説明

フェニル5−チオグリコシド化合物

【課題】選択的にSGLT1活性を阻害し、消化管からのグルコース吸収を阻害することで、IGT(耐糖能異常)をコントロールする新規なフェニル 5−チオグリコシド化合物を提供する。
【解決手段】下記式(I)
【化1】


[式(I)中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基等を示し、Zは、−NHSO2フェニル、−NHSO2NH2、−NHC(=NH)NH2等を示す。]で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓でのグルコース再吸収に関わるナトリウム依存性グルコース供輸送体1(SGLT1)の阻害活性を有するピラゾリル 5−チオグリコシド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病に罹患すると、空腹時の血糖値は126mg/dL以上を示す。また、空腹時の血糖値が正常であっても、食事の後に140〜200mg/dLという高い血糖値を示す場合には、耐糖能異常(以下、IGT(impaired glucose tolerance)という。)と診断される。そして、このIGTの状態は、「境界型」と呼ばれ、糖尿病予備群と位置付けられている。この境界型から糖尿病の発症を遅らせることは、心血管障害のリスクを低減させると考えられ、それを示す幾つかの知見が得られている。例えば、1997年に中国で行われたDa Qing IGT and Diabetes Studyでは、ダイエットや運動を行うことでIGTから2型糖尿病への移行を有意に抑制したと報告されている(非特許文献1参照)。また、薬剤治療が有効な例として、糖の加水分解酵素を阻害し、小腸からの糖の吸収を遅延させるα−グルコシダーゼ阻害剤アカルボースを投与すると、IGTから2型糖尿病への移行を抑制し、さらに高血圧の発症も有意に抑制することが報告されている(非特許文献2参照)。
【0003】
以上のことから、糖尿病の発症を抑えるには、食事療法、運動及び薬物療法によってIGTをコントロールすることが重要である。
【0004】
ここで、小腸上皮には高い頻度でナトリウム依存性グルコース共輸送体1(SGLT1)が発現している。このSGLT1は小腸において、ナトリウムに依存し、グルコース又はガラクトースの能動輸送を司っている。そこで、SGLT1活性を阻害し、血糖値の上昇を抑制して、IGTの改善を図るピラゾール誘導体の合成例が報告されている(特許文献1〜6参照)。
【0005】
また、腎臓に高頻度で発現するSGLT2の阻害活性を有するフェニル 5−チオグリコシド誘導体も開示されている(特許文献7参照)。
【0006】
しかしながら、選択的にSGLT1活性を阻害するフェニル 5−チオグリコシド誘導体については知られていない。
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2002/098893号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO2004/014932号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO2004/018491号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO2004/019958号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO2005/121161号パンフレット
【特許文献6】国際公開第WO2004/050122号パンフレット
【特許文献7】国際公開第WO2004/089967号パンフレット
【非特許文献1】Pan XR, et al. Diabets Care, 第20巻, 534項, 1997年
【非特許文献2】J.-L. Chiasson, et al. Lancent, 第359巻, 2072項, 2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、選択的にSGLT1活性を阻害し、消化管からのグルコース吸収を抑制することで、IGTをコントロールする新規なフェニル 5−チオ−β−D−グルコピラノシド化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ある種のヒドロキシピラゾール誘導体を5−チオグルコシル化した化合物が、優れたSGLT1活性阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である。
【0011】
【化1】

【0012】
[式(I)中、
1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示す。
Zは、−NHSO2フェニル、−NHSO2NH2、−NHC(=NH)NH2、−NHCON(RA)RB(式中、RA及びRBは、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、又は“水酸基、−CONH2、フェニル基及びピリジル基からなる群より選択される1〜3個の基で置換されたC1-6アルキル基”を示す。)、又は“メチル基及びオキソ基の少なくとも1種で置換された4〜6員へテロシクロアルキル基”、又は−Y−CON(RC)RD(式中、Yは、C1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基を示し、RC及びRDの一方が“−CONH2で置換されたC1-6アルキル基”を示すとき、他方は水素原子を示す。)を示す。]
【0013】
本発明の他の態様は、前記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とするSGLT1活性阻害剤である。
【0014】
本発明の他の態様は、前記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とする糖尿病の予防又は治療剤である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、SGLT1活性を選択的に阻害する新規なフェニル 5−チオグルコシド化合物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において使用する用語を以下に定義する。
【0017】
「C1-6アルキル基」とは、炭素原子を1−6個有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味する。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。
【0018】
「C1-6アルコキシ基」とは、炭素原子を1−6個有する直鎖状又は分枝状のアルコキシ基を意味し、C1-4アルコキシ基が好ましい。C1-4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
【0019】
「メチル基及びオキソ基の少なくとも1種で置換された4〜6員へテロシクロアルキル基」とは、O、S及びNから選択された1〜2個のヘテロ原子を含有する原子数4〜6個からなるヘテロシクロアルキル基において、その基上の水素原子がメチル基及びオキソ基の少なくとも1種で置換された基である。例えば、2−オキソピロリジニル基、5,5−ジメチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン−3−イル基が挙げられる。
【0020】
「水酸基、−CONH2、フェニル基及びピリジル基からなる群より選択される1〜3個の基で置換されたC1-6アルキル基」とは、その基上の水素原子が1〜3個の水酸基、−CONH2、フェニル基及びピリジル基の少なくとも1種の基によって置換されたアルキル基を示す。例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル基、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、ベンジル基、フェネチル基、3−ピリジルメチル基が挙げられる。
【0021】
「製薬学的に許容される塩」とは、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、アルキルアンモニウムなどとの塩、鉱酸又は有機酸との塩であり、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ぎ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アジピン酸塩、システインとの塩、N−アセチルシステインとの塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、よう化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、アクリル酸ポリマーとの塩、カルボキシビニルポリマーとの塩などが挙げられる。
【0022】
「水和物」とは、本発明の化合物又はその塩の製薬学的に許容される水和物である。本発明の化合物又はその塩は、大気にさらされ、あるいは再結晶することなどにより、水分を吸収し、吸着水がつく場合や、水和物となる場合がある。本発明における水和物には、そのような水和物も含まれる。
【0023】
以下に、本発明化合物(I)の製造方法を説明する。
【0024】
製造法1
本発明化合物(I)において、Zが−NHSO2フェニル、−NHSO2NH2、−NHC(=NH)NH2、又は−NHCON(RA)RBである化合物は以下の方法で合成することができる。
ただし、P1、P2、P3及びP4は、アセチル基、ピバロイル基等のC2-6アルカノイル基又はベンゾイル基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0025】
【化2】

