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フェンダープロテクタ及び同フェンダープロテクタを取付けた車両
説明

フェンダープロテクタ及び同フェンダープロテクタを取付けた車両

【課題】 薄肉のフェンダープロテクタを用いた場合であっても、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音を効果的に減少させることができるフェンダープロテクタを提供する。
【解決手段】 フェンダープロテクタ1の裏面に立設したリブ13を跨ぐように吸音材15を配設し、フェンダープロテクタ1の裏面とリブ13の側面と吸音材15とによって取り囲まれる空間部を、閉鎖された吸音気室20として構成する。フェンダープロテクタ1に小石等が当接して発生するチッピングノイズ等の騒音を、吸音材15と吸音気室20とによって効率よく吸音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車等の車両におけるホイールハウスに取り付けて車体を保護するフェンダープロテクタに関し、特に、軽量で且つ剛性に優れ、しかも、吸音効果を持たせたフェンダープロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車には、走行時に泥水の飛散や小石の跳ね上げ等から車体を保護するため、例えば車体のホイールハウスの内側に、タイヤの上部を覆うフェンダープロテクタが取り付けられている。このフェンダープロテクタは、合成樹脂材料を射出成形して所定の形状に形成されており、一般にタイヤの一部を上方から覆うことができるように、略逆U字状又はアーチ状に湾曲した形状に形成されている。そして、フェンダープロテクタ自体の軽量化を図るため、例えば、0.8〜1.5mm程度の薄肉板状に構成されている。
【0003】
このように薄肉板状に構成されたフェンダープロテクタに対して、所定の形状を維持してフェンダーパネル等の車体を保護するという機能を持たせておくためには、ある程度の剛性や強度が確保できるように構成しておくことが必要とされる。また、フェンダープロテクタは、上述したような車体を保護する機能の他に、車両の走行時に発生する騒音である、土砂、小石、水等の衝突(チッピング)により生じる衝突音(チッピングノイズ)や路面とタイヤとの摺接によって生じる擦過音(パターンノイズやロードノイズ)等といった騒音が、車室内に伝播されるのを抑制しておく機能も求められている。
【0004】
このような騒音が車室内に伝播されるのを緩和するため、フェンダープロテクタを複数層の不織布から構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、特許文献1に記載された、フェンダープロテクタとしてのフェンダライナ50の断面構造を、本願発明における従来例1として図5に示している。図5に示すように、フェンダライナ50は、タイヤ側に面する最外層となる表層52と、表層52とタイヤハウス51の外面51aとの間に配設した内層53とを備えた構成になっている。そして、内層53は、表層52側に配置される第1層53aと、タイヤハウス51の外面51a側に配置される第2層53bとを有している。
【0005】
表層52と、第1層53aと、第2層53bとは、それぞれが繊維密度の異なった不織布を材料として形成されている。そして、フェンダライナ50は、不織布の層からなる表層52、第1層53a及び第2層53bと、同第2層53bとタイヤハウス51の外面51aとの間に配設される空気層54との4つの層が積層されている積層構造に構成されている。
【0006】
しかし、フェンダライナ50を不織布で構成しているので、表層52に小石等が挟み込まれてしまう問題や、水や雪等が付着して、フェンダライナ50内に水分が浸み込んでしまう問題などが生じる。これに対して、薄肉板状に構成されたフェンダープロテクタでは、フェンダープロテクタに小石等が挟み込まれてしまうことや、付着した水や雪等の水分がフェンダープロテクタの内部にまで浸み込んでしまうことは防止できる。また、薄肉板状に構成されたフェンダープロテクタでは、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音に対する吸音効果も備えている。
【0007】
しかしながら、特に、チッピングにより生じる衝突音を抑えておく吸音効果については、薄肉板状に構成されたフェンダープロテクタの方が不織布を用いたものに比べて低くなってしまう。更に、フェンダープロテクタを軽量化のため、薄肉状態にフェンダープロテクタを構成している場合には、フェンダープロテクタの剛性が低くなってしまうという問題がある。
