説明

フェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤

【課題】鎮痛剤フェンタニルもしくは類似体を、長期間にわたり、皮膚を通して投与するための、経皮的張り付け剤の提供。
【解決手段】(a)裏打ち層、および(b)裏打ち層上に配置されたポリアクリス酸エステルをベースとする貯蔵体であって、少なくとも皮膚接触面が接着性であり、0.0125mm(0.5mil)から0.1mm(4mil)の厚さを有し、少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し維持するのに十分量のフェンタニル、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニルおよびトレフェンタニルからなる群より選択される薬剤と、当該薬剤の非溶解性分を含まない単層ポリマー組成物を含有する液体貯蔵体を含む経皮的張り付け剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は沈痛的(analgesic)目的のためのフェンタニル(fentanyl)およびその類似体の経皮的投与(transdermal administration)の方法およびそのための張り付け剤(patch)に関する。本発明はとりわけ、長期間にわたり、被験者にフェンタニルおよびその類似体を皮膚をとおして投与するための亜飽和張り付け剤(subsaturated patch)に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンタニルおよびその類似体、例えば、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニル、トレフェンタニル等は、ヒトおよび家畜の医薬の双方において有用性を示した強力な合成オピオイド(opioids)である。ヒトの医薬においては、アルフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニルおよびサフェンタニルが全身麻酔剤としての使用に対して規制当局の許可を受けた。慢性疼痛の処置における使用のための鎮痛剤として、経口の粘膜をとおす投与のためのフェンタニル含有ロリポップおよびフェンタニル含有経皮的張り付け剤もすでに承認された。
【0003】
急性および慢性疼痛の双方の処置のためにこれらの化合物の経皮的投与が示唆されてき、フェンタニルおよびその類似体を経皮的に投与する様々な方法を記載している多数の特許が存在する。次の特許文献はそれらの代表であると考えられ、引用することにより本明細書中に取り入れられている(特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16および17参照。)。これらの特許は、フェンタニルを局所的に適用される軟膏またはクリームからあるいは経皮的張り付け剤から投与することができることを開示している。
【0004】
経皮的張り付け剤(transdermal patch)は具体的には、送達されるべき薬剤を含有する小型の接着性包帯であり、これらの包帯はいくつかの形態を採ることができる。もっとも単純な種類は裏材上に配置された薬剤含有貯蔵体(reservoir)を含んで成る接着性モノリスである。貯蔵体は具体的には医薬として許容できる感圧性接着剤から形成することができるが、場合によってはその皮膚に接触する面に適当な接着剤の薄い層が提供された非接着性物質から形成することができる。これらの張り付け剤から薬剤が患者に投与される速度は、薬剤に対する皮膚の透過性における通常のヒト間のそして皮膚の部位間の相異により変動する可能性がある。
【0005】
より複雑な張り付け剤は薬剤放出速度制御膜が薬剤の貯蔵体と皮膚接触接着剤との間に配置されている多層ラミネートまたは液体貯蔵体タイプの張付け剤である。この膜は張り付け剤からの薬剤のインビトロの放出速度を減少することにより、皮膚の透過性の変動の効果を減少する役割を果たす。このタイプの張り付け剤は概括的に、著しく強力な薬剤が投与される時に好まれるが、同様な薬剤投与速度を達成するためには、通常、モノリス張り付け剤よりも広い面積の皮膚を覆わなければならないという欠点を有する。
【0006】
経皮的張り付け剤薬剤貯蔵体は薬剤を貯蔵体中に完全に溶解させることができるか(亜飽和張り付け剤、例えば下記の特許文献18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30を参照されたい)、または飽和濃度を超えた過剰な非溶解薬剤を含有することができる(デポー張り付け剤)。経皮的張り付け剤は皮膚をとおる拡散(diffusion)により薬剤を送達するので、張り付け剤からの薬剤の送達速度はフィックの法則(Fick’s law)により支配され、貯蔵体中の薬剤の飽和レベルに比例する。
【0007】
デポー張り付け剤においては、過剰な薬剤が、張り付け剤が適用された後に、貯蔵体を薬剤で飽和維持させ、過剰が存在する限り、最大速度で薬剤を送達することができる。しかし、亜飽和張り付け剤は具体的には貯蔵体中の薬剤の飽和度の連続的な減少を示し、薬剤の投与速度は使用期間中連続的に減少する傾向があるであろう。従って、比較的一定の薬剤投与速度が所望される場合にはデポー張り付け剤が好まれると考えられるが、張り付け剤中の非溶解薬剤または他の成分の存在が貯蔵中および使用中に安定性および他の問題を誘起する可能性がある。
【0008】
フェンタニルおよびその類似体は比較的狭い治療的指針(indices)を有する強力なオピオイドである。強力であることは所望の効果をもたらすために、比較的低い血中濃度の薬剤で十分であることを意味する。狭い治療的指針を有することは、治療的効果が狭い範囲の濃度においてのみ得られ、その範囲より下の濃度は効果がなく、その範囲より上の濃度は重篤な、そしてオピオイドの場合には、強力な致死的副作用を伴なうことを意味する。オピオイド鎮痛剤に反応する患者間の変動と一緒になった特徴のこの組み合わせはオピオイド剤の投与に極端な注意を要求する。
【0009】
オピオイドに対する個々の薬物動態学的反応(例えば、薬物クリアランス速度)および薬物動力学的反応(例えば、疼痛の主観的性状および過剰投与に伴なう危険性)における広範な変動のために、患者は具体的に上方に滴定されて、適当な用量を決定する必要がある。これは、患者が安全であると期待される量で開始し、その用量を適当な痛覚消失が得られるまで徐々に増加することを意味する。時間とともに、オピオイドに対する耐性および疼痛の強度増加の双方が起るかも知れないので、用量はその後に増加され、そして/または疼痛の管理のための他の鎮痛剤の投与で補助されるかも知れない。更に、幾人かの患者は経皮的オピオイドによる彼らの基礎処置とともに、耐え切れない疼痛の発作の処置のために、もう1種のオピオイドの救助使用を必要とするであろう。
【0010】
フェンタニルおよびその類似体の鎮痛的経皮的投与は前記の様々な種類の経皮的張り付け剤を使用して先行技術において広範に示唆されてきたが、このような製品のうちで唯1種が現実に米国で規制当局の承認を受けた。この製品、DURAGESIC(R)は3日間フェンタニルを投与する張付け剤であり、術後または他の急性疼痛に対照的に、慢性疼痛の処置に適用される。この張り付け剤およびその使用を説明するラベルのコピーは引用により本明細書に取り込まれている(非特許文献1参照)。DURAGESIC(R)フェンタニル張り付け剤は慢性疼痛からの緩和を提供するために、連続して各3日間の終わりに取り外して、新規の張り付け剤と交換することが意図され、時間とともに用量を増加することができ、かつ耐え切れない疼痛を処置するために他の鎮痛剤の同時使用を実施することができることが予期される。
【0011】
フェンタニルの強い効力および狭い治療的指針のために、DURAGESIC(R)フェンタニルシステムは特許文献31の実施例1〜4に記載されたタイプの、速度制御された、液体の貯蔵体の、デポー張り付け剤として企画された(特許文献31参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,466,953号明細書
【特許文献2】米国特許第4,470,962号明細書
【特許文献3】米国特許第4,588,580号明細書
【特許文献4】米国特許第4,626,539号明細書
【特許文献5】米国特許第5,006,342号明細書
【特許文献6】米国特許第5,186,939号明細書
【特許文献7】米国特許第5,310,559号明細書
【特許文献8】米国特許第5,474,783号明細書
【特許文献9】米国特許第5,656,286号明細書
【特許文献10】米国特許第5,762,952号明細書
【特許文献11】米国特許第5,948,433号明細書
【特許文献12】米国特許第5,985,317号明細書
【特許文献13】米国特許第5,958,446号明細書
【特許文献14】米国特許第5,993,849号明細書
【特許文献15】米国特許第6,024,976号明細書
【特許文献16】米国特許第6,063,399号明細書
【特許文献17】米国特許第6,139,866号明細書
【特許文献18】米国特許第4,704,282号明細書
【特許文献19】米国特許第4,725,439号明細書
【特許文献20】米国特許第4,867,982号明細書
【特許文献21】米国特許第4,908,027号明細書
【特許文献22】米国特許第5,004,610号明細書
【特許文献23】米国特許第5,152,997号明細書
【特許文献24】米国特許第5,164,190号明細書
【特許文献25】米国特許第5,342,623号明細書
【特許文献26】米国特許第5,344,656号明細書
【特許文献27】米国特許第5,364,630号明細書
【特許文献28】米国特許第5,462,745号明細書
【特許文献29】米国特許第5,633,008号明細書
【特許文献30】米国特許第6,165,497号明細書
【特許文献31】米国特許第4,588,580号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】フィジシャンズデスクレフェレンス(Physicians Desk Reference),56版、2002、1786−1789ページ)
【発明の概要】
【0014】
我々は今や、フェンタニルおよびその類似体を、以後に説明される特徴を有する、速度制御されないモノリスの亜飽和張り付け剤から少なくとも3日間の期間にわたり安全に、かつ鎮痛的に有効に送達することができることを見いだした。その結果、張り付け剤の成形加工が簡略化され、張り付け剤の安定性が改善され、そして、より快適な、患者に優しい張り付け剤が提供される。
【0015】
我々は更に、液体の貯蔵体の、速度制御されたデポーのDURAGESIC(R)経皮的フェンタニル張り付け剤に生物学的に等価であるかまたは薬理学的に等価である、速度制御されないモノリスの亜飽和張り付け剤を提供した。
【0016】
定義
本発明を説明するに際し、下記の用語が使用されるであろうし、下記に示すように定義されることが意図される。本明細書および付属の請求の範囲に使用されるような単数型の「a」「an」および「the」は、内容が明らかに別のことを記載しない限り、複数の意味を包含する。
【0017】
本明細書で使用されるような「フェンタニルの類似体」の用語(以後「類似体」と呼ぶ)は、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニル、トレフェンタニル等のような極めて強力で有効な鎮痛剤を表わす。
【0018】
本明細書で使用されるような「薬剤」の用語はフェンタニルおよびその類似体を表わす。
【0019】
本明細書で使用されるような「亜飽和張り付け剤」の用語は薬剤濃度がその溶解度の限界より低い張り付け剤を表わす。薬剤の貯蔵体は、薬剤およびすべての他の成分が貯蔵体中のそれらの飽和濃度を超えない、そして好ましくはそれより低い濃度で存在する、非溶解成分を含まない、単相のポリマー組成物を含んで成る。
【0020】
本明細書で使用されるような「単相のポリマー組成物」の用語は、薬剤およびすべての他の成分がポリマー中に溶解されて、投与期間の実質的な部分にわたり組成物中に非溶解成分が存在しないように、貯蔵体中に、それらの飽和濃度を超えない、そして好ましくはそれより低い濃度で存在し、そこでポリマーと組み合わせたすべての成分が単相を形成する組成物を表わす。
【0021】
