説明

フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物、それからなる化粧料原料および光沢化粧料

【課題】組成物全体が高屈折率を呈し、化粧料への配合安定性、取り扱い性にすぐれ、その粘度を容易に調整可能なフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物、該組成物からなる化粧料原料、それを含有してなる化粧料、特にメイクアップ化粧料の提供を目的とする。
【解決手段】組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物であって、好適には、(A)数平均分子量が500〜2,000の範囲であるフェニルシルセスキオキサン樹脂および(B)屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを含有してなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高屈折率であり、化粧料に配合した場合に、優れたツヤ、輝きおよび光沢を付与し、かつ高屈折率を維持したまま容易にその粘度を調整できるため、化粧料への配合安定性および取り扱い性にすぐれたフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物に関する。また、本発明は、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物からなる化粧料原料、それを配合してなる光沢および使用感に優れた化粧料に関する。さらに、本発明は、該組成物の簡便な製造方法およびその粘度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェニルシルセスキオキサン樹脂に代表されるフェニル基を有するシリコーン樹脂やメチルフェニルポリシロキサンは化粧料の成分として広く使用されており、毛髪等に光沢を与えることも知られている(例えば、特許文献1参照)。また、INCI名では、「フェニルトリメチコン」として知られるメチルフェニルポリシロキサンは、化粧料にツヤと光沢を付与することができることから、化粧料の分野で広く使用されている(特許文献2)。さらに、フェニル基を有するシリコーン化合物が、高屈折率を有することは広く知られており、屈折率のコントロールにおいて、ポリシロキサン側鎖の置換基をフェニル基とすることで、高屈折率化することができることも知られている(例えば、非特許文献1または非特許文献2)。また、特許文献3には、フェニル基含有量が50%以上のアルキルフェニルポリシロキサンを必須の構成成分とする、透明感とつややかさにすぐれた化粧料が提案されている。
【0003】
しかしながら、フェニル基を有するシリコーン樹脂は透明感および屈折率に優れるが、その粘度調整が困難であり、通常のシリコーンオイルで希釈して使用すると、組成物全体の屈折率が1.50以上(より好適には1.55〜1.60)に維持することができず、その屈折率が低下して化粧料に十分な光沢を付与することができないという問題があった。一方、メチルフェニルポリシロキサンは、屈折率に優れるものであるが、フェニル基の置換率を50%以上とし、かつ200mPa・sを超えるような高粘度のメチルフェニルポリシロキサンを容易に製造することが一般に困難であり、さらに、鎖状のメチルフェニルポリシロキサンは、三次元架橋構造を有しないため、低粘度を呈し、化粧料から溶出しやすく、単独で配合した場合、特に化粧料に対する継続的な光沢の付与および使用感の改善は十分に満足できるものではなかった。
【0004】
一方、特許文献4には、光沢の付与等を目的として、重量平均分子量2,000〜30,000のプロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂と、フェニルシリコーン等の芳香族溶媒および任意で共溶媒を含有してなる化粧用組成物が開示されている。さらに、特許文献5には、フェニルシリコーンオイルとフェニル基を有するシリコーンパウダーと共に化粧料に配合することが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのプロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂を含有する組成物は、高屈折率であるため、化粧料に対する継続的な光沢の付与に一定の効果を発揮するものであるが、その外観、使用感においてさらなる改善が求められていた。さらに、かかる組成物は、プロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂と特にフェニルシリコーンとの相溶性が不十分となってオイル成分の分離を生じやすく、均一な組成物を容易に得ることが困難であった。特に、該成分を配合した化粧料の保存安定性が不十分であるという問題があった。また、その粘度をコントロールすることが困難であるという問題があった。さらに、シリコーンパウダーとフェニルシリコーンオイルを併用した系では、使用感を改善できるが、ツヤや輝きといった外観や十分な屈折率と透明感の点で、さらなる改善が求められており、さらにその保存安定性も十分に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−234012号公報
【特許文献2】特開平01−168607号公報
【特許文献3】特開平07−089844号公報(特登録3207030)
【特許文献4】特開2009−19033号公報
【特許文献5】特開2007−39373号公報
【非特許文献1】東レ・ダウコーニング社カタログ「パーソナルケア用シリコーン No.Y517」P.13、2009年2月1日発行
【非特許文献2】シリコーンハンドブック(日刊工業新聞社、伊藤邦雄 著、p.404)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものである。本発明の目的は、組成物全体が高屈折率を呈し、フェニルシルセスキオキサン樹脂とフェニル基含有オルガノポリシロキサンが均一に相溶しているために、化粧料への配合安定性、取り扱い性にすぐれ、その粘度を容易に調整可能なフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。さらに、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物からなり、化粧料に配合した場合にその使用感を改善することができ、かつ化粧料の使用時に継続的なツヤ、輝きおよび光沢を付与することができる化粧料原料の提供を目的とする。さらに、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有する化粧料、特にメイクアップ化粧料の提供を目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を、各成分が均一に相溶した状態で容易に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。同様に、本発明は、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を、高屈折率を維持したまま、容易にその粘度を調整する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明の目的は、組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物により達成される。
【0010】
より具体的には、(A)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した数平均分子量が500〜2,000の範囲であり、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂および(B)25℃で液状であり、屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを所定の範囲で含有してなるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物により達成される。同様に、上記発明の目的は、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の化粧料原料としての使用および該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料により、達成される。
【0011】
また、上記発明の目的は、前記の(A)成分および(B)成分を有機溶剤の存在下で混合する工程(I) および上記工程(I)の後、混合系から有機溶剤を除去する工程(II)を有することを特徴とするフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の製造方法により好適に達成され、前記の(A)成分および(B)成分の配合比を、1:0.5〜1:10の範囲で調整する事により、組成物全体を高屈折率に保ちながら、25℃における組成物全体の粘度を200〜100,000mPa・sの範囲に調整することを特徴とする、フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度の調整方法により達成される。
【0012】
すなわち、上記目的は、
「[1] 組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
[2] (A)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した数平均分子量が500〜2,000の範囲であり、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂 100質量部 および(B)25℃で液状であり、分子中に下記構造式(1)で示されるフェニルシロキシ単位を有する、屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン(ただし、成分(A)に該当するものを除く) 50〜1,000質量部 を含有してなる、[1]に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1):
【化1】

(式中、Rは各々独立に、置換または非置換の一価炭化水素基である。)
[3] 前記の成分(A)が、数平均分子量が750〜1,800の範囲であり、樹脂を構成するシロキシ単位の40モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂であり、前記の成分(B)が、下記構造式(1−1)で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンであることを特徴とする、[1]または[2]に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1−1)
【化2】

(式中、Rは、フェニル基、アラルキル基、水素原子、水酸基または炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはフッ化アルキル基から選択される基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n1は0〜1000の範囲の数である。)
[4] 組成物全体の屈折率が1.50〜1.60であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜100,000mPa・sの範囲にある[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
[5] 前記(A)成分が、数平均分子量が750〜1,800であり、分子鎖末端に1以上の水酸基を有し、樹脂を構成するシロキシ単位の60〜100モル%が、フェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
