説明

フェノールノボラック樹脂及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物

【課題】フェノールノボラック樹脂(より具体的には、フェノール−ナフトールノボラック樹脂)とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が著しく改良されたエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供すること
【解決手段】下記一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂。
【化1】


(式中、Aは、それぞれ独立に、下記一般式(2)の1価若しくは2価のユニット、又は一般式(3)の1価若しくは2価のユニットを表し、nは0〜20の整数であり、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いられるフェノールノボラック樹脂に関する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が改良されたものである。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは使用されるフェノールノボラック樹脂の溶解性が優れるので、溶媒に均一に溶解することが容易であり、例えば積層板を製造する用途に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂組成物は、作業性が良好であり、更にその硬化物が優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性等を有するので、電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く使用されている。
【0003】
しかし近年、半導体封止材や積層板等の電気・電子分野での技術の進展に伴って、エポキシ樹脂組成物に対して諸特性の更なる向上が求められている。
【0004】
例えば、鉛フリーのハンダの採用によってリフロー温度がより高温になったため、積層板、層間絶縁材料、封止材料などの半導体パッケージに用いられるエポキシ樹脂組成物に対して、従来品に比較してより高い耐熱性が求められている。また、環境問題への対策として、燃焼時にダイオキシンを発生する可能性があるハロゲンや、発ガン性が疑われるアンチモン等の難燃剤を使用することなしに耐燃焼性(難燃性)を向上することが求められている。さらに、エポキシ樹脂組成物を積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料として用いる時には、エポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解してワニス化して用いるために、エポキシ樹脂組成物に対して溶媒に対する可溶性が求められている。
【0005】
特許文献1には、メトキシメチルベンゼンのハロゲン化反応で得られる反応生成物を脱ハロゲン化カップリング反応させることにより合成されるビス(メトキシメチル)ビフェニルの異性体の混合物とフェノール化合物とを反応させて得られるフェノールノボラック縮合体、及び該フェノールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。このフェノールノボラック縮合体は、エポキシ樹脂硬化剤として、吸湿性、耐熱性および可撓性に優れたものである。しかし、ここで具体的に開示されたフェノールノボラック縮合体は、ビス(メトキシメチル)ビフェニルの異性体の混合物を用いたものだけであり、得られたフェノールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物からなる硬化物のガラス転移温度は、実施例によれば140℃程度であり、耐熱性において改良する余地があった。
【0006】
特許文献2には、フェノール類及びナフトール類とビス(メトキシメチル)ビフェニルのようなビフェニル化合物との縮合反応によって得られるフェノール−ナフトールノボラック縮合体、及び該フェノール−ナフトールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物とが開示されている。しかし、ここでも具体的に開示されたフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、ビフェニル化合物としてビス(メトキシメチル)ビフェニルの異性体の混合物を用いたものだけであった。このフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、特許文献1のフェノールノボラック縮合体に対して、低吸水性と耐熱性とを改良したものであるが、フェノール−ナフトールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物からなる硬化物のガラス転移温度は、実施例によれば150℃程度であり、耐熱性においてさらに改良する余地があった。
【0007】
特許文献1,2には、ビフェニル化合物として好ましくは特定割合の異性体の混合物を用いることが記載されている。しかし、ビフェニル化合物として4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルのような4,4’−体を単独で用いた場合に、耐熱性、耐燃焼性、溶解性などに対して如何なる影響があるかについては具体的な記載も示唆もなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−143648号公報
【特許文献2】特開平9−176262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フェノールノボラック樹脂(より具体的には、フェノール−ナフトールノボラック樹脂)とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が著しく改良されたエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することである。さらに、本発明は、好ましくは使用されるフェノールノボラック樹脂の溶解性が優れるので、溶媒に均一に溶解することが容易であり、例えば積層板を製造する用途に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、及び該該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の各項に関する。
(1) 下記一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂。
【0011】
【化1】

(式中、Aは、それぞれ独立に、下記一般式(2)の1価若しくは2価のユニット、又は一般式(3)の1価若しくは2価のユニットを表し、nは0〜20の整数であり、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
但し、フェノールノボラック樹脂全体としては、Aは、下記一般式(2)の1価若しくは2価のユニット、及び下記一般式(3)の1価若しくは2価のユニットの両者によって構成されている。
【0012】
【化2】

(式中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、iとjとの合計は4以下である。)
【0013】
【化3】

(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【0014】
(2) 前記一般式(2)のユニットと前記一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]が、10/90〜90/10の範囲内であることを特徴とする前記項1に記載のフェノールノボラック樹脂。
【0015】
(3) フェノールノボラック樹脂を構成する全成分中の下記一般式(4)で表される成分が、HPLCで測定したときの面積割合で27%以下であることを特徴とする前記項1又は2に記載のフェノールノボラック樹脂。
【0016】
【化4】

(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【0017】
(4) 下記一般式(5)で表されるフェノール類及び下記一般式(6)で表されるナフトール類を、下記一般式(7)で表されるビフェニル化合物と反応させることを特徴とするフェノールノボラック樹脂の製造方法。
【0018】
【化5】

