説明

フェノチアジン化合物のカチオンラジカルの安定化方法、薬用化粧品製剤、ならびに皮膚疾患および障害の予防のための方法

本発明は、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物のカチオンラジカルの安定化方法に関する。本発明の別の実施形態は、薬用化粧品学的に許容される賦形剤と組合せた1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を含む薬用化粧品製剤に関する。本発明はまた、皮膚疾患および障害の予防のための薬用化粧品製剤の製造における、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の使用に関する。皮膚疾患および障害の予防方法についても本発明により開示される。特に本発明の実施形態は、言及した1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を安定化されたカチオンラジカルの形態で用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてフェノチアジンを含む光防御用薬用化粧品製剤に関し、これは薬用化粧品助剤に関連するか、または関連しない。
【背景技術】
【0002】
化粧品産業および薬用化粧品
ANVISAおよびブラジル厚生省によると、化粧品は個人的な衛生用製品、化粧品製品、香水、ならびに天然および合成物質を含む物質または組成物およびそれらの組合せを含み、これは洗浄すること、着香すること、外観を変化させること、および/または体臭を中和すること、および/またはそれらを保護し、それらを良好な状態に保持するという排他的または主要な目的で、人体、皮膚、毛細血管系、ツメ、唇、外性器、歯、口腔の粘膜の様々な部分において外部に使用されるためのものである(RDC ANVISA no.211/05)。これは、Mercosulおよび欧州連合(ABIHPEC - Brazilian Association of the Personal Hygiene, Fragrance and Cosmetic Industry:http://www.abihpec.org.br/areatecnica_regbrasil2.php)により採用される定義でもある。
【0003】
ABIHPECによると、ブラジルの化粧品市場は、81億USドル(約175レアル)の流動収益で2006年を終えた。ユーロモニターの2006年のデータによると、個人衛生、芳香および化粧品の世界市場と比較して、ブラジルはランキングの第3位である。ベビー用品、デオドラントおよび香料では第2位の市場;浴用製品、男性用製品、口腔衛生および毛髪用製品では第3位;彩色化粧品では第4位;日焼け止め剤では第5位;皮膚用製品では第8位;ワックス製品では第9位である(ABIHPEC−Brazilian Association of the Personal Hygiene, Fragrance and Cosmetic Industry:http://www.abihpec.org.br/conteudo/material/apresentacaosetor_2006_2007.pdf)。
【0004】
化学的活性成分の使用から、治療目的の化粧品の探索によって新しい種類の採用が共通のものとなり、当該化粧品は薬剤および化粧品産業の融合として理解された(Pachione, R. “Cosmeticos” Journal Quimica e Derivados no. 445, jan 2006)。
【0005】
市場の新規なセグメントの創出に加えて、化粧品製品の増加の傾向は、その分野での製造および競争の基準における技術的因子の重要性ならびに法令の厳格さの必要性を強化する(Marinho, V. M. C. “Como as empresas brasileiras de cosmeticos estao utilizando o conhecimento tradicional e as plantas medicinais” XXVI RESEM - Annual Reunion about Micromolecular Evolution, Systematics and Ecology, Chemistry Institute of Federal University of the State of Rio de Janeiro (UFF), P37, dec 2004)。
【0006】
この分野はアメリカ合衆国、欧州および日本においては非常に意味があり、ブラジル市場でも増加している。薬用化粧品は、500億USドルを越える化粧品のグローバルビジネスを代表する(Pachione, R. “Cosmeticos” Journal Quimica e Derivados no. 445 jan 2006)。
【0007】
太陽放射の作用
太陽は地球上の生命にとって必要不可欠であり、人間に対するその効果は、露出した皮膚、放射の強度、ならびに放射への皮膚曝露の頻度および時間という個々の特性に依存する。前記因子は、地理的位置、その年の季節、昼の期間、および気候条件に依存する。前記効果は、福祉、肉体的および身体的感覚、皮膚の日焼けにつながるメラニン産生の刺激が、黄疸やその他(血中の過剰なビリルビンにより引き起こされる皮膚および眼の黄色)の治療として人間に利益をもたらす。一方、太陽放射の曝露量に関して適切な注意がなされない場合、太陽放射はさらに生体に損傷を与え得る(De Paola, M. V. R. V., Ribeiro, M. E. “Interacao entre filtros solares” Cosmetics & Toiletries, sep-oct 1998 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0008】
地表に到達する太陽スペクトルは、主に紫外線(100〜400nm)、可視線(400〜800nm)、赤外線(800nmより大きい)により形成される。人体は、種々の方法で太陽スペクトルのこれらの放射の存在を感じる。
【0009】
赤外光(IR)は熱の形態で感知され、可視光(Vis)は視覚系により検出される異なる色によって感知され、紫外光(UV)は光化学反応により感知される。前記反応はメラニン産生を刺激し得るものであり、この徴候は皮膚の日焼けの形態で目に見えるか、または単純な炎症から深刻なやけどまでの発生をもたらし得る。さらに、遺伝子的変異および細胞の異常な挙動の発生の可能性があり、この頻度は近年増加してきた(Osterwalder, U. et al. “Novo Protetor UVA” Cosmetics & Toiletries, jul-aug 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0010】
太陽光放射のエネルギーは波長の減少により増加する。このようにUV光は、より短い波長を有し、且つ結果として最も高エネルギーであり、最も光化学反応を誘発する傾向が強い。その他の重要な考慮すべき事項は、皮膚構造に浸透するこの放射の能力に関する。より低いエネルギーのUV光は、皮膚の最も深くに浸透し、真皮に到達する場合、光老化の原因となる(Thomas, M. “Ultraviolet and Visible Spectroscopy“ 2nd ed., Wiley, 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0011】
UV光の範囲(100〜400nm)は、3つの部分:UVA、UVBおよびUVCに分割することができる(Ruvolo Junior, E. C., Cosmeticos On Line, 19, 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0012】
UVA光(320〜400nm)−一般にUVA光は紅斑を生じない。皮膚や受ける放射の強度によっては、生ずる紅斑は最小である。UVB光と比較した場合、紅斑を誘発する能力は約1000倍も低い。しかしながら、真皮のより深くまで浸透し、
皮膚の色素沈着を誘発し、表皮の外層の細胞に局在するロイコメラニンの光酸化によるメラニンの暗色化によって日焼けを促進する(Osterwalder, U. et al. “Novo Protetor UVA” Cosmetics & Toiletries, jul-aug 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。UVA光は、地表ではUVB光よりも大量である(UVA95%、UVB5%)。組織学的には、皮膚のタイプならびに曝露の時間、頻度および強度に応じて周囲の脈管系に障害を生じ、皮膚がんを誘発する(Ruvolo Junior, E. C., Cosmeticos On Line, 19, 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007; Steiner, D., Cosmetics & Toiletries, 1995 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。UVA光もまた、間接的な方法で作用し、フリーラジカルを生じ得る(Osterwalder, U. et al. “Novo Protetor UVA” Cosmetics & Toiletries, jul-ago 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。年数の経過により、コラーゲンおよび弾性繊維の変化が生じ、早熟な老化が促される(Billhimer, W. L. “Avaliacao de filtros solares em seres humanos: protecao contra a queimadura solar” Cosmetics & Toiletries, 1989 apud Ribeiro, R. P. et al. “Avaliacao do Fator de Protecao Solar (FPS) in vitro de produtos comerciais e em fase de desenvolvimento” Journal Infarma, v. 16, 2004)。
【0013】
UVB光(280〜320nm)−全てのUVB光は大気を通過した後、地表に到達する。高いエネルギーを有し、高い頻度で日光による皮膚の炎症を生ずる。また、皮膚の日焼けを誘発し、これは表皮性エルゴステロールのビタミンDへの変化に関与する(Ruvolo Junior, E. C., Cosmeticos On Line, 19, 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007; Steiner, D., Cosmetics & Toiletries, 1995 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。UVB光への頻繁且つ強烈な曝露は、DNAの損傷を生じる可能性があり、その上、皮膚の免疫応答を抑制する。このように、皮膚がんの形態で発症する致命的な変異のリスクを増加させる上、その活性は、悪性細胞が生体によって認識され、破壊される確率を減少させる(Streilein, J. W. et al. “Immune surveillance and sunlight-induced skin cancer” Immunology Today, 15, 1994 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0014】