[6] 前記の成分(B)が、下記構造式(1−2)で示されるフェニルテトラシロキサン、フェニルトリシロキサンまたはフェニルジシロキサンである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1−2):
【化3】

(式中、Rは前記同様の基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n2は0〜2の範囲の数である。)
[7] 前記(B)成分が、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物からなる化粧料原料。
[9] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料。
[10] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物および1種類以上の(C)粉体または着色剤を含有してなるメイクアップ化粧料。
[11] 前記の(A)成分および(B)成分を、有機溶剤の存在下で混合する工程(I) および
上記工程(I)の後、混合系から有機溶剤を除去する工程(II)を有することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[12] 前記の(A)成分および(B)成分の配合比を、1:0.5〜1:10の範囲で調整する事により、25℃における組成物全体の粘度を200〜100,000mPa・sの範囲に調整することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度の調整方法。」により達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、組成物全体が高屈折率を呈し、組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲であり、フェニルシルセスキオキサン樹脂とフェニル基含有オルガノポリシロキサンが均一に相溶しているために、化粧料への配合安定性、取り扱い性に優れる。また、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物からなる化粧料原料は、化粧料に配合した場合にその使用感を改善することができ、かつ化粧料の使用時に継続的なツヤ、輝きおよび光沢を付与することができる。さらに、本発明により、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有する化粧料、特に光沢性のあるメイクアップ化粧料を提供することができる。
【0014】
また、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の製造方法により、上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を、各成分が均一に相溶した状態で容易に製造することができる。同様に、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度の調整方法により、該フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を、高屈折率(1.50〜1.60)を維持したまま、容易にその粘度を調整する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】適用直後における、実施例1の組成物(左)とトリメチルペンタフェニルトリシロキサン(右)のつや、光沢の写真
【図2】適用から6日後における、実施例1の組成物(左)とトリメチルペンタフェニルトリシロキサン(右)のつや、光沢の写真
【図3】適用から30日後における、実施例1の組成物(左)とトリメチルペンタフェニルトリシロキサン(右)のつや、光沢の写真
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る組成物は、組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物である。
【0017】
より具体的には、該組成物は(A)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した数平均分子量が500〜2,000であり、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂 100質量部 および (B)25℃で液状であり、分子中に下記構造式(1)で示されるフェニルシロキシ単位を有する、屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン(ただし、成分(A)に該当するものを除く) 50〜1,000質量部 を含有してなるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物であることを特徴とする。以下、(A)成分,(B)成分および該組成物の製法、その粘度の調整方法について詳細に説明する。
【0018】
構造式(1):
【化4】

(式中、Rは各々独立に、置換または非置換の一価炭化水素基である。)
【0019】
(A)成分は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した数平均分子量がが500〜2,000であり、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂であり、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の特徴的な成分である。かかる(A)成分を使用することで、組成物全体を高粘度側に調整し、かつ高屈折率を維持したまま、化粧料に対する継続的な光沢の付与および使用感の改善を実現することができる。かかる(A)成分は、主として、CSiO3/2で示されるフェニルシロキシ単位からなる比較的低分子量のフェニルシルセスキオキサン樹脂である。該フェニルシルセスキオキサン樹脂の数平均分子量が前記上限を超える場合、(B)成分であるフェニル基含有オルガノポリシロキサンとの相溶性が不十分となり、また、化粧料に配合する場合の分散安定性および感触の改善効果が不十分となる場合がある。一方、該フェニルシルセスキオキサン樹脂の数平均分子量が前記下限未満では、化粧料に対する継続的な光沢の付与および使用感の改善という技術的効果が不十分となる場合がある。好ましい(A)成分の数平均分子量の範囲は、750〜1,800の範囲であり、より好ましくは850〜1,750の範囲である。特に、数平均分子量の範囲が1,000〜1,700の範囲にある場合、(B)成分との相溶性に優れ、かつ化粧料に対する継続的な光沢の付与および高屈折率を実現できる点で最も好ましい。
【0020】
(A)成分は、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2,以下、「TPh単位」と略すことがある)であり、分岐状構造、網状構造又は籠状構造を有し、常温で液状又は固形状である。かかる(A)成分は、全シロキシ単位の40モル%以上がTPh単位であることが好ましく、全シロキシ単位の60〜100モル%がTPh単位であることが特に好ましい。高屈折率の実現及び化粧料に対する継続的な光沢の付与という技術的効果の点から、全シロキシ単位の65〜100モル%がTPh単位であり、実質的にTPh単位のみからなるフェニルシルセスキオキサン樹脂が最も好ましい。なお、、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物が高屈折率(1.55〜1.60)である場合、(A)成分のフェニル基含有量が30質量%以上であることが好適であり、フェニル基含有量が40〜70質量%の範囲にあることが特に好ましい。さらに、(B)成分およびその他の溶媒との相溶性の観点から、(A)成分は、分子鎖の末端に1以上の水酸基(シラノール基)を有することが特に好ましく、(A)成分の水酸基含有量が0.5〜10質量%の範囲にあることがさらに好ましく、1.0〜7.5質量%の範囲が極めて好ましい。
【0021】
(A)成分であるフェニルシルセスキオキサン樹脂にはTPh単位以外のシロキシ単位を含んでもよく、例えばトリオルガノシロキシ単位(M単位)、ジオルガノシロキシ単位(D単位)、モノオルガノシロキシ単位(T単位,TPh単位に該当するものを除く)、4官能性のシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMTPhQ樹脂、MDTPhQ樹脂、MTTPhQ樹脂、MDTTPhQ樹脂、DTPh樹脂、TPhQ樹脂、TTPh樹脂、TPh樹脂、TPhDQ樹脂が例示される。なお、これらシリコーン樹脂のケイ素上の置換基(オルガノ基)は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、フルオロアルキル基等の置換アルキル基、炭素原子数9〜30の長鎖アルキル基、フェニル基、アリール基、水酸基などが挙げられる。工業的には、メチル基、ビニル基、水酸基またはフェニル基であることが好ましい。(A)成分であるフェニルシルセスキオキサン樹脂は25℃で液状でも固体状であってもよく、特に、フレーク状であることが好ましい。
【0022】
(B)成分は、25℃で液状であり、分子中に下記構造式(1)で示されるフェニルシロキシ単位を有する、屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン(ただし、成分(A)に該当するものを除く)であり、組成物全体の粘度を調整し、かつ高屈折率を維持したまま、化粧料に対するツヤ、透明感よび使用感の改善を実現する成分である。
構造式(1):
【化5】

(式中、Rは各々独立に、置換または非置換の一価炭化水素基である。)
【0023】
(B)成分は、主として鎖状または分岐鎖状の構造を有する屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサンであり、前記の屈折率の要件を満たし、(A)成分と同一でない限り、その構造は、直鎖状であってもよく、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンであってもよく、特に制限されるものではない。ただし、Rが置換または非置換の一価炭化水素基以外の基、例えば、トリメチルシロキシ基であると、(A)成分との相溶性が低下し、均一なフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を得ることができない。すなわち、(B)成分として、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサンを使用することはできない。
【0024】
(B)成分は、(A)成分との相溶性および組成物全体の使用感の観点から、特に、下記構造式(1−1)で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンであることが好ましい。このような構造を有する(B)成分として、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサンが例示される。
構造式(1−1)
【化6】

【0025】
式中、Rは、フェニル基、アラルキル基、水素原子、水酸基または炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはフッ化アルキル基から選択される基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n1は0〜1000の範囲の数である。
【0026】
上記式におけるフェニル基以外のRの例としては、具体的には、水素基(−H)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、エイコシル基など)、アラルキル基(例えばベンジル基、フェニルエチル基など)、トリル基、キシリル基、シクロヘキシル基、フッ化アルキル基(トリフロロプロピル基、フロロプロピル基などの上記アルキル基の一部の炭素結合水素の一部または全部がフッ素原子で置換された基)などを挙げることができ、特に好ましくは、メチル基である。
