説明

フェニルアセトアミド化合物の製造方法

【課題】2位にアルコキシ基を有するフェニルアセトアミド化合物の製造方法の提供。
【解決手段】2位にヒドロキシル基を有するフェニルアセトアミド化合物と式(3)


の硫酸ジアルキルとを塩基存在下に反応する、式(1)


(式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わし、RおよびArは置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、RとRはどちらか一方が水素原子を表わす)の2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルアセトアミド化合物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドに代表される2位にアルコキシ基を有する2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物が農業用殺菌剤として有用であることが開示されており、その製造方法として、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチルとヨウ化メチルとを反応させて、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ酢酸メチルを得、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ酢酸メチルとメチルアミンとを反応させて、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第95/27693号(実施例5、試験例1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、2位にアルコキシ基を有する2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物を、一層、収率よく製造し得る新たな製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、2位にアルコキシ基を有する2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物の製造方法について鋭意検討したところ、以下の本発明に至った。
すなわち本発明は、
<1> 式(2)

(式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わし、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物と式(3)

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
で示される硫酸ジアルキルとを、塩基の存在下に反応させることを特徴とする式(1)

(式中、Q、RおよびArは上記と同じ意味を表わし、Rが水素原子のとき、RはRを表わし、Rが炭素数1〜4のアルキル基のとき、Rは水素原子を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物の製造方法;
【0006】
<2> Rが水素原子であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<3> Arが2,5−ジメチルフェニル基または2−メチルフェニル基であることを特徴とする<1>又は<2>記載の製造方法。
<4> Rがメチル基であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載の製造方法;
<5> 塩基がアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の製造方法;
【0007】
<6> 式(2)で示されるフェニルアセトアミド化合物が、式(4)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
で示される酢酸エステル化合物と式(5)

(式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアミン化合物とを反応させて得られるフェニルアセトアミド化合物であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載の製造方法;
<7> 式(4)で示される酢酸エステル化合物と式(5)で示されるアミン化合物との反応を、炭素数1〜4のアルコール溶媒の存在下で行うことを特徴とする<6>記載の製造方法;
【0008】
<8> 式(4)で示される酢酸エステル化合物が、式(6)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と式(7)

(式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルコール化合物と酸とを反応させ、次いで、得られた生成物と水とを反応させて得られる酢酸エステル化合物であることを特徴とする<6>又は<7>記載の製造方法;
【0009】
<9> 式(2)で示されるフェニルアセトアミド化合物が、式(6)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と、該マンデロニトリル化合物1モルに対して0.1〜1モルの塩化水素と1〜4モルの水とを反応させて得られるフェニルアセトアミド化合物であることを特徴とする<2>〜<8>のいずれか記載の製造方法;
<10> 式(6)で示されるマンデロニトリル化合物と塩化水素と水との反応を、芳香族炭化水素溶媒の存在下で行うことを特徴とする<9>記載の製造方法;
【0010】
<11> 式(6)

(式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と、該マンデロニトリル化合物1モルに対して0.1〜1モルの塩化水素と1〜4モルの水とを反応させることを特徴とする式(8)

(式中、QおよびArは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物の製造方法;
<12> 式(6)で示されるマンデロニトリル化合物と塩化水素と水との反応を、芳香族炭化水素溶媒の存在下に行うことを特徴とする<11>記載の製造方法;
等である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2位にアルコキシ基を有する2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物を、一層、収率よく製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1で得られた2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドのX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式(2)