【0008】
しかも、薄肉のフェンダープロテクタを成形する場合には、射出成形時に金型のキャビティ内における樹脂流路断面は必然的に狭く構成されることになる。このため、キャビティ内を流れる合成樹脂材料の流動抵抗は大きくなり、合成樹脂材料がキャビティ内で成形品の全面を完全に充填する前に冷却固化が始まってしまい、充填不良と呼ばれる成形不良が生じてしまうことがある。
【0009】
薄肉のフェンダープロテクタを成形する場合における射出成形時の問題を解決する手段としては、本願出願人によって既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、フェンダープロテクタを薄肉で成形した場合における、吸音効果の問題を効果的に解決できるものは、いままで提案されていなかった。
【特許文献1】特開2007−176474号公報
【特許文献2】特開2008−44458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1における発明では、フェンダライナ50が不織布から構成されているので、不織布で構成されている表層52に小石等が挟み込まれてしまう問題や、水や雪等が付着してしまう問題などがある。特に、表層52に水や雪等が付着すると、表層52の内部にまで水分が侵入してしまうことになる。そして、表層52の内部にまで浸み込んだ水分が凍結したり、凍結が解けたりすることが繰り返されると、不織布自体に大きな孔が空いてしまったり、不織布としての強度等が劣化してしまうことになる。
【0011】
また、特許文献2のような薄肉のフェンダープロテクタを用いた場合には、フェンダープロテクタに小石等が挟み込まれてしまうことや、水や雪等が付着してフェンダープロテクタの内側まで水分が侵入してしまうことは防止できる。しかし、タイヤの回転で巻き上げられた小石等が、薄肉のフェンダープロテクタに衝突したときに生じる衝突音を低く抑えておくことは難しかった。
【0012】
そこで、本願発明では、特許文献2に開示されているような薄肉のフェンダープロテクタを用いた場合であっても、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音を効果的に減少させることができるフェンダープロテクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の課題は、請求項1〜3に記載された各発明と、請求項3に記載されたフェンダープロテクタを取付けた車両の発明とによって達成することができる。
即ち、本願発明に係わるフェンダープロテクタは、車両のホイールハウス内に取付けられるフェンダープロテクタにおいて、取付時に前記ホイールハウス側に配される面である前記フェンダープロテクタ裏面に立設したリブと、前記リブを覆って前記フェンダープロテクタ裏面に取付けられ、前記リブによって一部部位が、前記フェンダープロテクタ裏面から持ち上げられた吸音材と、を有し、
前記フェンダープロテクタ裏面と前記リブの側面と前記吸音材とによって取囲まれる空間を、閉鎖された吸音気室として構成してなることを最も主要な特徴となしている。
【0014】
また、本願発明では、前記リブが、格子状リブとして構成されてなり、前記格子状リブで取囲まれた前記フェンダープロテクタ裏面の部位に、前記吸音材が取付けられてなることを主要な特徴となしている。
更に、本願発明では、前記フェンダープロテクタと前記吸音材とが、共通した合成樹脂材料を有してなり、前記吸音材が、前記フェンダープロテクタに熱溶着されてなることを主要な特徴となしている。
【0015】
本願発明に係わる車両の発明は、請求項3に記載したフェンダープロテクタの発明を取付けた車両に係わる発明であって、前記車両のホイールハウスを構成する車体パネルに、前記吸音材の外表面を当接させ、前記フェンダープロテクタ裏面に取付けた前記吸音材の熱溶着部であるくぼみ部と、前記車体パネルとの間に、閉鎖された第2吸音気室を構成してなることを他の最も主要な特徴と成している。
【発明の効果】
【0016】
本願発明では、フェンダープロテクタの裏面側に吸音材を配するとともに、フェンダープロテクタの剛性を高めている突起状態のリブを利用することで、フェンダープロテクタ裏面とリブの側面とリブによって持ち上げられた吸音材とによって取囲まれる空間を、閉鎖された吸音気室として構成している。
【0017】
このように本願発明は構成されているので、薄肉に構成したフェンダープロテクタを用いたとしても、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音を、吸音材と閉鎖された吸音気室とによって効率的に吸音することができるようになる。また、騒音の影響によってフェンダープロテクタが振動したとしても、吸音材によってフェンダープロテクタの振動を減衰させることができる。
