説明

フェノール系ポリマー及びこれを含有するフォトレジスト

【課題】本発明は、ポリマー主鎖から間隔が空けられて位置するフェノール性基及びフォト酸不安定性基を含む、新規なポリマーを含むフォトレジストを提供する。
【解決手段】本発明は、ポリマー主鎖から間隔が空けられて位置するフェノール性基及びフォト酸不安定性基を含む、新規なポリマーに関する。本発明の好ましいポリマーは、化学増幅型ポジ型レジストの成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォト酸不安定性基、及び、例えば重合されたアクリラート部分を介するような、コポリマーから間隔が空けられて位置する別のフェノール性を含む、新規なフェノール系コポリマーに関する。本発明のポリマーは、化学増幅型ポジ型レジストの成分として特に有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、基体への画像の転写のために使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層が、基体の上に形成され、次いで、フォトレジスト層が、フォトマスクを通して、活性化放射線源に露光される。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透明である領域及び活性化放射線に対して透明である他の領域を有する。活性化放射線への露光によって、それによってフォトマスクのパターンをフォトレジストコートした基体に転写するための、フォトレジストコーティングの光誘導化学変換がもたらされる。露光に続いて、フォトレジストが現像され、基体の選択的処理を可能にするレリーフ画像が得られる。
【0003】
化学増幅型のレジストは、特に、サブミクロン画像の形成及び他の高性能応用のために、ますます使用されてきている。このようなフォトレジストは、ネガ型又はポジ型であってよく、一般的に、光発生した酸の単位当たり、多数の架橋事象(ネガ型レジストの場合)又は脱保護反応(ポジ型レジストの場合)を含有している。ポジ型化学増幅型レジストの場合に、フォトレジストバインダーからの或る種の「ブロッキング」基側鎖の開裂又はフォトレジストバインダー主鎖を含む或る種の基の開裂を誘導するために、或る種のカチオン性光開始剤が使用されてきた。
【0004】
現在利用可能なフォトレジストは、多数の応用のために適しているけれども、現在のレジストは、特に高性能応用、例えば、高度に解像されたサブ−ハーフミクロン(sub−half micron)及びサブ−クォーターミクロン(sub−quarter micron)フィーチャー(feature)の形成において、顕著な欠点を示し得る。
【0005】
従って、270nm以下、例えば、248nmの波長(KrFレーザーによって与えられる)の露光放射線を含む、短波長放射線によって光画像形成できるフォトレジストが、関心のあるものである。KrFステッパーによって露光された或る種のレジストを報告している日本国特開平08−44063号(JP1996044063)参照。このような短い露光波長の使用は、より小さいフィーチャーの形成を可能にできる。従って、248nm露光で十分に解像された画像を生じるフォトレジストは、例えば、より大きい回路密度及び増強されたデバイス性能を得るために、より小さい寸法の回路パターンについての絶え間ない工業的要求に応える、極めて小さい(例えば、サブ0.25μm)フィーチャーの形成を可能にできる。
【特許文献1】特開平08−44063号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、新規なフォトレジスト組成物、特に、短い波長、例えば、248nmで画像形成できるレジスト組成物を有することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フォト酸不安定性(photoacid−labile)単位、及び少なくとも炭素又は他の原子によってポリマー主鎖から間隔が空けられて位置する(speced)フェノール性基を含有する、新規なフェノール系ポリマーを見出した。
【0008】
本発明の特に好ましいポリマーは、ポリマー主鎖から間隔が空けられて位置するフェノール性部分を含む、重合されたアクリラート基を含む。
【0009】
一つの態様において、ポリマーが、下記の式I:
【0010】
【化1】

