説明

フェニルマロン酸ジニトリルの調製方法

フェニルマロン酸ジニトリルは、パラジウム触媒及び塩基の存在下において、例えばフェニルカリウム化物とマロン酸ジニトリルとの反応により調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルマロン酸ジニトリルの新規調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和化及び飽和化アリールハロゲン化物とマロン酸ジニトリルのC-C結合によるアリールマロン酸ジニトリルを合成する方法は、Chem.Commun.1984,932,JP-A-60 197 650及びWO 00/78712に発表されている。この合成は、不活性溶媒中のパラジウム触媒及び塩基の存在下において実行される。これらは、塩基、特にアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属アミド及びアルカリ金属アルコラートとして発表されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
驚くことに、マロン酸ジニトリルとモノ又はポリ−置換されたフェニル誘導体のC-C結合は、アルカリ金属の水酸化物を既存技術における前記塩基の代わりに用いた場合に調製されるフェニルマロン酸ジニトリルを良好な収率及び良好な純度で得ることができることをここに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、式Iの化合物の調製方法に関連する。
【化1】

式中、Rは、それぞれ別個独立して、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、シアノ-C1-C6アルキル、C2-C6ハロアルケニル、シアノ-C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルキニル、シアノ-C2-C6アルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ニトロ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルスルホニルアミノ、C1-C6アルキルアミノスルホニル、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルカルボニル-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル-C1-C6アルキル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルキニル、シアノ、カルボキシ、フェニル、又はN、O及びSの群から選定された1又は2のヘテロ原子を含む芳香族環(ここで、後者2つの芳香族環は、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノによって又はニトロによって置換されてよい)であり、;或いは
【0005】
R0は、隣接する置換基R1、R2及びR3と飽和又は不飽和化C3-C6炭化水素架橋を形成し、N、O及びSの群から選択された1又は2のヘテロ原子により中断されてよく、並びに/或いはC1-C4アルキルにより置換されてよく;
【0006】
R1、R2及びR3は、それぞれ別個独立して、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6ハロアルケニル、C1-C6アルコキシ-カルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルケニル、シアノ-C2-C6アルケニル、ニトロ-C2-C6-アルケニル、C2-C6ハロアルキニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6-アルキニル、シアノ-C2-C6アルキニル、ニトロ-C2-C6アルキニル、C3-C6ハロシクロアルキル、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルキルチオ-C1-C6アルキル、シアノ、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C6アルコキシ-カルボニル、ヒドロキシ、C1-C10アルコキシ、C3-C6アルケニルオキシ、C3-C6アルキニルオキシ、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C6-ハロアルケニルオキシ、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルコキシ、メルカプト、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ又はフェノキシ(ここでフェニル環は、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3-アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノによって、又は ニトロによって置換されてよく)であり;
【0007】
R2は、更にN、O及びSの群から選定される1又は2のヘテロ原子を含んでよいフェニル、ナフチル又は5-又は6-員環の芳香族環であってよく、ここでフェニル環、ナフチル環及び5-又は6-員環の芳香族環は、ハロゲン、C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロによって或いはホルミルによって置換されてよく;及び/又は
【0008】
フェニル環、ナフチル環、及び5-又は6-員環の芳香族環は、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、モノ-C1-C6アルキルアミノ、ジ-C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルカルボニル-(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルケニル、C3-C6アルケニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルケニルカルボニル、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6-アルケニルスルフィニル、C2-C6アルケニルスルホニル、モノ-又はジ-C2-C6アルケニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6-アルケニル)アミノ、C2-C6アルケニルカルボニルアミノ、C2-C6アルケニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6-アルキニル、C3-C6アルキニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C4-Cアルキニルオキシ、C2-C6アルキニルカルボニル、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6アルキニルスルフィニル、C2-C6アルキニル-スルホニル、モノ-又はジ-C3-C6アルキニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6アルキニル)アミノ、C2-C6アルキニル-カルボニルアミノによって或いはC2-C6アルキニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノによって置換されてよく;及び/又は
【0009】
フェニル環、ナフチル環、及び5-又は6-員環芳香族環は、ハロ置換されたC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、モノ-C1-C6アルキルアミノ、ジ-C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルケニル、C3-C6アルケニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルケニルカルボニル、C2-C6アルケニル-チオ、C2-C6アルケニルスルフィニル、C2-C6アルケニルスルホニル、モノ-又はジ-C2-C6アルケニルアミノ、C1-C6アルキル-(C3-C6アルケニル)アミノ、C2-C6アルケニルカルボニルアミノ、C2-C6アルケニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルキニル、C3-C6アルキニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C4-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルキニルカルボニル、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6アルキニルスルフィニル、C2-C6アルキニル-スルホニル、モノ-又はジ-C3-C6アルキニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6アルキニル)アミノ、C2-C6アルキニル-カルボニルアミノ又はC2-C6アルキニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノによって置換されてよく;及び/又は