本明細書で使用されるような「成分」の用語は、それらに限定はされないが、前記に定義されたような薬剤、添加剤、透過促進剤、安定剤、染料、希釈剤、可塑化剤、粘性付与剤、顔料、担体、不活性充填剤、抗酸化剤、賦形剤、ゲル化剤、抗刺激剤、血管収縮剤等を含む、薬剤の貯蔵体中の1要素を表わす。
【0022】
本明細書で使用されるような「速度制御膜」の用語は前記で考察されたような薬剤放出−速度制御膜を表わす。
【0023】
「DURAGESIC(R)フェンタニル張り付け剤」は前記で考察されたようなフェンタニル張り付け剤を表わす(更にPhysicians Desk Reference,56版、2002、1786〜1789ページを参照されたい)。
【0024】
本明細書で使用されるような「Cmax」の用語は薬剤、すなわちフェンタニルもしくはその類似体の最大血液もしくは血漿濃度を表わす。
【0025】
本明細書で使用されるような「標準化Cmax(ng/ml−cm)」の用語はシステムの有効薬剤送達領域、例えば薬剤の貯蔵体の領域の単位面積(cm)当たりのCmax(ng/ml)を表わす。
【0026】
本明細書で使用されるような「規格化Cmax(ng/ml−(mg/時間)」の用語は薬剤の投与される速度(mg/時間)で割られたCmax(ng/ml)を表わす。
【0027】
本明細書で使用されるような「定常状態の薬剤フラックス」の用語は投与期間の実質的な部分にわたる1〜20μg/cmの範囲の薬剤フラックス(インビトロおよびインビボ)を表わす。
【0028】
本明細書で使用されるような「生物学的利用能(bioavailability)」の用語は、有効成分または活性部分が医薬製品から吸収されて、作用部位で利用可能になる速度および程度を表わす。速度および程度は薬物動態学的パラメーター、例えば血液もしくは血漿薬物濃度−時間曲線(AUC)の下の面積および薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)、により確定される。
【0029】
同様な実験条件下で研究される時に、それらが実質的に同様な薬物動態学的な効果をもたらす場合には、2種の異なる製品が「生物学的に等価である」と考えられる。生物学的等価性はいくつかのインビボおよびインビトロの方法により示すことができる。これらの
方法は、好ましい順に、薬物動態学的、薬物動力学的、臨床的およびインビトロの研究を含む。生物学的等価性はとりわけ、以下に、より詳細に記載されるような統計学的基準を使用して、血液もしくは血漿の薬剤濃度−時間曲線(AUC)の下の面積および薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)のような薬剤動態学的尺度(measures)を使用して示される。
【0030】
2種の異なる製品はそれらが下記に,より詳細に記載されるようないくつかのインビボおよびインビトロの方法により示されるような、同様な実験条件下で研究される時に、実質的に同様な治療的効果をもたらす場合に、「薬理学的に等価である」と考えられる。治療的効果は下記に、より詳細に記載されるように、様々な因子、例えば薬剤の効力、皮膚中の薬剤の溶解度および拡散度、皮膚の厚さ、皮膚の適用部位内の薬剤濃度、薬剤の貯蔵体中の薬剤濃度等、に左右される。概括的に、薬理学的等価性は薬剤投与速度に対して規格化された薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(すなわち前記に定義されたような規格化Cmax)およびシステムの有効薬剤送達領域の単位面積当たりに標準化された薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(すなわち前記に定義されたような標準化Cmax)、のような指標を使用して示される。
【0031】
その薬剤投与速度が張り付け剤の大きさに比例する2種の異なる製品を比較する時には、薬剤投与速度に対する薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)を規格化すること(規格化Cmax)により、またはシステムの有効薬剤送達領域の単位面積当たりの薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)を標準化すること(標準化Cmax)のいずれかにより生物学的等価性または薬理学的等価性を確立することができる。しかし、単位面積当たり異なる薬剤投与速度を有する2種の異なる製品を比較する時には、生物学的等価性または薬理学的等価性を確立するためには、薬剤の投与速度に基づいた薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)を規格化する必要がある。
【0032】
本発明は長期間にわたり、被験者に皮膚をとおして、沈痛的目的のためのフェンタニルおよびその類似体の経皮的送達の方法およびそのための張り付け剤(patch)を提供する。本発明はとりわけ、少なくとも3日間、痛覚消失を誘発、維持するために十分な投与速度でフェンタニルおよびその類似体の経皮的送達のための、速度制御されないモノリスの、亜飽和張り付け剤を提供する。好ましい態様においては、薬剤はフェンタニル、好ましくはフェンタニルの塩基形態である。更に好ましい態様においては、薬剤はサフェンタニル、好ましくはサフェンタニルの塩基形態である。
【0033】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、液体の貯蔵体の速度制御されたデポーDURAGESIC(R)フェンタニル張り付け剤に生物学的に等価であり、速度制御されないモノリスの亜飽和張り付け剤を提供する。それに代わるアスペクトにおいて、本発明は液体の貯蔵体の速度制御されたデポーDURAGESIC(R)フェンタニル張り付け剤に薬理学的に等価であり、速度制御されないモノリスの亜飽和張り付け剤を提供する。
【0034】
更なるアスペクトにおいて、本発明は(a)裏打ち層、(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、そこで貯蔵体が、少なくとも3日間、痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の薬剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成る)、を含んで成る、皮膚をとおして薬剤を投与するための経皮的張り付け剤に関する。
【0035】
本発明のこれらのおよび他の態様は本開示を考慮すると当業者には容易に思いつかれるであろう。
【0036】
本発明の実施は別記されない限り、当業者のうちの医薬品開発者により使用される通常
の方法を使用するであろう。これらの方法は文献に完全に説明されている。例えば、Patini,G.A.およびChein,Y.W.,Swarbrick,J.およびBoylan,J.C.編纂、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,New York:Marcel Dekker,Inc.,1999並びにGale,R.,Hunt,J.およびPrevo,M.,Mathiowitz,E.,編纂、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery Patches,Passive,New York:J
Wiley&Sons,Inc,1999を参照されたい。
【0037】
特許、特許出願書およびその中に記載の刊行物はすべて前記でも後記でもそれら全体を引用により本明細書中に取り入れられている。
【0038】
発明の実施法
本発明は長期間にわたり、皮膚をとおして被験者に、沈痛的目的のためのフェンタニルおよびその類似体の経皮的送達の方法およびそのための張り付け剤を提供する。本発明はとりわけ、少なくとも3日間、そして7日間までの期間、それを必要とする患者に痛覚消失を誘発、維持するために十分な速度および量でのフェンタニルおよびその類似体の経皮的送達のための、速度制御されない、モノリスの亜飽和張り付け剤を提供する。
【0039】
今度は図1および2において、本発明に従う経皮的モノリスの張り付け剤1の好ましい態様は、裏打ち層2、裏打ち層2上に配置された薬剤の貯蔵体3(ここで貯蔵体3の少なくとも皮膚接触面4が接着性である)、および剥離可能な保護層5を含んで成る。貯蔵体3は、その中で薬剤およびすべての他の成分が貯蔵体3中でそれらの飽和濃度を超えない、そして好ましくはそれより低い濃度で存在する単相のポリマー組成物を含んで成る。これはそのなかに非溶解成分が存在しない組成物を生成する。好ましい態様においては、貯蔵体3は医薬として許容できる接着剤から形成される。
【0040】
今度は図2において、貯蔵体3は適当な接着性をもたない材料から形成される。モノリス張り付け剤1のこの態様においては、貯蔵体4の皮膚接触面は薄い接着性被膜6を伴なって調製することができる。貯蔵体3は以前に記載の単層ポリマー組成物である。
【0041】
裏打ち層2は布地、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、コート紙製品、アルミナムシート等およびそれらの組み合わせ物を含んで成る呼吸可能なまたは密閉された材料であることができる。好ましい態様においては、裏打ち層は低密度ポリエチレン(LDPE)材料、中密度ポリエチレン(MDPE)材料または高密度ポリエチレン(HDPE)材料、例えばSARANEX(Dow Chemical,Midland,MI)を含んで成る。裏打ち層はモノリスまたは多層ラミネート層であることができる。好ましい態様においては、裏打ち層は非線状LDPE層/線状LDPE層/非線状LDPE層を含んで成る多層ラミネート層である。裏打ち層は約0.012mm(0.5mil)から約0.125mm(5mil)、好ましくは0.025mm(1mil)から約0.1mm(4mil)、より好ましくは0.0625mm(1.5mil)から約0.0875mm(3.5mil)の厚さを有する。
【0042】
薬剤貯蔵体3は裏打ち層上に配置され、そこで貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性である。貯蔵体3は当該技術分野で周知の標準材料から形成することができる。例えば、薬剤貯蔵体は、薬剤がその中で所望の領域内に送達されるための適当な溶解度を有するポリマー材料、例えば、ポリウレタン、エチレン/ビニルアセテート・コポリマー(EVA)、ポリアクリル酸エステル、スチレンブロック・コポリマー等、から形成される。好ま
しい態様においては、貯蔵体3は下記に、より詳細に記載されるように、医薬として許容できる感圧性接着剤、好ましくはポリアクリル酸エステルまたはスチレンブロック・コポリマー−基材の接着剤から形成される。
【0043】
接着性貯蔵体3または接着性被膜6は当該技術分野で周知の標準の感圧性接着剤から形成される。感圧性接着剤の例は、それらに限定はされないが、ポリアクリル酸エステル、ポリシロキサン、ポリイソブチレン(PIB)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブロック・コポリマー、等を含む。スチレンブロック・コポリマー基材の接着剤の例は、それらに限定はされないが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック・コポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン・コポリマー(SBS)、スチレン−エチレンブテン−スチレン・コポリマー(SEBS)およびそれらの二ブロック類似体を含む。
【0044】
アクリルポリマーは、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸エステル、コポリマー化可能な二次的モノマーまたは官能基をもつモノマーを含んで成る群から選択される少なくとも2種以上の代表的成分を含んで成るコポリマーまたはターポリマーから成る。モノマーの例は、それらに限定はされないが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、等を含む。本発明の実施に適した、適当なアクリル接着剤の更なる例は、Satasの”Acrylic Adhesives,” Handbook of pressure−Sensitive Adhesive Technology,第2版、pp.396−456(D.Satas,編纂)、Van Nostrand Reinhold,New York(1989)に記載されている。アクリル接着剤は市販されている(National Starch and Chemical Corporation,Bridgewater,NJ;Solutia,MA)。ポリアクリレート基材の接着剤の更なる例は以下のように、National Starch(Product Bulletin,2000)により製造された、製品番号として区別された:87−4098、87−2287、87−4287、87−5216、87−2051、87−2052、87−2054、87−2196、87−9259、87−9261、87−2979、87−2510、87−2353、87−2100、87−2852、87−2074、87−2258、87−9085、87−9301および87−5298である。