【0011】
[式Iにおいて、Zはブリッジ(bridge)単位であり、Xは1以上の原子であり、それぞれのRは、同じか又は異なった非水素置換基であり、そしてmは、ゼロ(この場合、R置換基は存在しない)から4までの整数である]
の構造を含む繰り返し単位を含む、ポリマー及びこのようなポリマーを含むフォトレジストが提供される。
【0012】
本発明の或る好ましい態様において、ポリマーが、下記の式II:
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Rは、水素又はアルキル、例えば、C1−6アルキル、特にメチルであり、そしてX、R及びmは、前記式Iについて定義されたのと同じものである)
の構造を含む繰り返し単位を含む、ポリマー及びこのようなポリマーを含むフォトレジストが提供される。
【0015】
好ましいポリマー及びこのようなポリマーを含むフォトレジストは、上記の式I及びIIのもののような間隔が空けられて位置するフェノール性単位とは別個の追加の繰り返し単位を含んでよく、即ち、本発明の好ましいポリマーとしては、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマー及び他の高次ポリマーが挙げられ、ターポリマー及びテトラポリマーが、多くのフォトレジスト応用のために特に適している。
【0016】
一般的に好ましい高次ポリマーは、このポリマーを含むフォトレジストのリソグラフ処理を容易にする繰り返し単位を含んでいてよい。従って、好ましい追加のポリマー繰り返し単位としては、フォト酸不安定性基、例えば、光発生酸の存在下でアルカリ性水溶性基、例えば、カルボキシを発生し得るもの;リソグラフ処理に対して実質的に不活性であり得る基、例えば、典型的なリソグラフ条件下で開裂反応を受けない環置換基、例えば、ハロゲン、C1−6アルキルを含む任意に置換されたアルキル、C1−6アルコキシを含む任意に置換されたアルコキシ、シアノ含有基によって任意に置換されたフェニル。
【0017】
更に特に、本発明の好ましい高次ポリマーは、間隔が空けられて位置するフェノール性基に加えて、任意に存在する追加の別個の繰り返し単位と共に、フォト酸不安定性基を含有していてよい。例えば、本発明の好ましいポリマーには、下記の式III:
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、それぞれのZは、同じか又は異なったブリッジ単位であり;X、R及びmは、前記式Iにおいて定義されたのと同じものであり、
ALは、フォト酸不安定性基、例えば、フォト酸不安定性エステル又はアセタール基を含む部分であり、
Yは、間隔が空けられて位置するフェノール性基またはALを含む部分とは異なる部分であり、例えば、適切なY基は、リソグラフ処理に対して実質的に非反応性である部分、例えば、リソグラフ処理に対して実質的に不活性である部分、例えば、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルコキシによって任意に置換されたフェニル;フォト酸誘導開裂反応を受けないエステル基;例えば5〜20個の環炭素原子を有する脂環式基、例えば、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル;及びラクトン、例えば、ブチロラクトン;を含んでよく、
a、b及びcは、ポリマー中の全繰り返し単位基準の、それぞれのポリマー単位のモルパーセントであり、a及びbは、それぞれゼロよりも大きく、そしてcはゼロであってよい(この場合、ポリマー中にY基は存在しない)か又はゼロよりも大きくてもよい]の構造を含むものが含まれる。aの好ましい値は、5から約95以上までのパーセント、更に典型的に、約10から約40、50、60、70、80又は90パーセントまでであり;bの好ましい値は、約1から約70までのパーセント、更に好ましくは、約2、3、4又は5から約10、15、20、25、30、40又は50パーセントまでであり;cの好ましい値は、ゼロ、1、2、5、10又は15から約20、25、30、40、50又は60までのパーセント、更に典型的に、約5又は10から約15、20、25又は30パーセントまでである。
【0020】
一つの態様において、本発明の好ましいポリマーは、間隔が空けられて位置するフェノール性基に加えて、フォト酸不安定性エステル基を含む。例えば、このような好ましいポリマーは、下記の式IV:
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、X、R、m、Y,a、b及びcは、それぞれ、前記式IIIにおいて定義されたのと同じものであり;
それぞれのRは、同じであるか又は異なっており、水素又は任意に置換されたアルキル、例えば、任意に置換されたC1−6アルキル、特にメチルであり;並びに
Pは、フォト酸不安定性エステルを提供する部分であり、特に、ここでPは、エステル酸素に結合された完全に置換されたアルキル原子、例えば、tert−ブチル及びメチルアダマンチルを提供する)
の構造を含む。
【0023】
本発明の好ましいポリマーは、フォトレジスト組成物の樹脂成分として非常に有用であり得る。本発明のレジストは、典型的に、樹脂成分に加えて、光活性成分、例えば、1種以上のフォト酸発生剤化合物を含有している。本発明のフォトレジストは、また、樹脂のブレンド(但し、少なくとも1種の樹脂ブレンドメンバーは、本発明のポリマーである)を含有していてよい。好ましいフォトレジストは、本発明のポリマー及び/又はレジストの他の成分、例えば追加の樹脂が、1種以上のフォト酸不安定性基を含む、化学増幅型レジストである。
【0024】
本発明は、また、高度に解像されたレリーフ画像、例えば、それぞれのラインが、本質的に垂直の側壁及び0.40ミクロン以下のライン幅及び0.25、0.20又は0.16ミクロン以下の幅をも有する、ラインのパターンを形成するための方法を含む、レリーフ画像を形成するための方法を提供する。本発明は、更に、その上にコートされた本発明のポリマー、フォトレジスト又はレジストレリーフ画像を有する基体、例えば、マイクロエレクトロニクスウェーハ基体又は液晶ディスプレイ若しくは他のフラットパネルディスプレイ基体を含む製造物品を提供する。本発明は、また、本発明のフォトレジスト及び/又はポリマーを使用する、このような物品、特に半導体チップの製造方法を含む。
【0025】
更に、好ましい態様において、本発明は、改良されたイオン注入プロセスを提供する。このようなプロセスは、マスクとして機能する本発明のフォトレジストをその上に有する基体(例えば、半導体ウェーハ)の表面の中に、ドーパントイオン(例えば、第III族及び/又は第V族イオン、例えば、ホウ素、ヒ素、リンなど)を注入することを含んでいてよい。レジストマスクした基体を、低下した圧力及びイオン化可能なソースからのイオンのプラズマを与えることができる反応チャンバーの中に入れることができる。これらのイオンには、基体の中に注入されるとき電気的に活性であるドーパントが含まれる。ドーパントイオンを選択的に注入するために、電圧を反応チャンバー内で(例えば、導電性のチャンバー壁により)適用することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、以下に開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
前記のように、ポリマー主鎖から1個以上の原子により間隔が空けられて位置するフェノール性基を含むポリマーが提供される。典型的なスペーサー基は、ポリマー主鎖とフェノール性基との間に介在する、1個以上の原子、一般的に1〜約2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の原子の鎖を含む、アルキル及び/又はヘテロ原子、例えば、酸素若しくは任意に置換された硫黄(例えば、S(O)、S(O))を含んでよい。本発明のポリマーは、フォトレジスト樹脂成分として特に有用である。
【0028】
本発明のポリマーは、また、間隔が空けられて位置するフェノール性基に加えて、単位を含有してよい。前記のように、好ましいポリマーは、1種以上のフォト酸不安定性基を含有する繰り返し単位を含む。
【0029】
適切なフォト酸不安定性基としては、エステル及びアセタール基が挙げられる。t−ブチルエステル及び炭素脂環式不安定性エステル基が好ましい。このようなエステルの好ましい脂環式基は、少なくとも約125又は約130Åの分子体積、更に好ましくは少なくとも約140又は160Åの分子体積を有するであろう。少なくとも幾つかの応用において、約220又は250Åよりも大きい脂環式基は、あまり好ましくないであろう。分子体積に対する本明細書における言及は、最適化された化学結合長さ及び角度を与える、標準コンピュータモデル化によって決定されたときの体積サイズを指定する。本明細書において言及されるような、分子体積を決定するための好ましいコンピュータプログラムは、トリポス社(Tripos)から入手できるアルケミー(Alchemy)2000である。分子サイズのコンピュータに基づく決定の更なる検討について、T Omoteら、Polymers for Advanced Technologies、第4巻、第277〜287頁を参照されたい。
【0030】
フォト酸不安定性単位の特に好ましい第四級脂環式基には、下記のもの(式中、波線は、エステル基のカルボキシル酸素への結合を示し、そしてRは、適切に場合によって置換されたアルキル、特にC1−8アルキル、例えばメチル、エチルなどである)が挙げられる。
【0031】
【化5】