【0010】
フェニル環、ナフチル環及び5-又は6-員環芳香族環は、式COOR50、CONR51、S02NR53R54又はS020R55のラジカルによって置換されてよく、ここでR50、R51、R52、R53、R54及びR55は、それぞれ別個独立して、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル又はC3-C6アルキニル又はハロ-、ヒドロキシ-、アルコキシ-、メルカプト-、アミノ-、シアノ-、ニトロ-、アルキルチオ-、アルキルスルフィニル-又はアルキルスルホニルで置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル又はC3-C6アルキニルであり;そしてnは0、1又は2である。
【0011】
この方法は式IIの化合物、
【化2】

(式中、R0、R1、R2、R3及びnは定義された通りであり、並びにXは離核基である)をパラジウム触媒及び塩基の存在下で不活性希釈剤中においてマロン酸ジニトリルと反応させることによる。この方法はアルカリ金属の水酸化物又は複数のアルカリ金属の水酸化物の混合物を塩基として用いることを含んで成る。
【0012】
本方法は:
a)反応物質のボリューム濃度の高さ、
b)商業的に入手できる、又は商業的に入手できるパラジウム塩類、例えば濃塩酸中のパラジウム(II)塩化物溶液(20%)と適当なリガンドから、in situにおいて容易に調製できる多くの数のパラジウム触媒を使用する可能性、
c)特に出発化合物として、異なり且つ立体的に障害とされた離核基を含み得る、2−及び6−位を置換されたフェニル誘導体へのその適用能力、
d)容易に入手し得る出発化合物、
e)シンプルな反応手順、
g)シンプルな処理、並びに
h)一般に生成物の非常に高い収率及び純度、によって区別される。
【0013】
従って、本調製方法は、式Iのアリールマロン酸ジニトリル誘導体の、特に大スケールのための調製に適している。
【0014】
式I及びII化合物の置換基の上記定義において、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素として、好適には、フッ素、塩素又は臭素として理解される。
【0015】
置換基の定義におけるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、第二-ブチル、イソブチル又は第三-ブチル、並びにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシル異性体である。
【0016】
ハロアルキル基は、好適には1から6個の炭素原子の鎖長を有する。ハロアルキルとは、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル又はペンタフルオロエチル、好適にはトリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はジクロロフルオロメチルである。
【0017】
アルコキシ基は、好適には1から6個の炭素原子の鎖長を有する。アルコキシとは、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、第二-ブトキシ、第三-ブトキシ、又はペンチルオキシ及びヘキシルオキシ異性体であり;好適にはメトキシ、エトキシ又はn-プロポキシである。
【0018】
ハロアルコキシとは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ又は2,2,2-トリクロロエトキシである。
【0019】
上記アルケニルの例は、好適には3から6個の炭素原子の鎖長を有すアルケニルラジカルを与えるビニル、アリル、メタリル、1-メチルビニル、ブタ-2-エン-1-イル、ペンテニル及び2-ヘキセニルでよい。
【0020】
上記アルキニルの例は、好適には3から6個の炭素原子の鎖長を有すアルキニルラジカルを与えるエチニル、プロパルギル、1-メチルプロパルギル、3-ブチニル、ブタ-2-イン-1-イル、2-メチルブタ-3-イン-2-イル、ブタ-3-イン-2-イル、1-ペンチニル、ペンタ-4-イン-1-イル及び2-ヘキシニルでよい。
【0021】
ハロアルケニルとして、1以上のハロゲン、特に臭素又はヨウ素であるハロゲン、主にフッ素又は塩素、例えば2-及び3-フルオロプロペニル、2-及び3-クロロプロペニル、2-及び3-ブロモプロペニル、2,2-ジフルオロ-1-メチルビニル、2,3,3-トリフルオロプロペニル、3,3,3-トリフルオロプロペニル、2,3,3-トリクロロ-プロペニル、4,4,4-トリフルオロ-ブタ-2-エン-1-イル及び4,4,4-トリクロロ-ブタ-2-エン-1-イルで置換されたアルケニル基を考慮に入れる。ハロゲンによってモノ-、ジ-又はトリで置換されたアルケニルラジカルは、好適には3から6個の炭素原子の鎖長を有す化合物を与える。当該アルケニル基は、飽和又は不飽和化した炭素原子で、ハロゲンによって置換されてよい。
【0022】
アルコキシアルキル基は、好適には1から6個の炭素原子を有する。アルコキシアルキルとは、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n-プロポキシメチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシメチル又はイソプロポキシエチルである。
【0023】
ハロアルコキシとは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ又は2,2,2-トリクロロエトキシである。
【0024】
アルケニルオキシとは、例えば、アリルオキシ、メタリルオキシ又はブタ-2-エン-1-イルオキシである。
【0025】
ハロアルケニルオキシとして1以上のハロゲンで置換されたアルケニルオキシ基を考慮に入れ、ハロゲンは特に臭素又はヨウ素、主にフッ素又は塩素であり、例えば2-及び3-フルオロプロペニルオキシ、2-及び3-クロロプロペニルオキシ、2-及び3-ブロモプロペニルオキシ、2,3,3-トリフルオロプロペニルオキシ、2,3,3-トリクロロプロペニルオキシ、4,4,4-トリフルオロ-ブタ-2-エン-1-イルオキシ及び4,4,4-トリクロロ-ブタ-2-エン-1-イルオキシである。
【0026】
アルキニルオキシとは、例えば、プロパルギルオキシ又は1-メチルプロパルギルオキシである。
【0027】
適したシクロアルキル置換基は3から8個の炭素原子を含み、そして例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルであり、それぞれ1以上のハロゲン、好適にはフッ素、塩素又は臭素によって置換されてよい。
【0028】
アルキルカルボニルとは、主にアセチル又はプロピオニルである。
【0029】
アルコキシカルボニルとは、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル又はブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルの異性体であり;好適には、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルである。
【0030】
アルキルチオ基とは、好適には1から6個の炭素原子の鎖長を有する。アルキルチオとは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、又はヘキシルチオ、或いはそれらの分岐した異性体であり;好適にはメチルチオ、又はエチルチオである。
【0031】
ハロアルキルチオとは、例えば、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、又は2,2,2-トリクロロエチルチオである。
【0032】
アルキルスルフィニルとは、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、 n-プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、第二-ブチルスルフィニル、又は第三-ブチルスルフィニルであり;好適にはメチルスルフィニル又はエチルスルフィニルである。
【0033】
アルキルスルホニルとは、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピニル-スルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、第二-ブチルスルホニル又は第三-ブチルスルホニル;好適にはメチルスルホニル又はエチルスルホニルである。