【0027】
本発明において使用するフェニル基含有オルガノポリシロキサンは、屈折率が1.45以上であり、特に、1.50〜1.60の範囲にあることが好適である。一般に、フェニル基含有オルガノポリシロキサンの屈折率は、オルガノポリシロキサンの置換基全体に占めるフェニル基のモル比が大きくなるほど大きくなるため、前記の通り、構造式(1−1)において、フェニル基のモル比が50%以上であることが好適であり、その屈折率が1.55〜1.60であることが特に好適である。かかる高屈折率のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを使用することにより、上記の(A)成分であるフェニルシルセスキオキサン樹脂との組成物全体の屈折率を1.50〜1.60の高屈折率の範囲で調製しやすいという利点がある。
【0028】
(B)成分は、25℃で液状であり、構造式(1−1)において、n1が0〜1000の範囲の数であることが好適である。ここで、組成物全体の粘度の調整、化粧料の感触改善等を目的として、重合度の異なる2種類以上の(B)成分を使用しても良い。本発明の(B)成分は、一般に、低重合度であり、低粘度であることが好ましく、具体的にはn1が0〜100の範囲の数であることが好ましく、0〜25の範囲の数であることがより好ましい。
【0029】
本発明の(B)成分として、特に好適には、下記構造式(1−2)で示されるフェニルテトラシロキサン、フェニルトリシロキサンまたはフェニルジシロキサンである。下式中、Rは前記同様の基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n2は0〜2の範囲の数である。
構造式(1−2):
【化7】

【0030】
上記構造式(1−2)で示されるフェニルテトラシロキサン、フェニルトリシロキサンまたはフェニルジシロキサンは、25℃における粘度が250mPa・s以下であり、屈折率が1.55以上であることを特徴とする。これらの特性を生かすことによって、べたつきがなく、特に無機粉体と組合わせたときに無機粉体の白浮きを抑え、透明性を向上させ、皮膚または毛髪にぎらつきのない自然なつややかさを付与する化粧料原料を提供することができる利点がある。
【0031】
構造式(1−2)で示されるフェニルテトラシロキサン、フェニルトリシロキサンまたはフェニルジシロキサンの例としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明の(B)成分として、最も好適には、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンである。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【0032】
上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサンはそれ自体公知である従来の合成方法により製造することができる。例えば、上記式(2)で表される化合物の場合、メチルジフェニルシラノールとジメチルジクロロシランを脱塩酸縮合反応した後、蒸留精製することにより得られる。さらに、他の製造方法としては、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンと1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサンとを酸又はアルカリ触媒下に平衡反応した後、蒸留精製することにより得られる。
【0033】
本発明において使用するフェニル基含有オルガノポリシロキサンは、全体として上述の物理特性を満足する範囲で精製するのが好ましい。このため、広い分子量分布となるような製造方法を選択した場合は、蒸留等により精製するのが好ましいが、狭い分子量分布となるような製造方法を選択した場合は、精製してもしなくともよい。
【0034】
本発明に係る組成物は、組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物であり、前記した(A)フェニルシルセスキオキサン樹脂 100質量部 および (B)成分である屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン(ただし、成分(A)に該当するものを除く) 50〜1,000質量部 を含有してなることを特徴とする。前記の通り、(A)成分および(B)成分は共に、フェニル基を有する、高屈折率の成分であり、組成物全体の屈折率が1.50以上、具体的には、1.50〜1.60の範囲で容易に調整することができる。特に、高屈折率の化粧料原料として使用する場合、組成物全体の屈折率が1.55〜1.60の範囲であることが好ましく、1.56〜1.59の範囲であることが最も好ましい。また、組成物全体の粘度は、200〜100,000mPa・sの範囲に調整されていることが、化粧料原料としての配合安定性および取り扱い性の点からより好適である。
【0035】
さらに、本発明に係る組成物は、(A)成分として比較的低い重量平均分子量を有するフェニルシルセスキオキサン樹脂を選択することにより、組成物全体として(B)成分との相溶性および化粧料原料としての使用した場合の化粧料への使用感が大きく改善される。また、(B)成分として、低粘度かつ高屈折率のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを選択することにより、屈折率が1.56〜1.59の範囲であっても、容易に組成物全体の25℃における粘度を200〜100,000mPa・sの範囲で調整することができる。
【0036】
具体的には、前記の(A)成分および(B)成分の配合比を、1:0.5〜1:10の範囲で調整する事により、組成物全体の屈折率が1.55〜1.60の範囲であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜100,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を容易に得ることができる。先に例示した、25℃における粘度が250mPa・s以下のジシロキサンまたはトリシロキサンを(B)成分として使用する場合、(A)成分および(B)成分の配合比を、1:0.5〜1:10の範囲で調整する事で、極めて容易に高屈折率かつ低粘度〜高粘度の任意の組成物を得ることができる利点がある。
【0037】
一例として、(A)成分として数平均分子量1500であり、実質的にTPh単位のみからなるフェニルシルセスキオキサン樹脂を用い、(B)成分として、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(屈折率1.58,粘度175mPa・s)を用いてなるフェニルシルセスキオキサン樹脂において、(A)成分100質量部に対し、(B)成分400質量部を配合すれば、組成物全体の25℃における粘度が500〜1,000mPa・sである組成物を得ることができる。また、(B)成分150質量部を配合すれば、組成物全体の25℃における粘度が25,000〜26,000mPa・sである組成物を得ることができる。一方、(B)成分65質量部を配合すれば、組成物全体の25℃における粘度が30,000mPa・s以上である組成物を得ることができる。これらの組成物は、全体粘度は互いに異なるが、その屈折率が1.57〜1.58の範囲にある。
【0038】
これらの成分を均一に混合して、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を得るための手段は特に限定されるものではないが、ボールミル,振動ミル,ニーダミキサー,スクリューエクストルーダー,パドルミキサー,リボンミキサー,バンバリーミキサー,ロスミキサー,ヘンシェルミキサー,フロージェットミキサー,ホバートミキサー,ロールミル等の周知の混合装置または混練装置により、室温で混練する方法が挙げられる。混合時には上記(A)フェニルシルセスキオキサン樹脂と(B)フェニル基含有オルガノポリシロキサンを効率よく均一混合させる目的で、50℃以上の温度下で混練してもよい。なお、混合温度は50〜150℃が好ましく、70℃以上に加温して混合することが最も好ましい。
【0039】
特に、均一性に優れたフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を得るためには、前記の(A)成分および(B)成分を、有機溶剤の存在下で混合することが好ましい。ただし、有機溶剤は、組成物の屈折率を低下させる場合があるので、混合系からストリッピング等の公知の手段により除去することが好ましい。具体的には、得られたフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物中の有機溶剤の含有量は、3質量%未満であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましい。また、実質的に有機溶剤の含有量が0質量%であることが最も好ましい。
【0040】
このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素原子数1〜6の低級アルキル基を有するアルコール類;ヘキサン,ヘプタン,オクタン,ノナン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。また、上記組成物の製造時に有機溶剤を使用する量は、(A)成分および(B)成分の全量を100質量部とした場合に、10〜1000質量部の範囲内であり、ストリッピング工程が容易になることから、10〜200質量部の範囲での使用が好ましい。
【0041】
さらに、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、本質的に上記の(A)成分および(B)成分からなるものであるが、さらに、(C)粉体または着色剤を含んでもよい。これらの粉体または着色剤は、(A)成分および(B)成分と均一に混合することができ、特に、粉体成分、特に無機粉体またはパール顔料と組み合わせることにより、透明感を向上させ、皮膚や毛髪にぎらつきのない自然なつやと輝きを付与する化粧料原料として使用することができる。
【0042】
(C)成分は、粉体または着色剤であって、主に化粧料に使用される粉体または着色剤であり、これらの粉体または着色剤は通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料 級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができるが、これらの粉体及び/または着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0043】
粉体または着色剤は例えば無機粉体 、有機粉体 、界面活性剤金属塩粉体 (金属石鹸)、有色顔料 、パール顔料 、シリコーン系の粉体、有機変性粘度鉱物、金属粉末顔料 等が挙げられ、さらにこれらの顔料を複合化したものも使用することができる。
【0044】
具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素等が例示される。
【0045】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体 、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等が例示される。
【0046】
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が例示され、金属粉末顔料 としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0047】
