説明

フェンダ遮蔽板用クリップ

【課題】既存の作業孔を利用してフェンダ遮蔽板を取り付けることができ、共通のクリップを使用し、遮蔽板を変えることにより、異なる車種に対応することができるフェンダ遮蔽板用クリップを提供する。
【解決手段】フェンダ遮蔽板用クリップは、フェンダ遮蔽板(10)を取り付けるための遮蔽板差込溝(47)と、ボディパネル(20)の2つの取付孔(21,22)に取付けるための2つの脚部(28)とを備える。各脚部は、外側が平面の外面(31)で、内側は脚部の基部に近づくに従って半径が大きくなる円錐形状部(33)である。脚部をボディパネルの取付孔に挿入していくと、円錐形状部により、取付け位置に案内される。フェンダ遮蔽板を取付けるため、フェンダ遮蔽板の係止孔(13)に係合する遮蔽板係止爪(43)と、遮蔽板係止爪の係合を解除する遮蔽板取外し片(44)とを有する。ボディパネルの取付孔に係合する多段係止爪(34)と、係合を解除するクリップ取外し片(35)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフェンダパネルの内側に配置される遮蔽板を取り付けるためのクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗用車等の車両のフェンダでは、フェンダパネルが、フェンダエプロンに固定されている。フェンダパネルと、フェンダエプロンとの間には、車両前後方向に長い空間が存在する。この空間には、熱や騒音を遮蔽するためのフェンダ遮蔽板が配置されている。乗用車等の車両のフェンダ周辺の構造は、特許文献1、2に記載されている。
従来のフェンダ遮蔽板は、フェンダパネルの内側に、フェンダパネルに対して垂直に配置され、空間を車両前後方向に仕切っている。
【0003】
特許文献1は、フェンダパネルの内側において、板面が車両前後方向に対して垂直になるようにフェンダエプロンに取付けられる基板と、基板を両面から挟んで取付けられるスポンジ部とを備えるシール部材を開示する。
特許文献1のシール部材は、基板の形状を変更することなく、スポンジ部の形状を変更することで、異なる車種のフェンダパネルの内側の異なる形状に対応することができる。 しかし、基板の固定部をフェンダエプロンの固定孔に固定するのに、専用の固定孔が必要である。また、1つの固定部で、フェンダエプロンに取付けられるので、取付部にガタが生じやすい。
【0004】
特許文献2は、フェンダパネルの内側の空間部を流れる空気を遮断するインシュレータ(遮蔽板)を車体パネルに取付ける取付手段に、破断部を設け、過大な衝撃力が加わると、破断部が破断し、衝突による衝撃力を吸収するインシュレータの取付構造を開示する。
特許文献2のインシュレータの取付構造は、取付手段を車体パネルに取付けるのに、専用の取付孔が必要である。
また、車種が異なると、異なるインシュレータを使用しなければならない。
【0005】
そのため、既存の孔を利用してフェンダ遮蔽板を取り付けることができるフェンダ遮蔽板用クリップが望まれていた。
また、フェンダパネルの内側にフェンダを取り付けるのに、共通のクリップを使用し、異なる車種に対応できるフェンダ遮蔽板が望まれていた。
また、フェンダ遮蔽板を取り付けた後、何れの方向へもガタの少ないフェンダ遮蔽板用クリップが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−115989号公報
【特許文献2】特開2007−90999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、既存の作業孔を利用してフェンダ遮蔽板を取り付けることができるフェンダ遮蔽板用クリップを提供することである。
本発明の他の目的は、フェンダエプロン等のボディパネルの内側にフェンダを取り付けるのに、共通のクリップを使用し、フェンダ遮蔽板を変えることにより、異なる車種に対応できるフェンダ遮蔽板用のクリップを提供することである。
本発明の他の目的は、フェンダ遮蔽板を取り付けた後、何れの方向へもガタの少ないフェンダ遮蔽板用クリップを提供することである。
本発明の目的は、上記3つのうち少なくとも1つを解決するフェンダ遮蔽板用のクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明の第1の態様は、
フェンダ遮蔽板をボディパネルに取付けるためのフェンダ遮蔽板用クリップであって、
フェンダ遮蔽板を取り付けるための遮蔽板差込溝と、
ボディパネルの2つの取付孔に取付けるための一対の脚部と、を備え、各々の前記脚部は、前記脚部の基部に近づくと前記一対の脚部の間の距離が小さくなり、各々の前記脚部を前記ボディパネルのそれぞれの前記取付孔に挿入して取付けることを特徴とするフェンダ遮蔽板用クリップである。
