説明

フェルラ属植物からフェルチニンを製造する方法

【課題】美容や皮膚科用として利用可能なフェルチニン(Ia)の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、エキスの塩基性加水分解およびp−ピバロイロキシ安息香酸による処理を行ってフェルラsppエキスから、美容や皮膚科用として利用可能なフェルチニン(Ia)を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルラspp(Ferula spp)からの植物エキスおよびそのエキスからフェルチニンを単離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に多いフェルラ属植物は、フィトエストロゲンとしても知られているエストロゲン様の活性を有するテルペン、換言すれば、ホルモン作用を規制し、一見、月経前症候群や更年期障害と老化に関する疾患の処置での合成ホルモンの使用の妥当な選択肢である物質を、含んでいる。いくらかのフェルラのタイプのエキスが、古代では、避妊薬としてまた陰萎や更年期障害の処置に使用された。最近では、フェルラ・アサフェチダ(Ferula asafoetida L.)からのアルコール性エキスが、制癌薬として開示されている(WO 0230438)。
【0003】
フェルラ属植物中に最も豊富な化合物は、ジャエスクケナジオール(jaeschkenadiol)(II)の諸誘導体であり:
【0004】
【化1】

【0005】
特に、一般式(I)のダウカン(daucane)エステルである。
【0006】
【化2】

【0007】
ダウカンエステルは、既知の化合物であり、たとえば、Phytochemistry, 37巻、3号、597-623 頁、1994に開示されている。式(I)中、Rは直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル残基、または、任意に置換されている芳香族アシル残基である。R基の例は、イソバレロイル、アンゲロイル、ベンゾイル、p-ヒドロキシベンジル、ベラトロイルまたはシナモイルである。
【0008】
フェルラ spp からのダウカンエステルは、SERMs(選択的なエストロゲン受容体調節物:selective estrogen receptor modulators)に類似したエストロゲン調節物であり;それらの中で、残余はかなりゆるい活性を持っているのに、フェルチニン(Ia)は、顕著なエストロゲン様の活性を示す。
【0009】
【化3】

【0010】
特に、フェルチニンは、エストロゲン受容体α作用薬(ERα: estrogen receptor alpha agonist)であり、エストロゲン受容体β作用薬/拮抗薬(ERβ: estrogen receptor beta agonist/antagonist)である。また、フェルチニンがタモキシフェンよりも、より高拘束力を持つことが、示されている。
【0011】
それゆえ、フェルチニン-強化エキスを獲得すること、または、その前駆物質を含んでいる植物材料から純粋形態のフェルチニンの抽出を最も効果的にすることが、必要である。
【0012】
粗ジャエスクケナジオールを与えるダウカンエステル全抽出物の加水分解、および続いての、適切に保護されたp-ヒドロキシ安息香酸、たとえばp-アセトキシ安息香酸、を用いてのジャエスクケナジオールの再エステル化を含む方法は、文献から知られている(J. Org. Chem. USSR (英訳);EN;28;10; 1992; 1666-1673)。しかしながら、この方法が、かなり低収率(約45%)を与えているのは、主として競争エステル交換反応による。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第02/30438号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Phytochemistry, 37巻、3号、597-623 頁、1994
【非特許文献2】J. Org. Chem. USSR (英訳);EN;28;10; 1992; 1666-1673
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
いまや発見されたのは、p-ピバロイルオキシ安息香酸のエステル化剤としての使用が、低転化収率の責めを負う競争反応の回避を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、それゆえに、フェルチニン(Ia)の製造方法であり
【0017】
【化4】

【0018】
これには下記の工程がある。
a) フェルラspp からダウカンエステルの抽出、
b) ジャエスクケナジオール(II) を与えるためのダウカンエステルの塩基性加水分解、
【0019】
【化5】

