説明

フェノールとメチルエチルケトンの製造方法

フェノールとメチルエチルケトンの製造方法は、アルキル化条件下及びMCM-22ファミリーの少なくとも1種のモレキュラーシーブを含むアルキル化触媒の存在下でベンゼンとC4アルキル化剤を接触させて、sec-ブチルベンゼンを含むアルキル化流出物を生成する工程(ここで、接触工程を複数の反応ゾーン内で行い、かつ反応ゾーンのそれぞれにC4アルキル化剤を供給する)を含む。sec-ブチルベンゼンフラクションはアルキル化流出物から回収され、かつ少なくとも95wt%のsec-ブチルベンゼン、100wt ppm未満のC8+オレフィン、及び0.5wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンを含む。次に、前記sec-ブチルベンゼンフラクションを酸化してsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドを生成し、該ヒドロペルオキシドを分解してフェノールとメチルエチルケトンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔分野〕
本発明は、フェノールとメチルエチルケトンの同時製造方法に関する。
【0002】
〔背景〕
フェノールとメチルエチルケトンは化学業界で重要な製品である。例えば、フェノールはフェノール樹脂、ビスフェノールA、ε-カプロラクタム、アジピン酸、アルキルフェノール、及び可塑剤の製造で有用であり、一方ラッカー、溶媒として、かつ潤滑油の脱ろうのため、メチルエチルケトンを使用できる。
メチルエチルケトンの最も一般的な製造経路はsec-ブチルアルコール(SBA)の脱水素により、このアルコールはブテンの酸触媒水和によって製造される。例えば、ブチレンと硫酸の反応による商業規模のSBA製造は長い間気/液抽出によって達成されてきた。
現在、フェノールの最も一般的な製造経路はホック(Hock)法である。これは3工程法であり、第1工程はクメンを生成するためのプロピレンによるベンゼンのアルキル化後、該クメンの対応ヒドロペルオキシドへの酸化、次いで等モル量のフェノールとアセトンを生成するための該ヒドロペルオキシドの分解を含む。しかし、フェノールに対する世界的需要がアセトンに対する需要より急速に増加している。さらに、ブテンのコストに対してプロピレンのコストは、プロピレンの発達する不足のため高くなりそうである。従って、プロピレンの代わりにブテンを使用し、かつアセトンではなくメチルエチルケトンを同時製造する方法は、フェノール製造の魅力的な代替経路であろう。
【0003】
ホック法の変形でフェノールとメチルエチルケトンを同時製造できることは公知であり、この方法では、sec-ブチルベンゼンを酸化してsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドを得、このぺルオキシドを所望のフェノールとメチルエチルケトンに分解する。該方法の概要は、1977年12月にスタンフォード研究所で公表された表題「フェノール」のProcess Economics Report No. 22Bの113〜421ページ及び261〜263ページに記載されている。
ベンゼンを酸触媒上、n-ブテンでアルキル化することによってsec-ブチルベンゼンを製造できる。この化学はエチルベンゼンとクメンの製造に非常に似ている。しかし、アルキル化剤の炭素数が増えると、生成物の異性体数も増える。例えば、エチルベンゼンは1つの異性体を有し、プロピルベンゼンは2つの異性体(クメンとn-プロピルベンゼン)を有し、ブチルベンゼンは4つの異性体(n-、イソ-、sec-、及びt-ブチルベンゼン)を有する。sec-ブチルベンゼンの製造では、n-、イソ-、t-ブチルベンゼン、及びフェニルブテン副生物の形成を最小限にすることが重要である。これらの副生物、特にイソ-ブチルベンゼンはsec-ブチルベンゼンと非常に近い沸点を有するので、蒸留でsec-ブチルベンゼンから分離することは困難である(下表参照)。
【0004】

【0005】
さらに、イソ-ブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンは、メチルエチルケトンとフェノールの製造に必要な次工程であるsec-ブチルベンゼンの対応ヒドロペルオキシドへの酸化に対するインヒビターであることが分かっている。従って、アルキル化プロセスのsec-ブチルベンゼン選択性を最大にすることが重要である。
純粋なn-ブテン供給原料を使用することによって、イソブチルベンゼン及びtert-ブチルベンゼン等の副生物を最小限にすることができるが、商業的生産では、ラフィネート-2等のより経済的なブテン供給原料を使用することが望ましい。典型的なラフィネート-2は、0〜1%のブタジエンと0〜5%のイソブテンを含有する。この供給原料中のイソブテンが多いと、より多くの副生物が生じると予想されるので、該プロセスのsec-ブチルベンゼン選択性の重要性がさらに増す。
さらに、今やsec-ブチルベンゼンの酸化は、ブテンが酸触媒の存在下でベンゼンと接触する場合にアルキル化と競合するオリゴマー化反応の結果として生成されやすい高級(C8+)オレフィンの存在にも非常に敏感であることが分かった。さらに、ある種のこれらブテンオリゴマー、特にある種のC12オリゴマーはsec-ブチルベンゼンと非常に近い沸点を有するので、アルキル化流出物からこれらを蒸留で分離することは困難である。
本発明は、ベンゼンとC4アルキル化剤、例えばラフィネート-2から出発して、sec-ブチルベンゼンを製造するための中間の選択的アルキル化プロセスを経て進行するフェノールとメチルエチルケトンの同時製造の最適化方法を提供することを探求する。
【0006】
米国特許第4,891,458号は、少なくとも部分的に液相条件下及びゼオライトβを含む触媒の存在下で化学量論的に過剰の芳香族炭化水素をC2〜C4オレフィンと接触させる工程を含む、芳香族炭化水素のアルキル化方法を開示している。さらに、例えば、米国特許第4,992,606号から、MCM-22が約0℃〜約500℃、好ましくは約50℃〜250℃という広い範囲の温度にわたって、ベンゼン等の芳香族化合物の、アルキル化剤、例えば1〜5個の炭素原子を有するオレフィンによるアルキル化に有効な触媒であることが分かる。同様の開示が米国特許第5,371,310号及び第5,557,024号に含まれているが、ゼオライトはそれぞれMCM-49及びMCM-56である。
2005年8月5日に出願した我々の国際出願PCT/EP2005/008557号では、フェノールとメチルエチルケトンの統合された製造方法を開示している。この方法は、(a)ベンゼンとC4アルキル化剤を含む供給原料を、アルキル化条件下、ゼオライトβ又はMCM-22ファミリーのゼオライトを含む触媒と接触させて、sec-ブチルベンゼンを含むアルキル化流出物を生成する工程;(b)前記sec-ブチルベンゼンを酸化してヒドロペルオキシドを生成する工程;及び次に(c)前記ヒドロペルオキシドを分解してフェノールとメチルエチルケトンを生成する工程を含む。前記C4アルキル化剤は混合ブテン供給原料、例えばラフィネート-1又はラフィネート-2でよい。
【0007】
〔概要〕
一局面では、本発明はフェノールとメチルエチルケトンの製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法に属する:
(a)アルキル化条件下及びMCM-22ファミリーの少なくとも1種のモレキュラーシーブを含むアルキル化触媒の存在下でベンゼンとC4アルキル化剤を接触させて、sec-ブチルベンゼンを含むアルキル化流出物を生成する工程(ここで、前記接触工程を複数の反応ゾーン内で行い、かつ前記反応ゾーンのそれぞれに前記C4アルキル化剤を供給する);
(b)前記アルキル化流出物からsec-ブチルベンゼンフラクションを回収する工程(前記フラクションは少なくとも95wt%のsec-ブチルベンゼン、100wt ppm未満のC8+オレフィン、及び0.5wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンを含む);