で示されるフェニルアセトアミド化合物(以下、アセトアミド化合物(2)と略記する。)の式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わす。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。好ましいQとしては、例えば、水素原子等が挙げられる。
【0014】
式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基およびtert−ブチル基等を挙げることができ、好ましくは、例えば、メチル基等が挙げられる。好ましいRとしては、例えば、水素原子が挙げられる。
【0015】
Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。置換基の数は、例えば、1個〜3個等を挙げることができ、好ましくは、例えば、1個または2個が挙げられ、より好ましくは2個である。
【0016】
置換基を有するフェニル基としては、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2,4,6−トリエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、2,5−ジプロピルフェニル基、2,6−ジプロピルフェニル基、2,4,6−トリプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−イソプロピルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、2,5−ジブチルフェニル基、2,6−ジブチルフェニル基、2,4,6−トリブチルフェニル基、2−イソブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、2,4−ジイソブチルフェニル基、2,5−ジイソブチルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4,6−トリイソブチルフェニル基、2−(tert−ブチル)フェニル基、3−(tert−ブチル)フェニル基、4−(tert−ブチル)フェニル基、2,5−ジ−(tert−ブチル)フェニル基、2,4−ジ−(tert−ブチル)フェニル基、2,6−ジ−(tert−ブチル)フェニル基、2,4,6−トリ−(tert−ブチル)フェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基等が挙げられる。好ましくは、例えば、2,5−ジメチルフェニル基および2−メチルフェニル基等が挙げられ、より好ましく、例えば、2,5−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
【0017】
アセトアミド化合物(2)としては、例えば、2−[2−(フェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(3−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(4−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(4−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(4−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(4−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,4−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、
【0018】
2−[2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(3,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,4−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,6−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,6−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,4,6−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(3,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド等の2−ヒドロキシアセトアミド化合物;
【0019】
例えば、2−[2−(フェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,6−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、
【0020】
2−[2−(2,6−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4,6−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド等の2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド化合物;
【0021】
および前記に例示したアセトアミド化合物(2)の「N−メチル」が「N−エチル」、「N−プロピル」、「N−イソプロピル」または「N−ブチル」に置き換わった化合物等が挙げられる。
好ましいアセトアミド化合物(2)としては、例えば、Rが水素原子である2−ヒドロキシアセトアミド化合物、および、Rがメチル基である2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミド化合物等が挙げられる。
【0022】
式(3)

で示される硫酸ジアルキル(以下、硫酸ジアルキル(3)と略記する。)の式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基およびtert−ブチル基等が挙げられ、好ましくは、例えば、メチル基等が挙げられる。
硫酸ジアルキル(3)としては、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジプロピル、硫酸ジブチル等の直鎖状のアルキル基を有する硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジイソプロピル、硫酸ジイソブチル等の分枝鎖状のアルキル基を有する硫酸ジアルキル等を挙げることができ、好ましくは、例えば、直鎖状のアルキル基を有する硫酸ジアルキル等が挙げられ、より好ましくは、例えば、硫酸ジメチル等が挙げらる。
かかる硫酸ジアルキル(3)は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
硫酸ジアルキル(3)の使用量は、アセトアミド化合物(2)1モルに対して、例えば、1〜20モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10モルの範囲等が挙げられる。
【0023】
アセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応は、塩基の存在下で行われる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を挙げることができ、好ましくは、例えば、アルカリ金属水酸化物等が挙げられ、より好ましくは、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
塩基の使用量は、アセトアミド化合物(2)1モルに対して、例えば、2〜50モルの範囲等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、2〜20モルの範囲等が挙げられる。
【0024】
アセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;および水などが挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましい溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素溶媒等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量としては、アセトアミド化合物(2)1重量部に対して、例えば、0.5〜100重量部の範囲等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、1〜20重量部の範囲等が挙げられる。
【0025】
アセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応は、アセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)と塩基とを混合する方法が好ましく、それらの混合順序は限定されない。具体的には、例えば、所定の反応温度に調整したアセトアミド化合物(2)に、硫酸ジアルキル(3)と塩基とを同時に加える方法、例えば、所定の反応温度に調整したアセトアミド化合物(2)に塩基を加えた後、硫酸ジアルキル(3)を加える方法等を挙げることができる。なかでも、所定の反応温度に調整したアセトアミド化合物(2)に塩基を加えた後、硫酸ジアルキル(3)を加える方法が好ましい。塩基や硫酸ジアルキル(3)を加える時間は制限されない。
反応温度は、例えば、0〜70℃の範囲等を挙げることができ、より好ましくは、10〜50℃の範囲等が挙げられる。
反応時間は、反応温度によって異なるが、例えば、0.5〜20時間の範囲等を挙げることができ、より好ましくは1〜10時間の範囲等が挙げられる。反応の進行は、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の分析手段により確認することができる。
【0026】
反応終了後、例えば、得られた反応混合物を、水や希塩酸等の酸の水溶液で洗浄した後、濃縮することにより、式(1)