【0020】
c) p-ピバロイロキシ安息香酸(III)を用いてのジャエスクケナジオール(II)のエステル化で
【0021】
【化6】

【0022】
p-ピバロイルフェルチニン(IV)を与え、
【0023】
【化7】

【0024】
d) p-ピバロイルフェルチニン(IV)を加水分解してフェルチニンにする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
"ダウカンエステル"は、上に定義した一般式(I)の化合物を意味する;前記エステルは、たとえば低級アルコールを用いての抽出のような慣習の方法で、フェルラ spp、好ましくはフェルラ・コムニス (Ferula communis) およびフェルラ・ヘルモニス(Ferula hermonis) の、根茎または気中部(aerial parts)の抽出によって得られる。1:1比のフェルチニンおよびジャエスクケナジオール安息香酸エステル(クロマトグラフィーで容易に分離は出来ない)を含むフェルラ・ヘルモニスの根茎から出発して、メタノールを用いて根を抽出し、そのエキスを5%KOHで処理し、そして鹸化されたエキスを脂肪族の炭化水素、エーテル、エステルまたは塩化溶剤で逆抽出して、純粋なフェルチニンが単離できる。
【0026】
代わりになるべきものとして、温度が35ないし65℃の範囲、好ましくは45℃で、圧力が200ないし260 barの範囲、好ましくは245 bar である、超臨界CO2を用いた抽出によって、ダウカンエステルが得られる。分離器内(あるいは複数の分離器内)では、温度は25ないし40℃の範囲、圧力は約50 bar である。こうした実験条件では、所望の化合物の回収を困難にさせる粘着性物質が、抽出されない。残渣は、実施例に報告した鹸化を直接に受けさせられる。
【0027】
ジャエスクケナジオールは、p-ピバロイロオキシ安息香酸(p-pivaloylossibenzoic acid)を用いてエステル化され、同一の反応溶剤中で、塩基、好ましくは一級アミン、更に好ましくはエチレンジアミンを用いて処理され、純フェルチニンを与える。本発明の好ましい態様によれば、工程c) およびd) は、中間体p-ピバロイルフェルチニンの回収なしに、いい具合に連続して実行される。
【0028】
本発明の更なる目的は、フェルチニン、p-ピバロイルフェルチニンおよびフェルラ sppのエキス、好ましくはフェルラ・コムニスおよびフェルラ・ヘルモニスのエキスの、化粧料や皮膚科向きの使用である。
【0029】
皮膚に塗ると、フェルチニンやフェルラ spp エキスは、コラーゲン生合成を増大でき、また、持続性で、栄養作用に関し、潤いを与える作用を発揮し、引き締めと弾性を与えられることを、驚くほどに立証できた。更に、これらは皮脂分泌を減少させ、多毛症や顔の男性化の抑制に、非凡の役割を演じる。従って、フェルチニンまたはフェルラ spp エキスは、化粧料や皮膚科の分野で、深みのないまたは深い皺の処置、加えて、いろんなアクネや脂漏形態の処置にも使える。
【0030】
フェルチニンおよびフェルラ spp エキスは、通常の補形薬、たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook、XVII 版、Mack Pub. N. Y., U.S.A.に記載されたものを、混合して、クリーム、ゲル、およびローションの形態に処方できる。好ましくは、大豆レシチンまたはラウロイルホスファチジルコリンやミリストイルホスファチジルコリンのような燐脂質の存在下であり、これは、水/油および油/水のエマルションまたは経皮性硬膏に組み込まれる。
【0031】
下記の諸実施例は、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
実施例1 フェルラ・ヘルモニス根からのジャエスクケナジオールの単離
250 g の微粉砕されたフェルラ・ヘルモニス 根(粒径分布:2 mm)が、1リットルのMeOHを用いた浸透によって抽出される。二日間の浸軟およびこの溶剤による浸透の後に、この操作を繰り返し(4x1リットル)、112.2 g のメタノール性エキス(45%)を得る。薬剤抽出は、TLC(石油エーテル/EtOAc 8/2, フェルチニンRf:0.14)でモニターされる。
【0033】
このメタノール性エキスは、513 ml の10% KOHメタノール溶液を用いて、還流される。1h後、TLC分析(石油エーテル/EtOAc 8/2, フェルチニンRf:0.14; ジャエスクケナジオールRf: 0.31)は、反応が完結していることを示す。冷却後、反応混合物は、水(500 ml)で希釈され、石油エーテル(4 x 500 ml) で抽出される。合併された石油エーテル相は、塩水で洗われ、乾燥され、蒸発させられる。結果として生じた半結晶質の残渣は、冷石油エーテル(冷蔵庫温度)で洗われ、7.5 g の結晶質ジャエスクケナジオールが得られる。母液は、クロマトグラフィ(50 g シリカゲル、石油エーテル−EtOAc 95:5)で精製され、α-ビサボロール (870 mg)、α-ビサボロールとジャエスクケナジオールとの混合物、および純粋のジャエスクケナジオール(結晶後3.4 g)が、得られる。このα-ビサボールとジャエスクケナジオールとの混合物は、母液とプールされ、クロマト分析され(50 g シリカゲル、石油エーテル-EtOAc 95:5)、1.95 g の結晶質ジャエスクケナジオールを得る(総合収量:12.85 g, 5.1 %)。
【0034】
この化合物は、下記の化学的・物理的および分光の諸特性を有する。
【0035】
