説明

フェノール樹脂、調製方法、ミネラル繊維のためのサイジング組成物及び得られた製品

本発明は、フェノール-ホルムアルデヒドとフェノール-ホルムアルデヒド-アミン縮合体から本質的に成り、20℃で少なくとも1000%の水希釈能を有し、液体の合計重量を基準にして表現された、0.3%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.5%以下の遊離フェノール含有量を有する、ミネラル繊維のサイジング組成物の処方に使用されることを意図された液体樹脂に関する。
本発明の主題は、また、前記樹脂の製造方法、樹脂を含むサイジング組成物及び上記サイジング組成物によりサイジングされたミネラル繊維系の絶縁製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル繊維のためのサイジング組成物の処方に使用されることを意図されたフェノール樹脂に関する。この樹脂は、塩基触媒の存在下でのフェノール樹脂、ホルムアルデヒドとアミンの縮合により得られ、遊離ホルムアルデヒドと遊離フェノールとの低い含有量により特徴付けられる。
【0002】
本発明は、この樹脂の調製方法、前記樹脂を含むミネラル繊維のためのサイジング組成物とそれから得られる絶縁製品に関する。
【0003】
ミネラル繊維系の絶縁製品は、種々のプロセス、例えば、内部或いは外部遠心繊維化という公知の技術を使用する種々のプロセスにより得られる繊維から形成され得る。遠心法は、溶融ガラス(一般的には、ガラス或いは岩石)を多数の小孔を有するスピナーに導入し、材料は遠心力の作用下装置の周壁から放射され、単繊維の形態でそこから逃れることから成る。スピナーを去ると、単繊維は、細められ、繊維ウエブを形成するために、高速高温度のガス流により受け部材に一緒に運ばれる。
【0004】
繊維を合わせて集成し、凝集ウェブを提供するために、繊維は、スピナーを去ると、熱硬化性樹脂を含むサイジング組成物で噴霧される。サイジング剤で被覆された繊維ウェブは、樹脂を重縮合するために(100℃超の温度で)熱処理を受け、こうして、特別な性質、特に、寸法安定性、引張り強度、圧縮後の厚み回復性及び均一な色を有する熱及び/又は音響絶縁製品を得る。
【0005】
サイジング組成物は、水溶液の形態を取る樹脂、尿素、シラン、鉱物油、アンモニア水及び硫酸アンモニウムのような添加物と水から製造される。サイジング組成物は、通常繊維に噴霧される。
【0006】
サイジング組成物の性質は、樹脂の特性に大きく依存する。応用の観点から、サイジング組成物は、良好な噴霧可能性を有し、繊維を効果的に結合するために繊維表面に堆積することができる必要がある。噴霧能は、樹脂が大量の水で希釈され、ある期間にわたって安定なままであることができることを保有する能力に直接的に関連する。
【0007】
希釈能力は、永続的な濁りの出現前に、所与の温度で水性樹脂溶液の単位体積に添加することが可能である脱イオン水の体積として定義される「希釈能」により特徴付けられる。一般的に、樹脂は、その20℃での希釈能が1000%以上であると、サイジング剤として使用できるとみなされる。
【0008】
樹脂は、サイジング組成物を形成するために使用される前に、所与の時間経過の間ずっと、なお安定であらねばならず、その組成物は、一般的には、使用時に、樹脂と前記添加物を混合することにより調製される。特に、樹脂は約12〜18℃の温度で少なくとも8日間安定でなければならない。
【0009】
噴霧可能なサイジング組成物に使用することのできる樹脂は、少なくとも8日間の、20℃で1000%以上の、好ましくは、2000%以上の希釈能(無限の希釈能)を有さねばならない。
【0010】
法規制の観点からは、樹脂は非汚染性である、すなわち、サイジング操作中或いはその後も人間の健康或いは環境に有害であるとされる化合物を可能な限り少なく生成し或いは含む、とみなされる必要がある。
【0011】
最も普通に使用される熱硬化性樹脂は、レゾール系に属するフェノール樹脂である。前記熱条件下でのその良好な架橋能のほかに、これら樹脂は非常に水溶性であり、ミネラル繊維、特に、ガラス繊維と良好な親和性を有し、比較的安価である。
【0012】
これら樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの間の反応を促進し、樹脂中の残留フェノール含有量を減じるために、塩基触媒の存在下で、一般的に1を超えるホルムアルデヒド/フェノールモル比でのフェノールとホルムアルデヒドとの縮合により得られる。樹脂中のホルムアルデヒドとフェノール残留量は高いままである。
【0013】
残留ホルムアルデヒド量を減じるために、樹脂に十分な量の尿素を添加することが知られており、尿素は遊離ホルムアルデヒドと反応し、尿素-ホルムアルデヒド縮合物を生じる(EP 0148050 A1参照。)。得られた樹脂は、フェノール-ホルムアルデヒド及び尿素-ホルムアルデヒド縮合物を含み、液体の合計重量を基準にして表現された、夫々3%及び0.5%以下の遊離ホルムアルデヒド及び遊離フェノール含有量を有し、少なくとも1000%の水希釈能を有する。