(式中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、iとjとの合計は4以下である。)
【0019】
【化6】

(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【0020】
【化7】

(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、Xは、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。)
【0021】
(5) 前記項1〜3のいずれかに記載のフェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とを含んでなるエポキシ樹脂組成物。
【0022】
(6) 得られる硬化物のガラス転移温度が155℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上であることを特徴とする前記項5記載のエポキシ樹脂組成物。
【0023】
(7) 得られる硬化物のUL−94による難燃性がV−0であることを特徴とする前記項5又は6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0024】
(8) 前記項1〜3のいずれかに記載のフェノールノボラック樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、及び溶媒(C)を含んでなり、フェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが、溶媒(C)中に均一に溶解していることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0025】
(9) 前記項5〜8のエポキシ樹脂組成物のいずれかを硬化させた硬化物。
(10) 前記項8のエポキシ樹脂組成物を用いてマトリックス樹脂を形成した積層板。
【0026】
なお、ここで「それぞれ独立に」とは、対応する置換基や数字を表す記号が複数存在した場合に、複数の置換基や数字を表す各記号が、それぞれ独立して別の置換基や数字を取り得ることを意味する。例えば、前記一般式(1)中の(R1)pにおけるR1と(R1)qにおけるR1とは、同一のアルキル基でもよく、炭素数の異なるアルキル基でもよく、更に(R1)pにおけるR1が複数の場合に、各R1がそれぞれ同一のアルキル基でもよく、炭素数の異なるアルキル基でもよい。
また、本発明ではガラス転移温度の測定方法として、比較の便宜上2種の方法で測定したが、万一測定方法による差異が生じる場合には、動的粘弾性測定装置による測定方法を優先する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、フェノールノボラック樹脂(より具体的には、フェノール−ナフトールノボラック樹脂)とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が著しく改良されたエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することができる。さらに、本発明によって、好ましくは使用されるフェノールノボラック樹脂の溶解性が優れるので、溶媒に均一に溶解することが容易であり、例えば積層板や層間絶縁材料を製造する用途に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、及び該該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1における反応終了時の未反応原料成分除去前の反応混合物のHPLCチャートである。
【図2】実施例1で得られたフェノールノボラック樹脂のHPLCチャートである。
【図3】実施例2における反応終了時の未反応原料成分除去前の反応混合物のHPLCチャートである。
【図4】実施例2で得られたフェノールノボラック樹脂のHPLCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のフェノールノボラック樹脂は、下記一般式(5)で表されるフェノール類及び下記一般式(6)で表されるナフトール類を、下記一般式(7)で表されるビフェニル化合物と反応させることによって好適に得ることができる。
【0030】
【化8】

(式中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、iとjとの合計は4以下である。)
【0031】
【化9】

