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フェニルテルピリジン化合物、錯化合物または複合体及びそれらの製造方法並びにそれらを含む発光体及び有機化合物の検出材
説明

フェニルテルピリジン化合物、錯化合物または複合体及びそれらの製造方法並びにそれらを含む発光体及び有機化合物の検出材

【課題】化学物質検出剤としても利用可能な、特定の発光スペクトルを赤色側にも青色側にも移動することなく発光強度を容易に変化させることができる発光体を提供する。
【解決手段】フェニルテルピリジン化合物は、次の骨格を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテルピリジン化合物、錯化合物または複合体及びそれらの製造方法並びにそれらを含んでなる発光体及び化学物質検出材料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機ELあるいは表示素子、化学物質検出剤等に様々な発光物質が用いられている。発光物質は、通常、ある特定の発光色を示すが、液体や蒸気等の周囲の化学物質により、その発光色が変化する発光物質がある。
【0003】
そのような、分子状液体や蒸気により発光色が変化する発光物質としては、アリールテルピリジン化合物や白金一アリールテルピリジン錯体、白金一ビピリジン錯体等がある。
【0004】
しかしながら、従来の発光物質の発光色の変化は、幅広くかつ単純な発光スペクトルの赤色側又は青色側へのシフトによるものである。従って、周囲の化学物質を利用する発光色の制御や、発光色の変化を利用する周囲の化学物質の変化の検出は、発光色の変化の程度や化学物質検出の感度の面から容易であるとは言えない。
【0005】
一方、周囲に存在する化学物質に関わらずほぼ同一の発光色、発光ピーク波長を示し、なおかつその発光が強力でスペクトル幅が小さい発光物質がある。その代表に3価ユウロピウム化合物等の金属化合物がある。3価ランタニド化合物を例に挙げると、通常、3価ランタニド化合物の発光は、化合物中の配位子が励起光等の励起エネルギーを受け、そのエネルギーをランタニド金属へ移すことによりランタニド金属を励起し、励起されたランタニドが基底状態に戻ることにより起こる。
【0006】
溶液中の水素イオンとの化学反応によりユウロピウム化合物の発光強度が変わるという報告があり、この発光強度が変わる現象、及び、ユウロピウム化合物の化学種包接を利用する有機分子やイオンの検出法が提案され公知になっている(特許文献1)。
【0007】
上記文献では、ユウロピウム化合物が化学種を内部に取り込む、すなわち包接することによるユウロピウム発光の強度変化は観測していない。また、化学種包接では一度包接された化学種を脱離させることは容易ではなく、包接される化学種も限られるため、上記文献の手法ではユウロピウム発光強度の制御の白由度が小さい。
【0008】
さらに、ランタニド化合物の内部ではなく周囲に存在する分子の種類により、化学反応を伴うことなくランタニド発光を制御できる例はこれまで報告されていない。
【0009】
【特許文献1】特許第3975278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、化学物質検出剤としても利用可能な、特定の発光スペクトルを赤色側にも青色側にも移動することなく発光強度を容易に変化させることができる発光体及び該発光体の製造方法を提供することを課題とする。
【発明を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ホスホリル基を含むフェニルテルピリジン化合物を含んでなる錯体又は複合体が、接触する有機化合物の種類により、特定の発光スペクトルを赤色側にも青色側にも移動することなく発光強度を容易に変化させることができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の第1の発明に係るフェニルテルピリジン化合物は、下記式(1):
【化1】

(式中、X及びXはそれぞれ独立に水素原子、置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。Yは置換基を含んでも良いアルキレン基を示す。Zは置換基を含んでも良いフェニレン基を示す。R,R,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12,R13,R14はそれぞれ独立に置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同
アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。)で示される、ホスホリルアルキロキシ基を置換基として有することを特徴とするものである。
【0013】
また、第2の発明に係るフェニルテルピリジン化合物の製造方法は、下記式(2):
【化2】

(式中、R,R,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12,R13,R14は前記式(1)と同じ。)で示されるヒドロキシフェニルテルピリジン、及び、
下記式(3):
【化3】

(式中、X及びXは前記式(1)と同じ。Zは脱離基を示す。)で示される、脱離基を有することを特徴とするホスホリル化合物を、塩基の存在下に縮合反応させることを特徴とする、請求項1に記載のホスホリルアルキロキシ基を置換基として有することを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明の第3の発明に係る複合体は、前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を置換基として有するフェニルテルピリジン化合物又はその金属錯体と固体からなり、下記式(4)
【化4】