【0026】
ここに、フェノール誘導体(IIa)は、国際公開WO2004/050122号に準拠して合成することができる。5−チオグルコース誘導体(III)は、国際公開WO2004/014931号に準拠して合成することができる。
【0027】
(1)工程1(光延反応)
光延反応(国際公開WO2004/089966号)によって、フェノール誘導体(IIa)と5−チオグルコース誘導体(III)からフェニル 5−チオ−β−D−グルコシド誘導体(IVa)を選択的に製造することができる。この反応における試薬として必要なホスフィン類の例としては、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリストリルホスフィンやジフェニル−2−ピリジルホスフィンが挙げられる。中でもトリフェニルホスフィン、ジフェニル−2−ピリジルホスフィンが好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。
【0028】
アゾ試薬の例としては、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートやジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)や1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを用いることができる。中でも、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートが好ましい。
【0029】
本反応に用いる溶媒はテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等であり、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエンである。
【0030】
反応温度は−20℃から室温が好ましく、−5℃から+5℃がより好ましい。
【0031】
(2)工程2(ニトロ基の還元)
上記で得られた化合物(IVa)をパラジウム活性炭、水酸化パラジウム、又は白金−パラジウム活性炭等の触媒を用いて水素雰囲気下にて接触水素添加することによりニトロ基をアミノ基に変換し、化合物(IVb)が得られる。中でもパラジウム活性炭、水酸化パラジウムが触媒として好ましい。この反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸等が挙げられる。反応温度は室温から還流温度であるが、室温が好ましい。
【0032】
また、塩化スズ(II)1水和物、塩化アンモニウムの存在下、鉄を用いることもできる。この反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。反応温度は室温から還流温度である。
【0033】
引き続いて、化合物(IVb)を中間体として以下に示す方法で本発明化合物(I)を製造することができる。
【0034】
Eはベンジルオキシカルボニル基又はt−ブトキシカルボニル基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0035】
【化3】

【0036】
(3)工程3(スルホニル基の導入)
化合物(IVb)から適当な塩基の存在下、フェニルスルホニルクロリド又はイソシアン酸クロロスルホニルを用い、化合物(IVc)又は(IVd)に誘導することができる。適当な塩基としては、トリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン、ピリジン、DBU、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等が挙げられる。また、使用する溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチル等、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度は0℃から還流温度である。
【0037】
(4)工程4(グアニジノ基の導入)
化合物(IVb)からグアニジノ化試薬Vを用いて化合物(IVe)に誘導することができる。この反応に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。反応温度は室温から還流温度である。
【0038】
(5)工程5(ウレイド基の構築)
化合物(IVb)から適当な塩基の存在下、p−ニトロフェニルクロロホルメートやトリホスゲンを用いて、アミンRABNHと縮合することにより、化合物(IVf)に誘導することができる。適当な塩基としては、トリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン、ピリジン、DBU、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等が挙げられる。また、使用する溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチル等が挙げられる。反応温度は0℃から還流温度である。
【0039】
(6)工程6(P1、P2、P3、P4及びREの脱保護)
5−チオグルコースの保護基を適当な塩基を用いて除去し、本発明化合物(I)が得られる。この反応に使用する塩基として、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等を用いることができる。反応に適当な溶媒はメタノール、エタノール、水又はこれらの混合溶媒である。反応温度は0℃から室温であり、室温が好ましい。
【0040】
また、グアニジノ基の保護基REがベンジルオキシカルボニル基である場合は、製造法1に記載された接触水素添加にて除去することもできる。このときの好ましい触媒は水酸化パラジウムである。
【0041】
製造法2
本発明の化合物(I)において、Zが−Y−CON(RC)RDである化合物は以下の方法で合成できる。
ただし、Y1は単結合又はC1-4アルキニル基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0042】
【化4】