【0034】
アルキルアミノとは、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ又はブチル-、ペンチル-及びヘキシル-アミノ異性体である。
【0035】
ジアルキルアミノとは、例えば、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、n-プロピルメチルアミノ、ジブチルアミノ又はジイソプロピルアミノである。
【0036】
アルキルチオアルキルとは、例えば、メチルチオメチル、メチルチオエチル、エチルチオメチル、エチルチオエチル、n-プロピルチオメチル、n-プロピルチオエチル、イソプロピルチオメチル又はイソプロピルチオエチルである。
【0037】
R2の定義中のフェニル及びナフチル、並びにR1、R2及びR3定義中のフェノキシは、置換基の形態であってよい。当該置換基は、この場合オルト-、メタ-及び/又はパラ位にあってよく、そして更に所望されるならば、ナフチル環の5-,6-,7-及び/又は8-位であってよい。
【0038】
R0及びR2の定義におけるN、O及びSの群から選定された1又は2のヘテロ原子を含む、適した5-又は6-員環の芳香族環の例は、ピロリジル(pyrrolidyl)、ピリジル、ピリミジル、トリアジニル、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、フリル、チエニル、ピラゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、インドリル及びキノリルである。これらのヘテロ芳香族環は、更に置換されてよい。
【0039】
上記所定の定義に相当する定義は、組合せの定義における置換基(例えばアルコキシアルコキシ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノスルホニル、フェニルアルキル、ナフチルアルキル及びヘテロアリールアルキル)に適用させてもよい。
【0040】
アルキルカルボニル及びアルコキシカルボニルの定義において、カルボニル炭素原子は、それぞれの特異なケースにおいて与えられる炭素原子の数の下限又は上限を含まない。
【0041】
式Iの化合物で与えられる好例では、式中nは0、1又は2であり;R0は、それぞれ別個独立して、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、ニトロ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6アルキル) アミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルスルホニルアミノ、C1-C6アルキルアミノスルホニル、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル又はカルボキシであり;並びにR1、R2及びR3は、それぞれ別個独立して水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルキニル、C3-C6ハロシクロアルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルキルチオ-C1-C6アルキル、シアノ、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、C1-C10アルコキシ、C3-C6アルケニルオキシ、C3-C6アルキニルオキシ、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C6ハロアルケニルオキシ、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルコキシ、メルカプト、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1-C4アルキルアミノ又はジ(C1-C4アルキル)アミノである。
【0042】
また式Iの化合物で与えられる好例は、式中R1、R2及びR3は、それぞれ別個独立して水素、ハロゲン、Cl-C4アルキル、Cl-C4ハロアルキル、C2-C4アルケニル、C2-C4ハロアルケニル、C2-C4アルキニル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ、C3-又はC4-アルケニルオキシ、C3-又はC4-アルキニルオキシ、C1-C4ハロアルコキシ、ニトロ又はアミノである。
【0043】
式Iの化合物の式中、nが0、並びにR1、R2及びR3がそれぞれ別個独立してC1-C4アルキルである化合物が特に重用である。
【0044】
式Iの化合物の調製は、以下の反応スキーム1において図解する。
【化3】

反応スキーム1によれば、式Iの化合物は、希釈剤に依存して0から250℃の温度で、好適には20から100℃の温度で、塩基と共に適した希釈剤中で、第一の反応段階においてマロン酸ジニトリルを後者の化合物と反応させることから得られる。第二の反応段階において、C-C 結合反応は、希釈剤に依存して0から250℃の温度で、好適には90から150℃の温度で、式IIの化合物、及びパラジウム触媒を付加することによって実施される。
【0045】
パラジウム触媒の存在下におけるマロン酸ジニトリルと式II化合物のC-C結合反応のために好ましい離核基Xは、ハロゲン;R1OS(0)20-、ここでR10はC1-C4アルキル、好適にはメチル、C1-C4ハロアルキル、好適にはハロメチル又はC4F9-(n)、アリール、好適にはフェニル、又は1から3個のハロゲン、メチルによってもしくはハロメチルによって置換されたフェニル;並びにモノ-、ジ-及びトリ-アリールメトキシである。
【0046】
モノ-、ジ-及びトリ-アリールメトキシ基のアリールラジカルは、好適にはフェニルラジカル(例えば、1から3個のメチルによって置換されてよく、当該置換基は好適には フェニル環の2-、4-及び/又は6-位に存在する)である。
【0047】
かかる離核基の例は、メチルスルホニルオキシ(メシル酸エステル)、トリフルオロメチル-スルホニルオキシ(トリフレート)、p-トリルスルホニルオキシ(トシル酸エステル)、CF3(CF2)3S(0)20-(ノナフレート)、ジフェニルメトキシ、ジ(メチルフェニル)メトキシ、トリフェニルメトキシ(トリチル)及びトリ(メチルフェニル)メトキシである。
【0048】
特に好適な離核基は塩素、臭素、ヨウ素、CF3S(0)20-(トリフレート)、CF3(CF2)3S(0)20-(ノナフレート)、p-トリル-S(0)20-(トシル酸エステル)、(C6H5)2CHO-、(CH3-C6H4)2CHO-、(C6H5)3CO-(トリチル)及び(CH3-C6H4)3CO-である。塩素、臭素及びヨウ素はより好適である。
【0049】
式IIの化合物とマロン酸ジニトリルアニオンとのC-C結合反応を考慮に入れたパラジウム触媒は、一般的にパラジウム(II)又はパラジウム(O)錯体、例えばパラジウム(II)2ハロゲン化物、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)スルフェート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0050】
本発明による方法の特に都合の良い変形において、パラジウム触媒は、所望されるリガンドとの錯体(例えば、錯形成すべきパラジウム(II)塩、例えばパラジウム(II)2塩化物(PdCl2)又はパラジウム(II)酢酸エステル(Pd(OAc)2)、と所望されるリガンド、例えばトリフェニルホスフィン(PPh3) 又はトリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)、と選定された希釈物、マロン酸ジニトリル及び塩基を配置することによる)によって パラジウム(II)又はパラジウム(0)化合物 からin situにおいて調製することもできる。パラジウム(II)2塩化物は、濃塩酸中の20%PdCl2溶液の形態において安価のパラジウム塩として用いることもできる。所望されるリガンドを、好都合には、パラジウム塩に関して10molまでの過剰量で反応媒体に付加する。反応媒体を加熱することにより、その後in situにおいて、所望されるC-C結合反応のため、パラジウム(II)又はパラジウム(0)錯体(当該錯体は、その後C-C結合反応を開始する)を形成させる。
【0051】