【0045】
アクリルポリマーは架橋および非架橋ポリマーを含んで成る。ポリマーは所望のポリマーを提供するために、既知の方法により架橋される。好ましい態様においては、接着剤は−10℃未満のガラス転移温度(T)をもつ、より好ましくは約−20℃から約−30℃のTをもつポリアクリル酸エステル接着剤である。重量の平均として表わされるポリアクリル酸エステルの接着剤の分子量(MW)は概括的に、あらゆる架橋反応の前に、25,000から10,000,000、好ましくは50,000から約3,000,000、そしてより好ましくは100,000から1,000,000の範囲にある。架橋時にはポリマー化学分野に関与する当業者には周知のように、MWは無限に近づく。
【0046】
前記で考察されたように、貯蔵体3は、少なくとも3日間ヒトにおいて痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の薬剤を含有する、非溶解成分を含まない単相のポリマー組成物を含んで成る。薬剤はフェンタニルおよびその類似体、例えば、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニル、トレフェンタニル等から成る群から選択される。好ましい態様においては、薬剤の貯蔵体は、約0.05から約1.75mg/cmの薬剤、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmの薬剤、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmの薬剤、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmの薬剤、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmの薬剤、そして更により好ましくは約0.12から約0.5mg/cmの薬剤を含んで成る。薬剤はポリマー中に可溶性で、下記に考察されるような形態の貯蔵体3を形成しなければならない。好ましい態様においては、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はフェンタニルまたはサフェンタニルである。特に好ましい態様においては、薬剤の貯蔵体は、約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのフェンタニル、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのフェンタニル、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのフェンタニル、そして更により好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのフェンタニルを含んで成り、ここでフェンタニルは塩基形態にあり、完全に溶解されている。更に好ましい態様においては、薬剤貯蔵体は、約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのサフェンタニル、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのサフェンタニル、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのサフェンタニル、より好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのサフェンタニル、そして更により好ましくは約0.25から約0.4mg/cmのサフェンタニルを含んで成り、ここでサフェンタニルは塩基形態にあり、完全に溶解されている。
【0047】
貯蔵体3を形成する材料は総ポリマー組成物の約1重量%から約25重量%の、好ましくは約2重量%から約15重量%の、より好ましくは総ポリマー組成物の約4重量%から約12重量%の、そして更により好ましくは総ポリマー組成物の約6重量%から約10重量%の薬剤に対する溶解度を有する。接着性被膜6を伴なう、または伴なわない貯蔵体3は、約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)、好ましくは約0.025mm(1mil)から約0.0875mm(3.5mil)、より好ましくは0.0375mm(1.5mil)から約0.075(3mil)、そして更により好ましくは約0.04mm(1.6mil)から約0.05mm(2mil)、の厚さを有する。好ましい態様においては、薬剤は、好ましくは、塩基形態のフェンタニルであり、そこで貯蔵体3を形成する薬剤が、総ポリマー組成物の約1重量%から約25重量%の、好ましくは約3重量%から約15重量%の、より好ましくは約5重量%から約12重量%の、そして更により好ましくは総ポリマー組成物の約7重量%から約10重量%のフェンタニルに対する溶解度を有する。接着性被膜6を伴なう、または伴なわない貯蔵体3は、約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)、好ましくは約0.025mm(1mil)から約0.075mm(3mil)、より好ましくは0.0375mm(1.5mil)から約0.0625(2.5mil)、そして更により好ましくは、約0.04mm(1.6mil)から約0.05mm(2mil)、の厚さを有する。更に好ましい態様においては、薬剤は好ましくは塩基形態のサフェンタニルであり、ここで貯蔵体3を形成する材料が、総ポリマー組成物の約1重量%から約25重量%の、好ましくは約3重量%から約15重量%の、より好ましくは、約5重量%から約12重量%の、そして更により好ましくは総ポリマー組成物の約7重量%から約10重量%のサフェンタニルに対する溶解度を有する。接着性被膜6を伴なう、または伴なわない貯蔵体3は、約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)、好ましくは約0.025mm(1mil)から約0.075mm(3mil)、より好ましくは0.037
5mm(1.5mil)から約0.0625(2.5mil)、そして更により好ましくは約0.04mm(1.6mil)から約0.05mm(2mil)、の厚さを有する。
【0048】
更なる態様においては、貯蔵体3は場合により、それらの物質が貯蔵体中に飽和濃度より下で存在すると仮定して、追加の成分、例えば、添加剤、透過促進剤、安定剤、染料、希釈剤、可塑化剤、粘性付与剤、顔料、担体、不活性充填剤、抗酸化剤、賦形剤、ゲル化剤、抗刺激剤、血管収縮剤および、経皮的技術分野で一般に知られているようなその他の物質、を含有することができる。
【0049】
透過促進剤の例はそれらに限定はされないが、グリセリンの脂肪酸エステル、例えば、カプリン酸、カプリル酸、ドデシル、オレイン酸;イソソルバイド、スクロース、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;カプロイルラクチル酸;ラウレス−2;ラウレス−2アセテート;ラウレス−2ベンゾエート;ラウレス−3カルボン酸;ラウレス−4;ラウレス−5カルボン酸;オレスー2;グリセリルピログルタメートオレエート;グリセリルオレエート;N−ラウロイルサルコシン;N−ミリストイルサルコシン;N−オクチル−2−ピロリドン;ラウルアミノプロピオン酸;ポリプロピレングリコール−4−ラウレス−2;ポリプロピレングリコール−4−ラウレス−5ジメチルラウルアミド;ラウルアミドジエタノールアミン(DEA)を含む。好ましい促進剤はそれらに限定はされないが、ラウリルピログルタメート(LP)、グリセリルモノラウレート(GML)、グリセリルモノカプリレート、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノオレエート(GMO)、およびソルビタンモノラウレートを含む。適した透過促進剤の更なる例は例えば、米国特許第5,785,991号,第5,843,468号、第5,882,676号および第6,004,578号明細書に記載されている。
【0050】
ある態様においては、貯蔵体は急速な粘つきを減少し、粘度を増加し、そして/またはマトリックス構造物、例えば、ポリブチルメタクリレート(ICI Acrylicsにより製造されるELVACITE、例えば、ELVACITE 1010、ELVACITE 1020、ELVACITE 20)、高分子アクリル酸エステル、すなわち少なくとも500,000の平均分子量をもつアクリル酸エステル、等を強化することができる希釈物質を含んで成る。
【0051】
ある態様においては、粘性の特徴を改善するために接着性組成物中に可塑化剤または粘性付与剤を取り入れる。適した粘性付与剤の例はそれらに限定はされないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、水素化エステル、ポリテルペン、水素化木材樹脂、粘性付与樹脂(例えば、石油化学の原料油のカチオン重合または石油化学の原料油の熱重合とその後の水素化から製造される脂肪族炭化水素樹脂のESCOREZ、ロジンエステルの粘性付与剤等、鉱油およびそれらの混合物を含む。
【0052】
使用される粘性付与剤はポリマーの混合物と相容性でなければならない。例えば、スチレンブロック・コポリマーはゴムと相容性の粘性付与樹脂、ポリメチルスチレンのような末端ブロックの相容性樹脂、または鉱油のような可塑化剤とともに調製することができる。概括的に、ポリマーは総接着性組成物の約5〜50%であり、粘性付与剤は総接着性組成物の約30〜85%であり、そして鉱油は総接着性組成物の約2〜40%である。
【0053】
張り付け剤1は更に、剥離可能な保護層5を含んで成る。保護層5は場合によっては金属化することができるポリマー物質から製造される。ポリマー物質の例はポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、紙等およびそれらの組み合わせ物を含む。好ましい態様においては、保護層はシリコーン加工ポリエステルシートを含んで成る。
【0054】
本発明に従う経皮的送達張り付け剤の様々な層を加工するために使用することができる広範な材料は前記された。従って、本発明は、以後に必要な機能を実施することができると当業者に知られるようになるかも知れないものを含む、具体的に本明細書に開示されたもの以外の物質の使用を予期する。
【0055】
薬剤の投与
皮膚への適用時に、経皮的張り付け剤1の薬剤貯蔵体3中の薬剤は皮膚中に拡散し、そこで、血流中に吸収されて、全身的沈痛効果をもたらす。痛覚消失の開始は様々な因子、例えば、薬剤の効力、皮膚中の薬剤の溶解度および拡散度、皮膚の厚さ、皮膚の適用部位内の薬剤の濃度、薬剤の貯蔵体中の薬剤の濃度、等に左右される(フェンタニルおよびその類似体の相対的透過性および効力の考察に対しては例えば、米国特許第4,588,580号明細書を参照されたい)。患者は最初の適用の6時間以内に適当な効果を経験することが好ましい。しかし、これは最初の適用時にのみ重要である。繰り返した連続的な適用時には、張り付け剤の適用部位に残留する薬剤が、新規の張り付け剤からの薬剤が新規の適用領域中に吸収されるのとほぼ同様な速度で身体により吸収される。従って、患者は痛覚消失のどんな中断をも経験しないはずである。
【0056】
