説明

フェノール樹脂を含む鉱物繊維用サイジング組成物および結果としての製品

本発明は、フェノール樹脂、尿素、樹脂架橋触媒および必要に応じて添加剤を含み、前記触媒がスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの混合物であることを特徴とする鉱物繊維用サイジング組成物に関する。
本発明の別の主題は、前述したサイジング組成物によって結合された鉱物繊維、特に微細繊維を基材とする断熱(防音)製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉱物繊維から形成される絶縁製品の製造、特にそのような繊維、特に微細繊維のためのサイジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱物繊維を基材とする断熱(防音)製品は、種々のプロセス、例えば内部または外部の遠心力の繊維化のよく知られた技術によって得られる繊維から形成される。遠心分離は、溶融材料(一般的にガラスまたは岩石)を多数の小孔を有するスピナーに導入ことからなり、前記材料は遠心力の行為およびフィラメントの形態でそれから排出することの条件でスピナーの周縁壁に対して突出する。スピナーを出ることで、フィラメントは繊維のウェブを形成するために受け部材に対する高粘度、高温度のガス流によって減衰しかつ一緒に運ばれる。
【0003】
繊維同士を組立てかつ結合によるウェブを供するために、スピナーを出た繊維は熱硬化性樹脂を含むサイジング組成物で噴射される。前記サイズ(size)で被覆された繊維のウェブは樹脂の重縮合をなすために熱処理(100℃以上の温度で)に委ねられ、したがって特有な特性、特に寸法安定性、引張強度、圧縮後の厚さ回復および均一な色を有する断熱および/または防音製品を得る。
【0004】
前記サイジング組成物は、樹脂(一般的に水溶性の形態で)尿素、架橋触媒、シランおよび鉱物油のような任意の添加物および水から作られる。
【0005】
最も一般的に用いられている熱硬化性樹脂はレゾールの類に属するフェノール樹脂である。レゾールは、フェノールとホルムアルデヒドとの間の反応を促進し、かつ樹脂中の残存フェノール量を減少するために塩基触媒の存在、一般的に1以上のホルムアルデヒド/フェノールモル比でフェノールとホルムアルデヒドの縮合によって得られる。
【0006】
尿素は、遊離ホルムアルデヒドを尿素−ホルムアルデヒド縮合物の形態で取り込むためにサイジング組成物に導入される。
【0007】
前記触媒は強酸、または潜伏性触媒として働く酸のアンモニウム塩、例えばスルファミン酸、シュウ酸、硫酸、メタスルホン酸、トルエンスルホン酸およびフェノールスルホン酸のアンモニウム塩であってもよい(US5952440)。一般的に、触媒は硫酸アンモニウムである。それは樹脂の架橋に関し非常に効果的であることを証明するが、硫酸アンモニウムは最終絶縁製品の機械的性質、特に樹脂が繊維を正確に結合できない事実による減少したその機械的性質、に影響する樹脂の早すぎるゲル化(プリゲル化)を結果としてもたらす。したがって、硫酸アンモニウムは一般的に役割がサイジング組成物を塩基pH(7に等しいかそれ以上)に保持する水溶性アンモニウムのような阻害物と混合物として用いられ、それゆえ後者は樹脂の熱架橋処理まで安定に残る。
【0008】
環境保護に関する規制がより厳しくなるので、絶縁製品の製造はこの種のサイジング組成物によって発生される望ましくない排出物を減少できる解決を求める義務を負っている。
【0009】
オーブン中でサイズされた繊維のウェブの処理を適用する温度条件下で、尿素−ホルムアルデヒド重合物は熱的安定性がなく、かつアンモニアに次々に分解される、ホルムアルデヒドおよび尿素を放出して分解することが知られている。また水溶性アンモニアも同じ条件下でアンモニアガスに分解できると想定される。
【0010】
それゆえ、大気への汚染物の放出を制限するために低温で架橋できるサイジング組成物を提供するための要求がある。
【0011】
さらに、微細繊維が組み込んだ製品は近年現われ、断熱特性、特に40mW(m.K)未満の熱伝導率λを改良する。
【0012】
そのような製品の製造は、しかしサイズされた繊維のウェブが高絶縁容量を有し、かつ従ってウェブ中心での温度が樹脂の完全な架橋をできることを不十分にする事実によって困難を与えられる。この問題を克服する1つの方法は、オーブン中でのウェブの滞留時間を増加することからなるが、これは生産性の低下につながり、かつ追加のコストがオーブンの熱として配慮される。
【0013】
オーブン中のウェブの処理時間を長くせずに、絶縁製品を標準操作条件下で製造されるべき微細鉱物繊維から形成できるために低温で架橋できるサイジング組成物を提供することもまた必要とする。