UVC光(100〜280nm)−UVC光は高エネルギーの担体であり、これは生体に非常に有害な特性である(Steiner, D., Cosmetics & Toiletries, 1995 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007; Streilein, J. W. et al. “Immune surveillance and sunlight-induced skin cancer” Immunology Today, 15, 1994 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。成層圏の酸素およびオゾンによる吸収のため、UVC光は地表に到達せず、わずかなUVBが地表に到達するだけである。環境的な因子のため、オゾン層の減少は地表でのUVBの増加をもたらし、熱傷のより高い発生率、および結果的には皮膚がんの原因となっている(Roy, C. R. et al. “The solar UV radiation environment: measurement techniques and results” J. Photochem. Photobiol., 31, 1995 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。オーストラリアはその場所および南極のオゾン層の大規模な破壊のため、紫外線レベルによる大きな問題を抱えてきたが(Roy, C. R. et al. “The solar UV radiation environment: measurement techniques and results” J. Photochem. Photobiol., 31, 1995 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)、これは皮膚がんのより高い発生率の原因となっている(Giles, G. “Report of the National health and medical research council” Australian Government Printing Service, 1989 apud Flor, J. et al. "Protetores Solares" Quimica Nova, v. 30, 2007; Marks, R. "Report of the National health and medical research council" Australian Government Printing Service, 1989 apud Flor, J. et al. "Protetores Solares" Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0015】
日焼け止め
UV光に関連する健康への害は、日焼け止めを使用することにより最小化することができ(Taylor, C. R. et al. “Photoaging/photodamage and photoprotection” J. Am. Acad. Dermatol., 22, 1990 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)、これは60年以上の間、市販されている。
【0016】
日焼け止めは、太陽光線による皮膚火傷(紅斑)を妨害することができる物質があると認められたときに登場した。20世紀の初頭、酸性の硫酸キニーネ、および後に、Antilux(登録商標)(2−ナフトール−6,8−ソディウムジスルホネート)が前記効果を妨害することが認められた(Urbach, F. “The historical aspects of sunscreens” J. Photoch. Photobio. B., v. 64, 2001 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。20世紀の終わりには、日光紅斑を予防する効果を有する多くの物質が出現し、第二次世界大戦後、p−アミン安息香酸(PABA)の利用によりその使用はより一般的になった(Shaath, N. A. “Evolution of moderns sunscreen chemicals” Sunscreens, Development, Evaluation and Regulatory Aspects, 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0017】
当初、それらは日焼けから、優先的にはUVAによって日焼けをさせるUVB光から皮膚を保護するために開発された。UVA光に関する知見が増加するにつれ、日光曝露による皮膚がんのリスクを低減するために、皮膚がUVA/UVB領域から保護される必要があることが明らかになった(Ziegler, A. et al., Nature, 372, 1994; Ananthaswsmy, H. N. et al., Nat. Med., 3, 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0018】
結果として、新規の概念が生まれた:効果的な日焼け止めは可能性のある日光による皮膚炎を予防しなければならないだけでなく、またこれは致命的な変性のリスクを増加させるかもしれないUV光により誘発された損傷の蓄積を低減しなければならない(Schueller, R. et al. “Introducao aos Produtos Fotoprotetores” Cosmetics & Toiletries, 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007).。UV光により生じる徴候から皮膚を保護することは、そのエネルギーを他のエネルギー形態へと変換し、この他の形態が皮膚にとって有害なものではないことを保証することを意味する。日焼け止め製剤において用いられるUVフィルターは、化学的および光化学的に不活性である必要がある(Osterwalder, U. et al. “Novo Protetor UVA” Cosmetics & Toiletries, jul-ago 2000 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0019】
日焼け止め、これはまた光防御剤とも称されるが、この使用の必要性は確かな事実であり、この傾向に従って市場はその反応を提供する。1992年、日焼け止めのブラジル市場は650トンの製品を製品化したことが推定される。10年後の2002年には、同じ市場は約4200トンの生産量に達した。前記数字は、このセグメントの重要性が増していることを明らかにするだけでなく、翌年の増加についての莫大な潜在性について示唆する。2002年、世界市場は34億5000万USドルの取引を扱い、ラテンアメリカはこの合計のうち2億4760万USドルに寄与し、この潜在性を強化する(“Dossie especial sobre o sol” Cosmeticos e Perfumes, 27, 2003 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0020】
市場性の高い側面に加え、この分野への大きな関心は確かに光防御の深刻な必要性基づいている。アメリカの機関EWG(Environmental Working Group)によって北米市場で入手可能な785の日焼け止めについて近年行われた研究は、試験した太陽光防御係数15以上の日焼け止めの84%はUV光に対して不十分な保護を提供することを明らかにした(EWG databank: www.ewg.org/sunscreen/ apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。この意味で、当該セグメントは、より高い効率を有する配合物−より適切な保護効率、より高い化学的安定性を有し、より公衆が入手しやすい製品−を提供する目的で、製剤メーカーには高い技術力、製造業者には新しい日焼け止めのR&Dのための出発物質を要求する(Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0021】
日焼け止めには2つのクラスがある:各々規定通りに分類された有機性および無機性の化学的効果(化学フィルター)を有するフィルターおよび物理的効果を有するフィルター(物理的フィルター)。前記分類は、唯一の商業用の特性を提示し、再評価される必要がある。化学反応がない場合、放射の吸収および反射のプロセスは物理的現象として考えられる。このように、分子を吸収するUV光は必ずしも、化学的フィルターとして分類されるべきではない。有機フィルターが有機化合物を含み、無機フィルターが金属酸化物を含むと、有機および無機フィルターの分類はより合理的になる。一般に、有機化合物は放射の吸収によって、無機化合物は放射の反射によって皮膚を保護する。現在、市場では、吸収に加えてUV光を反射するフィルターがある。Ciba Specialty Chemicalsが、製品Tinosob(登録商標)Mを市場に提供し、これは有機物であっても、UV光を吸収する能力に加えて光を反射および分散させる能力を呈し、この方法で物理的効果をも有するフィルターとして挙動する。反射および拡散の現象は、他の因子の中でも無機フィルターの粒径に依存し、化合物が有機的であるかまたは無機的であるかという事実には依存しないということに注意することが重要である(Diffey, B. L., Grice, J. “The influence of sunscreen type on photoprotection” Br. J. Dermatol., 1997 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0022】
日焼け止めの効力は、その太陽光防御係数(SPF)に関して測定され、これは、
紅斑のリスクを伴うことなく日焼け止めの使用によって増やすことのできる太陽光曝露の回数を示す。例えば、同じ地理的位置、その年の季節、気候状態および昼の期間を考慮し、日焼け止めなしに20分間太陽に曝すことのできる色白の皮膚を有する個体は、SPF=15の日焼け止めにより、20X15=300のように、太陽に300分間曝露することができる。より高いSPFではより高い保護が提供され、これは皮膚がUVB光から保護される時間がより長いことを意味する。SPFは、紅斑の原因であるUVB光に関して定義されていることに注目することが重要である。SPF値は、以下の式により計算される:
【数1】