有機変性粘度鉱物としては、例えば、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。これらの市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)等が挙げられる。
【0048】
シリコーン系の粉体として、シリコーンパウダー、シリコーンゴム球状粉体、ポリメチルシルセスキオキサンで表面を被覆したシリコーンゴム球状粉体 、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体 、特にシリコーンゴム球状粉体(シリコーンエラストマー球状粉体と呼ばれることもある)としては、一次粒子径が0.1〜50μmの範囲にあるものが好ましい。かかるシリコーンゴム球状粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S,トレフィルE−508,9701 Cosmetic Powder,9702 Powderなどが挙げられる。また、シリコーンゴム球状粉体は水分散液の形態としても、本発明の化粧料で使用することができる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29−129,PF−2001 PIF Emulsionなどが挙げられる。
【0049】
さらに、これらの粉体または着色剤には、撥水化処理がされていることが特に好ましい。また、これらの粉体及び/または着色剤同士を複合化したり、一般油剤や、本発明に係るオルガノポリシロキサン以外のシリコーン化合物、又はフッ素化合物、界面活性剤等で表面処理が行われたものも使用することができ、必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0050】
このような撥水化処理の例としては、前記の粉体及び/又は着色剤を各種の撥水化表面処理剤で処理したものが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理などの金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理などのシラン処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理、アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0051】
本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、上記の(A)成分および(B)成分からなるものであり、任意で上記の(C)成分を含んでもよいものである。かかる組成物には、特に、化粧料原料として使用する場合、本発明の目的に反しない限り、後述する化粧料の各成分を含有するものであっても良い。
【0052】
本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、組成物全体が高屈折率を呈し、フェニルシルセスキオキサン樹脂とフェニル基含有オルガノポリシロキサンが均一に相溶しているために、化粧料への配合安定性、取り扱い性に優れる点で化粧料原料として好適に使用することができる。該化粧料原料は、化粧料に配合した場合、化粧料の耐久性、耐水性、皮膚との親和性、撥水性、柔軟性、水蒸気透過性、ガス透過性、造膜性、充填剤の保持性、潤滑性を改善し、さらに、べたつきを生じない点でその使用感を大きく改善しうる。特に、該化粧料原料は、化粧料の透明性を向上させ、さらに、化粧料の使用時に継続的なツヤ、輝きおよび光沢を付与することができ、無機粉体またはパール顔料と組み合わせたときには、これらの白浮きを抑制し、皮膚または毛髪にぎらつきのない自然なツヤ(グロス)を付与することができる。
【0053】
本発明にかかるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、該組成物を含有してなる化粧料の透明感を向上させ、さらに、肌や唇に塗布した際に、つやと光沢を与えることができる成分であるので、輝きと透明感が求められる光沢性のメイクアップ化粧料に用いる化粧料原料として特に有用である。
【0054】
本発明にかかるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の化粧料への配合量は、化粧料の種類、形態、所望とする特性および他の成分との調和を鑑みて、適宜その処方を選択することができるが、メイクアップ化粧料であれば、化粧料組成物全体の0.5〜50質量%の範囲であることが好適であり、1.0〜20質量%の範囲での使用が特に好ましい。
【0055】
本発明の化粧料は、上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の他に、前記の(C)成分と同様の粉体または着色剤、(D)油剤(特に、ワックス類および揮発性油剤)、(E)油剤の増粘・ゲル化剤、(F)界面活性剤、(G)皮膜形成剤、(H)水溶性高分子、(I)紫外線防御剤、(J)低級一価アルコール、(K)多価アルコール類および(L)水から選択される少なくとも1種の化合物を含有することができ、これらの成分を配合したメイクアップ化粧料であることが特に好ましい。また、これらの化粧料配合成分の好適な使用量は、公知の化粧料の処方(組成)に基づいて、適宜選択することができる。
【0056】
(C)成分は、粉体または着色剤であって、前記同様の成分が例示される。(C)成分は、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の成分として化粧料に配合してもよく、さらに、1種類または2種類以上の粉体または着色剤を別途、化粧料に配合しても良い。粉体または着色剤は、化粧料組成物全体の5〜50質量%の範囲で含有されるのが好ましいが、化粧料の種類・処方の選択により、これに限定されるものではない。また、本発明の化粧料が、唇/目元/睫毛に適用するメイクアップ化粧料である場合には、特に、パール顔料、有色顔料またはこれらの組み合わせである粉体または着色剤を含有することが好ましい。
【0057】
(D)成分は、上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物に該当しない油剤であり、ワックス状の油剤及びオイル状の油剤を特に限定なく使用することができる。本発明の化粧料が、唇/目元/睫毛に適用するメイクアップ化粧料である場合には、特に、ワックス状の油剤、揮発性のオイル状油剤およびこれらの組み合わせである油剤を含有することが好ましい。
【0058】
(D)成分である油剤は、シリコーンオイル、炭化水素油、エステル油、植物性油脂類、動物性油脂類、高級アルコール類、液状脂肪酸、トリグリセライド、人工皮脂から選択される1種類または2種類以上の油剤が例示される。
【0059】
シリコーンオイルは前記の(A)成分、(B)成分またはこれらの混合物に該当しないシリコーンオイル成分であり、具体的には、環状オルガノポリシロキサンとしてヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2cstや6cstなど低粘度〜100万cstなど高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、アルキル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が例示される。
【0060】
(D)成分である炭化水素油としては、流動パラフィン,軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン,ワセリン,n−パラフィン,イソパラフィン,イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン,水素化ポリブテン,オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン,スクワレン、プリスタン,ポリイソプレン等が例示される。
【0061】
(D)成分であるエステル油としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸ミリスチル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジブチル,酢酸ラノリン,モノステアリン酸エチレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,ジオイレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸グリセリル,モノオレイン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が例示される。
【0062】
天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0063】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0064】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0065】
上記油剤のうち、シリコーンオイルとして、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)等の揮発性シリコーンオイルを使用することで、さっぱりした使用感を実現できるため、本発明の化粧料に好ましく配合される。同様に、軽質イソパラフィン、イソドデカン等の揮発性炭化水素油を使用することで、化粧料にさっぱりした使用感を付与できるため、本発明の化粧料に好ましく配合される。
【0066】
上記油剤のうち、また、ポリブテン、水素化ポリブテン、パラフィンワックス、ワセリン、ラノリン、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、硬化ヒマシ油等から選択されるは1種類以上の油剤は、メイクアップ化粧料、特に、唇/目元/睫毛に適用するメイクアップ化粧料の基材として本発明の化粧料に好ましく配合される。
【0067】
上記油剤は、化粧料組成物全体の10〜80質量%の範囲で含有されるのが好ましいが、化粧料の種類・処方の選択により、これに限定されるものではない。
【0068】
(E)成分は、油剤の増粘・ゲル化剤であり、上記の油剤を、増粘させ、あるいは液体と固体の中間領域の粘弾性を有すゲル形態に保持させた安定なゲル状組成物を形成させる成分であり、化粧料の形態を液状からクリーム状、ぺースト状、ゲル又は固体状など任意にコントロールできることから、処方により配合することが好ましい。増粘・ゲル化剤の使用量は、所望とする化粧料の形態に応じて選択できるが、化粧料組成物全体の1〜20質量%の範囲であることが好適である。一般的に、増粘・ゲル化剤の使用量が前記下限未満では、増粘・ゲル化が不十分であって、前記上限を超えると、感触が重くなり、使用感が低下する場合がある。
【0069】
(E)成分として、例えば、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2 − エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、イヌリンステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体から選ばれるゲル化剤が挙げられる。
【0070】
(F)成分は界面活性剤であり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(シリコーン系界面活性剤含む)、両性界面活性剤、半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種類以上の界面活性剤を併用することができる。これらの界面活性剤は、化粧料の洗浄剤成分、殺菌成分として使用してもよく、油剤等の分散剤、あるいは乳化剤として使用しても良い。
【0071】