【0032】
適切なフォト酸不安定性アセタール基は、ビニルエーテル、例えば、エチルビニルエーテルとヒドロキシ基又はカルボキシ基との反応によって得ることができる。
【0033】
これに関して、フォト酸不安定性基は、また、他のモノマー又は予備形成させたポリマーにグラフトさせることができる。例えば、フォト酸不安定性エステル及びアセタール部分を、形成された樹脂又はフェノール系モノマーのフェノール性−OH基に適切にグラフトさせることができる。例えば、ヒドロキシ基にグラフトされたエステルは、好ましい酸不安定性基である(光発生した酸の存在下で脱エステル化が起こって、現像剤可溶化カルボキシ基を与える)。このようなエステルは、例えば、ハロアセタート化合物(例えば、クロロ酢酸tert−ブチル)とフェノール性ヒドロキシ基との反応によって得ることができる。アセタール基は、また、好ましいフォト酸不安定性基であり;例えば、ビニルエーテル化合物を、フェノール性ヒドロキシ部分にグラフトさせて、フォト酸不安定性アセタール基を得ることができる。フォト酸不安定性アセタール基を得るための適切なビニルエーテル試薬には、少なくとも1の−(CH=CH)−O−基を有する化合物、例えば、エチルビニルエーテルなどが含まれる。
【0034】
本発明のポリマーは、また、フォト酸不安定性基に加えて又はその代わりに、他の基を含んでいてよい。例えば、溶解増強剤、例えば、無水物及びラクトンを、本発明のポリマー中に含有させることができる。適切な無水物には、例えば、無水マレイン酸及び/又はイタコン酸無水物を含む重合された単位が挙げられる。適切なラクトン基には、例えば、ブチロラクトン部分が含まれる。コントラスト増強基、例えば、メタクリル酸、アクリル酸の重合によって得られる基並びにフォト酸不安定性基で保護されたこのような基、例えば、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸t−ブトキシ及びメタクリル酸t−ブチルもまた、本発明のポリマー中に存在してよい。前記のように、フォトリソグラフィーに対して本質的に不活性である基、例えば、炭素環式アリール基、特に、スチレンと、フェニル又は他のアリール基〔熱(例えば、150〜200℃)及びフォトリソグラフィーのフォト酸条件に対して本質的に非反応性である単位によって任意に置換されている〕との反応によって得ることができるフェニル基もまた、使用することができる。
【0035】
本発明の或る態様において、重合されたアクリラート基を含むポリマーが提供される。アクリラート化合物又はポリマーに対する本明細書における言及は、メタクリラートのような置換されたアクリラートを含む。フェノール性/アクリラートコポリマー並びに高次ポリマー、例えば、ターポリマー及びテトラポリマーが特に好ましい。1以上のポリマー繰り返し単位は、重合されたアクリラート基(間隔が空けられて位置するフェノール性単位及び/又はフォト酸不安定性部分を含む単位(単一種または複数種)が挙げられる)を含んでいてよい。
【0036】
本発明の適切なポリマーは、30〜90モルパーセントのフェノール性単位、更に好ましくは40〜60モルパーセントのフェノール性単位を含有している。非フェノール性(ヒドロキシ又はカルボキシ置換無し)フェニル単位を含有するポリマーは、適切に、全ポリマー単位基準で3〜30又は40モルパーセント、好ましくは全ポリマー単位基準で5〜10、15又は20モルパーセントの量で存在するこのような単位を有する。
【0037】
前記のように、前記の式のポリマーの部分を含有する、本明細書中に記載した種々の部分は、任意に置換されていてよい。「置換された」基は、1個以上の利用可能な位置、典型的に1、2又は3位で、1種以上の適切な基、例えば、ハロゲン(特に、F、Cl又はBr);シアノ;ニトロ;C1−6アルキルスルホニル、例えば、メシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C2−8アルケニル;C2−8アルキニル;ヒドロキシル;アルカノイル、例えば、C1−6アルカノイル、例えば、アシルによって置換されていてよい。
【0038】
ポリマー合成
【0039】
本発明のポリマーは、種々の方法によって製造することができる。
【0040】
間隔が空けられて位置するフェノール性部分を有する種々のモノマーは、市販されている。適切なモノマーは、また、容易に合成することができる。例えば、ヒドロキノン化合物とアクリル系酸無水物とを、酸性条件下で反応させて、間隔が空けられて位置するフェノール性アクリラート化合物を得ることができる。例えば、ヒドロキシフェニルメタクリラートを生成する、下記の実施例1の手順を参照されたい。
【0041】
更に特に、適切なモノマーは、下記の反応図式1に示されるようにして製造することができる。
【0042】
【化6】

【0043】
代表的反応図式1において略述するように、反応図式1に示されるポリヒドロキシフェニル化合物、例えば、ヒドロキノン1とビニル酸無水物2との、酸の存在下での反応によって、フェノール性メタクリラート化合物3を得ることができる。上記の反応図式1において、示した「R」は、前記の式(I)において定義したのと同じものである。反応図式1の特に好ましい合成は、下記の実施例1に例示する。
【0044】
【化7】

【0045】
代表的反応図式2において略述するように、上記の反応図式1における試薬2として、ビニル酸無水物を使用することができる。更に特に、アクリラート酸4を、酸無水物5と、好ましくはさらなる酸の存在下で反応させて、フェノール性メタクリラート化合物3を生成するためのビニル酸無水物6を得ることができる。上記の反応図式2において、示した「R」は、前記の式(I)において定義したのと同じものである。反応図式2の特に好ましい合成は、下記の実施例2に例示する。
【0046】
【化8】