【発明の概要】
【0014】
これらの課題を達成するために、本発明は熱硬化性樹脂、尿素および架橋触媒および必要に応じて添加物を含み、前記触媒がスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの混合物であることを特徴とするサイジング組成物を提供する。
【0015】
本発明の他の目的は、低熱伝導率λ、特に40mW/(m.K)未満を有する断熱および/または防音製品を形成する目的で鉱物繊維を結合するサイジング組成物の使用、およびそれによって得られる前記製品である。
【0016】
本発明によれば、サイジング組成物は樹脂用架橋触媒としてスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムを組合わせる。
【0017】
スルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの組合せは、しかし最終断熱(防音)製品に繊維の決定的結合を得るために意図する熱処理の前に、繊維上に樹脂ゲルの危険を増大せずに、樹脂の架橋温度を下げる主要な有益さを有する。予期せずに、相乗効果はスルファミン酸アンモニウムのみを用いることによって、または後述するある条件でさえプリゲル化時間を増大することによって得られるプリゲル化時間に近づくレベルでプリゲル化時間を維持することによって表わされる、2つの前述した化合物の組合せに連動されて観測される。
【0018】
さらに、前記組合せはオーブンでアンモニアの放出を下げることを助ける、水溶性アンモニアを添加することを必要としないような安定性をサイジング組成物に与えることができる。
【0019】
一般的な規則として、スルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの含有量は樹脂および尿素固体の2から8重量%、好ましくは2.5から6重量%、有益には2.6から4.2重量%に変化する。
【0020】
好ましくは、硫酸アンモニウムに対するスルファミン酸アンモニウムのモル比は0.5から0.75、有益には0.40から0.60に変化する。
【0021】
本発明に係る熱硬化性樹脂は、塩基触媒の存在、1以上のアルデヒド/フェノール化合物モル比で、フェノール化合物とアルデヒドの反応によって得られるフェノール樹脂から選択される。
【0022】
好ましくは、フェノール化合物はフェノールであり、かつアルデヒドはホルムアルデヒドである。
【0023】
熱硬化性樹脂は、前述したフェノール樹脂の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0024】
そのような樹脂は、3段階:加熱段階、温度保持および冷却段階、を含む温度サイクルによって調製してもよい。
【0025】
第1段階において、アルデヒドとフェノール化合物は60と75℃の間、好ましくは約70℃の温度に徐々に加熱することによって塩基触媒の存在で反応される。アルデヒド/フェノール化合物モル比は1以上、好ましくは2から5、有利には2.3から4.2に変化する。
【0026】
触媒は、当業者が知られている触媒、例えばトリエチルアミン、ライム(CaO),アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムまたはバリウム水酸化物から選択される。ナトリウム水酸化物およびライムが好ましい。
【0027】
触媒の含有量は、フェノールの初期重量に対して2から15重量%、好ましくは5から9重量%、有利に6から8重量%に変化する。
【0028】
第2段階において、反応混合物を加熱した(第1段階の終わり)後に到達される、反応混合物の温度はフェノールの転換度合が少なくとも90%に等しい、好ましくは少なくとも93%、有利には少なくとも97%になるまで維持される。
【0029】
表現“フェノール化合物の転換度合”はフェノール化合物の初期含有量に対してアルデヒドで縮合反応に加担されるフェノール化合物のパーセントを意味することを理解する。
【0030】
第3冷却段階は水によってさらに希釈される(1000%以上の希釈性(dilutability))であろう樹脂に相当する縮合の段階で生じる。冷却混合物の最終温度は約20から25℃である。
【0031】
“希釈性(dilutability)”は永久曇の出現前に所望の温度で水溶性樹脂溶液の1つの体積ユニットに添加することが可能である脱イオン水の体積としてここで規定される。樹脂は、その希釈性が20℃で1000%以上であるとき、サイジング組成物に用いることができることを一般的に考えらている。
【0032】