(式中、X及びXは、それぞれ独立に水素原子、置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。Yは置換基を含んでも良いアルキル基を示す。)で示されるホスホン酸類を含んでも良いものであることを特徴とするものである。
【0015】
前記各発明において、前記式(1)で示されるホスホリル基を有するフェニルテルピリジン化合物と金属化合物との錯体;前記式(1)で示されるホスホリル基を有するフェニルテルピリジン化合物と固体からなるアルキルホスホン酸エステルを含んでも良い複合体;及び、前記式(1)で示されるホスホリル基を有するフェニルテルピリジン化合物と固体からなる、アルキルホスホン酸エステルを含んでも良い複合体と金属塩との錯体;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフェニルテルピリジン化合物によれば、発光スペクトルがシフトしない金属(ランタノイド金属)の発光を利用しているので、該化学物質の周囲に特定の化学物質を存在させる等の方法で外部環境を制御することにより、金属の発光スペクトルを赤色側にも青色側にもシフトさせることなく、発光強度を制御することができるという優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明によって得られる金属錯体は、励起された配位子から金属へのエネルギー移動により金属が励起され、励起された金属が基底状態に戻る時に効率よく発光するのであり、配位子の基底−励起エネルギー準位差を金属の基底−励起エネルギーよりも充分大きくしてあるので、金属が励起して発光させることができるという優れた効果を奏する。
【0018】
さらに、本発明に係るフェニルテルピリジン化合物又は該化合物の金属錯体とシリカ等の表面積が大きい固体との複合体を形成することにより、単位体積当たりの発光強度が大きくなるばかりでなく、他の種類の有機物と共に固体表面に吸着させておけば、発光の濃度消光を抑制できるだけでなく、発光強度及び発光色の制御や揮発性有機化合物(VOC)等の化学物質の検出が可能になるという優れた効果を奏する。
【0019】
本発明において反応原料となるヒドロキシフェニルピリジンは、前記式(2)で示されるが、R,R,R,R,R,R,R,R,R,Rl0,R11,R12,R13,R14はそれぞれ独立に置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。
【0020】
本発明において反応原料となるホスホリル化合物は、前記式(3)で示されるが、X及びXはそれぞれ独立に水素原子、置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示し、Zは脱離基を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例を具体的に記述する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、TPyは2,6−ジ(2−ピリジル)ピリジン−4−イル基を示す。
【0022】
[実施例1](EtO)P(O)(CH)10OCHTpyの製造
還流冷却管を取り付けた200-mLガラス製丸底フラスコに、K2CO3(6.90g,50mmol)、アセトニトリル(50)mL)、TPyC6H4OH(l.63g,5.0mmol)をこの順番に加え、混合物を加熱し、還流下で2時間撹件した。(EtO)P(O)(CH)10Br(l.79g,5.0mmol)のアセトニトリル溶液(20mL)及びKI(33.2mg,0.20mmol)をさらに加え、混合物を還流下で24時間撹件した。反応混合物を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣からのシリカゲルカラムクロマトグラフイー(溶離液は酢酸エチル)により、(EtO)P(O)(CH)10OCHTpy(2.86g,4.76mmol,95%収率)を得た。
【0023】
実施例1で得られた化合物のデータは以下の通りである。
HNMR(CDC1,400MHz,SiMe)δ1.25(6H,t,HH=7.07Hz),1.26(10H,brs),1.35-1.45(2H,m),l.51-1.59(2H,m),l.62-l.75(4H,m),3.91(2H,t,HH=6.59Hz),3.97-404(4H,m),6.93(2H,d,HH=8.79Hz),7.24(2H,dd,HH=4.89Hz,HH=7.32Hz),7.75-7.79(4H,m),8.57(2H,d,HH=8.05Hz),8.61(2H,s),8.61-8.66(2H,m);13C{H}NMR(CDCl,100MHz,SiMe)δ16.40(d,Jcp=6.63Hz),22.29(d,Jcp=4.98Hz),25.89(d,Jcp=140.16Hz),25.93,28.98,29.14,29.19,29.25,29.38,30.47(d、Jcp=16.58Hz),61.23(d、Jcp=6.63Hz),67.88,114.59,ll7.90,121.09,123.49,128.18,130.13,136.55,148.77,149.41,155.47,156.04,159.81;31P{H}NMR(CDC1,162MHz,85%HPO)δ+33.10;IR(KBr)3053,2982,2924,2852,1606,1584,1567,1469,1442,1391,1289,1262,ll85,1097,1029,961,931,738cm‐1。Anal,Calcd for C35H44NOP:C,69.86;H,7.37;N,6.97.Found:C,69.47;H,6.97;N,6.97。
【0024】
[実施例2](HO)P(O)(CH)10OCHTpyの製造
50-mLガラス製丸底フラスコに実施例1で得られた(EtO)P(O)(CH)10OCHTpy(0.902g,1.50mmol)、ジクロロメタン(5mL)、(CH)SiBr(l.2mL)をこの順に加え、室温で2時間撹拝した。低沸点物を減圧下で留去後、メタノール(5mL)を加え、室温で2時間撹拝した。低沸点物を減圧下で留去後、クロロホルム(20mL)を加え、混合物をろ過した。得られた固体をクロロホルム(10mL)で洗浄することにより、(HO)P(O)(CH)10OCHTpy(0.786g,1.44mmol,96%収率)を得た。
【0025】
実施例2で得られた化合物のデータは以下の通りである。
HNMR(DMSO-d,400MHz,SiMe4)δ1.22-1.40(10H,m),1.40-1.51(6H,m),l.75(2H,quin,HH=6.46Hz),4.06(2H,t,HH=6.46Hz),7.13(2H,d,HH=8.57Hz),7.60(2H,dd,HH=5.74Hz,HH=7.49HZ),7.91(2H,d,HH=8.57Hz),8.ll(2H,t,JHH=7.49Hz),8.71(2H,s),8.74(2H,d,HH=7.49Hz),8.79(2H,d,HH=5.74Hz);13C{H}NMR(DMSO-d,100MHz,SiMe)δ22.74(d,Jcp=4.98Hz),25.52,27.53(d,Jcp=136.00Hz),28.66,28.70,28.82,28.86,29.01,30.08(d,Jcp=5.76Hz),67.61,ll5.09,117.77,121.52,154.86,128.17,128.76,136.68,148.24,149.19,153.58,154.19,159.91;31P{H}NMR(DMSO-d,162MHz,85% HPO)δ+27.39;IR(KBr)3418,13054,2923,2850,1597,1518,1468,1393,1297,1256,ll87,991,829,791cm−1
【0026】
[実施例3](EtO)P(O)(CH)10OCHTpyの製造
還流冷却管を取り付けた200-mLガラス製丸底フラスコに、KCO(4.14g,30mmol)、アセトニトリル(30mL)、TpyCHOH(0.98g,3.0mmo1)をこの順番に加え、混合物を加熱し、還流下で2時間撹件した。(EtO)P(O)(CH)Br(0.90g,3.0mmol)のアセトニトリル溶液(12mL)をさらに加え、混合物を還流下で24時間撹拝した。反応混合物を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残掩からのシリカゲルカラムクロマトグラフイー(溶離液は酢酸エチル)により、(EtO)P(O)(CH)10OCHTpyを1.60g(2.93mmol,97%収率)得た。
【0027】
実施例3で得られた化合物のデータは以下の通りである。
HNMR(CDC1,400MHz,SiMe)δ1.24(6H,t,HH=7.20Hz),1.40(4H,brs),1.53-1.59(2H,m),1.60-1.72(2H,m),3.91(2H,t,HH=6.35Hz),3.96-4.04(4H,m),6.91(2H,d,HH=8.35Hz),7.24(2H,ddd,HH=1.22Hz,HH=4.98,7.53Hz),7.74-7.78(4H,m),8.53(2H,d,HH=8.35Hz),8.61(2H,s),8.63(2H,ddd,HH=0.98Hz,HH=1.81Hz,HH=4.98Hz);13C{H}NMR(CDC1,100MHz,SiMe)δ16.47(d,Jcp=5.81Hz),22.36(d,Jcp=4.98Hz),22.57(d,Jcp=140.98Hz),22.58,28.97,30.26(d,Jcp=16.59Hz),61.37(d,Jcp=6.63Hz),67.78,ll4.68,118.05,121.19,123.58,128.30,130.34,136.64,148.83,148.87,155.59,156.16,159.82;31P{H}NMR(CDC1,162MHz,85%HPO)+32.84;IR(KBr)3051,2985,2944,2867,1607,1568,1466,1391,1249,1183,1026,965,736cm−1。Anal.Calcd for C31H36NOP:C,68.24;H,6.65;N,7.70.Found:C,68.20;H,6.93;N,7.75。
