説明

フェノキシジアミノピリミジン誘導体の合成方法

【課題】P2Xプリン作動性レセプターと関連する疾患の処置のための化合物を製造する方法の提供。
【解決手段】下記式の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をアンモニアで処理して


下記式の化合物を形成することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2Xプリン作動性レセプターと関連する疾患の処置のための化合物を製造する方法に関し、より詳細には、泌尿生殖器、胃腸、呼吸器および疼痛関連の疾患、病気および障害の処置のためのP2Xおよび/またはP2X2/3アンタゴニストを使用する方法に関する。
【0002】
膀胱は、2つの重要な生理学的機能:尿貯蔵および排尿に関与する。この方法は、2つの主な工程:(1)膀胱が、その壁内の張力が上記閾値に増加するまで、徐々に満たされる工程;および(2)排尿反射と呼ばれる神経反射が、膀胱を空にすることを生じるか、または、もしこれが衰えると、少なくとも排尿することを望む意識を引き起こす工程を包含する。排尿反射は自律神経系の脊髄反射であるが、それはまた阻害されるかまたは大脳皮質もしくは脳の中枢により仲介されることができる。
【0003】
細胞外プリノレセプターを介して作用するプリン類は、生理学的および病理学的なさまざまな役割を有するものとして関係があるとされている。ATP、およびより少ない程度にアデノシンは、感覚神経終末を刺激して、激痛、および感覚神経放出の顕著な増加を生じさせることができる。ATPレセプターは、分子構造、変換メカニズムおよび薬理学的特徴に基づいて、2つの主要な族、P2Y−およびP2X−プリノレセプターに分類されている。P2X−プリノレセプターはATP−依存陽イオンチャネル族であるが、P2Y−プリノレセプターはG−タンパク質共役レセプターである。プリン作動性レセプター、特に、P2Xレセプターは、ホモ多量体またはヘテロ多量体を形成することが知られている。今まで、いくつかのP2Xレセプターのサブタイプに対するcDNAはクローン化され、6種のホモマーのレセプター、P2X;P2X;P2X;P2X;P2X;およびP2X;ならびに3種のヘテロマーのレセプターP2X2/3、P2X4/6、P2X1/5を含む(例えば、Chen ら (1995) Nature 377:428-431; Lewis ら (1995) Nature 377:432-435;およびBurnstock (1997) Neuropharmacol. 36:1127-1139を参照)。マウスゲノムP2Xレセプターサブユニットの構造および染色体マッピングもまた記載されている(Souslova ら (1997) Gene 195:101-111)。インビトロ、P2XおよびP2Xレセプターサブユニットの同時発現は、いくつかの感覚ニューロン中で見られる特性を有するATP−依存性電流を産生するために必要である(Lewis ら (1995) Nature 377:432-435)。
【0004】
P2Xレセプターサブユニット類は、げっ歯類およびヒトの膀胱尿路上皮内の求心性神経上に見られる。ATPが、膨張の結果として膀胱または他の管腔臓器の上皮/内皮細胞から放出できることを示唆するデータが存在する(Burnstock (1999) J. Anatomy 194:335-342;およびFerguson ら (1997) J. Physiol. 505:503-511)。この方法で放出されたATPは、上皮下成分内、例えば尿路上皮下固有層内に位置する感覚ニューロンに情報を伝達する役割を果たすことができる(Namasivayamら (1999) BJU Intl. 84:854-860)。P2Xレセプターは、感覚、交感神経、副交感神経、腸間膜および中枢のニューロンを含む多くのニューロンにおいて研究されている(Zhongら (1998) Br. J. Pharmacol. 125:771-781)。これらの研究は、プリン作動性レセプターが膀胱からの求心性神経の神経伝達において役割を果たし、P2Xレセプターの調節因子が膀胱の障害および他の泌尿生殖器の疾患および状態の処置において潜在的に有用であることを示す。
【0005】
最新の知見はまた、マウスにおける侵害刺激反応での内因性ATPおよびプリン作動性レセプターの役割を示唆する(Tsudaら (1999) Br. J. Pharmacol. 128:1497-1504)。脊髄における後根神経節神経末端上のP2XレセプターのATP誘導性活性化は、侵害刺激のシグナル伝達に関与する重要な神経伝達物質のグルタマートの放出を促進することが示されている(GuおよびMacDermott、Nature 389:749-753 (1997))。P2Xレセプターは、歯髄中の侵害刺激のニューロン上で同定されている(Cookら、Nature 387:505-508 (1997))。こうして、損傷細胞から放出されたATPは、侵害刺激の感覚神経終末上のレセプターを含有するP2Xおよび/またはP2X2/3の活性化により疼痛の原因となることがある。これは、ヒト発泡膏モデルにおいてATPを経皮塗布することによる疼痛の誘導と一致する(Bleehen、Br J Pharmacol 62:573-577 (1978))。P2Xアンタゴニストは、動物モデルにおいて鎮痛性であることが示されている(DriessenおよびStarke、Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 350:618-625 (1994))。この知見は、P2XおよびP2Xが侵害受容に関与して、P2Xレセプターの調節因子が鎮痛薬として潜在的に有用であることを示唆する。
【0006】
他の研究者たちは、P2Xレセプターがヒト結腸に発現して、正常結腸内より炎症を起こした結腸内でより高いレベルで発現することを示している(Yiangouら、Neurogastroenterol Mot (2001) 13:365-69)。他の研究者たちは、腸内の膨張または管腔内圧の検出、ならびに反射収縮の開始にP2Xレセプターを関与させ(Bianら、J Physiol (2003) 551.1:309-22)、そしてこれを大腸炎に関連させている(Wynnら、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol (2004) 287:G647-57)。Brounsら(Am J Respir Cell Mol Biol (2000) 23:52-61)は、P2Xレセプターが肺神経上皮小体(NEBs)内で発現し、肺内の疼痛送達においてレセプターを関与させることを発見した。最近になって、他のものが肺NEBs内のpO検出においてP2XおよびP2Xレセプターを関与させていた(Rongら、J Neurosci (2003) 23(36):11315-21)。
【0007】
したがって、P2XおよびP2X2/3レセプターを含む、P2Xレセプターの有効な調節因子である化合物を製造するための方法が必要である。
【0008】
本発明は、式k:
【0009】
【化1】

【0010】
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を調製するための方法であって、
式j
【0011】
【化2】