パラジウム(II)及びパラジウム(0)錯体のために適したリガンドの例は、トリメチル-ホスフィン、トリエチルホスフィン、トリス(第三-ブチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロ-ヘキシルホスフィン(PCy3)、トリ(メチルシクロヘキシル)ホスフィン、メチル(テトラメチレン)ホスフィン、第三-ブチル(ペンタメチレン)ホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリ(メチルフェニル)-ホスフィン、1,2-ジフェニルホスフィンシクロヘキサン、1,2-ジフェニルホスフィンシクロペンタン、2,2'-(ジフェニルホスフィン)-ビフェニル、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)エタン、1,3-ビス(ジフェニル-ホスフィン)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン、3,4-ビス(ジフェニルホスフィン)-ピロリジン、2,2'-(ジフェニルホスフィン)-ビスナフチル(Binap)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィン)-フェロセン、1,1'-ビス(ジ-第三-ブチルホスフィン)フェロセン、ジフェニルエーテルビスジフェニルホスフィンであり、
【化4】

式中、R10は水素又はジメチルアミノであり、そしてR11はシクロヘキシル又は第三-ブチルである。
【0052】
かかるパラジウム触媒は、式IIの化合物に基づき、0.001から100mol%の量、特に0.01から10mol%の量、更に0.1から1mol%の量が使用される。
【0053】
反応スキーム1)におけるマロン酸ジニトリルアニオン(ステップ1)の形態のため、及び反応スキーム1)における式II(ステップ2)の化合物と共にパラジウムで触媒処理されるC-C結合反応のためにも適する希釈剤は、脂肪族、環式脂肪族、及び芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン又はキシレン、脂肪族ハロ炭化水素類、例えばメチレンクロライド、クロロホルム或いはジ-又はテトラ-クロロエタン、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル又はベンゾニトリル、エーテル類、例えばジエチル エーテル、ジブチル エーテル、第三-ブチル メチル エーテル、エチレングリコール ジメチル エーテル、エチレン グリコール ジエチル エーテル、ジエチレン グリコール ジメチル エーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレン グリコール、ジエチレン グリコール、エチレン グリコール モノメチル又はモノエチル エーテル 又はジエチレン グリコール モノメチル又はモノエチル エーテル、ケトン類、例えばアセトン又はメチル イソブチル ケトン、エステル類又はラクトン類、例えばエチル又はメチル アセテート 又は バレロラクトン、N-置換されたラクタム類、例えばN-メチルピロリドン(NMP)、アミド類、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMA)、非環式尿素類、例えばN,N'-ジメチルエチレン尿素(DMI)、スルホキシド類、例えばジメチル スルホキシド、又はかかる希釈剤の混合物である。それらの中で特に好適なものは、芳香族炭化水素類、エーテル類、スルホキシド類、N-置換されたラクタム類、アミド類及び非環式尿素類である。
【0054】
N-メチルピロリドンは更に好適である。
【0055】
適当な上記希釈剤の1つとの混合物では、希釈剤として水も適している。
【0056】
本発明にかかるマロン酸ジニトリルアニオンの調製のため、複数のアルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属の水酸化物の混合物、好適には水酸化ナトリウム及びカリウム並びにそれらの水酸化物の混合物、主に水酸化ナトリウムを考慮に入れる。
【0057】
塩基は、マロン酸ジニトリルに対し、好適には同当量又は2から10当量過剰量で使用される。
【0058】
マロン酸ジニトリルアニオンの形態、及びパラジウム触媒の存在下における式IIの化合物とのそれらの反応は、使用する反応媒体及び反応圧に依存して好都合には0から250℃の反応温度、好適には50から200℃の温度で実施される。
【0059】
仮に特定の式IIの化合物とマロン酸ジニトリルアニオンのC-C結合反応は、上昇した圧力、好適には1.1から10 bar、で実施することができる。かかる手順は、上昇した圧力下での密閉システムにおいて実施され、使用される溶媒の沸点を超える温度、例えばトルエンの場合140℃の温度、での反応に特に適する。
【0060】
C-C結合反応のため用いられる非常に少量のパラジウム触媒(容易に分解し得る)を考慮して、当該触媒は不活性ガス環境下において、そして反応スキーム1)において付加する試薬の順序(ステップ2)のまさにその最後で反応混合物中で計測されるのが好都合である。
【0061】
式中Xが、例えばハロゲンである式IIの化合物は公知であり、又は公知の方法、例えば式VIIIの適宜置換されたアニリン類からのSandmeyer反応、によって調製することができる。
【化5】

式中、R0、R1、R2、R3及びnは、対応のジアゾニウム塩類による式Iの定義の通りである。
【0062】
式中Xが、例えば、R10S(0)20- 或いはモノ-、ジ-又はトリ-アリールメトキシである式IIの化合物は、式IXに対応するフェノール類から標準方法によって調製することができる。
【化6】

式中、R0、R1、R2、R3及びnは定義の通りである。
【0063】
式VIIIの置換されたアニリン類はいずれも公知であり、又は発表された通りの公知の方法に従って、例えば、EP-A-0 362 667中のオレフィンを用いたアニリンのアルキル化により調整することができる。
【0064】
同様に、式IXの置換されたフェノール類はいずれも公知であり、又は慣例の方法に従って、例えば、いわゆる“フェノール煮沸(phenolic boiling)”による式VIIIに対応するアニリン又はそれらのジアゾニウム塩類から調製することができる。
【0065】
下記の反応スキーム2は、式IIの化合物の調製方法の可能性を図解する。
【化7】

式Iの置換されたアリールジニトリル類は、特に置換された3-ヒドロキシ-4-アリール-5-オキソピラゾリン誘導体の調製における中間体として使用され、それは例えばWO 99/47525の除草剤として公知である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下の実施例は、更に本発明を説明する。実施例は本発明を制限するものではない。
【0067】
調製例:
【実施例1】
【0068】
2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製。
窒素環境下において、13.9gのマロン酸ジニトリルを常圧及び室温で、240gの1-メチル-2-ピロリドン中の20.4gの粉末(pulverulent)水酸化ナトリウムへ付加する。45.5gの2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンの付加後、当該反応混合物を撹拌しながら125℃に加熱する。この温度で1.3gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の1.06gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液 (0.354gのPd(II)塩化物及び0.708gの濃塩酸に相当する20%Pd 含有) 及び97.6gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加した。125から130℃で更に3時間撹拌し、そして283gの希釈剤を減圧蒸留する(17から100mbar)。室温へ冷却後、当該反応混合物を70gの水へ付加する。38gの濃塩酸(5未満のpH値がその後設定される)の付加後、沈殿させた固体をろ過しそして60gの水で洗浄する。乾燥後、74から78℃の融点を有する42.4gの2-(2,6ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリル(92.3%含有、収率92.3%)が得られる。
【実施例2】
【0069】
2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製。
窒素環境下、14.2gのマロン酸ジニトリルを、48gの50%水酸化ナトリウム水溶液及び300gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物へ、常圧及び室温で付加する。反応混合物を60から100℃へ加熱し、そして98gの希釈剤を減圧下で蒸留する(25から30mbar)。窒素環境下、45.5gの2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを常圧で付加する。当該反応混合物をその後撹拌しながら130℃へ加熱する。この温度で、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.2gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071g のPd(II)塩化物及び0.142gの濃塩酸に相当する20%Pd含有)、及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該混合物を125から130℃で、更に3時間撹拌し、そして199gの希釈剤を減圧下(20から25mbar)において90から100℃で蒸留する。室温へ冷却後、当該反応混合物を126gの水へ加える。4.5gのHyflo(セライト)をそこへ付加し、そしてろ過する前に当該混合物を30分間40℃で撹拌する。フィルターケーキを114gの水で洗浄する。