皮膚の適用部位内の薬剤の濃度はまた、経皮的治療用張り付け剤の大きさにおいて上限を決定し、反対に使用可能な投与速度において下限を決定する際に重要である。概括的に、本発明に従う張り付け剤が使用される時に、張り付け剤の皮膚適用部位内の薬剤の総量は約0.05から約200μg/cmの範囲にある。これらの張り付け剤を外すと、皮膚内の残留薬剤の量が薬剤の最少有効血漿濃度より十分に下まで減少されるまで鎮痛効果は継続する。例えば、フェンタニル張り付け剤の除去後、フェンタニルの血清濃度は徐々に減少し、約17時間で血清レベルの50%の減少値に達する(例えば、DURAGESIC(R)張り付け剤のラベル挿入物を参照されたい)。これらの量は薬剤の溶解度および張り付け剤の大きさにより、他の薬剤に対しては変わるであろう。例えば、表皮中のサフェンタニルの溶解度はフェンタニルの約25%から約50%までになるであろう。フェンタニルおよびその類似体の高い効力を考慮すると、皮膚中に溶解された薬剤量は好ましくは適当なレベルに維持されて、治療の即時の終結を可能にする。
【0057】
連続的な痛覚消失が所望される時は、使用済みの張り付け剤を外して、新規の張り付け剤を新規の部位に適用する。例えば、慢性の疼痛を緩和するために、投与期間の終わりに張り付け剤を連続的に外して、新規の張り付け剤と取り替えると考えられる。新規の適用部分中への新規の張り付け剤からの薬剤の吸収は通常、張り付け剤の以前の適用部位内に残留する薬剤の身体による吸収と実質的に同様な速度で起るので、血中レベルは実質的に一定に維持されるであろう。更に、時間が経過するうちに用量を増加することができ、かつ耐え切れない疼痛を処置するために、他の鎮痛剤の同時併用が起るからも知れないことは予期される。
【0058】
好ましい態様においては、本発明は約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)、好ましくは約6.6から約50ng/ml−(mg/時間)、より好ましくは約13から約40ng/ml−(mg/時間)、そして更に好ましくは約20から約35ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび、約0.001から約0.2ng/ml−cm、好ましくは約0.005から約0.15ng/ml−cm、より好ましくは約0.008から約0.1ng/ml−cm、そして更に好ましくは、約0.01から約0.08ng/ml−cmの範囲の標準化Cmax、を示す経皮的張り付け剤を提供する。経皮的張り付け剤は約0.5から約150cm、好ましくは約2から約100cm、より好ましくは約4から約50cm、そして更により好ましくは約10から約20cmである。皮膚上への投与時に、経皮的張り付け剤は約0.1から約20μg
/cm/時間、好ましくは約0.75から約10μg/cm/時間、好ましくは約1から約8μg/cm/時間、より好ましくは約1.5から約5μg/cm/時間、より好ましくは約2から約3μg/cm/時間、そして更により好ましくは約1から約2.5μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す。本発明に従って得られる定常状態の投与速度は約0.1から約500μg/時間、好ましくは約1から約30μg/時間、より好ましくは約2から約250μg/時間、そして更により好ましくは約5から約200μg/時間の範囲にある。
【0059】
更に好ましい態様においては、本発明は約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)、好ましくは約10から約62ng/ml−(mg/時間)、より好ましくは約16から約41ng/ml−(mg/時間)、そして更に好ましくは約20から約35ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび、約0.01から約0.2ng/ml−cm、好ましくは約0.02から約0.15ng/ml−cm、より好ましくは約0.03から約0.1ng/ml−cm、そして更に好ましくは約0.04から約0.08ng/ml−cmの範囲の標準化Cmaxを示す経皮的フェンタニル張り付け剤を提供する。経皮的フェンタニル張り付け剤は約1から約150cm、好ましくは約2から約125cm、より好ましくは約4から約100cm、より好ましくは約5から約75cm、そして更により好ましくは約5から約50cmである。皮膚上への投与時に、経皮的フェンタニル張り付け剤は約1から約10μg/cm/時間、好ましくは約1.5から約8μg/cm/時間、より好ましくは約2から約5μg/cm/時間、そして更により好ましくは約2から約3μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す。本発明に従うフェンタニル張り付け剤に対して得られる定常状態の投与速度は約1から約300μg/時間、好ましくは約2から約250μg/時間、そしてより好ましくは約5から約200μg/時間の範囲にある。
【0060】
更に好ましい態様においては、本発明は約0.04から約10ng/ml−(mg/時間)、好ましくは約1から約8ng/ml−(mg/時間)、そしてより好ましくは約2から約5.5ng/ml−(mg/時間)、そして更により好ましくは約2.5から約5ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび、約0.001から約0.05ng/ml−cm、好ましくは約0.005から約0.04ng/ml−cm、より好ましくは約0.0075から約0.025ng/ml−cm、そして更に好ましくは約0.01から約0.02ng/ml−cmの範囲の標準化Cmaxを示す経皮的サフェンタニル張り付け剤を提供する。経皮的サフェンタニル張り付け剤は約0.5から約40cm、好ましくは約1から約35cm、そしてより好ましくは約2から約30cmである。皮膚上への投与時に、経皮的サフェンタニル張り付け剤は約0.1から約10μg/cm/時間、好ましくは約0.5から約8μg/cm/時間、より好ましくは約0.75から約6μg/cm/時間、より好ましくは約1から約5μg/cm/時間、そして更により好ましくは約1から約2.5μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す。本発明に従うサフェンタニル張り付け剤に対して得られる定常状態の投与速度は約0.1から約200μg/時間、好ましくは約0.25から約150μg/時間、より好ましくは約0.5から約100μg/時間、より好ましくは約0.75から約50μg/時間、そして更により好ましくは約1から約40μg/時間の範囲にある。
【0061】
投与は少なくとも3日間、そして7日間まで維持され、3〜4日の計画が好ましいと考えられる。好ましい態様においては、張り付け剤中の薬剤総量の少なくとも3%、しかし40%を超えない量を使用の最初のほぼ24時間中に投与し、薬剤総量の少なくとも6%、しかし50%を超えない量を使用の最初のほぼ48時間中に投与し、そして薬剤の総量の少なくとも10%、しかし75%を超えない量をその投与期間中に投与する。好ましい態様においては、張り付け剤は、張り付け剤中の薬剤総量の少なくとも5%、しかし40%を超えない量を使用の最初のほぼ24時間中に投与され、薬剤の総量の少なくとも15
%の、しかし50%を超えない量を使用の最初のほぼ48時間以内に投与され、そして薬剤の総量の少なくとも25%の、しかし75%を超えない量をその投与期間中に投与されるフェンタニル張り付け剤である。それに代わる態様においては、張り付け剤は、張り付け剤中の薬剤総量の少なくとも3%の、しかし40%を超えない量を使用の最初のほぼ24時間中に投与され、薬剤の総量の少なくとも6%の、しかし50%を超えない量を使用の最初のほぼ48時間以内に投与され、そして薬剤の総量の少なくとも10%の、しかし75%を超えない量をその投与期間中に投与されるサフェンタニル張り付け剤である。
【0062】
本発明の好ましい態様はDURAGESIC(R)フェンタニルシステムに生物学的に等価である張り付け剤である。とりわけ、本発明に従うモノリスのフェンタニル張り付け剤は下記に、より詳細に記載されるような類似の実験条件下で研究されると、DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに比較すると実質的に同様な薬物動態学的効果(血液もしくは血漿薬剤濃度−時間曲線(AUC)の下の面積および薬剤の最高血漿濃度(Cmax)により測定される)をもたらす。
【0063】
更に好ましい態様においては、本発明の張り付け剤はDURAGESIC(R)フェンタニルシステムに薬理学的に等価である。とりわけ、本発明に従うモノリスのサフェンタニル張り付け剤は下記に、より詳細に記載されるような類似の実験条件下で研究されると、DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに比較して実質的に同様な治療効果をもたらす。
【0064】
概括的に、標準の生物学的等価性の研究は、通常24〜36人の健康な正常な成人を伴なう少数のボランティアにおける交差分析法で実施される。試験製品、例えば、本発明に従う経皮的フェンタニル張り付け剤および対照製品、例えば、DURAGESIC(R)フェンタニルシステムを含有する薬剤の1回量を投与し、薬剤の血液もしくは血漿レベルを経時的に測定する。これらの濃度−時間曲線の特徴、例えば、血液もしくは血漿薬剤濃度−時間曲線(AUC)の下の面積、および薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)は下記に、より詳細に記載されるような統計的方法により検査される。概括的に、2回の片側統計検定を生物学的等価の研究からのログ−変換パラメーター(AUCおよびCmax)を使用して実施する。2種の片側検定は0.05有意レベルで実施され、90%の信頼区間を計算する。試験および対照の調製物/組成物は、薬物動態学的パラメーターの平均値の比率(試験/対照製品)の近位の信頼区間が下限が80%を下らず、上限が125%を超えない場合に生物学的に等価であると考えられる。
【0065】
2種の異なる製品は概括的に、それらが前記のようないくつかのインビボおよびインビトロの方法により示されるような、同様な実験条件下で研究される時に実質的に同様な治療的効果をもたらす場合に「薬理学的に等価である」と考えられる。治療的効果は下記に、より詳細に記載されるように、様々な因子、例えば、薬剤の効力、皮膚中の薬剤の溶解度およびその拡散性、皮膚の厚さ、皮膚の適用部位内の薬剤の濃度、薬剤の貯蔵体中の薬剤濃度、等に左右される。概括的に、薬理学的等価性は薬剤の投与速度に対して規格化された薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(すなわち前記に定義されたような規格化Cmax)および、システムの有効薬剤送達領域の単位面積当たりに標準化された薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(すなわち、前記に定義されたような標準化Cmax)のような指標を使用して示される。
【0066】
それらの薬剤投与速度が張り付け剤の大きさに比例する2種の異なる製品を比較する時には、生物学的等価性または薬理学的等価性を確立するために、薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)が薬剤の投与速度に対して規格化されるかまたは、システムの有効薬剤送達領域の単位面積当たりに標準化されるかに差異はない。しかし、単位面積当たりに異なる薬剤投与速度を有する2種の異なる製品を比較する時には、生物学的等価性また
は薬理学的等価性を確立するためには、薬剤の投与速度に基づいて薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)を規格化することが必要である。
【0067】
製法
経皮的装置は既知の方法に従って製造される。前記のような、ポリマーの貯蔵体材料の溶液を二重惑星型ミキサー(double planetary mixer)に添加し、次に所望量の薬剤、好ましくは、フェンタニルまたはサフェンタニル、より好ましくは、フェンタニル塩基またはサフェンタニル塩基、および場合によっては、透過性促進剤を添加する。好ましくは、ポリマー貯蔵体の材料は有機溶媒、例えば、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン等中に溶解されている接着性ポリマーである。次にミキサーを閉鎖し、成分の許容できる均一性を達成するために一定の時間活性化させる。ミキサーをコネクターにより注形/フィルム乾燥ラインの片方の端に配置された適当な注形ダイに取り付ける。ミキサーを窒素を使用して加圧して、注型ダイに溶液を供給する。溶液を、移動しているシリコーン加工ポリエステルのウェブ上に湿ったフィルムとして注形する。ウェブをラインをとおして引き、一連のオーブンを使用して注形溶媒を許容できる残留限界まで蒸発させる。次に乾燥された貯蔵体のフィルムを、選択された裏打ち膜に層状に重ね、ラミネートを取り上げロール上に巻き取る。次の操作において、個々の経皮的張り付け剤を型抜きし、分離し、適当なパウチストック(pouchstock)を使用して単位包装される。張り付け剤を通常の装置を使用してカートンに収納する。もう1種の方法においては、薬剤の貯蔵体を当該技術分野で周知の装置を使用して、乾燥−混合および熱フィルム形成を使用して形成することができる。好ましくは、材料を乾燥混合して、スロットダイを使用して押し出し、次に適当な厚さに圧延する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に従う経皮的治療システムの1態様のスキームによる遠近図による断面図を示す。