【0043】
まず、製造法1の工程1に示した光延反応により、フェノール誘導体(IIb)から化合物(IVg)を合成することができる。
【0044】
(7)工程7(Heck反応)
化合物(IVg)とオレフィン酢酸(VI)をパラジウム触媒とホスフィンリガンド、及び適当な塩基の存在下、Heck反応を行うことにより化合物(IVh)を合成することができる。このとき用いるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジベンジリデンアセトンパラジウム、ビストリフェニルホスフィンパラジウムクロリド、パラジウム活性炭等が挙げられる。ホスフィンリガンドとしてはトリフェニルホスフィンやトリス(2−メチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。また、塩基にはトリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、カリウムt−ブトキシド等が用いられる。反応に用いられる溶媒としては、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。反応温度は0℃から還流温度であるが、マイクロウェーブを用いることもある。
【0045】
(8)工程8(アミド基への変換)
化合物(IVh)とアミン(RCDNH)にて脱水縮合し、化合物(IVj)が得られる。この反応に使用する溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド等が好ましく、脱水縮合剤としては、N,N−ジシクロカルボジイミド(DCC)、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸(WSC)、N,N−カルボニルジイミダゾール(CDI)、WSC/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物等が好ましい。ここでの反応温度は0℃〜60℃である。
【0046】
(9)工程9
化合物(IVh)のオレフィン部分を製造法1の工程2に示した接触水素添加を行った後に、アミン(RCDNH)と縮合することで、化合物(IVk)を製造することもできる。
【0047】
(10)工程10(脱保護)
最後に、P1、P2、P3及びP4を製造法1の工程6に示した方法で脱保護し、本発明化合物(I)が得られる。
【0048】
本発明の化合物は、SGLT1を選択的に阻害し、小腸からの糖の吸収を抑制して、IGTを改善することができる。
【0049】
よって、本発明の化合物は、SGLT1阻害剤、あるいは、糖尿病、糖尿病関連疾患及び糖尿病合併症の予防又は治療剤の有効成分として用いることができる。
【0050】
ここで、「糖尿病」には、1型糖尿病、2型糖尿病の他、特定の原因によるその他の型の糖尿病が含まれる。
【0051】
本発明の化合物は、医薬として、全身的又は局所的に、経口投与又は非経口投与することができる。
【0052】
本発明の化合物を医薬として提供する場合、固形剤、液剤等の種々の態様の製剤形態を適宜に採択することができる。その際、製薬学的に許容される担体を配合することも可能である。そのような担体の例としては、一般的な賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、糖衣剤、pH調整剤、溶解剤又は水性若しくは非水性溶媒などが挙げられる。本発明の化合物とこれらの担体から、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤等を調製することができる。
【0053】
また、本発明の化合物は、α、β若しくはγ−シクロデキストリン又はメチル化シクロデキストリン等に包接させて、その溶解性を改善することも可能である。
【0054】
本発明の化合物の投与量は、疾患、症状、体重、年齢、性別、投与経路等により異なってくるが、成人に対し、1日当たり0.1〜1000mg/kg体重であり、0.1〜200mg/kg体重が好ましく、0.1〜10mg/kg体重がより好ましい。これを1日1回から数回に分けて投与することができる。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例及び参考例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
まず、参考例1〜12において、本発明化合物の中間体の合成例を示す。
【0056】
参考例1
5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノールの合成
(1)3,5−ジメトキシトルエン(3.83mL、26.2mmol)と4−ニトロベンゾイルクロリド(5.35g、28.8mmol)のクロロホルム(75mL)溶液に氷冷下塩化アルミニウム(3.67g、27.5mmol)を加えて30分攪拌した後、室温にて4時間攪拌した。反応混合物に氷水、1N塩酸を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=10:1→3:1)にて精製し、(2,4−ジメトキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンを得た。
【0057】
(2)次に、(2,4−ジメトキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンをクロロホルム(30mL)に溶解し、氷冷下1.0M三塩化ホウ素のへプタン溶液(10.7mL、10.7mmol)を滴下して、室温にて15時間攪拌した。反応混合物に氷水、10%塩酸を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1→2:1)にて精製し、(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンを得た。
【0058】
(3)次に、(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンをテトラヒドロフラン(26mL)に溶解しトリエチルアミン(1.39mL、9.96mmol)を加え、この溶液に氷冷下クロロギ酸メチル(0.67mL、8.76mmol)を加えて、室温で21時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製して5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンゾイル)フェニル メチル カルボナートを得た。
【0059】
(4)次に、5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンゾイル)フェニル メチル カルボナートをテトラヒドロフラン(26mL)と水(26mL)に懸濁させ、氷冷下水素化ホウ素ナトリウム(1.20g、31.8mmoL)を加えて、室温で2.5時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、淡黄色粉末の表題化合物(2.0g、28%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.20 (s, 3 H) 3.77 (s, 3 H) 4.07 (s, 2 H) 4.75 - 4.77 (m, 1 H) 6.26 (d, J=2.49 Hz, 1 H) 6.39 (d, J=2.49 Hz, 1 H) 7.27 - 7.33 (m, 2 H) 8.07 - 8.13 (m, 2 H).
ESI m/z = 272 (M-H).
【0060】
参考例2
3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノールの合成
(1)3,5−ジメチルフェノール(8.0g、0.066mol)とトリエチルアミン(9.9mL)のクロロホルム溶液に4℃にて4−ニトロベンゾイルクロリド(12.0g、0.065mol)を加えて、室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をへキサン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒で洗浄し、無色粉末状の3,5−ジメチルフェニル 4−ニトロベンゾアート(14.9g、85%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.36 (s, 6 H) 6.85 (s, 2 H) 6.95 (s, 1 H) 8.36 (s, 4 H).
【0061】
(2)次に、3,5−ジメチルフェニル 4−ニトロベンゾアート(9.9g、36.5mmol)に塩化アルミニウム(6.3g、47.4mmol)を加え、140℃にて1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、1N塩酸を加えジエチルエーテルで抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、2%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層を分取した。氷冷下、水層に濃塩酸を加えて酸性にし、析出した結晶を濾過して黄色粉末状の(2−ヒドロキ−4,6−ジメチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノン(3.39g、34%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.91 (s, 3 H) 2.34 (s, 3 H) 6.59 (s, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 7.76 - 7.83 (m, 2 H) 8.27 - 8.35 (m, 2 H) 9.60 (s, 1 H).
ESI m/z = 270 (M-H).
【0062】
(3)次に、(2−ヒドロキ−4,6−ジメチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノン(3.39g、12.5mmol)及びトリエチルアミン(2.17mL、13.7mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に氷冷下クロロギ酸メチル(1.06mL、13.7mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製して3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンゾイル)フェニル メチル カルボナートを得た。これをテトラヒドロフラン(40mL)と水(40mL)に懸濁し、氷冷下水素化ホウ素ナトリウム(1.89g、50.0mmol)を加えて、室温で2.5時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、淡黄色粉末の3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノール(2.55g、79%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.17 (s, 3 H) 2.41 (s, 3 H) 3.67 (s, 3 H) 6.97 (s, 1 H) 7.03 (s, 1 H) 7.91 - 7.98 (m, 2 H) 8.25 - 8.32 (m, 2 H).
ESI m/z = 256 (M-H).
【0063】
参考例3
3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノールの合成
(1)3−メチルフェノールと4−ニトロベンゾイルクロリドから参考例2の(1)と同様の方法で、3−メチルフェニル 4−ニトロベンゾアートを得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.41 (s, 3 H) 7.00 - 7.07 (m, 2 H) 7.13 (d, J=6.84 Hz, 1 H) 7.34 (t, J=7.85 Hz, 1 H) 8.37 (s, 4 H).
【0064】
(2)次に、3,5−ジメチルフェニル 4−ニトロベンゾアートの代わりに3−メチルフェニル 4−ニトロベンゾアート(15.0g、0.058mol)を用いて参考例2の(2)と同様のFries転移を用いて、(2−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノン(0.42g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.99 (s, 3 H) 6.80 (d, J=6.84 Hz, 1 H) 6.90 (d, J=8.86 Hz, 1 H) 7.30 - 7.41 (m, 1 H) 7.77 - 7.90 (m, 2 H) 8.27 - 8.36 (m, 2 H) 8.62 - 8.71 (m, 1 H).
また、(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノン(1.32g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.40 (s, 3 H) 6.71 (d, J=8.24 Hz, 1 H) 6.92 (s, 1 H) 7.32 (d, J=8.24 Hz, 1 H) 7.81 (d, J=8.86 Hz, 2 H) 8.37 (d, J=8.86 Hz, 2 H) 11.86 (s, 1 H).さらに、(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノン(1.31g)を得た。
【0065】
(3)次に、(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンの代わりに(2−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンを用いて参考例2の(3)と同様の方法で3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノールを得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.24 (s, 3 H) 4.15 (s, 2 H) 4.68 (s, 1 H) 6.67 (d, J=8.08 Hz, 1 H) 6.82 (d, J=7.31 Hz, 1 H) 7.07 (t, J=7.77 Hz, 1 H) 7.28 - 7.35 (m, 2 H) 8.07 - 8.14 (m, 2 H).