(式中、Q、RおよびArは上記と同じ意味を表わし、Rが水素原子のとき、RはRを表わし、Rが炭素数1〜4のアルキル基のとき、Rは水素原子を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物(以下、フェニルアセトアミド化合物(1)と略記する。)を取り出すことができる。取り出したフェニルアセトアミド化合物(1)は、カラムクロマトグラフィー等の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0027】
が炭素数1〜4のアルキル基であるアセトアミド化合物(2)を用いた場合には、2位の水酸基がアルキル化され、アミド部位の窒素原子はアルキル化されないフェニルアセトアミド化合物(1)が得られる。Rが水素原子であるアセトアミド化合物(2)を用いた場合には、2位の水酸基がアルキル化されるとともに、アミド部位の窒素原子もモノアルキル化されたフェニルアセトアミド化合物(1)が得られる。Rが水素原子であるアセトアミド化合物(2)を用いた場合には、一工程で、2位の水酸基がアルキル化されるとともに、アミド部位の窒素原子もモノアルキル化されたフェニルアセトアミド化合物(1)が得られるため、本発明の方法は有利である。また、Rが水素原子であるアセトアミド化合物(2)を用いた場合は、アミド部位の窒素原子がジアルキル化されたフェニルアセトアミド化合物はほとんど副生することがなく、また、Rが炭素数1〜4のアルキル基であるアセトアミド化合物(2)を用いた場合にも、アミド部位の窒素原子がアルキル化されたフェニルアセトアミド化合物はほとんど副生することがないため、目的とするフェニルアセトアミド化合物(1)を収率よく得ることができ、また、副生物も少ないため、容易に純度のよいフェニルアセトアミド化合物(1)を取り出すことができる。
【0028】
かくして得られるフェニルアセトアミド化合物(1)としては、例えば、2−[2−(フェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(4−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,6−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,6−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,4,6−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(3,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、
【0029】
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−エトキシ−N−エチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−エトキシ−N−エチルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−プロポキシ−N−プロピルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−プロポキシ−N−プロピルアセトアミド、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ブトキシ−N−ブチルアセトアミド、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ブトキシ−N−ブチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドおよび2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミドが好ましく、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドがより好ましい。
【0030】
アセトアミド化合物(2)は、式(4)

(式中、QおよびArは上記と同一の意味を表わし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
で示される酢酸エステル化合物(以下、酢酸エステル化合物(4)と略記する。)と式(5)

(式中、Rは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアミン化合物(以下、アミン化合物(5)と略記する。)とを反応させることにより製造することができる。
【0031】
酢酸エステル化合物(4)としては、例えば、2−[2−(フェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(3−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(4−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(4−エチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(4−イソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(4−tert−ブチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,4−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(3,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,4−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,6−ジエチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、
【0032】
2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,6−ジイソプロピルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,4,6−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(3,4,5−トリメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−3−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−5−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)−6−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−エチルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロフェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル等の2−ヒドロキシ酢酸メチル化合物;
【0033】
2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸エチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸エチル等の2−ヒドロキシ酢酸エチル化合物;2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸プロピル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸プロピル等の2−ヒドロキシ酢酸プロピル化合物;2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸イソプロピル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸イソプロピル等の2−ヒドロキシ酢酸イソプロピル化合物;2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸ブチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸ブチル等の2−ヒドロキシ酢酸ブチル化合物;2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸イソブチル等の2−ヒドロキシ酢酸イソブチル化合物;2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸tert−ブチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸tert−ブチル等の2−ヒドロキシル酢酸tert−ブチル化合物;2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸イソブチル等の2−ヒドロキシ酢酸イソブチル化合物等が挙げられる。
なかでも、2−[2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチル等が好ましく、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチルがより好ましい。
【0034】
アミン化合物(5)としては、例えば、アンモニア、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン等のモノアルキルアミン等が挙げられ、メチルアミンが好ましい。
アミン化合物(5)は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
アミン化合物(5)の使用量は、酢酸エステル化合物(4)1モルに対して、例えば、1〜10モルの範囲等を挙げることができ、より好ましくは1〜6モルの範囲等が挙げられる。
【0035】
酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の炭素数1〜4のアルコール溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;および水などが挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、例えば、芳香族炭化水素溶媒、炭素数1〜4のアルコール溶媒およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、炭素数1〜4のアルコール溶媒、炭素数1〜4のアルコール溶媒と芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、酢酸エステル化合物(4)1重量部に対して、例えば、0.5〜100重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10重量部の範囲等が挙げられる。
【0036】
酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応温度は、例えば、0〜100℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、20〜60℃の範囲等が挙げられる。
酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応時間は、反応温度によって異なるが、例えば、0.5〜100時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜50時間の範囲等が挙げられる。反応の進行は、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の分析方法により確認することができる。
【0037】
酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応は、両者を混合する方法が好ましい。その混合順序は限定されず、例えば、酢酸エステル化合物(4)にアミン化合物(5)を、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間かけて加える方法等が挙げられる。
反応終了後、得られた反応混合物中には、アセトアミド化合物(2)が含まれており、該反応混合物をそのままもしくは洗浄した後、前述のアセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応に用いてもよいし、濃縮、晶析等により、該反応混合物からアセトアミド化合物(2)を取り出し、取り出したアセトアミド化合物(2)を前述のアセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応に用いてもよい。取り出したアセトアミド化合物(2)を、カラムクロマトグラフィー等の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0038】
酢酸エステル化合物(4)は、式(6)