【0012】
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を、
アンモニアで処理して、式k
〔式中、Rは、水素;ハロ;C2−3アルキニル;ハロ−C1−4アルキル;C1−4アルコキシ;ヒドロキシ;ハロ−C1−4アルコキシ;ヒドロキシ−C1−4アルコキシ;またはC2−3アルキニル−C1−4アルキルオキシである〕
の化合物を形成することを含む方法
を提供する。
【0013】
本方法は、P2XおよびP2X2/3レセプターの有効な調節因子である化合物の調製に有用である。また、本発明の方法における中間体として有用な化合物も開示されている。
【0014】
特に明記のない限り、明細書および請求項を含む本出願で使用される以下の用語は、下記の定義を有する。明細書および付記する請求項で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそれに反する旨を記載していない限り、複数の指示対象を含むという事に留意すべきである。
【0015】
「アゴニスト」は、他の化合物またはレセプター部位の活性を増強する化合物を指す。
【0016】
「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみから成る一価直鎖または分岐飽和炭化水素部分を意味する。
「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基、即ちC−Cアルキルを指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシル等を含むがこれらに限定されない。
【0017】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、または3〜6個の炭素原子の分岐一価炭化水素基、例えば、エテニル、プロペニル等を意味する。
【0018】
「アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、または3〜6個の炭素原子の分岐一価炭化水素基、例えば、エチニル、プロピニル等を意味する。
【0019】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素基、または3〜6個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0020】
「アルコキシ」は、式−OR〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキル部分である〕の部分を意味する。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0021】
「アルコキシアルキル」は、式R−O−R−〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキルであり、Rがアルキレンである〕の部分を意味する。典型的なアルコキシアルキル基は、一例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、および1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルを含む。
【0022】
「アルキルカルボニル」は、式−R’−R”〔式中、本明細書中に定義したように、R’がオキソであり、R”がアルキルである〕の部分を意味する。
【0023】
「アルキルスルホニル」は、式−R’−R”〔式中、本明細書中に定義したように、R’が−SO−であり、R”がアルキルである〕の部分を意味する。
【0024】
「アルキルスルホニルアルキル」は、−R’−R”−R'''〔式中、本明細書中に定義したように、R’がアルキレンであり、R”が−SO−であり、そしてR'''がアルキルである〕の部分を意味する。
【0025】
「アルキルアミノ」は、式−NR−R’〔式中、本明細書中に定義したように、Rが水素またはアルキルであり、R’がアルキルである〕の部分を意味する。
【0026】
「アルコキシアミノ」は、式−NR−OR’〔式中、本明細書中に定義したように、Rが水素またはアルキルであり、R’がアルキルである〕の部分を意味する。
【0027】
「アルキルスルファニル」は、式−SR〔式中、本明細書中に定義したようにRがアルキルである〕の部分を意味する。
【0028】
「アミノアルキル」は、基−R−R’〔式中、本明細書中に定義されているように、R’がアミノであり、Rはアルキレンである〕を意味する。「アミノアルキル」は、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル等を含む。「アミノアルキル」のアミノ部分が、1または2回アルキルで置換されて、各々「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」を提供してもよい。
「アルキルアミノアルキル」は、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチル等を含む。「ジアルキルアミノアルキル」は、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチル等を含む。
【0029】
「アミノアルコキシ」は、基−OR−R’〔式中、本明細書中に定義したように、R’がアミノであり、Rがアルキレンである〕を意味する。
【0030】
「アルキルスルホニルアミド」は、式−NR’SO−R〔式中、Rがアルキルであり、R’が水素またはアルキルである〕の部分を意味する。
【0031】
「アミノカルボニルオキシアルキル」または「カルバミルアルキル」は、式−R−O−C(O)−NR’R”〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレンであり、R’、R”がそれぞれ独立して水素またはアルキルである〕の基を意味する。
【0032】
「アルキニルアルコキシ」は、式−O−R−R’〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレンであり、R’がアルキニルである〕の基を意味する。
【0033】
「アンタゴニスト」は、他の化合物またはレセプター部位の作用を低下させるかまたは妨げる化合物を指す。
【0034】
本明細書中で使用されるように「アニリン」は、式Ar−NH〔式中、本明細書中に定義したように、Arがアリールまたはヘテロアリールである〕の化合物を指す。それ故に、「アニリン」は一般にアリールアミンおよびヘテロアリールアミンの両方(ここで、アミノ基の窒素原子が芳香族炭素原子と結合する)を包含する。好ましいアニリンはアミノフェニル化合物である。「アニリン」は本明細書中に定義したように場合により置換されてもよい。
【0035】
「アリール」は、単環、二環または三環式の芳香環から成る一価環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書中に定義したように場合により置換されることができる。アリール部分の例は、場合により置換された、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等を含み、これらの部分的に水素化された誘導体を含むが限定されない。
【0036】
互換的に使用され得る「アリールアルキル」および「アラルキル」は、基−R〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレン基であり、Rがアリール基である〕を意味する;例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等のフェニルアルキルが、アリールアルキルの例である。
【0037】
「アリールアルキル」は、式−R−R’〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレンであり、R’がアリールである〕の基を意味する。
【0038】
「アリールスルホニル」は、式−SO−R〔式中、本明細書中に定義したようにRがアリールである〕の基を意味する。
【0039】
「アリールオキシ」は、式−O−R〔式中、本明細書中に定義したようにRがアリールである〕の基を意味する。
【0040】
「アラルキルオキシ」は、式−O−R−R’〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレンであり、R’がアリールである〕の基を意味する。
【0041】
本明細書中で使用されるように「ブレデリック試薬(Brederick's reagent)」は、アルコキシオキシビス−(ジアルキルアミノ)メタン(ここで、「アルキル」部分が任意の低級アルキルであり、アルコキシ部分が任意の低級アルキルである)を意味する。好ましくは、ブレデリック試薬はt−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタンである。
【0042】
「シアノアルキル」は、式−R’−R”〔式中、R’が本明細書中に定義したようにアルキレンであり、R”がシアノまたはニトリルである〕の部分を意味する。
【0043】
「シクロアルキル」は、単環または二環式の環から成る一価飽和炭素環部分を意味する。シクロアルキルは、場合により1個以上の置換基で置換されることができ、ここで、特に別の指示がない限り、それぞれの置換基は、独立してヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等を含み、これらの部分的に不飽和の誘導体を含むが、限定されない。
【0044】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R’−R”〔式中、本明細書中に定義したように、R’がアルキレンであり、R”がシクロアルキルである〕の部分を意味する。
【0045】
「グアニジニル」は、式
【0046】
【化3】