【0018】
本願発明では、フェンダープロテクタの剛性を高めているリブを利用して、吸音気室を閉鎖された吸音気室として構成しておくことができるので、吸音効果を大いに高めることができる。吸音材を配設する部位としては、フェンダープロテクタ裏面の略全面を覆うように配設しておくことも、特に、チッピングノイズが発生し易い部位に配設しておくこともできる。
【0019】
また、リブをフェンダープロテクタ裏面に形成しているので、フェンダープロテクタを射出成形する際には、リブを形成する空間が有効に利用できるようになり、この空間内で流動する合成樹脂材料の流れを従来よりも低く抑えておくことができる。従って、フェンダープロテクタの全面に対して、満遍なく合成樹脂材料を流し込むことが可能となる。しかも、薄肉領域内のガス抜きを円滑に行うことができるようになり、空気溜まりの発生を防止することができる。
【0020】
吸音材としては、複数の繊維が交絡状態に融着されて網目状構造となっている不織布や多孔質のウレタンスポンジ等を用いることができる。吸音材を不織布から構成した場合には、波長の短い高周波数帯域の騒音は、不織布によって吸音することができ、低い周波数帯域の騒音は、閉鎖された吸音気室によって吸音することができる。また、吸音材として用いる不織布としては、繊維密度が一定の単層から成る不織布を用いることも、繊維密度が異なった複数層から成る不織布を用いることもできる。
【0021】
また、本願発明では、前記リブを格子状リブとして構成しておくことができ、格子状リブによって取囲まれているフェンダープロテクタ裏面の部位に、吸音材を取付けておくことができる。このように構成することによって、格子状リブで取囲まれている領域に吸音気室を形成しておくことができる。しかも、格子状リブで取囲まれている領域に形成した吸音気室は、環状の吸音気室として構成しておくことができる。
吸音気室を環状に構成することによって、吸音気室の空気層を大きく構成することができる。そして、吸音気室内では音は全方向に分散されることになるので、吸音気室の空気層を大きく構成することによって、吸音効果を向上させることができる。これによって、格子状リブで取囲まれている領域に伝播されてきた騒音は、環状の吸音気室内で効率よく吸音することができる。
【0022】
本願発明では、フェンダープロテクタと吸音材とにおける構成材料の一つとして、それぞれに共通した合成樹脂材料を持たせて構成しておくことができる。このように構成しておくことにより、熱溶着によって吸音材をフェンダープロテクタに取付ける際には、共通した合成樹脂材料同士での熱溶着が行われ易くなり、熱溶着における溶着性を高めることができ、フェンダープロテクタに吸音材を確実に取付けておくことができる。
【0023】
吸音材のフェンダープロテクタへの取付け手段としては、熱溶着、接着剤による接着、両面テープ等による貼着等の取付け手段を適宜採用することができるが、熱溶着による取付け手段を用いたときには、共通した合成樹脂材料を持ったフェンダープロテクタと吸音材とを用いておくことが望ましい構成となる。
【0024】
また、フェンダープロテクタへの吸音材の取付け方法としては、取付け部が直線的となるように取付ける方法や、スポット的に取付ける方法や、直線的な取付けとスポット的な取付けとを共存させた状態で取付ける方法などを適宜選択することができる。
【0025】
本願発明のフェンダープロテクタを取付けた車両に係わる発明では、フェンダープロテクタ裏面に取付けた前記吸音材の熱溶着部が、窪んだ状態となることを利用しているものであり、吸音材の外表面を車体パネルに当接させたときに、熱溶着部であるくぼみ部を取囲んだ吸音材と車体パネルとによって形成される空間部を、閉鎖された第2吸音気室として構成している
即ち、フェンダープロテクタ裏面とリブの側面と吸音材とによって囲まれた吸音気室と、上記第2吸音気室とを、互い違いに配設することができるようになる。このように二つの吸音気室を配することができるようになり、吸音気室による吸音効果を高めることができる。しかも、エンジンルーム内で発生した騒音が、ホイールハウスから外部に漏れ出るのを吸音することもでき、全体としてフェンダープロテクタにおける吸音効果を大いに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明のフェンダープロテクタ及び同フェンダープロテクタを装備した車両としては、以下で説明する構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの構成を本願発明に係わるフェンダープロテクタ及び同フェンダープロテクタを装備した車両として採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0027】