(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【0032】
【化10】

(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、Xは、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。)
【0033】
一般式(5)で表されるフェノール類としては、ベンゼン環に水酸基を一つ以上有する化合物であれば特に限定はなく、アルキル基やアルコキシ基などの置換基を有していてもよい。例えばフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、i−プロピルフェノール、t−プロピルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、グアヤコール、グエトール、キシレノール、メチルエチルフェノール、メチルブチルフェノール、メチルヘキシルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノールなどであり、好ましくはフェノールである。これらフェノール類は単独でも複数の混合物であってもよい。
【0034】
一般式(6)で表されるナフトール類としては、ナフタレン環に水酸基を一つ以上有する化合物であれば特に限定は無く、アルキル基やアルコキシ基などの置換基を有していてもよい。例えばα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン類、トリヒドロキシナフタレン類、メチルナフトール、エチルナフトール、プロピルナフトール、アリルナフトール、t−ブチルナフトール、オクチルナフトール、メチルエチルナフトール、メチルプロピルナフトール、メチルブチルナフトール、メチルヘキシルナフトール、ジメチルナフトール、ジエチルナフトール、ジブチルナフトールなどであり、好ましくはα−ナフトールである。これらのナフトール類は単独であっても複数の混合物であっても構わない。
【0035】
一般式(7)で表されるビフェニル化合物としては、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(エトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(フルオロメチル)ビフェニルなどを好適に挙げることができる。これらのビフェニル化合物は、置換基として炭素数1〜8のアルキル基を有してもよい。これらのビフェニル化合物は単独であっても複数の混合物であっても構わない。
【0036】
フェノール類及びナフトール類とビフェニル化合物を反応させる際には、触媒を用いなくてもよいが、通常は酸触媒を用いる。酸触媒としては、シュウ酸、ギ酸、酢酸等の有機酸や、硫酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ジエチル等のフリーデルクラフト型触媒が好適である。なお、特にビフェニル化合物としてハロゲノメチル基を有するビフェニル化合物を用いる場合には、酸触媒の非存在下でも好適に反応を行うことができる。
【0037】
この反応において、原料のフェノール類とナフトール類との合計に対する原料のビフェニル化合物のモル比[(フェノール類とナフトール類)/ビフェニル化合物]は、好ましくは20〜1.5、より好ましくは6.0〜2.0の範囲が好適である。モル比が1.5未満では樹脂の粘度が高くなり過ぎてハンドリング性が損なわれることがあり、モル比が20を越えると、生成物の殆どが低分子量体になって得られる硬化物のガラス転移温度が不十分になったり、また未反応原料が多量に残って非経済的になったりする。
また、原料のフェノール類とナフトール類とのモル比[フェノール類/ナフトール類]は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは40/60〜90/10の範囲が好適である。原料のフェノール類とナフトール類とのモル比をこの範囲内にすることによって、以下で説明するが、得られるフェノールノボラック樹脂のフェノール類に起因する一般式(2)のユニットとナフトール類に起因する一般式(3)のユニットとの割合を本発明の好ましい範囲とすることができる。すなわち、ナフトール成分が少な過ぎると、樹脂中に導入される一般式(3)のユニットが減少して十分な耐熱性を得ることが難しくなる場合がある。また、ナフトール成分が多過ぎると、樹脂中に導入される一般式(3)のユニットが増加し、一般式(4)で示されるユニットも増加することから溶剤溶解性が損なわれる原因となる。
反応は、通常、溶媒の非存在下、あるいは水及び/又は有機溶媒等の溶媒の存在下、0℃〜150℃、0.5時間〜10時間程度で行うことができるが、フェノールノボラック樹脂を構成する成分の割合や重合度等を調節するために、反応温度、反応時間等の反応条件などは適宜調節される。
なお、反応終了後、未反応のフェノール類やナフトール類などは、減圧下又は不活性ガスを吹き込みながら加熱して、系外へ留去することが好適である。また、酸触媒は、水洗等の洗浄により除去することができる。
【0038】
この反応によって、フェノール類及び/又はナフトール類からなる複数のユニットの間を、ビフェニル化合物が架橋構造を形成して結合し、一般式(1)で表される化学構造からなるフェノールノボラック樹脂が生成する。
従って、一般式(1)において、一般式(5)及び一般式(6)で表されるフェノール類やナフトール類が分子末端を構成した場合は、一般式(1)中のAは一般式(2)及び一般式(3)の1価のユニットとなり、分子内に組み込まれた場合には、一般式(1)中のAは一般式(2)及び一般式(3)の2価のユニットとなる。
また、この反応においては、先ず一般式(1)のnが0の成分が生成する。次いで生成したnが0の成分の一部は、さらにビフェニル化合物或いは生成したnが0の成分と反応する。このようにして、更にnが1及び1を越える成分を順次生成する。一方、nが1及び1を越える成分を生成する反応が進んでいる間も、nが0の成分を生成する反応は継続するので、本発明のフェノールノボラック樹脂は、通常は一般式(1)のn値が異なる複数の成分の集合体である。
【0039】
この反応によって得られる、本発明のフェノールノボラック樹脂の特徴の一つは、フェノール類及びナフトール類を、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルのような4,4’−体からなるビフェニル化合物と組合せて用いるところにある。そして、本発明のフェノールノボラック樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物は、耐熱性や耐燃焼性が好適に改善される。
【0040】
本発明において、一般式(1)で表される化学構造からなるフェノールノボラック樹脂は、フェノール類に起因する一般式(2)のユニットとナフトール類に起因する一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]が、好ましくは10/90〜90/10の範囲内であり、より好ましくは10/90〜60/40の範囲内であり、更に好ましくは10/90〜50/50の範囲内であり、特に好ましくは10/90〜40/60の範囲内である。
一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合が、この範囲内であることによって、本発明のエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の耐熱性や耐燃焼性を好適に改善することができる。
樹脂中に、4,4’−体からなるビフェニル化合物と組合せて、一般式(3)で表されるユニットを導入することで、得られる樹脂の耐熱性が効率よく改良され、燃焼を効果的に抑制して耐燃焼性を改良することが可能になる。しかし、一般式(3)のユニットの割合が高くなり過ぎると、樹脂の粘度や軟化点の上昇を招いてハンドリング性を損なう場合があるし、更に、樹脂中の一般式(4)のユニットが増加して樹脂の溶解性を制御することが難しくなる。
【0041】
したがって、本発明のフェノールノボラック樹脂を調製する反応においては、好ましくは、一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合が前記範囲内になるように、原料の一般式(5)で表されるフェノール類と一般式(6)で表されるナフトール類との使用割合が調節される。当然フェノールノボラック樹脂へ導入する割合を高くしたいユニットの原料の使用割合を高くするが、その割合は、これらのフェノール類、ナフトール類、及びビフェニル化合物の反応性がそれぞれ異なるので、それらの反応性の大きさ、更にフェノール類とナフトール類の合計に対するビフェニル化合物のモル比[(フェノール類とナフトール類)/ビフェニル化合物]や採用する反応条件等を加味して、その割合が調節される。当業者にとっては、その調節方法は自明であるが、必要なら予備的実験を行うことによって簡単に見出すことができる。