【0014】
残留フェノールの量は受容可能であるが、ただし残留ホルムアルデヒドの量は、現行の法規制を満足するにはあまりにも高い。
【0015】
更に、樹脂は、最終絶縁製品を形成するために樹脂を架橋する目的のためのサイジングされた繊維の処理の間に適用される条件下では安定ではないことが見出された。一般的には炉中で100℃を超える処理温度で、尿素-ホルムアルデヒド縮合物は分解し、ホルムアルデヒドを放出し、大気中への望ましくないガス排出を増加する。ホルムアルデヒドは、また、熱及び/又は音響絶縁としてのその使用の間、最終製品から放出され得る。
【0016】
EP 0480778 A1は、アミンで、尿素の部分を置換し、遊離フェノールと遊離ホルムアルデヒドとをマンニッヒ反応により反応させ、改善された熱的安定性を有する縮合生成物を生成することを提案した。この樹脂の遊離フェノールと遊離ホルムアルデヒド含有量は、夫々0.2%以下或いは3%以下である。
【0017】
本発明の1つの主題は、特に、低い遊離ホルムアルデヒド含有量と低い遊離フェノール含有量とを有することにより、望ましくない放出物を生み出す能力が低く、その使用中にホルムアルデヒドを少ししか生み出さない、噴霧可能なサイジング組成物に使用されるに足りる性質を有するフェノール樹脂である。
【0018】
本発明の別の主題は、樹脂の製造方法であり、樹脂は、遊離ホルムアルデヒド含有量を減じることを目的としては尿素を含まない。
【0019】
本発明の別の主題は、前記樹脂を含むサイジング組成物、熱及び/又は音響絶縁製品製造用のミネラル繊維をサイジングするためのその使用及びそうして得られた製品である。
【0020】
本発明による液体樹脂は、ミネラル繊維のためのサイジング組成物で使用されることを意図されており、基本的に、フェノール-ホルムアルデヒド(P−F)及びフェノール-ホルムアルデヒド-アミン(P−F−A)縮合物を含む。樹脂は、0.3%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.5%以下の遊離フェノール含有量とを有するが、この含有量は、液体の合計重量を基準にして表現されている。
【0021】
樹脂は、好ましくは、液体の合計重量を基準にして、0.2%以下、有利には、0.1%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量を有する。
【0022】
樹脂の遊離フェノール含有量は、好ましくは、0.4%以下である。
【0023】
樹脂は、20℃で測定された少なくとも1000%の希釈能を有する。
【0024】
樹脂は、また、温度の作用下でのその分解性で知られる尿素-ホルムアルデヒド(U−F)縮合物を含まないから、熱的に安定である。P−F−A縮合物に関しては、それらは、前記条件下で、例えば、特に、最終絶縁製品の熟成の間安定であり、ホルムアルデヒドを少ししか生成しない。
【0025】
アミンは、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒドと、活性水素原子を含む有機化合物、例えば、フェノールと反応して、マンニッヒ塩基を生成することができる1級アミンから選ばれる。このアミンは、Rが、1〜10個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する、飽和或いは不飽和、直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基を表す一般式:
R-NH
を満足する。
【0026】
特に、好ましくは、炭化水素基Rは、少なくとも一つのヒドロキシ基を有する。
【0027】
好ましい1級アミンは、モノエタノールアミンである。
【0028】
本発明によれば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合反応は、遊離フェノールと遊離ホルムアルデヒドとを1級アミンで縮合することに存する反応によりモニターされる。
【0029】
上記定義されるとおりの樹脂を得るために、本発明は、フェノールとホルムアルデヒドとを、1を超えるホルムアルデヒド/フェノールのモル比で、塩基触媒の存在下反応させること、反応混合物を冷却すること、冷却中に、前記反応混合物にマンニッヒ反応により遊離ホルムアルデヒド及び遊離フェノールと反応する1級アミンを導入することに存する方法を提供する。本発明は、1級アミンが、冷却の開始から直ちに導入され、反応混合物が10から120分間までに変わる時間、導入温度に維持されることを特徴とする。
【0030】
好ましくは、フェノールとホルムアルデヒドは、2〜4、有利には、3以下のホルムアルデヒド/フェノールのモル比で、93%以上のフェノール変換率まで反応させられ、反応混合物の冷却が始まる。冷却は、水で未だなお希釈することのできる樹脂に対応する縮合段階で行われる(1000%超の希釈能)。
【0031】
「フェノール変換率」という表現は、出発フェノール含有量に対して、ホルムアルデヒドと縮合する反応に関与したフェノールの量割合を意味するものと解される。
【0032】