図1は、本実施例1に係わるフェンダープロテクタの前方側を斜め上方から模式的に示した斜視図であり、図2(a)は、図1のII−II断面図であり、図2(b)は、フェンダープロテクタをホイールハウス内の車体パネルに取付けた状態における図1のII−II断面図である。
【0028】
尚、以下の説明では、フェンダープロテクタ1を車両に取り付けた際において車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方とする。また、ホイールハウス内の車体パネル18に取付けられる側におけるフェンダープロテクタ1の面を裏面とし、ホイールハウス内に配設したタイヤ側を向く面を表面とする。更に、湾曲したフェンダープロテクタ1の頂部側を上方とし、その反対側の向きを下方とする。
【0029】
図1に示した本実施形態のフェンダープロテクタ1は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂を射出成形した一体成形品であり、自動車のフェンダーパネルのホイールハウス内側に取り付けられて、タイヤの上部を覆う部材である。フェンダープロテクタ1は、略逆U字状に連続して湾曲した湾曲部2と、湾曲部2の前端で屈曲して延設された略扇形状の前端側延設部3と、湾曲部2の後端から延設された後端側延設部4とを有している。
【0030】
湾曲部2は、前端側に立設されたフロント起立部5と、後端側に立設されたリア起立部6と、フロント起立部5とリア起立部6とを連結した頂部7とから構成されている。また、湾曲部2は、肉厚が0.8mm〜1.5mmとなるように構成されており、フェンダープロテクタ1の軽量化が図られるように、薄肉に形成されている。
【0031】
湾曲部2と前端側延設部3には、その外側縁に沿って段差を有する端縁部8が設けられており、湾曲部2における端縁部8の一部と前端側延設部3における略円弧状の厚肉端縁部9とは、肉厚が2.0mm〜3.0mmに構成されている。厚肉端縁部9及び端縁部8の一部をこのような肉厚を有するように形成しておくことにより、フェンダープロテクタ1の可撓性を維持しながら、湾曲部2の所要部位や前端側延設部3における剛性及び強度を効果的に向上させることができる。尚、端縁部8において厚肉に形成した部位以外は、湾曲部2と同等の肉厚に形成している。
【0032】
また、湾曲部2には、その頂部7内側の部位に自動車のサスペンションを挿入するための切欠き10が形成されている。湾曲部2の内側端縁における、切欠き10が設けられている部位から後端側延設部4に掛けてフランジ11が形成されている。湾曲部2の頂部7や厚肉端縁部9、及び前端側延設部3には、フェンダープロテクタ1をクリップ等の固着具を介して自動車の車体パネル18に固定するための複数の固定部12が適宜形成されている。
【0033】
固定部12は、フェンダープロテクタ1の表面側から裏面に向かって隆起する形状に形成されており、フェンダープロテクタ1の表面側における固定部12は、凹部状に形成されている。そして、固定部12を介してフェンダープロテクタ1を、安定した取付け状態で車体パネル18に固定できるように構成されている。
【0034】
フェンダープロテクタ1の裏面におけるフロント起立部5及びリア起立部6には、格子状のリブ13が立設されている。リア起立部6に立設されている格子状のリブ13に関しては、その図示を省略しているが、フロント起立部5に立設したリブ13と同様の構成に形成されている。リブ13は、フロント起立部5及びリア起立部6の長手方向に沿った縦リブ13aと縦リブ13aに交差する方向に立設された横リブ13bとから構成されている。そして、縦リブ13aと横リブ13bとによって、格子状の形状を構成している。
【0035】
リブ13は、フェンダープロテクタ1の強度を向上させる働きをするとともに、フェンダープロテクタ1を成形するときには、注入する樹脂材料の流れを円滑にする働きをしている。
【0036】
フェンダープロテクタ1を取付けた車両の走行中に、タイヤの回転によって跳ね上げられた土砂、小石、水等がフェンダープロテクタ1に衝突する部位を覆うようにして、吸音材15がフェンダープロテクタ1の裏面側に配設されている。吸音材15としては、フェンダープロテクタ1の裏面側を覆い尽くすように配設しておくこともできるが、少なくともタイヤの回転によって跳ね上げられた土砂、小石、水等が衝突するフェンダープロテクタ1の部位を裏面側から重点的に覆っておくように配設しておくことが望ましい構成となる。