【0009】
これにより、既存の例えば円形の溶接作業孔を利用してフェンダ遮蔽板を取り付けることができる。2つの孔を利用することにより、孔間距離、大きさの異なる孔には取付られないので、誤って他の孔に取付けることがない。
共通のクリップを使用し、フェンダ遮蔽板を変えることにより、異なる車種に対応することができる。
【0010】
前記フェンダ遮蔽板の係止孔に係合する遮蔽板係止爪と、前記遮蔽板係止爪の係合を解除するための遮蔽板取外し片とを有し、前記遮蔽板係止爪の係合を解除して、前記フェンダ遮蔽板を取り外すことができることが好ましい。
これにより、フェンダ遮蔽板を単体で容易に取り外すことができる。
【0011】
前記遮蔽板差込溝の一方の面である遮蔽板取付面は、両端部に一段高い遮蔽板ガタ抑制リブを有することが好ましい。
これにより、車両の前後方向のガタを抑制することができる。
【0012】
前記フェンダ遮蔽板は2つのスリットを有し、前記遮蔽板差込溝の両端部に、前記フェンダ遮蔽板のスリットを差し込むことができる遮蔽板差込リブを有することが好ましい。
これにより、車両の上下方向のガタを抑制することができる。
【0013】
前記脚部に、前記ボディパネルの2つの前記取付孔の内周に係合するための2つの多段の係止爪と、前記ボディパネルから取り外すため、前記多段の係止爪に隣接する2つのクリップ取外し片とを有し、前記多段の係止爪と前記ボディパネルの前記取付孔との係合を解除して、前記フェンダ遮蔽板用クリップを取り外すことができることが好ましい。
これにより、フェンダ遮蔽板用クリップを容易に取り外すことができる。
【0014】
前記脚部の基部に突起状の隅詰リブを有し、前記脚部を前記ボディパネルの前記取付孔に挿入したとき、前記隅詰リブは前記取付孔の縁に係合することが好ましい。
これにより、フェンダ遮蔽板用クリップが抜けにくいように保持することができる。
【0015】
前記ボディパネルの面に押し付けるため、基部から離れた先端部が下方に曲がったガタ防止弾性片を有することが好ましい。
これにより、フェンダ遮蔽板とフェンダ遮蔽板用クリップとの間の車両の前後方向のガタを抑制することができる。
【0016】
前記ボディパネルの面において、前記ガタ防止弾性片の周りを囲むガタ防止剛体リブを有することが好ましい。
これにより、フェンダ遮蔽板用クリップのガタを最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、既存の溶接作業孔を利用してフェンダ遮蔽板を取り付けることができるフェンダ遮蔽板用クリップを提供することができる。
また、フェンダエプロンの内側にフェンダ遮蔽板を取り付けるのに、共通のクリップを使用し、異なる車種に対応できるフェンダ遮蔽板用クリップを提供することができる。
また、クリップにより、フェンダ遮蔽板を取り付けた後、何れの方向へもガタが少ない。
また、車両に取付けた後、フェンダ遮蔽板を単体で簡単に取り外すことができ、また、クリップを簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1実施形態によるクリップを使用して、フェンダ遮蔽板をボディパネルに取付ける前の状態を示す斜視図である。
【図2】フェンダ遮蔽板の斜視図である。
【図3】ボディパネルの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態のクリップの斜視図である。
【図5】図4のクリップの上面図である。
【図6】図4のクリップの正面図である。
【図7a】図4のクリップの図5のA−A線に沿った断面図である。
【図7b】図7aのCで示す部分の拡大断面図である。
【図8】図4のクリップの図5のB−B線に沿った断面図である。
【図9】図4のクリップを使用して遮蔽板をボディパネルに取付けた状態を示す図5のA−A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の1実施形態に係るフェンダ遮蔽板用クリップについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の1実施形態によるフェンダ遮蔽板用クリップ(以下「クリップ」という)30を使用して、フェンダ遮蔽板(以下「遮蔽板」という)10をフェンダパネル等のボディパネル20に取付ける前の状態を示す斜視図である。この図で、上、前、外は、それぞれ車両の上方向、前方向、外方向を表す。図1〜3では、車両の上下方向、前後方向、内外方向で直交する3つの軸方向を表す。
本実施形態のクリップ30は1部品であり、遮蔽板差込溝47に遮蔽板10を差し込み固定し、2つの脚部28をボディパネル20の2つの溶接作業孔21,22に固定することができる。
【0021】