【図2】本発明のもう1種の態様による断面図を示す。
【図3】様々なフェンタニル張り付け剤のインビトロの経皮的フラックスを示す。
【図4】様々なフェンタニルおよびサフェンタニル張り付け剤のインビトロの経皮的フラックスを示す。
【図5】様々なフェンタニルおよびサフェンタニル張り付け剤のインビトロの経皮的フラックスを示す。
【図6】薬剤負荷の関数としての様々なフェンタニルおよびサフェンタニル張り付け剤のインビトロの経皮的フラックスを示す。
【図7】72時間の様々なフェンタニル張り付け剤の経皮的適用後の、適用後96時間にわたる血清フェンタニル濃度を示す。
【図8】72時間の様々なフェンタニル張り付け剤の経皮的適用後の、適用後120時間にわたる血清フェンタニル濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明を実施するための具体的な態様の実施例は下記である。実施例は具体的に示す目的のみのために提供され、どんな方法でも本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0070】
使用された数値(例えば、量、温度、等)に関しては正確性を確保するように努力したが、ある程度の実験的誤差および偏差はもちろん許容されるべきである。
【0071】
長期間にわたり、フェンタニルおよびその類似体を投与することができる、本発明の様々な経皮的張り付け剤の具体的な例は下記に示す実施例中に説明されるであろう。そこで貯蔵体が、亜飽和濃度のフェンタニルもしくはサフェンタニル量を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成る接着剤−貯蔵体張り付け剤は現在、我々の発
明に従って好ましいと考えられる。下記の実施例においては、別記されない限りすべての百分率は重量百分率である。
【実施例1】
【0072】
図1に従うモノリスの経皮的張り付け剤を、それぞれ2.2、4.4、8.8、13.2および17.6mgのフェンタニル塩基を含んで成る、5.5、11、22、33および44cmの大きさに調製した。
【0073】
ポリアクリル酸エステル接着剤(National Starch 87−2287、100g)を溶媒(酢酸エチル、128ml)に溶解した。フェンタニル塩基を接着剤溶液中3.4重量%のフェンタニルを含有する混合物を生成するのに十分量でポリアクリル酸エステル接着剤溶液に添加し、撹拌して薬剤を溶解させた。溶液を2mil厚さの貯蔵体層に注形し、溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、非線状LDPE層/線状LDPE層/非線状LDPE層の多層ラミネートから成る3mil厚さの裏打ち層を標準の方法を使用して接着剤薬剤貯蔵体層に張り付けた。個々の張り付け剤をこのラミネートから、それぞれ2.2、4.4、8.8、13.2および17.6mgのフェンタニルを含んで成る、5.5、11、22、33および44cmの大きさに型抜きして、フェンタニル塩基0.4mg/cmを含有するモノリス経皮的張り付け剤を形成した。
【実施例2】
【0074】
図1に従うモノリスの経皮的張り付け剤をそれぞれ2.2、4.4、8.8、13.2および17.6mgのフェンタニル塩基を含んで成る、5.5、11、22、33および44cmの大きさに調製した。
【0075】
ポリアクリル酸エステル接着剤(National Starch 87−4287、100g)を溶媒(酢酸エチル、160ml)に溶解した。フェンタニル塩基を、接着剤溶液中2.8重量%のフェンタニルを含有する混合物を生成するのに十分量でポリアクリル酸エステル接着剤溶液に添加し、薬剤を溶解するために撹拌した。溶液を2mil厚さの貯蔵体の層に注形し、溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、ポリエチレン/ポリウレタン/ポリエステル層の多層ラミネートから成る1.7mil厚さの裏打ち層を標準の方法を使用して接着剤薬剤貯蔵体層に張り付けた。個々の張り付け剤を、それぞれ2.2、4.4、8.8、13.2および17.6mgのフェンタニルを含んで成る、5.5、11、22、33および44cmの大きさにこのラミネートから型抜きして、フェンタニル塩基0.4mg/cmを含有するモノリスの経皮的張り付け剤を形成した。
【実施例3】
【0076】
下記を例外として、モノリスの経皮的張り付け剤を、実施例1および2に記載のように、それぞれ2.2、4.4、8.8、13.2および17.6mgのフェンタニルを含んで成る、5.5、11、22、33および44cmの大きさに調製した。材料を酢酸エチルの不在下で乾燥混合し、スロットダイを使用して押し出し、次に適当な厚さに圧延した。
【実施例4】
【0077】
図1に従うモノリスの経皮的張り付け剤を、それぞれ2、4、8、12および16mgのフェンタニル塩基を含んで成る、5.2、10.5、21、31.5および42cmの大きさに調製した。ポリアクリル酸エステルの接着剤(National Starch 87−2287、500g)およびグリセリルモノラウレート(GML、10g)を溶媒(酢酸エチル、640ml)に溶解した。フェンタニル塩基を接着剤溶液中4重量%のフェンタニルを含有する混合物を生成するのに十分量をポリアクリル酸エステル接着剤溶液に添加して、薬剤を溶解するために撹拌した。溶液を1.8mil厚さの貯蔵体層に
注形し、溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、非線状LDPE層/線状LDPE層/非線状LDPE層の多層ラミネートから成る3mil厚さの裏打ち層を標準法を使用して接着剤薬剤貯蔵体層上に張り付けた。個々の張り付け剤をこのラミネートからそれぞれ2、4、8、12および16mgのフェンタニルを含んで成る、5.2、10.5、21、31.5および42cmの大きさに型抜きして、フェンタニル塩基0.35mg/cm含有のモノリスの経皮的張り付け剤を形成した。
【実施例5】
【0078】
下記を例外として、モノリスの経皮的張り付け剤を、実施例4に記載のように、それぞれ2、4、8、12および16mgのフェンタニルを含んで成る、5.2、10、5、21、31.5および42cmの大きさに調製した。材料を酢酸エチルの不在下で乾燥混合し、スロットダイを使用して押し出し、次に適当な厚さに圧延した。
【実施例6】
【0079】
前記の実施例1および2に記載のように、モノリスの経皮的張り付け剤をそれぞれ0.25、0.5、0.75,1.0および1.1mgのサフェンタニル(それぞれ2、4、6、8および9重量%に相当する)およびポリアクリル酸エステル接着剤(National Starch 87−4287)を含んで成る2.54cmの大きさに調製した。
【実施例7】
【0080】
モノリスの経皮的システムを実施例6に記載のように、1.1mgのサフェンタニルおよび透過性促進剤を含んで成る2.54cmの大きさに調製し、各システムはそれぞれ、ラウリルピログルタメート(1.1mg、9重量%)、グリセロールモノカプリレート(1.2mg、10重量%)およびグリセロールモノカプレート(0.625mg、5重量%)のうちの1種を含んで成った。
【0081】
同様に、それぞれ0.25、0.5、0.75および1.0mg(それぞれ2、4、6および8重量%に相当する)のサフェンタニルおよび、透過性促進剤を含んで成るモノリスの経皮的システムを前記のように調製する。
【実施例8】
【0082】
インビトロのフェンタニルのフラックスの研究を、様々な経皮的フェンタニル張り付け剤モノリスのフェンタニル張り付け剤およびDURAGESIC(R)フェンタニルシステムを使用して実施した。2.54cmの張り付け剤に対して0.4mg/cmのフェンタニル塩基を含有するモノリスのフェンタニル張り付け剤を実施例1に記載のように調製した。比較する経皮的フラックスを図3に示す。インビトロのフェンタニルフラックスの研究をセルの半分体の間にヒトの死体の表皮の1片を固定された2室の拡散セルを使用して実施した。皮膚の片側に経皮的張り付け剤を付着させ、セルの受容体側上に薬剤受容媒質を配置した。装置を32±0.3℃に維持された水浴中に入れた。薬剤濃度のHPLC分析のために72時間にわたり受容体媒質の試料を採取した。受容体の容量、皮膚露出面積、試料採取の間の期間および薬剤濃度の知識から、フェンタニルの輸送速度を計算した。薬剤の透過の時間平均速度は約1.5(±20%RSD)μg/時間−cmであり、それは少なくとも4人の別の皮膚提供者を3回使用する少なくとも4回の実験の平均値であった(すなわちn=12)。
【0083】
図3に示すように、本発明の、速度制御されない、モノリスの亜飽和張り付け剤からの薬剤フラックスは24時間までは速度制御された、液体の貯蔵体のDURAGESIC(R)フェンタニルデポー張り付け剤からの薬剤フラックスより大きい。24時間から72時間には、本発明の、速度制御されない、モノリスの亜飽和張り付け剤からの薬剤フラッ
クスは、速度制御された、液体の貯蔵体のDURAGESIC(R)フェンタニルデポー張り付け剤からの薬剤フラックスに比較して減少する。
【実施例9】
【0084】
インビトロのフェンタニルフラックスの研究を様々なモノリスのフェンタニルおよびサフェンタニル張り付け剤を使用して、実施例8に記載のように実施した。2.54cmの張り付け剤に対して、0.4mg/cmのフェンタニル塩基およびそれぞれ0.25,0.5、0.75、1.0および1.1mg/cm(それぞれ2、4、6、8および9重量%に相当する)のサフェンタニルを含有するモノリスのフェンタニル張り付け剤を実施例1〜7に記載のように調製した。比較する経皮的フラックスを図4、5および6に示す。
【実施例10】
【0085】
インビボのフェンタニルのフラックスの研究を様々な経皮的フェンタニル張り付け剤実施例1に記載のようなモノリスのフェンタニル張り付け剤、およびDURAGESIC(R)フェンタニルシステム、を使用して実施し、比較する薬物動態学的パラメーターを下記の表1および2に示す。張り付け剤の薬物動態学的パラメーターは下記のように評価された。
【0086】
研究は1中心の、ランダムな、1回投与の、開放ラベルの、8回連続の、8回処置の、3−期間交差研究であった。健康な成人被験者をランダムに8種の処置系列の1つに指定した。処置アーム(treatment arm)の間には少なくとも72時間、そして14日を超えない最低洗い落とし期間が存在した。洗い落とし期間は研究システムを外した時に開始した。各被験者はシステムの適用の14時間前および適用期間中は1日2回ナルトレキソン(naltrexone)を投与された。システムは適用の72時間後に外された。連続的血液試料を各被験者から各処置期間中前投与および投与後0.5、1、2、3、5、8、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、73、74、78、84および96時間に採取した。血液試料をフェンタニル濃度レベルについて放射免疫アッセイを使用して分析した。
【0087】
インビボの研究の結果を表1および2に示す。図7は最初の投与の96時間後までの、様々なフェンタニル張り付け剤−フェンタニル張り付け剤(20cm)の1回投与、フェンタニル張り付け剤(40cm)の2回投与およびDURAGESIC(R)フェンタニルシステム(100μg/時間、40cm)、の経皮的適用後の血清フェンタニル濃度を表わす。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【実施例11】
【0090】
インビボのフェンタニルのフラックスの研究を、下記を例外として、様々な経皮的フェンタニル張り付け剤実施例1に記載のようなモノリスのフェンタニル張り付け剤および、実施例9に記載のようなDURAGESIC(R)フェンタニルシステムを使用して実施した。