ESI m/z = 242 (M-H).
【0066】
参考例4
5−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノールの合成
(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンの代わりに(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ニトロフェニル)メタノンを用いて参考例2の(3)と同様の方法で表題化合物を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.29 (s, 3 H) 4.03 (s, 2 H) 4.57 (s, 1 H) 6.59 (s, 1 H) 6.73 (d, J=8.39 Hz, 1 H) 7.00 (d, J=7.62 Hz, 1 H) 7.33 - 7.41 (m, 2 H) 8.07 - 8.16 (m, 2 H).
ESI m/z = 242 (M-H).
【0067】
参考例5
3−ヒドロキシ−5−メチル−4−(3−ニトロベンジル)フェニル メチル カルボナートの合成
3,5−ジメトキシトルエンと3−ニトロベンゾイルクロリドより、国際公開WO2004/050122号に準拠して合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.25 (s, 3 H) 3.91 (s, 3 H) 4.08 (s, 2 H) 5.29 (s, 1 H) 6.53 - 6.56 (m, 1 H) 6.63 - 6.65 (m, 1 H) 7.35 - 7.49 (m, 2 H) 7.99 - 8.07 (m, 2 H).
ESI m/z = 316 (M-H).
【0068】
参考例6
3−ヒドロキシ−4−(4−ニトロベンジル)フェニル メチル カルボナートの合成
3,5−ジメトキシベンゼンと4−ニトロベンゾイルクロリドより国際公開WO2004/050122号に準拠して合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 3.90 (s, 3 H) 4.04 (s, 2 H) 6.65 (d, J=2.29 Hz, 1 H) 6.73 (dd, J=8.36, 2.29 Hz, 1 H) 7.09 (d, J=8.36 Hz, 1 H) 7.33 - 7.39 (m, 2 H) 8.09 - 8.15 (m, 2 H).
ESI m/z = 302 (M-H).
【0069】
参考例7
4−(4−ブロモベンジル)−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル メチル カルボナートの合成
3,5−ジメトキシトルエンと4−ブロモベンゾイルクロリドより国際公開WO2004/050122号に準拠して合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.23 (s, 3 H) 3.90 (s, 3 H) 3.94 (s, 2 H) 4.97 (s, 1 H) 6.52 - 6.55 (m, 1 H) 6.61 - 6.65 (m, 1 H) 6.98 - 7.04 (m, 2 H) 7.32 - 7.39 (m, 2 H).
ESI m/z = 374 (M+Na).
【0070】
参考例8
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)メタンスルホンアミド(化合物13)の合成
(1)メチル 3−メチル−4−(4−ニトロベンジル)−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナートの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(3.46g、9.50mmol)、3−ヒドロキシ−5−メチル−4−(4−ニトロベンジル)フェニル メチル カルボナート(2.19g、6.33mmol;国際公開WO2004/050122号に準拠して3,5−ジメトキシトルエンと4−ニトロベンゾイルクロリドより合成)及びトリフェニルホスフィン(2.49g、9.50mmol)のトルエン(16mL)溶液に食塩を含む氷冷下、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(40%トルエン溶液;5.16mL、9.50mmol)をゆっくりと滴下した。氷冷下で30分間攪拌し、室温で一晩攪拌した。反応液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜1:1)にて精製し、褐色ガム状物質として表題化合物(1.89g、45%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.83 (s, 3 H) 1.98 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.22 (s, 3 H) 3.21 - 3.31 (m, 1 H) 3.87 - 4.18 (m, 6 H) 4.28 (dd, J=12.05, 5.21 Hz, 1 H) 5.08 - 5.54 (m, 4 H) 6.78 - 6.81 (m, 1 H) 6.88 - 6.91 (m, 1 H) 7.17 - 7.24 (m, 2 H) 8.06 - 8.14 (m, 2 H).
ESI m/z = 686 (M+Na).
【0071】
(2)4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
メチル 3−メチル−4−(4−ニトロベンジル)−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナート(1.89g、2.85mmol)のメタノール(30mL)溶液にパラジウム−活性炭素(10%)(0.63g)を加え、水素雰囲気下、室温にて2.5日間攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜1:10)にて精製し、淡黄色粉末として表題化合物(1.13g、63%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 3.20 - 3.31 (m, 1 H) 3.70 - 4.18 (m, 6 H) 4.25 - 4.36 (m, 1 H) 5.06 - 5.40 (m, 3 H) 5.49 - 5.62 (m, 1 H) 6.51 - 6.60 (m, 2 H) 6.71 - 6.95 (m, 4 H).
ESI m/z = 656 (M+Na).
【0072】
(3)4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)のクロロホルム(10mL)溶液にピリジン(0.061mL、0.758mmol)とメタンスルホニルクロリド(0.049mL、0.632mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.14mL、0.632mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1で精製し、褐色粉末として表題化合物(125mg、81%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0073】
参考例9
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)アセトアミド(化合物15)の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)のピリジン(0.060mL)溶液に無水酢酸(0.061mL)を加え室温で1.5時間攪拌した。反応液を濃縮後、得られた残渣にメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.27mL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1で精製し、褐色粉末として表題化合物(106mg、75%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0074】
参考例10
2−(4−アミノベンジル)−5−ヒドロキシ−3−メチルフェニル 5−チオ−β−D−グルコピラノシド(化合物17)の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)のメタノール(2mL)溶液にソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.27mL、1.26mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、無色粉末として表題化合物(94mg、73%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0075】
参考例11
4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタノイックアシッド(化合物25)の合成
(1)4−(4−ブロモベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(15.4g、42.3mmol)と4−(4−ブロモベンジル)−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル メチル カルボナート(9.92g、28.2mmol)、トリフェニルホスフィン(11.1g、42.3mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(40%トルエン溶液;23.0mL、42.3mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(4.24g、22%)を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.77 (s, 3 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 3.21 - 3.33 (m, 1 H) 3.75 - 3.82 (m, 2 H) 3.93 (s, 3 H) 4.06 - 4.15 (m, 1 H) 4.25 - 4.34 (m, 1 H) 5.07 - 5.41 (m, 3 H) 5.48 - 5.59 (m, 1 H) 6.71 - 7.05 (m, 4 H) 7.29 - 7.38 (m, 2 H).
ESI m/z = 719 (M+Na).
【0076】
(2)(3E)−4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタ−3−エノイックアシッドの合成
4−(4−ブロモベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(1.08g、1.55mmol)のアセトニトリル(16mL)溶液にビニル酢酸(321mg、3.73mmol)、酢酸パラジウム(II)(35mg、0.155mmol)、トリ−O−トリルホスフィン(94mg、0.310mmol)、トリエチルアミン(1.08mL、7.75mmol)を加え、biotage社製マイクロウェーブを用いて120℃、20分間反応を行った。反応液を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=100:1〜30:1、ヘキサン:酢酸エチル=1:4〜0:1)にて精製し、淡黄色粉末として表題化合物(990mg、91%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.96 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.18 (s, 3 H) 3.21 - 3.31 (m, 2 H) 3.79 - 4.17 (m, 7 H) 4.25 - 4.34 (m, 1 H) 5.06 - 5.38 (m, 3 H) 5.49 - 5.60 (m, 1 H) 6.13 - 6.26 (m, 1 H) 6.40 - 6.50 (m, 1 H) 6.74 - 6.77 (m, 1 H) 6.88 - 6.92 (m, 1 H) 6.94 - 6.99 (m, 2 H) 7.19 - 7.25 (m, 2 H).
ESI m/z = 725 (M+Na).
【0077】
(3)4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタノイックアシッドの合成
(3E)−4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタ−3−エノイックアシッド(1.99g、2.83mmol)のメタノール(28mL)溶液にパラジウム−活性炭素(10%)(660mg) を加え、水素雰囲気下、室温にて2時間攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=50:1〜30:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(1.81g、91%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.74 (s, 3 H) 1.85 - 1.94 (m, 2 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 2.30 - 2.38 (m, 2 H) 2.55 - 2.64 (m, 2 H) 3.21 - 3.31 (m, 1 H) 3.77 - 4.17 (m, 6 H) 4.30 (dd, J=11.89, 5.21 Hz, 1 H) 5.06 - 5.39 (m, 3 H) 5.49 - 5.59 (m, 1 H) 6.68 - 7.09 (m, 6 H).
ESI m/z = 727 (M+Na).
【0078】