【0047】
(式中、それぞれRが、独立して水素、アルキル、脱離基、または容易な加水分解性の基である)の化合物を意味する。Rは好ましくは水素である。
【0048】
「ヘテロアルキル」は、本明細書中に定義されているようにアルキル基を意味するが、ここで、ヘテロアルキル基の結合点が炭素原子を介しているという了解の下に、1、2または3個の水素原子が、−OR、−NR、および−S(O)〔式中、nが、0〜2の整数である〕から成る群より独立して選択される置換基に置き換わっており、ここで、Rが、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;RおよびRは、互い独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;そして、nが0である時、Rが、水素、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、そして、nが1または2である時、Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。代表的な例は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等を含むが、これらに限定されない。
【0049】
「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール基の結合点が芳香環上にあるという了解の下に、N、OまたはSから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環式または二環式の基を意味する。ヘテロアリール環は、場合により本明細書中に定義しているように置換されてもよい。ヘテロアリール部分の例は、場合により置換された、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等を含み、これらの部分的に水素化された誘導体を含むが限定されない。
【0050】
「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」は、式−R−R’〔式中、本明細書中に定義したように、Rがアルキレンであり、R’がヘテロアリールである〕の基を意味する。
【0051】
「ヘテロアリールスルホニル」は、式−SO−R〔式中、本明細書中に定義したようにRがヘテロアリールである〕の基を意味する。
【0052】
「ヘテロアリールオキシ」は、式−O−R〔式中、本明細書中に定義したようにRがヘテロアリールである〕の基を意味する。
【0053】
「ヘテロアラルキルオキシ」は、式−O−R−R’〔式中、本明細書中に定義したようにRがアルキレンであり、R’がヘテロアリールである〕の基を意味する。
【0054】
互換的に使用され得る用語「ハロ」、「ハロゲン」および「ハライド」は、置換基フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0055】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が同じまたは異なるハロゲンに置き換わっている、本明細書中に定義したようなアルキルを意味する。典型的なハロアルキルは、−CHCl、−CHCF、−CHCCl、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF)等を含む。
【0056】
「ハロアルコキシ」は、式−OR〔式中、本明細書中に定義したようにRがハロアルキル部分である〕の部分を意味する。典型的なハロアルコキシは、ジフルオロメトキシである。
【0057】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1個の環原子がN、NHまたはN−アルキルであり、残りの環原子がアルキレン基を形成する飽和環を意味する。
【0058】
「ヘテロシクリル」は、1、2、または3もしくは4個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)を取り込んだ、1〜3個の環から成る一価飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、場合により本明細書中に定義したように置換されてもよい。ヘテロシクリル部分の例は、場合により置換された、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等を含むがこれらに限定されない。
【0059】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R−R’〔式中、本明細書中に定義されているようにRがアルキレンであり、R’がヘテロシクリルである〕の部分を意味する。
【0060】
「ヘテロシクリルオキシ」は、式−OR〔式中、本明細書中に定義されているようにRがヘテロシクリルである〕の部分を意味する。
【0061】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式−OR−R’〔式中、本明細書中に定義されているように、Rがアルキレンであり、R’がヘテロシクリルである〕の部分を意味する。
【0062】
「ヒドロキシアルコキシ」は、式−OR〔式中、本明細書中に定義されているようにRがヒドロキシアルキルである〕の部分を意味する。
【0063】
「ヒドロキシアルキルアミノ」は、式−NR−R’〔式中、本明細書中に定義されているように、Rが水素またはアルキルであり、R’がヒドロキシアルキルである〕の部分を意味する。
【0064】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”〔式中、本明細書中に定義されているように、Rがアルキレンであり、R’が水素またはアルキルであり、R”がヒドロキシアルキルである〕の部分を意味する。
【0065】
「ヒドロキシカルボニルアルキル」または「カルボキシアルキル」は、式−R−(CO)−OH〔式中、本明細書中に定義されているようにRがアルキレンである〕の基を意味する。
【0066】
「ヒドロキシアルキルオキシカルボニルアルキル」または「ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−O−R−OH〔式中、それぞれRがアルキレンであり、同じまたは異なってもよい〕の基を意味する。
【0067】
「ヒドロキシアルキル」は、明細書中で定義しているように、同一の炭素原子が1個以上のヒドロキシ基を持たないという条件で、1個以上、好ましくは1、2または3個のヒドロキシ基で置換されたアルキル部分を意味する。代表的な例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含むがこれらに限定されない。
【0068】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、明細書中で定義しているようにシクロアルキル部分を意味するが、ここで、シクロアルキル基中の1、2または3個の水素原子がヒドロキシ置換基に置き換えられている。代表的な例は、2−、3−、または4−ヒドロキシシクロヘキシル等を含むがこれらに限定されない。
【0069】
「極性非プロトン性溶媒」は、可動陽子はないが、その上に極性基を有する分子で構成された溶媒を意味する。典型的な極性非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロピラン、ピリジン、アセトン、2−プロパノン、2−ブタノン、エチレングリコールジメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム等を含むがこれらに限定されない。
【0070】
「ウレア」または「ウレイド」は、式−NR’−C(O)−NR”R'''〔式中、R’、R”およびR'''がそれぞれ独立して水素またはアルキルである〕の基を意味する。
【0071】
「カルバマート」は、式−O−C(O)−NR’R”〔式中、R’およびR”がそれぞれ独立して水素またはアルキルである〕の基を意味する。
【0072】
「カルボキシ」は、式−O−C(O)−OHの基を意味する。
【0073】
「スルホンアミド」は、式−SO−NR’R”〔式中、R’、R”およびR'''がそれぞれ独立して水素またはアルキルである〕の基を意味する。
【0074】
「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクリル」または「アニリン」に関連して使用される時の「場合により置換された」は、アリール、フェニル、ヘテロアリール、シクロヘキシル、ヘテロシクリルまたはアニリンを意味し、それは、場合により、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(式中、Rが水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、−(CR’R”)−COOR(式中、nが0〜5の整数であり、R’およびR”が独立して水素またはアルキルであり、Rが水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、あるいは−(CR’R”)−CONR(式中、nが0〜5の整数であり、R’およびR”は独立して水素またはアルキルであり、そしてRおよびRは互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選択される、1〜4個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で、独立して置換される。
【0075】
「脱離基」は、有機合成化学において従来それと関連する意義を有する基、即ち、置換反応条件下で置換可能な原子または基を意味する。脱離基の例は、ハロゲン、アルカン−またはアリーレンスルホニルオキシ(例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ)、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、およびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されたベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0076】
「調節因子」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用は、本明細書中で定義したように、アゴニスト、アンタゴニスト等を含むがこれらに限定されない。
【0077】
「場合による」または「場合により」は、後で記述される事象または状況が起こるかも知れないが起こらなければならない訳ではなく、記述が、事象または状況が起こる事例およびそれが起こらない事例を含むことを意味する。
【0078】
「疾患」および「病態」は、任意の疾患、状態、症状、障害または適応を意味する。
【0079】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、溶媒がそれと共に記載されている反応条件下で不活性であることを意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等を含む。それに反する明記がない限り、本発明の反応で使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0080】
「薬学的に許容される」は、それが、一般的に安全、非毒性、かつ生物学的にもその他の点でも望ましくない医薬組成物を調製する際に有用であることを意味し、獣医学的およびヒトの薬学的使用に許容できることを含む。
【0081】
化合物の「薬学的に許容される塩」は、本明細書中に定義したように、薬学的に許容される塩であって、親化合物の望ましい薬理活性を有する塩を意味する。そのような塩には:
例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を用いて形成される酸付加塩;または、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等の有機酸を用いて形成される酸付加塩;または、
親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンに置き換わっている時に形成される塩;または、有機もしくは無機塩基に配位する時に形成される塩を含む。許容される有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等を含む。許容される無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを含む。
【0082】
好ましい薬学的に許容される塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムから形成される塩である。
【0083】
本明細書中で使用されるような用語「塩」または「塩類」は、上記で定義したように「薬学的に許容される塩」、および合成過程で有用な他の塩を含む。
【0084】
当然の事ながら、塩類または薬学的に許容される塩類に対する全ての言及は、本明細書中に定義したように、同じ酸付加塩の溶媒付加型(溶媒和物)または結晶型(多形)を含む。
【0085】
「保護基(protective group)」または「保護基(protecting group)」は、合成化学において従来それと関連する意義において、化学反応が、別の非保護反応部位で選択的に行われるよう、多官能性化合物において一つの反応部位を選択的に遮断する基を意味する。本発明の或るプロセスは、反応物中に存在する反応性窒素および/または酸素原子を遮断する保護基に依拠している。例えば、用語「アミノ保護基」および「窒素保護基」は本明細書中で互換的に使用され、合成操作の間、窒素原子を望ましくない反応から保護する意図を持つこれらの有機基を指す。典型的な窒素保護基は、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等を含むがこれらに限定されない。当業者は、容易な除去のため、およびその後に続く反応に耐える能力のために、基を如何にして選択したらよいかを理解しているであろう。
【0086】
明細書中で使用されているような「溶液」は、試薬または反応物が、溶解型(溶質として)で溶媒中に存在するか、もしくは粒子状物質、不溶解型、または両方で存在する液体を包含することを意味する。そのようにして、「溶液」中で、溶質がその中に完全に溶解しなくてもよく、そして固体溶質が分散体またはスラリー型で存在してもよいことを意図している。
したがって、特定の試薬または反応物の「溶液」は、そのような試薬または反応物のスラリーおよび分散体、ならびに溶液を包含することを意味する。「溶液」および「スラリー」は、本明細書中で互換的に使用されてもよい。
【0087】
明細書中で使用されているような「溶媒」は、溶媒に接触した試薬または反応物を十分に溶解する液体、ならびに試薬または反応物をほんの一部溶解するか、あるいは試薬または反応物に対して分散体として作用する液体を包含することを意味する。そのようにして、特定の反応が「溶媒」中で行われる時、存在している試薬または反応物のいくつかまたは全てが溶解型でなくてもよいことを意図する。
【0088】
「溶媒和物」は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒のどちらかを含有する溶媒付加型を意味する。いくつかの化合物は、結晶性固体状態において一定のモル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり、そのようにして溶媒和物を形成する。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールの時、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1個以上の水分子と、水がその物質中でHOとしてその分子状態を維持できる物質のうちの一つとの結びつきにより形成され、そのような結びつきは1個以上の水和物を形成できる。溶媒和物は、溶媒和物中に存在する溶媒1分子または1モルあたりの化合物の分子数またはモル数の異なる比率を含んでもよい。例えば、溶媒和物が、溶媒に対する化合物の、1:1関係(モノ溶媒和物)、2:1関係(ヘミ溶媒和物)、1:2関係(ジ溶媒和物)、または同様のものを含んでもよい。
【0089】
「対象」は、哺乳動物または非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、哺乳綱の任意の成員を意味し、ヒト;ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジーおよびその他の類人猿ならびにサルの種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタ;飼い慣らされた動物、例えばウサギ、イヌ、およびネコ;齧歯類、例えばラット、マウス、およびモルモットを含む実験動物;等を含むがこれらに限定されない。非哺乳類の例はトリ等を含むが限定されない。用語「対象」は、特定の年齢および性別を示すものではない。
【0090】
「尿路の症状」と互換的に使用される「尿路の障害」または「尿路疾患」は、尿路における病理学的変化を意味する。尿路障害の例は、失禁、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、排尿開口部閉塞、頻尿、夜間頻尿、尿意逼迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、切迫性尿失禁、尿道炎、前立腺痛、膀胱炎、特発性膀胱過敏症等を含むがこれらに限定されない。
【0091】
「尿路の症状」と互換的に使用される「尿路と関連する病態」または「尿路病態」または「尿路疾患」は、尿路における病理学的変化、または異常な尿貯留もしくは排尿を引き起こす、膀胱平滑筋もしくはその神経支配の機能異常を意味する。尿路の症状は、過活動膀胱(排尿筋過敏の別名でも知られる)、排尿開口部閉塞、排尿開口部機能不全、および骨盤過敏症を含むがこれらに限定されない。
【0092】
「過活動膀胱」または「排尿筋過敏」は、尿意逼迫、頻尿、膀胱容量の変化、失禁、排尿閾値、不安定な膀胱収縮、括約筋痙縮、排尿筋過反射(神経因性膀胱)、排尿筋不安定等として症状が現れる変化を含むがこれらに限定されない。
【0093】
「排尿開口部閉塞」は、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄疾患、腫瘍、低流速、排尿開始困難、尿意逼迫、恥骨上疼痛等を含むがこれらに限定されない。
【0094】
「排尿開口部機能不全」は、尿道過可動性、内因性括約筋不全、混合型尿失禁、腹圧性尿失禁等を含むがこれらに限定されない。
【0095】
「骨盤過敏症」は、骨盤痛、間質(細胞)性膀胱炎、前立腺痛、前立腺炎、外陰部痛、尿道炎、睾丸痛、過活動膀胱等を含むがこれらに限定されない。
【0096】
「呼吸器障害」または「呼吸器疾患」は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支痙攣等を無制限に指す。
【0097】
「治療有効量」は、病態を処置するために対象に投与する時、そのような病態の処置を奏功させるために充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置される病態、処置される疾患の重篤度、対象の年齢および相対的健康状態、投与経路および投与形態、担当医師または獣医師の判断、およびその他の因子に依存して変わる。
【0098】
用語「上記に定義した」および「本明細書中に定義した」は、可変対象を指す時、言及によって可変対象の最も広い定義、ならびに、もし存在するならば好ましい、より好ましい、および最も好ましい定義を包含する。
【0099】
病態を「処置する」または「処置」は:
(i)病態を予防する、即ち、病態に暴露され得るまたは罹患し易いが、病態の症状を未だ経験していないまたは表出していない対象において、病態の臨床症状を発現しないようにさせること、
(ii)病態を阻害する、即ち、病態またはその臨床症状の発現を阻むこと、または、
(iii)病態を軽減する、即ち、病態またはその臨床症状の一時的または永続的な後退を発現させること、
を含む。
【0100】
化学反応に言及した時の用語「処理する」、「接触させる」および「反応させる」は、2個以上の試薬を適当な条件下で添加または混合して、示されたおよび/または所望の生成物を生成することを意味する。示されたおよび/または所望の生成物を生成する反応は、最初に添加された2つの試薬の組み合わせから必ずしも直接もたらされなくてもよく、即ち、混合物中に生成される1個以上の中間体があり、それが最終的に、示されたおよび/または所望の生成物の形成を導くことがある。
【0101】
一般に、本出願で使用される命名法は、AUTONOM(登録商標)v.4.0、IUPAC体系的命名法創出のためのBeilstein Instituteコンピューターシステムに基づいている。本明細書中に示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成された。本明細書中の構造において炭素、酸素または窒素原子上に出現する任意のオープンな原子価は、水素原子の存在を示す。キラル中心が構造中に存在するが、特定の立体化学が示されない場合には、キラル中心に関連する両方の立体異性体がその構造により包含される。
【0102】
参照することにより本明細中に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0209260号は、P2XおよびP2X2/3レセプターの有効な調整因子ならびにP2Xおよび/またはP2X2/3レセプターを介した疾患処置のためのこれらの化合物の使用を開示する。この発明は、そのような化合物を製造するために有用な方法、およびそのような方法において有用な化学中間体を提供する。
【0103】
本発明の方法は、下記のスキームAに最初に言及することによりさらに十分に理解され、ここで、Rは低級アルキルであり、それぞれの発生において同じまたは異なってもよく、かつArおよびRは本明細書中に定義した通りである。角括弧で示された中間化合物は、或る実施態様において、単離を必要としなくてもよい。
【0104】
【化4】