【0023】
式中、EMD=エリテマトーデス最小量であり、これは紅斑を生じさせるのに必要な最小量である(Mansur, J. S. et al. “Correlacao entre a determinacao do fator de protecao solar em seres humanos e por espectrofotometria” Anais Bras. de Dermatologia, jul-ago 1986 apud Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0024】
太陽光フィルターを消費者に提供するために、ビヒクル(vehicle)と組合せることが必要である。この太陽光フィルター/ビヒクルの結合により日焼け止めまたは光防御剤との名称が付けられる。日焼け止めを市販するためには、いくつかの特性が必要である。日焼け止めは化学的、光化学的および熱的に不活性であることに加え、他の特性、例えば非毒性の、非感作の、刺激性のない、または非突然変異性の、不揮発性の特性、適切な溶解性を示し、皮膚に吸収されず、変色を起こさず、皮膚または衣服にしみを生じず、無色で、製剤および貯蔵物質と適合性があり、最終製品において安定であるという適切な溶解性を示さなければならない(Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0025】
日焼け止めを調製するためには、2つの基本的な成分の存在が必要である:活性成分(有機および/または無機フィルター)およびビヒクル。日焼け止めの調製に使用することが出来るビヒクルは多く、これは単純な溶液からより複雑な構造の溶液、例えばエマルションなどを意味する(Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007)。
【0026】
光防御配合物において用いられる主要なビヒクルは以下の通りである(Flor, J. et al. “Protetores Solares” Quimica Nova, v. 30, 2007):
水アルコールローション−主に水とアルコールからできており、それらは容易に皮膚に広がり、素早く蒸発する。その使用は、得られる保護のレベルが低いため疑問視されてきた。その上、皮膚に対するエチルアルコールの有害な効果についてもまた問題とされてきた。
【0027】
クリームおよび乳化剤ローション−エマルションは日焼け止めに対し、はるかに良好なビヒクルを構成する。それらは、無極性の(脂溶性の)成分と同様に極性(水溶性の)成分からなり、その構造中に脂溶性フィルターと同様に水溶性フィルターを保持し、これは保護の観点から非常に健康的である。前記システムはO/W(水中油)またはW/O(油中水)であり、これは多かれ少なかれ保護性の配合物をもたらし得る性質である。エマルションW/Oは皮膚の保護のためにより適切であるが、それらは脂肪性または油性の性質を呈し、結果的に使用者の不快感を伴う。そのため、O/Wエマルションは、最も採用されるシステムを構成し、使用者にとっての感覚的快適さを伴う適切な保護を保証する。
【0028】
ゲル−親水性の増粘剤によって得られるビヒクルである。増粘剤の由来、つまり天然(ゴム、アルギン酸塩)であるか、または合成(ポリマーおよびアクリルアミドコポリマー)であるかによらず、得られるゲルは一般にエマルションと同レベルの保護を提供しない。それに加え、このグループの配合物の透明性を保つために、水溶性の太陽光フィルターの必要性がある。フィルターの混合物によって高いレベルの保護が達成され得るにすぎず、その大部分が脂溶性であるため、透明性のゲルを得ることは非常に精巧な技術的課題であり、常に望ましいとは限らない溶媒、例えばエチルアルコールなどの混入を伴う。光防御的なゲルの調製では、無機フィルターの存在も回避されなければならない。無機フィルターがミクロ粒子の形態でゲルになる場合であっても、最良の筋書きでは、不透明な外観は多くの場合、消費者の目に見える凝集となる。これらの配合物の問題は、審美的な外観だけでなく、根本的に保護のレベルが低くなることである。日焼け止めにおける凝集の存在は、皮膚の全体的拡張において不均質なフィルムの形成をもたらし、これは保護のレベルに大いに影響する。
【0029】
フェノチアジン
フェノチアジンは、分子式C12NSを示す化合物であり、分子量は199.28、CAS番号92−84−2であり、ジベンゾチアジン、ジベンゾ−p−チアジン、ジベンゾ−1,4−チアジンおよび10H−フェノチアジンの同義語であり、以下の構造式である(National Center for Biotechnology Information−NCBI: www.ncbi.nlm.nih.gov/):
【化1】

【0030】
フェノチアジンは、3つの環構造により構成されるチアジン中心を含む化合物であり、2つのベンゼン環が硫黄原子および窒素原子により連結される。
【0031】
本発明に従うと、光防御の効果を得るためには置換の位置に関して制限はない。
【0032】
一方、先行技術に既に開示される通り、抗精神病薬として使用する場合、フェノチアジン中心における置換は炭素2および窒素10である。
【0033】
10位の側面の置換基に関して、これらの薬剤は3つのサブクラスに細分化される(Baldessarini, R. J., Tarazi, F. I. "Drugs and the treatment of psychiatric disorders" Goodman and Gilman's the pharmacological basis of therapeutics, 10 ed, 1989; Wishart, D. S. et al. "DrugBank: a comprehensive resource for in silico drug discovery and exploration" Nucleic Acids Res. 2006):
−脂肪族化合物、例えばクロルプロマジン、プロマジン、トリメプラジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジンおよびプロメタジン:
クロルプロマジン
3−(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)−N,N−ジメチル−プロパン−1−アミン
1719ClN
CAS 50−53−3
【化2】

【0034】
プロマジン
N,N−ジメチル−3−(10H−フェノチアジン−10−イル)プロパン−1−アミン
1720
CAS 58−40−2
【化3】

【0035】
トリメプラジン
N,N,2−トリメチル−3−フェノチアジン−10−イル−プロパン−1−アミン
1822
CAS 84−96−8
【化4】

【0036】
プロピオマジン
1−[10−(2−ジメチルアミノプロピル)−10H−フェノチアジン−2−イル]プロパン−1−オン
2024OS
CAS 362−29−8
【化5】

【0037】
トリフルプロマジン
N,N−ジメチル−3−[2−(トリフルオロメチル)−10H−フェノチアジン−10−イル]−プロパン−1−アミン
1819
CAS 146−54−3
【化6】

【0038】
エトプロパジン
N,N−ジエチル−1−(10H−フェノチアジン−10−イル)プロパン−2−アミン
1924
CAS 1094−08−2)
【化7】

【0039】
プロメタジン
N,N−ジメチル−1−(10H−フェノチアジン−10−イル)プロパン−2−アミン
1720
CAS 60−87−7
【化8】

【0040】
−ピペリジン化合物、例えば、トリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルペラジン、アセトフェナジンおよびカルフェナジン:
トルフルオペラジン(TFP)
10−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)−10H−フェノチアジン
2124
CAS 117−89−5
【化9】

【0041】
フルフェナジン(FP)
2−[4−[3−[2−(トリフルオロメチル)−10H−フェノチアジン−10−イル]プロピル]ピペラジン−1−イル]エタノール
2226OS
CAS 69−23−8
【化10】