(4)4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタノイックアシッド(化合物25)の合成
4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタノイックアシッド(160mg、0.227mmol)のメタノール溶液に、ソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.20mL、0.908mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、表題化合物(51mg、47%)を合成した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0079】
参考例12
4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタンアミド(化合物28)の合成
(1)4−[4−(4−アミノ−4−オキソブチル)ベンジル]−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
参考例11の(3)で得られた4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタノイックアシッド(180mg、0.255mmol)のクロロホルム(3mL)の溶液に、塩化アンモニウム(27mg、0.511mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(43mg、0.281mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(68mg、0.357mmol)、トリエチルアミン(0.18mL、1.28mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=50:1〜10:1)で精製し、表題化合物(140mg、78%)を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.78 (s, 3 H) 1.88 - 1.96 (m, 2 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.10 - 2.19 (m, 2 H) 2.20 (s, 3 H) 2.55 - 2.66 (m, 2 H) 3.20 - 3.33 (m, 1 H) 3.78 - 4.17 (m, 6 H) 4.25 - 4.34 (m, 1 H) 5.06 - 5.60 (m, 6 H) 6.68 - 7.09 (m, 6 H).
ESI m/z = 726 (M+Na).
【0080】
(2)4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタンアミド(28)の合成
4−[4−(4−アミノ−4−オキソブチル)ベンジル]−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(140mg、0.199mmol)のメタノール溶液に、ソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.17mL、0.796mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、表題化合物(66mg、69%)を合成した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0081】
実施例1
N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物1)の合成
参考例8の(2)で合成した、4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)のクロロホルム(8mL)溶液にピリジン(0.034mL、0.426mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(73mg、0.363mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。トリエチルアミン(0.088mL、0.631mmol)と2−アミノエタノール(21mg、0.347mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下留去し、得られた残渣にメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.30mL、1.38mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、酢酸エチルで洗浄し、無色粉末として表題化合物(71mg、45%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0082】
実施例2 ウレイド誘導体の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートとそれぞれ対応するアミン、すなわち、3−アミノメチルピリジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、グリシンアミド塩酸塩、β−アラニンアミド塩酸塩、2−アミノイソブチリックアシッド、ベンジルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミンを用い、実施例1に示した方法と同様の方法で“化合物2”乃至“化合物11”を製造した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0083】
実施例3
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物12)の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)のクロロホルム(8mL)溶液にピリジン(0.034mL、0.426mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(73mg、0.363mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。アンモニア(2Mメタノール溶液;1.58mL、3.16mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下留去し、得られた残渣にメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.27mL、1.26mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、酢酸エチルで洗浄し、無色粉末として表題化合物(85mg、60%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0084】
実施例4
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ベンゼンスルホンアミド(化合物14)の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートとそれぞれベンゼンスルホニルクロリドを用い、参考例8に示した方法と同様の方法で化合物14を製造した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0085】
実施例5
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)スルファミド(化合物16)の合成
イソシアン酸 クロロスルホニル(0.083mL、0.948mmol)のアセトニトリル(4mL)溶液に水(0.02mL)を加え、室温で10分間攪拌した。この反応混合物を、参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)および、トリエチルアミン(0.20mL、1.42mmol)のクロロホルム(8mL)溶液に加え、室温で2.5日間攪拌した。反応液を水にあけ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.27mL、1.26mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1〜5:2:1)で精製し、無色粉末として表題化合物(71mg、46%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0086】
実施例6
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)グアニジン(化合物18)の合成
参考例8の(2)で得られた4−(4−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(187mg、0.295mmol)のテトラヒドロフラン(7mL)溶液にN,N’−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン(123mg、0.325mmol)を加え、室温で3時間、60℃で4時間攪拌し、8時間過熱還流した。反応液を減圧下留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、無色ガム状物質を得た。これにメタノール(2mL)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.26mL、1.18mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。ソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.52mL、2.36mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。さらにソディウムメトキシド(25%メタノール溶液、0.52mL、2.36mmol)を加え、室温で3日間攪拌した。反応液にドライアイスを加え中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を合成吸着剤HP20(メタノール:水=1:1〜1:0)で精製し、酢酸エチルで洗浄後、淡褐色粉末として表題化合物(24mg、18%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0087】
実施例7
N−(3−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物19)の合成
(1)メチル 3−メチル−4−(3−ニトロベンジル)−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナートの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(3.4g、9.46mmol)と3−ヒドロキシ−5−メチル−4−(3−ニトロベンジル)フェニル メチル カルボナート(2.0g、6.30mmol)、トリフェニルホスフィン(2.5g、9.46mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(40%トルエン溶液;5.1mL、9.46mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(1.61g、39%)を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.85 (s, 3 H) 1.98 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.24 (s, 3 H) 3.22 - 3.31 (m, 1 H) 3.93 (s, 3 H) 3.99 - 4.15 (m, 3 H) 4.27 (dd, J=11.89, 5.36 Hz, 1 H) 5.09 - 5.17 (m, 1 H) 5.25 - 5.39 (m, 2 H) 5.46 - 5.55 (m, 1 H) 6.78 - 6.81 (m, 1 H) 6.89 - 6.93 (m, 1 H) 7.37 - 7.43 (m, 2 H) 7.90 - 7.95 (m, 1 H) 7.98 - 8.09 (m, 1 H).
ESI m/z = 686 (M+Na).
【0088】
(2)4−(3−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
メチル 3−メチル−4−(3−ニトロベンジル)−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナート(1.59g、2.40mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(0.76g)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(660mg、43%)を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.78 (s, 3 H) 1.97 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.21 (s, 3 H) 3.21 - 3.31 (m, 1 H) 3.73 - 3.81 (m, 1 H) 3.92 (s, 3 H) 4.07 - 4.18 (m, 2 H) 4.30 (dd, J=11.97, 5.13 Hz, 1 H) 5.08 - 5.40 (m, 3 H) 5.52 - 5.61 (m, 1 H) 6.34 - 6.38 (m, 1 H) 6.42 - 6.50 (m, 2 H) 6.73 - 6.76 (m, 1 H) 6.88 - 6.91 (m, 1 H) 6.96 - 7.03 (m, 1 H).
【0089】
(3)N−(3−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物19)の合成