【0091】
研究は1中心の、ランダムな、1回投与の、開放ラベルの、2回連続の、2回処置の、2−期間交差研究であった。健康な成人被験者をランダムに2種の処置系列の1つに指定した。処置アームの間には少なくとも72時間、そして14日を超えない最低洗い落とし期間があった。洗い落とし期間は研究システムを外した時に開始した。各被験者はシステムの適用の14時間前および適用期間中は1日2回ナルトレキソン(naltrexone)を投与された。システムは適用の72時間後に外された。連続的血液試料を各被験者から各処置期間中、前投与および投与後0.5、1、2、3、5、8、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、73、74、78、84、96、108および120時間に採取した。血液試料をフェンタニル濃度レベルについて放射免疫アッセイを使用して分析した。
【0092】
インビボの研究の結果を表3に示す。図8は最初の投与の120時間後までの、様々なフェンタニル張り付け剤本発明のフェンタニル張り付け剤(100μg/時間、40cm
)およびDURAGESIC(R)フェンタニルシステム(100μg/時間、40cm)、の経皮的適用後の血清フェンタニル濃度を表わす。これらの濃度−時間曲線の特徴、例えば、血清薬物濃度−時間曲線(AUC)の下の面積および薬剤の最大血液もしくは血漿濃度(Cmax)を以前に記載の統計的方法により試験した。2種の片側統計的検定をインビボの(生物学的等価性)の研究からのログ−変換パラメーター(AUCおよびCmax)を使用して実施した。2種の片側検定を有意レベル0.05で実施し、そして90%信頼区間を計算した。試験および対照の調製物/組成物は薬物動態学的パラメーターの平均値の比率(試験/対照製品、すなわち処置B/処置A)の近位の信頼区間が下限値の80%より下にならず、上限値の125%を超えない場合に、生物学的に等価であると考えられた。ログ変換薬物動態学的(PK)パラメーターの統計的分析の結果を表4に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
従って、上記の表に示したおよび図3〜8に示した結果から示されるように、亜飽和濃度の薬剤を含んで成る、単相ポリマー組成物を含んで成る、薬剤貯蔵体を含んで成る本発明のモノリスの亜飽和の経皮的張り付け剤は、速度制御された飽和DURAGESIC(R)フェンタニルシステムに生物学的に等価である。とりわけ、本発明に従うモノリスの亜飽和張り付け剤は経皮的DURAGESIC(R)フェンタニルシステムに匹敵する薬物動態学的パラメーターを示す。
【0096】
本発明は単独で、または1種以上のその他の特徴物および特徴と組み合わせて、1種以上の下記の特徴物および/または特徴により説明され、特徴付けられる:
(a)裏打ち層、(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで前記貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、前記貯蔵体が少なくとも3日間、そして7日間まで、ヒトにおいて痛覚消失を誘発し、維持するために十分量のフェンタニルもしくはその類似体を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび約0.001から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmaxおよび約0.1から約20μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す)、を含んで成る、皮膚をとおってフェンタニルもしくはその類似体を投与するための経皮的張り付け剤。好ましくは、貯蔵体は接着性ポリマーから形成され、より好ましくは、接着剤はポリアクリル酸エステル接着剤である。貯蔵体はフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニルおよびトレフェンタニルから成る群から選択される薬剤を含んで成る。好
ましくは、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はフェンタニルまたはサフェンタニルである。薬剤の貯蔵体は約1重量%から約25重量%のフェンタニルおよびその類似体、約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニルもしくはその類似体の溶解度をもつポリマーを含んで成り、約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する。貯蔵体は場合によっては、促進剤を含んで成る。張り付け剤はポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−ポリオレフィンラミネートおよびポリブチレンテレフタレート、好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)材料、から成る群から選択されるポリマーを含んで成る裏打ち層を含んで成り、ここで裏打ち層は約2milから約5milの厚さを有する。好ましくは、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はフェンタニルであり、ここでフェンタニルは貯蔵体中に7重量%から12重量%の溶解度を有し、貯蔵体は接着剤、好ましくはポリアクリル酸エステル接着剤、より好ましくは−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステル接着剤から形成される。好ましい態様においては、貯蔵体は約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのフェンタニル塩基、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル塩基、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのフェンタニル塩基、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのフェンタニル塩基、そして更により好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る。それに代わる好ましい態様においては、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はサフェンタニルであり、そこでサフェンタニルは貯蔵体中1重量%から25重量%の溶解度をもち、貯蔵体は接着剤、好ましくはポリアクリル酸エステルの接着剤、より好ましくは、−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステル接着剤から形成される。好ましい態様においては、貯蔵体は約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのサフェンタニル塩基、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル塩基、好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのサフェンタニル塩基、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのサフェンタニル塩基、より好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのサフェンタニル塩基、そして更により好ましくは約0.25から約0.4mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る。
【0097】
(a)裏打ち層、(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで前記貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおいて、痛覚消失を誘発し、維持するために十分量のフェンタニルもしくはその類似体を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、そこで張り付け剤がDURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに生物学的に等価であるかまたは薬理学的に等しく、張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび約0.001から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmax、および約0.1から約20μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す)、を含んで成る、皮膚をとおってフェンタニルおよびその類似体を投与するための経皮的張り付け剤。好ましくは、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はフェンタニルであり、そこでフェンタニルが貯蔵体中で約7重量%から約12重量%の溶解度をもち、貯蔵体が接着剤、好ましくはポリアクリル酸エステルの接着剤、より好ましくは−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステル接着剤から形成される。好ましい態様においては、貯蔵体は約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのフェンタニル塩基、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル塩基、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのフェンタニル塩基、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのフェンタニル塩基、そして更により好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る。それに代わる好ましい態様においては、薬剤は塩基形態にあり、好ましい薬剤はサフェンタニルであり、そこでサフェンタニルが貯蔵体中1重量%から25重量%の溶解
度をもち、貯蔵体が接着剤、好ましくはポリアクリル酸エステルの接着剤、より好ましくは−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステル接着剤から形成される。好ましい態様においては、貯蔵体は約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基、好ましくは約0.07から約1.50mg/cmのサフェンタニル塩基、好ましくは約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル塩基、より好ましくは約0.09から約1.0mg/cmのサフェンタニル塩基、より好ましくは約0.1から約0.75mg/cmのサフェンタニル塩基、より好ましくは約0.12から約0.5mg/cmのサフェンタニル塩基、そして更により好ましくは約0.25から約0.4mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る。
【0098】
裏打ち層上に接着性フェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間そして7日間までヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含有するのに十分な、フェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、そこでフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも4重量%の溶解度をもち、貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有し、張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび約0.01から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmaxおよび約1から10mμg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示し、そしてそこで張り付け剤がDURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに生物学的に等価である、フェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