(c)工程(b)で回収したsec-ブチルベンゼンを酸化してヒドロペルオキシドを生成する工程;及び
(d)工程(c)のヒドロペルオキシドを分解してフェノールとメチルエチルケトンを生成する工程。
好ましくは、工程(b)で回収されるフラクションは、少なくとも97wt%のsec-ブチルベンゼン、50wt ppm未満のC8+オレフィン、0.1wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンを含む。
一実施形態では、前記アルキル化流出物から、該流出物の化学的前処理なしで直接前記sec-ブチルベンゼンフラクションを回収する。
別の実施形態では、前記sec-ブチルベンゼンフラクションの回収前に化学的処理に前記アルキル化流出物を供する。好ましくは、化学的処理は、オレフィンのオリゴマー化、選択的還元、選択的酸化、エステル化、及びオレフィンへのヘテロ原子の付加、又はその組合せを含む。
【0008】
好都合には、モレキュラーシーブは12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07及び3.42±0.07Åにd-間隔最大を含むX線回折パターンを有する。例えば、モレキュラーシーブは、MCM-22、PSH-3、SSZ-25、ERB-1、ITQ-1、ITQ-2、MCM-36、MCM-49、MCM-56、UZM-8、及びその混合物から選択される。好ましくは、モレキュラーシーブは、MCM-22、MCM-49、MCM-56及びそのイソ型から選択され、なおさらに好ましくは、MCM-49、MCM-56及びそのイソ型から選択される。
好ましくは、C4アルキル化剤は線状ブテン、例えば1-ブテン及び/又は2-ブテンを含む。一実施形態では、前記線状ブテンは混合C4ストリーム、例えばラフィネート-2ストリーム内に含まれる。
好都合には、前記アルキル化条件は、約60℃〜約260℃の温度、7000kPa以下の圧力、約0.1〜50時間-1のC4アルキル化剤に対する供給原料の重量毎時空間速度(weight hourly space velocity)(WHSV)、及び約1〜約50、好ましくは約2〜約10、さらに好ましくは約4〜約9の、ブテンに対するベンゼンのモル比をも含む。
一実施形態では、少なくとも部分的に液相条件下で前記接触工程(a)を行う。
別の実施形態では、工程(a)で生成される前記アルキル化流出物がポリブチルベンゼンを含み、かつ該プロセスは、トランスアルキル化触媒の存在下で前記ポリブチルベンゼンをベンゼンと接触させてsec-ブチルベンゼンを生成する工程をさらに含む。好都合には、トランスアルキル化触媒は、ゼオライトβ、モルデン沸石、USY、MCM-22、PSH-3、SSZ-25、ERB-1、ITQ-1、ITQ-2、MCM-36、MCM-49、MCM-56、UZM-8、及びその混合物から選択されるモレキュラーシーブを含む。
【0009】
好都合には、以下のような触媒の存在下で酸化工程(c)を行う:例えば、(i)マンガンを含むオキソ(ヒドロキソ)架橋四核金属錯体、(ii)混合金属コアを有するオキソ(ヒドロキソ)架橋四核金属錯体(前記コアの1つの金属は、Zn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn及びその混合物から選択される二価金属であり、かつ別の金属は、In、Fe、Mn、Ga、Al及びその混合物から選択される三価金属である)、(iii)単独又はフリーラジカルイニシエーターの存在下のN-ヒドロキシ置換環状イミド、及び(iv)N,N'、N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸から選択される触媒。一実施形態では、酸化触媒は不均一触媒である。
好都合には、約70℃〜約200℃の温度及び約50〜約1000kPa(約0.5〜約10気圧)の圧力で酸化工程(c)を行う。
好都合には、触媒の存在下で分解工程(d)を行う。触媒は均一又は不均一触媒でよい。一実施形態では、触媒は硫酸のような均一触媒である。
好都合には、約40℃〜約120℃の温度、約100〜約2500kPaの圧力、及び約0.1〜約100時間-1のヒドロペルオキシドに対する液体毎時空間速度(liquid hourly space velocity)(LHSV)で分解工程(d)を行う。
本明細書では、用語C8+オレフィンは、8個以上の炭素原子を含有するいずれのオレフィンをも意味する。
【0010】
〔実施形態の詳細な説明〕
本発明は、ベンゼンを線状ブテン等のC4アルキル化剤でアルキル化することによってsec-ブチルベンゼンを生成してから、該アルキル化流出物から回収されるsec-ブチルベンゼンをフェノールとメチルエチルケトンに変換する方法に関する。この変換は、最初にsec-ブチルベンゼンを酸化して対応ヒドロペルオキシドを生成してから結果のヒドロペルオキシドを分解して所望のフェノールとメチルエチルケトンを生成する工程を含む。
特に、本発明は、sec-ブチルベンゼンを対応ヒドロペルオキシドに変換するための酸化工程が、アルキル化流出物から回収されるsec-ブチルベンゼンフラクション中のC8+オレフィンの存在に非常に敏感であるという発見に基づいている。さらに、ある種のこれらC8+オレフィンはsec-ブチルベンゼンの沸点に非常に近い沸点を有するので、sec-ブチルベンゼンフラクションから蒸留では容易に分離できない。従って、本発明は、アルキル化流出物から回収されるsec-ブチルベンゼンフラクション中のC8+オレフィンのレベルが100wt ppm未満、好ましくは50wt ppm未満であるように、アルキル化プロセスを制御するか又はsec-ブチルベンゼンフラクションを化学的に処理することによって、この問題を未然に防ぐか又は減らすことを探求する。
【0011】
〔ベンゼンのアルキル化〕
sec-ブチルベンゼンを生成するためのアルキル化工程で使用するベンゼンは、いずれの市販のベンゼン供給原料でもよいが、好ましくは該ベンゼンは少なくとも99wt%、さらに好ましくは少なくとも99.8wt%の純度レベルを有する。ベンゼン供給原料中で典型的に見られる不純物のうち、窒素化合物の濃度を25wt ppm未満、さらに好ましくは0.1wt ppm未満に維持し、かつイオウ化合物の濃度を100wt ppm未満、好ましくは2wt ppm未満に維持することが好ましい。必要な場合、粘土処理するか又はモレキュラーシーブ若しくは他の吸着床に通すことによって、窒素及びイオウのレベルを下げることができる。ベンゼン中の水レベルも低く、例えば1000wt ppm未満、好ましくは100wt ppm未満に維持すべきである。必要な場合、蒸留によって、又はベンゼンをモレキュラーシーブ乾燥器に通すことによって水レベルを下げることができる。
アルキル化剤は、ベンゼンと反応できる1つ以上の利用できるアルキル化脂肪族基を有し、かつ4個の炭素原子を有するいずれの脂肪族又は芳香族有機化合物でもよい。好適なC4アルキル化剤の例として、モノオレフィン、例えば線状ブテン、特にブテン-1及び/又はブテン-2;アルコール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含む)、例えばブタノール;ジアルキルエーテル、例えばジブチルエーテル;及びハロゲン化アルキル、例えば塩化ブチルが挙げられる。
アルキル化剤は、エタン、プロパン、ブタン、LPG及び軽質ナフサの水蒸気分解、ナフサ及び他の精油所供給原料の接触分解によって並びにメタノールのような酸素添加物の低級オレフィンへの変換によって得られるようなオレフィン性C4炭化水素混合物でもよい。
例えば、水蒸気分解を利用してオレフィンを生成するいずれの精油所でも以下のC4炭化水素混合物が一般的に利用できる:粗製水蒸気分解ブテンストリーム、ラフィネート-1(粗製水蒸気分解ブテンストリームからブタジエンを除去するための溶媒抽出又は水素化後に残存する生成物)及びラフィネート-2(粗製水蒸気分解ブテンストリームからブタジエンとイソブテンを除去後に残存する生成物)。一般に、これらのストリームは下表Aに示される質量範囲内の組成を有する。
【0012】
表A

【0013】