4−(3−アミノベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.316mmol)とピリジン(0.034mL、0.426mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(73mg、0.363mmol)、アンモニア(2Mメタノール溶液;1.58mL、3.16mmol)、ソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;、mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(110mg、77%)を製造した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0090】
実施例8
N−(4−{4−ヒドロキシ−2−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物20)の合成
(1)メチル 4−(4−ニトロベンジル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナートの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(5.39g、14.8mmol)と3−ヒドロキシ−4−(4−ニトロベンジル)フェニル メチル カルボナート(3.27g、9.85mmol)、トリフェニルホスフィン(3.88g、14.8mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(40%トルエン溶液;8.04mL、14.8mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(0.95g、15%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.94 (s, 3 H) 2.02 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 3.23 - 3.31 (m, 1 H) 3.88 - 4.03 (m, 4 H) 4.06 - 4.17 (m, 2 H) 4.29 (dd, J=11.97, 5.28 Hz, 1 H) 5.10 - 5.58 (m, 4 H) 6.87 (dd, J=8.24, 2.26 Hz, 1 H) 6.98 (d, J=2.26 Hz, 1 H) 7.13 (d, J=8.24 Hz, 1 H) 7.29 - 7.35 (m, 2 H) 8.10 - 8.16 (m, 2 H).
ESI m/z = 672 (M+Na).
【0091】
(2)4−(4−アミノベンジル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
メチル 4−(4−ニトロベンジル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル カルボナート(0.95g、1.46mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(0.48g)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(0.51g、56%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.95 (s, 3 H) 2.02 (s, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.07 (s, 3 H) 3.23 - 3.32 (m, 1 H) 3.73 - 3.78 (m, 1 H) 3.92 (s, 3 H) 4.07 - 4.17 (m, 2 H) 4.32 (dd, J=11.97, 5.28 Hz, 1 H) 5.11 - 5.43 (m, 3 H) 5.57 - 5.66 (m, 1 H) 6.60 - 6.66 (m, 2 H) 6.77 - 6.82 (m, 1 H) 6.91 - 7.06 (m, 4 H).
ESI m/z = 642 (M+Na).
【0092】
(3)N−(4−{4−ヒドロキシ−2−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物20)の合成
4−(4−アミノベンジル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(200mg、0.323mmol)とピリジン(0.035mL、0.436mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(75mg、0.371mmol)、アンモニア(2Mメタノール溶液;1.62mL、3.23mmol)、ソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.28mL、1.29mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(89mg、63%)を製造した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0093】
実施例9
N−(4−{4−メトキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物21)の合成
(1)5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(2.0g、5.48mmol)と5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノール(1.0g、3.66mmol)、トリフェニルホスフィン(1.4g、5.48mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(2.8mL、5.48mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(0.71g、31%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.82 (s, 3 H) 1.98 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 3.21 - 3.29 (m, 1 H) 3.82 (s, 3 H) 3.90 - 4.12 (m, 3 H) 4.28 (dd, J=11.97, 5.13 Hz, 1 H) 5.10 - 5.17 (m, 1 H) 5.26 - 5.36 (m, 2 H) 5.45 - 5.52 (m, 1 H) 6.48 (d, J=2.33 Hz, 1 H) 6.61 (d, J=2.49 Hz, 1 H) 7.17 - 7.23 (m, 2 H) 8.06 - 8.12 (m, 2 H).
ESI m/z = 642 (M+Na).
【0094】
(2)2−(4−アミノベンジル)−5−メトキシ−3−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
5−メトキシ−3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(0.71g、1.15mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(0.3g)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(540mg、80%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.77 (s, 3 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.17 (s, 3 H) 3.18 - 3.26 (m, 1 H) 3.69 - 3.77 (m, 1 H) 3.80 (s, 3 H) 3.84 - 3.92 (m, 1 H) 4.11 (dd, J=12.12, 3.89 Hz, 1 H) 4.30 (dd, J=12.05, 5.05 Hz, 1 H) 5.11 (t, J=9.25 Hz, 1 H) 5.25 (d, J=8.70 Hz, 1 H) 5.34 (dd, J=10.41, 9.48 Hz, 1 H) 5.55 (t, J=8.86 Hz, 1 H) 6.45 (d, J=2.33 Hz, 1 H) 6.59 (d, J=8.39 Hz, 2 H) 6.62 (d, J=2.18 Hz, 1 H) 6.82 (d, J=8.55 Hz, 2 H).
ESI m/z = 612 (M+Na).
【0095】
(3)N−(4−{4−メトキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア
2−(4−アミノベンジル)−5−メトキシ−3−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(200mg、0.34mmol)とピリジン(0.037mL、0.46mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(79mg、0.39mmol)、アンモニア(2M メタノール溶液、1.69mL、3.39mmol)、ソディウムメトキシド(25% メタノール溶液、0.3mL、1.36mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(88mg、56%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0096】
実施例10
N−(4−{2,4−ジメチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物22)の合成
(1)3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(2.12g、5.83mmol)と3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノール(1.0g、3.89mmol)、トリフェニルホスフィン(1.53g、5.83mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(2.9mL、5.83mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(442mg、19%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.84 (s, 3 H) 1.99 (s, 3 H) 2.04 (d, J=2.49 Hz, 6 H) 2.17 (s, 3 H) 2.35 (s, 3 H) 3.22 - 3.31 (m, 1 H) 3.92 - 4.14 (m, 3 H) 4.29 (dd, J=12.05, 5.05 Hz, 1 H) 5.10 - 5.19 (m, 1 H) 5.28 - 5.37 (m, 2 H) 5.45 - 5.53 (m, 1 H) 6.76 (s, 1 H) 6.82 (s, 1 H) 7.18 - 7.24 (m, 2 H) 8.05 - 8.12 (m, 2 H).
ESI m/z = 626 (M+Na).
【0097】
(2)2−(4−アミノベンジル)−3,5−ジメチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
3,5−ジメチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(442mg、0.73mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(221mg)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(300mg、71%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.79 (s, 3 H) 1.98 (s, 3 H) 2.05 (d, J=8.55 Hz, 6 H) 2.15 (s, 3 H) 2.33 (s, 3 H) 3.18 - 3.29 (m, 1 H) 3.72 - 3.82 (m, 1 H) 3.85 - 3.95 (m, 1 H) 4.07 - 4.16 (m, 1 H) 4.31 (dd, J=11.89, 5.05 Hz, 1 H) 5.12 (t, J=9.25 Hz, 1 H) 5.24 - 5.41 (m, 2 H) 5.55 (t, J=8.86 Hz, 1 H) 6.53 - 6.61 (m, 2 H) 6.72 (s, 1 H) 6.78 - 6.86 (m, 3 H).
ESI m/z = 596 (M+Na).
【0098】
(3)N−(4−{2,4−ジメチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア
2−(4−アミノベンジル)−3,5−ジメチルフェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(289mg、0.50mmol)とピリジン(0.055mL、0.68mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(117mg、0.579mmol)、アンモニア(2M メタノール溶液、1.5mL、3.0mmol)、ソディウムメトキシド(25% メタノール溶液、0.44mL、2.01mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(179mg、79%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0099】
実施例11
N−(4−{2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物23)の合成