さらに詳しくは、アニオン性界面活性剤として、飽和または不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)およびその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルまたはアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、さらにはアンモニウム塩が挙げられる。
【0072】
カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0073】
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,フッ素系界面活性剤,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。
【0074】
シリコーン系界面活性剤は、代表的には、ポリオキシアルキレン変性シリコーン,ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。好ましいシリコーン系界面活性剤としては、直鎖状のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(ポリオキシアルキレン基が側鎖及び/又は末端に結合した型のポリエーテル変性シリコーン)、ブロック共重合タイプのポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、直鎖状のポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン(ポリオキシアルキレン基とアルキル基とが側鎖及び/又は末端に結合した型のアルキル/ポリエーテル変性シリコーン)などが例示される。この他、特許第4080597号公報(特開平11−49957号公報)、特開2001−011281等に記載された特定のエラストマーシリコーンポリエーテル(市販品としては、DC 9011 Silicone Elastomer Blend、米国ダウコーニング社製)も好ましく例示される。
【0075】
両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどのアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタインなどのホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウムなどののアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0076】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイドなどが例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0077】
(G)成分は、皮膜形成剤であり、皮膚や毛髪上に造膜構造を形成する高分子成分である。かかる皮膜形成剤は、下記のノニオンポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマー、及び両性ポリマーから選択されたものが挙げられる。選択方法は、例えばノニオンポリマーから1種又は2種以上を選んでもよく、異種のポリマーから2種以上を選んでもよい。なお、これらの皮膜形成剤は必ずしも水溶性である必要はないが、含水成分の増粘等を目的として使用される(H)水溶性高分子と、その成分の一部が重複する。
【0078】
好適なノニオンポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクレレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)、ポリビニルアルコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどのノニオン性高分子化合物が挙げられる。
【0079】
好適なカチオンポリマーとしては、例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、ビニルピロリドン・N , N − ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ジアリル4 級アンモニウム塩重合物などのカチオン性高分子化合物が挙げられる。
【0080】
好適なアニオンポリマーとしては、例えば、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28−1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28−2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、t−ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレアート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、アクリル樹脂アルカノールアミン、WО2005/054341やWО2008/004502で示されたウレタン変性アクリル系重合体などのアニオン性高分子化合物が挙げられる。
【0081】
好適な両性ポリマーとしては、例えばジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)、オクチルアクリルアミド− ブチルアミノエチルメタクリレート− ヒドロキシプロピルメタクリレート− アクリレート共重合体などの両性高分子化合物が挙げられる。
【0082】
(H)成分は、水溶性高分子であり、化粧料の使用感を向上させる目的で配合され、通常の化粧品に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。これらの水溶性高分子は、含水成分の増粘効果を有するため、特にゲル状の含水化粧料、油中水型エマルジョン化粧料、水中油型エマルジョン化粧料を得る場合に有用である。
【0083】
両性水溶性高分子としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0084】
カチオン性水溶性高分子としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0085】
アニオン性水溶性高分子としては、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ポリメタアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、アセチル化ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物などの脂肪族カルボン酸またはその金属塩の水溶性重合体、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、カルボキシビニルポリマーが例示される。
【0086】
非イオン性水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、ペクチン、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジュランガム、デキストラン、クインスシードガム、トラガントガム、キチン・キトサン誘導体、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然の高分子化合物が例示される。
【0087】
水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種で、一般的に、下記式(1)で表されるものが例示される。
(X,Y)2−3(Si,Al)10(OH)1/3・nHO (1)
(ただし、Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)、または、Cr(III)であり、Y は、Mg、Fe(II)、Ni、Zn、または、Liであり、Zは、K、Na、または、Caである)
このような無機系水溶性高分子として、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物および合成物のいずれであってもよい。
【0088】
(I)成分は、紫外線防御剤であり、無機系の紫外線防御成分と有機系の紫外線防御成分がある。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することがさらに好ましい。
【0089】
(I−1)無機系の紫外線防御成分は、前記の(C)成分として示した無機系の粉体顔料、金属粉末顔料などを含む紫外線分散剤であり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化鉄などの金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレークなどの金属フレーク類、炭化珪素などのセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある微粒子金属酸化物もしくは微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0090】
(I−2)有機系の紫外線防御成分は、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2―シアノ―3,3―ジフェニルプロパ―2―エン酸2―エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体が例示される。
【0091】
前記の有機系紫外線防御成分をポリマー粉末中に含有するものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径は0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂が例示される。有機系紫外線防御成分を0.1〜30質量%の範囲で含有するポリマー粉末が好ましく、特にUV−A吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含有するポリマー粉末が好ましい。
【0092】
(J)成分は、低級アルコールであり、各種化粧料原料成分の溶媒、可溶化剤あるいは分散媒として使用される。また、清浄化、殺菌、収斂、乾燥促進等の目的でも配合され、特にさっぱりした感触を重視する化粧料に配合することが好ましい。低級アルコールは、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、t−ブタノール、s−ブタノール等が例示され、特にエタノールの使用が好適である。
【0093】
(K)成分は、多価アルコール類であり、低級アルコール同様に、各種化粧料原料成分の溶媒として使用できるほか、保湿効果、しっとり感の改善等の目的で配合される。かかる(K)成分は、より具体的には、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、キシリトール等の4価以上の多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解物、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコールが挙げられる。さらに、これら低分子多価アルコールのほかに、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体等が例示される。
【0094】
(K)成分として好ましくは1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールであり、特に、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選択される多価アルコール類は、化粧料の保湿効果を改善する目的で配合することが特に好ましい。
【0095】