【0028】
[実施例4]TPyCHO(CH)10P(O)(OH)/SiOの製造
200-mLガラス製丸底フラスコにシリカゲル(1.00g)、トルエン(90mL)、2一プロパノール(90mL)を加え、(HO)P(O)(CH)10CHOTpy(218.2mg,0.40mmo1)の入った円筒ろ紙を挿入したソックスレー抽出器をガラス製丸底フラスコに取り付け、フラスコの中の混合物を還流下で6時間撹拝した。フラスコ内の混合物中の低沸点物(130mL)を常圧下で留去し、残った混合物にトルエン(50mL)を加えた。混合物を濾過し、固体を洗浄した後室温、真空下で乾燥し、シリカゲル吸着(HO)P(O)(CH)10OCHTpy(1.19g)を得た。
【0029】
[実施例5]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/SiO(5μmol/2.00g)の製造
SiO(2.00g)及びトルエン(20mL)の入つた30-mL又は50-mLナスフラスコに、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)トルエン溶液(2.5×10−4M,20mL)を室温下で加えた。混合物を室温で5分撹件し、1時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をトルエン(20mL)で洗津後、室温、減圧下で約10時間乾燥することにより、シリカ吸着TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)を1.61g得た。
【0030】
[実施例6]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/0.10mmol/2.00g)の製造
SiO(2.00g)及びトルエン(20mL)の入つた30-mL又は50-mLナスフラスコに、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)トルエン溶液(2.5×10−3M,2mL)、"Cl6H33P(O)(OEt)(36.2g、0.100mmol)から調整したトルエン溶液(20ml)を室温下で加えた。混合物を室温で5分撹件し、1時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をトルエン(20mL)で洗津後、室温、減圧下で約10時間乾燥することにより、シリカ吸着TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)を1.94g得た。
【0031】
[実施例7]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/0.25mmol/2.00g)の製造
"Cl6H33P(O)(OEt)を90.5mg(0.25mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/0.25mmol/2.00g)をl.96g得た。
【0032】
[実施例8]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/0.50mmol/2.00g)の製造
"Cl6H33P(O)(OEt)を181.2mg(0.50mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/0.25mmol/2.00g)を2.08g得た。
【0033】
[実施例9]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/1.00mmol/2.00g)の製造
"Cl6H33P(O)(OEt)を362.3mg(1.00mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/1.00mmol/2.00g)を2.23g得た。
【0034】
[実施例10]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(10μmol/1.00mmol/2.00g)の製造
TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)トルエン溶液(5.00×10−3M)を2mL、"Cl6H33P(O)(OEt)を362.3mg(1.00mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(10μmol/1.00mmol/2.00g)を2.27g得た。
【0035】
[実施例11]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(20μmol/1.00mmol/2.00g)の製造
TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)トルエン溶液(5.00×10−3M)を4mL、"Cl6H33P(O)(OEt)を362.3mg(1.00mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(20μmol/1.00mmol/2.00g)を2.30g得た。
【0036】
[実施例12]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(50μmol/1.00mmol/2.00g)の製造
TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)トルエン溶液(5.00×10−3M)を10mL、"Cl6H33P(O)(OEt)を362.3mg(1.00mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(50μmol/1.00mmol/2.00g)を2.29g得た。
【0037】
[実施例13]TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(100μmol/1.00mmol/2.00g)の製造
TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)を61.5mg(100μmol)、"Cl6H33P(O)(OEt)を362.3mg(1.00mmol)使用した以外は実施例6と同様にして、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(100μmol/1.00mmol/2.00g)を2.25g得た。
【0038】
[実施例14]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/1.00g)の製造
実施例5により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/SiO(0.81g)及びジクロロメタン(20mL)の入った50-mLナスフラスコに、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(0.2M,12.5μL)を加え、混合物を室温で5分間撹件し、1時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン(5mL)で洗津後、室温、減圧下で約10時問乾燥することにより、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/1.00g)を0.72g得た。
【0039】
[実施例15]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.5mmol/1.00g)の製造
実施例6により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(0.97g)及びジクロロメタン(20mL)の入った50-mLナスフラスコに、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(0.2M,12.5μL)を加え、混合物を室温で5分間撹絆し、l時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン(5mL)で洗浄後、室温、減圧下で約10時間乾燥することにより、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.5mmol/1.00g)を0.92g得た。
【0040】
[実施例16」Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.125mmol/1.00g)の製造
実施例7により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(0.98g)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.125mmol/1.00g)を0.92g得た。