【0042】
プロクロルペラジン
2−クロロ−10−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル]−10H−フェノチアジン
2024ClN
CAS 58−38−8
【化11】

【0043】
ペルフェナジン
2−[4−[3−(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)プロピル]ピペラジン−1−イル]エタノール
2126ClNOS
CAS 58−39−9
【化12】

【0044】
チエチルペラジン
2−エチルスルファニル−10−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル]−10H−フェノチアジン
2229
CAS 1420−55−9
【化13】

【0045】
アセトフェナジン
1−[10−[3−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]プロピル]−10H−フェノチアジン−3−イル]エタノン
2329
CAS 2751−68−0
【化14】

【0046】
カルフェナジン
1−[10−[3−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]プロピル]フェノチアジン−2−イル]プロパン−1−オン
2431
CAS 2622−30−2
【化15】

【0047】
−ピペリジニン化合物、例えば、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジン:
チオリダジン(TR)
10−[2−(1−メチル−2−ピペリジル)エチル]−2−メチルスルファニル−フェノチアジン
CAS 50−52−2
2126
【化16】

【0048】
メソリダジン
10−[2−(1−メチル−2−ピペリジル)エチル]−2−メチルスルフィニル−10H−フェノチアジン
2126OS
CAS 5588−33−0
【化17】

【0049】
メキタジン
10−(4−アサビサイクル[2.2.2]オクト−7−イルメチル)フェノチアジン
2022
CAS 29216−28−2
【化18】

【0050】
メトジラジン
10−[(1−メチルピロリジン−3−イル)メチル]−10H−フェノチアジン
1820
CAS 1982−37−2
【化19】

【0051】
フェノチアジン化合物およびその誘導化合物は、その特性および用途のため、種々の生物学的、化学的、物理化学的および光化学的研究の対象であった。特に、フェノチアジンの光化学的挙動は、フェノチアジン部分からなる化合物および組成物が人間に対する光感作効果を促進し得るため、大きな関心となった。
【0052】
これらの光化学的特性は、チアジン顔料を有するこれらの抗精神病薬、例えばメチレンブルーおよびチオニンの構造的類似性に起因し、この光化学はすでに当該技術で既知である。
【0053】
リノール酸または赤血球膜を用い、研究によって励起状態のフェノチアジン誘導体のいくつかの効果、例えばタンパク質への損傷および脂質過酸化が示された。筆者らは、有機溶媒中ではより低い三重項励起状態への項間交差によってフェノチアジン誘導体のより低い一重項状態の崩壊が起こり、一重項酸素の発生に関与することを記載する。それにもかかわらず、水性溶媒中でこれらの化合物の曝露は、主にフェノチアジンのカチオンラジカルの形成をもたらすようであり、これは安定化されない場合、酸化促進作用を示す。
【0054】
したがって、適切に安定化され、全UV範囲で作用する光防御製剤の開発が急務である。
【発明の概要】
【0055】
本発明は、以下の主構造を示す1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物のカチオンラジカルの安定化方法を開示する:
【化20】

【0056】
本発明はまた、薬用化粧品学的に許容される賦形剤と組合せた、以下の主構造を示す1以上のフェノチアジン化合物または誘導化合物を含む薬用化粧品製剤をも開示する:
【化21】

【0057】
薬用化粧品助剤、例えば芳香剤、着色剤、抗菌剤、防虫剤、ビタミン剤、抗酸化剤、保存剤、軟化剤および当該分野で使用される他のものをさらに含む薬用化粧品製剤もまた、本発明の実施形態である。
【0058】
本発明はまた、以下の主構造を示す、皮膚疾患および障害の予防のための薬用化粧品の製造におけるモノマーまたはポリマー形態の1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の使用についても開示する:
【化22】

【0059】
本発明の他の実施形態は、個体に本発明の製剤を投与することを含む皮膚疾患および障害の予防のための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明のフェノチアジン誘導化合物、TR、TFPおよびFPのそれぞれを含む透過率のグラフA、BおよびCを示し、その中で、薬剤の存在は赤線(下の線)により示され、それが存在しないことは黒線(上の線)で示される。
【図2】図2は、本発明のフェノチアジン由来の化合物TR(グラフA)およびTFP(グラフB)の濃度がモデルタンパク質(シトクロームcのメチオニン80)の光酸化に与える効果を示し、これはソーレー帯の青色方向への偏向の程度により評価される。
【図3】図3は、TR 25μMの存在下および非存在下でのシトクロームcのメチオニン80の酸化初速度に対する溶媒のpHの効果を示す。
【図4】図4は、フェノチアジンの照射により促進されるシトクロームcおよびTRのスペクトルの変化を示す。
【図5】図5は、ソーレー帯の変化の割合におけるTRの濃度および凝集状態の影響を示す。曲線は低濃度のTRの影響を示す。
【図6】図6は、張力計De Noyで脱イオン水中、室温で行われた実験による水の表面張力における濃度の影響を示す。
【図7】図7は、UV光透過率の範囲を示し、ここにおいて赤線(下の線)はフェノチアジン中心(PHT)の存在を示し、黒線(上の線)は、薬剤が存在しないことを示す。
【発明の詳細な説明】
【0061】
フェノチアジンのカチオンラジカルの安定化については、極度の酸性溶媒中においてのみ記載されてきた。しかしながら、緩やかな条件、例えば弱酸性(pH約4.0)の緩衝溶媒および純水(pH約6.0)などで、カチオンラジカルの安定化の機構を開発した。pHの上昇(最高約8.0まで)によって、中性であり且つ反応性の低いラジカルが生成される。これらの条件で、薬剤はそのUV光吸収特性を変化させず、したがって同時に、日焼け止めとして使用できる反応性種も生成されないことが立証された。
【0062】
カチオンラジカルが安定化する状態では、一重項酸素、望ましくない反応性種の有意な産生を伴うことのない光吸収があり、これらは既知の物理的および化学的な日焼け止め、たとえば酸化チタニウムおよびベンゾフェノンなどの照射により生成され得る。一般的な日焼け止めに関して見出された他の困難は、その作用の視覚化の機構である。種々のフェノチアジンからのカチオンラジカルの安定化は、それらを可逆的に着色物質に変換する。光への曝露が中断されると、色は減衰するが、新たな曝露下で再び出現する。これらの条件で、光崩壊は低く、割合を占めるべきではなく、照射の最大25日までの日々のセッションの間の安定性の保持についてデータが得られる。
【0063】
したがって本発明は、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物のカチオンラジカルの安定化方法に関し、これは以下の主構造を示す:
【化23】

【0064】
本発明の一実施形態において、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は式Iを示す:
【化24】