(L)水は、人体に有害な成分を含有せず、清浄であればよく、水道水、精製水、イオン交換水、ミネラルウォーターが例示される。成分(J)であるエタノールのような低級アルコールを高濃度に含有する組成物は引火性が高いが、水を含有すると引火点が低下して、製造時、貯蔵時、運送時の安全性が高くなる利益がある。また、水溶性のイオン性界面活性剤等の水溶性成分を、予め水に分散させて化粧料組成物に配合することが可能である。
【0096】
本発明の化粧料において、水の使用量は限定されないが、前記の各成分を含有してなる化粧料注の(D)油剤および本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の和 100質量部に対し、(L)水0.1〜4000質量部、好適には5〜2000質量部を混合することができる。得られる化粧料は、前記の界面活性剤を使用することにより、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン等の形態を取ることが可能である。
【0097】
本発明に係る化粧料には、さらに、(A)成分以外のシリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンレジンワックス、有機系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を配合することができる。
【0098】
シリコーン樹脂としては、例えばトリアルキルシロキシ単位(M単位)、ジアルキルシロキシ単位(D単位)、モノアルキルシロキシ単位(T単位)、4官能性のシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂である固体状のシリコーン網状化合物であることが好ましい。なお、これらシリコーン樹脂のケイ素上の置換基はアルキル基だけでなく、置換アルキル基を含んでいてもよい。これらのうち特に、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸(MQレジン)、ジメチルシロキシ基含有トリメチルシロキシケイ酸(MDQレジン)が使用性に優れていることから好ましい。
【0099】
アクリルシリコーン樹脂としては、アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂である事が好ましい。また、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分、フルオロアルキル部分、及びカルボン酸などのアニオン部分、の中から選択される少なくとも1種の部分を分子中に含有するアクリルシリコーン樹脂を使用する事もできる。
【0100】
アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーは具体的には、特許第4009382号公報(特開2000−063225号公報)中に記載されている、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体が、特に好ましく例示される。市販品としては、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001 CM Silicone Acrylate, FA 4002 ID Silicone Acrylateなどが挙げられる。
【0101】
ポリアミド変性シリコーンとしては、例えば、米国特許5981680号中に記載されているシロキサンベースのポリアミドが例示され、市販品としては2−8178 Gellant, 2−8179 Gellantなど(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0102】
アルキル変性シリコーンレジンワックスとしては、例えば、特表2007−532754号公報に記載されているシルセスキオキサン樹脂ワックスが好ましく挙げられる。
【0103】
本発明に係る化粧料には、アミノ酸又はその塩、無機塩、有機酸又はその塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を化粧料の機能に応じて適宜配合することができる。
【0104】
アミノ酸はグリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸及び/又はその塩が例示される。
【0105】
無機塩は、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩またはアンモニウム塩等があげられる。好ましい無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム等の硫化物、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム等の硝酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸化物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸化物があげられ、中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムが特に好ましい。
【0106】
有機酸は、酢酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸であり、有機酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム等のほか、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等のα−ヒドロキシ酸塩類、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸カルシウム、アルギニン−グルタミン酸塩、オルニチン−グルタミン酸塩、リジン−グルタミン酸塩、リジン−アスパラギン酸塩、オルニチン−アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩類、アルギン酸ナトリウムなどが例示される。
【0107】
本発明の化粧料には、さらに、植物抽出エキス等の生理活性物質、pH調整剤、酸化防止剤、キレート剤、保湿成分、香料、防菌防腐剤等の通常化粧料に配合される各成分を配合することができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの成分は、本発明の目的を損なわない範囲で使用される。
【0108】
生理活性物質としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、美白剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。かかる生理活性物質として好適には、抗炎症剤、老化防止剤、美白剤、発毛剤、育毛剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、ビタミン類、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤および酵素からなる群から選択される1種類以上の生理活性物質である。
【0109】
これらの成分としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0110】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、エストラジオール、エテニルエストラジオールなどのホルモン、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、カンフルなどの清涼剤、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコルチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤等が挙げられる。
【0111】
また、美肌用成分としては、例えば、ヒドロキノン、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられ、ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェノール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類等が挙げられる。
【0112】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。これらのpH調整剤は、前記の第3級アミン及びアミドアミンからなるカチオン性界面活性剤の調製に用いる酸塩基と同一でも異なっても良い。
【0113】
キレート化剤は、水中の鉱物イオンを不溶化する作用があり、EDTA、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸が例示される。
【0114】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等;キレート剤としては、例えば、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0115】
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0116】
香料は、化粧料に香気、香りを付与するため、あるいは不快臭をマスクするために配合される。化粧料に一般的に配合される香料であれば特に限定されるものではなく、前記の生理活性成分等に例示した各種抽出物を含め、種々の植物の花、種子、葉、根等から抽出した香料、海藻類から抽出した香料、動物の各部位または分泌物から抽出した香料(例、じゃこう、マッコウ)、人工的に合成した香料(例、メントール、ムスク、酢酸エステル、バニラ)が例示される。
【0117】
防菌防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素等が挙げられるが、口紅の場合は配合しないことが好ましい。
【0118】
本発明にかかる化粧料は、上記のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物およびその他の成分を含有してなることを特徴とするものであり、具体的な製品としては、皮膚洗浄剤製品、スキンケア製品、メイクアップ製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品、ヘアトリートメント製品等の頭髪用化粧品;浴用化粧品;発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示されるが、これらに限定されない。
【0119】
前記の皮膚用化粧品は、頭皮、顔面(口唇、眉毛、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位についても用いることができる。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体石鹸(ボディソープ)、ハンドソープ、ゲル状石鹸、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤製品;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション、マッサージ料、等のスキンケア製品;ファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、メイクアップベース、白粉、フェースパウダー、頬紅、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイクリーム、マスカラ、眉墨、まつげ化粧品等のメイクアップ製品;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御製品が例示される。
【0120】