【0105】
スキームAの工程1において、アセトフェノン化合物aを、塩化メチルマグネシウムまたは臭化メチルマグネシウムなどのメチルグリニャール試薬で処理して、続けて、酸性条件下で水素化を行って、イソプロピルフェノール化合物bを形成させる。この反応を、例えば、THF(テトラヒドロフラン)を有する溶媒中のような極性非プロトン性溶媒条件下、周囲温度条件下で、行ってもよい。本発明で使用できる多数のアセトフェノン化合物aを、置換されたフェニル化合物のアシル化により調製するか、または当技術分野で周知である従来の技術により調製してもよい。本発明の多くの実施態様において、工程1の水素化を、第3級アルコールグリニャール反応生成物の分離および単離後に行って(図示していない)、メチルグリニャール試薬でaの処理から得る。
【0106】
工程2において、フェノール化合物bを、シアノメチルアルキル化剤で処理して、ニトリルエーテル化合物cを形成させる。シアノメチルアルキル化剤が、スキームAに示したように、例えば、トルエン−4−スルホン酸シアノメチルエステルであってもよい。或る実施態様において、ブロモアセトニトリル、クロロアセトニトリル、または同種のアルキル化剤を、トルエン−4−スルホン酸シアノメチルエステルの代わりに使用してもよい。工程2のアルキル化を、極性非プロトン性溶媒条件下、および炭酸カリウムなどの弱塩基(mild base)の存在下で行ってもよい。或る実施態様において、フェノールbとシアノメチルアルキル化剤kの反応を、例えば2−ブタノン、アセトン、またはメチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒中でシアノメチルアルキル化剤k、フェノールbおよび炭酸カリウムのスラリーとして行ってもよい。
【0107】
シアノメチルエーテル化合物cを、工程3においてブレデリック試薬dで処理して、アミナル化合物e1を形成させる。この反応を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液または他の適切な極性非プロトン性溶媒の溶液中で行ってもよい。本明細書中で使用されるように「ブレデリック試薬」は、一般に、「アルキル」部分Rが低級アルキルであり、アルコキシ部分(スキームAでt−ブトキシとして示された)が低級アルコキシである(アルコキシビス(ジアルキルアミノ)メタン)を意味する。本発明の多くの実施態様において、アルキル部分がメチルであり、アルコキシ部分がtert−ブトキシである(即ち、t−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン)。
【0108】
多くの実施態様において、溶液中の場合のアミナル化合物e1は、下記に示されるようにシアノエナミンe2と平衡状態で存在する。
【0109】
【化5】