(1)3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(667mg、1.83mmol)と3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノール(297mg、1.22mmol)、トリフェニルホスフィン(480mg、1.83mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.93mL、1.83mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.83 (s, 3 H) 1.99 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.22 (s, 3 H) 3.22 - 3.30 (m, 1 H) 3.98 - 4.16 (m, 3 H) 4.28 (dd, J=12.05, 5.21 Hz, 1 H) 5.11 - 5.19 (m, 1 H) 5.28 - 5.37 (m, 2 H) 5.46 - 5.54 (m, 1 H) 6.94 (d, J=7.15 Hz, 1 H) 7.02 (d, J=8.39 Hz, 1 H) 7.18 - 7.25 (m, 3 H) 8.06 - 8.12 (m, 2 H).
ESI m/z = 588 (M-H).
【0100】
(2)2−(4−アミノベンジル)−3−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
3−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(195mg、0.33mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(98mg)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(71mg、10%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.78 (s, 3 H) 1.98 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 3.19 - 3.28 (m, 1 H) 3.82 (d, J=15.70 Hz, 1 H) 3.96 (d, J=15.70 Hz, 1 H) 4.08 - 4.15 (m, 1 H) 4.30 (dd, J=11.89, 5.36 Hz, 1 H) 5.13 (t, J=9.25 Hz, 1 H) 5.27 - 5.40 (m, 2 H) 5.56 (t, J=8.94 Hz, 1 H) 6.59 - 6.72 (m, 2 H) 6.81 - 6.92 (m, 3 H) 7.02 (d, J=7.31 Hz, 1 H) 7.10 - 7.17 (m, 1 H).
ESI m/z = 582 (M+Na).
【0101】
(3)N−(4−{2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレアの合成
2−(4−アミノベンジル)−3−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(71mg、0.126mmol)とピリジン(0.014mL、0.171mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(29mg、0.146mmol)、アンモニア(2M メタノール溶液、0.63mL、1.26mmol)、ソディウムメトキシド(25% メタノール溶液、0.11mL、0.507mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(23mg、42%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0102】
実施例12
N−(4−{4−メチル−2−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレア(化合物24)の合成
(1)5−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルコピラノース(2.24g、6.16mmol)と5−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェノール(1.0g、4.11mmol)、トリフェニルホスフィン(1.62g、6.16mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(3.11mL、6.16mmol)を用い、参考例8の(1)に示した方法と同様の方法で表題化合物(0.56g、23%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.93 (s, 3 H) 2.02 (s, 3 H) 2.04 (s, 6 H) 2.37 (s, 3 H) 3.23 - 3.31 (m, 1 H) 3.94 (d, J=3.42 Hz, 2 H) 4.09 (dd, J=12.12, 3.73 Hz, 1 H) 4.29 (dd, J=11.97, 5.13 Hz, 1 H) 5.12 - 5.21 (m, 1 H) 5.31 - 5.40 (m, 2 H) 5.49 - 5.56 (m, 1 H) 6.84 (d, J=8.55 Hz, 1 H) 6.90 (s, 1 H) 7.01 (d, J=7.77 Hz, 1 H) 7.29 - 7.34 (m, 2 H) 8.08 - 8.14 (m, 2 H).
ESI m/z = 612 (M+Na).
【0103】
(2)2−(4−アミノベンジル)−5−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシドの合成
5−メチル−2−(4−ニトロベンジル)フェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(0.56g、0.949mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(0.28g)を用い、参考例8の(2)に示した方法と同様の方法で表題化合物(171mg、32%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.94 (s, 3 H) 2.02 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.33 (s, 3 H) 3.22 - 3.31 (m, 1 H) 3.76 (s, 2 H) 4.13 (dd, J=11.89, 3.50 Hz, 1 H) 4.32 (dd, J=11.81, 5.13 Hz, 1 H) 5.16 (t, J=9.25 Hz, 1 H) 5.29 - 5.44 (m, 2 H) 5.60 (t, J=8.86 Hz, 1 H) 6.64 (d, J=8.39 Hz, 2 H) 6.78 (d, J=7.62 Hz, 1 H) 6.87 - 7.00 (m, 4 H).
ESI m/z = 582 (M+Na).
【0104】
(3)N−(4−{4−メチル−2−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ウレアの合成
2−(4−アミノベンジル)−5−メチルフェニル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシド(171mg、0.305mmol)とピリジン(0.033mL、0.412mmol)、クロロギ酸 4−ニトロフェニル(71mg、0.351mmol)、アンモニア(2M メタノール溶液)(1.53mL、3.06mmol)、ソディウムメトキシド(25% メタノール溶液、0.26mL、1.22mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(67mg、50%)を得た。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0105】
実施例13
(3E)−N−(3−アミノ−3−オキソプロピル)−4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタ−3−エンアミド(化合物26)の合成
(1)4−(4−{(1E)−4−[(3−アミノ−3−オキソプロピル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル}ベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
参考例11の(2)で得られた(3E)−4−(4−{4−[(メトキシカルボニル)オキシ]−2−メチル−6−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタ−3−エノイックアシッド(360mg、0.512mmol)のクロロホルム(5mL)溶液にβ−アラニンアミド塩酸塩(128mg、1.02mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(86mg、0.564mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(137mg、0.717mmol)、トリエチルアミン(0.36mL、2.56mmol)を加え、一晩攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=50:1〜10:1)で精製し、無色粉末として表題化合物(240mg、61%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.75 (s, 3 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 2.42 - 2.50 (m, 2 H) 3.06 - 3.14 (m, 2 H) 3.21 - 3.31 (m, 1 H) 3.49 - 3.59 (m, 2 H) 3.81 - 4.06 (m, 5 H) 4.11 (dd, J=12.16, 4.04 Hz, 1 H) 4.29 (dd, J=12.16, 5.52 Hz, 1 H) 5.07 - 5.39 (m, 3 H) 5.48 - 5.59 (m, 1 H) 5.67 (brs, 1 H) 6.11 - 6.25 (m, 1 H) 6.34 (brs, 1 H) 6.41 - 6.51 (m, 1 H) 6.74 - 6.78 (m, 1 H) 6.88 - 6.92 (m, 1 H) 6.94 - 7.00 (m, 2 H) 7.19 - 7.25 (m, 2 H).
ESI m/z = 795 (M+Na).
【0106】
(2)(3E)−N−(3−アミノ−3−オキソプロピル)−4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタ−3−エンアミド(化合物26)の合成
4−(4−{(1E)−4−[(3−アミノ−3−オキソプロピル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル}ベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(120mg、0.155mmol)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.14mL、0.621mmol)を用い、実施例3に示す方法と同様の方法で表題化合物(55mg、65%)を合成した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0107】
実施例14
N−(3−アミノ−3−オキソプロピル)−4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタンアミド(化合物27)の合成
(1)4−(4−{4−[(3−アミノ−3−オキソプロピル)アミノ]−4−オキソブチル}ベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナートの合成
実施例13の(1)で得られた4−(4−{(1E)−4−[(3−アミノ−3−オキソプロピル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル}ベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(120mg、0.155mmol)とパラジウム−活性炭素(10%)(40mg)を用い、参考例11の(3)に示した方法と同様の方法で表題化合物(80mg、67%)を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.76 (s, 3 H) 1.84 - 1.94 (m, 2 H) 1.97 (s, 3 H) 2.03 (s, 3 H) 2.06 (s, 3 H) 2.13 (t, J=7.38 Hz, 2 H) 2.20 (s, 3 H) 2.39 - 2.49 (m, 2 H) 2.57 (t, J=7.38 Hz, 2 H) 3.18 - 3.33 (m, 1 H) 3.44 - 3.58 (m, 2 H) 3.79 - 4.18 (m, 6 H) 4.25 - 4.34 (m, 1 H) 5.06 - 5.38 (m, 3 H) 5.49 - 5.57 (m, 1 H) 5.73 (brs, 1 H) 6.20 (brs, 1 H) 6.74 - 6.77 (m, 1 H) 6.88 - 6.91 (m, 1 H) 6.91 - 6.96 (m, 2 H) 6.98 - 7.04 (m, 2 H).
ESI m/z = 797 (M+Na).
【0108】
(2)N−(3−アミノ−3−オキソプロピル)−4−(4−{4−ヒドロキシ−2−メチル−6−[(5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]ベンジル}フェニル)ブタンアミド(化合物27)の合成
4−(4−{4−[(3−アミノ−3−オキソプロピル)アミノ]−4−オキソブチル}ベンジル)−3−メチル−5−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−β−D−グルコピラノシル)オキシ]フェニル メチル カルボナート(80mg、0.103mmol)とソディウムメトキシド(25%メタノール溶液;0.090mL、0.412mmol)を用い、実施例3に示した方法と同様の方法で表題化合物(55mg、97%)を合成した。得られた化合物の構造、NMRデータ及びMSデータを表1−1〜1−6に示す。
【0109】
【表1−1】