【0042】
本発明において、フェノールノボラック樹脂の好ましい態様の一つは、フェノールノボラック樹脂を構成する一般式(1)で表される集合体の全成分中の一般式(4)で表される成分を、HPLCで測定したときの面積割合で27%以下、好ましくは20%以下とすることである。全成分中に、一般式(4)で表される成分が、HPLCで測定したときの面積割合で27%以下に制御すると、有機溶媒に対する溶解性が向上して、例えばメチルエチルケトンに対して樹脂/溶媒を質量で50/50の割合でも均一に溶解することが可能になる。
一方、全成分中の一般式(4)で表される成分がHPLCで測定したときの面積割合で27%を越えると、有機溶媒に対する溶解性が低下して、例えばメチルエチルケトンに対して樹脂/溶媒を重量で50/50の割合では、均一に溶解するのが困難になる。
例えばメチルエチルケトンを用いて、樹脂/溶媒が質量で50/50の高濃度の割合でも均一に溶解できれば、本発明のエポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解してワニス化して、積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料として用いることが容易になる。均一に溶解できなくてワニス化できない場合には、積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料として用いることが容易ではなくなる。
【0043】
フェノールノボラック樹脂の成分中の一般式(4)で表される成分の量の調節は、原料として使用するフェノール類とナフトール類の合計に対するビフェニル化合物のモル比[(フェノール類とナフトール類)/ビフェニル化合物]、及びフェノール類とナフトール類とのモル比[フェノール類/ナフトール類]を、それらの反応性の大きさ、更に採用する反応条件等を加味しながら調節することによって行われる。
フェノール類とナフトール類の合計に対するビフェニル化合物のモル比[(フェノール類とナフトール類)/ビフェニル化合物]は、通常よりもより小さな値(より1に近い値)にすることが、成分を全体的に高分子量化して一般式(4)の成分を減らせるので好適である。また、フェノール類とナフトール類とのモル比は、フェノール類に比べてナフトール類の反応性が高いのでナフトール類の割合を比較的高くすることが、より反応を進めて、成分を全体的に高分子量化して一般式(4)の成分を減らせるので好適であるが、一方、ナフトール類の割合が高くなりすぎると一般式(4)の成分が増えて溶解性に悪影響がある。例えば、ナフトール類100%にすると、当然一般式(4)の成分の量を減らして溶解性を高めることが著しく困難になる。
これらの割合の調節は、それらの反応性の大きさ、更に採用する反応条件等を加味して行われる。当業者にとっては、その調節方法は自明であるが、必要なら予備的実験を行うことによって簡単に見出すことができる。
【0044】
本発明の一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)は、好ましくは軟化点60℃〜150℃であり、より好ましくは70℃〜140℃である。軟化点が60℃未満ではブロッキング等の発生を生じ易くなり、150℃を超えるとハンドリング性に問題を生じることがある。また、本発明の一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは500〜10000の範囲であり、より好ましくは500〜5000、更に好ましくは500〜2000の範囲である。
【0045】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とを含んでなる。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂など分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが、耐熱性や耐燃焼性を改良する上で特に好適である。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)の添加割合としては、硬化剤の水酸基当量とエポキシ樹脂中のエポキシ当量の比率[水酸基当量/エポキシ当量]が、0.5〜2.0程度の範囲であることが好ましく、0.8〜1.2程度の範囲がより好まししい。この範囲外では硬化反応が十分に進行せず未反応の硬化剤やエポキシ樹脂が残存する等の理由より本発明の効果を発揮することができなくなる場合がある。
【0048】
一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)は、本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の硬化剤の役割を有するが、本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)以外の他の硬化剤を含んでも構わない。
フェノールノボラック樹脂(A)以外の他の硬化剤は、特に限定はなく、組成物の使用目的に応じて種々のエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。例えば、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)以外のフェノール樹脂系硬化剤など、通常のエポキシ樹脂硬化剤を好適に用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤中の一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)の割合は、特に限定はないが、硬化物の耐熱性や耐燃焼性を改良するためにより高い割合が好ましく、30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%、特に好ましくは100質量%である。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは、さらに溶媒(C)を含有してなり、そして溶媒(C)にフェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが均一に溶解していることが好ましい。
得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が優れるエポキシ樹脂組成物を、高濃度で均一なワニス溶液にすることができれば、積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料とし好適に用いることが可能になる。
前記溶媒(C)は、エポキシ樹脂組成物を溶解させるものであれば特に限定はないが、好ましくは通常の積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料をワニス化する際に用いられる有機溶媒を好適に用いることができる。例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、γ−ブチルラクトンなどのラクトン類、N‐メチルピロリドンなどのピロリドン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類を好適に挙げることができる。これらの中では、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これらの溶媒は単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をワニス化した場合は、限定するものではないが、好ましくは、樹脂成分の濃度は10〜90質量%程度であり、溶液粘度は30℃で1〜5000cP程度である。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、通常のエポキシ樹脂組成物で用いられる他の成分を、その用途に応じて好適に用いることができる。