本発明によれば、フェノールとホルムアルデヒドとの反応が発熱性であることから、1級アミンは、冷却中に漸進的に添加され、樹脂の希釈能が少なくとも1000%に等しいままであることを保証する策を講じながら、アミン添加時の温度は、上記時間の間ずっと維持される。
【0033】
1級アミンは、50から65℃までに変わり得る温度、好ましくは約60℃で、冷却開始時から直ちに導入される。
【0034】
温度が維持される間の段階は、1級アミンが、反応混合物中に存在するホルムアルデヒドの殆ど全てと反応することを可能とし、したがって最終樹脂中の遊離ホルムアルデヒド含有量を0.3%以下、有利には、0.1%以下の値にまで下げることを可能とする。この温度に混合物を維持することにより、樹脂中の遊離フェノール含有量を0.5%以下の値にまで低下することもでき、これは、特に、ホルムアルデヒド/フェノールのモル比が3未満である時に特に有利である。
【0035】
樹脂の調製は、温度サイクル下で行われ、加熱段階、第1の温度保持、冷却段階の3つの段階を含む。
【0036】
第1の段階では、ホルムアルデヒドとフェノールは、塩基触媒の存在下、60℃〜75℃、好ましくは、約70℃の温度に漸進的に加熱されながら、反応させられる。ホルムアルデヒド/フェノールのモル比は、1を超え、好ましくは、2から4にまでに変わり、有利には3以下である。
【0037】
触媒は、当業者に知られる触媒、例えば、トリエチルアミン、石灰(CaO)とアルカリ或いはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム若しくは水酸化バリウムから選ばれてよい。水酸化ナトリウムが好ましい。
【0038】
触媒の量は、フェノールの当初重量に対して、2〜15重量%、好ましくは、5〜9重量%、有利には、6〜8重量%までに変わる。
【0039】
第2の段階では、反応混合物の加熱後(第1段階の最後)に到達する反応混合物の温度は、フェノール変換率が、少なくとも93%になるまで維持される。
【0040】
第3の段階は、残留ホルムアルデヒドと残留フェノールとの反応を始めるために1級アミンが反応混合物に導入され、そのためP−F−A縮合物を生成する間の冷却段階である。
【0041】
1級アミンの添加は、上記に示したとおり、反応の発熱性に起因して漸進的になされ、例えば、分あたりのアミンの合計量の1〜5重量%、好ましくは、2〜4重量%の割合で実行される。
【0042】
1級アミン、特に、モノエタノールアミンの量は、出発フェノールのモルあたり、0.2〜0.7モル、好ましくは、0.25〜0.5モルのアミン量で添加される。
【0043】
1級アミンの添加時間は、10〜120分間、好ましくは、20〜100分間、有利には25〜50分間で変わり得る。
【0044】
好ましくは、1級アミンの添加は、50〜65℃、有利には約60℃の温度で実行される。
【0045】
1級アミンが添加された後、ホルムアルデヒド、フェノールと1級アミンとの間の縮合反応を、より進んだ段階まで続け、こうして、遊離ホルムアルデヒドと遊離フェノールの量を減少するために、導入末期の温度を10〜120分間、好ましくは、少なくとも15分間保つことによる温度保持があり、20℃で測定された樹脂の希釈能は、少なくとも1000%に維持されねばならない。
【0046】
P−F−A縮合物が生成された後、その温度が約20〜25℃に到達するように、反応混合物は冷却され、縮合反応を停止するために中和される。
【0047】
一般的には、反応混合物は、混合物のpHが、8.5未満、より好ましくは、7.0未満、有利には、4.0〜6.0となるに十分な量の酸で中和される。酸は、硫酸、スルファミン酸、燐酸及び硼酸から選ばれ得る。硫酸或いはスルファミン酸が好ましい。
【0048】
本発明は、また、ミネラル繊維、特にガラス繊維若しくは岩石繊維に適用することができるサイジング組成物及びこれらサイジングされた繊維から得られた絶縁製品に関する。
【0049】
サイジング組成物は、本発明によるフェノール樹脂とサイジング添加物を含む。
【0050】
上で示したとおり、本発明による樹脂が、0.3%以下という非常に低い遊離ホルムアルデヒド含有量を有するならば、任意のプレゲル化問題を防止するためにサイジング剤のゲル化時間を制御することを望む場合以外には、サイジング組成物に尿素を添加する必要はない。
【0051】
一般的に、本発明によるサイジング組成物は、固体樹脂100部あたり、以下の添加物と、必要なら尿素材料を含む。
【0052】
-0〜5部、一般的には、3部未満の硫酸アンモニウム;
-0〜2部のシラン、特に、アミノシラン;
-0〜20部、一般的には、6〜15部の油;
-0〜20部、一般的には、12部未満のアンモニア水(20重量%溶液)。
【0053】
添加物の役割は知られており、簡単に思い出されるだろう;硫酸アンモニウムは、サイジング組成物が、繊維に噴霧された後で(熱炉中での)重縮合触媒として役立つ;シランは、繊維と樹脂との間を結合するカップリング剤であり、また、耐老化剤として作用する;油は、疎水性の防塵剤である;アンモニア水は、冷却時の重縮合遅延剤として作用する;尿素は、既に言及したとおり、サイジング剤のプレゲル化に作用する。