【0110】
【表1−2】

【0111】
【表1−3】

【0112】
【表1−4】

【0113】
【表1−5】

【0114】
【表1−6】

【0115】
実施例8
【0116】
【表2】

【0117】
製造方法
薬物を乳糖一水和物、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム及びヒドロキシプロピルセルロースと混合し、この混合物を粉砕機で粉砕する。粉砕された混合物を撹拌造粒機で1分間混合し、その後、水で4−8分間造粒する。得られた造粒物を70℃で40分間乾燥する。造粒乾燥末を500μmの篩で篩過する。篩過後の造粒乾燥末とステアリン酸マグネシウムを、V型混合機を用いて30rpm、3分間混合する。ロータリー式打錠機を用いて得られた打錠用顆粒を圧縮成形し製錠する。
【0118】
【表3】

【0119】
試験例1
(1)ヒトSGLT1とヒトSGLT2のクローニングと発現ベクターへの導入
ヒト小腸由来mRNAからヒトSGLT1配列(NM_000343)を逆転写の後増幅し、pCMV−tag5A(ストラタジーン社)に導入した。また、ヒトSGLT2配列(NM_003041)はヒト腎由来mRNAから同様な方法で調製し、pcDNA3.1+hygro(インビトロジェン社)に導入した。それぞれのクローンの配列が、報告されている配列と一致することを確認した。
【0120】
(2)ヒトSGLT1及びヒトSGLT2を安定に発現するCHO―k1細胞の作成
ヒトSGLT1およびヒトSGLT2発現ベクターを、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)を用いてCHO−K1細胞へトランスフェクションした。SGLT発現細胞は、500μg/mLの濃度のジェネティシン(SGLT1)またはハイグロマイシンB(SGLT2)の存在下で培養し耐性株を選択し、下記に示す系により糖取り込み比活性を指標に取得した。
【0121】
(3)細胞におけるナトリウム依存的糖取り込み阻害試験
ヒトSGLT1又はヒトSGLT2を安定に発現する細胞をナトリウム依存的グルコース取り込み活性阻害試験に用いた。
【0122】
細胞を前処理用緩衝液(140mM 塩化コリン、2mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4)1mL中で20分間インキュベーションした。前処理用緩衝液を除去し、試験化合物を含む取り込み用緩衝液([14C]メチル α−D−グルコピラノシドを含むメチル α−D−グルコピラノシド(SGLT1阻害では0.1mM、SGLT2阻害では1mM)、140mM NaCl、2mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4)を200μL加え、37℃にて30分(SGLT1)又は1時間(SGLT2)取り込み反応を行った。反応後細胞を洗浄用緩衝液(10mM メチル α−D−グルコピラノシド、140mM 塩化コリン2mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4)1mLで2回洗浄し、0.2M NaOH溶液400μLに溶かした。アクアゾール2(パーキンエルマー社)を加えよく混和した後、液体シンチレーションカウンター(ベックマンコールター社)で放射活性を測定した。対照群として試験化合物を含まない取り込み用緩衝液を調製した。また基礎取り込み用としてNaClに代えて塩化コリンを含む取り込み用緩衝液を調製した。
【0123】
IC50値を求めるにあたり、適当な6濃度の試験化合物を用い、対照群の糖取り込み量(100%)に対し、糖取り込み量が50%阻害される試験化合物濃度(IC50値)を算出した。試験結果を表4に示す。
【0124】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、小腸上皮に発現するSGLT1(ナトリウム依存性グルコース共輸送体1)を選択的に阻害し、小腸からの糖吸収を阻害することによって、IGT(耐糖能異常)を制御するフェニル 5−チオグリコシド化合物を有効成分として含有する糖尿病の予防又は治療剤を提供することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【化1】

ただし、
1及びR2は、同一または異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示す。
Zは、−NHSO2フェニル、−NHSO2NH2、−NHC(=NH)NH2、−NHCON(RA)RB、又は“メチル基及びオキソ基の少なくとも1種で置換された4〜6員へテロシクロアルキル基”、又は−Y−CON(RC)RDを示す。
ただし、
A及びRBは、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、又は“水酸基、−CONH2、フェニル基及びピリジル基からなる群より選択される1〜3個の基で置換されたC1-6アルキル基”を示す。
Yは、C1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基を示し、RC及びRDの一方が“−CONH2で置換されたC1-6アルキル基”を示すとき、他方は水素原子を示す。
【請求項2】
前記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とするナトリウム依存性グルコース供輸送体1(SGLT1)活性阻害剤。
【請求項3】
前記式(I)で表されるフェニル 5−チオグルコシド化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含有することを特徴とする糖尿病の予防又は治療剤。

【公開番号】特開2009−167104(P2009−167104A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128680(P2006−128680)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】