ナフサ及び他の精油所供給原料の接触分解によって得られる当該ストリームのような他の精油所混合C4ストリームは、典型的に以下の組成を有する:
プロピレン −0〜2wt%
プロパン −0〜2wt%
ブタジエン −0〜5wt%
ブテン-1 −5〜20wt%
ブテン-2 −10〜50wt%
イソブテン −5〜25wt%
イソ-ブタン −10〜45wt%
N-ブタン −5〜25wt%
【0014】
メタノールのような酸素添加物の低級オレフィンへの変換から得られるC4炭化水素フラクションは、さらに典型的に以下の組成を有する:
プロピレン −0〜1wt%
プロパン −0〜0.5wt%
ブタジエン −0〜1wt%
ブテン-1 −10〜40wt%
ブテン-2 −50〜85wt%
イソブテン −0〜10wt%
N-ブタン+イソ-ブタン−0〜10wt%
【0015】
上記C4炭化水素混合物のいずれの1つ又はいずれの混合物も本発明の方法で使用できる。線状ブテン及びブタンに加え、これらの混合物は典型的にイソブテン及びブタジエン等の成分を含み、本発明の方法に有害であり得る。例えば、イソブテンとベンゼンの普通のアルキル化生成物はtert-ブチルベンゼンであり、これは上述したように、引き続く酸化工程のインヒビターとして作用する。従って、アルキル化工程前に、これらの混合物を好ましくはブタジエン除去及びイソブテン除去に供する。例えば、選択的ダイマー化又はMTBEを生成するためのメタノールとの反応によってイソブテンを除去でき、抽出又はブテン-1への選択的水素化によってブタジエンを除去できる。好ましくは、本発明の方法で使用するアルキル化剤は5モル%未満、さらに好ましくは0.5モル%未満のイソ-ブテン及び0.5モル%未満、さらに好ましくは0.1モル%未満のブタジエンを含有する。
他の炭化水素成分に加え、市販のC4炭化水素混合物は典型的に、アルキル化プロセスに有害であり得る他の不純物を含有する。例えば、精油所C4炭化水素ストリームは典型的に窒素及びイオウ不純物を含有し、酸素添加物変換プロセスによって得られるC4炭化水素ストリームは典型的に未反応酸素添加物と水を含有する。従って、アルキル化工程前に、これらの混合物を、ブタジエン除去及びイソブテン除去に加え、イオウ除去、窒素除去及び酸素添加物除去の1つ以上に供してもよい。イオウ、窒素、酸素添加不純物の除去は、好都合には、苛性処理、水洗、蒸留、モレキュラーシーブを用いる吸着及び/又は膜分離の1つ若しくは組合せによって果たされる。吸着によって典型的に水も除去される。典型的に、本発明のアルキル化プロセスで使用するC4アルキル化剤は、10wt ppm未満、好ましくは0.1wt ppm未満の窒素、100wt ppm未満、好ましくは3wt ppm未満のイオウ及び1000wt ppm未満、好ましくは100wt ppm未満の水を含有する。
好ましくないが、本発明のアルキル化工程でアルキル化剤として、アルキル化工程がクメンとsec-ブチルベンゼンの混合物を生じさせるように、上述したようなC4アルキル化剤と、C3アルキル化剤、例えばプロピレンの混合物を使用することもできる。そして、結果の混合物を酸化及び分解によって処理し、フェノールに伴って、アセトンとMEKの混合物を生じさせ得る。ここで、好ましくはアセトン:フェノールのモル比は、ビスフェノール-A製造の要求に調和させるため0.5:1である。
好都合には、本発明のアルキル化工程への全供給原料は、1000ppm未満、例えば500ppm未満、例えば100ppm未満の水を含有する。さらに、全供給原料は典型的に100ppm未満、例えば30ppm未満、例えば3ppm未満のイオウ及び10ppm未満、例えば1ppm未満、例えば0.1ppm未満の窒素を含有する。
【0016】
本発明の方法で使用するアルキル化触媒は、好ましくは触媒としてのMCM-22ファミリーのモレキュラーシーブである。本明細書では、用語「MCM-22ファミリー材料」(又は「MCM-22ファミリーの材料」又は「MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブ」)は以下の材料の1つ以上を含む:
・共通の第一度結晶構成要素である単位胞製のモレキュラーシーブ(単位胞はMWW枠組トポロジーを有する)。(単位胞は、三次元空間のタイル状で結晶構造を表すときの原子の空間配置である。該結晶構造は、“Atlas of Zeolite Framework Types”, Fifth edition, 2001で議論されており、この全内容が参考文献として組み込まれる);
・1単位胞厚、好ましくは1c-単位胞厚の単層を形成する、該MWW枠組トポロジーの単位胞の二次元タイル(tiling)である共通の第二度結晶構成要素製のモレキュラーシーブ;
・1以上の1単位胞厚の層である、共通の第二度結晶構成要素製のモレキュラーシーブ(前記1単位胞厚より厚い層は、1単位胞厚の少なくとも2つの単層を積み重ね、詰め、又は結合することによって作られる。該第二度構成要素の積み重ねは、規則様式、不規則様式、ランダム様式、又はそのいずれの組合せでもよい;及び
・MWW枠組トポロジーを有する単位胞のいずれかの規則的又はランダムな二次元又は三次元の組合せによって作られるモレキュラーシーブ。
【0017】
本発明の方法で使用するMCM-22ファミリーのモレキュラーシーブは、例えば12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07及び3.42±0.07Åにd-間隔最大を含むX線回折パターンを有する結晶性モレキュラーシーブである。材料を特徴づけるために使用するX線回折データは、入射光線として銅のK-α二重線を用いる標準的方法、並びにシンチレーションカウンター及び収集システムとして付随コンピューターを備えた回折計によって得られる。
MCM-22ファミリーの材料として、MCM-22(米国特許第4,954,325号に記載)、PSH-3(米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ-25(米国特許第4,826,667号に記載)、ERB-1(欧州特許第0293032号に記載)、ITQ-1(米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ-2(国際特許公開第WO97/17290号に記載)、MCM-36(米国特許第5,250,277号)、MCM-49(米国特許第5,236,575号に記載)、MCM-56(米国特許第5,362,697号に記載)、UZM-8(米国特許第6,756,030号に記載)、及びその混合物が挙げられる。MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブは他のブチルベンゼン異性体に比し、sec-ブチルベンゼンの製造に高度に選択性であることが分かったので、アルキル化触媒として好ましい。好ましくは、モレキュラーシーブは、(a)MCM-49、(b)MCM-56及び(c)MCM49及びMCM-56のイソ型、例えばITQ-2から選択される。
【0018】
アルキル化触媒として、非結合又は自己結合型のモレキュラーシーブが挙げられ、或いは、従来の方法で、最終アルキル化触媒が2〜80wt%のふるいを含有するように、モレキュラーシーブをオキシドバインダー、例えばアルミナと併用することもできる。
一実施形態では、触媒は結合されておらず、かつバインダーと調製した触媒の破砕強さよりずっと優れた破砕強さを有する。このような触媒は、気相結晶化法、特に気相結晶化が起こるにつれて合成混合物に使用する苛性(アルカリ金属ヒドロキシド)がゼオライト結晶中に残存するのを防止する気相結晶化法によって好都合に調製される。
