、乾燥する。
【0037】
得られた濾過ケーキをジオキサン中に溶解させ、続いて1M NaOH(3当量)水溶液、BOC2O(3.1当量)および触媒量のDMAPを添加する。該反応混合物を室温で16時間撹拌し、反応が完了した際、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られた残渣を、塩化メチレン/メタノール 9/1を溶離剤として使用して、シリカゲルで精製して[3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルを得る。
【0038】
d) {3-[4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-フェニル]-オキセタン-3-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【化8】

THF中の[3-(4-シアノ-フェニル)-オキセタン-3-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルの溶液に、室温で、水中の50%水性ヒドロキシルアミン溶液(20当量)を添加する。該反応混合物を室温で48時間撹拌する。THFの除去後、該反応混合物をブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られた残渣を少量のジエチルエーテル中に懸濁させ、得られた沈殿を濾過して{3-[4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-フェニル]-オキセタン-3-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステルを得る。
【0039】
e)(3-{4-[5-(3-シアノ-4-イソプロポキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-フェニル}-オキセタン-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【化9】

DMF中の3-シアノ-4-イソプロポキシ-安息香酸(1当量)の溶液に、不活性雰囲気下、EDC.HCl(1.1当量)およびHOBT(1.5当量)を添加する。次いで、該反応混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、{3-[4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-フェニル]-オキセタン-3-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(1.3当量)を該反応混合物に添加し、室温で30分間撹拌し、続いて95℃で6時間加熱する。次いで、該反応混合物を濃縮乾固し、酢酸エチル/飽和水性NaHCO3溶液で抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し(全て常套の方法による)、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/MeOH 9/1)を使用して精製して、(3-{4-[5-(3-シアノ-4-イソプロポキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-フェニル}-オキセタン-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルを得る。
【0040】
f) 5-{3-[4-(3-アミノ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-イソプロポキシ-ベンゾニトリル(実施例1)
【化10】

(3-{4-[5-(3-シアノ-4-イソプロポキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-フェニル}-オキセタン-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルを、5℃で純粋なTFAで処理する。10分間(澄明溶液)後、該反応混合物を、ジエチルエーテル中のHClの0.02M溶液中に注ぐ。得られた沈殿を濾過し、得られた濾過ケーキをジエチルエーテルで洗浄し、酢酸エチル中に懸濁させる。得られた懸濁液を、撹拌下、還流させ、次いで5℃に冷却する。その後、濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥した後、5-{3-[4-(3-アミノ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-イソプロポキシ-ベンゾニトリルを塩酸塩として得る。
【0041】
実施例6: 5-{3-[4-(3-ヒドロキシ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-エトキシ-ベンゾニトリル
【化11】

実施例1に記載の方法と同様にして実施例6を得る。しかしながら、以下の反応工程および化合物のみを必要とする:
反応工程b)を、2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸オキセタン-3-イリデンアミドの代わりにp-ブロモベンゾニトリルおよびオキセタン-3-オンを使用して行い、続いて工程d)およびe)を、3-シアノ-4-イソプロポキシ-安息香酸の代わりに3-シアノ-4-エトキシ-安息香酸を使用して行う。
【0042】
実施例7: 5-{3-[4-(3-フルオロ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-エトキシ-ベンゾニトリル
【化12】

5-{3-[4-(3-ヒドロキシ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-エトキシ-ベンゾニトリル(1当量)を塩化メチレン中に溶解し、次いで-78℃に冷却する(乾燥氷アセトン混合物を使用する)。次いで、DAST(1.5当量)溶液を添加し、該反応混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、室温まで温める。該反応を飽和水性NaHCO3溶液でクエンチする。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、そしてシリカゲル(移動相として酢酸エチル/シクロヘキサン 1/2)で精製して5-{3-[4-(3-フルオロ-オキセタン-3-イル)-フェニル]-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル}-2-エトキシ-ベンゾニトリルを得る。
【0043】
表1:は、上記方法で得られる多くの実施例を含有する。該表は、さらに、対応する分子量(MS ES+)を含む。
【化13】