【0041】
[実施例17]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.25mmol/1.00g)の製造
実施例8により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.04g)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.25mmol/1.00g)を0.75g得た。
【0042】
[実施例18]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.50mmol/1.00g)の製造
実施例9により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.12g)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(2.5μmol/2.5μmol/0.50mmol/1.00g)を0.97g得た。
【0043】
[実施例19]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/0.50mmol/1.00g)の製造
実施例10により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.14g)、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(0.2M,25μL)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/0.50mmol/1.00g)を1.03g得た。
【0044】
[実施例20]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(10μmol/10μmol/0.50mmol/1.00g)の製造
実施例11により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.15g)、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(0.2M,50μL)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(10μmol/10μmol/0.50mmol/1.00g)を1.04g得た。
【0045】
[実施例21]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(25μmol/25μmol/0.50mmol/1.00g)の製造
実施例12により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.15g)、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(1.0M,25μL)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(25μmol/25μmol/0.50mmol/1.00g)を1.04g得た。
【0046】
[実施例22]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(50μmol/50μmol/0.50mmol/1.00g)の製造
実施例13により製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(1.13g)、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(1.0M,50μL)を用いた以外は実施例15と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"Cl6H33P(O)(OEt)/SiO(50μmol/50μmol/0.50mmol/1.00g)を1.10g得た。
【0047】
[実施例23]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"CH17P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)の製造
SiO(2.00g)及びトルエン(20mL)の入った30-mL又は50-mLナスフラスコに、TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)(1.5mg,5μmo1)及び"CH17P(O)(OEt)(250.3mg,1.00mmol)のトルエン溶液(20mL)を室温下で加えた。混合物を室温で5分撹伴し、1時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をトルエン(20mL)で洗浄後、室温、減圧下で約10時間乾燥することにより、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"CH17P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)を2.16g得た。
【0048】
[実施例24]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C12H25P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)の製造
"C12H25P(O)(OEt)(306.4mg,1.00mmol)を"CH17P(O)(OEt)の代わりに使用した以外は実施例23と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C12H25P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)を2.26g得た。
【0049】
[実施例25]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C20H41P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)の製造
"C20H41P(O)(OEt)(419.6mg,1.00mmol)を"CH17P(O)(OEt)の代わりに使用した以外は実施例23と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C20H41P(O)(OEt)/SiO(5μmol/5μmol/1.0mmol/2.00g)を2.29g得た。
【0050】
[実施例26]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"CH17P(O)(OEt)/SiOの製造
実施例23で製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"CH17P(O)(OEt)/SiO(1.08g)及びジクロロメタン(20mL)の入った30-mL又は50-mLナスフラスコに、Eu(NO)・6HOのメタノール溶液(0.2M,12.5μL)を加え、混合物を室温で5分間攪拌し、l時間静置した。混合物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン(5mL)で洗浄後、室温、減圧下で約10時間乾燥することにより、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"CH17P(O)(OEt)/SiOを0.96g得た。
【0051】
[実施例27]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C12H25P(O)(OEt)/SiOの製造
実施例24で製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C12H25P(O)(OEt)/SiO(1.13g)を便用すること以外は実施例26と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C12H25P(O)(OEt)/SiOを1.04g得た。
【0052】
[実施例28]Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C20H41P(O)(OEt)/SiOの製造
実施例25で製造したTPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C20H41P(O)(OEt)/SiO(1.15g)を使用すること以外は実施例26と同様にして、Eu(NO)/TPyCHO(CH)10P(O)(OEt)/"C20H41P(O)(OEt)/SiOを1.06g得た。
【0053】
[実施例29]シリカ吸着(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)CHの発光・励起スペクトル測定
実施例5〜13及び実施例23〜25で製造した(EtO)P(O)(CH)10OCHTPy(EtO)P(O)(CH)CHの発光・励起スペクトル測定を行った。
【0054】
実施例5〜13で得られた発光スペクトルにおける青色領域の発光ピーク波長(λem、L)、青色領域の発光に由来する励起スペクトルのピーク波長(λex、L)を表1にまとめた。
【表1】