前記の頭髪用化粧品は、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアワックス、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料製品;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料製品;ヘアトニック、ヘアトリートメントエッセンス、ヘアパック等の養毛料製品;オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等のヘアリンス又はヘアコンディショニング製品が例示される。また、前記の浴用化粧品は、フォームバスが例示される。
【0121】
特に、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料は、メイクアップ化粧料であることが好ましく、顔の各部位のうち、唇/目元/睫毛に適用するメイクアップ化粧料として好適に使用することができる。本発明に係るメイクアップ化粧料は、これらの部位に適用された場合、汗や皮脂による溶出、化粧崩れが継続的に抑制され、かつ、透明感のある質感とツヤ、輝きおよび光沢を付与することが出来るという利点がある。かかる好適な化粧料は、リップクリーム、練紅、リップグロス、口紅、リップライナー等の口唇化粧料、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロー、アイカラー等のアイメイク化粧料である。
【0122】
本発明にかかる化粧料の形態は特に限定されるものではなく、液状、W/O乳液状、O/W乳液状、W/Oクリーム状、O/Wクリーム状、固体状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、ミスト状、顆粒状、フレーク状、碎石状等に好ましく適用が可能である。特に好ましい形態は、W/Oクリーム状、固体状、ペースト状、ゲル状、粉末状である。
【0123】
本発明のメイクアップ化粧料は、以下の方法により得ることができる。
アイメイクアップ化粧料にあっては、水中油乳化型の場合は、上記化粧料原料のうち、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物および(D)油剤等からなる油相を調整し、(L)水と各親水性の化粧料原料を混合してなる水相中に、機械力等により油相を乳化する方法で製造することができる。油性型の場合は、各化粧料原料成分を加熱混合することにより得ることができる。
【0124】
口唇化粧料にあっては、油性の口唇化粧料の場合、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物および(D)油剤等からなる混合物を加熱混練して油相を調製した後、(C)粉体または着色剤等の成分を該油相中に均一分散させ、化粧料容器に充填することにより得ることができる。また、水性の口唇化粧料の場合、本発明のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物および(D)油剤等からなる混合物を加熱混練して油相を調製した後、(L)水、(F)界面活性剤および(C)粉体または着色剤を含有する化粧料原料を分散してなる水相を調製し、水相中に、機械力等により油相を乳化する方法で製造することができる。
【0125】
本発明にかかる化粧料の容器についても特に限定されるものではなく、ジャー、ポンプ、チューブ、ボトル、圧力缶吐出容器、耐圧エアゾール容器、遮光容器、コンパクト容器、金皿、スティック容器、繰り出し容器、噴霧容器、混合液吐出口を備えた仕切り付き容器等の任意の容器に充填することができる。
【実施例】
【0126】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。表中の配合量(%)は質量%であり、処方例中の数字は質量%である。なお、実施例、比較例に先立ち、各成分の物性値の測定方法および各サンプルの評価方法を以下に示す。
【0127】
〔オルガノポリシロキサン組成物の外観評価〕
表1に示す組成を有するオルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)をガラス容器に取り、以下の基準で目視により評価した。なお、「×(=分離)」と評価されたサンプルは、以後の評価を行っていない。
○ : 組成物全体が均一透明である
△ : 組成物に濁りが生じるが、全体として均一である
× : 各成分が分離し、均一な組成物を得ることができない
【0128】
〔オルガノポリシロキサン組成物の粘度〕
表1に示す組成を有するオルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)の粘度は毛管粘度測定法により、25℃においてウベローデ型の粘度計を使用して測定した。なお、粘度が30,000mPa・sを超える場合には、「>30,000」と評価した。
【0129】
〔屈折率(RI)の測定〕
各成分および表1に示す組成を有するオルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)の屈折率はアッベ(Abbe)屈折率計を用いて測定した。
【0130】
〔シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)の測定〕
実施例、比較例において、数平均分子量(Mn)は、以下の測定条件により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析による測定結果から検量線法により求めた、ポリスチレン換算での数平均分子量である。
<測定条件>
測定装置: Waters社製 RI検出器付きGPC測定装置(2695)
カラム: PLgel MIXED−Cカラム(ポリマーラボラトリーズ社製,300mm)×2本(直列連結)
測定温度:40℃
流速:1mL/min
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 0.5質量%溶液
標準物質:ポリスチレン
【0131】
〔処方例1(透明リップスティック)としての評価〕
後述する処方例1において、オルガノポリシロキサン組成物を透明リップスティックに配合した結果ついて、以下の基準で評価した。
○: 全体が均一で、透明感があり、かつツヤのある外観を1ヶ月以上維持していた。
×: 全体が不均一で透明感・ツヤが不十分であり、1ヶ月程度で成分の分離が見られた。
【0132】
〔処方例3(頬紅)としての評価〕
後述する処方例3において、オルガノポリシロキサン組成物を頬紅に配合した結果ついて、以下の基準で評価した。
○: 全体が均一かつツヤのあるペースト状であり、かつその状態が1ヶ月以上にわたり安定に保たれていた。
×: 1ヶ月後に、油相が分離し、オイル層とペースト層に全体が不均一化した。
【0133】
〔シリコーン樹脂〕
表1に示す組成を有するオルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)を調製するために、以下に示す構造、フェニル含有量、数平均分子量(Mn)を有するシリコーン樹脂(A−1),(A−2),(CA−1)〜(CA−3)を用いた。
シリコーン樹脂(A−1):実質的にTPh単位のみからなるフェニルシルセスキオキサン
(Mn:1500,フェニル基含有量60質量%,水酸基含有量6質量%、室温でフレーク状)
シリコーン樹脂(A−2):プロピルシロキシ単位(CSiO3/2, 以下、「TPro単位」という)およびTPh単位からなるフェニルシルセスキオキサン(TPro単位 30モル%,TPh単位 70モル%)
(Mn:1500,フェニル基含有量60質量%,水酸基含有量6質量%、室温でフレーク状)
シリコーン樹脂(CA−1):トリメトキシシロキシ単位((CHO)SiO1/2)およびSiO4/2単位からなるトリメトキシシリケート樹脂(室温でフレーク状)
シリコーン樹脂(CA−2):実質的にTPro単位のみからなるプロピルシルセスキオキサン
シリコーン樹脂(CA−3):実質的にTPh単位のみからなる高分子量型のフェニルシルセスキオキサン
(Mn:5000,室温でフレーク状)
【0134】
〔シリコーンフルイド〕
表1に示す組成を有するオルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)を調製するために、以下に示すシリコーンフルイドを用いた。
(B−1):トリメチルペンタフェニルトリシロキサン
(屈折率 1.58,粘度175mPa・s,完全に透明な外観)
(CB−1):フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン
(屈折率 1.56,粘度 20mPa・s,完全に透明な外観)
【0135】
[実施例1〜4,比較例1〜5]
表1に示す組成により、オルガノポリシロキサン組成物(サンプルNo.1〜9)を調製し、各々の粘度、屈折率、外観の評価結果を表中に示した。
サンプルNo.1〜9の調製にあたっては、表中に示す組成で、シリコーン樹脂成分とシリコーンフルイド成分を120℃の温度条件下で、機械力を用いて均一になるまで攪拌混合した。ただし、均一化できないものについては、攪拌混合を30分継続した時点で攪拌を停止し、評価サンプルとした。
【0136】
[実施例1,2
表1に示すサンプルNo.1およびサンプルNo.2と同一の組成で、まず成分を、シリコーン樹脂成分を該成分と同じ質量のトルエンに溶解し、均一なトルエン溶液を形成させた後、シリコーンフルイド成分を加えて均一混合した後、トルエンを減圧下でストリッピングすることにより、サンプルNo.1,サンプルNo.2を各々得た。
上記製法では、サンプルを120℃に加温する必要はなく、得られたサンプルNo.1,サンプルNo.2の外観、粘度、屈折率は上記実施例1または2により得られたンプルNo.1,サンプルNo.2と各々同様であった。
【0137】
表1:オルガノポリシロキサン組成物 No.1〜9の組成および評価結果
【表1】

【0138】
表1に示すとおり、分子量1500のフェニルシルセスキオキサンおよびトリメチルペンタフェニルトリシロキサンからなる組成物(実施例1〜4)は、均一なフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物であり、高屈折率であり、化粧料原料としての粘度制御が容易であり、かつ化粧料原料として使用した場合に、優れた特性を示した。
【0139】
一方、比較例では、比較例5に係る分子量5000のフェニルシルセスキオキサンおよびトリメチルペンタフェニルトリシロキサンからなる組成物を除いては、均一な混合物を得ることができず、化粧料原料として使用することができなかった。また、比較例5に係るフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物は、透明リップスティック(処方例1)または頬紅(処方例3)に配合した場合、長期間にわたり均一かつ透明感のある外観を維持することができず、その特性は実施例1のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物に比して満足できるものではなかった。
【0140】
<組成物のつや、光沢の持続性の評価方法>
本願発明に係るフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物のつや、光沢(グロス)の持続性について、以下に示す方法により評価した。
(1) ウレタンコートした木製板に上記表1の組成物サンプルNo.1(左)とトリメチルペンタフェニルトリシロキサン(右)を各々0.1gずつ取り、直径5cmの円となるように均一に適用し、試料板を作成した。
(2)室温(25℃)、無風状態で上記試料板を6日間および30日静置し、適用直後と6日経過後の状態を写真撮影して、グロスの状態を目視により対比した。ここで、適用直後の試料板の写真を「図1」、6日経過後の写真を「図2」、30日経過後の写真を「図3」に各々示す。
【0141】
上記試料板を用いた本願実施例1に係るフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物サンプルNo.1では6日経過後も、光沢がありツヤのある濡れた質感を残していた(左)のに対し、比較サンプルでは、6日後は光沢が全くなくなり濡れた質感の大部分が消滅していた(右)。(図2参照)