可変基R5、R6およびXは、次に定義される通りである。
【0044】
【表1】

【0045】
生物学/薬理学
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えばインビトロ試験およびインビボ試験で示されるような、例えばS1P1受容体アゴニストとして、価値ある薬理学的特性を示すので、治療剤に適用される。
【0046】
A. インビトロ
式Iの化合物は、個々のヒトS1P受容体に対してアゴニスト活性を有し、それは次のアッセイで決定され得る:
【0047】
A. インビトロ: ヒトEDG受容体を発現するCHO細胞から調製される膜に対するGTP[γ-35S]の結合を測定するGPCR活性化アッセイ
S1P1(EDG-1) GTP[γ-35S]アッセイ: 均質化膜をヒトEDG-1 N-末端c-mycタグを安定的に発現するCHO細胞クローンから調製する。細胞を、大きい培養皿(500 cm2)中で80%ないし90%の間のコンフルエンスまで成長させる。培地を除去し、次いで20 mLの氷冷緩衝液A(10 mM HEPES、pH 7.4、10 mM EDTA、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル[1錠/50 mL])を添加する。該細胞を削り取り、そして細胞懸濁液を、4℃で、750 x gで10分間遠心分離する。ペレットを、10 mLの氷冷緩衝液B(20 mM HEPES、pH 7.4、100 mM NaCl、10 mM MgCl2、1 mM EDTA)中に再懸濁させる。該細胞懸濁液を、各20秒間の3回の間隔で、25000 rpmでPolytronホモジナイザーを使用して、氷上で均質化する。次いで、該ホモジネートを、4℃で、26900 x gで30分間遠心分離し、そして膜タンパク質ペレットを、ボルテックスすることにより冷緩衝液B中に再懸濁させる。該タンパク質濃度を、Bio Radタンパク質アッセイおよび標準としてヒトIgGを使用して決定する。膜タンパク質懸濁液の体積を、約2 mgのタンパク質/mLの最終濃度になるように調整する。次いで、該溶液を、氷上で、25000 rpmで20秒間再度均質化(Polytron)し、次いで、等分し、-80℃で保存する。
【0048】
該化合物をDMSO(1:10)中で最初に希釈し、続いてアッセイ緩衝液(50 mM HEPES、pH 7.4、5 mM MgCl2、1 mM CaCl2、1%脂肪酸非含有BSA)中で1:20希釈することにより、該化合物の連続希釈物(10 mM DMSO中のストック)を製造する。S1P(DMSO/HCl中1 mM)を、アッセイ緩衝液中に直接希釈する。所望の量の膜(1-5 μg/ウェル)を、10 μMのGDP、25 μg/mLのSaponinおよび5 mg/mLのWGA-SPAビーズを含有するアッセイ緩衝液で希釈する。9 μLの予め希釈した化合物を、96ウェルのディープウェルプレートの底に置く。440 μLの膜-WGA-SPAビーズスラリーを添加し、そして該プレートを15分間撹拌する。次いで、2度にわたって210 μLを、15 μL GTP [γ-35S](アッセイ緩衝液中4 nM)を含有する96ウェルのOptiplate中に各々移す。一定の振盪下、室温で120分間インキュベーションした後、該プレートを、1000 gで10分間遠心分離して膜-SPAビーズスラリーを沈殿させる。次いで、該ペレットを、TOPcount NXT中で測定する。8つの異なる濃度の化合物を使用して濃度応答曲線(1つの濃度当たり2つのデータを使用)を作製し、そしてGraphPad Prismの曲線適合ツールを使用して対応するEC50値を得る。
【0049】
S1P2、-3、-4、および-5 GTP [γ-35S]結合アッセイを、c-末端c-mycタグ化または非タグ化受容体を安定的に発現するCHO細胞由来の膜を使用して、S1P1 GTP [γ-35S]結合アッセイと同様の方法で行う。各膜調製物について、最初にS1Pコントロールを用いて滴定実験を行い、アッセイウェル当たりに添加する膜の最適量を決定する。
【0050】
式Iの化合物を、上記アッセイにしたがって試験する。式Iの化合物は、EC50 <1 μMのS1P受容体、例えばS1P1受容体に対するアゴニスト活性を示す。より詳細には、式Iの化合物は、S1P1受容体に対して選択性を示す。
【0051】
インビトロでの生物学的アゴニスト活性(EC50、単位:μmol/l)を表2に示す。
【表2】