【0055】
実施例9及び実施例23〜25で得られた発光スペクトルにおける青色領域の発光ピーク波長(λem、L)、青色領域の発光に山来する励起スペクトルのピーク波長(λex、L)を表2にまとめた。
【表2】

【0056】
[実施例30]シリカ吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10OCHTPy/(EtO)P(O)(CH)CHの発光・励起スペクトル測定
実施例14〜22及び実施例26〜28で製造したシリカ吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10OCHTPy/(EtO)P(O)(CH)CHの発光・励起スペクトル測定を行い、測定した全てのシリカ吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10OCHTPy/(EtO)P(O)(CH)CHにおいてユウロピウム発光に由来する発光ピークが617nmに観測されることを確認した。
【0057】
実施例14−22で得られた発光スペクトルにおける青色領域の発光ピーク強度に対する赤色領域の発光ピーク強度の比(Ι617)、青色領域の発光ピーク波長(λem、L)、青色領域の発光に由来する励起スペクトルのピーク波長(λex、L)及び赤色領域の発光に由束する励起スペクトルのピーク波長(λex、Eu)を表3にまとめた。
【表3】

【0058】
実施例18及び実施例26−28で得られた発光スペクトルにおける青色領域の発光ピーク強度に対する赤色領域の発光ピーク強度の比(Ι617)、青色領域の発光ピーク波長(λem、L)、青色領域の発光に由来する励起スペクトルのピーク波長(λex、L)及び赤色領域の発光に由束する励起スペクトルのピーク波長(λex、Eu)を表4にまとめた。
【表4】