【0065】
式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トルフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アサビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より独立して選択され、言及した置換基は置換された置換基または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはこれを示す。
【0066】
本発明の別の実施形態において、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメプラジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トルフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルぺラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される。好ましくは、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、トリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)およびチオリダジン(TR)である。
【0067】
前記方法は、まず出発化合物であるベンゼンチオールまたは置換または非置換のアニリンを当該アニリンまたはベンゼンチオール試薬、および硫黄、ヨウ素、および溶媒と、高温の反応条件下混合することを含む。
【0068】
カチオンラジカルはUV光により光化学的に、または酸化剤またはペルオキシダーゼ酵素の使用により化学的に形成される。
【0069】
凝集状態および酸性pHで、試料が低温および/または照射下で維持される場合、安定性は数時間持続し得る。
【0070】
本発明で用いられる前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、チオリダジン(TR)またはフルフェナジン(FP)の中から選択され得る。前記フェノチアジンTRおよびFPが、約5μM(TRおよびFP)から約2.5mM(TR)および約100□M(FP)の範囲の濃度で反応溶媒中に存在することが見出された。特定の実施形態において、濃度は約200μMから約2.5mM(TR)、および約50□Mから約100□M(FP)の範囲である。さらに特定の実施形態において、濃度は約400μMから約2.5mM(TR)、および約75□Mから100□M(FP)の範囲である。さらなる実施形態において、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の濃度は、TRは約2.5mM、FPは100□Mである。
【0071】
上記フェノチアジン化合物に加え、本発明の方法は、約5μMから約2.5mMの範囲の濃度で、他のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を使用し得る。
【0072】
前記方法の反応溶媒は、約4.0から約8.0の範囲のpHを示す。特定の実施形態において、前記pH範囲は約5.0から約7.0であってよい。さらなる特定の実施形態において、pHは約6.0である。
【0073】
本発明はさらに、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を含む薬用化粧品に関し、これは薬用化粧品学的に許容される賦形剤と組み合わされたモノマーまたはポリマー形態の以下の主構造を示す:
【化25】

【0074】
特定の実施形態において、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、本発明の製剤中に存在し、式Iを示す:
【化26】

【0075】
式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トルフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アサビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より独立して選択され、言及した置換基は、置換された置換基、または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはこれを示す。
【0076】
さらなる特定の実施形態において、上述の1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメプラジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トルフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルペラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される。好ましくは、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、トリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)およびチオリダジン(TR)である。
【0077】
本発明の特徴は、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、安定化カチオンラジカルの形態で見出されることである。他の特徴は、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物がモノマーまたはポリマー形態、特にプレミセル(pre-micellic)凝集体および/またはミセルの形態で見出されることである。
【0078】
本発明で用いられる前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、チオリダジン(TR)またはフルフェナジン(FR)の中から選択され得る。前記フェノチアジンTRおよびFPが、薬用化粧品製剤中で、約5μM(TRおよびFP)から2.5mM(TR)および約100□M(FP)の範囲の濃度で存在することが見出される。特定の実施形態において、濃度は約200μMから約2.5mM(TR)、および約50□Mから約100□M(FP)の範囲である。さらに特定の実施形態において、濃度は約400μMから約2.5mM(TR)、および約75□Mから約100□M(FP)の範囲である。さらに特定の実施形態において、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の濃度は、TRは約2.5mM、FPは100□Mである。
【0079】
上記フェノチアジン化合物に加え、本発明の方法は他のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を薬用化粧品製剤中、約5μMから約2.5mMの範囲の濃度で用いることができる。
【0080】
本発明の薬用化粧品製剤は、約4.0から約8.0の範囲のpHを示す。特定の実施形態において、前記pH範囲は約5.0から約7.0であってよい。さらに特定の実施形態においてpHは約6.0である。
【0081】
本発明の製剤中に存在する前記薬用化粧品学的に許容される賦形剤が、ビヒクル、凝着剤、錠剤崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、可溶化剤、懸濁化剤、増粘剤、希釈剤、溶剤(solvent)、乳化剤、安定化剤、保存剤、着色剤、調味剤、それらの組合せ、および当該分野で一般的に用いられる他のものからなる群より選択される。
【0082】
本発明で用いられ得るビヒクルの例は、水、水溶液、植物油、鉱物油、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明で用いられ得る凝着剤の例は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グルコース、デキストラン、ポビドン、アミド、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明で用いられ得る錠剤崩壊剤の例は、アルギン酸、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、アミド、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明で用いられ得る結合剤の例は、ゼラチン、カラギーン(carrageen)、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明で用いられ得る潤滑剤の例は、エステアリン酸(estearic acid)、エステアリン酸塩(estereates)、鉱物油、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明で用いられ得る界面活性剤の例は、ポリソルベート、ベンズアルコニッククロリド、ソルビタンモノパルミテート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、それらの組合せ、その他当業者に一般的に既知のものであるが、これらに限定されない。
【0088】
本発明で用いられ得る可溶化剤の例は、Cremophor(登録商標)、カプリルグリコシド、PPG−5 Ceteth−20、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明で用いられ得る可溶化剤の例は、ポリビニルピロリドン、コロイド状シリコン、多糖類、それらの組合せおよび当業者にとって一般的に既知の他のものであるが、これらに限定されない。
【0090】
補ン発明で用いられ得る増粘剤の例は、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、塩、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、脂肪酸アルカノールアミド、シリカ、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0091】
本発明で用いられ得る希釈剤の例は、カルシウム、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、ソルビトール、炭酸カルシウム、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知のである他のものであるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明で用いられ得る溶剤の例は、アセトン、ポリエチレングリコール(PEG)、アルコール、植物油、グリセリン、オレイン酸、鉱物油、水、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知のである他のものであるが、これらに限定されない。
【0093】
本発明で用いられ得る乳化剤の例は、セチル酸、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知のである他のものであるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明で用いられる安定化剤の例は、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、ホルムアルデヒド、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知のである他のものであるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明で用いられる保存剤の例は、パラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ベンズアルコニッククロリド(benzalconic chloride)、ベンジルアルコール、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、Nipagin(登録商標)(メチルパラベン)、Nipazol(登録商標)(プロピルパラベン)、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明で用いられる着色剤の例は、カラメル、酸化鉄、D&CオレンジNo.5、FD&CイエローNo.6、酸化チタン、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0097】
本発明で用いられる調味剤の例は、植物油または香料、メタノール、バニラ、アスパルテーム、デキストロース、マンニトール、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明の薬用化粧品製剤はさらに、太陽光防御剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、ビタミン剤、抗酸化剤、軟化剤、pH調整剤、それらの組合せ、およびその他からなる群から選択される薬用化粧品助剤をさらに含んでよい。
【0099】
本発明で用いられ得る太陽光防御剤の例は、オクトクリレン、アヴォベンゼン、オキシベンゾン(ベンゾフェノン−3)、Tinosorb(登録商標)S、オクチルパラメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、メチルベンジリデンカンファー、オクチルトリアゾン、シノキセート、ホモサラート、オクチルメトキシシンナメート、Padimato(登録商標)O、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、TEA−サリチレート、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン、およびそれらの混合物;エチルヘキシルメトキシシンナメート、アミノ安息香酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、ジガロイルトリオレエート、ジエタノールアミン、メトキシシンナメート、ジオキシベンゾン、エチル−4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジェニルアクリレート、ホモサレート、グリセリルアミノベンゾエート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、エチルヘキシルサリチレート、Padimato(登録商標)A、エチルヘキシルメトキシシンナメート(Uvinul(登録商標) MC 80)、アミノ安息香酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0100】
本発明で用いられ得る芳香剤の例は、植物油、または香料、メントール、バニラ、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知である他のものがあるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明で用いられ得る抗菌剤の例は、パラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ベンズアルコニッククロリド、ベンジルアルコール、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、Nipagin(登録商標)、Nipazol(登録商標)、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものがあるが、これらに限定されない。
【0102】
本発明に用いられ得る防虫剤の例は、シトロネラル、ゲラニオール、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知の他のものがあるが、これらに限定されない。
【0103】
本発明に用いられ得るビタミン剤の例は、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、それらの組合せ、および当業者にとって一般的に既知である他のものであり、これらに限定されない。
【0104】
本発明に用いられ得る抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、モノチオグリセロール、プロピルガラート(propylgalate)、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明に用いられ得る軟化剤の例は、Luvitol(登録商標)、トリグリセリド、植物油、グリコサミノグリカン、加水分解されたタンパク質、酢酸トコフェロール、パントテン酸、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明に用いられ得るpH調整剤の例は、クエン酸、酢酸、硝酸、アンモニア溶液、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、メタリン酸カリウム、酢酸ナトリウム、それらの組合せ、および当業者に一般的に既知である他のものであるが、これらに限定されない。
【0107】
本発明の製剤中に存在する前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、分散系、エマルション、ペースト、粉末、溶液、クリーム、コロイド、ゲル、オイル、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、マクロスフィア、ミクロスフィア、ナノスフィア、リポソーム、オレオソーム、キロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロスポンジ、ミクロスポンジ、ナノスポンジ、およびその他に含まれるか、または有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイトおよび他の有機もしくは無機担体に吸着されることが見出される。
【0108】
本発明の薬用化粧品製剤は、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、マクロスフィア、ミクロスフィア、ナノスフィア、リポソーム、オレオソーム、キロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロスポンジ、ミクロスポンジ、ナノスポンジ、およびその他に含まれるか、または有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイトおよび他の有機もしくは無機担体に吸着されることが見出されるか、または分散系、エマルション、ペースト、粉末、溶液、クリーム、コロイド、セラム(serum)、ゲル、オイル、クリーム−ゲル、オイル−ゲル、ローション、下地、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、ミルク、懸濁液、泡、スプレー、ロールオン、スティック、口紅、パッチおよびその他の形態で見出される。
【0109】
本発明の他の実施形態は、皮膚疾患および障害を予防するための薬用化粧品製剤の製造における1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の使用であり、これは以下の主構造を示す:
【化27】