第3段階の間に、当初の冷却(高温度で)から、および完全な冷却まで(低温度で)、遊離アルデヒドと反応するかもしれない窒素原子を含む化合物、例えば尿素および/または1つ(幾つか)のアルカノールアミンを添加することができる。
【0033】
得られた樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドの縮合反応を停止するために、9以下、好ましくは8.5以下、有利には8以下のpHが酸、好ましくは硫酸またはスルファミン酸の添加によって得られるまで中和される。特に有利には、pHは4以上である。
【0034】
フェノール化合物とアルデヒドの反応によって得られた樹脂は、液体の総重量の2%以下の遊離フェノール含有量および液体の総重量の10%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量を有する。
【0035】
フェノール樹脂は、20℃の測定で、少なくとも1000%に等しい希釈性を有する。
【0036】
樹脂および尿素の100重量部あたり50重量部まで、好ましくは20から45重量部である、遊離アルデヒドと反応するために十分な量で尿素を得られたフェノール樹脂に添加することができる。
【0037】
尿素の添加は、好ましくは周囲温度、特に20および25℃の間、でフェノール樹脂と単純に混合することによって一般的になされる。
【0038】
第1の変形によれば、尿素は他の成分と混合され、鉱物繊維に適用されるサイジング組成物を形成する前に、樹脂に添加され、ある時間に亘って保持されるかもしれない“予備混合”を形成する。予備混合に含まれる尿素は、休止がサイジング組成物の製造の間に導入される状態で、添加されるべき全ての尿素または僅か一部を表わす。
【0039】
第2の変形によれば、サイジング組成物の調製は尿素と他の成分の単純な混合によって即席になされる。
【0040】
本発明に係るサイジング組成物は、以下の添加物を樹脂および尿素の100重量部を基準にして計算される次の配分:
− 0〜2部のシラン、特にアミノシラン;および
− 0〜2部、一般的に4から15部の油、
で含んでもよい。
【0041】
添加物の役割は知られ、かつ簡単に思い出される:シランは繊維と樹脂間を結合するための剤および反エージング剤としてもまた作用する;油は反ダストおよび疎水性剤である。
【0042】
サイジング組成物は、またコストを低減するためにサイズ中のフェノール樹脂含有量を低減する役割を有する少なくとも1つの糖類を含んでもよい。サイジング組成物中の糖類の種類およびその含有量は最終断熱(防音)製品中の結合剤の特性を本質的に変更しないように選択される。自然原産の糖類、例えば糖蜜、特にサトウキビまたはテンサイが好ましい。糖類は、樹脂、尿素および糖類の100重量部を基準にして計算される15重量部までの範囲にする量でサイジング組成物に添加してもよい。
【0043】
サイジング組成物は、鉱物繊維、特にガラスまたは岩石繊維に適用されてもよい。
【0044】
これらのサイズされた繊維から得られる防音および/または断熱製品もまた本発明の主題を構成する。特に、微細繊維へのサイジング組成物の適用は40mW/(m.K)未満の熱伝導率λを有する防音(断熱)製品を得ることができる。
【0045】
以下の例は制限せずに本発明を例証できる。
【0046】
例において、次の分析方法が用いられる:
− 架橋温度は、いわゆる動的機械分析(DMA)法で決定され、この方法はポリマー物質の粘弾性挙動を特徴付けることができる。手順は次のようである:ガラスペーパの試料は試験すべき水溶液(30重量%の固体)で含浸され、それから2つの固定治具の間に水平に締め付けられる。振動素子は、歪の作用が適用されながら応力を測定するデバイスに接続され、デバイスは弾性係数Eを計算できる。試料は4℃/分の速度で30から250℃に変化する温度に加熱される。測定から、温度(単位は℃)の関数として弾性係数E(単位はMPa)の変化の曲線がプロットされる。曲線の変曲(dE/dTmax)点での温度は℃と示される架橋温度に相当する;
− プリゲル化時間は、次のように測定される:30重量%の固体を含む水溶液は平坦な平面形態のレオメータに置かれ、粘度が80℃(等温)で一定歪(0.1%)下で振動しながら測定される。プリゲル化時間、秒、では8Pa.sに等しい粘度を得るために要求される時間である;および
− 引張強度は、断熱(防音)製品から打ち抜くことによって切断される試料上でASTM C 686−71T標準によって測定される。試料は、122mmの長さ、46mmの幅、38mmに等しい切断外縁の曲率半径および12.5mmの内縁の曲率半径を持つトーラスの形状を有する。試料は、試験機の2つの筒状マンドレルの間に置かれ、それらの1つのマンドレルは移動可能で、一定速度で移動する。試料を破壊するための力F(単位はN)が測定され、引張強度は試料の質量に対する破壊力Fの比によって計算され、N/gとして表わされる。