【0142】
さらに、サンプルNo.1では一月経過後も、光沢がありツヤのある濡れた質感を残していた(左)のに対し、比較サンプルでは、一月後は光沢が全くなくなり濡れた質感は完全に消滅していた(右)。(図3参照)
【0143】
[実施例5]
下記成分から成る透明リップスティックを調製した。(数字は全て質量%である)
<処方例1:透明リップスティック>
(1)ポリアミド変性シリコーン*1 16.5
(2)シクロヘキサシロキサン 32.96
(3)ミリスチン酸イソプロピル 22.42
(4)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 22.42
(5)フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1) 5.5
(6)パール顔料*2 0.2
*1:東レ・ダウコーニング社製、2−8178Gellant
*2:メルク社製、チミロン(登録商標)スーパーレッド
(調製方法)
成分(1)〜(6)を100℃で溶解し、均一になるまで混合し、リップスティックの型に流し込んで、冷却することにより透明リップスティックを調製した。
(評価結果)
得られた透明リップスティックは、全体が均一で、透明感があり、かつツヤのある外観を維持していたため、「○」と評価し、表1に記載した。
【0144】
[比較例6]
<比較処方例:透明リップスティック>
上記処方例1において、フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1)の代わりに、比較例5に係るフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.9)を使用したほかは、上記処方例1と同様にして、透明リップスティックを調製した。
(評価結果)
得られた透明リップスティックは、全体が不均一で透明感がなく、ツヤの点で処方例1に劣った。また、1か月程度の経時で成分の分離が見られた。このため、「×」と評価し、表1に記載した。
【0145】
[実施例6]
下記成分から成る透明リップスティックを調製した。(数字は全て質量%である)
<処方例2:アイシャドウ>
(1)ポリエーテル変性シリコーン*1 10
(2)シクロペンタシロキサン 13
(3)アクリル変性シリコーン*2 30
(4)プロピル変性シリコーン*3 15
(5)フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1) 7
(6)水 1
(7)高重合シリコーンエマルション*4 10
(8)顔料*5 2.2
(9)パール顔料*6 1.3
*1:東レ・ダウコーニング社製、BY11−030
*2:東レ・ダウコーニング社製、FA 4001 CM
*3:東レ・ダウコーニング社製、670フルイド
*4:東レ・ダウコーニング社製、HMW2220
*5:メルク社製、コロロン(登録商標)17323
*6:メルク社製、チミロン(登録商標)スーパーブルー
(調製方法)
成分(1)〜(5)を室温で均一に混合する。
上記混合物を、高速攪拌しながらゆっくりと成分(6)を加え、均一混合する。
攪拌速度を落とし、成分(7)をゆっくりと加える。
さらに10分、全体を均一混合する。
成分(8)および(9)を加え、均一になるまで混合する。
(評価結果)
上記処方により、全体が均一で、優れたつやと光沢を有するアイシャドウ製品を得ることができた。
【0146】
[実施例7]
下記成分から成る頬紅を調製した。(数字は全て質量%である)
<処方例3:頬紅>
(1)顔料*1 20.0
(2)パール顔料*2 20.0
(3)フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1) 60
*1:メルク社製、コロロン(登録商標)レッド・ブラウン
*2:メルク社製、チミロン(登録商標)スーパーレッド
(調製方法)
成分(1)、(2)を均一に混合する。
さらに、成分(3)を加え、均一になるまで混合する。
(評価結果)
得られた頬紅は、全体が均一かつツヤのあるペースト状であり、かつその状態が1カ月以上にわたり安定に保たれていたため、「○」と評価し、表1に記載した。
【0147】
[比較例7]
<比較処方例:頬紅>
上記処方例3において、フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1)の代わりに、比較例5に係るフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.9)を使用したほかは、上記処方例3と同様にして、頬紅を調製した。
(評価結果)
得られた頬紅は、初期は処方例3の頬紅と外観において差がないが、徐々に油相が分離し、1か月後には、オイル層とペースト層が不均一化した。このため、「×」と評価し、表1に記載した。
【0148】
[実施例8]
下記成分から成るウオータープルーフマスカラを調製した。(数字は全て質量%である)
<処方例4:ウオータープルーフマスカラ>
(1)ビーズワックス 10
(2)キャンデリラワックス 7
(3)カルナバロウ 3
(4)ステアリン酸 5
(5)ステアリン酸グリセリル 5
(6)防腐剤 適量
(7)水 残余
(8)プロピレングリコール 5
(9)トリエタノールアミン 1.5
(10)黒酸化鉄 10
(11)アクリル変性シリコーン
(12)イソドデカン 5
(13)フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1) 8
*:東レ・ダウコーニング社製、FA 4002 ID
(調製方法)
成分(1)〜(6)を85℃で溶解させる。
成分(7)〜(9)を80℃で溶解させる。
上記2を高速攪拌しながら、上記1を加えて乳化する。
上記3を高速攪拌しながら、(10)を加える。
50℃まで冷却する。
成分(11)〜(13)を加えて混合し、室温まで冷却する。
(評価結果)
上記処方により、全体が均一であり、艶のある黒いペースト状組成物であるウオータープルーフマスカラ製品を得ることができた。
【0149】
[実施例9]
下記成分から成るエマルジョン型のマスカラを調製した。(数字は全て質量%である)
<処方例5:マスカラ(エマルションタイプ)>
(1)ポリエーテル変性シリコーン*1 10
(2)カーボンブラック 25
(3)シリコーンエラストマー*2 10
(4)シクロペンタシロキサン(D5) 10
(5)水 残余
(6)塩化ナトリウム 2
(7)防腐剤 適量
(8)アクリル変性シリコーン*3 6.7
(9)シクロペンタシロキサン(D5) 6.7
(10)フェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物(No.1) 6.6
*1:東レ・ダウコーニング社製、BY22−008M
*2:東レ・ダウコーニング社製、9040シリコーンエラストマーブレンド
*3:東レ・ダウコーニング社製、FA 4001 CM
(調製方法)
成分(1)、(2)を60℃で混合する。
成分(3)、(4)を混合する。
上記1を高速攪拌しながら、上記2を加えて混合する。
成分(5)、(6)、(7)を混合する。
上記3を高速攪拌しながら、上記4を加えて乳化する。
40℃まで冷却する。
成分(8)、(9)、(10)を加えて混合する。
室温まで冷却する。
(評価結果)
上記処方により、全体が均一なエマルジョン型のマスカラ製品を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物全体の屈折率が1.50以上であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜500,000mPa・sの範囲にあるフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した数平均分子量が500〜2,000の範囲であり、樹脂を構成するシロキシ単位の15モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂 100質量部 および
(B)25℃で液状であり、分子中に下記構造式(1)で示されるフェニルシロキシ単位を有する、屈折率1.45以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン(ただし、成分(A)に該当するものを除く) 50〜1,000質量部 を含有してなる、請求項1に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1):
【化1】

(式中、Rは各々独立に、置換または非置換の一価炭化水素基である。)
【請求項3】
前記の成分(A)が、数平均分子量が750〜1,800の範囲であり、樹脂を構成するシロキシ単位の40モル%以上がフェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂であり、
前記の成分(B)が、下記構造式(1−1)で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1−1)
【化2】

(式中、Rは、フェニル基、アラルキル基、水素原子、水酸基または炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはフッ化アルキル基から選択される基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n1は0〜1000の範囲の数である。)
【請求項4】
組成物全体の屈折率が1.50〜1.60であり、25℃における組成物全体の粘度が200〜100,000mPa・sの範囲にある請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が、数平均分子量が750〜1,800であり、分子鎖末端に1以上の水酸基を有し、樹脂を構成するシロキシ単位の60〜100モル%が、フェニルシロキシ単位(CSiO3/2)であるフェニルシルセスキオキサン樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
前記の成分(B)が、下記構造式(1−2)で示されるフェニルテトラシロキサン、フェニルトリシロキサンまたはフェニルジシロキサンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
構造式(1−2):
【化3】

(式中、Rは前記同様の基であり、このうちモル比で少なくとも50%がフェニル基であり、n2は0〜2の範囲の数である。)
【請求項7】
前記(B)成分が、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物からなる化粧料原料。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物および1種類以上の(C)粉体または着色剤を含有してなるメイクアップ化粧料。
【請求項11】
前記の(A)成分および(B)成分を、有機溶剤の存在下で混合する工程(I) および
上記工程(I)の後、混合系から有機溶剤を除去する工程(II)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項12】
前記の(A)成分および(B)成分の配合比を、1:0.5〜1:10の範囲で調整する事により、25℃における組成物全体の粘度を200〜100,000mPa・sの範囲に調整することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェニル基含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−136935(P2011−136935A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297442(P2009−297442)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】