効率的なアルキル化条件下、有機反応物、すなわちアルキル化できる芳香族化合物とアルキル化剤を、例えば、触媒組成物の固定床を含有する流通反応装置内又は触媒蒸留反応器内のような適切な反応ゾーン内で、アルキル化触媒と接触させるように、アルキル化プロセスを行う。典型的に、アルキル化条件が約60℃〜約260℃、例えば約100℃〜約200℃の温度、7000kPa以下、例えば約1000〜約3500kPaの圧力、約0.1〜50時間-1、例えば約1〜約10時間-1のC4アルキル化剤に対する重量毎時空間速度(WHSV)及び約1〜約50、例えば約2〜約10、好ましくは約4〜約9の、アルキル化剤に対するベンゼンのモル比を含む。好ましくは、例えば、直列に連結された複数の反応ゾーン内でアルキル化触媒を供給し、かつ複数の等しいか又は異なる一定分量ずつにアルキル化剤を分割してそれぞれ異なる反応ゾーンに供給することによって、段階的にアルキル化剤を反応に導入する。典型的に、ほとんど又はすべてのベンゼンを第1の反応ゾーンに供給する。好ましくは、4以上の反応ゾーンがある。反応温度を制御する手段として、相対的に冷たいアルキル化剤の段階的注入、及び段間熱交換器の使用が挙げられる。
反応物は気相中又は部分的若しくは完全に液相中にあり、かつ純粋でよく、すなわち他の材料による意図的な混合又は希釈がなく、或いは例えば水素又は窒素などのキャリヤーガス又は希釈剤の助けを借りて反応物をゼオライト触媒組成物と接触させてよい。好ましくは、反応物は少なくとも部分的に液相中にある。
【0019】
上記触媒及びアルキル化条件を使用すると、本発明の方法のアルキル化工程がsec-ブチルベンゼンに高度に選択性であることが分かる。特に、アルキル化流出物は通常少なくとも93wt%、好ましくは少なくとも95wt%のsec-ブチルベンゼン、0.5wt%未満、好ましくは0.05wt%未満のイソブチルベンゼン及び150wt ppm未満、例えば100wt ppm未満、例えば50wt ppm未満、好ましくは30wt ppm未満のブテンオリゴマーを含むことが分かる。
アルキル化工程はsec-ブチルベンゼンに向かって高度に選択的であるが、アルキル化反応の流出物は、一般的にいくらかのポリアルキル化生成物、並びに未反応芳香族供給原料及び所望のモノアルキル化種を含有するだろう。一般的に未反応芳香族供給原料を蒸留で回収してアルキル化反応器に再循環させる。ベンゼン蒸留の底部をさらに蒸留して、いずれのポリアルキル化生成物及び他の重量物からもモノアルキル化生成物を分離する。アルキル化反応流出物中に存在するポリアルキル化生成物の量によっては、追加のベンゼンでポリアルキル化生成物をトランスアルキル化して、所望のモノアルキル化種の生成を最大にすることが望ましいだろう。
追加のベンゼンによるトランスアルキル化は、典型的に、アルキル化反応器とは別のトランスアルキル化反応器内で適切なトランスアルキル化触媒、例えばMCM-22ファミリー、ゼオライトβ、MCM-68(米国特許第6,014,018号参照)、ゼオライトY及びモルデン沸石のモレキュラーシーブ上で達成される。MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブとして、MCM-22(米国特許第4,954,325号に記載)、PSH-3(米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ-25(米国特許第4,826,667号に記載)、ERB-1(欧州特許第0293032号に記載)、ITQ-1(米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ-2(国際特許公開第WO97/17290号に記載)、MCM-36(米国特許第5,250,277号に記載)、MCM-49(米国特許第5,236,575号に記載)、MCM-56(米国特許第5,362,697号に記載)、UZM-8(米国特許第6,756,030号に記載)、及びその混合物が挙げられる。トランスアルキル化反応は、典型的に少なくとも部分的に液相条件下で行われる。この条件には、好適には、100〜300℃の温度、1000〜7000kPaの圧力、総供給原料について1〜50時間-1の重量毎時空間速度、及び1〜10のベンゼン/ポリアルキル化ベンゼンの質量比が含まれる。
【0020】
〔sec-ブチルベンゼンの後処理〕
アルキル化/トランスアルキル化工程で生成されたsec-ブチルベンゼンは一般的に常蒸留によって回収され、結果のsec-ブチルベンゼンフラクションはそのままで次の酸化工程に供給され、或いは酸化工程に供給される前に後処理を受けて不純物レベルを下げ得る。後処理としてさらなる蒸留が挙げられるが、上述したように、イソ-ブチルベンゼン及びtert-ブチルベンゼン並びにある種のブテンオリゴマー、特にC12オレフィンはsec-ブチルベンゼンと同じか又は近い温度で沸騰する傾向があるので、蒸留では容易に除去できない。従って、初期蒸留したか又はしていないsec-ブチルベンゼンフラクションを化学的処理に供して、ブテンオリゴマーのレベルを下げることが望ましいだろう。典型的に、酸化装置に供給される処理済みフラクションは、100wt ppm未満、好ましくは50wt ppm未満、さらに好ましくは25wt ppm未満、最も好ましくは15wt ppm未満のC8+オレフィン、0.5wt%未満、好ましくは0.1wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼン及び少なくとも95wt%、好ましくは少なくとも97wt%のsec-ブチルベンゼンを含有すべきである。
アルキル化流出物中のオリゴマーレベルを下げるための1つの適切な化学的処理は約0〜約300℃の温度で鉱酸又は固体酸などの酸と前記流出物を接触させて、オリゴマーをアルコール又はエステル(例えば硫酸のエステル)に変換する工程を含む。過剰酸の中和及び、必要な場合洗浄、乾燥、及び蒸留後、流出物を酸化工程に供給することができる。
アルキル化流出物中のオリゴマーレベルを下げるための別の適切な化学的処理は、貴金属などの触媒の存在下、オリゴマーを飽和させるのに有効な条件下で流出物を水素と接触させる工程を含む。好適な条件は、約0〜約200℃の温度、約100〜約1000kPaの圧力及び約0.001〜約10の、炭化水素に対する水素のモル比が挙げられる。
アルキル化流出物中のオリゴマーレベルを下げるためのさらなる好適な化学的処理は、約20〜約300℃の温度及びイオン交換樹脂などの触媒の存在下で流出物をメタノール等のアルコールと接触させるエーテル化を含む。
上記処理プロセスの組合せ、例えば酸処理と水素化の組合せを用いて、アルキル化流出物中のブテンオリゴマーのレベルを所望レベルに下げることができる。
【0021】
〔sec-ブチルベンゼンの酸化〕
sec-ブチルベンゼンをフェノールとメチルエチルケトンに変換するため、sec-ブチルベンゼンを最初に対応ヒドロペルオキシドに酸化する。これはsec-ブチルベンゼンを含有する液相中に空気等の酸素含有気体を導入することによって達成される。クメンと異なり、触媒の非存在下でのsec-ブチルベンゼンの周囲空気酸化は非常に達成しにくい。例えば、110℃及び大気圧では、sec-ブチルベンゼンは認め得るほどには酸化されないが、クメンは同一条件下で非常によく酸化する。より高温では、sec-ブチルベンゼンの周囲空気酸化の速度が高まるが、より高温は有意レベルの望ましくない副生物をも生じさせる。
sec-ブチルベンゼンの酸化を触媒の存在下で行うことによって、反応の速度と選択性の改善を達成することができる。適切なsec-ブチルベンゼン触媒として、多座配位が、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、及び鉄から選択される少なくとも1種の金属に配位している水溶性キレート化合物が挙げられる(米国特許第4,013,725号参照)。さらに好ましくは、不均一触媒を使用する。好適な不均一触媒は、米国特許第5,183,945号(該触媒はオキソ(ヒドロキソ)架橋四核マンガン錯体である)及び米国特許第5,922,920号(該触媒は、混合金属コアを有するオキソ(ヒドロキソ)架橋四核金属錯体を含み、コアの1つの金属はZn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn及びその混合物から選択される二価金属であり、かつ別の金属は、In、Fe、Mn、Ga、Al及びその混合物から選択される三価金属である)に記載されている。前記米国特許の全開示は参照によって本明細書に取り込まれる。