【0070】
45gの32%塩酸をろ過液へ付加後(5未満のpH値をその後設定する)、沈殿した固体をろ過し、120gの水で洗浄する。乾燥後、79から82℃の融点を有する42.8g(97.3%含有、収率98.0%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【実施例3】
【0071】
2-フェニルマロン酸ジニトリルの調整。
【0072】
窒素環境下、常圧で、7mlの1-メチル-2-ピロリドン中に溶解させた14gのマロン酸ジニトリルを、20から25℃で機械的に撹拌される300mlの1-メチル-2-ピロリドン中の24.1gの水酸化ナトリウム(ペレット)の混合物へ30分間連続して滴下付加する。10から30mbarの真空排気を行い、そして80から100℃で、適宜100mLの溶媒を蒸留する。常圧に設定した後、32gのブロモベンゼンを付加し、そして反応混合物を125℃に加熱する。その温度で、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.21gの商業的に入手できるパラジウム(II)塩化物溶液 (0.142gの濃塩酸中の0.071gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd内容物)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該反応混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌し、その後、更に180mlの溶媒を20から60mbarで蒸留する。3gのHyflo及び150mLの水を50℃へ冷却した残留物に付加する。当該反応混合物を10分間激しく撹拌し、そしてその後Hyfloでのろ過により精製する。当該フィルターを120 mLの水で引き続き(3回に分けて)洗浄する。組合せた水性相を濃塩酸を用いてpH<3に調整し、そしてその後第三-ブチルメチルエーテルにより抽出する(2×200ml)。
【0073】
有機相を水(80mL)で一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮する。一時を待った後に結晶化した27.6g(95%)の2-フェニルマロン酸ジニトリル、オイルが得られる;m.p.66-68℃。
【0074】
以下は実施例3と類似する調製で得られる:
35gの4-ブロモトルエン、31.2g(99%)の2-(p-トリル)マロン酸ジニトリル、m.p.57-59℃からの出発;
40.6gの2,4,6-トリメチルブロモベンゼン、37.2g(98%)の2-(2,4,5-トリメチル-フェニル)マロン酸ジニトリル、m.p.91-93℃からの出発;
37.8gの2,6-ジメチルブロモベンゼン、34g(96%)の(2,6-ジメチルフェニル)-マロン酸ジニトリル、m.p.83-85℃からの出発及び、
37.4gの2-エチルブロモベンゼン、25.6g(72%)の(2-エチルフェニル)マロン酸ジニトリル、オイル、nD201.518からの出発。
【実施例4】
【0075】
2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調整
窒素環境下及び常圧で、7mlの1-メチル-2-ピロリドンに溶解させた14g(217mmol)のマロン酸ジニトリルを機械的に撹拌する300mlの1-メチル-2-ピロリドン中の24.1g(600mmol)の水酸化ナトリウム(ペレット)の混合物へ20から25℃で30分間連続して滴下付加する。10から30mbarで真空排気を行い、80から100℃で113gの溶媒を蒸留する。常圧に設定した後、48g(94.9%含有;200mmol)の2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加し、そして当該反応混合物を130℃へ加熱する。その温度で、0.26g(1mmol)のトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.21gの商業的に入手できるパラジウム(II)塩化物溶液(0.142gの濃塩酸中の0.071g(400μmol)中のパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。表面下に窒素を導入し、当該反応混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌する。更に165gの溶媒を20から60mbarで蒸留する。2.3gのHyflo及び150mlの水を50℃に冷却した残留物に付加する。当該反応混合物を10分間激しく撹拌し、そしてその後Hyfloでのろ過により精製する。フィルターを引き続き55mlの水で洗浄する。組合せた水性相を91gのトルエンで1回抽出する。当該有機層を分離し、及び捨てる。30gのトルエン/水を20から70℃且つ200から250 mbarで水性相から蒸留する。生成物が結晶化しそしてpH値が4.0から4.5まで低下する過程の間中、20から25℃で、45.7gの32%塩酸を連続して60から80分間、蒸留スンプへ付加する。吸引ろ過を行い、その後、120 mlの水で洗浄する(2回に分けて)。当該生成物を16時間、100から250 mbarの真空乾燥キャビネットで乾燥する。42.2g(98.2%含有;収率97.6%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【実施例5】
【0076】
2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製
a)窒素環境下及び常圧で、3.5mlの1-メチル-2-ピロリドンに溶解させた7gのマロン酸ジニトリルを機械的に撹拌した150mlのジメチル スルホキシド中の12gの水酸化ナトリウム(ペレット)の混合物へ30分間、20から30℃で滴下付加する。10から30 mbarの真空排気を行い、そして79.1gの溶媒を80から100℃で蒸留する。常圧に設定後、24g(94.9%含有)の2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加し、そして当該反応混合物を130℃へ加熱する。その温度で、0.13gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.1gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gの濃塩酸中の0.035gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び9.6gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌する。更に59.5gの溶媒を20から60mbarで蒸留する。1.5gのHyflo及び75mlの水を50℃へ冷却した残留物に付加する。当該反応混合物を10分間激しく撹拌し、その後Hyfloでのろ過により精製する。その後フィルターを50mlの水で洗浄する。生成物を結晶化し、そしてpH値を4.0から4.5まで低下させる過程の間中、23.3gの32%塩酸を60から80分間、20から25℃で、連続してろ過液へ付加する。吸引ろ過を行い、引き続き100mlの水で(2回に分けて)洗浄する。当該生成物を真空乾燥キャビネット中で16時間、100から250mbarで乾燥する。20.6g(97.9%含有;収率95.1%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【0077】
b)窒素環境下及び常圧で、7mlの1-メチル-2-ピロリドン中に溶解させた14gのマロン酸ジニトリルを30分間連続して、20から30℃で、機械的に撹拌した300gのN,N-ジメチルアセトアミド中の24.1gの水酸化ナトリウム(ペレット)の混合物へ滴下付加する。10から30mbarでの真空排気を行い、そして80から100℃で100gの溶媒を蒸留する。常圧に設定後、48g(94.9%含有)の2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加し、そして当該反応混合物を130℃へ加熱する。この温度で、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.21gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.142gの濃塩酸中、0.071gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。