【0052】
さらに、式Iの化合物は、S1P2、S1P3およびS1P4受容体と比べて、S1P1受容体に対して選択性を示し得る。例えば、式Iの化合物は、S1P2、S1P3およびS1P4と比べて、S1P1に対して少なくとも20倍より選択的であり得る。
また、典型的には、式Iの化合物は、他のサブタイプ、すなわちS1P3およびS1P4受容体に比べて、S1P1およびS1P5受容体に対していわゆるデュアル選択性を有し得る。該選択性は、典型的に、(受容体選択性に関して)約5ないし20である。このようなS1P1/S1P5受容体デュアルアゴニストは、価値ある薬理学的効力を有する。
【0053】
さらに、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、典型的にADME研究(ADME = 吸収、分布、代謝および排泄)によって評価できるような、例えば改善された薬物動態学的プロファイルなどの、さらなる価値ある薬理学的特性を示す。特に、式Iの化合物は、典型的に、比較的迅速に排泄され得るので、典型的に改善された耐容性を有し得るか、または副作用が少ない。
【0054】
B. インビボ: 血中リンパ球枯渇を測定するためのスクリーニングアッセイ
循環リンパ球の測定: ルイスラット(雄性、6-12週齢)に、0.1ないし5 mg/kgの化合物(4 ml/kgビヒクル、例えば最大で2%のDMSO/最大で2%のPEG200/水または0.5%のメチルセルロース)を経口投与する。ビヒクル群を負のコントロールとして含ませる。
【0055】
イソフルランの短時間麻酔下、ベースライン(0時間)にて、そして投与から2、6、24および48時間後に、舌下静脈から血液を集める。全血液サンプルを、血液学的分析に付す。末梢リンパ球数を、自動化アナライザーを使用して決定する。2匹ないし4匹のラットを使用して、各用量のリンパ球数を評価する。
【0056】
0.1ないし5 mg/kgの実施例1の経口投与により、末梢リンパ球数の用量依存的低下が生じる。最大の低下は、1または5 mg/kgの投与後、6時間で達成される。リンパ球数は、48時間以内にベースライン(5 mg/kg)まで完全に(1 mg/kg)または部分的に回復する。
【0057】
C. インビボ: 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の動物モデル
多発性硬化症について、最も広く使用される動物モデルは、ヒト疾患と共通する組織病理学的特徴に基づいて、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)である。EAEは、完全フロインドアジュバント中に乳化された抗原の一回注射によって、感受性動物において誘発され得る。感作から約8-11日後、単相性急性麻痺疾患が、感受性ラット系統、例えばルイス、ウィスター系ラットに現れる。該症候性ラットは続く7日間以内に回復するが、他の種において、該攻撃は通常致命的である。慢性進行性疾患モデルにおいて、ラットは急性疾患期間に続いて慢性疾患を被る。
【0058】
急性EAEモデル
雌性ルイスラットに、0.1 mlのモルモット脊髄と完全フロインドアジュバントの混合物[3.5 gのモルモット脊髄 + 3.5 mlの0.9 % NaCl + 105 mgのM. tuberculosis H37Ra + 7 ml CFA]を後肢の皮内に注射する。疾患の症状(尾部および両後肢の麻痺)は、9-10日間以内に発症する。罹患動物数ならびに疾患の発症時間を記録する。1群当たり最小5匹のラットを使用する。試験化合物、例えば実施例1を、日に一度または二度、経口的な栄養供給によって、毎日、すなわち0日-13日間投与する。薬剤処置をしない場合、疾患の症状(尾部および両後肢の麻痺)は、通常8-11日間以内に発症する。
観察できる臨床症状グレードは、典型的に次の通りである:
1 = 尾部緊張の消失
2 = 一方のまたは両方の後肢の弱化、または中程度の運動失調
3 =尿失禁を伴い、時に死に至る重度の運動失調または麻痺
【0059】
上記試験モデルにおいて、本発明の化合物、例えば実施例1の化合物は、典型的に1日2回の10 mg/kgの用量で活性であり、典型的に疾患症状の予防を導く。
【0060】
慢性-進行性EAEモデル(治療的処置)
DAラットにおけるEAEの誘発を、以前に記載されたように誘発する(Lorentzen et al, 1995, J. Neuroimmunol.; 63(2):193-205およびAdelmann et al, 1995, J. Neuroimmunol.; 63(1):17-27.)。簡潔には、Arlacel A中の凍結乾燥ウシ脊髄と塩水中で均質化したDAラット脳および脊髄を均質化することにより、抗原を製造する。次いで、これらの2種混合物(1:1)を、16.6 mg/mLのMycobacterium tuberculosis H37Ra抗原を含有する等体積の完全フロインドアジュバント(CFA)に添加する。合計した体積を均質化して、抗原を有する一貫したおよびよく混合したアジュバントを得る。全ての均質化工程を、Polytron PT3100ホモジナイザー(Kinematica、Lucerne、Switzerland)を使用して行う。ラットを、8-9週齢で、イソフルオランにより麻酔しながら、尾基部に200μLの抗原/アジュバント混合物(それぞれ26 mgおよび19 mgのDAラット脳および脊髄組織と共に約19 mgのウシ脊髄を投与する)を皮下注射して免疫する。
【0061】
得られる急性およびその後の慢性相疾患は、典型的に、次のような進行性麻痺の数値化スケールを使用して評価する:
0. 麻痺なし
1. 尾部緊張の消失
2. 後肢弱化または運動失調
3. 尿失禁を伴うか、伴わない後肢麻痺