例えば、エポキシ樹脂をフェノール樹脂で硬化させるための硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、公知の、有機ホスフィン化合物及びそのボロン塩、3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール類及びのテトラフェニルボロン塩などを好適に挙げることができる。これらの中でも、硬化性や耐湿性の面からトリフェニルホスフィンが好ましい。なお、エポキシ樹脂組成物により高流動性が要求される場合には、加熱処理にて活性が発現する熱潜在性の硬化促進剤が好ましく、中でも、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルホスフォニウム誘導体がより好ましい。硬化促進剤の添加量は公知のエポキシ樹脂組成物における割合と同様でよい。
【0051】
さらに、無機充填剤などの充填剤も好適に用いることができる。無機充填剤としては非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、硫酸バリウムなどが使用でき、特に非晶性シリカ、結晶性シリカがより好ましい。無機充填剤の粒径としては特に制限は無いが、充填率を考慮すると0.01μm以上、150μm以下であることが望ましい。
無機充填剤の配合割合については特に制限は無いが、エポキシ樹脂組成物中の70重量%〜95重量%、好ましくは75重量%〜90重量%、より好ましくは80重量%〜90重量%である。無機充填剤の割合が上記範囲外であるとエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸水率が増加し好ましくない。また、無機充填剤の割合が多すぎると流動性を損なわれる恐れがある。
【0052】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、離型剤、着色剤、カップリング剤、難燃剤等を添加または予め反応して用いることができる。また、これら添加剤の配合割合は公知のエポキシ樹脂組成物における割合と同様でよい。本発明のエポキシ樹脂組成物には、この他必要に応じて、メラミン、イソシアヌル酸化合物等の窒素系難燃剤、赤リン、リン酸化合物、有機リン化合物等のリン系難燃剤を難燃助剤として適宜添加することができる。
【0053】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、フェノールノボラック樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、更に必要に応じて加える硬化促進剤、無機充填剤、他の添加剤等を、例えばミキサー等を使用して均一に混合し、加熱ロール、ニーダー、又は押し出し機等の混練機を用いて溶融状態で混練し、冷却、必要に応じて粉砕することにより製造できる。
このようなエポキシ樹脂組成物は、限定するものではないが、半導体封止材料などとして好適に用いることができる。
【0054】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルやジメチルホルムアミドなどの溶媒(C)に、一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、更に必要に応じて、他の硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤、添加剤等を加え、必要に応じて加熱や撹拌することによって、少なくとも、フェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが、溶媒(C)に均一に溶解してなるワニス溶液を製造することができる。
このワニス化したエポキシ樹脂(溶液)組成物は、限定するものではないが、積層板のマトリックス材料や層間絶縁材料として好適に用いることができる。
【0055】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて溶媒を乾燥した後で、加熱処理することによって硬化物を好適に得ることができる。
硬化物を得るための加熱処理条件は、硬化触媒や硬化促進剤の有無、それらの添加量などにも依存するが、通常は100〜300℃程度、好ましくは120〜200℃程度の温度で1分間から10時間程度加熱処理するのが好適である。
【0056】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体素子を封止する封止材料として好適に用いることができる。例えば、該半導体素子を搭載したリードフレーム等を金属キャビティ内に設置した後に、エポキシ樹脂組成物をトランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で成形し、120℃から300℃程度の温度で加熱処理等によりエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより半導体装置を好適に得ることができる。
【0057】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくはメチルエチルケトン等の溶媒に均一に溶解してワニス化し、そのワニス溶液を、ガラス等の多孔質ガラス基材やガラス繊維、紙、アラミド繊維等に塗布或いは含浸し、次いで加熱処理(半硬化)することでプリント基板用プリプレグを製造することができる。更に、得られたプリント基板用プリプレグの複数枚を積層し、必要に応じて加圧しながら加熱処理を行なって硬化させることによって、積層板を製造することができる。
【0058】
また、積層板或いはプリプレグは、片面または両面に金属箔を重ね合わせて、必要に応じて加圧しながら加熱処理(例えば、180℃、4MPaの圧力で60分間加熱処理)を行なって金属張積層板を得ることができる。この金属張積層板は、エッチング処理によって回路パターンを形成し、プリント配線板として好適に用いることができる。
【0059】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくはメチルエチルケトン等の溶媒に均一に溶解してワニス化し、そのワニス溶液を、例えばPETフィルム若しくは銅箔等の支持体表面にダイコーター等を用いて均一に塗布し、得られた塗布膜を加熱乾燥することによって、樹脂層を有する積層体シートとし、層間絶縁材料として好適に用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下に例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。尚、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0061】
[1]フェノールノボラック樹脂の調製
以下のフェノールノボラック樹脂の調製の例で用いた材料について説明する。
(1)フェノール:和光純薬工業社製
(2)α―ナフトール(1−ナフトール):和光純薬工業社製
(3)4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル:和光純薬工業社製
【0062】
以下のフェノールノボラック樹脂の調製の例で用いた分析方法や評価方法について説明する。
(1)軟化点:JIS K6910に基づく環球法軟化点測定によって行った。
(2)水酸基当量: JIS K0070に準じた水酸基当量測定によって行った。
(3)一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]の測定:フェノールノボラック樹脂の調製において、原料の仕込み量、生成したフェノールノボラック樹脂量、及び副生成物量を測定し、反応収支から未反応原料の量を算出する。ビフェニル化合物は全量反応させるので、未反応原料は、一般式(2)のユニットを構成する原料のフェノール類と一般式(3)のユニットを構成する原料のナフトール類とからなる。反応混合液中の未反応のフェノール類とナフトール類との割合を、以下に示す条件のHPLC測定によって得られるHPLCチャートから求めた。なお、割合(モル比)は面積比とした。以上のデータから下記数式によって、一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]を算出した。
【0063】
HPLCの測定条件
機器:島津製作所社製HPLC
カラム:STR ODS−Hカラム (信和化工社製)
カラムオーブン温度:40℃
移動層:アセトニトリル、5%リン酸溶液
移動層の濃度調節は、測定開始時はアセトニトリル/5%リン酸溶液の世液割合が20/60の混合液を用い、測定開始後10分間かけて容積割合を60/40までアセトニトリルの割合を直線的に増加させ、次いで5分間かけて容積割合を100/0まで直線的にアセトニトリルの割合を増加させ、その後はそのままの状態で測定終了までアセトニトリルを用いた。
流量:1.00mL/分
検出波長:220nm
【0064】
【数1】