IRスペクトル (KBr, cm-1): 3339, 2965, 2905, 2875, 1470, 1375, 1047, 968, 858
質量スペクトル (C.I.)
M++1- H2O=221; M++1- 2H2O=203
1H NMRスペクトル (300 MHZ, CDCl3) δ: H9 5.43 m, H2 3.9 m, H14 1.78 s, H15 1.00 s, H12 0.95 d j 4.98, H13 0.91 d j 5.13.
実施例2 フェルラ・コムニス根からのジャエスクケナジオールの単離
250gの微粉砕されたフェルラ・コムニス 根(粒径分布:2mm)が、1リットルのMeOHを用いた浸透によって抽出される。二日間の浸軟およびこの溶剤による浸透の後に、この操作を繰り返し(4x1 リットル); このメタノール性エキスは、粉砕根と等重量まで濃縮し、これに10%KOH(10 ml)が加えられる。このアルカリ性溶液は、2時間還流させられてから冷却され、200 ml のn-へキサンで三度逆抽出される。薬剤抽出は、TLC(石油エーテル/EtOAc 8/2,)でモニターされる。
【0036】
合併されたヘキサン相は、塩水で洗われ、乾燥され、蒸発させられる。結果として生じた半結晶質の残渣は、冷石油エーテル(冷蔵庫温度)で洗われ、3.5gの結晶質ジャエスクケナジオールが得られる。母液は、実施例1に倣って、精製される。収量:実施例1のものと同一の化学的・物理的特性を有するジャエスクケナジオールの0.8g。
【0037】
実施例3 フェルラ・コムニス 気中部からのジャエスクケナジオールの単離
1kgの微粉砕フェルラ・コムニス 気中部が、超臨界の気体を用いての抽出用装置内で、45℃かつ245 barの二酸化炭素を用いて抽出される。分離器内(または複数の分離器内)、温度は25ないし45℃の範囲で、圧力は約50 barである。これらの条件下では、所望の化合物の回収を難しくさせる粘着性材料は、抽出されない。脂肪親和性の化合物および水だけを含む残渣は、メタノールで集められ、ジャエスクケナジオールエステルが加水分解をするために塩基で処理されること、実施例1および2に報じたごとくである。精製後に、5.1gの、実施例1の生成物と同一の特性を有する、純粋化合物が得られる。
【0038】
実施例4 p-ピバロイロキシ安息香酸の合成
4-ヒドロキシ安息香酸(114.5g, 829mmol)が、氷浴でT<5℃に冷却されているピリジン(1.15リットル)中で、攪拌下に溶解される。得られた溶液に、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP, 0.3当量, 248.8mmol, 30.4g)および塩化ピバロイル(3 当量, 2.487mol, 300g. 293.6ml)を加える。その溶液を室温に戻させ、2時間攪拌し、水 (2.29 L)を加え(発熱反応:溶液を氷浴で冷やす)、更に3時間攪拌する。
【0039】
この溶液は、分離用漏斗に注入され、CH2Cl2(3x750 ml)で抽出される。合併されたメチレンクロリド相は、2M H2SO4 (4x750 ml)および飽和NaCl溶液(1x1150 ml)で洗い、ついでNa2SO4 (60g)上で乾燥される。
【0040】
この溶液は濾紙で濾過され、真空下で溶媒が蒸去されて残渣が得られ、それは、30℃−50℃の石油エーテル(3x400ml)を用いてすりつぶされ、吸引濾過され、静止乾燥器内の真空下45℃で、15時間乾燥される。下記の分光特性を有する130.5gの生成物が得られる。
【0041】
IR スペクトル(KBR, cm-1):3680, 2978, 2361, 1753, 1686, 1603, 1427, 1289, 1204, 1163, 1103
質量スペクトル(C.I.): M+ + 1 = 223
1H NMRスペクトル (300 MHZ, D-DMSO) δ H3=7 8.00 d J=8.48, H4=67.23 d J=8.55, CH3 1.34 s。
【0042】
実施例 5 − ジャエスクケナジオールからのフェルチニンの合成
ジャエスクケナジオール(100 g, 419.5 mmol)が、室温攪拌下で、CH2Cl2 (600 ml) 中に溶解させられる。得られた溶液に、p-ピバロイロキシ安息香酸 (1.4 当量, 587.3 mmol. 130.5 g) およびDMAP (0.3 当量, 125.9 mmol, 15.4 g) が、加えられる。この溶液は、反応物溶解を完成するために、攪拌下10分間放置され、ついでN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC, 1.8 当量, 755.1 mmol, 155.8 g)が加えられる。反応は、2時間後に完結する。
【0043】
この溶液は、2 容量 (200 ml) に濃縮され、5 容量の CH3CN (500 ml)で希釈され、その後は、ジシクロヘキシルウレア沈殿物が濾去され、さらに5容量 のCH3CN( 2 x 250 ml )で洗われる。合併された有機相は分離漏斗に注がれて、10 % w/v Na2CO3 (2 x 250 ml)、さらにNaCl飽和溶液 (1 x 250 ml) で、抽出され、ついでNa2SO4 (100 g) 上で乾燥される。Na2SO4が濾去され、溶剤が真空下で蒸発させられて、下記の分光特性を有する360gの化合物(IV)を与える:
1H NMR (300 MHZ, CDCl3): δ 8.09 (d, J=9.0 Hz, H3'−H5'), 7.20 (d, J=8.7 Hz, H2'− H6'), 5.60 (brt, J=4.7 Hz, H9),5.35 (td, J=10.4− 2.9 Hz, H6),2.58 (dd, J=13.1− 10.9 Hz, H7b), 2.34 (dd, J=14.1− 2.3 Hz, H7a), 2.07 (m, H10), 2.04 (d, J=2.7 Hz, H5), 1.97 (d, J=9.7 Hz, H2a), 1.89 (m, H11), 1.86 (s, H14), 1.63 (m, H2b), 1.57 (m, H3a), 1.41 (s, C(CH3)3), 1.30 (m, H3b), 1.14 (s, H15), 0.99 (d, J=6.9 Hz, H12), 0.89 (d, J=6.7 Hz, H13)。
【0044】
化合物(IV)は、室温攪拌下で、2リットルのCH2Cl2中に溶解させられる。得られえる溶液には、エチレンジアミン (10 当量、280 ml) が加えられる。3時間後に反応が完結する。その溶液は、0℃に冷却され、分離漏斗に注がれ、ついで 0℃の 3M H2SO4 (2 x 750 ml, 発熱反応) と、NaCl飽和溶液 (1 x 500 ml) とで、洗われる。この有機相は、Na2SO4 (100 g)上で乾燥され、濾過され、蒸発させられて乾燥状態になる。この残渣 (230 g) は、5.8リットル のヘキサン:AcOEt = 9:1混合物で平衡させられているシリカゲルコラム (2.5 kg) に仕込まれ、70リットルの同混合物を用いて溶離される。生成物含有の画分はプールされ、真空下で溶剤が留去されて、生成物は、25℃の静止乾燥器中で24時間、乾燥させられる。
【0045】
下記の分光特性を有する139g(92.4%)の生成物が得られる:
IRスペクトル (KBr, cm-1) : 3410, 1686, 1655, 1608, 1593, 1560, 1279, 1165, 1099, 771.
質量スペクトル (C.I.) : M+ +1 − H2O=341
1H NMR スペクトル (200 MHZ, CDCl3) : δ H3'=7' 7.94 d J=8, 4'=6' 6.88 d J=8, H9 5.56 m, H2 5.23 dt J=11, H14 1.80 brs, H15 1.10 s, H13 0.94 d J=6.5, H12 0.82 d J=6.5。
【0046】
実施例6 フェルラ・ヘルモニスのエキス調製
1kgのフェルラ・ヘルモニス の全植物体(whole plant)が、5容積のアセトンで三回抽出される。合併されたアセトン性エキスは、出発生物量の重量と比べ0.5部まで濃縮され、2部の水で希釈される。その水性溶液は、強攪拌、ヘキサン存在下で、希釈KOHを用いてpH7.8に調整される。ヘキサン相は廃棄し、水相はpH5に酸性化されて、n-ヘキサンで逆抽出される。フェルチニンを含有するヘキサン相は、乾燥状態まで濃縮されて、約35%のフェルチニンを含有する52gのエキスを与える。
【0047】
実施例 7 深みのない皺の処置用のフェルチニン含有処方
フェルチニンが、下記組成を有するクリーム中に組み込まれている:
フェルチニン 0.20 g
カルボマー(Carbomer) 934 (カルボポール(Carbopol) 934 P − Goodrich)
0.60 g
プロピレングリコール 3.00 g
イミダゾリニルウレア 0.30 g
カソーン(Kathon)CG 0.05 g
EDTA二ナトリウム 0.10 g
PEG-5 大豆ステロール (Generol 122 E5 - Henkel) 2.00 g
オクチルドデカノール (Eutanol G Henkel) 4.00 g
小麦胚芽油 4.00 g
シリコーンオイル 350 cps 0.50 g
グリセリルステアラート (Cutine GMS - Henkel) 7.00 g
ポリソルバート 60 (Tween 60 - ICI) 5.00 g
トコフェロール 0.20 g
アスコルビルパルミタート 0.10 g
10% NaOH溶液 2.00 g
香料 (186909 - Dragoco) 0.20 g
浄化水 100.00 g まで。
【0048】
実施例 8 フェルチニン含量30%とジャエスクケナジオール安息香酸エステル含量20%とを有するフェルラ・ヘルモニスの純エキスを包含する処方
フェルラ・ヘルモニスのエキス 0.5 g
カルボーン 934 (Carbopol 934 P − Goodrich) 0.60 g
プロピレングリコール 3.00 g
イミダゾリニルウレア 0.30 g
Kathon CG 0.05 g
EDTA二ナトリウム 0.10 g
PEG-5 大豆ステロール (Generol 122 E5 - Henkel) 2.00 g
オクチルドデカノール (Eutanol G Henkel) 4.00 g
小麦胚芽油 4.00 g
シリコーンオイル 350 cps 0.50 g
グリセリルステアラート (Cutine GMS - Henkel) 7.00 g
ポリソルバート 60 (Tween 60 - ICI) 5.00 g
トコフェロール 0.20 g
アスコルビルパルミタート 0.10 g
10% NaOH溶液 2.00 g
香料 (186909 - Dragoco) 0.20 g
浄化水 100.00 g まで。
【0049】
実施例9 −フェルチニン含有のゲル
フェルチニン 0.30g
イミダゾリニルウレア 0.30g
メチルパラベン 0.20g
ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250 HHX - Aqualon) 2.00g
浄化水 100mlまで。
【0050】
実施例 10 − フェルラsppエキス含有の化粧料処方