【0110】
多くの実施態様において、アミナル化合物e1は、固体として単離可能ではないが、代わりにシアノエナミン化合物e2の形態で単離することができる。本発明の多くの実施態様において、工程4は、化合物e1またはe2の単離の必要なしに直接行ってもよい。
【0111】
工程4において、アミナル化合物e1(または化合物e2あるいは化合物e1およびe2の混合物)を、アニリン試薬fと反応させて、アニリンエナミン化合物gを得る。工程4で使用したアニリン試薬を、例えば、式Ar−NHの化合物(式中、本明細書中で定義したように、Arが場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである)を含んでもよい。アニリン試薬は、対応しているアニリン遊離塩基の塩酸塩または他の安定した塩などの塩形態が好ましい。多くの実施態様において、アニリン試薬は、式:
【0112】
【化6】

【0113】
(式中、mが0〜4であり、Rが工程4の溶媒および反応条件に適合する任意の置換基である)のフェニルアミンの塩酸塩であってもよい。好ましくは、mが0である。工程4の反応を、DMFにより与えられるような極性非プロトン性溶媒条件下で行ってもよい。本発明の多くの実施態様において、アニリンエナミン化合物gを単離する必要はなく、下記の工程5を、アニリンエナミンhが溶液のままである場合、直接行ってもよい。
【0114】
工程5において、アニリンエナミン化合物gを、グアニジン試薬で処理して、ジアミノピリミジンhを得る。グアニジン試薬は、例えば、炭酸グアニジンまたはグアニジンの他の安定した塩を含んでもよい。工程5の反応を、DMFなどの極性非プロトン性溶媒中で行ってもよく、多くの実施態様において上記で述べられたように化合物gまたは化合物e1の単離の必要なしに行ってもよい。
【0115】
工程6において、ジアミノピリミジン化合物hを、クロロスルホン酸で処理して、スルホン酸化合物iを得る。クロロスルホン酸と化合物hの処理を、極性非プロトン性溶媒条件下、好ましくは溶媒としてスルホラン(テトラメチレンスルホンまたはテトラヒドロチオフェンジオキシドの別名でも知られる)を使用して行った。多くの実施態様において、スルホン酸化合物iを単離する必要なく、下記の工程7を、スルホン酸化合物iが溶液のままである場合、直接行ってもよい。多くの実施態様においてスルホン酸化合物iは、塩形態であってもよい。そのような化合物iの塩は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クロロ硫酸塩、クロロリン酸塩、または同種の付加塩、あるいはそのような付加塩の溶媒和物を含む。
【0116】
工程7において、スルホン酸化合物iを、オキシ塩化リンで処理して、スルホン酸クロリド化合物jを得る。工程7の塩素化反応を、極性非プロトン性溶媒条件下、好ましくは溶媒としてスルホランを使用して行う。多くの実施態様において化合物iは、工程7を行う前に単離することなく、工程6から溶液のままでもよい。
【0117】
工程8において、スルホン酸クロリド化合物jを、アンモニアと反応させて、アミノスルホニルフェノキシジアミノピリミジン化合物kを得る。この反応を、メタノールまたは他の極性プロトン性溶媒の存在下で行ってもよい。本発明の多くの実施態様において、工程7のスルホン酸クロリド化合物jを、化合物iの予備単離なしに、化合物iがスルホラン溶液のままである場合、アンモニアおよびメタノールで直接処理してもよい。多くの実施態様におけるスルホン酸クロリド化合物jは、塩形態であってもよい。そのような塩は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クロロ硫酸塩、クロロリン酸塩、または同種の付加塩、あるいはそれらの溶媒和物を含む。
【0118】
化合物kが、工程8の間、スルホランのままのような本発明の実施態様において、化合物kは、スキームAに示したように、スルホラン溶媒和物の形態で単離してもよい。そのような実施態様において、工程9を場合により行って、化合物kを脱溶媒和してもよい。工程9において、化合物kのスルホラン溶媒和物を極性プロトン性条件下、酸で処理して、化合物kの付加塩(図示していない)を得る。付加塩を、さらに塩基で処理して遊離アミン(塩基)化合物kを提供することができる。スキームAの実施態様において、化合物kのスルホラン溶媒和物を、エタノールの存在下、水性HClで処理し(化合物kの塩酸塩を形成する)、続けて水性水酸化アンモニウムで処理を行って、遊離アミン塩基として化合物kを得る。あるいは、スルホラン溶媒和物kを、水と処理することにより脱溶媒和してもよい。
【0119】
スキームAの手順は、いくつかの重要な利点を提示する。最初に形成したスルホン酸化合物iを酸クロリド化合物jに変換するためのオキシ塩化リンの使用は、非常に大過剰(約10当量)のクロロスルホン酸(さもなければ、それが化合物hから化合物jを直接生成するために必要である)の使用の必要性を取り除いた。クロロスルホン酸試薬は極めて腐食性であり、かつ水反応性試薬であり、そして本発明の手順は最終生成物の単離を促進して、廃棄物の流れの危険を大いに削減して、全費用を削減する。
【0120】
工程6のスルホン化、工程7の酸クロリド形成および工程8のアミノ化におけるスルホランの使用は、方法のそれぞれのステージでの制御および転移を容易にする均質相反応を可能にする。他の極性非プロトン性溶媒系の使用は、一般に、発熱反応の十分な制御が可能ではなく、ベンチスケール操作より大きなスケールで簡単に操作することができない生成物の扱いにくい固体塊をもたらす。工程6−8のスルホラン溶媒系はまた、反応工程から水分の厳密な排除を可能にして、そのようにして、他の溶媒系における深刻な問題を示すスルホニルクロリド中間体jの加水分解を最小化する。
【0121】
そのようにして、本発明の方法は、とりわけ:
− 反応性スルホニルクロリド化合物jの暴露を最小化する容易に制御された溶液相添加工程;
− 発熱性アミノ分解反応の簡易温度制御;
− 既知組成の容易に単離可能な結晶質溶媒和物の生成;
− 均質相から脱溶媒和されたスルホンアミド遊離塩基kの熱力学的に安定した結晶質多形体の再現性のある真の結晶化;および
− 均質相から薬学的に関連のある塩の容易な調製。
を有利に提供する。
【0122】
或る実施態様において、Rは:ハロ;C1−4アルコキシ;ヒドロキシ;またはハロ−C1−4アルコキシである。
【0123】
或る実施態様において、Rは:ハロ;ヒドロキシ;またはC1−4アルコキシである。
【0124】
或る実施態様において、Rはクロロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。
【0125】
或る実施態様において、Rはメトキシである。
【0126】
或る実施態様において、Rはヒドロキシである。
【0127】
或る実施態様において、アンモニアと式jの化合物の処理は、メタノールの存在下で行う。
【0128】
或る実施態様において、アンモニアと式jの化合物の処理は、溶媒としてスルホランを使用して行う。
【0129】
或る実施態様において、アンモニアと式jの化合物の処理は、溶媒としてスルホランを使用して行い、化合物kをスルホラン溶媒和物として単離する。
【0130】
或る実施態様において、アンモニアと式jの化合物の処理は、溶媒としてスルホランを使用して行い、化合物kをスルホランの二溶媒和物として単離する。
【0131】
或る実施態様において、本発明の方法は、式i
【0132】
【化7】