【0065】
(4)一般式(4)で表される成分の割合:以下に示す条件のHPLC測定によって得られるHPLCチャートから、その面積割合として求めた。
HPLCの測定条件
機器:島津製作所社製HPLC
カラム:STR ODS−Hカラム (信和化工社製)
カラムオーブン温度:40℃
移動層:アセトニトリル、5%リン酸溶液
移動層の濃度調節は、測定開始時はアセトニトリル/5%リン酸溶液の世液割合が50/50の混合液を用い、測定開始後20分間かけて容積割合を75/25までアセトニトリルの割合を直線的に増加させ、次いで20分間かけて容積割合を100/0まで直線的にアセトニトリルの割合を増加させ、その後はそのままの状態で測定終了までアセトニトリルを用いた。
流量:1.00mL/分
検出波長:220nm
(5)溶解性:
以下に示す方法で溶解性試験によって評価した。
溶媒:メチルエチルケトン
溶解比率(質量):フェノールノボラック樹脂/溶媒=50/50
溶解条件:密閉容器に樹脂と溶媒を加え、60℃で攪拌溶解させた。
評価判定:溶解後と常温(23℃)で12時間静置後とを目視で観察した。樹脂が均一に溶解し且つ静置後も均一な溶液が保持されたものを○、樹脂が均一に溶解したが静置後に樹脂の一部が析出したものを△、均一な溶液を得ることができなかったものを×とした。
【0066】
〔実施例1〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール188.0g(2.0モル)、α―ナフトール123.4g(0.9モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル179.3g(0.7モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて原料の未反応成分を除去した。
得られたフェノールノボラック樹脂の軟化点は113℃、水酸基当量は263g/eq、HPLCにて測定した、一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]は30/70、一般式(4)で表される成分の割合は15%であった。このフェノールノボラック樹脂の溶解性の評価判定は○であった。
なお、この反応の未反応原料のHPLCチャートを図1に示す。このチャートから未反応原料中のフェノール類及びナフトール類の割合を82%及び18%と算出した。この割合を用い、前記算出方法に従って、樹脂中に導入された一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]を算出した。
また、得られたフェノールノボラック樹脂のHPLCチャートを図2に示す。このチャートの面積比より一般式(4)で表される成分(異性体があるので3ピークの合計)の割合を求めた。
【0067】
〔実施例2〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール84.6g(0.9モル)、α―ナフトール129.6g(0.9モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル180.7g(0.7モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて原料の未反応成分を除去した。
得られたフェノールノボラック樹脂の軟化点は131℃、水酸基当量は256g/eq、HPLCにて測定した、一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]は20/80、一般式(4)で表される成分の割合は18%であった。このフェノールノボラック樹脂の溶解性の評価判定は○であった。
なお、この反応の未反応原料のHPLCチャートを図3に示す。このチャートから未反応原料中のフェノール類及びナフトール類の割合を76%及び24%と算出した。この割合を用い、前記算出式に従って、一般式(2)のユニットと一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]を算出した。
また、得られたフェノールノボラック樹脂のHPLCチャートを図4に示す。このチャートの面積比一般式(4)で表される成分(異性体があるので3ピークの合計)の割合を求めた。
【0068】
〔実施例3〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール94.0g(1.0モル)、α―ナフトール144.0g(1.0モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル161.9g(0.7モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて原料の未反応成分を除去した。
得られたフェノールノボラック樹脂の軟化点は117℃、水酸基当量は247g/eq、HPLCにて測定した、一般式(4)で表される成分の割合は24%であった。このフェノールノボラック樹脂の溶解性の評価判定は△であった。
【0069】
〔実施例4〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール188.0g(2.0モル)、α―ナフトール123.4g(1.0モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル119.5g(0.5モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて未反応成分を除去した。
得られたフェノールノボラック樹脂Dの軟化点は97℃、水酸基当量は238g/eq、HPLCにて測定した一般式(4)で表される成分の割合は30%であった。このフェノールノボラック樹脂の溶解性の評価判定は×であった。
【0070】
〔実施例5〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール141.0g(1.5モル)、α―ナフトール216.0g(1.5モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル125.5g(0.5モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて未反応成分を除去した。
得られたフェノールノボラック樹脂Dの軟化点は94℃、水酸基当量は238g/eq、HPLCにて測定した一般式(4)で表される成分の割合は49%であった。このフェノールノボラック樹脂の溶解性の評価判定は×であった。
【0071】
実施例1〜5のフェノールノボラック樹脂について表1にまとめた。この表の溶解性の評価結果から、本発明のフェノールノボラック樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を溶媒に均一に溶解するには、一般式(4)で表される成分の割合が27%以下、好ましくは20%以下であることが好適であることが分かる。
【0072】
【表1】