【0078】
当該反応混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌する。更にその後181gの溶媒を20から60mbarで蒸留する。2gのHyflo及び150mlの水を50℃に冷却した残留物に付加する。当該反応混合物を10分間激しく撹拌し、その後Hyfloでのろ過により精製する。フィルターをその後50mLの水で洗浄する。組合せた水性相を91gのトルエンで1回抽出する。有機相を分離し、そして捨てる。30gのトルエン/水を20から70℃、200から250 mbarで水性相から蒸留する。生成物が結晶化し、そしてpH値が4.0から4.5まで低下する過程の間中、41.3gの32%塩酸を60から80分間、20から25℃で、蒸留スンプへ連続して付加する。吸引ろ過を行い、その後、120mlの水で(2回に分けて)洗浄する。当該生成物を16時間、100から250 mbarの真空乾燥キャビネットで乾燥させる。41.9g(97.8%含有;収率96.6%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【0079】
c)窒素環境下及び常圧で、7mlの1-メチル-2-ピロリドン中に溶解させた14gのマロン酸ジニトリルを30分間連続して、20から30℃で、機械的に撹拌した300gの1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン中の24.1gの水酸化ナトリウム(ペレット)の混合物へ滴下付加する。10から30mbarで真空排気を行い、そして80から120℃で136gの溶媒を蒸留する。常圧に設定後、48g(94.9%含有)の2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加し、そして当該反応混合物を130℃へ加熱する。この温度で、0.26gのトリフェニル−ホスフィン、濃塩酸中の0.21gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.142gの濃塩酸中の0.071gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。
【0080】
当該反応混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌する。更にその後167gの溶媒を20から60mbarで蒸留する。2gのHyflo及び155mlの水を50℃に冷却した残留物に付加する。当該反応混合物を10分間激しく撹拌し、その後Hyfloでのろ過によって精製する。フィルターをその後50mLの水で洗浄する。組合せた水性相を91gのトルエンで1回抽出する。有機相を分離し、そして捨てる。30gのトルエン/水を20から70℃、200から250mbarで水性相を蒸留する。生成物が結晶化しそしてpH値が4.0から4.5まで低下する過程の間中、42.9gの32%塩酸を60から80分間、20から25℃で、蒸留スンプへ連続して付加する。吸引ろ過を行い、その後、120 mlの水で(2回に分けて)洗浄する。当該生成物を16時間、100から250 mbarの真空乾燥キャビネットで乾燥させる。41.4g(97.5%含有;収率95.2%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【実施例6】
【0081】
2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製。
窒素環境下で67.3gの50%水酸化カリウム溶液及び300mLの1-メチル-2-ピロリドンの混合物へ14.2gのマロン酸ジニトリルを常圧及び常温で付加する。当該反応混合物を60から100℃に加熱し、そして106gの希釈剤を減圧で蒸留する(20から30mbar)。窒素環境下及び常圧で、45.5gの2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加する。当該反応混合物を、その後撹拌しながら120℃に加熱する。この温度で、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.2gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gのパラジウム(II)塩化物及び0.142gの濃塩酸に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。120から125℃で1時間撹拌し、そしてその後、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.2gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gのパラジウム(II)塩化物及び0.142gの濃塩酸に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を再び付加する。当該反応混合物を3時間、120から125℃で撹拌し、その後、更に237gの希釈剤を減圧(20から30mbar)、且つ80から120℃で蒸留する。当該反応混合物を45℃へ冷却後、100mLのトルエン及び220gの水を付加し、そして15分間激しく撹拌する。当該2-相混合物を分離するため、分離漏斗へ移す。有機相を捨てる。水性相を単離し、そして43.4gの原料を減圧(250から300mbar)及び70から110℃で蒸留する。生成物が結晶化しそしてpH値が4.0から4.5まで低下する過程の間中、48.5gの32%塩酸を連続して60から80分間、蒸留スンプへ付加する。吸引ろ過を行い、その後、130mlの水で(2回に分けて)洗浄する。当該生成物を16時間、100から250mbarの真空乾燥キャビネットで乾燥させる。37.2g(97.7%含有;収率85.7%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【0082】
比較例テストC1
【0083】
水素化ナトリウムを用いた2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製。
窒素環境下及び常圧で、4.8g(120mmol)の60%水素化ナトリウムを60mlのヘキサン中で懸濁させる。当該懸濁物をそのまま放置する。分離した溶媒を移す。100gの1-メチル-2-ピロリドンを固形物へ付加し、そして30分間連続して、3.7g(54mmol)のマロン酸ジニトリル及び4gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を室温で供給する。当該混合物を65℃に加熱し、11.4g(50mmol)の2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加する。当該反応混合物をその後、125から130℃加熱し、そして0.065gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.4gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.035gの濃塩酸中の0.018gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び4.8gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該反応混合物を、その後、75分間、120から130℃で撹拌する。0.13gのトリフェニル-ホスフィン、濃塩酸中の0.1gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gの濃塩酸中の0.035gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び9.7gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を再び付加する。当該反応混合物を、その後、3時間、120から130℃で撹拌する。当該反応混合物を室温に冷却後、1.3gの水を付加する。100mlの溶媒をその後、減圧(20から25mbar)、70から110℃で蒸留する。95gの水及び100 mlのトルエンを当該残留物に付加する。30分間激しく撹拌する。2相混合物を分離漏斗で分離する。有機層を捨てる。水性相を単離し、そして30gの原料を減圧(100から150mbar)及び40から60℃で蒸留する。生成物が結晶化し、そしてpH値が4.0から4.5まで低下する過程の間中、7.7gの32%塩酸を連続して、60から80分間、蒸留スンプへ付加する。吸引ろ過を行い、その後、40mlの水で(2回に分けて)洗浄する。当該生成物を16時間、100から250 mbarの真空乾燥キャビネットで乾燥させる。7.7g(98.6%含有;収率72%)の2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルが得られる。