【0047】
例1
即席使用のためのサイジング組成物
フェノール樹脂は、97%以上のフェノール転換度合が得られるまで、前述した温度条件下、触媒(NaOH;フェノールに対して6wt%)の存在でホルムアルデヒドとフェノール(3.2に等しいホルムアルデヒド/フェノールモル比)の反応によって調製した。樹脂は、それからスルファミン酸でpH=7.3に中和した。
【0048】
70重量部のフェノール樹脂と30重量部の尿素が混合された。水は30%に等しい固体含有量を得るために混合物に添加した。
【0049】
前記混合物から、幾つかの組成物が次の化合物の添加によって創られた:
組成物A:2.5部のスルファミン酸アンモニウム+2.5部の
硫酸アンモニウム;
組成物B:2.5部のスルファミン酸アンモニウム;
組成物C:2.5部の硫酸アンモニウム;
組成物D:5部のスルファミン酸アンモニウム;
組成物E:5部の硫酸アンモニウム;および
組成物F:1部の硫酸アンモニウム+2部の20wt%水酸化
アンモニウム溶液。
【0050】
前述した組成物の架橋温度およびプリゲル化時間の測定は、下記表1に挙げられる。
【表1】

【0051】
スルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを組合わせる組成物Aは、組成物Bのプリゲル化時間(430秒)および組成物C(260秒)に比べて十分に増大したプリゲル化時間(700秒)を有するのに対し、組成物Aはこれら2つの値の間の中間の値を有することを予想した。これは、スルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの間の相乗効果を意味する。組成物Aのプリゲル化時間が参照組成物Fのプリゲル化時間に比べて半分に減少されてさえも、組成物Aは断熱(防音)製品を製造する標準条件下で繊維に適用されるために十分に高く残る。
【0052】
組成物Aの架橋温度は、組成物BおよびCに対してそれぞれ6および4℃減少され、同等の触媒含有量を有する組成物DおよびEのそれと同じレベルになる。温度の減少は参照組成物Fに対して大きい(12℃)。
【0053】
例2
フェノール樹脂および尿素の“プレミックス”を用いるサイジング組成物
63重量部の例1のフェノール樹脂および37重量部の尿素が混合した。水は、30%の固体含有量を得るために混合物に添加し、それから混合物は少なくとも48時間撹拌に置いた。
【0054】
前記混合物から、幾つかの組成物が次の化合物の添加によって製造された:
組成物G:1部のスルファミン酸アンモニウム+1部の硫酸アンモ
ニウム;
組成物H:2.1部のスルファミン酸アンモニウム+2.1部の硫
酸アンモニウム;
組成物I:2.1部のスルファミン酸アンモニウム;
組成物J:2.1部の硫酸アンモニウム;
組成物K:4.2部のスルファミン酸アンモニウム;および
組成物L:4.2部の硫酸アンモニウム;および
組成物M:1.1部の硫酸アンモニウム+0.5部の20wt%
水酸化アンモニウム溶液。
【0055】
前述した組成物の架橋温度およびプリゲル化時間の測定は、下記表2に挙げられる。
【表2】

【0056】
スルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの混合物を含む組成物Gは、同等の総含有量でスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムをそれぞれ含む組成物IおよびJに対して低い架橋温度を有し、同時に組成物Iのプリゲル化時間と互角の高いプリゲル化時間を保持する。
【0057】
組成物H中のスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの総含有量の増加は、組成物Gに対して架橋温度を5℃まで低減でき、かつプリゲル化時間を300秒まで増加できる。
【0058】
組成物Hの架橋時間は組成物KおよびLの架橋温度と互角であるのに対し、プリゲル化時間は最も高いプリゲル化時間よりかなり高く、スルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの間の相乗効果を証明する。
【0059】
組成物GおよびHは参照組成物Mと互角のプリゲル化時間およびそれぞれ8および13℃まで減少される架橋温度を有する。
【0060】
例3
ガラス繊維を基材とする断熱(防音)製品の製造
例1のフェノール樹脂(63重量部)および尿素(37重量部)の混合物は、例2の条件下で調製し、次の化合物を添加した:
組成物N:1.7部のスルファミン酸アンモニウム+1.7部の硫
酸アンモニウム+0.5部のシラン(GEシリコンで市販される
Silquest A-1100(登録商標)):および
組成物O:1.1部の硫酸アンモニウム+0.4部の20wt%
水酸化アンモニウム溶液+0.5部のシラン(GEシリコンで市販
されるSilquest A-1100(登録商標))。
【0061】
これらのサイジング組成物は、ガラスウールを基材とする断熱(防音)製品を製造するためにインラインで用いた:サイジング組成物はスピナーで形成されるガラスフィラメントに亘って分けて噴射されるように希釈し、その前にガラスフィラメントは前記サイズ(size)の架橋を保証するために250または265℃で空気を吹き出すファンを装備するオーブンに搬送されたウェブの形態でコンベアーベルトに集めた。
【0062】
オーブン煙突の出口で、ウェブの熱処理の間に放出されるアンモニア量を測定した。
【0063】
得られた製品は、160mmの厚さ、19.5kg/m3の密度および7%に等しい強熱減量(LOI)を有した。製品の引張強度および熱伝導率λを測定した。
【0064】
測定の結果は下記表3に挙げられる。
【表3】

【0065】
265℃で架橋されるサイジング組成物Nから得られた断熱(防音)製品は、参照組成物Oで処理される製品より約5倍低いアンモニア量を放出した。
【0066】
250℃の温度でのサイジング組成物の架橋は、満足し;得られた製品は参照サイジング組成物Oで得られた製品に対し、かつ265℃で処理された同じサイジング組成物で被覆された製品に対しても改良した引張強度(+17.25%)を有していた。
【0067】
例4
ガラス繊維を基材とする断熱(防音)製品の製造
例1のフェノール樹脂(63重量部)および尿素(37重量部)の混合物は、例2の条件下で調製し、次の化合物を添加した:
組成物P:2部のスルファミン酸アンモニウム+2部の硫酸アンモ
ニウム+0.5部のシラン(GEシリコンで市販されるSilquest
A-1100(登録商標)):および
組成物Q(参照):1.1部の硫酸アンモニウム+0.4部の20
wt%水酸化アンモニウム溶液+0.5部のシラン(GEシリコン
で市販されるSilquest A-1100(登録商標))。
【0068】
各サイジング組成物は例3の条件下でガラスフィラメントに分けて適用し、オーブン中の温度を265℃に等しくする。
【0069】
得られた製品は、180mmの厚さ、13.4kg/m3の密度、7%に等しい強熱減量(LOI)および37.0mW/(m.K)に等しい熱伝導率λを有していた。
【0070】
サイジング組成物PおよびQから得られた断熱(防音)製品は、それぞれ3.8および3.1N/gに等しい引張強度を有していた。
【0071】
サイジング組成物Pで処理された製品の引張強度の改良(+22.6%)は、熱処理の間に前記サイズ(size)のより良好な架橋能力を意味する。
【0072】
例5
ガラス繊維を基材とする高密度断熱(防音)製品の製造
例1のフェノール樹脂(59.5重量部)および尿素(25.5重量部)を含む混合物が調製された。水は、30と60%の間の固体含有量を得るために前記混合物に添加され、それから混合物は少なくとも8時間に亘って撹拌に置かれた。次いで、糖蜜(15重量部;Agrokommerzによる固体)を添加した:
次の化合物が前述した混合物に添加された:
組成物P:1.3部のスルファミン酸アンモニウム+1.3部の硫
酸アンモニウム;および
組成物Q:1部の硫酸アンモニウム+3部の20wt%水酸化アン
モニウム溶液。
【0073】
サイジング組成物は、例3の条件下(オーブンの空気温度:250℃)でガラスウールを基材とする断熱(防音)製品を工業的製造するためにインラインで用いた。
【0074】
得られた製品は、75.6kg/m3に等しい密度および7.7%に等しい強熱減量(LOI)を有した。
【0075】
オーブン煙突の出口で、ガラスウールの熱処理の間に放出されるアンモニア量を測定した。
【0076】
組成物 アンモニア(mg/Nm3
P 45
Q 90
例6
フェノール樹脂および尿素の“プレミックス”を用いるサイジング組成物
フェノール樹脂は、70℃、60分間なされる前述した第2段階、触媒(NaOH;フェノールに対して5wt%)の存在でホルムアルデヒドとフェノール(4に等しいホルムアルデヒド/フェノールモル比)の反応によって調製した。樹脂は、それから硫酸でpH=7.4に中和した。
【0077】
67重量部の前記フェノール樹脂と33重量部の尿素が混合された。水は30と60%の間に固体含有量を得るために混合物に添加し、それから少なくとも8時間に亘って撹拌に置いた。