(式中、QおよびArは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物(以下、マンデロニトリル化合物(6)と略記する。)と式(7)

(式中、Rは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルコール化合物(以下、アルコール化合物(7)と略記する。)と酸とを反応させ、次いで、得られた生成物と水とを反応させることにより製造することができる。
【0039】
マンデロニトリル化合物(6)としては、2−(フェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(3−メチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(4−メチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2−エチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(4−エチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(4−イソプロピルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2−tert−ブチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(4−tert−ブチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,4−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(3,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,4−ジエチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,6−ジエチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,6−ジイソプロピルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,4,5−トリメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,4,6−トリメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(3,4,5−トリメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−3−クロロマンデロニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)−3−クロロマンデロニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−5−クロロマンデロニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)−5−クロロマンデロニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−6−クロロマンデロニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)−6−クロロマンデロニトリル、2−(2,5−ジエチルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル、2−(2−エチルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル、2−(2,5−ジイソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル、2−(2−イソプロピルフェノキシメチル)−4−クロロマンデロニトリル等が挙げられる。なかでも、2−(2−メチルフェノキシメチル)マンデロニトリルおよび2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリルが好ましく、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリルがより好ましい。
【0040】
アルコール化合物(7)としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、メタノールが好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩化水素およびp−トルエンスルホン酸等が挙げられ、塩化水素が好ましい。酸の使用量は、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して、例えば、1〜10モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、1〜5モルの範囲等が挙げられる。かかる酸は、アルコール化合物(7)と混合して、用いてもよい。特に、塩化水素をアルコール化合物(7)に溶解させて得られる溶液を用いることが好ましい。塩化水素をアルコール化合物(7)に溶解させて得られる溶液中の塩化水素の含有量は、該溶液100重量部に対して、例えば、20〜60重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、40〜55重量部の範囲等が挙げられる。
酸として塩化水素を用いる場合、塩化水素の使用量は、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して、例えば、1〜5モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、1.2〜3モルの範囲等が挙げられ、より好ましくは、例えば、1.2〜2.5モルの範囲等が挙げられる。
【0041】
マンデロニトリル化合物(6)とアルコール化合物(7)と酸との反応は、有機溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、例えば、へキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒等が挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、芳香族炭化水素溶媒等である。
有機溶媒の使用量は、マンデロニトリル化合物(6)1重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、1〜5重量部の範囲等が挙げられる。
【0042】
マンデロニトリル化合物(6)とアルコール(7)と酸との反応は、例えば、有機溶媒の存在下に、これら三成分を混合する方法等を挙げることができ、好ましくは、有機溶媒とマンデロニトリル化合物(6)との混合物に、酸とアルコール化合物(7)との混合物を加える方法が挙げられる。酸は、一括で加えてもよいが、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは1〜10時間かけて徐々に加えることが好ましい。
マンデロニトリル化合物(6)とアルコール(7)と酸との反応温度は、例えば、−20〜50℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは0〜30℃の範囲等が挙げられる。
マンデロニトリル化合物(6)とアルコール(7)と酸との反応時間は、反応温度によって異なるが、例えば、0.5〜20時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10時間の範囲等が挙げられる。
反応の進行は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の分析手段により確認することができる。
【0043】
かくして得られる反応混合物には、式(8)