【0054】
続く例は、制限することなく、本発明が説明されることを可能とする。
【0055】
例では、以下の分析法が使用される:
-遊離フェノール量は、充填カラム(静止相:カーボワックス20M)と火炎イオン化検出器(FID)を使用するガスクロマトグラフにより測定される。
【0056】
-遊離ホルムアルデヒド量は、移動相がpH6.8で緩衝された水であり、炉温度が90℃であり、検出が420nmでなされるように改変された、ASTM D 5910-96標準の条件下での高速液体クロマトグラフ(HPLC)及びポストカラム反応により測定される。
【0057】
例1
378gのフェノール(4モル)と809gのホルムアルデヒド(10モル)が、37%水溶液(2.5のホルムアルデヒド/フェノールモル比)として、頂上に冷却器を有し、攪拌系が装備された2リットルの反応器に導入され、混合物は、攪拌されながら、45℃で加熱された。
【0058】
次いで、52.7gの水酸化ナトリウムが、50%水溶液(すなわち、フェノールに対して7重量%)として、30分の間ずっと規則的に添加され、次いで、温度は、30分にわたり70℃まで漸進的に上げられ、この温度は、93%のフェノール変換率に到達するために、80分間維持された。
【0059】
次に、温度は30分にわたり60℃まで減じられ、同時に75.3gのモノエタノールアミン(1.2モル)が、規則的に、反応混合物に導入された。温度は、60℃で15分間維持され、混合物は30分にわたり約25℃まで冷却され、スルファミン酸が、15%溶液として、pHが5.0になるまで、60分の間ずっと添加された。
【0060】
樹脂は、14℃で8日貯蔵後、8℃で21日後、20℃で1000%超の水希釈能を有する透明水性組成物の外観を有した。
【0061】
樹脂は、液体の合計重量を基準にして表現された、0.06%の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.2%の遊離フェノール含有量を有した。
【0062】
例2(比較)
2級アミンを含むEP 0480778 A2の例4によるフェノール樹脂の調製
564.66gのフェノール(6モル)と1217.43gのホルムアルデヒド(15モル)が、37%水溶液(2.3のホルムアルデヒド/フェノールモル比)として、例1の反応器に導入され、混合物は、攪拌されながら、45℃で加熱された。
【0063】
次いで、56.47gの水酸化ナトリウムが、50%水溶液(すなわち、フェノールに対して5重量%)として、30分の間ずっと規則的に添加され、次いで、温度は、30分にわたり70℃まで漸進的に上げられ、温度は、93%のフェノール変換率に到達するために、90分間維持された。次に、温度は30分にわたり60℃まで減じられ、同時に124.22gのジエタノールアミン(1.2モル)が、規則的に、反応混合物に添加された。温度は、60℃で15分間維持され、次いで、混合物は30分にわたり約25℃まで冷却され、スルファミン酸が、25%溶液として、pHが8.0〜8.1になるまで、60分にわたり添加された。
【0064】
樹脂は、液体の合計重量を基準にして表現された、1.0%の遊離ホルムアルデヒド含有量と1.3%の遊離フェノール含有量を有した。
【0065】
例3(比較)
通常の尿素不含有フェノール樹脂の調製
378gのフェノール(4モル)と857.7gのホルムアルデヒド(12.8モル)が、45%水溶液(3.2のホルムアルデヒド/フェノールモル比)として、例1の反応器に導入され、混合物は、攪拌されながら、45℃で加熱された。
【0066】
次いで、45.36gの水酸化ナトリウムが、50%水溶液(すなわち、フェノールに対して6重量%)として、規則的に添加され、次いで、温度は、30分にわたり70℃まで漸進的に上げられ、温度は、98%のフェノール変換率に到達するために、90分間維持された。
【0067】
混合物は45分にわたり約25℃まで冷却され、固体スルファミン酸が、pHが7.3になるまで、60分にわたり添加された。
【0068】
樹脂は、14℃で21日貯蔵後、20℃で1000%超の水希釈能を有した。
【0069】
樹脂は、液体の合計重量を基準にして表現された、5.3%の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.41%の遊離フェノール含有量を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール-ホルムアルデヒドとフェノール-ホルムアルデヒド-アミン縮合体から本質的に成り、20℃で少なくとも1000%の水希釈能を有するミネラル繊維のサイジング組成物の処方に使用するための液体樹脂であって、液体の合計重量を基準にして表現された、0.3%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.5%以下の遊離フェノール含有量を有することを特徴とする、液体樹脂。
【請求項2】
液体の合計重量を基準にして、0.2%以下の、好ましくは、0.1%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量を有することを特徴とする、請求項1記載の樹脂。