フェルラ・ヘルモニスのエキス 0.5 g
イミダゾリニルウレア 0.30 g
メチルパラベン 0.20 g
ヒドロキシエチルセルロース (Natrosol 250 HHX - Aqualon) 2.00 g
浄化水 100 ml まで。
【0051】
実験法
製品の有効性
実施例7のクリームの有効性は、年齢範囲39ないし56の女性ボランティア40人による、肌の弾性と締まり(firmness)および皺測定(rugometry)の結果・効果を評価する、二重盲検調査で確定された。この調査に先立って、7日間の調整期間が置かれ、その間、被験者は、肌に湿り・潤いを与える製品、日焼け止め(sun-cream)や液状化粧品(liquid make-ups)の使用を控えさせられ、日焼けさせたりUV光線に過剰に曝すのを避けねばならなかった。
【0052】
被験者たちは、通常の目や唇のケア製品、フェースパウダーおよび非湿潤(non moisturizing)石鹸の使用を許された。
【0053】
被験者たちは、プラシーボのクリームで処置したものと、実施例7のクリームで処置したものとの2グループに、ランダムに分けられた。これらのクリームが、朝と夜の一日に二回、標準量 (0.5g、すなわち、チューブから出したクリームの0.5cm)を顔に塗られた。
5週間の処置の前後に、下記の諸測定が行われた。
【0054】
各測定期の前に、全被験者は、25℃で相対湿度50%の環境状態特定室(climatic chamber)に、30分間とどまる。各期の構成は、下記に示された肌領域上の、コルネオメーター(corneometer)を用いた三測定、カットメーター(cutometer)を用いた三測定および眼窩周辺領域(periorbital area)のシリコーン模写(silicon impression)である。
【0055】
全40人の被験者が、この調査を仕上げた。
【0056】
カットメトリィ(Cutometry)
カットメーターは、非逆転の方法で皮膚の機械的性質を測定するための、市販で入手できる装置(Cutometer SEN 575, Courage & Khazaka, ドイツ)である。より詳細には、これは、プローブの2 mmの開口を通じて500 mm Hgの陰圧をかけられた時の、皮膚表面の垂直変形を測定する。このプローブ内の皮膚の潜入長は、0.01mmの精度で、光学的に測定される。このプローブは、常時の皮膚変形を記録するコンピューターと繋がっている。その結果の曲線から、皮膚の弾性、粘弾性および粘性の挙動数値を求めるために、多数の変数が補外され得る。
【0057】
下記のパラメーターが記録された:
即時の膨張 (Ue),0.1秒に測定;
遅延された膨張(Uv);
最終の膨張(Uf),10秒に測定;および
即時の収縮(Ur).
このテストは、カットメーターを両頬に使って、実施された。
【0058】
プラシーボグループでは、有意の変分が観察されなかった。
【0059】
処置を受けたグループの遅延された膨張(Uv)は、5週間の処置後には、有意に減少した(16%,p<0.05)。このパラメーターは、皮膚の粘弾性と真皮の挙動を反映している。5週間の処置後、Ueにも有意の変化(-12%,p<0.05)が観察された。これは、角質層の水和および機械的諸性質によって、影響されている。UvとUeとの減少は、Urの安定性と共に、肌の締まりの増大を示している。
【0060】
コルネオメトリィ(Corneometry)
柔らかく滑らかな肌の外観は、大部分、角質中の十分な量の水の存在に依存する。
【0061】
コルネオメーター (Corneometer) は、皮膚の水和の変化に起因する、キャパシタンスの変化を測定する、市販で入手できる装置 (Corneometer CM 825 Combi 3, Courage & Khazaka, ドイツ)である。
【0062】
このテストは、このコルネオメーターを両頬に使用して、行なった。
【0063】
5週後、処置されているグループに有意な変化が観察された。特に、皮膚の水和は17.5%増大したが、一方プラシーボグループでは、それが3%減少した。
【0064】
皺測定(Rugometry)
座位の被験者に、シリコーン模写 (silicon impressions)を行った。"Silflo silicon impression material"(Flexico,UKから入手できる)を使用して、5週間の初めとその後に、その印象(impressions)(2x5cm)が得られた。
【0065】
次いで、その印象は、カンチライド・モナデルム(Quantirides-Monaderm) ソフトウエアを使用しいるスキン・イメージ・アナライザー(Skin Image Analyzer)システムで、解析された。これは、皮膚の微起伏を中間の皺や深い皺と区別して、それらの数と深さを計算し;最終には、全皺領域の値が得られる。
【0066】
5週後、処置グループに有意な変化が観察された。特に、皺領域の21.3%(p<0.05)の減少が観察されたが、一方プラシーボグループでは、その減少が0.4%であった。
【0067】
統計的に有意の減少は、中間のおよび深い皺の、数と深さに、主として観察されていた。
結論
この調査は、実施例7のクリームが、皮膚の締まりと水和を増大させ、いやな皺の寄った場合、特に深い微小かつ目立つ皺を減少させるので、経年や光による加齢徴候のある肌の処置に良好な美容活性を有する、との結論を認めている。皮膚は目に見えてより締まりがあり、より滑らかに見えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルチニン(Ia)の製造方法
【化1】