【0047】
上記の代表的反応図式3において略述するように、ポリヒドロキシ化合物7を、酸無水物8と、好ましくは酸の存在下で反応させて、モノエステルフェノール性中間体9を得ることができる。所望により、過剰の出発物質を回収することができ、次いで、化合物9をアクリラート酸10と、好ましくはさらなる酸の存在下で反応させて、フェノール性メタクリラート化合物11を得ることができる。上記の反応図式3において、示した「R」は、前記の式(I)において定義したのと同じものである。反応図式3の特に好ましい合成は、下記の実施例3に例示する。
【0048】
反応図式3において略述する二工程プロセスによって、比較的安価な試薬(例えば、AcO)の使用を含む、幾つかの注目すべき利点を得ることができる。更に、反応図式3のプロセスは、化合物11のRが水素であるアクリラート化合物11の合成を容易にすることができる。
【0049】
本発明のポリマーを形成するために使用することができる特に好ましいモノマーには、下記の式V:
【0050】
【化9】

【0051】
(式中、R、R及びmは、前記の式I〜IVにおいて定義した通りである)
のものが含まれる。
【0052】
下記の式VI:
【0053】
【化10】

【0054】
(式中、Rは、水素又は任意に置換されたアルキル、例えば、任意に置換されたC1−6アルキルであり、Rは好ましくは水素又はメチルである)
の化合物のようなアクリラートは、本発明のポリマーを製造するために使用するために特に好ましいモノマーである。
【0055】
本発明のポリマーは、フリーラジカル重合を含んでよい付加反応により、例えば、ラジカル開始剤の存在下で、不活性雰囲気(例えば、N又はアルゴン)下で、例えば、70℃以上の上昇した温度で(けれども、反応温度は、使用する特別の試薬の反応性及び(溶媒を使用する場合)反応溶媒の沸点に依存して変えることができる)、前記のような種々の単位を与えるために選択されたモノマー(その一つは、間隔が空けられて位置するフェノール性基を含む)の反応により、適切に形成することができる。適切な反応溶媒には、例えば、テトラヒドロフラン及び乳酸エチルが挙げられる。どのような特別のシステムのための適切な反応温度も、本明細書の開示に基づいて当業者により経験的に容易に決定することができる。種々のフリーラジカル開始剤を使用することができる。例えば、アゾ化合物、例えば、アゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルを使用することができる。過酸化物、ペルエステル(peresters)、過酸及び過硫酸塩も、使用することができる。代表的試薬及び反応条件について、下記の実施例4及び7を参照されたい。
【0056】
本発明のポリマーを得るための反応のための適切なモノマーには、任意に置換されたビニルフェニル、任意に置換されたスチレン、任意に置換されたα−メチルスチレン、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、2−メチルアダマンチルメタクリラート、2−メチルアダマンチルアクリラート又はα−ブチロラクトンメタクリラートが挙げられる。
【0057】
本発明のポリマーを得るために反応させることができる他のモノマーは、当業者によって同定することができる。例えば、酸不安定性基を与えるために、対応するモノマー、例えば、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブトキシ、メタクリル酸t−ブチル及びメタクリル酸エトキシエチルを反応させることができ;側鎖酸基を与えるために、対応するモノマー酸モノマー、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸;並びに溶解増強剤、例えば、適切なモノマー、例えば、イタコン酸無水物及び無水マレイン酸の反応によって得ることができる無水物を反応させることができる。
【0058】
本発明のポリマーは、適切に、広範囲の分子量及び分子量分布を有することができる。例えば、本発明のポリマーは、適切に、3以下の分子量分布(Mw/Mn)、更に好ましくは2以下の分子量分布で、1,000〜100,000、更に好ましくは2,000〜30,000、なお更に好ましくは2,000〜15,000又は20,000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。本発明のポリマーの分子量(Mw又はMn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定される。
【0059】
フォトレジスト組成物
【0060】
前記のように、更に、間隔が空けられて位置するフェノール性基を有する樹脂を含有する樹脂成分を含むフォトレジスト組成物が提供される。
【0061】
本発明のフォトレジスト組成物は、短波長、特に248nmに露光した際に、高度に解像されたレリーフ画像を与えることができる。本発明のフォトレジストは、好ましくは、レジストコーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度差を与えるために、側鎖アルキルエステル又はアセタールポリマー基のフォト酸誘導開裂を利用する、化学増幅型ポジ型レジストである。
【0062】
フォトレジスト配合物中に使用される本発明のポリマーは、所望したときレジストレリーフ画像の形成を可能にするために十分な量の光発生した酸不安定性エステル基を含有しているべきである。例えば、このような酸不安定性エステル基の適切な量は、ポリマーの全単位の少なくとも1モルパーセント、更に好ましくは2〜50又は60モルパーセントであろう。代表的な好ましいポリマーについて、下記の実施例を参照されたい。
【0063】
前記のように、本発明のレジストは、間隔が空けられて位置するフェノール性基を有するポリマーに加えて、およびこのポリマーとは別に、1種以上のポリマーを含有することができる。このような追加のポリマーには、比較的穏和な条件下で脱ブロックされうるフォト酸不安定性基を有するもの、例えば、アセタール基を有するポリマーが挙げられる。このような、アセタール基を有するさらなるポリマーは、適切に、例えば、フェノール系ポリマーとエーテルビニルエーテル又は他のビニルエーテルとの反応により、フェノール性−OH部分にグラフトされたアセタール基を有するフェノール系ポリマー(例えば、ポリ(ビニルフェノール))であってよい。
【0064】
このような樹脂ブレンドのそれぞれのメンバーの量は、かなり広く変化させることができ、例えば、間隔が空けられて位置するフェノール性基を有するポリマーの、第二の別個の樹脂に対する重量比は、1:10〜10:1であってよく、更に好ましくは2:8〜8:2の重量比であってよい。
【0065】
本発明のフォトレジストは、光活性成分、好ましくは、活性化放射線への露光の際に、レジストのコーティング層内に潜像を発生させるために十分な量で適切に使用される、1種以上のフォト酸発生剤(即ち、「PAG」)を含む。適切なフォト酸発生剤には、イミドスルホナート、例えば、下記の式:
【0066】
【化11】