【0084】
比較例テストC2
【0085】
炭酸ナトリウムを用いた2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリルの調製。
窒素環境下及び常圧で、7mlの1-メチル-2-ピロリドン中に溶解した14gのマロン酸ジニトリルを、機械的に撹拌する200mLの1-メチル-2-ピロリドン中の64gの炭酸ナトリウム混合物へ、30分連続して、20から25℃で滴下付加する。当該反応混合物を100℃へ加熱し、そして当該混合物を120℃へ加熱した後、45.5gの2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを付加する。この温度で、0.26gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.21gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.142gの濃塩酸中の0.071gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び19.5gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該反応混合物を2から3時間、125から140℃で撹拌する。サンプルのガスクロマトグラフィー(1mlの反応混合物を2mlの1 N 塩酸及び2mlの第三-ブチルメチルエーテル間で分割する)では、その生成物(2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリル)が形成されなかったことを示す。
【0086】
比較例テストC3
【0087】
ナトリウムエトキシドを用いた 2-(2,6-ジエチル-4-メチルフィニル)マロン酸ジニトリルの調製。
21.5gのナトリウムエトキシド及び150gの1-メチル-2-ピロリドンを窒素環境下、及び常圧で機械的に撹拌する。7.3gのマロン酸ジニトリルをそこへ滴下付加する。58gの希釈剤を100から120℃、減圧下(20から30 mbar)で蒸留する。窒素環境下、及び常圧で、22.7gの2-ブロモ-1,3-ジエチル-5-メチルベンゼンを110℃で付加する。当該反応混合物を125℃に加熱する。この温度で、0.13gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.1gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gの濃塩酸中の0.035gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び9.6gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を付加する。当該反応混合物を120から130℃で、1時間加熱する。0.13gのトリフェニルホスフィン、濃塩酸中の0.1gの商業的に入手し得るパラジウム(II)塩化物溶液(0.071gの濃塩酸中の0.035gのパラジウム(II)塩化物に相当する20%Pd含有)及び9.6gの1-メチル-2-ピロリドンの混合物を再び付加する。当該反応混合物を2時間、120から130℃で撹拌する。サンプルのガスクロマトグラフィー(1mlの反応混合物を2mlの1N塩酸及び2mlの第三-ブチル メチル エーテル間に分割する)は、生成物(2-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)マロン酸ジニトリル) が形成されなかったことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の調製方法であって、
【化1】

(式中、Rは、それぞれ別個独立して、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、シアノ-C1-C6アルキル、C2-C6ハロアルケニル、シアノ-C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルキニル、シアノ-C2-C6アルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ニトロ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルスルホニルアミノ、C1-C6アルキルアミノスルホニル、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルカルボニル-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル-C1-C6アルキル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルキニル、シアノ、カルボキシ、フェニル、又はN、O及びSの群から選定された1又は2のヘテロ原子を含む芳香族環(ここで、後者2つの芳香族環は、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノによって又はニトロによって置換されてよい)であり、;或いは
R0は、隣接する置換基R1、R2及びR3と飽和又は不飽和化C3-C6炭化水素架橋を形成し、N、O及びSの群から選択された1又は2のヘテロ原子により中断されてよく、並びに/或いはC1-C4アルキルにより置換されてよく;
R1、R2及びR3は、それぞれ別個独立して、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6ハロアルケニル、C1-C6アルコキシ-カルボニル-C2-C6アルケニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6アルケニル、シアノ-C2-C6アルケニル、ニトロ-C2-C6-アルケニル、C2-C6ハロアルキニル、C1-C6アルコキシカルボニル-C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルカルボニル-C2-C6-アルキニル、シアノ-C2-C6アルキニル、ニトロ-C2-C6アルキニル、C3-C6ハロシクロアルキル、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルキルチオ-C1-C6アルキル、シアノ、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C6アルコキシ-カルボニル、ヒドロキシ、C1-C10アルコキシ、C3-C6アルケニルオキシ、C3-C6アルキニルオキシ、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C6-ハロアルケニルオキシ、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルコキシ、メルカプト、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ又はフェノキシ(ここでフェニル環は、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3-アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノによって、又は ニトロによって置換されてよく)であり;
R2は、更にN、O及びSの群から選定される1又は2のヘテロ原子を含んでよいフェニル、ナフチル又は5-又は6-員環の芳香族環であってよく、ここでフェニル環、ナフチル環及び5-又は6-員環の芳香族環は、ハロゲン、C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロによって或いはホルミルによって置換されてよく;及び/又は