【0078】
前記混合物から、以下の組成物が次の化合物を添加することによって製造された:
組成物R:1.3部のスルファミン酸アンモニウム+1.3部の
硫酸アンモニウム;および
組成物S:1.8部の硫酸アンモニウム+2.5部の20wt%
水酸化アンモニウム溶液。
【0079】
組成物RおよびS(参照)はそれぞれ2035秒および2090秒に等しいプリゲル化時間を有していた。これらのプリゲル化時間は類似であると考えられる。
【0080】
組成物RおよびSは180℃で架橋され、かつ架橋の間に放出されるアンモニア量が測定された:
組成物 アンモニア
(g/kgの架橋サイズ)
R 0,86
S(参照) 2.09
組成物Rへのスルファミン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの混合物の添加は58.85%までアンモニア放出を減少できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂、尿素、樹脂架橋触媒および必要に応じて添加剤を含み、前記触媒はスルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの混合物であることを特徴とする鉱物繊維、特に岩石またはガラス繊維用サイジング組成物。
【請求項2】
スルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの含有量は前記樹脂および尿素固体の2から8重量%で変化することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記含有量は2.5から6%,有利には2.6から4.2%で変化することを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
硫酸アンモニウムに対するスルファミン酸アンモニウムのモル比は、0.25から0.75、有利には0.40から0.60で変化することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂はフェノール化合物とアルデヒドを塩基触媒の存在、1以上のアルデヒド/フェノール化合物のモル比での反応によって得られるフェノール樹脂から選択されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
アルデヒド/フェノール化合物モル比は2から5、好ましくは2.3から4.2で変化することを特徴とする請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記フェノール化合物がフェノールであり、かつ前記アルデヒドがホルムアルデヒドであることを特徴とする請求項5または6記載の組成物。
【請求項8】
前記樹脂は、液体の総重量の2%以下の遊離フェノール含有量および液体の総重量の10%以下の遊離ホルムアルデヒド含有量を有することを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記尿素は樹脂および尿素の100重量部当たり50重量部まで、好ましくは20から45重量部であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
以下の添加剤を樹脂および尿素固体の100重量部を基準にして計算される次の配分:
− 0から2部のシラン、特にアミノシラン;および
− 0から20部、一般的に4から15部のオイル、
でさらに含むにとを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
40mW/(m.K)未満の熱伝導率λを有する断熱および/または防音製品を作るための請求項1ないし10いずれか1項記載のサイジング組成物の使用。
【請求項12】
鉱物繊維、特にガラスまたは岩石繊維を基材とする断熱および/または防音製品であって、前記繊維は請求項1ないし10いずれか1項記載のサイジング組成物で被覆されることを特徴とする製品。
【請求項13】
40mW/(m.K)以下の熱伝導率λを有することを特徴とする請求項12記載の製品。

【公表番号】特表2010−513736(P2010−513736A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542156(P2009−542156)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052561
【国際公開番号】WO2008/084173
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】