【0067】
[式中、Rは、カンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)並びにペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホナート及びペルフルオロノナンスルホナートである]
の化合物が含まれる。特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0068】
スルホナート化合物、特にスルホン酸塩は、本発明のコーティング組成物によってオーバーコートされるレジストのための適切なPAGでもある。193nm及び248nm画像形成のための2種の適切な試薬は、下記のPAG1及びPAG2:
【0069】
【化12】

【0070】
である。
【0071】
このようなスルホナート化合物は、上記のPAG1の合成を詳述している欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に記載されているようにして製造することができる。
【0072】
上記のカンフルスルホナート基以外のアニオンで複合化された、上記の2種のヨードニウム化合物も適切である。特に、好ましいアニオンには、式RSO−(式中、Rは、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)及びペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)である)のもの、特に、ペルフルオロオクタンスルホナート、およびペルフルオロブタンスルホナートが挙げられる。
【0073】
他の公知のPAGもまた、本発明のレジスト中に使用することができる。
【0074】
本発明のレジストの好ましい任意の添加物は、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を増強させることができる、添加された塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)又はテトラブチルアンモニウムラクタートである。添加された塩基は、比較的少量、例えば、全固体に対して0.03〜5重量パーセントで適切に使用される。
【0075】
本発明のフォトレジストには、また、他の任意の物質が含有されていてよい。例えば、他の任意の添加物には、皺防止剤(anti−striation agent)、可塑剤、感度増強剤などが含まれる。このような任意の添加物は、典型的に、比較的高濃度で、例えば、レジストの乾燥成分の全重量の5〜30重量パーセントの量で存在していてよい充填材及び染料以外は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在するであろう。
【0076】
本発明のレジストは、当業者によって容易に製造することができる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分を、適切な溶媒、例えば、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート及び3−エトキシエチルプロピオナート中に溶解させることによって製造することができる。典型的に、組成物中の固体含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の5〜35重量パーセントの間で変化する。樹脂バインダー及び光活性成分は、フィルムコーティング層並びに良好な品質の潜像及びレリーフ画像の形成を得るために十分な量で存在すべきである。レジスト成分の代表的な好ましい量について、下記の実施例を参照されたい。
【0077】
本発明の組成物は、一般的に公知の手順に従って使用される。本発明の液体コーティング組成物は、例えば、スピニング、浸漬、ローラコーティング又は他の一般的コーティング技術によって、基体に適用される。スピンコーティングのとき、コーティング溶液中の固体含有量は、使用する特定のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度及びスピニングのために許容される時間の長さに基づいて、所望のフィルム厚さを得るように調節することができる。
【0078】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストでコートすることを含むプロセスで一般的に使用される基体に適切に適用される。例えば、この組成物は、マイクロプロセッサ及びその他の集積回路コンポーネントの製造用の、シリコンウェーハ又は二酸化ケイ素でコートされたシリコンウェーハの上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウム砒素、セラミック、石英、銅、ガラス基体も、適切に使用される。
【0079】
本発明のレジスト及び方法は、例えば、薄膜ヘッド(例えば、3〜5μm)、磁気ディスク、CDマスク及びバック−エンドインプラント(back−end implant)の製造において特に有用である。
【0080】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、これを、好ましくはフォトレジストコーティングが粘着性でなくなるまで、加熱して溶媒を除去することによって乾燥させる。その後、これを、一般的な方法でマスクを通して画像形成する。露光は、フォトレジストシステムの光活性成分を有効に活性化して、レジストコーティング層内にパターン化された画像を作るために十分であり、更に特に、露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的に、1〜100mJ/cmの範囲内である。
【0081】
前記のように、本発明のレジスト組成物のコーティング層を、好ましくは、短い露光波長、特にサブ300nm露光波長、例えば、248nmによって光活性化させる。しかしながら、本発明のレジスト組成物は、また、より高い波長で適切に画像形成することができる。例えば、本発明の樹脂は、適切なPAGと配合されることができ、化学増幅型ポジ型I線レジスト、即ち、365nmで画像形成されるレジストとして使用することができる。本発明のレジストは、また、電子ビームによる露光(Eビーム露光)及び極UV露光(EUV)、例えば、サブ50n又はサブ20nm露光、特に13nm露光のために有用であろう。
【0082】
露光に続いて、この組成物のフィルム層を、好ましくは、70℃〜160℃の範囲内の温度でベークする。その後、フィルムを現像する。露光されたレジストフィルムを、極性現像液、好ましくは水性現像液、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;種々のアミン溶液、好ましくは0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン又はメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン;環式アミン、例えば、ピロール、ピリジンなどを使用することによって、ポジ型作用させる。一般的に、現像は当該技術分野で認められた手順に従う。
【0083】
現像及び全ての現像後熱硬化の後で、イオン注入プロセスを、例えば、1種以上のドーパントイオン、例えば、アルゴン、ホウ素、フッ化ホウ素、ヒ素、リン及び/又は窒素による(ヒ素、リン及び/又はホウ素がより典型的に使用される)、レジストレリーフ画像を有する基体の衝撃(bombardment)により実施することができる。イオン注入は、好ましくは、高エネルギー条件下で、例えば、20eV以上、例えば、40、50又は80eV以上で、好ましくはチャンバー内で減圧下で実施される。
【0084】