【0073】
[2]本発明のエポキシ樹脂組成物の調製と特許文献2との比較
以下にエポキシ樹脂組成物に係る例で用いた材料について説明する。
(1)エポキシ樹脂
オルソクレゾール型エポキシ樹脂「EOCN−1020−70」:日本化薬社製、エポキシ当量:200g/eq、軟化点:70℃
(2)硬化促進剤(硬化触媒)
トリフェニルホスフィン(TPP):北興化学社製
【0074】
以下にエポキシ樹脂組成物に係る評価方法について説明する。
(1)耐熱性(ガラス転移温度(Tg))
特許文献2の測定方法に準じて行った。すなわち、寸法が4mm×6mm×10mmの硬化物からなる試験片を用い、昇温速度5℃/分で昇温して、TMA法(Thermal Mechanical Analysis、熱機械分析法)によって測定した。
【0075】
〔実施例6〕
実施例1で得られたフェノールノボラック樹脂、オルソクレゾール型エポキシ樹脂のEOCN−1020−70、硬化促進剤のTPPを、表2に示す配合で加えてエポキシ樹脂組成物とし、これを150℃の条件で加熱溶融混合し、真空脱泡した後に150℃の金型(厚さ4mm)に注型し、150℃、5時間で硬化させた後、さらに180℃、8時間かけて硬化して、硬化成形体を得た。
この硬化成形体について、ガラス転移温度を測定したところ、175℃であった。
【0076】
この実施例6は、使用したフェノールノボラック樹脂を変更したこと以外は、特許文献2の実施例5〜6と同様の操作によってエポキシ樹脂組成物を調製し、その硬化物について、同じ方法で評価を行ったものである。この実施例6の評価結果を、特許文献2の実施例7のデータと比較して、表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
表2から、本発明のフェノールノボラック樹脂を用いたことによって、エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が著しく向上することが分かる。
【0079】
[3]本発明のエポキシ樹脂組成物の調製とEMC試験片による評価
以下にエポキシ樹脂組成物に係る例で用いた材料について説明する。
(1)エポキシ樹脂
ビフェニル型エポキシ樹脂「YX−4000」:三菱化学社製、エポキシ当量:187g/eq
(2)硬化促進剤(硬化触媒)
トリフェニルホスフィン(TPP):北興化学社製
(3)無機充填剤
シリカ「MSR−2212」:龍森社製
【0080】
以下にエポキシ樹脂組成物に係る評価方法について説明する。
(1)燃焼性
UL−94に準拠して測定した。
(2)耐熱性(ガラス転移温度(Tg))
寸法が40mm×12mm×1mmのEMC試験片を用いて動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製 RSA−G2)を用い昇温速度3℃/分にて測定した。
(3)機械特性:機械強度:JIS K 7171に準拠して測定した。
【0081】
〔実施例7〕
実施例1で得られたフェノールノボラック樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂のYX−4000、硬化促進剤のTPP、及び無機充填剤のシリカMSR−2212を、表2に示す配合で加え、これらを、80℃〜100℃の条件で2本ロールを用いて混練後、粉砕し本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いてタブレットを作成し、それを低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、保圧時間600秒の条件で金型に注入して試験片を作成し、金型から取り出した後更に180℃、8時間のポストキュアを行いエポキシ樹脂組成物の硬化物からなるEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0082】
〔実施例8〕
実施例2で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0083】
〔実施例9〕
実施例3で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるのEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0084】
〔実施例10〕
実施例4で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0085】
実施例5で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0086】
実施例6で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなるEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0087】
〔参考例1〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール470.0g(5.0モル)を加え、窒素気流下、内温60℃まで上昇させて原料を溶解させた。4、4’−ビスクロロメチルビフェニル313.8g(1.3モル)を加え、内温60℃〜100℃にて4時間、さらに165℃にて3時間反応させた後に、減圧−スチーミング処理にて未反応成分を除去した。得られたフェノールノボラック樹脂Eの軟化点は68℃、水酸基当量は202g/eqであった。
【0088】
〔比較例1〕
参考例1で得られたフェノールノボラック樹脂を用いた以外は実施例6と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物の硬化物からなる寸法が40mm×12mm×1mmのEMC(Epoxy Moldering Compound)試験片を得た。
これを評価した結果を表3に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
[4]本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた銅張積層板の製造と評価
以下に銅張積層板の製造に係る例で用いた材料について説明する。
(1)エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「828EL」:三菱化学社製、エポキシ当量:186g/eq
(2)硬化促進剤(硬化触媒)
2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ):四国化成社製
(3)溶媒(メチルエチルケトン):和光純薬工業社製
(4)ガラスクロス(無アルカリ処理ガラスクロス)「M7628−105」:有沢製作所社製
(5)銅箔(電解銅箔)「CF−T9B−THE」:福田金属箔粉工業社製、厚さ35μ
【0091】
以下に銅張積層板に係る評価方法について説明する。
(1)接着性(ピール強度)
動的粘弾性測定装置(島津製作所株式会社製「AG−5000D」)を用い、荷重:1kN/100kgf 試験速度:50mm/分にて、90°銅箔引き剥がし強度を測定した。
(2)耐熱性
動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製「RSA−G2」)を用い、昇温速度3℃/分にて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(3)吸水率
JIS C6481に準拠して測定した。
【0092】
〔実施例12〕
希釈溶媒のメチルエチルケトン 231.2質量部に、実施例1で得られたフェノールノボラック樹脂 131質量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂 100質量部、硬化促進剤の2E4MZ 0.1質量部を加えてワニス化し、均一に溶解した樹脂分濃度が50質量%のワニス溶液を得た。
得られたワニス溶液をガラスクロスのM7628−105に含浸させた後に130℃、15分間の条件で乾燥させ、プリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ねて、その両側に銅箔のCF−T9B−THEを重ね、170℃ 、30kg/cm2で15分間プレス機を用いてプレスした。張積層体をプレス機から取り出した後、さらに200℃、5時間アフターキュアすることで両面銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板のガラス転移温度は159℃、ピール強度は2.0 N/mm、吸水率は0.05質量%であった。結果を表4に示す。
【0093】
〔参考例2〕
温度計、仕込み・留出口、冷却器および攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにフェノール470.0g(5.0モル)、92%パラホルムアルデヒド110.9g(3.4モル)、シュウ酸0.3gを加え、100℃にて5時間反応させた。反応終了後、減圧−スチーミング処理にて未反応成分を除去した。得られたフェノールノボラック樹脂Eの軟化点は96℃、水酸基当量は107g/eqであった。
【0094】
〔比較例2〕
実施例1で得られたフェノールノボラック樹脂の代わりに、参考例2で調製した一般的なフェノールノボラック樹脂を用い、配合を表4のとおりにしたこと以外は、実施例9と同様にして両面銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板のガラス転移温度は147℃、ピール強度は1.6 N/mm、吸水率は0.09質量%であった。結果を表4に示す。
【0095】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によって、フェノールノボラック樹脂(より具体的には、フェノール−ナフトールノボラック樹脂)とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、得られる硬化物の耐熱性や耐燃焼性が著しく改良されたエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することができる。さらに、本発明によって、好ましくは使用されるフェノールノボラック樹脂の溶解性が優れるので、溶媒に均一に溶解することが容易であり、例えば積層板や層間絶縁材料を製造する用途に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、及び該該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることができるフェノールノボラック樹脂を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化学構造によって構成されているフェノールノボラック樹脂。
【化1】