【0037】
図1には、跳ね上げられた土砂、小石、水等がフェンダープロテクタ1に衝突する部位を覆うようにして、フロント起立部5及びリア起立部6に吸音材15が配設した構成例を示している。吸音材15は、フロント起立部5及びリア起立部6に形成されている縦リブ13aと横リブ13bとを覆うように配設されている。
【0038】
尚、リア起立部6に配した吸音材15については、その一部を示しており、リア起立部6に配した吸音材15の全体的な配置構成は、フロント起立部5に配した吸音材15と同様の配置構成になっている。
【0039】
吸音材15としては、複数の繊維が交絡状態に融着されて網目状構造となっている不織布や多孔質のウレタンスポンジ等を用いることができる。不織布を用いた場合における繊維材料としては、ポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、あるいはこれらの樹脂を用いた混合物を用いることができる。
【0040】
また、吸音材15としては、合成繊維を用いる代わりに、無機繊維としてのガラス繊維、セラミックス繊維等や、天然繊維としての、綿、レーヨン等のセルロース繊維、絹、羊毛等のタンパク質繊維等を用いることもできる。あるいは、これらの合成繊維、無機繊維及び天然繊維のうちから、適宜の繊維を組合わせたものを用いることもできる。
【0041】
図1では、吸音材15を、合成繊維を用いた不織布から構成した場合について例示している。不織布を用いた吸音材では、波長の短い高周波数帯域の騒音は、不織布によって吸音することができ、低い周波数帯域の騒音は、閉鎖された吸音気室によって吸音することができる。また、吸音材15に用いる不織布としては、繊維密度が一定の単層から成る不織布を用いることも、繊維密度が異なった複数層から成る不織布を用いることもできる。
【0042】
吸音材15は、スポット熱溶着によりフェンダープロテクタ1に取付けられている。熱溶着された取付け部16は、吸音材15の周縁部、リブ13によって形成される格子部の内外の領域、フェンダープロテクタ1を車体パネル18(図2(b)参照。)に取付ける固定部12の周縁に配されている。
【0043】
尚、吸音材15としては、固定部12を露呈させておくことができるように固定部12の周囲をくり抜いた形状に構成されている。また、フェンダープロテクタ1に形成されている形状に合わせるため、吸音材15に対して切欠きや切抜き等を形成しておくことができる。
【0044】
吸音材15をスポット熱溶着によって、フェンダープロテクタ1に取付け易くするため、例えば、吸音材15とフェンダープロテクタ1とをポリプロピレンによって構成しておくことができる。吸音材15をフェンダープロテクタ1に熱溶着させる場合には、少なくとも、吸音材15とフェンダープロテクタ1とにおける構成材料として、熱溶着し易い、共通した合成樹脂材をそれぞれに持たせておくことが望ましい構成となる。
【0045】
取付け部16の配設間隔としては、取付け部16間に配される吸音材15がフェンダープロテクタ1の裏面に密着するような間隔に配設しておくことができる。即ち、取付け部16で囲まれた吸音材15の外周領域内が、密閉された空間となるように、取付け部16が配設されている。そして、吸音材15の外周取付け部におけるフェンダープロテクタ1に密接する平面を大きく構成しておくことができ、フェンダープロテクタ1に取付ける吸音材15の密着性を向上させることができる。
【0046】
また、取付け部16としては、スポット熱溶着によって取付ける構成の代わりに、熱溶着による直線的な連続した取付け部として構成しておくことも、あるいは、スポット熱溶着と直線的な連続した熱溶着とを共存させた構成としておくこともできる。このため、取付け部16の配設構成としては、図1に示した配置構成に限定されるものではなく、適宜の配置構成としておくことができる。
【0047】
図1のII−II断面を示す図2(a)に示すように、縦リブ13a上を跨った吸音材15は、縦リブ13aによって持ち上げられた状態に配されることになる。そして、吸音材15は、取付け部16によってフェンダープロテクタ1に取付けられているので、縦リブ13aの側面とフェンダープロテクタ1の裏面と吸音材15とによって取囲まれた吸音気室20を、閉鎖された吸音気室として構成することができる。
【0048】