4. 後肢および前肢麻痺
5. 瀕死または死亡。
【0062】
臨床スコアを、通常、毎日評価する。臨床疾患のピークで、そして処置レジメンの開始前、動物を、慢性相に先行する当初の急性疾患において各群の間に比較可能性を確保するために、臨床疾患の発病および重症度に基づいて異なる群に均等に分配する。動物の処置を臨床疾患のピーク後に開始し、そして実験の終了まで毎日続ける。試験化合物、すなわち本発明の化合物(例えば実施例1)を、例えば0.5%のメチルセルロース(コントロール群についてビヒクルとしても使用)中で投与する。投与体積は5 mL/kgであり、体重の変化に適合させる。
【0063】
上記試験モデルにおいて、通常全ての動物は、典型的に、処置の開始直前に、すなわち、通常12日目に最盛の病状に達している。本発明の化合物、例えば実施例1による該動物の処置は、典型的に、通常免疫後15日目から、すなわち通常処置の4日後から、臨床スコアをほぼゼロ(<0.5)に低下させる。典型的に、該疾患スコアは、処置が中断される(実験終了)まで0.5未満のままである。
【0064】
E. インビボ: 実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)の動物モデル
S-抗原を他の場所(例えばDorey C, et al. 1982, Ophthalm Res 14:249-255;またはWacker WB et al., 1977, J Immunol 119:1949-1958)に記載されているように製造する。S-抗原(S-Ag)-誘発EAUのモデルは、以前にWacker(1977)に記載されているように行う。典型的に、雌性ルイスラット(12週齢)に、右足蹠に75 μgの精製ウシ網膜S-Agを注射する。該抗原をリン酸緩衝生理食塩水中に溶解させ、そしてフロインド完全アジュバントおよびMycobacterium tuberculosis H37Raと1+1で混合する。注射される体積は0.1 mlであり、これは50 μlのフロインド完全アジュバントおよび1.14 mg H37Raを含有する。注射後10日目から開始して、検眼鏡(Heine、BETA 200)を使用して眼を毎日検査する。
【0065】
眼の炎症の程度を、半定量的方法で、検眼鏡を使用して、次のスケールで採点する:
0. 目に見える変化なし
1. 脈管構造において最小変化、虹彩および結膜血管の僅かな拡張
2. 血管透明度の中程度の変化および消失、虹彩および血管の拡張、媒体の混濁
3. 顕著な変化、眼球突出、瞳孔不鮮明、脈管構造の顕著な消失、出血
4. 重度の変化、顕著な眼球突出、脈管構造の完全な消失およびびまん性出血。
【0066】
上記モデルにおいて、非処置動物は、典型的に免疫後9日目に疾患の発症を示し、典型的に免疫後13日目に最大臨床スコア4を示す。本発明の化合物(例えば実施例1)の典型的に3および10 mg/kgの用量での経口投与(n=5)による処置は、通常免疫後7日目に開始し、18日目(実験終了)まで続ける。本発明の化合物(例えば実施例1)による処置は、典型的に、自己免疫性ブドウ膜炎からの用量依存性保護をもたらす。
【0067】
したがって、式Iの化合物は、リンパ球相互作用によって介在される疾患または障害、例えば移植における疾患または障害、例えば急性または慢性細胞、組織もしくは臓器の同種または異種移植拒絶、または移植片機能の低下、移植片対宿主病、自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型または2型糖尿病、およびそれに関連する障害、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症および他のもの、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により異常反応を伴う炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺傷害、炎症性肝傷害、炎症性糸球体傷害、アテローム性動脈硬化症、骨関節炎、刺激性接触性皮膚炎およびさらに、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫学的に介在される傷害の皮膚症状、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再灌流障害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血ショック、外傷性ショック、がん、例えば乳がん、T細胞リンパ腫またはT細胞白血病、ネフローゼ症候群、感染症、例えば毒ショック(例えば超抗原誘導性)、感染性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、例えばB型またはC型肝炎、慢性細菌感染または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、または老年性認知症の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固体臓器移植の例には、例えば膵島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、心肺複合、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道が含まれる。上記使用のために必要な用量は、当然、投与形態、処置する具体的な状態および所望の効果に依存して変化する。
【0068】
一般的に、満足のいく結果が、約1.0〜約20.0 mg/kg体重の全身的な1日投与量で達成され得る。大型哺乳類、例えばヒトで適用される1日用量は、約0.5 mg〜500 mgの範囲で、簡便には、例えば1日4回までの分割用量で、または徐放形態で投与される。経口投与に適した単位投与形態には、約0.1〜50 mgの有効成分が含まれる。