【0133】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
オキシ塩化リンで処理して、式jの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0134】
或る実施態様において、式iの化合物をオキシ塩化リンで処理することを、溶媒としてスルホランを使用して行う。
【0135】
或る実施態様において、本発明の方法は、式h
【0136】
【化8】

【0137】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
クロロスルホン酸で処理して、式iの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0138】
或る実施態様において、式hの化合物をクロロスルホン酸で処理することを、溶媒としてスルホランを使用して行う。
【0139】
或る実施態様において、本発明の方法は、式g
【0140】
【化9】

【0141】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物(式中、Arは場合により置換されたアリールであるか、または場合により置換されたヘテロアリールである)
を、グアニジン試薬で処理して、式hの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0142】
或る実施態様において、グアニジン試薬は炭酸グアニジンである。
【0143】
或る実施態様において、Arは場合により置換されたフェニルである。
【0144】
或る実施態様において、式gの化合物をグアニジン試薬で処理することを、溶媒としてジメチルホルムアミドを使用して行う。
【0145】
或る実施態様において、本発明の方法は、式e1、式e2
【0146】
【化10】

【0147】
の化合物またはそれらの混合物、あるいはそれらの塩もしくは溶媒和物を、
式ArNHのアニリン試薬で処理して、式gの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0148】
或る実施態様において、アニリン試薬は、式
【0149】
【化11】

【0150】
(式中、mは0〜4であり、Rは式gの化合物形成のための反応条件に適合する置換基である)
である。
【0151】
或る実施態様において、mは0である。
【0152】
或る実施態様において、式e1、e2の化合物、またはそれらの混合物をアニリン試薬で処理することを、溶媒としてジメチルホルムアミドを使用して行う。
【0153】
或る実施態様において、本発明の方法は、式c
【0154】
【化12】

【0155】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
ブレデリック試薬で処理して、式e1、e2の化合物、またはそれらの混合物を形成する
ことをさらに含む。
【0156】
或る実施態様において、式cの化合物をブレデリック試薬で処理することを、溶媒としてジメチルホルムアミドを使用して行う。
【0157】
或る実施態様において、本発明の方法は、式b
【0158】
【化13】

【0159】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
シアノメチルアルキル化剤で処理して、式cの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0160】
或る実施態様において、シアノメチルアルキル化剤は、トルエン−4−スルホン酸シアノメチルエステルである。
【0161】
或る実施態様において、化合物bをシアノメチルアルキル化剤で処理することを、溶媒としてメチルエチルケトンを使用して行う。
【0162】
或る実施態様において、本発明の方法は、式a
【0163】
【化14】

【0164】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
メチルグリニャール試薬で処理し、続けて酸性条件下、パラジウム触媒の存在下で水素化を行って、式bの化合物を形成する
ことをさらに含む。
【0165】
本発明の別の態様は、式k
【0166】
【化15】

【0167】
の化合物またはその塩のスルホラン溶媒和物を形成するための方法であって、
式j
【0168】
【化16】

【0169】
の化合物を、
スルホラン溶媒中で、メタノールの存在下、アンモニアで処理して、式k(式中、Rは本明細書中で定義した通りである)の化合物を形成することを含む方法
を提供する。好ましくはRがメトキシである。
【0170】
本発明の或る実施態様は、式k
【0171】
【化17】

【0172】
の化合物またはその塩のスルホラン溶媒和物(式中、Rは本明細書中で定義した通りである)
を提供する。好ましくはRがメトキシである。
【0173】
或る実施態様において、式kの化合物のスルホラン溶媒和物は二溶媒和物である。
【0174】
或る実施態様において、式kの化合物のスルホラン溶媒和物は、塩化アンモニウムとの混合物での二溶媒和物である。
【0175】
本発明の別の態様は、式k
【0176】
【化18】

【0177】
の化合物またはその塩のスルホラン溶媒和物を形成するための方法であって、
式h
【0178】
【化19】

【0179】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
スルホラン溶媒中で、クロロスルホン酸で処理して、続けてオキシ塩化リン、続けてメタノールの存在下のアンモニアで処理して、式kの化合物を形成することを含む方法
を提供する。
【0180】
またはRのどちらかがアルキルであるか、アルキル部分を含む場合、そのようなアルキルは好ましくは低級アルキル、即ち、C−Cアルキルであり、より好ましくはC−Cアルキルである。
【0181】
本発明は、式i
【0182】
【化20】

【0183】
の化合物またはその塩を、スルホランとの混合物で
提供する(ここで、Rは本明細書中で定義した通りである)。
【0184】
或る実施態様において、式iの化合物は付加塩である。好ましくは、式iの化合物は硫酸(HSO)塩である。
【0185】
本発明はまた、式j
【0186】
【化21】

【0187】
の化合物またはその塩を、スルホランとの混合物で
提供する(ここで、Rは本明細書中で定義した通りである)。
【0188】
或る実施態様において、式jの化合物は付加塩である。好ましくは、式jの化合物は硫酸(HSO)塩である。
【0189】
本発明はまた、式k
【0190】
【化22】

【0191】
化合物またはその塩を、スルホランとの混合物で、あるいはスルホラン溶媒和物として提供する(ここで、Rは本明細書中で定義した通りである)。
【0192】
或る実施態様において、式kの化合物は、スルホランの二溶媒和物である。
【0193】
或る実施態様において、式jの化合物のスルホラン溶媒和物は、塩化アンモニウと混合している。
【0194】
或る実施態様において、式jの化合物は、塩化アンモニウムと混合したスルホランの二溶媒和物である。
【0195】
本発明の方法に関する明確な詳細は、下記の実施例の項に記載されている。
【0196】
本発明の方法および化合物は、同じく、尿生殖器の疾患、状態および障害の広い範囲の処置のために使用できる化合物の調製に役立ち、膀胱容量の減少、尿意頻数、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱過敏症、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意逼迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、前立腺炎、骨盤疼痛症候群、前立腺痛、膀胱炎,および特発性膀胱過敏症などの膀胱開口部閉塞および尿失禁の状態に関連する尿路病態、ならびに過活動膀胱に関係している他の症候群を含む。
【0197】
本発明の方法および化合物は、同じく、幅広い原因による疼痛に関連する疾患および状態の処置のために使用できる化合物の調製に役立ち、炎症性疼痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、月経前疼痛、中枢性疼痛、火傷による疼痛、片頭痛または群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性損傷、間質性膀胱炎、癌疼痛、ウイルス性、寄生性または細菌性の感染症、外傷後損傷(挫傷およびスポーツ損傷を含む)、ならびに過敏性腸症候群などの機能性腸障害に関連する疼痛を含むがこれらに限定されない。
【0198】
本発明の方法および化合物は、同じく、呼吸器障害を処置するために使用できる化合物の調製に役立ち、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支痙攣などを含む。
【0199】
さらに、本発明の方法および化合物は、胃腸障害を処置するための化合物の調製に役立ち、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、胆石疝痛および他の胆石障害、腎疝痛、下痢支配的IBS、GI膨張に関連する疼痛などを含む。
【0200】
特に、本発明の化合物は、上記の処置に役立つ化合物の合成において中間体として工業的応用を見出す。
【実施例】
【0201】
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することができるために示されている。それらは、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではなく、本発明の例示および代表例としてのみ考えられるべきである。
【0202】
以下の略語を実施例で使用することができる:HPLC:高圧液体クロマトグラフィー;DCM:ジクロロメタン/塩化メチレン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;EtO:ジエチルエーテル;gc:ガスクロマトグラフィー;HMPA:ヘキサメチルホスホルアミド;hplc:高速液体クロマトグラフィー;mCPBA:m−クロロ過安息香酸;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;NMP:N−メチルピロリジノン;TEA:トリエチルアミン;THF:テトラヒドロフラン;LDA:リチウムジイソプロピルアミン;TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0203】
実施例1:5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド
この実施例で使用される合成手順を、スキームBに概説する。
【0204】
【化23】