また、図2では図示していないが、横リブ13b上を跨った吸音材15は、横リブ13bによっても持ち上げられ、横リブ13bの側面とフェンダープロテクタ1の裏面と吸音材15とによって取囲まれた吸音気室20が構成されている。そして、リブ13によって形成される格子部の内部においては、縦リブ13aによって構成された吸音気室20と横リブ13bによって構成された吸音気室20とは連通することになり、閉鎖された環状の吸音気室20を構成しておくことができる。そして、吸音気室20では、音は全方向に分散されることになるので、閉鎖された環状の吸音気室20によって吸音効果を向上させることができる。
【0049】
リブ13によって形成される格子部の外部においては、取付け部16によって吸音材15の外周領域がフェンダープロテクタ1に密着するように配されている。これによって、縦リブ13aによって構成された吸音気室20及び横リブ13bによって構成される吸音気室20は、それぞれ独立して閉鎖された吸音気室20として構成されることになる。
【0050】
図2(b)に示すように、ホイールハウスを構成する車体パネル18にフェンダープロテクタ1を取付けた場合には、車体パネル18に吸音材15を密着させて取付けることができる。そして、取付け部16におけるくぼみ部16aと車体パネル18との間に、第2吸音気室21を構成することができる。しかも、リブ13における格子部の内側では、吸音気室20と第2吸音気室21とを交互に設けることができる。
【0051】
リブ13によって形成される格子部の内側に、二つの吸音気室20,21を配することができるようになるので、吸音気室20,21による吸音効果を大いに高めることができる。また、車体パネル18の内側に配されているエンジンルーム内で発生した騒音も、フェンダープロテクタ1に設けた吸音材15と二つの吸音気室20,21とによって、ホイールハウスから外部に漏れ出て行くのを減少させることができる。
【実施例2】
【0052】
本願発明に係わる実施例2の構成を、図1のII−II断面と同様の断面で切断したときの断面図として、図3(a)、(b)に示している。図3(a)、(b)は、本願発明に係わる実施例2の構成を示している。実施例2では、フェンダープロテクタ1に形成されている各リブ23の凸形状部24が2連に構成されている場合の実施例を示している。リブ23の構成以外における他の構成は、実施例1の場合と同様の構成となっている。そのため、実施例と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0053】
実施例2では図3(a)、(b)を用いて、フェンダープロテクタ1に形成された各リブ23の凸形状部24が2連に構成されている例について説明を行う。しかし、各リブ23の凸形状部24は2連に構成されているものに限定されるものではなく、3連以上に各リブ23の凸形状部を構成しておくこともできる。また、リブ23を構成する縦リブにおける凸形状部24の連数と横リブにおける凸形状部24の連数とを同じ数の連数に構成しておくことも、異なる数の連数に構成しておくこともできる。
【0054】
更に、各リブ23の凸形状部24としては、複数の連数に構成する以外にも、各リブ23の凸形状部を無垢ビード形状として構成しておくこともできる。即ち、ビード(bead:数珠玉、ビーズのネックレス)のように、丸い玉が繋がったような形状に構成しておくこともできる。
【0055】
図3(a)、(b)に示すように、凸形状部24として2連に構成されたリブ23をフェンダープロテクタ1に形成し、2連の凸形状部24を跨ぐように吸音材15を取り付けると、2連の凸形状部24間にも吸音気室25を構成することができる。即ち、実施例1で説明した吸音気室20の他に2連の凸形状部24間に吸音気室25を構成することができ、フェンダープロテクタ1の裏面に形成した吸音気室20,25の構成数を増やすことができる。従って、より効率的に騒音を吸音することができるようになる。
【0056】
また、各リブ23の凸形状部を無垢ビード形状として構成した場合には、無垢ビード形状の凸形状部の側面とフェンダープロテクタ1の裏面と吸音材15とのよって取囲まれた吸音気室20の高さをリブ23の長手方向に沿って異ならせることができるとともに、凸形状部24を間に挟んだ両側の吸音気室20を間欠的な位置で連通させることができる。これにより、各吸音気室20での吸音効果に吸音気室20間を連通させたことに伴う吸音効果を奏させることができる。
【実施例3】
【0057】
本願発明に係わる実施例3の構成を、図1のII−II断面と同様の断面で切断したときの断面図として、図4に示している。実施例3では、フェンダープロテクタ1の構成として、ビード状にリブ14が形成されている。即ち、リブ14を形成する凹部14aの裏面側で吸音材15を取付けることができる。
【0058】
フェンダープロテクタ1の構成以外における他の構成は、実施例1の場合と同様の構成となっている。そのため、実施例と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0059】