以下、遮蔽板10、ボディパネル20、クリップ30について説明する。
図2は、遮蔽板10の斜視図である。遮蔽板10は、本実施形態の説明ではほぼ三角形の形状とされている。遮蔽板10の形状は、フェンダパネルとフェンダエプロンによって囲まれる空間の断面形状により変わる。この空間の断面形状は一般に、車両の左右方向と上下方向のフェンダエプロンと、斜め方向のフェンダパネルとにより取り囲まれた三角形の場合が多く、その場合遮蔽板10の形状も三角形となる。
遮蔽板10の一辺には、2ヵ所にスリット11が形成されている。スリット11の間の中央部分12は、辺の他の部分より少し突出して成形されている。
スリット11の間の部分には、遮蔽板10を固定するための断面が四角形の係止孔13が形成されている。
【0022】
図3は、クリップ30を取付けるフェンダパネル等のボディパネル20の斜視図である。ボディパネル20は車両の前後方向にほぼ平行に配置されている。
ボディパネル20には、溶接作業を行うための溶接作業孔21,22があけられている。溶接作業孔21,22は一般に円形であり、連続してあけられている場合が多い。本発明の実施形態では、2つの溶接作業孔21,22にクリップ30を取付ける。クリップ30の一対の脚部28を2つの溶接作業孔21,22にそれぞれ挿入し、ボディパネル20の2つの溶接作業孔21,22の孔間部分23を両側から挟んで固定する。
2つの溶接作業孔21,22にクリップ30の一対の脚部28を取付けるので、クリップ30の回転方向のがたを抑制することができる。また、2つの溶接作業孔21,22に取付けるので、孔の間隔、孔の径の異なる孔に対しては、取付けることができない。そのため、誤ってクリップ30を他の孔に取付けるのを防止することができる。
【0023】
また、溶接作業孔21と22とは、上下方向に少し位置がずれている。図3では、前方の溶接作業孔22より後方の溶接作業孔21のほうが低くなっていて、そのため、クリップ30は車両の後側が少し低く取付けられ、遮蔽板10も上側が少し後ろに位置するように傾いて取付けられる。車両の反対側のボディパネル20の溶接作業孔21と22も同じように、後方の溶接作業孔のほうが低くなっていて、遮蔽板10の上部が少し車両の後ろ方向に傾いている。
車両の両側のボディパネル20に遮蔽板10を取付けるとき、左右のボディパネル20に、同じクリップ30を使用して、遮蔽板10を取り付けると、左右の遮蔽板10は同じように傾く。そのため、左右で同じクリップ30を使用することができる。
【0024】
図4〜8を参照して、クリップ30について説明する。図4は、図1とは異なる方向から見たクリップ30の斜視図である。図5はクリップ30の上面図、図6はクリップ30の正面図である。図7aは、クリップ30の図5のA−A線に沿った断面図である。図7bは、図7aのCで示す部分の多段係止爪34の部分の拡大断面図である。図8は、クリップ30の図5のB−B線に沿った断面図である。
図4〜8では、クリップ30の説明の便宜のため、車両の前後方向、上下方向、内外方向をそれぞれx、y、z軸方向として説明する。
【0025】
クリップ30は1部品でできている。図5の上面図を参照すると、クリップ30は、溶接作業孔21と22の中心を通るx軸(クリップセンター)に対して、ほぼ対称である。また、クリップセンターと直交するy軸(遮蔽板取付センター)に対して、ほぼ対称である。
クリップ30のx軸方向の端面は外面31である。外面31に隣接するy軸方向の端面である外面32は、外面31に近い部分から中央部に行くに従って、面間の距離が近づき、中央部ではほぼ平面である。
【0026】
クリップ30に遮蔽板10を取付ける各部分について説明する。図4、図7aを参照すると、クリップ30のx軸方向の中央部に遮蔽板差込溝47が形成されている。遮蔽板差込溝47の一方の面には、遮蔽板取付け面41が延びている。遮蔽板取付け面41は、y軸方向の中央部の両側の部分で中央部より高さが高い部分であり、遮蔽板取付け面41に遮蔽板10が当接するようになっている。遮蔽板取付け面41に対向する面のy軸方向の中央部には、遮蔽板係止爪43が形成されている。遮蔽板係止爪43の先端部は、対向する遮蔽板取付け面41に近接している。遮蔽板10をクリップ30に取付けると、遮蔽板係止爪43の先端部は、遮蔽板10の係止孔13に入り、遮蔽板10が抜けないように固定することができる。
【0027】
遮蔽板係止爪43のz軸方向の先は、遮蔽板取外し片44である。遮蔽板取外し片44を手で押し開くと、遮蔽板係止爪43が遮蔽板取付け面41から離れ、遮蔽板係止爪43の先端部が遮蔽板10の係止孔13から出て、遮蔽板10をクリップ30から取外すことができる。
【0028】