【0059】
[実施例31−37]シリカ吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)15CHによる有機化合物の検出
室温下、実施例18で製造したシリカゲル吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)15CH(300mg)の入った5-mLサンプル瓶を、有機化合物の飽和蒸気又はホルムアルデヒドガスを含む50-mLサンプル瓶の中に入れ、静置した。2時間後、5-mLサンプル瓶内の実施例18で製造したシリカゲル吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)15CHの発光及び励起スペクトル測定を行った。
【0060】
[比較例1]
室温下、実施例18で製造したシリカゲル吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)15CH(300mg)の入った5-mLサンプル瓶を、有機化合物の飽和蒸気を含まない50-mLサンプル瓶の中に入れ、静置した。2時間後、5-mLサンプル瓶内の実施例18で製造したシリカゲル吸着Eu(NO)/(EtO)P(O)(CH)10CHOTPy/(EtO)P(O)(CH)15CHの発光及び励起スペクトル測定を行った。
【0061】
有機化合物名、実施例31〜37及び比較例1で得られた発光スペクトルにおける青色領域の発光ピーク強度に対する赤色領域の発光ピーク強度の比(Ι617TPy)、青色領域の発光ピーク波長(λem、L)、青色領域の発光に由来する励起スペクトルのピーク波長(λex、L)及び赤色領域の発光に由来する励起スペクトルのピーク波長(λex、Eu)を表5にまとめた。
【表5】