【0099】
裏打ち層上に接着性サフェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間そして7日間までヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含有するのに十分な、サフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、そこでサフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも5重量%の溶解度をもち、貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有し、張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、張り付け剤が約0.04から約10ng/ml−(mg/時間)の範囲の規格化Cmaxおよび約0.001から約0.05ng/ml−cmの標準化Cmaxおよび約1から10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示し、そしてそこで張り付け剤がDURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに薬理学的に等価である、サフェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
【0100】
以下、本発明の主たる態様または特徴を列挙する。
態様1:(a)裏打ち層、
(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで前記貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、前記貯蔵体が、少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量のフェンタニルもしくはその類似体を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成る)、
を含んで成る、皮膚をとおしてフェンタニルもしくはその類似体を投与するための経皮的張り付け剤。
態様2:DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに生物学的に等価である態様1の張り付け剤。
態様3:前記貯蔵体が接着性ポリマーから形成される、態様1の張り付け剤。
態様4:前記張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の規格化(normalized)Cmaxを示す、態様1または態様3の張り付け剤。
態様5:張り付け剤が約0.1から約20μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様1の張り付け剤。
態様6:前記張り付け剤が約0.001から約0.2ng/ml−cmの標準化(standerdized)Cmaxを示す、態様1または態様3の張り付け剤。
態様7:張り付け剤が約0.1から約20μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様6の張り付け剤。
態様8:前記貯蔵体が3〜7日間痛覚消失を誘発、維持するために十分量の溶解フェンタニルもしくはその類似体を含んで成る、態様1の張り付け剤。
態様9:フェンタニル類似体がアルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニルおよびサフェンタニルから成る群から選択される、態様8の張り付け剤。
態様10:前記貯蔵体が約1重量%から約25重量%のフェンタニルおよびその類似体に対する溶解度を有するポリマーを含んで成る、態様8の張り付け剤。
態様11:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニルもしくはその類似体を含んで成る、態様8の張り付け剤。
態様12:貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する、態様8の張り付け剤。
態様13:前記接着剤がポリアクリル酸エステルの接着剤である、態様3の張り付け剤。態様14:貯蔵体が更に促進剤(enhancer)を含んで成る、態様8または態様13の張り付け剤。
態様15:裏打ち層がポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−ポリオレフィンラミネートおよびポリブチレンテレフタレートから成る群から選択されるポリマーを含んで成る、態様1の張り付け剤。
態様16:裏打ち層が約0.012mm(0.5mil)から約0.125mm(5mil)の厚さを有する、態様15の張り付け剤。
態様17:(a)裏打ち層、
(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで前記貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、前記貯蔵体が少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量のフェンタニルを含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成る)、を含んで成る皮膚をとおしてフェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様18:DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに生物学的に等価である、態様17の張り付け剤。
態様19:前記貯蔵体が接着剤から形成される、態様17の張り付け剤。
態様20:前記張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、態様17または態様19の張り付け剤。
態様21:前記張り付け剤が約0.01から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、態様17または態様19の張り付け剤。
態様22:前記張り付け剤が約1から約10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様19の張り付け剤。
態様23:前記貯蔵体が約3〜約7日間、痛覚消失を誘発し、維持するための十分量の溶解フェンタニルを含んで成る、態様17の張り付け剤。
態様24:フェンタニルが前記貯蔵体中で7重量%から12重量%の溶解度を有する、態様17の張り付け剤。
態様25:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基(fentanyl base)を含んで成る、態様23の張り付け剤。
態様26:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様25の張り付け剤。
態様27:貯蔵体が約0.1から約0.75mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様26の張り付け剤。
態様28:貯蔵体が約0.12から約0.5mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様27の張り付け剤。
態様29:貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)
の厚さを有する、態様23の張り付け剤。
態様30:前記接着剤がポリアクリル酸エステルの接着剤である、態様19の張り付け剤。
態様31:前記ポリアクリル酸エステルの接着剤が−10℃より低いTを有する、態様30の張り付け剤。
態様32:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様30の張り付け剤。
態様33:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様32の張り付け剤。
態様34:貯蔵体が約0.1から約0.75mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様33の張り付け剤。
態様35:貯蔵体が約0.12から約0.5mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様34の張り付け剤。
態様36:貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する、態様35の張り付け剤。
態様37:貯蔵体が更に促進剤(enhancer)を含んで成る、態様23または態様30の張り付け剤。
態様38:裏打ち層がポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−ポリオレフィンラミネートおよびポリブチレンテレフタレートから成る群から選択されるポリマーを含んで成る、態様17、23または30のいずれか1項の張り付け剤。
態様39:裏打ち層が低密度ポリエチレン(LDPE)材料、中密度ポリエチレン(MDPE)材料または高密度ポリエチレン(HDPE)材料を含んで成る、態様38の張り付け剤。
態様40:裏打ち層が低密度ポリエチレン(LDPE)材料を含んで成る、態様39の張り付け剤。
態様41:裏打ち層が約0.012mm(0.5mil)から約0.125mm(5mil)の厚さを有する、態様38の張り付け剤。
態様42:裏打ち層上に接着性フェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含有するのに十分なフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、フェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様43:裏打ち層上に接着性フェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含有するのに十分なフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が約0.01から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、フェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様44:張り付け剤が約1から約10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様42または43の張り付け剤。
態様45:前記貯蔵体が約3〜約7日間、痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含んで成る、態様42または43の張り付け剤。
態様46:前記接着剤が−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステルの接着剤であり、かつフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも4重量%の溶解度を有する、態様45の張り付け剤。
態様47:接着剤の貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する、態様46の張り付け剤。
態様48:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基を含んで
成る、態様47の張り付け剤。
態様49:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様48の張り付け剤。
態様50:貯蔵体が約0.1から約0.5mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様49の張り付け剤。