図4の斜視図、図5の上面図に示すように、遮蔽板取付け面41のy軸方向端部には、遮蔽板取付け面41より一段高い遮蔽板ガタ抑制リブ45が形成されている。遮蔽板10を遮蔽板ガタ抑制リブ45に対して圧入することにより、遮蔽板10とクリップ30との間のx軸方向(車両の前後方向)のガタを抑制することができる。
【0029】
遮蔽板取付け面41に隣接して遮蔽板10を挿入する遮蔽板差込溝47が形成されている。図4の斜視図、図8の断面図に示すように、y軸方向の遮蔽板差込溝47の端部で、外面32の中央部には、外面32の中央部とその内側の面により、遮蔽板10のスリット11の厚さより若干厚い遮蔽板差込リブ46が形成されている。遮蔽板10の中央部分12が遮蔽板差込溝47に入り、遮蔽板差込リブ46に遮蔽板10のスリット11が係合するようになっている。遮蔽板10の中央部分12を遮蔽板差込溝47に深く差し込むことにより、遮蔽板10とクリップ30との間のy軸方向(車両の上下方向)のガタを抑制することができる。
【0030】
次に、クリップ30をボディパネル20に取付ける各部分を説明する。図6の正面図に示すように、クリップ30の下側部分は、ボディパネル20の溶接作業孔21,22に入る一対の脚部28である。脚部28は、全体として円錐台形形状を外面31で半分に切った形状である。
脚部28の底面は、ほぼ半円形である。脚部28の外面31と反対側は、溶接作業孔21,22の中心を中心として、z軸方向の上方へ行くに従って、半径が大きくなる円錐形状部33となっている。2つの円錐形状部33の間の部分は、z軸方向の上方へ行くに従って、間隔が狭くなっている。クリップ30をボディパネル20に取付けるとき、円錐形状部33が溶接作業孔21,22の内周に当たり、クリップ30をx軸方向、y軸方向にガイドして、正しい位置に取りつけることができるようになっている。
【0031】
図5のA−A線に沿った断面図である図7aに示すように、脚部28の外面31と反対側の中央部分は、円錐形状部33が途切れ、多段係止爪34が設けられている。多段係止爪34は、ボディパネル20の2つの溶接作業孔21,22の孔間部分23を両側から挟んで固定する。多段係止爪34は、多段になっているので、ボディパネル20の孔間部分23の寸法、板厚が異なっても、クリップ30をボディパネル20の孔間部分23に固定することができる。図7bは、図7aのCで示す部分の多段係止爪34の部分の拡大断面図である。
【0032】
図7aで、クリップ30の多段係止爪34の先の先端部は、クリップ取外し片35である。ボディパネル20の2つの溶接作業孔21,22の孔間部分23を多段係止爪34で両側から挟んで固定するが、クリップ取外し片35を手で押し開くと、多段係止爪34と孔間部分23との係合が解除され、クリップを取外すことができるようになっている。
【0033】
図4の斜視図、図6の正面図を参照すると、クリップ30の脚部28の基部には、1つの脚28につき4箇所に突起状の隅詰リブ36が形成されている。2つの隅詰リブ36は外面31に隣接し、2つの隅詰リブ36は多段係止爪34に隣接する。円錐形状部33に案内されながら、クリップ30の脚部28を溶接作業孔21,22に挿入していくと、一方の脚部28の基部の隅詰リブ36は、一方の溶接作業孔21の内周に係合し、他方の脚部28の基部の隅詰リブ36は、他方の溶接作業孔22に係合し、クリップ30が抜けにくいように保持する。
【0034】
図4の斜視図、図5のB−B線に沿った断面図である図8を参照すると、クリップ30の外面32の下側中央部には、外面32からy軸方向に延びるガタ防止弾性片37が形成されている。ガタ防止弾性片37の基部から離れた先端部は、z軸方向に曲がっている。クリップ30をボディパネル20に取付けたとき、ガタ防止弾性片37の先端部はボディパネル20の面に押されて曲がり、クリップ30がy軸方向(車両の上下方向)に動くのを規制する。
【0035】
クリップ30を車両に長期間取付けておくと、ガタ防止弾性片37の先端部はクリープ現象を起こし、ボディパネル20に押し付ける力が弱くなる。
ガタ防止弾性片37の周囲には、ガタ防止弾性片37の3方を囲むように、ガタ防止剛体リブ38が形成されている。ガタ防止剛体リブ38は、ガタ防止弾性片37よりz軸方向の高さが高く、クリープを起こしにくい形状である。そのため、ガタ防止弾性片37がクリープ現象を起こした後も、クリップ30のガタを最小限に抑える作用をする。
【0036】
図9は、クリップ30を使用して遮蔽板10をボディパネル20に取付けた状態を示す図5のA−A線に沿った断面図である。遮蔽板10の中央部分12をクリップ30の遮蔽板差込溝47に差込み、係止孔13に遮蔽板係止爪43が入っている。差込リブ46に遮蔽板10のスリット11が係合し、遮蔽板10の中央部分12のスリット11に隣接する部分は遮蔽板ガタ抑制リブ45に当接している。こうして、遮蔽板10はクリップ30に固定されている。