【0062】
以下、図面を用いて更に説明する。
まず、図1に示したように、本発明者等は、ヒドロキシフェニルテルピリジンとホスホリル化合物とを反応させることによりホスホリルアルキロキシ基を含むことを特徴とするフェニルテルピリジン化合物の製造に成功し、該化合物と3価ユウロピウム、アルキルホスホン酸エステル、及びシリカからなる複合体の発光の強度が、その発光ピーク波長が変わることなく、アルキルホスホン酸エステルのアルキル錯長により変化することを見い出したのである。
【0063】
図2に示したように、前記フェニルテルピリジン化合物または前記フェニルテルピリジン化合物を含んでなる複合体において、発光領域及び発光のメカニズムを示すもので、3価のユウロピウム部分が赤色発光aをし、配位子の部分が青色発光bするのであり、これらのどちらが強くなるかは発光領域周辺に存在する化学物質によって決まるのである。
【0064】
図3に示したように、励起光(exc.)によって発光する赤色発光[red Eu(3+)em.]の発光ピーク波長は変化しないのであり、その発光強度の変化を使用することによって、発光色の制御や化学物質の検出ができるのである。
【0065】
また、図4に示したように、周囲のVOC蒸気又はガスの存在下においては励起光によって発光する赤色発光色の発光が、発光波長の変化を伴うことなく、より強くなるのであり、それを利用して化学物質の存在または種類等が検出できるのである。
【0066】
図5に示したように、ホスホリルアルキロキシ基を含むことを特徴とするフェニルテルピリジン化合物の周囲に存在するホスホリル化合物の分子長(アルキル錯長=C)の長さによって発光色が異なるのであり、錯長の長さが例えばC8〜C12程度までは赤色発光aが青色発色bより強く得られ、C16〜C20程度までは青色発光bが赤色発色aより強く得られることを確認できたのである。
【0067】
図6に示したように、ホスホリルアルキロキシ基を含むフェニルテルピリジンとユウロピウムからなる錯体のみを固体に吸着させた場合、フェニルテルピリジン部分のピリジン環−ベンゼン環結合は自由に回転することができる。自由に回転できれば、ピリジン環−ベンゼン環のπ共役の効果がなくなり、フェニルテルピリジン部分の基底(HOMO)−励起(LUMO)準位差が大きくなる。この準位差が大きいと、励起光(Exc.)で励起されたフェニルテルピリジンからユウロピウム金属へのエネルギーの受け渡しができる(ET)。ユウロピウムがフェニルテルピリジンからエネルギーを受け取ることにより励起された後、励起状態のユウロピウムが基底状態に戻るときに、ユウロピウムが光を放出する(Metal Em.)。この場合には、赤色発光が強くなる。
【0068】
図7に示したように、ホスホリルアルキロキシ基を含むフェニルテルピリジンとユウロピウムからなる錯体と分子長の短い他の種類のホスホリル化合物を同時に固体に吸着させた場合、両化合物はホスホリル基を固体表面に向けて並び、他の種類のホスホリル化合物として分子長の短いホスホリル化合物を用いた場合、フェニルテルピリジン部分のピリジン環−ベンゼン環結合は(ある程度)自由に回転することができる。この場合も、前記と同様にユウロピウムの発光がその発光波長を変えることなく強くなる。また、前記の他の種類のホスホリル化合物でホスホリルアルキロキシ基を含むフェニルテルピリジンとユウロピウムからなる錯体を希望することにより、濃度消光を防ぐことができる。
【0069】
図8に示したように、ホスホリルアルキロキシ基を含むフェニルテルピリジン化合物と分子長の長い他の種類のホスホリル化合物を同時に固体に吸着させた場合、他の種類のホスホリル化合物のアルキル錯がフェニルテルピリジン部分の周囲を取り囲み、フェニルテルピリジン部分のピリジン環−ベンゼン環結合は自由に回転できない。この場合に、ピリジン環−ベンゼン環のπ共役が保たれ、基底(HOMO)−励起(LUMO)準位差が小さくなる。この準位差が小さいと、励起光(Exc.)で励起されたフェニルテルピリジンからユウロピウム金属へのエネルギーの受け渡しができない(no ET)。結果として、励起状態のフェニルテルピリジンが基底状態に戻るときに、フェニルテルピリジンが光を放出する(Ligand Em.)。この場合には、青色発光となる。
【0070】
上記図8に示したホスホリルアルキロキシ基を含むフェニルテルピリジン化合物と分子長の長いホスホリル化合物を同時に固体に吸着させた場合において、特定の揮発性有機化合物(VOC)蒸気又はガスを添加して発光に関与する状況は、概ね図9に示したようになると推定される。すなわち、添加したVOC蒸気又はガスが発光体の炭化水素部分に溶解し、固体状だったアルキルホスホン酸類のアルキル基の整列が乱れる。これにより、フェニルテルピリジンの芳香環−芳香環単結合の回転障害が解消し、基底−励起エネルギー準位差が大きくなり、エネルギー移動が起こりやすくなって金属の発光が強くなる。特に、極性のより高いVOCガスが接触すると、アルキル基の整列がより乱れることになり、フェニルテルピリジンの芳香環−芳香環単結合がより自由に回転できるようになり、その結果、基底−励起エネルギー準位差がより大きくなってエネルギー移動がより起こりやすくなり、金属の発光がより強くなる。従って、貼着させる基質はシリカのみではなく、例えば、アルミナ、活性炭、ゼオライト等の吸着性のある固体であれば良く、また、高分子化合物(PMMA,PS等)も可能であると推測される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のフェニルテルピリジン化合物は、適宜の金属塩及び固体と結合させて発光物質として利用できるので、例えば、表示用の発光体として又は蒸気やガスの検出用の発光体などに広く利用できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を有するフェニルテルピリジン化合物の反応スキームを示す説明図である。
【図2】同化合物におけるユウロピウム発光のメカニズムを示す説明図である。
【図3】同化合物における励起光(exc.)によって発光する発光色の分布を示すグラフである。
【図4】同化合物において周囲にVOC分子が存在しない又は存在する状態の時に、励起光によって発光する発光色の分布を示すグラフである。
【図5】同化合物周囲に存在する他の種類のホスホン酸類の分子長(錯長)による発光色の違いを示す説明図である。
【図6】同化合物における励起状態後のユウロピウムが光を放出するメカニズムを示す説明図である。
【図7】同化合物に他の種類の分子長の短いホスホリル化合物を同時に固体に吸着させた状態を示す説明図である。
【図8】同化合物に他の種類の分子長の長いホスホリル化合物を同時に固体に吸着させた状態を示す説明図である。
【図9】図8に示した発光体にVOC蒸気又はガスを作用(接触)させた場合の状況を示す説明図である。
【符合の説明】
【0073】
a 赤色発光
b 青色発光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