フェニル環、ナフチル環、及び5-又は6-員環の芳香族環は、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6-アルコキシ-C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、モノ-C1-C6アルキルアミノ、ジ-C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルカルボニル-(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルケニル、C3-C6アルケニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルケニルカルボニル、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6-アルケニルスルフィニル、C2-C6アルケニルスルホニル、モノ-又はジ-C2-C6アルケニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6-アルケニル)アミノ、C2-C6アルケニルカルボニルアミノ、C2-C6アルケニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6-アルキニル、C3-C6アルキニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C4-Cアルキニルオキシ、C2-C6アルキニルカルボニル、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6アルキニルスルフィニル、C2-C6アルキニル-スルホニル、モノ-又はジ-C3-C6アルキニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6アルキニル)アミノ、C2-C6アルキニル-カルボニルアミノによって或いはC2-C6アルキニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノによって置換されてよく;及び/又は
フェニル環、ナフチル環、及び5-又は6-員環芳香族環は、ハロ置換されたC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ-C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、モノ-C1-C6アルキルアミノ、ジ-C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルキルカルボニルアミノ、C1-C6アルキルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルケニル、C3-C6アルケニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C2-C6アルケニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルケニルカルボニル、C2-C6アルケニル-チオ、C2-C6アルケニルスルフィニル、C2-C6アルケニルスルホニル、モノ-又はジ-C2-C6アルケニルアミノ、C1-C6アルキル-(C3-C6アルケニル)アミノ、C2-C6アルケニルカルボニルアミノ、C2-C6アルケニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノ、C2-C6アルキニル、C3-C6アルキニルオキシ、ヒドロキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C3-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ-C4-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルキニルカルボニル、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6アルキニルスルフィニル、C2-C6アルキニル-スルホニル、モノ-又はジ-C3-C6アルキニルアミノ、C1-C6アルキル(C3-C6アルキニル)アミノ、C2-C6アルキニル-カルボニルアミノ又はC2-C6アルキニルカルボニル(C1-C6アルキル)アミノによって置換されてよく;及び/又は
フェニル環、ナフチル環及び5-又は6-員環芳香族環は、式COOR50、CONR51、S02NR53R54又はS020R55のラジカルによって置換されてよく、ここでR50、R51、R52、R53、R54及びR55は、それぞれ別個独立して、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル又はC3-C6アルキニル又はハロ-、ヒドロキシ-、アルコキシ-、メルカプト-、アミノ-、シアノ-、ニトロ-、アルキルチオ-、アルキルスルフィニル-又はアルキルスルホニルで置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル又はC3-C6アルキニルであり;そしてnは0、1又は2である)
式IIの化合物の反応を、
【化2】

(式中、R0、R1、R2、R3及びnは定義された通りであり、並びにXは離核基である)パラジウム触媒及び塩基の存在下で不活性希釈剤中においてマロン酸ジニトリルと反応させ、ここで、アルカリ金属の水酸化物又は複数のアルカリ金属の水酸化物の混合物を塩基として用いることを含んで成る方法。
【請求項2】
前記式IIの化合物中のXが、ハロゲン;R1OS(0)20-であり、ここでR10はメチル、ハロメチル、C4F9-(n)、フェニル、又は1から3個のハロゲン、メチルによってもしくはハロメチルによって置換されたフェニル;或いはモノ-、ジ-又はトリ-アリールメトキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Xが、塩素、臭素、ヨウ素、CF3S(0)20-(トリフレート)、CF3(CF2)3S(0)20-(ノナフレート)、p-トリル-S(0)20-(トシル酸エステル)、(C6H5)2CHO-、(CH3-C6H4)2CHO-、(C6H5)3CO-(トリチル)又は(CH3-C6H4)3CO-である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Xが、塩素、臭素、又はヨウ素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パラジウム触媒として、パラジウム(II)2ハロゲン化物、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)スルフェート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)2塩化物、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パラジウム触媒が、ホスフィンリガンドとの錯形成によってパラジウム(II)又はパラジウム(0)化合物からin situにおいて調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パラジウム触媒が、式IIの化合物に基づき0.001から100mol%の量で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記希釈剤として、脂肪族、環式脂肪族、又は芳香族炭化水素、脂肪族ハロ炭化水素、ニトリル、エーテル、アルコール、ケトン、エステルもしくはラクトン、N-置換されたラクタム、アミド、非環式尿素、スルホキシド、又は水、或いはそれらの希釈剤の混合物が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記芳香族炭化水素として、エーテル、N-置換されたラクタム、アミド、非環式尿素、又はスルホキシドが使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
N-メチルピロリドンが使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩基として、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、或いは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの混合物が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記水酸化ナトリウムが塩基として使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、マロン酸ジニトリルに対し、同当量又は2から10当量の過剰量で使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記反応が、0℃から250℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記マロン酸ジニトリルと式IIの化合物の反応が、上昇した圧力で実施される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2006−509006(P2006−509006A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556295(P2004−556295)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013716
【国際公開番号】WO2004/050607
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】