(式中、Q、RおよびArは上記と同じ意味を表す。)
で示されるイミノエステル化合物またはその塩(以下、イミノエステル化合物(8)と略記する。)が含まれている。かかるイミノエステル化合物(8)と水とを反応させることにより、酢酸エステル化合物(4)を得ることができる。該反応混合物からイミノエステル化合物(8)を取り出して、水と反応させてもよいが、反応混合物をそのまま水と反応させることが好ましい。
【0044】
イミノエステル化合物(8)と水とを反応における水の使用量は、マンデロニトリル化合物(6)1重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、0.5〜5重量部の範囲等が挙げられ、より好ましくは0.5〜3重量部の範囲等が挙げられる。
イミノエステル化合物(8)と水との反応は、両者を混合する方法が好ましく、その混合順序は限定されない。反応混合物に水を徐々に加えていく方法がより好ましい。水を加える時間は、例えば、0.5〜20時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10時間である。
【0045】
イミノエステル化合物(8)と水との反応温度は、例えば、0〜70℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは5〜60℃である。
イミノエステル化合物(8)と水とを反応時間は、反応温度にもよるが、例えば、0.5〜20時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10時間である。
反応の進行は、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の通常の分析手段により確認することができる。
【0046】
反応終了後、得られた酢酸エステル化合物(4)を含む反応混合物を、そのままもしくは洗浄した後、前述の酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応に用いてもよいし、濃縮や晶析等により、該反応混合物から酢酸エステル化合物(4)を取り出し、前述の酢酸エステル化合物(4)とアミン化合物(5)との反応に用いてもよい。取り出した酢酸エステル化合物(4)は、カラムクロマトグラフィー等の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0047】
が水素原子であるアセトアミド化合物(2)は、マンデロニトリル化合物(6)と、該マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して0.1〜1モルの塩化水素と1〜4モルの水とを反応させることにより、製造することもできる。かかる反応では、アセトアミド化合物(2)が加水分解されたカルボン酸化合物の生成が抑制される傾向があるため、Rが水素原子であるアセトアミド化合物(2)の製造方法として、好ましい。
塩化水素として、その水溶液である塩酸を用いてもよい。塩酸を用いる場合、塩化水素の濃度は、例えば、10〜36重量%の範囲等であり、好ましくは25〜36重量%である。塩化水素の使用量は、上述のとおり、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して、例えば、0.1〜1モルの範囲等であり、好ましくは、0.5〜1モルである。塩化水素の使用量が、マンデロニトリル類(6)1モルに対して0.1モル以上であると、Rが水素原子であるアセトアミド化合物(2)の収率が向上する傾向があり、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して1モル以下であると、アセトアミド化合物(2)の加水分解反応の進行を抑制する傾向がある。
水は単独で用いてもよいし、塩酸として塩化水素と同時に用いてもよい。水の使用量は、上述のとおり、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して1〜4モルであり、好ましくは2〜4モルである。水の使用量が、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して1モル以上であるとマンデロニトリル化合物(6)の転化率が向上する傾向があり、マンデロニトリル化合物(6)1モルに対して4モル以下であると、アセトアミド化合物(2)の加水分解反応の進行を抑制する傾向がある。
【0048】
マンデロニトリル化合物(6)と塩化水素と水との反応は、有機溶媒の存在下に行うことが好ましい。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、例えば、へキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒等が挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
有機溶媒の使用量は、マンデロニトリル化合物(6)1重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜5重量部である。
【0049】
マンデロニトリル化合物(6)と塩化水素と水との反応は、マンデロニトリル化合物(6)、塩化水素および水を混合することにより行われ、例えば、マンデロニトリル化合物(6)に、塩化水素および水を加えてもよいし、例えば、塩化水素および水に、マンデロニトリル化合物(4)を加えてもよいし、例えば、マンデロニトリル化合物(6)を有機溶媒で希釈した後、塩化水素および水と混合してもよい。
マンデロニトリル化合物(6)と塩化水素と水との反応温度は、例えば、−20〜100℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは20〜80℃である。
マンデロニトリル化合物(6)と塩化水素と水との反応時間は、反応温度により異なるが、例えば、0.5〜20時間の範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜10時間である。
反応の進行は、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の通常の分析手段により確認することができる。
【0050】
得られた反応混合物を、そのままもしくは洗浄した後、前述のアセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応に用いてもよいし、濃縮、晶析等により、該反応混合物からアセトアミド化合物(2)を取り出し、取り出したアセトアミド化合物(2)を前述のアセトアミド化合物(2)と硫酸ジアルキル(3)との反応に用いてもよい。取り出したアセトアミド化合物(2)を、カラムクロマトグラフィー等の精製手段によりさらに精製してもよい。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。分析は、高速液体クロマトグラフィー内部標準法により行った。
(参考例1)
2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル10.0g(含量:96重量%)に、キシレン30g、塩化水素3.66gおよび水0.648gを加えた。得られた混合物を50℃に昇温し、同温度で3時間攪拌、保温し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドを含むキシレン溶液を得た(収率:65.7%)。2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドが加水分解された副生物の生成は確認されなかった。
【0052】
(参考例2)
参考例1と同様にして得られた混合物を70℃に昇温し、同温度で1時間攪拌、保温した以外は、参考例1と同様に反応を行い、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドを含むキシレン溶液を得た。2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリルの転化率は67.7%であり、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸アミドの収率は46.3%であった。2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドが加水分解された副生物の生成は確認されなかった。