【0205】
工程1 2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノール
THF 79.0kg中の1−(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−フェニル)−エタノン(10.0kg)の冷却した溶液に、反応混合物温度が25℃を超えないような割合で、THF中のMeMgClの3M溶液46.4kgを徐々に加えた。続けてMeMgCl溶液の添加を行って、反応混合物を、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)分析が、1−(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−フェニル)−エタノンから2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−4−メトキシ−フェノールへの98%以上の変換(スキームDに図示していない)を示す点で、周囲温度で18時間撹拌した。次に、撹拌した溶液に、THF 3.5kg中に懸濁した10%パラジウム担持炭(1.02kg、50%水湿気)を加えた。反応混合物を冷却して、0.34気圧で水素雰囲気下に置いて、濃HCl(19.5kg)を、反応温度を25℃に維持しながら加えた。得られた混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次に水44.4kgで処理して、セライトのベッドを介して濾過して、懸濁した触媒を除去した。フィルターケークをEtOAcですすいで、合わせた濾液を分離した。有機相を水で洗浄し、次に蒸留により濃縮して、油状物を提供した。この油状物を2−ブタノン(20.4kg)に溶解して、粗溶液を次の工程で直接用いた。溶液161.8gの一定分量を、減圧下で濃縮して、油状物として2−イソプロピル−4−メトキシフェノール49.5gを提供して、バルク2−ブタノン溶液中の粗含有生成物10.4kgを見込んだ。H NMR(DMSO)δ:1.14(d、6H、J=6.9Hz)、3.18(septet、1H、J=6.9Hz)、3.65(s、3H)、6.56、(dd、1H、J=8.6Hz、3.1Hz)、6.67(d、1H、J=3.1Hz)、6.69(d、1H、8.6Hz)。
【0206】
工程2 (2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−アセトニトリル
2−ブタノン79.7kg中のトルエン−4−スルホン酸シアノメチルエステル(13.0kg)、炭酸カリウム(13.0kg)および2−イソプロピル−4−メトキシフェノール(9.57kg)の撹拌したスラリーを、4日間、55−60℃に加熱して、次に加熱して18時間還流した。得られたスラリーを冷却して、濾過して固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、残留物をトルエンに再溶解した。トルエン溶液を1N KOHで抽出して、有機相を蒸留により濃縮して、トルエン中の(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−アセトニトリルの1:1(重量で)溶液20.6gを得て、それを次の工程で直接使用した。この溶液の一定分量(96.7g)を濃縮乾固して、粗(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−アセトニトリル50.9gを得て、バルク溶液中に10.9kgが得られることを見込んだ:MS(M+H)=206;H NMR(CDCl)δ:1.25(d、J=6.9Hz)、3.31(septet、1H、J=6.9Hz)、3.82(s、3H)、4.76(s、2H)、6.73(dd.1H、J=8.8Hz、3.1Hz)、6.87(d、1H、J=3.1Hz)、6.91(d、1H、J=8.8Hz)。
【0207】
工程3 5−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−ピリミジン−2,4−ジアミン
トルエン中の(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−アセトニトリルの約1:1(重量で)溶液10.6kgを減圧下で濃縮して、残留物をtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(ブレデリック試薬)10.8kgで処理した。得られた混合物をDMF 20.2kgに溶解して、溶液を2時間、110℃に加熱して、その時点で、HPLC分析が、3,3−ビス−ジメチルアミノ−2−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−プロピオニトリルに基本的に完全な変換を示した(単離しない、H NMR(CDCl)δ:1.21(d、3H、J=7.2Hz)、1.23(d、3H、J=7.1Hz)、2.46(s、6H)、2.48(s、6H)、3.43(d、1H、J=5.0Hz)、3.31(septet、1H、J=6.9Hz)、3.79(s、3H)、4.93(d、1H、J=5.0Hz)、6.70(dd、1H、J=8.8Hz、3.0Hz)、6.82(d、1H、J=3.0Hz)、6.98(d、1H、J=8.8Hz)。
DMF溶液を冷却して、塩酸アニリン14.7kg上に移した。得られた混合物を22時間、120℃に加熱して、その時点で、HPLC分析が、2−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−3−フェニルアミノ−アクリロニトリルに97%以上の変換を示した(単離しない、H nmr(CDCl)δ:1.31(d、6H、J=6.9Hz)、3.39(septet、1H、J=6.9Hz)、3.82(s、3H)、6.61(d(br)、1H、J=12.7Hz)、6.73(dd、1H、J=8.9Hz、3.1Hz)、6.88(d、1H、J=3.0Hz)、6.93(m、2H)、6.97(d、1H、J=8.9Hz)、7.05(m、1H)、7.17(d、1H、J=12.6Hz)、7.35(m.2H))。
混合物を冷却し、トルエン21.5kgで、次に水72.2Lで希釈した。有機層を分離し、水で洗浄して、蒸留により濃縮した。濃縮物をDMF 23.8kg中に移して、DMF溶液を炭酸グアニジン6.01kg上に移した。得られた混合物を3日間、120℃に加熱して、その時点で、HPLC分析は、2−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−3−フェニルアミノ−アクリロニトリルを5−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−ピリミジン−2,4−ジアミンに95%以上の変換を示した。
反応混合物を冷却し、EtOAc 7.8kgで希釈し、次に60℃に再加熱した。水(75.1L)を加えて、得られた混合物を放置して周囲温度に冷却した。沈殿した固体を濾過により回収し、イソプロパノールですすいで、50度、減圧下で乾燥させて、5−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−ピリミジン−2,4−ジアミン9.62kgを得た:融点170−171℃;MS(M+H)=275;H nmr(クロロホルム)δ:1.25(d、6H、J=6.9Hz)、3.30(septet、1H、J=6.9Hz)、3.79(s、3H)、4.68(br、2H)、4.96(br、2H)、6.64(dd、1H、J=8.9Hz、3.0Hz)、6.73、d、J=8.9Hz)、6.85(d、1H、J=3Hz)、7.47(s、1H)。
【0208】
工程4 5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド・スルホラン溶媒和物
クロロスルホン酸(13.82kg)を、スルホラン(50.0kg)中の5−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−ピリミジン−2,4−ジアミン(10.07kg)のスラリーに、内部ポット温度を65℃以下に保持する割合で加えた。反応混合物を60−65℃で12時間熟成させて、その時点で、HPCLは、全ての5−(2−イソプロピル−4−メトキシ−フェノキシ)−ピリミジン−2,4−ジアミン出発物質が5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホン酸に変換したことを示した。MS(M+H)=355。次に、オキシ塩化リン(3.41kg)を、反応混合に60℃で加えた。反応混合物を75℃に加熱して、12時間熟成させて、その時点で、HPLCは、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホン酸の約99%が5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホニルクロリドに変換したことを示した。MS(M+H)=373。次に、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホニルクロリドの溶液を2℃前後に冷却した。
MeOH(74.1kg)中のアンモニア(7N)の冷却した(およそ2℃)溶液に、内部温度が23℃を超えないような割合で、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホニルクロリド(均質のシロップ)の冷却したスルホラン溶液を加えた。得られたスラリーを18時間、周囲温度で撹拌し、次に粗多孔性フリットフィルター上で濾過した。回収した固体をMeOH(15.9kg)ですすいで、次に70℃、減圧下で乾燥させて、一定重量23.90kgにした。HPLCは、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホニルクロリドを5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドスルホラン溶媒和物に97.5%変換を示した。H nmr(DMSO−d)δ:1.26(d、6H、J=6.9Hz)、2.07(sym.m、8H)、2.99(sym.m、8H)、3.41(septet、1H、J=6.9Hz)、3.89(s、3H)、6.03(s(br)、2H)、6.58(s(br)、2H)、7.00(s、1H)、7.04(s(br)、2H)、7.08(s、1H)、7.35(s、1H)。
【0209】
工程5 5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド
エタノール(74.3kg)および0.44N HCl(109.4kg)の混合物中の5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドスルホラン溶媒和物(23.86kg)のスラリーを、加熱し還流して、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドの一塩酸塩の均質な溶液を提供した。この溶液を加熱する間に濾過して、次に濃水酸化アンモニウム(3.4L)で処理して、5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドの遊離塩基を遊離させた。得られた混合物をゆっくり20℃に冷却して、結晶質生成物を濾過により単離した。フィルターケークを水(20.1kg)で洗浄して、70℃、減圧下で乾燥させて、一定重量8.17kg(スルホランの二溶媒和物に基づいて57.7%収率)にした。融点=281−282℃。H nmr(DMSO−d)δ:1.27(d、6H、J=6.9Hz)、3.41(septet、1H、J=6.9Hz)、3.89(s、3H)、5.87(s(br)、2H)、6.40(s(br)、2H)、6.98(s、1H)、7.01(s(br)、2H)、7.07(s、1H)、7.36(s、1H)。
【0210】
実施例2:P2X/P2X2/3 FLIPR(蛍光分析イメージングプレートリーダー)アッセイ
CHO−K1細胞に、クローン化したラットP2XまたはヒトP2X2/3レセプターサブユニットをトランスフェクトして、フラスコ中で代継した。FLIPR実験前の18−24時間、細胞をそれらのフラスコから放出し、遠心分離して、2.5×10細胞/mlで培養液中に再懸濁した。細胞を、50,000細胞/ウェルの密度で、黒壁96ウェルプレート中に等分して、一晩、5% CO中に37℃で培養した。実験の当日、細胞をFLIPR緩衝液(カルシウム−およびマグネシウム−遊離ハンクス平衡化塩溶液、10mM HEPES、2mM CaCl、2.5mM プロベネシド;FB)中で洗浄した。それぞれのウェルは、FB 100μlおよび蛍光色素Fluo−3 AM 100μl[2μM最終濃度]を受けた。37℃で色素装填培養1時間後、細胞をFBで4回洗浄して、最終75μl/ウェルFBがそれぞれのウェル中に残った。
試験化合物(10mMでDMSOに溶解して、FBで連続希釈した)または媒体をそれぞれのウェル(4X溶液25μl)に加えて、放置して20分間、室温で平衡化した。次に、プレートをFLIPRに入れて、基準蛍光性測定(488nmで励起および510−570nmで放出)を、100μl/ウェルアゴニストまたは媒体の添加前に10秒間で得た。アゴニストは、最終濃度1μM(P2X)または5μM(P2X2/3)を生成するα,β−meATPの2X溶液であった。蛍光性を、アゴニスト添加後、1秒間隔でさらに2分間測定した。イオノマイシンの最終添加(5μM、最終濃度)を、FLIPR試験プレートのそれぞれのウェルに行って、細胞の生存および色素結合の細胞質カルシウムの最大蛍光性を確立した。α,β−meATPの添加(試験化合物の非存在下および存在下)に反応した蛍光性ピークを測定して、阻害曲線は非線形回帰を使用して起こした。PPADS、標準P2Xアンタゴニストを、陽性対照として使用した。
上記の手順を使用して、本発明の化合物は、P2Xレセプターに対して活性を示した。上記のアッセイを使用して、化合物5−(2,4−ジアミノ−ピリミジン−5−イルオキシ)−4−イソプロピル−2−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドは、P2Xレセプターに対してpIC50 約7.93を示した。
【0211】
本発明がその具体的な実施態様に関連して記載されている場合、それは、さまざまな変化が可能であり、均等物は本発明の本質および範囲から逸脱することなく置換されてもよいことが当業者により理解されるべきである。加えて、多くの変更は、本発明の客観的精神および範囲に対して、特定の状況、物質、組成物、方法、方法工程または工程を適応させることが可能である。全てのそのような変更は、本明細書中に添付された請求項の範囲内であることを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式k
【化24】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を製造する方法であって、
式j
【化25】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
アンモニアで処理して、式k
(式中、Rは水素;ハロ;C2−3アルキニル;ハロ−C1−4アルキル;C1−4アルコシキ;ヒドロキシ;ハロ−C1−4アルコキシ;ヒドロキシ−C1−4アルコキシ;またはC2−3アルキニル−C1−4アルキルオキシである)
の化合物を形成すること
を含む方法。
【請求項2】
式jの化合物をアンモニアで処理することが、メタノールの存在下で行われる、請求項1の方法。
【請求項3】
式jの化合物をアンモニアで処理することが、溶媒としてスルホランを使用して行われる、請求項1の方法。
【請求項4】
式jの化合物をアンモニアで処理することが溶媒としてスルホランを使用して行われ、化合物kがスルホラン溶媒和物として単離される、請求項1の方法。
【請求項5】
請求項1記載の式kの化合物のスルホラン溶媒和物を形成するための方法であって;
式j
【化26】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物
(式中、Rは請求項1で定義したような意味を有する)
を、スルホラン溶媒中、アンモニアで、メタノールの存在下、処理すること
を含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の式kの化合物のスルホラン溶媒和物を形成するための方法であって;
式h
【化27】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物
(式中、Rは請求項1で定義したような意味を有する)
を、スルホラン溶媒中、クロロスルホン酸、続けてオキシ塩化リン、続けてメタノールの存在下、アンモニアで処理すること
を含む方法。
【請求項7】
式k
【化28】