【請求項3】
アミンが、Rが、1〜10個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する、飽和或いは不飽和、直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基を表す式:
R-NH
の1級アミンであることを特徴とする、請求項1又は2記載の樹脂。
【請求項4】
炭化水素基Rが、少なくとも一つのヒドロキシ基を有することを特徴とする、請求項3記載の樹脂。
【請求項5】
アミンが、モノエタノールアミンであることを特徴とする請求項4記載の樹脂。
【請求項6】
0.2%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量、0.4%以下の遊離フェノール含有量と2000%以上の水希釈能を有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の樹脂。
【請求項7】
フェノールとホルムアルデヒドとを、1を超えるホルムアルデヒド/フェノールのモル比で、塩基触媒の存在下反応させること、反応混合物を冷却すること、冷却中に、前記反応混合物にマンニッヒ反応によりホルムアルデヒド及び遊離フェノールと反応するアミンを導入することに存する、フェノール-ホルムアルデヒドとフェノール-ホルムアルデヒド-アミン縮合体から本質的に成り、20℃で少なくとも1000%の水希釈能を有し、液体の合計重量を基準にして表現された、0.3%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量と0.5%以下の遊離フェノール含有量を有する樹脂の調製方法であって、冷却開始から直ちに導入される1級アミンが使用され、反応混合物が10から120分間までに変わる時間の間、導入温度に維持されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
アミンの導入時間が、20〜100分間、好ましくは、25から50分間までに変わることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ホルムアルデヒドが、2〜4、好ましくは、3未満のホルムアルデヒド/フェノールのモル比で、93%以上のフェノール変換率まで、フェノールと反応することを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
1級アミンの導入が、50〜65℃、好ましくは約60℃の温度で、実行されることを特徴とする、請求項7〜9何れか1項記載の方法。
【請求項11】
1級アミンは、Rが、1〜10個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する、飽和或いは不飽和、直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基を表す一般式:
R-NH
の1級アミンであることを特徴とする、請求項7〜10何れか1項記載の方法。
【請求項12】
炭化水素基Rが、少なくとも一つのヒドロキシ基を有することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
アミンが、モノエタノールアミンであることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
1級アミンが、出発フェノールのモルあたり、0.2〜0.7モル、好ましくは、0.25〜0.50モルの量で添加されることを特徴とする、請求項7〜13何れか1項記載の方法。
【請求項15】
冷却後の反応混合物は、pHが、8.5未満、より好ましくは、4〜6となるに十分な量の酸で中和されることを特徴とする、請求項7〜14何れか1項記載の方法。
【請求項16】
酸が、硫酸、スルファミン酸、燐酸及び硼酸から選ばれることを特徴とする、請求項7〜15何れか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜6何れか1項記載のフェノール樹脂と、随意に尿素とサイジング添加物を含む、ミネラル繊維のためのサイジング組成物。
【請求項18】
請求項17記載のサイジング組成物によりサイジングされたミネラル繊維を含む絶縁製品、特に、熱及び/又は音響製品。
【請求項19】
ミネラル繊維、特にガラス繊維若しくは岩石繊維系絶縁製品の製造のための、請求項17記載のサイジング組成物の使用。

【公表番号】特表2010−506026(P2010−506026A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531886(P2009−531886)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052121
【国際公開番号】WO2008/043961
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】