【0053】
(参考例3)
2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル10.0g(含量:96重量%)に、キシレン30gおよび36重量%塩酸1.02gを加えた。得られた混合物を50℃に昇温し、同温度で7時間攪拌、保温し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドを含む反応混合物を得た。2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリルの転化率は40.0%であり、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドの収率は30.2%であった。2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドが加水分解された副生物の生成は確認されなかった。
【0054】
(参考例4)
参考例3において、36%塩酸の使用量を2.03gとし、得られた混合物を50℃で4時間攪拌、保温した以外は参考例3と同様に反応を行い、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドを含む反応混合物を得た。2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリルの転化率は68.4%であり、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドの収率は53.1%であった。2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミドが加水分解された副生物の生成は確認されなかった。
【0055】
(実施例1)
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド0.33gを含むキシレン溶液を攪拌しながら20℃に調整した。該キシレン溶液に、48重量%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを1時間かけて滴下し、さらに、硫酸ジメチル0.70gを1時間かけて加えた。得られた混合物を20℃で5時間攪拌し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドを含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物に、水1.3gを加えた。得られた混合物を50℃に昇温した後、水層を除去した。得られた有機層を、50℃で、5重量%塩酸1.3gで洗浄した。得られた有機層を、50℃で、水1.3gで洗浄した。得られた有機層を濃縮し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド0.36g(含量:96.5%)を得た(収率:96%)。2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N,N’−ジメチルアセトアミドの生成は認められなかった。
【0056】
(参考例5)
2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)マンデロニトリル255.9g(含量:93重量%)とキシレン469.0gとを混合した。得られた混合物を攪拌しながら7℃に調整した。そこに、47重量%塩化水素/メタノール溶液160.1gを2時間かけて滴下した。得られた混合物を7℃で2時間攪拌、保温し、1−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−1−ヒドロキシ−2−メトキシエタンイミニウム クロライドを含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物に、水320.1gを7℃で1時間かけて滴下した。得られた混合物を50℃で1時間攪拌、保温した後、有機層312.6gを分離した。該有機層中の2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチルの含量は82.4重量%であり、収率は96.2%であった。
【0057】
(参考例6)
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ酢酸メチルを含む有機層30.0g(含量:25重量%)を攪拌しながら50℃に調整した。そこに、40重量%メチルアミン/メタノール溶液5.8gを1時間かけて滴下した。得られた混合物を50℃で10時間攪拌、保温し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミドを含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物を減圧条件下で濃縮し、低沸点の成分を除去した。得られた残渣を50℃に調整し、水7.7gで洗浄し、さらに、5重量%硫酸水溶液7.7gで洗浄し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミドを含む溶液(含量:23.8重量%)31.5gを得た。収率:100%。
【0058】
(実施例2)
参考例6で得た2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−N−メチルアセトアミドを含む溶液31.1gを攪拌しながら17℃に調整した。そこに、48重量%水酸化ナトリウム水溶液7.0gを0.5時間かけて滴下し、さらに、硫酸ジメチル4.2gを2時間かけて滴下した。得られた混合物を19℃で5時間攪拌、保温し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドを含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物に、水7.4gを加えた。得られた混合物を50℃に昇温し、同温度で有機層を得た。得られた有機層を、同温度で、5重量%塩酸7.4gで洗浄し、さらに、水7.5gで洗浄し、2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドを含む溶液(含量:24.0重量%)32.1gを得た。収率:99.1%。
得られた溶液を、含量42.5重量%に濃縮した後、60℃に加熱した。得られた溶液を冷却し、析出した2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドの結晶を濾過により取り出し、ヘプタンで洗浄した後減圧乾燥を行った。
【0059】
得られた2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−N−メチルアセトアミドについて、下記に示す測定条件によるCu−Kα波長のX線回折測定を行い、得られたX線回折パターンを図1に、代表的なピークが与える回折角2θおよびその相対ピーク強度を表1に、それぞれ示す。
(測定条件)
・装置 :X'Pert PRO MPD(スペクトリス)
・ターゲット :Cu
・X線管電流 :40mA
・X線管電圧 :45kV
・走査範囲 :2θ=4.0〜40.0°
・ステップ :2θ=0.01671°
・平均時間/ステップ:10.160秒
・固定発散スリット :1/2°
・前処理 :めのう製乳鉢で粉砕を行った。
【0060】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、2位にアルコキシ基を有する2−置換フェニル−N−アルキルアセトアミド化合物を、一層、収率よく製造することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)