【0110】
特定の実施形態において、本発明の製剤の製造において上記で使用される前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は式Iを示す:
【化28】

【0111】
式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トルフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アサビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より独立して選択され、言及した置換基は、置換された置換基、または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはそれを示す。
【0112】
さらに特定の実施形態において、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物は、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメプラジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルペラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される。好ましくは、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物はトリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)およびチオリダジン(TR)である。
【0113】
本発明の特徴は、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が安定化カチオンラジカルの形態で見出されることである。別の特徴は、1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物がモノマー形態およびポリマー形態、特にプレミセル凝集体および/またはミセルの形態で見出されることである。
【0114】
本発明の他の実施形態は、皮膚疾患および障害を予防する方法であり、これは本発明の薬用化粧品製剤を個体に投与することに本質がある。特定の実施形態において、前記投与は局所的投与であり、前記皮膚障害は老化、しわ、皮膚発疹、乾燥、酸化、火傷、紅斑、皮膚病、皮膚炎、癌およびその他からなる群から選択される。
【0115】
本発明の予防的または治療的効果のある量の薬用化粧品製剤の皮膚投与により、太陽光および/または人工的日焼けシステムへの皮膚の曝露の前および/またはその間に、前記皮膚疾患/障害の発生を予防および回避する。
【0116】
本発明によりもたらされる利益の中で、以下の点が強調されるが、これらに限定されない:
(i)電磁放射スペクトルA、BおよびCの広範囲のUV光吸収;
(ii)長期間の照射の間、維持される安定性、これはUV線のほとんど入射時間において日中の太陽光曝露に期待されるよりもはるかに優れた期間である;
(iii)エネルギー遷移の機構による低いクァンティック(quantic)率の一重項酸素の発生;
(iv)製剤の他の成分との会合(association)を可能にする低い反応性;
(v)効率を増加し得る種々の化学誘導体の使用および取得のための低い相対コスト;および
(vi)皮膚pH(約5.5)での光防御の高い有効性。
【0117】
本発明により開示される医薬化粧品製剤のいくつかの説明的な例は、ここで開示される新しい製剤について各々得られる結果と同様に以下に示される。以下に列記した例は、限定的ではなく説明的に提供される。
例:
例1:
320〜360nmの波長でのUV光の透過率を分析するため、2.0mg/cmのフェノチアジンTR、TFPおよびFPの溶液を水晶板において用いた。
【0118】
観察され得る通り、これらの状態において、TR、TFPおよびFPはほぼ100%のUV光入射の通過を遮断する(図1)。この評価はもっとも適切に選出されたオーストラリア法(Perassinoto, N. L., Journal In Comesto, VII Ed., 2006)に基づき得られたが、これは吸収のUVA領域のεを考慮するためである。他の方法は320nmおよび360nmの吸収率に基づいており、偽陰性結果を生じ得る。オーストラリア法によれば、UVA光入射の90%を遮断する化合物が優れた日焼け止めであろう。本発明の前記カチオンラジカルのフェノチアジンの場合、遮断は99.99%である。
【0119】
例2:
本発明のフェノチアジン由来の化合物TR(グラフA、図2)およびTFP(グラフB、図2)の濃度がモデルタンパク質(シトクロームcのメチオニン80)の光酸化に与える影響を分析し、これはソーレー帯の青色方向への偏向の程度によって評価した。
【0120】
AおよびB中の白丸は、温度25℃、pH4で254nmのUV光の下で2時間照射した後、タンパク質に生じた損傷を示す。非常に低い濃度で、薬剤TR(グラフA)はわずかな保護をもたらしたが、これはカチオンラジカルの発生と吸収された光量との間に不均衡があり、これは保護につながる光吸収に助力することを意味する。
【0121】
最高25μMまでのTR(グラフA)および最高10μMまでのFP(グラフB)の薬剤濃度の増加は、発生するカチオンラジカルの量が、光の吸収により促進されるであろう保護に取って代わることを示唆する。しかしながら、これらの濃度値以上では、タンパク質に生ずる損傷は、薬剤濃度の増加により減少し、UV光により生じる損傷からタンパク質を保護し始める。
【0122】
例3
溶媒pHがシトクロームcのメチオニン80の酸化初速度に与える影響を120分間、TR、TFPおよびFPの安定化したカチオンラジカルの非存在下および存在下で、254nmのUV光で分析した(図3)。TR、TFPおよびFPの安定化カチオンラジカルの存在下、pH4.0では濃度範囲5〜2500μM、およびpH範囲3.0〜7.0では濃度範囲25〜2500μMを用いた。
【0123】
フェノチアジンの安定化カチオンラジカルの非存在下、pH=4.0で照射によって、青色方向への転位初速度0.42ms−1で409から406nmへのソーレー帯の転位が促進された。
【0124】
濃度5〜25μMのフェノチアジンの安定化カチオンラジカルの存在下、pH=4.0で照射によってシトクロームcへの損傷が増加し、且つ加速した(405nmのソーレー帯および青色方向への転位初速度0.6ms−1)。
【0125】
濃度25〜2500μMのフェノチアジンの安定化カチオンラジカルの存在下で、pH4.0で照射によりUV光の効果からシトクロームcを保護した(407nmのソーレー帯および青色方向への転位初速度0.23ms−1、TR2500μM)。
【0126】
特に、TR25μMの安定化カチオンラジカルにより、5.0〜3.0のpH範囲でこの濃度が次第にシトクロームcへの損傷を増加し、一方、5.0〜7.0のpH範囲ではシトクロームcをわずかに保護したことが観察された。
【0127】
図3から、最大損傷容量の濃度でさえも、pH4.8を超えると保護の傾向があることが観察される。皮膚のpHが5.5であることを考慮すると、高い濃度(約500μM〜約2500μM)の薬剤と皮膚のpHとを組合せることにより高いレベルの保護が達成され得る。
【0128】
例4
シトクロ−ムc 3μMとTR 25μMとを含む試料を4WのUVランプから4cmでキュベットにおいて、35℃、pH=4.0、5mMリン酸緩衝液中、254nmで照射した。シトクロームcとフェノチアジンのスペクトルは、照射前(図4の細い実線)と照射の60分後および120分後(それぞれ図4の点線および太い実線)得られた。曲線で示されたスペクトルは、示された同じ時点で検出された重なったフェノチアジンのスペクトル変化に相当する。