吸音材15は、隣接する凹部14a間を跨ぐようにしてフェンダープロテクタ1に取付けられている。即ち、隣接する凹部14a間を跨いでいる吸音材15の部位は、フェンダープロテクタ1の裏面から持ち上げられた状態になっている。このように構成されているので、吸音材15の下面とフェンダープロテクタ1の裏面との間に、大きな空間部としての吸音気室26を構成することができる。吸音気室26を大きく構成しておくことができるので、吸音気室26内に伝播されてきた騒音は、吸音気室26内で全方向に分散されることになる。そして、吸音気室26から吸音材15内に伝播した騒音は、吸音材15によって吸音されることになる。このように、騒音を効率的に吸音することができる。
【0060】
また、リブ14の凹部14aとしては、所望の大きさの底面部を有する構成として、フェンダープロテクタ1に千鳥状に配設した構成としておくことも、碁盤の目のように配設した構成としておくこともできる。また、隣接する凹部14a同士を連通させて、環状の溝を形成するように構成しておくこともできる。そして、凹部14aを環状の溝として構成した場合には、吸音気室26の大きさを更に大きく構成しておくことができ、吸音気室26による吸音効果を更に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本願発明の技術思想を適用できるものに対して、本願発明の技術思想を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】フェンダープロテクタの斜視図である。(実施例1)
【図2】図1のII―II断面図である。(実施例1)
【図3】図1のII―II断面図で示した他の構成例である。(実施例2)
【図4】図1のII―II断面図で示した別の構成例である。(実施例3)
【図5】フェンダライナの断面構造を示す模式図である。(従来例1)
【符号の説明】
【0063】
1・・・フェンダープロテクタ、
5・・・フロント起立部、
6・・・リア起立部、
12・・・固定部、
13、23・・・リブ、
14・・・リブ、
14a・・・凹部、
15・・・吸音材、
16・・・取付け部、
18・・・車体パネル、
20、25、26・・・吸音気室、
21・・・第2吸音気室、
24・・・凸形状部、
50・・・フェンダライナ、
51・・・タイヤハウス、
52・・・表層、
53・・・内層、
54・・・空気層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールハウス内に取付けられるフェンダープロテクタにおいて、
取付時に前記ホイールハウス側に配される面である前記フェンダープロテクタ1裏面に立設したリブ13,14,23と、
前記リブ13,14,23を覆って前記フェンダープロテクタ1裏面に取付けられ、前記リブ13,14,23によって一部部位が、前記フェンダープロテクタ1裏面から持ち上げられた吸音材15と、
を有し、
前記フェンダープロテクタ1裏面と前記リブ13,14,23の側面と前記吸音材15とによって取囲まれる空間を、閉鎖された吸音気室20,25,26として構成してなることを特徴とするフェンダープロテクタ。
【請求項2】
前記リブ13,14,23が、格子状リブとして構成されてなり、前記格子状リブで取囲まれた前記フェンダープロテクタ1裏面の部位に、前記吸音材15が取付けられてなることを特徴とする請求項1記載のフェンダープロテクタ。
【請求項3】
前記フェンダープロテクタ1と前記吸音材15とが、共通した合成樹脂材料を有してなり、前記吸音材15が、前記フェンダープロテクタ1に熱溶着されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のフェンダープロテクタ。
【請求項4】
請求項3記載のフェンダープロテクタ1を取付けた車両であって、
前記車両のホイールハウスを構成する車体パネル18に、前記吸音材15の外表面を当接させ、
前記フェンダープロテクタ1裏面に取付けた前記吸音材15の熱溶着部であるくぼみ部16aと、前記車体パネル18との間に、閉鎖された第2吸音気室21を構成してなることを特徴とするフェンダープロテクタを取付けた車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−6312(P2010−6312A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170519(P2008−170519)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】