これには、下記の工程が含まれる:
a) フェルラspp からのダウカンエステルの抽出;
b) ダウカンエステルの塩基性加水分解でジャエスクケナジオール(II)を与える
【化2】

c) ジャエスクケナジオール(II) のp-ピバロイルオキシ安息香酸(III)によるエステル化
【化3】

でp-ピバロイルフェルチニン(IV)を与える
【化4】

d) フェルチニンに成るためのp-ピバロイルフェルチニン(IV)の加水分解。
【請求項2】
フェルラ・コムニスから、ダウカンエステルが抽出される、請求項1の方法。
【請求項3】
フェルラ・ヘルモニスから、ダウカンエステルが抽出される、請求項1の方法。
【請求項4】
ダウカンエステルが、温度範囲が35ないし65℃、圧力範囲が200ないし260 barである、超臨界的の二酸化炭素で抽出される、請求項1−3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
温度が45℃である、請求項4の方法。
【請求項6】
温度範囲25ないし45℃、圧力範囲45ないし55 barで分離が行われる、請求項4または5の方法。
【請求項7】
工程c)およびd)が、化合物(IV)を回収せずに連続して実行される、請求項1−6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
化粧用および/または皮膚科用組成物調製での、フェルラspp (Ferula spp)エキスの利用。
【請求項9】
化粧用および/または皮膚科用組成物調製での、フェルチニンの利用。
【請求項10】
化粧用および/または皮膚科用組成物調製での、p- ピバロイロキシフェルチニンの利用。

【公開番号】特開2010−209099(P2010−209099A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106573(P2010−106573)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2006−504815(P2006−504815)の分割
【原出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】