(式中、Aは、それぞれ独立に、下記一般式(2)の1価若しくは2価のユニット、又は一般式(3)の1価若しくは2価のユニットを表し、nは0〜20の整数であり、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
但し、フェノールノボラック樹脂全体としては、Aは、下記一般式(2)の1価若しくは2価のユニット、及び下記一般式(3)の1価若しくは2価のユニットの両者によって構成されている。
【化2】

(式中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、iとjとの合計は4以下である。)
【化3】

(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【請求項2】
前記一般式(2)のユニットと前記一般式(3)のユニットとの割合[一般式(2)のユニット/一般式(3)のユニット]が、10/90〜90/10の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のフェノールノボラック樹脂。
【請求項3】
フェノールノボラック樹脂を構成する全成分中の下記一般式(4)で表される成分が、HPLCで測定したときの面積割合で27%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェノールノボラック樹脂。
【化4】

(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【請求項4】
下記一般式(5)で表されるフェノール類及び下記一般式(6)で表されるナフトール類を、下記一般式(7)で表されるビフェニル化合物と反応させることを特徴とするフェノールノボラック樹脂の製造方法。
【化5】

(式中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、iとjとの合計は4以下である。)
【化6】

(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、kは1〜3の整数であり、lは0〜4の整数であり、kとlとの合計は6以下である。)
【化7】

(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、Xは、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。)
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とを含んでなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
得られる硬化物のガラス転移温度が155℃以上であることを特徴とする請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
得られる硬化物のUL−94による難燃性がV−0であることを特徴とする請求項5又は6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノールノボラック樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、及び溶媒(C)を含んでなり、フェノールノボラック樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが、溶媒(C)中に均一に溶解していることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物。
【請求項10】
請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物を用いてマトリックス樹脂を形成した積層板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112738(P2013−112738A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259761(P2011−259761)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(591018707)明和化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】