sec-ブチルベンゼンの酸化工程に好適な他の触媒は米国特許第6,720,462号に記載され、かつ参照によって本明細書に取り込まれるN-ヒドロキシ置換環状イミド、例えば、例えば、N-ヒドロキシフタルイミド、4-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、3-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラブロモ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラクロロ-N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシヘチミド(hydroxyhetimide)、N-ヒドロキシヒミミド(hydroxyhimimide)、N-ヒドロキシトリメリットイミド、N-ヒドロキシベンゼン-1,2,4-トリカルボキシイミド、N,N'-ジヒドロキシ(ピロメリット酸ジイミド)、N,N'-ジヒドロキシ(ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸ジイミド)、N-ヒドロキシマレイミド、ピリジン-2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシ(酒石酸イミド)、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、エキソ-N-ヒドロキシ-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-シス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシナフタルイミドナトリウム塩又はN-ヒドロキシ-o-ベンゼンジスルホンイミドである。好ましくは、触媒はN-ヒドロキシフタルイミドである。別の好適な触媒はN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸である。
【0022】
これらの材料を単独で、又はフリーラジカルイニシエーターの存在下で使用でき、かつ液相の均一触媒として使用でき、或いは固形担体上に支持させて不均一触媒を与え得る。典型的に、N-ヒドロキシ置換環状イミド又はN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸は、sec-ブチルベンゼンの0.0001〜15wt%の量、好ましくは0.001〜5wt%の量、さらに好ましくは高が2wt%の量、なおさらに好ましくは高が0.5wt%の量で使用される。
sec-ブチルベンゼン酸化工程の好適な条件は、約70℃〜約200℃、例えば約90℃〜約130℃の温度、及び約0.5〜約10気圧(50〜1000kPa)の圧力を含む。いずれの酸素含有気体も、好ましくは空気を酸化媒体として使用できる。反応は、バッチ反応器又は連続流通反応装置内で起こり得る。塩基性の緩衝剤を添加して、酸化中に形成し得る酸性副生物と反応させることができる。さらに、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の溶解を助け得る水相を導入してよい。酸化工程における通過毎の(per-pass)転化率を好ましくは50%未満、好ましくは約10〜30%の範囲内で維持して、副生物の形成を最小限にする。
好ましい反応構成は3〜6個の反応容器を使用することであり、1つの容器から次の容器へ液体カスケードがあり、かつ各容器の底部近傍に空気を導入する。熱交換器を用いて反応の熱を除去することができる。好ましくは、反応容器を去る空気を、反応容器から放散される有機物を捕獲する、1つ以上の固体吸着剤床に向ける。これらの有機物を吸着剤床から放散させてプロセスに戻すことができる。生じたsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドは、好ましくは1つ以上のエバポレーター又はカラムを用いて大気圧より低い圧力で操作して未反応sec-ブチルベンゼン及び他の軽量成分を頭上に除去して、典型的に50〜75wt%の純度に濃縮される。
【0023】
〔ヒドロペルオキシドの分解〕
sec-ブチルベンゼンのフェノールとメチルエチルケトンへの変換の最終反応工程はsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの分解を含み、好都合には、約20℃〜約150℃、例えば約40℃〜約120℃の温度、約50〜約2500kPa、例えば約100〜約1000kPaの圧力及び約0.1〜約100時間-1、好ましくは約1〜約50時間-1のヒドロペルオキシドに基づいて液体毎時空間速度(LHSV)でヒドロペルオキシドを液相中の触媒と接触させることによって達成される。sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドは、好ましくはメチルエチルケトン、フェノール又はsec-ブチルベンゼン等の分解反応に不活性な有機溶媒で希釈され、熱除去を助ける。分解反応は、好都合には触媒蒸留装置内で行われる。
分解工程で使用する触媒は均一触媒又は不均一触媒でよい。
好適な均一分解触媒として、硫酸、過塩素酸、リン酸、塩酸及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、二酸化イオウ及び三酸化イオウも有効な均一分解触媒である。好ましい均一分解触媒は硫酸であり、0.05〜0.5wt%の範囲の濃度が好ましい。均一酸触媒では、好ましくは分解工程の後に中和工程が続く。該中和工程は、典型的に塩基性成分との接触、引き続く塩に富んだ水相のデカントを含む。
sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの分解で使うのに適した不均一触媒として米国特許第4,870,217号(全開示が参考として本明細書に組み込まれる)に記載されているようなスメクタイト粘土、例えば酸性モンモリロナイトシリカ-アルミナ粘土が挙げられる。
分解工程から得られる粗製MEK及び粗製フェノールをさらなる精製に供して精製MEK及びフェノールを生成し得る。好適な精製法として、限定するものではないが、MEKとフェノールを他の種から分離するための一連の蒸留塔が挙げられる。好ましい配列では、粗製MEKストリームを頭上に取り除いてからさらなる蒸留に供して、より重い及びより軽い成分を除去して最終MEKを生じさせる。精製MEKは種々のさらなる用途、例えば溶媒として適する。
フェノールもより重い及びより軽い種から分離される。好ましくは、カラム内、その底部で約270〜370℃の範囲の温度で操作して、重い最終物を分解する。この精製プロセス中に回収されるsec-ブチルベンゼンに富むフラクションの一部をパージストリームとして捨てて、sec-ブチルベンゼンに近接して沸騰するが、酸化工程で容易には変換しないtert-ブチルベンゼン等の成分の蓄積を減らすことができる。精製フェノールは種々の用途に適し、例えばフェノール樹脂のカプロラクタムの製造、及びポリカーボネートを製造するために使用できるビスフェノール-Aの製造が挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下の実施例は説明目的で与えたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】
〔実施例1(比較)〕
MCM-22と、1-ブテンの単工程添加によるsec-ブチルベンゼン合成
1.6mm(1/16インチ)径の円柱形に押出し成形した公称組成が80%のゼオライトと20%のVersal 300アルミナの新鮮なMCM-22触媒のサンプルを260℃で最少2時間乾燥後、試験した。固定サンプルバスケットに装填するまで予め121℃で乾燥させた不活性な8-グリットクォート粒子の2つの6.4mm(0.25インチ)層間に0.5グラムの触媒(0.4グラムのゼオライト含有)を装填した。150グラムの試薬グレードベンゼンを600-mlのバッチオートクレーブ反応器に加えた。サンプルバスケット組立品をオートクレーブ反応器に導入して密封した。バッチ反応器を排気し、かつN2で2回パージしてヘッドスペースから確実に空気を排除した。次に、バッチ反応器をN2で約1480kPa(200psig)に加圧して正確な密封と漏れがないことを保証した。圧力を約446kPa(50psig)に下げ、かつ約791kPa(100psig)のN2を用いて移動容器からバッチ反応器に25グラムの試薬グレード1-ブテンを定量的に送達した。ベンゼン:1-ブテン比は質量で6:1かつモルで4.3:1だった。