態様51:裏打ち層上に接着性フェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含有するのに十分な、フェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、前記張り付け剤が約3.3から約82.5ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、フェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
態様52:裏打ち層上に接着性フェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含有するのに十分な、フェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、前記張り付け剤が約0.01から約0.2ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、フェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
態様53:前記貯蔵体が約3〜約7日間、痛覚消失を誘発、維持するのに十分量の溶解フェンタニルを含んで成り、そこでフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも4重量%の溶解度を有し、貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さをもち、そして前記張り付け剤が約1〜10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様51または52の張り付け剤。
態様54:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのフェンタニル塩基を含んで成る、態様51または52の張り付け剤。
態様55:(a)裏打ち層、
(b)裏打ち層上に配置された貯蔵体(ここで前記貯蔵体の少なくとも皮膚接触面が接着性であり、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量のサフェンタニルを含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成る)、を含んで成る、皮膚をとおしてサフェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様56:前記貯蔵体が接着剤から形成される、態様55の張り付け剤。
態様57:前記張り付け剤が約0.04から約10ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、態様56の張り付け剤。
態様58:前記張り付け剤が約0.001から約0.05ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、態様56の張り付け剤。
態様59:張り付け剤が約0.1から約10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様57または58の張り付け剤。
態様60:前記貯蔵体が約3から約7日間、痛覚消失を誘発、維持するために十分量の溶解サフェンタニルを含んで成る、態様55の張り付け剤。
態様61:サフェンタニルが前記貯蔵体中で1重量%から25重量%の溶解度を有する、態様55の張り付け剤。
態様62:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様61の張り付け剤。
態様63:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様62の張り付け剤。
態様64:貯蔵体が約0.1から約0.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様63の張り付け剤。
態様65:貯蔵体が約0.12から約0.5mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで
成る、態様64の張り付け剤。
態様66:貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する、態様60の張り付け剤。
態様67:前記接着剤がポリアクリル酸エステルの接着剤である、態様56の張り付け剤。
態様68:前記ポリアクリル酸エステルの接着剤が−10℃より低いTを有する態様67の張り付け剤。
態様69:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様66の張り付け剤。
態様70:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様69の張り付け剤。
態様71:貯蔵体が約0.1から約0.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様70の張り付け剤。
態様72:貯蔵体が約0.12から約0.5mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様70の張り付け剤。
態様73:貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さを有する、態様67の張り付け剤。
態様74:貯蔵体が更に促進剤(enhancer)を含んで成る、態様60または66の張り付け剤。
態様75:裏打ち層がポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニリデンクロリド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−ポリオレフィンラミネートおよびポリブチレンテレフタレートから成る群から選択されるポリマーを含んで成る、態様55、60または64のいずれか1項の張り付け剤。
態様76:裏打ち層が低密度ポリエチレン(LDPE)材料、中密度ポリエチレン(MDPE)材料または高密度ポリエチレン(HDPE)材料を含んで成る、態様75の張り付け剤。
態様77:裏打ち層が低密度ポリエチレン(LDPE)材料を含んで成る、態様76の張り付け剤。
態様78:裏打ち層が約0.012mm(0.5mil)から約0.125mm(5mil)の厚さを有する、態様75の張り付け剤。
態様79:裏打ち層上に接着性サフェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解スフェンタニルを含有するのに十分なサフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が約0.04から約10ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、サフェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様80:裏打ち層上に接着性サフェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含有するのに十分な、サフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が約0.001から約0.05ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、サフェンタニルを投与するための経皮的張り付け剤。
態様81:張り付け剤が約0.1から約10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様79または80の張り付け剤。
態様82:前記貯蔵体が約3から約7日間、痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含んで成る、態様79または80の張り付け剤。
態様83:前記接着剤が−10℃より低いTを有するポリアクリル酸エステルの接着剤であり、かつサフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも1重量%の溶解度を有する、態様82の張り付け剤。
態様84:接着剤の貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4
mil)の厚さを有する、態様83の張り付け剤。
態様85:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様84の張り付け剤。
態様86:貯蔵体が約0.08から約1.25mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様85の張り付け剤。
態様87:貯蔵体が約0.1から約0.5mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る、態様86の張り付け剤。
態様88:裏打ち層上に接着性サフェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含有するのに十分なサフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、前記張り付け剤が約0.04から約10ng/ml−(mg/時間)の規格化Cmaxを示す、サフェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
態様89:裏打ち層上に接着性サフェンタニルの貯蔵体を含んで成り、前記貯蔵体が少なくとも3日間、ヒトにおける痛覚消失を誘発し、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含有するのに十分なサフェンタニルに対する溶解度を有するポリアクリル酸エステルの接着剤を含有する、非溶解成分を含まない単相ポリマー組成物を含んで成り、前記張り付け剤が速度制御膜を全く含まず、前記張り付け剤が約0.001から約0.05ng/ml−cmの標準化Cmaxを示す、サフェンタニルを投与するためのモノリスの経皮的張り付け剤。
態様90:前記貯蔵体が約3から約7日間、痛覚消失を誘発、維持するのに十分量の溶解サフェンタニルを含んで成り、そこでサフェンタニルが前記貯蔵体中で少なくとも1重量%の溶解度をもち、貯蔵体が約0.0125mm(0.5mil)から約0.1mm(4mil)の厚さをもち、そして前記張り付け剤が約0.1から10μg/cm/時間の定常状態の薬剤フラックスを示す、態様88または89の張り付け剤。
態様91:貯蔵体が約0.05から約1.75mg/cmのサフェンタニル塩基を含んで成る態様90の張り付け剤。
態様92:DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに薬理学的に等価である、態様1の張り付け剤。
態様93:DURAGESIC(R)経皮的フェンタニルシステムに薬理学的に等価である、態様55の張り付け剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)裏打ち層、および
(b)裏打ち層上に配置されたポリアクリス酸エステルをベースとする貯蔵体であって、少なくとも皮膚接触面が接着性であり、0.0125mm(0.5mil)から0.1mm(4mil)の厚さを有し、少なくとも3日間ヒトにおける痛覚消失を誘発し維持するのに十分量のフェンタニル、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニルおよびトレフェンタニルからなる群より選択される薬剤と、当該薬剤の非溶解性分を含まない単層ポリマー組成物を含有する液体貯蔵体
を含んで成る、皮膚をとおしてフェンタニルもしくはその類似体を投与するための経皮的張り付け剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−197302(P2012−197302A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133906(P2012−133906)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2010−229628(P2010−229628)の分割
【原出願日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】