(式中、X及びXはそれぞれ独立に水素原子、置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。Yは置換基を含んでも良いアルキレン基を示す。Zは置換基を含んでも良いフェニレン基を示す。R,R,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12,R13,R14はそれぞれ独立に置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。)で示される、ホスホリルアルキロキシ基を置換基として有することを特徴とするフェニルテルピリジン化合物。
【請求項2】
下記式(2):
【化2】

(式中、R,R,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12,R13,R14は前記式(1)と同じ。)で示されるヒドロキシフェニルテルピリジン、及び、
下記式(3):
【化3】

(式中、X及びXは前記式(1)と同じ。Zは脱離基を示す。)で示される、脱離基を有することを特徴とするホスホリル化合物を、塩基の存在下に縮合反応させることを特徴とする、請求項1に記載のホスホリルアルキロキシ基を置換基として有することを特徴とするフェニルテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を置換基として有するフェニルテルピリジン化合物と金属塩との錯化合物。
【請求項4】
金属塩が3価ランタニド塩である請求項1乃至3に記載の錯化合物。
【請求項5】
3価ランタニド塩が3価ユウロピウム塩である請求項1乃至3に記載の錯化合物。
【請求項6】
前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を置換基として有するフェニルテルピリジン化合物とシリカからなる複合体。
【請求項7】
前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を置換基として有するフェニルテルピリジン化合物と固体からなり、下記式(4)
【化4】

(式中、X及びXは。それぞれ独立に水素原子、置換基を含んでも良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アラルキル基、同アリール基、同アルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アラルキロキシ基、同アリールオキシ基又は同複素環式基を示す。Yは置換基を含んでも良いアルキル基を示す。)で示されるホスホン酸類を含んでいても良い複合体。
【請求項8】
前記固体がシリカである請求項7に記載の複合体。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の複合体の製造方法。
【請求項10】
前記式(1)で示されるホスホリルアルキロキシ基を置換基として有するフェニルテルピリジン化合物と金属塩及び固体からなり、前記式(4)で示されるホスホン酸類を含んでいても良い複合体。
【請求項11】
前記固体がシリカである請求項10に記載の複合体。
【請求項12】
前記金属塩が3価ランタニド塩である請求項10に記載の複合体。
【請求項13】
前記3価ランタニド塩が3価ユウロピウム塩である請求項12に記載の複合体。
【請求項14】
請求項10に記載の複合体の製造方法。
【請求項15】
前記式4に記載の化合物の種類や添加量により発光色を制御可能であることを特徴とする請求項3乃至5に記載の錯化合物、又は請求項7乃至14に記載の複合体を含んでなる発光体。
【請求項16】
請求項3乃至5に記載の錯化合物、又は請求項7乃至14に記載の複合体を含んでなる揮発性有機化合物検出材。
【請求項17】
請求項3乃至5に記哉の錯化合物、又は請求項7乃至14に記載の複合体を用いることを特徴とする揮発性有機化合物の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−209047(P2010−209047A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60028(P2009−60028)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(391028122)株式会社ガステック (15)
【Fターム(参考)】