その後、現像された基体は、例えば、レジストが除去された基体領域を当該技術分野で公知の手順に従って、化学的エッチング又はメッキすることによって、レジストが除去されたこれらの領域上で選択的に処理されうる。マイクロエレクトロニクス基体の製造、例えば、二酸化ケイ素ウェーハの製造のために、適切なエッチング剤には、ガスエッチング剤、例えば、プラズマストリームとして適用されるCl又はCF/CHFエッチング剤のような、塩素又はフッ素系エッチング剤のようなハロゲンプラズマエッチング剤が含まれる。このような処理の後で、公知の剥離手順を使用して、処理した基体からレジストを除去することができる。
【0085】
前記のように、本発明のフォトレジストは、半導体ウェーハ上に金属バンプ(metal bump)を形成するために特に有用である。このような処理は、a)半導体ウェーハ上に、本発明のフォトレジストを配置して、好ましくは厚いフィルムコーティング層、例えば、50μm以上の乾燥したレジストコーティング層を得ること;c)この感光性組成物の層を、サブ300nm放射線、特に248nmをはじめとする化学線に画像様露光すること;d)感光性組成物の露光された層を現像して、パターン化された領域を得ること;e)パターン化された領域の中に金属を堆積させること;及びf)露光された感光性組成物を除去して、金属バンプを有する半導体ウェーハを得ること:を含むことができる。
【0086】
このようなバンプ形成方法において、フォトレジスト層が、感光性層中のバイア(via)のようなアパーチャー(aperture)を形成するように画像形成される。このようなプロセスにおいて、感光性層が、電子デバイスの上の導電性層の上に配置される。感光性組成物の露光及び続く現像は、感光性組成物中に画定されたホール(バイア)を提供し、下にある導電性層を露出させる。従って、プロセスの次の工程は、画定されたホール(バイア)内に金属又は金属合金バンプを堆積させることである。このような金属堆積は、無電解又は電解堆積プロセスによるものであってよい。電解金属堆積が好ましい。電解金属堆積プロセスにおいて、電子デバイス基体、即ち半導体ウェーハは、カソードとして機能する。
【0087】
はんだとして適切であるもののような金属又は金属合金の堆積の前に、導電性層、例えば、銅又はニッケルが、スパッタリング、無電解堆積などによって堆積されて、アンダーバンプ金属を形成することができる。このようなアンダーバンプ金属層は、典型的には、厚さが1000〜50,000Åであり、続いてめっきされるはんだバンプへの濡れ性ファウンデーションとして作用する。
【0088】
これらに限定されないが、銅、スズ−鉛、ニッケル、金、銀、パラジウムなどを含む広範囲の種々の金属を、無電解で堆積させることができる。電解的に堆積させることができる適切な金属及び金属合金には、これらに限定されないが、銅、スズ、スズ−鉛、ニッケル、金、銀、スズ−アンチモン、スズ−銅、スズ−ビスマス、スズ−インジウム、スズ−銀、パラジウムなどが挙げられる。このような金属めっき浴は、当業者に公知であり、種々の供給者から容易に入手可能である。
【0089】
一つの実施形態において、半導体ウェーハ上の金属堆積物は、はんだバンプとして有用である。従って、金属バンプは、はんだ付け可能な金属及び金属合金、例えば、スズ、スズ−鉛、スズ−銅、スズ−銀、スズ−ビスマス、スズ−銅−ビスマス、スズ−銅−銀などであることが好ましい。はんだバンプ形成のための適切な金属及び金属合金は、米国特許第5,186,383号、米国特許第5,902,472号、米国特許第5,990,564号、米国特許第6,099,713号及び米国特許第6,013,572号並びに欧州特許出願公開第1 148 548号(Cheungら)に開示されている。代表的金属及び金属合金には、これらに限定されないが、スズ;2重量%未満の銅、好ましくは約0.7重量%の銅を有するスズ−銅合金;20重量%未満の銀、好ましくは3.5〜10重量%の銀を有するスズ−銀合金;5〜25重量%のビスマス、好ましくは約20重量%のビスマスを有するスズ−ビスマス合金;並びに5重量%未満の銀、好ましくは約3.5重量%の銀、2重量%未満の銅、好ましくは約0.7重量%の銅を有するスズ−銀−銅(何れも、残りはスズである)が挙げられる。一つの実施形態において、はんだバンプのために使用される金属合金は、鉛を含有していおらず、即ち、これらは、≦10ppmの鉛を含有する。
【0090】
一般的に、適切な電解金属めっき浴は酸性であり、かつ酸、水、堆積させるべき金属又は金属群の可溶性形態及び1種以上の有機添加物、例えば、光沢剤(促進剤)、キャリア(抑制剤)、レベラー(leveler)、延性増強剤、湿潤剤、浴安定剤(特に、スズ含有浴のため)、粒子微細化剤(grain refiner)などを含有している。それぞれの任意の成分の存在、種類及び量は、使用する特定の金属めっき浴に依存して変化する。このような金属めっき浴は、一般的に市販されている。
【0091】
スズ−銅、スズ−ビスマス、スズ−銀、スズ−鉛などの場合におけるような二成分合金が、単一の浴から堆積されることができ、又は複数のめっき浴から個々の層として堆積されおよびリフローされ、合金を形成することができる。このようなリフロー(reflow)技術は、米国特許第6,013,572号に記載されている。このようなリフローは、典型的に、残留する感光性組成物を除去した後に実施される。
【0092】
このようなプロセスにおいて、レジスト組成物は、めっきすべきではない領域に対する保護層として機能する。金属堆積に続いて、例えば、市販のN−メチルピロリドン(「NMP」)系ストリッパーを約40℃〜69℃の温度で使用することにより、残留するレジスト組成物が剥離される。
【0093】
下記の限定されない実施例は、本発明の例示である。
【0094】
実施例1
メタクリル酸無水物/メタクリル酸混合物の製造
無水酢酸を、過剰のメタクリル酸(4:1)に、混合物から無水酢酸を同時に蒸留しながら、滴下状添加により添加した。反応を95℃及び300mmHgで実施し、1モル%のアンバーリスト(Amberlyst)−15(A−15)によって触媒作用させ、3000ppm PTZ及び1000MEHQpppm、8%Oで抑制した。反応の終わりに、過剰のメタクリル酸を、減圧下での蒸留によって回収し、触媒を濾過によって回収した。
【0095】
実施例2
モノマー合成;ヒドロキシフェニルメタクリラートの製造
120℃及び大気圧で、3モルのメタクリル酸中に溶解した2モルのヒドロキシキノンの機械的に撹拌した溶液に、1モルのメタクリル酸無水物を滴下により添加し(30分間)、この混合物を撹拌しながら120℃で更に4時間維持した(NMR分析)。反応の過程を通して、8%の酸素がこのシステムに認められた。反応の終わりに、メタクリル酸を減圧下での蒸留(110℃及び200mmHg)によって回収し、反応混合物にトルエン(1リットル)を添加することによって、未反応の過剰のヒドロキノンを沈殿析出させた。低レベル(1〜2%)のモノマー、2−メチル−5−メチレンヘキサンジオン酸が生成された。このモノマーを、蒸留水による洗浄工程によって、混合物から分離した。相分離した後、減圧下でのトルエンの蒸留によって、所望の4−ヒドロキシフェニルメタクリラートを、97%収率で得た。{mp.(未補正)120℃;分析、C1010についての計算値:C、67.41:H、5.66:O、26.94。実測値:C、67.37:H、5.62}。
【0096】
実施例3
モノマー合成;モノエステル中間体によるヒドロキシフェニルメタクリラートの製造
大過剰のヒドロキノンを、酢酸の存在下で無水酢酸と反応させて、モノアセタートフェノール性化合物、1,4−C(OH)(OOCCH)を得る。過剰の出発物質を回収し、中間体化合物1,4−C(OH)(OOCCH)を、酢酸の存在下でメタクリル酸と反応させて、ヒドロキシフェニルメタクリラートを得る。
【0097】
実施例4
ポリマー合成
【0098】
【化13】