(式中、Rは水素;ハロ;C2−3アルキニル;ハロ−C1−4アルキル;C1−4アルコシキ;ヒドロキシ;ハロ−C1−4アルコキシ;ヒドロキシ−C1−4アルコキシ;またはC2−3アルキニル−C1−4アルキルオキシである)
の化合物またはその塩のスルホラン溶媒和物。
【請求項8】
式k
【化29】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物
(式中、Rは水素;ハロ;C2−3アルキニル;ハロ−C1−4アルキル;C1−4アルコシキ;ヒドロキシ;ハロ−C1−4アルコキシ;ヒドロキシ−C1−4アルコキシ;またはC2−3アルキニル−C1−4アルキルオキシである);
を製造する方法であって、
(a) 式a
【化30】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、
メチルグリニャール試薬で処理して、続けてパラジウム触媒の存在下、酸性条件下で水素化を行って、式b
【化31】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること
(b) 式bの化合物を、
シアノメチルアルキル化剤で処理して、化合物c
【化32】


またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること
(c) 式cの化合物を、
ブレデリック試薬で処理して、
化合物e1、e2
【化33】


もしくはその混合物またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること
(d) 式e1、e2の化合物もしくはその混合物を、
式ArNHのアニリン試薬で処理して、
式g
【化34】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物
(式中、Arは場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである)
を形成すること
(e) 式gの化合物を、
グアニジン試薬で処理して、
式h
【化35】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること
(f) 式hの化合物を、
クロロスルホン酸で処理して、
式i
【化36】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること
(g) 式iの化合物を、
オキシ塩化リンで処理して、
式j
【化37】


の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を形成すること、および
(h) 式jの化合物をアンモニアで処理すること
を含む方法。

【公開番号】特開2013−10780(P2013−10780A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−194914(P2012−194914)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2009−530844(P2009−530844)の分割
【原出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】