【0129】
照射前(時間ゼロ)、フェノチアジンの存在下のシトクロームcのスペクトルは天然のシトクロームcのFe(III)低スピン状態に典型的であった(図4の太い実線)。この結果は、フェノチアジンがシトクロームcの構造およびヘム鉄のスピン状態に有意な変化を誘起しないことを示した。
【0130】
照射後、H4.0で2つの現象が同時に起こった:シトクロームcの青色方向への転位とソーレー帯の転位、および対応するスルホキシド誘導体へのフェノチアジンの変換(図4)。同様の結果がFPおよびTFPについても得られた。
【0131】
実験室データは、以下に示す通り、フェノチアジンTR、FPおよびTFPが、それらのカチオンラジカル誘導体を安定化させるプレミセル凝集体およびミセルを形成したことを実証した。前記カチオンラジカルは、615nm(TR)および520nm(FPおよびTFP)に吸収帯を示す。
【0132】
フェノチアジンTR、FPおよびTFP(Sigma Chemical Co.)を得て、水溶液を脱イオン水により調製した。凝集したフェノチアジン(プレミセルおよび/またはミセルの)溶液を、適切な緩衝液中で攪拌下、37℃で界面活性剤の溶解により調製した。
【0133】
フェノチアジンのモノマーおよび凝集形態の試料を、緩衝酸性溶媒(pH約4.0から約6.0)中、1、5、10、15、20および25日の期間、20分間、254nmまたは365nmでUVランプ(4W)に提示した。フェノチアジン(>100μM)のカチオンラジカルの凝集形態の質量分析によって、有意な濃度の酸化誘導体が20日および25日間照射した試料中にのみ存在することが実証された。対照的に、フェノチアジンのカチオンラジカルのモノマー形態は照射20分後に完全に酸化形態に変換した。したがって、おそらくフェニルチアジン部分のデパッキング(de packing)のため、カチオンラジカルの凝集形態の三重項励起状態が安定化したカチオンラジカルを形成できることを結論付けることができた。この結果により、それらの凝集形態におけるフェノチアジンのカチオンラジカルの安定化が実証された。
【0134】
例5
例4に記載された実験が、種々の濃度のフェノチアジンについて繰り返された。ソーレー帯の青色方向への転位初速度は、フェノチアジンの濃度について規定された。
【0135】
シトクロームcの照射は、120分間、pH=4.0、4WのUVランプの下で行われ、これにより0.42ms−1の初速度で409nmから406nmへのソーレー帯の青色方向への転位がもたらされた(白丸、図5)。
【0136】
5μM TRの存在下、青色方向への転位速度で別々の還元が観察された。5μMを超え、最高25μMまでの濃度のTRは、シトクロームcへの損傷を増加し且つ加速した(405nmのソーレー帯および青色方向への転位初速度0.6ms−1、これはTR 25μMの存在下得られた−図5。)
25μMを超える濃度では、TRの濃度増加により、次第にシトクロームcがUV光の効果から保護された(407 nmのソーレー帯および青色方向への転位初速度0.23ms−1、これはTR 2500μMの存在下得られた)。
したがってTRは、高濃度でシトクロームcのソーレー帯の青色方向への転位をほぼ約50%の初速度で還元し、これはUV光により促進された。
例6
シトクローム3μMの照射は、pH変動範囲3.0〜7.0で行われた。このpH範囲で、フェノチアジンは、そのpKaが8.1であるため大部分プロトン化したままであった。当該実験条件で、シトクロームcは409nmのソーレー帯を呈し、これは4.0〜7.0のpH範囲で天然の低スピン状態を示す。pH=4.0未満では、当該実験条件で照射前に、シトクロームcは406nmのソーレー帯を示し、これはより構造化されていない状態への転移を示す。前記pH範囲において、120分のUV照射の後、ソーレー帯の青色方向への転位初速度が、TRの存在下および非存在下で決定された(図6)。
【0137】
5.0〜7.0のpH範囲で、TR 25μMは、ソーレー帯の青色方向への転位速度のわずかな減少を促進した。pH=4.0では、TRは青色方向への転位初速度をほぼ50%増加させた。pH=3.0では、前記増加は250%に達した。この結果は、pH範囲5.0〜7.0で、TRの存在によりシトクロームcの光吸収によるUV光損傷が予防されることを示した。しかしながら、UV光吸収はTRのカチオンラジカルを発生させ、これはシトクロームcのメチオニン80における酸化損傷を促進することも可能である。
【0138】
したがって、シトクロームcへの損傷はUV光によって促進され、これは同じ強度でTRのカチオンラジカルにより促進される損傷により置換された。pH5.0未満では、シトクロームcの構造中でpHにより促進される変化に加え、損傷に助力するカチオンラジカルの収量の増加が予想された。
【0139】
シトクロームcの天然形態から「融合したグロビュール(fused globule)」構造への転移は、メチオニン80の酸化を大幅に増幅させ、これはUV光によって促進されたフェノチアジンにより促進された。
【0140】
フェノチアジンの存在下、pH=8.0でのシトクロームcの照射により、UV光により促進される酸化損傷からのタンパク質の完全な保護がもたらされる。さらに、少量の還元形態のタンパク質が検出された(図7)。
pH=8.0を超えると、フェノチアジンは低い溶解度を示し、むしろこれらの条件で研究を行うことを困難にする。
【0141】
例7:
薬用化粧品製剤の取得:
対応するカチオンラジカルの形成および安定化のため、フェノチアジンを本発明の方法および製剤において用いることは、事前に合成された原料化合物により行われ、商業的供給者から得られる。
【0142】
新規な構造の場合、これらはここで開示される情報に従って合成されるべきであり、好ましくは、これは出発化合物として置換されたアニリンの使用による。
【0143】
クリームLanette(登録商標) N(硫酸アルキルナトリウムによるポリオキシエチレンアルコールの自動乳化剤(auto emulsionant)のアニオン性ワックス)を、薬理技術的に調製し、水相成分(グリセリン、Nipagim(登録商標)、EDTA ナトリウム非含有の(dissodic)蒸留水)と油相(Lanette(登録商標)N、シリコンオイル、Cetiol(登録商標)V、NipazolおよびBHT)とをビーカー中、別々に秤量した。それを温度70℃まで加熱した。フェノチアジンの安定化カチオンラジカルを含む水相を、エマルションが形成されるまで連続的攪拌および冷却下、油相に注いだ。
【0144】
例8:
UV光透過の範囲を検証するため、薬剤2.0mg/cmの溶液について、320〜360nmの波長範囲で水晶板において分析的検査をした(図7)。
【0145】
これらの条件で、フェノチアジン中心(PHT)は、UV光入射のほぼ100%の通過を遮断した。
【0146】
この評価はオーストラリア法(Perassinoto, N. L.; Journal In Comesto; VII edition; p. 06; 2006)に基づいて行われ、UVA領域の吸収のεを考慮したため、これは最も適切に選定された。他の方法によると、360および320nmの吸収率に基づき偽陰性の結果を生じ得る。オーストラリア法に従うと、UVA光入射の90%を遮断する化合物が良好な日焼け止めだろう。
【0147】
前記分析的な検査によれば、フェノチアジン中心が置換されているかまたは非置換であるかを結論付けることが可能であり、これは本発明に従って十分かつ非常に満足のいく所望の光防御を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物のカチオンラジカルの安定化方法であって、前記化合物は以下の主構造を示し:
【化1】