【0099】
凝縮器、温度計、磁気攪拌機及び外部油加熱浴を取り付けた、500mLの三つ口丸底フラスコに、下記の物質、4−ヒドロキシフェニルメタクリラート(HPhMA)(16.56g、0.093モル)、メタクリル酸メチル(MMA)(15.54g、0.155モル)及びアクリル酸tert−ブチル(TBA)(7.95g、0.062モル)を添加した。メタノール(270mL)を添加し、得られた溶液を還流(67℃)まで加熱した。還流になったとき、メタノール(17.5mL)中の開始剤、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルペンタンニトリル(1.54g、0.006モル)の溶液。この溶液を還流で2時間保持し、その後、メタノール(9mL)中の開始剤の他の装填物(0.77g、0.003モル)を、フラスコに添加した。この溶液を、還流で16時間保持した。冷却した後、メタノール中のポリマー溶液を、ヘプタン(3×300mL)で洗浄した。この溶液を、ロータリーエバポレーターで濃縮して、残留ヘプタンを除去し、次いでDI水(2リットル)の中に沈殿させた。湿潤ケークを24時間空気乾燥し、次いで60℃で真空下で18時間乾燥した。収率は90%であった。
【0100】
実施例5−6
追加のポリマー合成
追加のHPhMA:MMA:TBAターポリマーを、使用したモノマーの量を変えた以外は、上記の実施例4の手順によって製造した。実施例9に続く下記の表1に、モノマー単位のそれぞれの比(生成されたポリマーの13C NMR分析によって決定した)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度(PD)を、実施例5及び6において生成されたHPhMA:MMA:TBAターポリマーについて示す。
【0101】
実施例7
追加のポリマー合成
【0102】
【化14】

【0103】
凝縮器、温度計、磁気攪拌機及び外部油加熱浴を取り付けた、500mLの三つ口丸底フラスコに、下記の物質、4−ヒドロキシフェニルメタクリラート(HPhMA)(27.94g、0.157モル)、スチレン(STY)(10.89g、0.105モル)及びアクリル酸tert−ブチル(TBA)(11.17g、0.087モル)を添加した。メタノール(340mL)を添加し、得られた溶液を還流(67℃)まで加熱した。還流になったとき、メタノール(20mL)中の開始剤、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルペンタンニトリル(1.73g、0.007モル)の溶液。この溶液を還流で2時間保持し、その後、メタノール(10mL)中の開始剤の他の装填物(0.87g、0.004モル)を、フラスコに添加した。この溶液を、還流で16時間保持した。冷却した後、メタノール中のポリマー溶液を、ヘプタン(3×300mL)で洗浄した。この溶液を、ロータリーエバポレーターで濃縮して、残留ヘプタンを除去し、次いでDI水(2.5リットル)の中に沈殿させた。湿潤ケークを24時間空気乾燥し、次いで60℃で真空下で18時間乾燥した。収率は90%であった。
【0104】
実施例8−9
追加のポリマー合成
追加のHPhMA:STY:TBAターポリマーを、使用したモノマーの量を変えた以外は、上記の実施例7の手順によって製造した。下記の表1に、モノマー単位のそれぞれの比(生成されたポリマーの13C NMR分析によって決定した)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度(PD)を、実施例8及び9において生成されたHPhMA:STY:TBAターポリマーについて示す。
【0105】
【表1】

【0106】
実施例10
溶解速度研究
上記実施例のポリマーを、ウェーハ基体の上にほぼ等しい乾燥(ソフトベーク)コーティング層にまでコートした。0.26Nアルカリ性水性現像液による、これらのポリマーコーティング層の溶解速度を測定した。溶解速度を、下記の表2に記載する。測定したTg値も、下記の表2に記載する。
【0107】
【表2】