【0069】
式Iの化合物をあらゆる常套の経路、とりわけ経腸、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で; または非経腸的に、例えば注射溶液または懸濁液の形態で; 局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で; または経鼻もしくは座薬形態で投与することができる。遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物を、常套の方法で、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することによって製造することができる。
【0070】
式Iの化合物を、例えば上記の通り、遊離形または薬学的に許容される塩形で投与することができる。かかる塩を常套の方法で製造することができ、そしてこれは遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0071】
上記に従って、本発明はさらに下記のものを提供する:
1. 処置を必要とする対象におけるリンパ球介在性障害または疾患の予防または処置方法であって、当該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法;
2. 処置を必要とする対象における急性もしくは慢性移植片拒絶またはT細胞介在性炎症性もしくは自己免疫性疾患の予防または処置方法であって、当該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法;
3. 例えば上記1.または2.のいずれかに記載の方法において、医薬として使用するための遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物。
4. 例えば上記1.または2.のいずれかに記載の方法に使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
5. 上記1.または2.のいずれかに記載の方法に使用するための医薬組成物の製造に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0072】
式Iの化合物を、単独の有効成分として、あるいはアジュバントとして他の薬剤、例えば免疫抑制剤または免疫調節剤、例えば同種もしくは異種移植片急性もしくは慢性拒絶、または炎症性もしくは自己免疫性障害の処置または予防用の他の抗炎症剤、または化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖剤と共に投与することができる。例えば、式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506; mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、ビオリムス-7またはビオリムス-9; 免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT-281、ASM981等; コルチコステロイド; シクロホスファミド; アザチオプレン; メトトレキセート; レフルノミド; ミゾリビン; ミコフェノール酸または塩; ミコフェノール酸モフェチル; 15-デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制ホモログ、アナログもしくは誘導体; PKC阻害剤、例えばWO 02/38561またはWO 03/82859に記載のもの、例えば実施例56または70の化合物; JAK3キナーゼ阻害剤、例えばN-ベンジル-3,4-ジヒドロキシ-ベンジリデン-シアノアセトアミド、α-シアノ-(3,4-ジヒドロキシ)-]N-ベンジルシンナモアミド(チルホスチンAG490)、プロジギオシン25-C(PNU156804)、[4-(4'-ヒドロキシフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン](WHI-P131)、[4-(3'-ブロモ-4'-ヒドロキシルフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン](WHI-P154)、[4-(3',5'-ジブロモ-4'-ヒドロキシルフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン]WHI-P97、KRX-211、遊離形または薬学的に許容される塩形の3-{(3R,4R)-4-メチル-3-[メチル-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-アミノ]-ピペリジン-1-イル}-3-オキソ-プロピオニトリル、例えばモノサイトレート(CP-690,550とも呼ばれる)またはWO 04/052359またはWO 05/066156に記載の化合物; 免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンド; 他の免疫調節化合物、例えばCTLA4またはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部、例えば非CTLA4タンパク質配列へと結合した少なくともCTLA4の細胞外部位またはその変異体を有する組み換え結合分子またはその変異体、例えばCTLA4Ig(例えば命名ATCC 68629)またはその変異体、例えばLEA29Y; 接着分子阻害剤、例えばLFA-1アンタゴニスト、ICAM-1もしくは-3アンタゴニスト、VCAM-4アンタゴニストまたはVLA-4アンタゴニスト; または化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチナム、ドキソルビシンまたは5-フルオロウラシル; または抗感染剤との組合せで使用することができる。