まず出発化合物のベンゼンチオールおよび置換または非置換のアニリンを当該アニリンまたはベンゼンチオール試薬、硫黄、ヨウ素および溶媒と、高温の反応条件下、混合し、次に当該フェノチアジン化合物を光化学的または化学的にカチオンラジカルに変形し、続いて一重項酸素の有意な産生および当該化合物の光分解なしに凝集状態またはミセルで、緩やかな条件下でそれを安定化する安定化方法。
【請求項2】
請求項1に従う方法であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が式Iを示す方法:
【化2】

式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRが独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トリフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アサビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より独立して選択され、言及した置換基は、置換された置換基または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはそれを示す。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記1以上のフェノチアジン化合物はまたその誘導化合物が、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメパルジン、プロピオマジン、トリフルオロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トリフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルペラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記光化学的または化学的プロセスがUV照射または酸化剤またはペルオキシダーゼ酵素の使用からなる方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、前記緩やかな安定化条件が、そのpHが4.0〜8.0である溶媒に関する方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、約5μMから約2.5mMの濃度で存在する方法。
【請求項7】
薬用化粧品学的に許容される賦形剤と組合せた1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物を含み、前記化合物が以下の主構造を示す薬用化粧品製剤。
【化3】

【請求項8】
請求項7に記載の製剤であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が式Iを示す製剤:
【化4】

式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トリフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アザビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より独立して選択され、言及した置換基が、置換された置換基または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはそれを示す。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメパルジン、プロピオマジン、トルフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トルフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルペラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が安定化されたカチオンラジカルの形態である薬用化粧品製剤。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、モノマーまたはポリマーの形態である薬用化粧品製剤。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物がプレミセル(pre-micellic)凝集体および/またはミセルの形態である薬用化粧品製剤。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が約5μM〜約2.5mMの濃度で存在する方法。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか1項に記載の製剤であって、製剤のpHが4.0〜8.0の方法。
【請求項15】
請求項7〜14のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記薬用化粧品学的に許容される賦形剤が、ビヒクル(vehicle)、凝着剤、錠剤崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、可溶化剤、懸濁化剤、増粘剤、希釈剤、溶剤(solvent)、乳化剤、安定化剤、保存剤、着色剤、調味剤、これらの組合せおよびその他からなる群より選択される薬用化粧品製剤。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、太陽光防御剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、ビタミン剤、抗酸化剤、軟化剤、pH調整剤、これらの組合せおよびその他からなる群より選択される薬用化粧品助剤をさらに含む薬用化粧品製剤。
【請求項17】
請求項7〜16のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、分散系、エマルション、ペースト、粉末、溶液、クリーム、コロイド、ゲル、オイル、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、マクロスフィア、ミクロスフィア、ナノスフィア、リポソーム、オレオソーム、キロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロスポンジ、ミクロスポンジ、ナノスポンジおよびその他に含まれるか、または有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイトおよび他の有機もしくは無機担体に吸着されることが見出される薬用化粧品製剤。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記薬用化粧品製剤が、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、マクロスフィア、ミクロスフィア、ナノスフィア、リポソーム、オレオソーム、キロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロスポンジ、ミクロスポンジ、ナノスポンジおよびその他に含まれるか、または有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイトおよび他の有機もしくは無機担体に吸着されることが見出されるか、または分散系、エマルション、ペースト、粉末、溶液、クリーム、コロイド、セラム(serum)、ゲル、オイル、クリーム−ゲル、オイル−ゲル、ローション、下地、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、ミルク、懸濁液、泡、スプレー、ロールオン、スティック、口紅、パッチおよびその他の形態で見出される薬用化粧品製剤。
【請求項19】
請求項7〜18のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記薬用化粧品製剤が皮膚疾患および障害の予防に用いられる薬用化粧品製剤。
【請求項20】
請求項7〜19のいずれか1項に記載の薬用化粧品製剤であって、前記皮膚疾患および障害が老化、しわ、皮膚発疹、乾燥、酸化、火傷、紅斑、皮膚病、皮膚炎、癌およびその他からなる群から選択される薬用化粧品製剤。
【請求項21】
皮膚疾患および障害の予防のための薬用化粧品製剤の製造における1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物の使用であって、前記化合物が以下の主構造を示す使用。
【化5】

【請求項22】
請求項21に記載の使用であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が式Iを示す使用:
【化6】

式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アミン、アミノ、ケトン、ピペラジン、トリフルオロメチル、スルファニル、ピペリジン、スルフィニル、アサビサイクル、ピロリジン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、スルフィドリル、アミド、ニトロ、シアノおよびアシルからなる群より選択され、言及した置換基は、置換された置換基または非置換の飽和もしくは不飽和および/または環状もしくは開鎖であり、および/またはそれを示す。
【請求項23】
請求項21または22に記載の使用であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメパルジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トルフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルぺラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される使用。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項に記載の使用であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、フェノチアジン、クロルプロマジン、プロマジン、トリメパルジン、プロピオマジン、トリフルプロマジン、エトプロパジン、プロメタジン、トルフルオペラジン(TFP)、フルフェナジン(FP)、プロクロルペラジン、ペルフェナジン、チエチルぺラジン、アセトフェナジン、カルフェナジン、チオリダジン(TR)、メソリダジン、メキタジンおよびメトジラジンからなる群より選択される使用。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項に記載の使用であって、前記1以上のフェノチアジン化合物またはその誘導化合物が、安定化したカチオンラジカルの形態である使用。
【請求項26】
請求項7〜20の何れか1項に規定される薬用化粧品製剤を個体に投与することに本質がある皮膚疾患および障害を予防する方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記投与が局所的投与である方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、前記皮膚疾患および障害が、老化、しわ、皮膚発疹、乾燥、酸化、火傷、紅斑、皮膚病、皮膚炎、癌およびその他からなる群より選択される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−519963(P2011−519963A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508774(P2011−508774)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/BR2009/000126
【国際公開番号】WO2009/137900
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(504362008)
【出願人】(510299189)
【氏名又は名称原語表記】ORGANIZACAO MOGIANA DE EDUCACAO E CULTURA SOCIEDADE SIMPLES LTDA.
【住所又は居所原語表記】Av. Dr. Candido Xavier de Almeida Souza 200, Centro, Mogi das Cruzes−SP, Brazil
【Fターム(参考)】