固定サンプルバスケットの中心にある垂直状態のインペラーで反応器の中身を1000rpmで混合した。プログラム可能なオートクレーブコントローラーを用いて約20分160℃に反応器を加熱して一定の勾配率(ramp rate)及び温度を維持した。温度到達後、システムにさらにN2を加えて反応器圧力を4750〜5540kPa(600〜700psig)に上げた。温度及び圧力の目標(160℃、4750〜5540kPa)に達して安定した時点から反応時間ゼロを記録した。この評価のための反応時間は5時間だった。GC分析のため1時間増分でサンプル(それぞれ1cc)を取り出した。反応時間の最後に、実験を中断し、反応器を周囲条件に冷まし、全液体生成物をGC分析のため回収した。
GCによる生成物の分析は、気相中の軽量成分の組成が液相に溶解している当該成分と同一であるという仮定を基礎とした。DB-1カラム(60M、0.25mm ID、1マイクロリットル膜厚)とFID検出器を備えたHP 6890 GCを用いて分析を行った。0.2マイクロリットルずつの生成物をカラム上に注入し、以下の温度プログラムを用いて分析を行った:2分の注入を-20℃で保持し、275℃まで8℃/分の勾配、35分間275℃で保持した。応答係数を用いてGCエリアベースデータを生成物の実際の組成に変換した。供給原料ブテンに対する未反応ブテンを測定することによってブテン転化率を決定した。実施例1の触媒の評価から得られたデータを表1に示す。
【0026】
表1. バッチ反応器におけるMCM-22と、1-ブテンの単工程添加

150gのベンゼンと25gの1-ブテンを用いて160℃、4750〜5540kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0027】
〔実施例2(比較)〕
MCM-49と、1-ブテンの単工程添加を用いるsec-ブチルベンゼン合成
実施例1の方法を繰返すが、1.6mm(1/16インチ)径の円柱形に押出し成形した公称組成が80%のゼオライトと20%のVersal 300アルミナの新鮮なMCM-49触媒を使用する。データを表2に示す。
【0028】
表2. バッチ反応器におけるMCM-49と、1-ブテンの単工程添加

150gのベンゼンと25gの1-ブテンを用いて160℃、4750〜5540kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0029】
〔実施例3〕
MCM-22と、等量の1-ブテンの多段階添加によるsec-ブチルベンゼン合成
実施例1で用いた乾燥MCM-22触媒のさらに0.5グラムのサンプルを、固定サンプルバスケットに装填するまで予め121℃で乾燥させた不活性な8-グリットクォート粒子の2つの0.25インチ層間に装填した。150グラムの試薬グレードベンゼンを600mlのバッチオートクレーブ反応器に加えた。サンプルバスケット組立品をオートクレーブ反応器に導入して密封した。バッチ反応器を排気し、かつN2で2回パージしてヘッドスペースから確実に空気を排除した。次に、バッチ反応器をN2で約1480kPa(200psig)に加圧して正確な密封と漏れがないことを保証した。圧力を約446kPa(50psig)に下げ、かつ約791kPa(100psig)のN2を用いて移動容器からバッチ反応器に5グラムの試薬グレード1-ブテンを定量的に送達した。
固定サンプルバスケットの中心にある垂直状態のインペラーで反応器の中身を1000rpmで混合した。プログラム可能なオートクレーブコントローラーを用いて約20分160℃に反応器を加熱して一定の勾配率及び温度を維持した。温度到達後、システムにさらにN2を加えて反応器圧力を4750〜5540kPa(600〜700psig)に上げた。温度及び圧力の目標(160℃、4750〜5540kPa)に達して安定した時点から反応時間ゼロを記録した。1時間の終了時、1ccのサンプルを反応器から取った。さらに5グラムの試薬グレード1-ブテンを移動容器からバッチ反応器に定量的に送達した。この段階的サンプリングと5グラムの1-ブテン添加手順を続けて全部で5増分(最初の5グラム充填を含む)の1-ブテンを反応器に添加した。ベンゼン:1-ブテンの最終比は質量で6:1、モルで4.3:1だった。この評価のための総反応時間は5時間だった。反応時間の最後に、実験を中断し、反応器を周囲条件に冷まし、すべての液体生成物をGC分析のため回収した。増分サンプルも評価した。
GCによる生成物の分析は、実施例1で述べた当該データと同一だった。実施例3の触媒の評価から得られたデータを表3に示す。
【0030】
表3. バッチ反応器におけるMCM-22と、1-ブテンの多段階添加

160℃、4750〜5540kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0031】
〔実施例4〕
MCM-49と、等量の1-ブテンの多段階添加によるsec-ブチルベンゼン合成
実施例3の評価プロトコルを繰返すが、実施例2のMCM-49触媒を使用する。結果を表4にまとめる。
【0032】
表4. バッチ反応器におけるMCM-49と、1-ブテンの多段階添加

160℃、4750〜5540kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0033】
〔実施例5〕
噴射粉砕したMCM-49と、等量の1-ブテンの多段階添加によるsec-ブチルベンゼン合成
新鮮なMCM-49のサンプルを噴射粉砕してからVersal 200アルミナで公称組成が60%のゼオライトと40%のアルミナの1.3mm(1/20インチ)の方形葉触媒に押出し成形した。0.667gの触媒(0.4グラムのゼオライト含有)をバッチ反応器に装填し、実施例3の評価プトロコルを繰返した。データを表5に示す。
【0034】
表5. バッチ反応器における噴射粉砕したMCM-49と、1-ブテンの多段階添加

160℃、4750〜5540kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0035】
〔実施例6:バッチ反応器の結果の比較〕
表6は、5時間の反応時間で収集した実施例1〜5のバッチ反応器データを比較する。1-ブテンの単工程添加で操作した場合、MCM-22及びMCM-49触媒は91%の選択性でsec-ブチルベンゼンを生成した。4.3:1の同じ最終ベンゼン/1-ブテンモル比に達するまで1-ブテンを多段階添加で操作した場合、MCM-22及びMCM-49触媒はsec-ブチルベンゼン選択性を93〜94%に改善した。多段階添加はブテンオリゴマーも3倍減らし、ジ-ブチルベンゼン及びトリ-ブチルベンゼンも減少させた。
【0036】
表6. 実験の最後におけるバッチ反応器結果の比較

160℃、4750〜5540kPa、及び5時間の反応時間で収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0037】
供給原料1-ブテンのすべてが、添加すると即座に供給原料ベンゼンのすべてと混合するならば、6:1のベンゼン/1-ブテン質量比(4.3モル比)で1-ブテンの濃度は14.3wt%(1/7)であると認められるはずである。相対的に遅い反応速度と速い撹拌を考慮すれば、これはよく撹拌されるオートクレーブ反応器では妥当な近似であり、各供給原料注入レベルで、十分な供給原料分散ノズルを備えた固定床反応器ではこの域に匹敵し得る。非理想混合では局所濃度がより高いだろう。固定床システムでは、一般的に2つ以上の触媒床があり、好ましくはこれらの床の少なくとも2つの上流に別個のオレフィン供給原料注入ゾーンがある。各ゾーン内に、オレフィンをバルク流動混合物中に導入するための単一のノズルがあってよく、好ましくは複数のノズルがある。