【0073】
式Iの化合物を他の免疫抑制/免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染治療剤との組合せで投与するとき、共投与する免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染化合物の用量は、当然、使用する共薬剤のタイプ、例えばステロイドであるか、カルシニューリン阻害剤であるか、使用する具体的な薬剤、処置する疾患等に依存して変化する。上記に従って、本発明は下記さらなる局面を提供する:
6. 治療上有効かつ非毒性量の式Iの化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質、例えば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤、例えば上記のものを、例えば同時または連続的に、共投与することを含む、上記定義の方法。
7. a)遊離形または薬学的に許容される塩形の、本明細書に記載の式Iの化合物である第1薬剤、およびb)少なくとも1種の共薬剤、例えば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染剤を含む医薬組合せ剤、例えばキット。当該キットは投与のための指示書を含んでいてもよい。
【0074】
「共投与」または「組合せ投与」などの用語は、本明細書において使用するとき、選択した治療薬剤を1人の患者に投与することを意味しており、薬剤を必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与することのない処置レジメンを含むことを意図する。
【0075】
「医薬組合せ剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、1種以上の有効成分の混合または組合せによって得られる製品を意味しており、有効成分の固定された組合せ剤および固定されていない組合せ剤のいずれもを含む。「固定された組合せ剤」なる用語は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤が共に、同時に、1個の物または投与形で患者に投与されることを意味する。「固定されていない組合せ剤」なる用語は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤を、いずれも1人の患者に、別々の物として、同時に、一度にまたは逐次的に、特に時間の限定なく、かかる投与によって患者の体内で2種の化合物の治療上有効レベルが得られるように投与することを意味する。後者はまた、カクテルセラピー、例えば3種以上の有効成分の投与に適用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
Xは、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルであり;
R5は、ハロゲンにより置換されていてもよいアルコキシ、ハロゲンにより置換されていてもよいC3-6シクロアルコキシであり;
R6は、シアノ、アシル、ハロゲンにより置換されていてもよいアルキル、またはアルコキシにより置換されたアルキルであり;
R7は、H、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルコキシ、またはハロゲンである。〕
の化合物および/またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Xが、アミノまたはヒドロキシル、より好ましくはアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R5が、ハロゲンにより置換されていてもよいアルコキシ、またはハロゲンにより置換されていてもよいC3-6シクロアルコキシであり、好ましくはR5が、アルコキシまたはC3-6シクロアルコキシ、特に好ましくは低級アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R6が、シアノまたはアシル、より好ましくはシアノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1ないし5のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項8】
リンパ球媒介障害または疾患の予防または処置に使用するための、請求項1ないし6のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
a)遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1ないし8のいずれかに記載の式Iの化合物である第一の薬剤と、b)免疫抑制剤、免疫調節薬、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染剤である少なくとも1種の併用剤とを含む、医薬的組合せ剤。
【請求項10】
処置を必要とする対象におけるリンパ球媒介障害または疾患の予防または処置方法であって、有効量の請求項1ないし6のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項11】
式(I):
【化2】