クリップ30の2本の脚部28の円錐形状部33が、溶接作業孔21,22の内周に当たる。ガタ防止弾性片37の先端部はボディパネル20の面に押し付けられ、ガタ防止剛体リブ38がボディパネル20の面に当接する。クリップ30の多段係止爪34は、ボディパネル20の2つの溶接作業孔21,22の孔間部分23を両側から挟んで、クリップ30はボディパネル20に固定されている。
【0037】
本発明の実施形態によれば、既存の溶接作業孔を利用して遮蔽板10を取り付けるクリップ30を取付けることができる。
ボディパネル20の内側に共通のクリップ30を使用して、左右の遮蔽板10を取付けることができ、また異なる車種にも同じクリップ30で対応することができる。
また、クリップ30で遮蔽板10をボディパネル20に取り付けると、何れの方向へもガタが少なくなる。
また、車両にクリップ30を取付けた後、遮蔽板取外し片44を開くことにより、遮蔽板10だけをクリップ30から簡単に取り外すことができる。また、クリップ取外し片35を押し開くことにより、遮蔽板10の付いた又は付いていないクリップ30を簡単に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0038】
10 遮蔽板
11 スリット
12 中央部分
13 係止孔
20 ボディパネル
21,22 溶接作業孔
23 孔間部分
28 脚部
30 クリップ
31 外面
32 外面
33 円錐形状部
34 多段係止爪
35 クリップ取外し片
36 隅詰リブ
37 ガタ防止弾性片
38 ガタ防止剛体リブ
41 遮蔽板取付け面
43 遮蔽板係止爪
44 遮蔽板取外し片
45 遮蔽板ガタ抑制リブ
46 遮蔽板差込リブ
47 遮蔽板差込溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンダ遮蔽板をボディパネルに取付けるためのフェンダ遮蔽板用クリップであって、
フェンダ遮蔽板を取り付けるための遮蔽板差込溝と、
ボディパネルの2つの取付孔に取付けるための一対の脚部と、を備え、各々の前記脚部は、前記脚部の基部に近づくと前記一対の脚部の間の距離が小さくなり、各々の前記脚部を前記ボディパネルのそれぞれの前記取付孔に挿入して取付けることを特徴とするフェンダ遮蔽板用クリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、
前記フェンダ遮蔽板の係止孔に係合する遮蔽板係止爪と、前記遮蔽板係止爪の係合を解除するための遮蔽板取外し片とを有し、前記遮蔽板係止爪の係合を解除して、前記フェンダ遮蔽板を取り外すことができるクリップ。
【請求項3】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、前記遮蔽板差込溝の一方の面である遮蔽板取付面は、両端部に一段高い遮蔽板ガタ抑制リブを有するクリップ。
【請求項4】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、前記フェンダ遮蔽板は2つのスリットを有し、前記遮蔽板差込溝の両端部に、前記フェンダ遮蔽板のスリットを差し込むことができる遮蔽板差込リブを有するクリップ。
【請求項5】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、
前記脚部に、前記ボディパネルの2つの前記取付孔の内周に係合するための2つの多段の係止爪と、前記ボディパネルから取り外すため、前記多段の係止爪に隣接する2つのクリップ取外し片とを有し、前記多段の係止爪と前記ボディパネルの前記取付孔との係合を解除して、前記フェンダ遮蔽板用クリップを取り外すことができるクリップ。
【請求項6】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、
前記脚部の基部に突起状の隅詰リブを有し、前記脚部を前記ボディパネルの前記取付孔に挿入したとき、前記隅詰リブは前記取付孔の内周に係合するクリップ。
【請求項7】
請求項1に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、前記ボディパネルの面に押し付けるため、基部から離れた先端部が下方に曲がったガタ防止弾性片を有するクリップ。
【請求項8】
請求項7に記載のフェンダ遮蔽板用クリップであって、前記ボディパネルの面において、前記ガタ防止弾性片の周りを囲むガタ防止剛体リブを有するクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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