添加間でブテンのほぼ完全な変換(実施例3〜5のように92〜97%のブテン転化率)で同量のブテンを段階的に(実施例3〜5のように5工程)添加すると、最大オレフィン濃度は2.9wt%(20%×1/7)であろう。本質的に定常状態操作の固定床反応器において、複数の供給原料注入点を有することは、多かれ少なかれバッチ反応器への等価の複数供給原料添加事象である。
【0038】
〔実施例7〕
固定床反応器内で3:1のベンゼン/2-ブテンモル比の噴射粉砕MCM-49によるsec-ブチルベンゼン合成
固定反応器内におけるベンゼンの2-ブテンによるアルキル化のため実施例5(1.6mm(1/16インチ)長にカット)の0.4gの噴射粉砕MCM-49触媒を使用した。触媒を砂で希釈して3ccにして外形4.76mm(3/16'')を有する等温性のダウンフロー固定床管状反応器に装填した。150℃及び1atmで100cc/分の窒素を2時間流して触媒を乾燥させた。窒素を止め、反応器圧が所望の2170kPa(300psig)に達するまで、60cc/時間でベンゼンを反応器に供給した。次にベンゼン流量を7.63cc/時間に減らした。2-ブテン供給原料(57.1%のシス-ブテン、37.8%のトランス-ブテン、2.5%のn-ブテン、0.8%のイソブテンと1-ブテン、及びその他1.8%)をシリンジポンプで2.57cc/時間にて導入した。実験全体で供給原料のベンゼン/ブテンモル比を3:1に維持した。反応器温度を160℃に調整した。160℃及び2170kPa(300psig)の反応器条件で冷トラップに液体生成物を収集してオフラインで分析した。供給原料ブテンに対する未反応ブテンを測定することによってブテンの転化率を決定した。代表的データを表7に示す。
【0039】
〔実施例8〕
固定床反応器内で6:1のベンゼン/2-ブテンモル比の噴射粉砕MCM-49によるsec-ブチルベンゼン合成
実施例7の方法を繰返すが、0.6gの実施例5の噴射粉砕MCM-49触媒(1.6mm[1/16インチ]長にカット)を使用し、実験全体で供給原料のベンゼン/ブテンモル比を6:1に維持した(11.47cc/時間でベンゼン及び1.93cc/時間でブテン)。代表的データを表7に示す。
【0040】
表7. 固定床反応器における噴射粉砕MCM-49によるsec-ブチルベンゼンの生成

160℃及び2170kPaで収集した全サンプル。
* 使用したGCでは全ブチルベンゼン中0.5%未満のi-ブチルベンゼンは検出できない。
【0041】
3:1のベンゼン/2-ブテンモル比(又は4.2:1の質量比)で操作する場合、2-ブテンがベンゼンと即座に混合するなら2-ブテン濃度は18.9wt%(1/5.3)である。このベンゼン/2-ブテンモル比では、MCM-49触媒は93%の選択性でsec-ブチルベンゼンを生成した。
6:1のベンゼン/2-ブテンモル比(又は8.4:1の質量比)で操作する場合、2-ブテンがベンゼンと即座に混合するなら2-ブテン濃度は10.6wt%(1/9.4)である。このベンゼン/2-ブテンモル比では、MCM-49触媒は96%の選択性でsec-ブチルベンゼンを生成した。ブテンオリゴマー並びにジ-ブチルベンゼン及びトリ-ブチルベンゼン等の副生物を約50%だけ減らした。従って、固定床反応器内のブテンの局所濃度を減らすことは、sec-ブチルベンゼン選択性について正効果を有する。
【0042】
〔実施例9〕
4.3:1の全ベンゼン/ブテンモル比で多段階ブテン添加によってバッチ反応器で生成されたsec-ブチルベンゼンの酸化
実施例3、4、及び5(バッチ反応器、多段階1-ブテン添加で)で生成された液体生成物を混ぜ合わせた。Roto-エバポレーターで減圧下にてベンゼンを除去した。10:1の還流比で26-プレート真空-ジャックドOlder Shawカラムを用いて50mmHgの減圧蒸留でsec-ブチルベンゼンを単離した。100ccのParrオートクレーブ内115℃及び1825〜1894kPa(250〜260psig)の窒素/酸素(80/20)圧でsec-ブチルベンゼンの酸化を行った。該100ccのParrオートクレーブに、Aldrich製の0.185g(1.1134mmole)のN-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)と43.2gの蒸留したsec-ブチルベンゼンを装填した。室温で80/20モル比まで窒素次いで酸素でオートクレーブの中身を1618kPa(220psig)に加圧した。次に720rpmの機械的撹拌速度で混合物を115℃に加熱した。頻繁に窒素と酸素についてヘッドスペースの気体をサンプリングしながら温度を6時間115℃で維持した。加熱時間の全体にわたって、酸素のPVT(圧力、体積、温度)容器からの補充によって、約20%の酸素含量を維持した。実験の完了時に液相をGCで分析した。sec-ブチルベンゼンの転化率は22.2wt%であり、sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドに対する選択性は92.3wt%だった。
【0043】
〔実施例10〕
3:1のベンゼン/ブテンモル比にて固定床反応器で生成されたsec-ブチルベンゼンの酸化
実施例7(3:1のベンゼン/ブテンモル比で固定床反応器)で生成された液体生成物を混ぜ合わせた。sec-ブチルベンゼンの単離と酸化について実施例9で述べたのと同じ手順に従った。sec-ブチルベンゼンの転化率は14.0wt%であり、sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドに対する選択性は91.0wt%だった。
【0044】
〔実施例11〕
6:1のベンゼン/ブテンモル比にて固定床反応器で生成されたsec-ブチルベンゼンの酸化
実施例8(6:1のベンゼン/ブテンモル比で固定床反応器)で生成された液体生成物を混ぜ合わせた。sec-ブチルベンゼンの単離と酸化について実施例9で述べたのと同じ手順に従った。sec-ブチルベンゼンの転化率は21.9wt%であり、sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドに対する選択性は92.8wt%だった。
【0045】
〔実施例12〕
sec-ブチルベンゼン酸化の比較
図1及び2は、実施例9〜11の方法のsec-ブチルベンゼンの転化率とsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド選択性を、ベンチマーク材料として実質的に純粋なsec-ブチルベンゼン(オレフィン不純物ゼロを有する)を使用する比較方法の当該転化率と選択性をそれぞれ比較する。
図1は、3:1のベンゼン/ブテンモル比の実施例10で得られた14%の転化率と比較した場合のブテンの多段階添加(22.2%の転化率の実施例9)又は6:1ベンゼン/ブテンモル比(21.9%の転化率の実施例11)によるsec-ブチルベンゼン転化率の向上を示す。しかし、最高の転化率は純粋なsec-ブチルベンゼン(24.8%の転化率)で得られた。
図2は、ブテンの多段階添加(92.3%の選択性の実施例9)又は6:1ベンゼン/ブテンモル比(92.8%の選択性の実施例11)によるsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド選択性の向上を示す。これらの選択性は、3:1のベンゼン/ブテンモル比の実施例10(91%の選択性)及び純粋な供給原料(91.4%の選択性)の両者で得られた当該選択性より高かった。
本発明を特定の実施形態を参照して記載かつ説明したが、当業者は、本発明が本明細書で必ずしも説明していない変形に役立つことを認めるだろう。従って、この理由のため、本発明の真の範囲を決定する目的のためには添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例9〜11の方法のsec-ブチルベンゼン転化率を実質的に純粋なsec-ブチルベンゼンを使用する比較方法の当該転化率と比較する。