〔式中、可変基は請求項1に定義された通りである。〕
の化合物の製造方法であって、
該方法は、式(iv):
【化3】

〔式中、可変基は請求項1に定義された通りである。〕
のオキセタン-3-オンを、アルキルスルホンアミド(例えばtert. ブチルスルフィンアミド;ここで、そのR-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体を使用できる。)と、脱水剤(例えばオルトチタン酸テトラエチル)を用いて反応させ、式(vi):
【化4】

〔式中、波線は、R-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体を示す。〕
のアルキル-2-スルフィン酸オキセタン-3-イリデンアミドを得、
これを、例えば、4-ハロ-ベンゾニトリルおよび塩基(例えばブチルリチウム)と反応させことにより、式(iiia):
【化5】

の4-シアノ-化合物を得ることができ、
これを、例えば酸、次いでBOC2Oと連続反応させることにより、式(iiib):
【化6】

のカルバミン酸tert-ブチルエステルに変換させることができ、
これを、例えば過剰のヒドロキシルアミンを用いて、例えば水溶液中、式(iia):
【化7】

のヒドロキシカルバムイミドイル-フェニル-オキセタン-3-イル-カルバミン酸tert-ブチルエステルに変換することができ、
これを、典型的にアミノ酸カップリング条件(例えばEDC.HCl/HOBT)下、安息香酸(例えばR5-およびR6-二置換安息香酸)を用いて環化することにより、式(Ia):
【化8】

の[1,2,4]オキサジアゾール化合物を得ることができ、
次いで、これを、酸(例えば純粋なTFA)を用いて、式(Ic):
【化9】

の最終生成物に変換することができることを特徴とする、方法。
【請求項12】
上記請求項および式(iia)、(iiia)、(iiib)、および/または(vi)により表される中間体化合物〔式中、可変基は上記定義を有し、実質的に実施例、請求項および/または明細書中に記載される通りである。〕であって、一般式(I)の化合物〔式中、可変基は請求項1に定義される通りである。〕の製造における中間体として特に有用である、化合物。
【請求項13】
式(vi):
【化10】

〔式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルであり、Rは、アルキル、特に低級アルキルであり、波線は、R-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体を示す。〕
の化合物であって、一般式(I)の化合物の製造における中間体として特に有用である、化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物〔式中、R1、R2、R3およびR4は水素であり、Rはt-ブチルであり、波線は、R-、またはS-エナンチオマーまたはラセミ体を示す。〕であって、式(vi a):
【化11】

の化合物である、化合物。

【公表番号】特表2011−504916(P2011−504916A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535402(P2010−535402)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066517
【国際公開番号】WO2009/068682
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】