(式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わし、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物と式(3)

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
で示される硫酸ジアルキルとを、塩基の存在下に反応させることを特徴とする式(1)

(式中、Q、RおよびArは上記と同じ意味を表わし、Rが水素原子のとき、RはRを表わし、Rが炭素数1〜4のアルキル基のとき、Rは水素原子を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物の製造方法。
【請求項2】
が水素原子であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
Arが2,5−ジメチルフェニル基または2−メチルフェニル基であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
がメチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
塩基がアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
式(2)で示されるフェニルアセトアミド化合物が、式(4)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
で示される酢酸エステル化合物と式(5)

(式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアミン化合物とを反応させて得られるフェニルアセトアミド化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
式(4)で示される酢酸エステル化合物と式(5)で示されるアミン化合物との反応を、炭素数1〜4のアルコール溶媒の存在下で行うことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
式(4)で示される酢酸エステル化合物が、式(6)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と式(7)

(式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルコール化合物と酸とを反応させ、次いで、得られた生成物と水とを反応させて得られる酢酸エステル化合物であることを特徴とする請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
式(2)で示されるフェニルアセトアミド化合物が、式(6)

(式中、Q及びArは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と、該マンデロニトリル化合物1モルに対して0.1〜1モルの塩化水素と1〜4モルの水とを反応させて得られるフェニルアセトアミド化合物であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか記載の製造方法。
【請求項10】
式(6)で示されるマンデロニトリル化合物と塩化水素と水との反応を、芳香族炭化水素溶媒の存在下で行うことを特徴とする請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
式(6)

(式中、Qは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。)
で示されるマンデロニトリル化合物と、該マンデロニトリル化合物1モルに対して0.1〜1モルの塩化水素と1〜4モルの水とを反応させることを特徴とする式(8)

(式中、QおよびArは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるフェニルアセトアミド化合物の製造方法。
【請求項12】
式(6)で示されるマンデロニトリル化合物と塩化水素と水との反応を、芳香族炭化水素溶媒の存在下に行うことを特徴とする請求項11記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−98951(P2011−98951A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31080(P2010−31080)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】