【図2】実施例9〜11の方法のsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド選択性を実質的に純粋なsec-ブチルベンゼンを使用する比較方法の当該選択性と比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノールとメチルエチルケトンの製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法:
(a)アルキル化条件下及びMCM-22ファミリーの少なくとも1種のモレキュラーシーブを含むアルキル化触媒の存在下でベンゼンとC4アルキル化剤を接触させて、sec-ブチルベンゼンを含むアルキル化流出物を生成する工程、ここで、前記接触工程を複数の反応ゾーン内で行い、かつ前記反応ゾーンのそれぞれに前記C4アルキル化剤を供給する;
(b)前記アルキル化流出物からsec-ブチルベンゼンフラクションを回収する工程、ここで、前記フラクションは少なくとも95wt%のsec-ブチルベンゼン、100wt ppm未満のC8+オレフィン、及び0.5wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンを含む;
(c)工程(b)で回収したsec-ブチルベンゼンを酸化してヒドロペルオキシドを生成する工程;及び
(d)工程(c)のヒドロペルオキシドを分解してフェノールとメチルエチルケトンを生成する工程。
【請求項2】
工程(b)で回収されるフラクションが、少なくとも97wt%のsec-ブチルベンゼン、50wt ppm未満のC8+オレフィン、0.1wt%未満のイソブチルベンゼンとtert-ブチルベンゼンを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記アルキル化流出物から、該流出物の化学的前処理なしで直接前記sec-ブチルベンゼンフラクションを回収する、請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記sec-ブチルベンゼンフラクションの回収前に化学的処理に前記アルキル化流出物を供する、請求項1又は2の方法。
【請求項5】
前記化学的処理が、オレフィンのオリゴマー化、選択的還元、選択的酸化、エステル化、及びオレフィンヘのヘテロ原子の付加、又はその2以上の組合せから選択される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブが、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07及び3.42±0.07Åにd-間隔最大を含むX線回折パターンを有する、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】
前記MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブが、MCM-22、PSH-3、SSZ-25、ERB-1、ITQ-1、ITQ-2、MCM-36、MCM-49、MCM-56、UZM-8、及びその2以上の混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
前記MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブが、MCM-22、MCM-49、MCM-56及びそのイソ型から選択される、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】
前記モレキュラーシーブが、MCM-49、MCM-56及びそのイソ型から選択される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記C4オレフンが線状ブテンを含む、請求項1〜9のいずれか1項の方法。
【請求項11】
前記線状ブテンが1-ブテン及び/又は2-ブテンを含む、請求項10の方法。
【請求項12】
前記線状ブテンが混合C4ストリーム内に含まれる、請求項10又は11の方法。
【請求項13】
前記C4アルキル化剤が5モル%未満のイソ-ブテンと0.5モル%未満のブタジエンを含む、請求項1〜12のいずれか1項の方法。
【請求項14】
前記C4アルキル化剤が0.5モル%未満のイソ-ブテンと0.1モル%未満のブタジエンを含む、請求項13の方法。
【請求項15】
前記C4アルキル化剤が10wt ppm未満の窒素及び/又は100wt ppm未満のイオウ及び/又は1000wt ppm未満の水を含む、請求項1〜14のいずれか1項の方法。
【請求項16】
前記C4アルキル化剤が0.1wt ppm未満の窒素及び/又は3wt ppm未満のイオウ及び/又は100wt ppm未満の水を含む、請求項1〜14のいずれか1項の方法。
【請求項17】
前記ベンゼンが25wt ppm未満の窒素及び/又は100wt ppm未満のイオウ及び/又は1000wt ppm未満の水を含む、請求項1〜16のいずれか1項の方法。
【請求項18】
前記ベンゼンが0.1wt ppm未満の窒素及び/又は2wt ppm未満のイオウ及び/又は100wt ppm未満の水を含む、請求項1〜16のいずれか1項の方法。
【請求項19】
前記アルキル化条件が、60℃〜260℃の温度及び/又は7000kPa以下の圧力及び/又は0.1〜50時間-1のC4アルキル化剤に対する供給原料の重量毎時空間速度(WHSV)及び/又は1〜50の、ブテンに対するベンゼンのモル比を含む、請求項1〜18のいずれか1項の方法。
【請求項20】
前記ブテンに対するベンゼンのモル比が4〜9である、請求項19の方法。
【請求項21】
前記接触工程(a)を少なくとも部分的に液相条件下で行う、請求項1〜20のいずれか1項の方法。
【請求項22】
前記接触工程(a)がポリブチルベンゼンをも生成し、かつ該方法がトランスアルキル化触媒の存在下で前記ポリブチルベンゼンをベンゼンと接触させてsec-ブチルベンゼンを生成する工程をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項の方法。
【請求項23】
前記トランスアルキル化触媒が、ゼオライトβ、モルデン沸石、USY、MCM-22、PSH-3、SSZ-25、ERB-1、ITQ-1、ITQ-2、MCM-36、MCM-49、MCM-56、UZM-8、及びそのいずれか2種以上の混合物から選択されるモレキュラーシーブを含む、請求項22の方法。
【請求項24】
前記酸化工程(c)を以下の触媒:
(a)マンガンを含むオキソ(ヒドロキソ)架橋四核金属錯体;
(b)混合金属コアを有するオキソ(ヒドロキソ)架橋四核金属錯体、ここで、前記コアの1つの金属は、Zn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn及びその混合物から選択される二価金属であり、かつ別の金属は、In、Fe、Mn、Ga、Al及びその混合物から選択される三価金属である;
(c)単独又はフリーラジカルイニシエーターの存在下のN-ヒドロキシ置換環状イミド;及び
(d)単独又はフリーラジカルイニシエーターの存在下のN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸
から選択される触媒の存在下で行う、請求項1〜23のいずれか1項の方法。
【請求項25】
酸化工程(c)を70℃〜200℃の温度及び/又は50〜2000kPa(0.5〜20気圧)の圧力で行う、請求項1〜24のいずれか1項の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526789(P2009−526789A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554649(P2008−554649)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001206
【国際公開番号】WO2007/093358
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】