【0108】
実施例11
光学濃度評価
上記実施例のポリマーを、ウェーハ基体の上にほぼ等しい乾燥(ソフトベーク)1ミクロン厚さのコーティング層にまでコートした。ポリマー層厚さは、偏光解析法によって測定した。石英上のフィルムの吸光度は、UV分光光度法によって測定した。吸光度は、ブランクの石英ウェーハに対して測定した。光学濃度(OD)は、厚さ及び吸光度測定値を使用して、248nmで計算した。測定したOD値を、下記の表3に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
実施例12
フォトレジスト製造及びリソグラフ処理
本発明のフォトレジストを、下記の成分と特定された量で混合することによって製造する。
レジスト成分:量
樹脂:11.4重量%全固体の液体配合物を与えるため
フォト酸発生剤:樹脂成分の3.5重量%
塩基性添加物:ポリマーの0.1重量%
界面活性剤:全固体の0.05重量%
【0111】
このレジストにおいて、ポリマーは、実施例4に記載したようにして製造したHPhMA:MMA:TBAターポリマーである。レジストのフォト酸発生剤は、ジ−tert−ブチルフェニルヨードニウムカンフルスルホナートである。塩基性添加物は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩である。界面活性剤は、名称R08で販売されている市販の物質である。溶媒は乳酸エチルである。
【0112】
このフォトレジスト組成物を、有機反射防止組成物のコーティングを有する200mmシリコンウェーハの上にスピンコートする。適用したフォトレジストを、その後、90℃で60秒間ソフトベークし、フォトマスクを通して248nm放射線に露光する。次いで、露光したレジストコーティング層を、100℃で90秒間ベークし、アルカリ性水性現像液を使用して現像する。
【0113】
実施例13
追加のフォトレジスト製造及びリソグラフ処理
本発明のフォトレジストを、下記の成分と特定された量で混合することによって製造する。
レジスト成分:量
樹脂:11.4重量%全固体の液体配合物を与えるため
フォト酸発生剤:樹脂成分の3.53重量%
塩基性添加物:ポリマーの0.12重量%
界面活性剤:全固体の0.05重量%
【0114】
このレジストにおいて、ポリマーは、実施例7に記載したようにして製造したHPhMA:STY:TBAターポリマーであった。レジストのフォト酸発生剤は、ジ−tert−ブチルフェニルヨードニウムカンフルスルホナートである。塩基性添加物は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩である。界面活性剤は、名称R08で販売されている市販の物質である。溶媒は乳酸エチルである。
【0115】
このフォトレジスト組成物を、有機反射防止組成物のコーティングを有する200mmシリコンウェーハの上にスピンコートする。適用したフォトレジストを、その後、90℃で60秒間ソフトベークし、フォトマスクを通して248nm放射線に露光する。次いで、露光したレジストコーティング層を、100℃で90秒間ベークし、アルカリ性水性現像液を使用して現像する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性成分及び樹脂を含むフォトレジスト組成物であって、樹脂が、i)1種以上の、間隔が空けられて位置するフェノール性基及びii)1種以上のフォト酸不安定性基を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
樹脂が、3種以上の別個の繰り返し単位を含む、請求項1記載のフォトレジスト。
【請求項3】
樹脂が、下記の式:
【化1】

(式中、Zはブリッジ単位であり;Xは1以上の原子であり;それぞれのRは、同じか又は異なった非水素置換基であり;およびmはゼロから4までの整数である)
の構造を含む1以上の繰り返し単位を含む、請求項1記載のフォトレジスト。
【請求項4】
樹脂が、下記の式
【化2】

(式中、それぞれのZは、同じか又は異なったブリッジ単位であり;Xは1以上の原子であり;それぞれのRは、同じか又は異なった非水素置換基であり;mはゼロから4までの整数であり;
ALは、フォト酸不安定性基を含む部分であり;
Yは、間隔が空けられて位置するフェノール性基またはALを含む部分とは異なる部分であり;
a、b及びcは、ポリマー中の全繰り返し単位基準のそれぞれのポリマー単位のモルパーセントであり、a及びbはそれぞれゼロよりも大きく、並びにcはゼロであっても良いし、又はゼロより大きくてもよい)
の構造を含む、請求項1記載のフォトレジスト。
【請求項5】
cがゼロよりも大きい、請求項5記載のフォトレジスト。
【請求項6】
樹脂が、下記の式
【化3】

(式中、それぞれのRは、同じであるか又は異なっており、かつ水素又は任意に置換されたアルキルであり;
それぞれのZは、同じか又は異なったブリッジ単位であり;
Xは1以上の原子であり;
それぞれのRは、同じか又は異なった非水素置換基であり;
mはゼロから4までの整数であり;
Pは、フォト酸不安定性エステルを提供する部分であり;
Yは、間隔が空けられて位置するフェノール性基またはPを含む部分とは異なる部分であり;
a、b及びcは、ポリマー中の全繰り返し単位基準の、それぞれのポリマー単位のモルパーセントであり、かつそれぞれゼロよりも大きい)
の構造を含む、請求項1記載のフォトレジスト。
【請求項7】
(a)請求項1記載のフォトレジストのコーティング層を基体上に適用すること;及び
(b)フォトレジスト層を露光し、現像して、レリーフ画像を生じさせること:を含む、ポジ型フォトレジストレリーフ画像を形成する方法。
【請求項8】
フォトレジストレリーフ画像が形成された後に、イオンを基体に適用する請求項8記載の方法。
【請求項9】
その上にコートされた請求項1記載のフォトレジスト組成物の層を有する、マイクロエレクトロニクスウェーハ基体を含む製造物品。
【請求項10】
i)1種以上の、間隔が空けられて位置するフェノール性基及びii)1種以上のフォト酸不安定性基;を含むターポリマー樹脂。

【公開番号】特開2008−287223(P2008−287223A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−60772(P2008−60772)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】