説明

フォトクロミックポリエステル、およびフォトクロミックポリエステルを製造する方法

【課題】毒性のある金属触媒を用いないフォトクロミックポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1つのエステルモノマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、または少なくとも1つのヒドロキシル基を有するように官能基化されたフォトクロミック化合物と、金属を含まない触媒とを含む反応溶液を与える工程と;(b)少なくとも1つのエステルモノマーと、フォトクロミック化合物とを、金属を含まない触媒を用いて反応させ、フォトクロミックポリエステルを含むポリマー生成物を製造する工程と;(c)ポリマー生成物を前記反応溶液から分離する工程とを含む。フォトクロミックポリエステルは、ポリエステルに共有結合したフォトクロミック化合物を含み、ポリエステルは、ラクトンを重合させることによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、酵素による重合を用い、フォトクロミックポリエステルを製造する方法に関する。特定的には、本開示は、フォトクロミック化合物をポリマーに共有結合させる方法に関する。また、酵素による重合方法を用いて製造したフォトクロミックポリエステルも本明細書に開示されている。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第12/879,587号(2010年9月10日出願)は、酵素による重合を用い、着色剤をポリエステルに共有結合する方法、およびこの酵素による重合を用いて製造された着色剤−ポリエステルを記載している。
【0003】
縮重合方法は、高温、高圧で、毒性のある金属触媒を用いる。特に、縮重合方法によるポリマーの調製は、数日間かかり、完全に重合させるには、高温(T>200℃)、低圧(p<1mmHg)にすることが必要である。縮重合方法は、200℃よりも高い温度で行われ、多くのフォトクロミック化合物が150℃よりも高温で分解するため、縮重合方法ではフォトクロミック化合物が分解してしまう可能性があり、フォトクロミックポリエステルを製造するのに適していない。さらに、縮重合方法は、ラクトンを重合するのには適していない。
【0004】
望ましいのは、比較的低温で達成され、したがって、フォトクロミック化合物の分解が最低限になるであろう、フォトクロミックポリエステルを製造する方法である。このような結果は、高コストなフォトクロミック化合物が与えられる場合に特に望ましい。さらに、毒性のある触媒を含まない、生物医学用途の生分解性ポリエステルは、非常に価値が高いが、製造するのが難しい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、フォトクロミックポリエステルを製造するための、低温で金属を含まない重合方法を提供することによって、これらの要求および他の要求に対処するものであり、ここで、フォトクロミック化合物は、ポリエステルに共有結合している。
【0006】
いくつかの実施形態では、フォトクロミックポリエステルを製造する方法であり、この方法は、(a)少なくとも1つのエステルモノマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、または少なくとも1つのヒドロキシル基を有するように官能基化されたフォトクロミック化合物と、金属を含まない触媒とを含む反応溶液を与える工程と;(b)少なくとも1つのエステルモノマーと、フォトクロミック化合物とを、金属を含まない触媒を用いて反応させ、フォトクロミックポリエステルを含むポリマー生成物を製造する工程と;(c)ポリマー生成物を前記反応溶液から分離する工程とを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、フォトクロミックポリエステルは、フォトクロミック化合物と、ポリエステルとを含み、ここで、フォトクロミック化合物は、ポリエステルに共有結合しており、ポリエステルは、金属を含まない触媒を用いてラクトンを重合させることによって得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される場合、「フォトクロミックポリエステル」は、モノマー(例えば、ラクトンまたは同様のエステル)の酵素反応によってポリエステルに共有結合したフォトクロミック化合物を指す。「フォトクロミック化合物」は、フォトクロミズムを起こさせることが可能な化合物であり、ここで、フォトクロミズムは、電磁放射線の吸収によって一方向または両方向に誘発されるような、化学種の可逆的な2形態間変換であり、この2形態は、異なる吸収スペクトルを有している。
【0009】
本開示は、周囲圧で、比較的低温(例えば、約40℃〜約100℃、または約50℃〜約90℃、または約60℃〜約80℃)で行われる、モノマーとフォトクロミック化合物とを酵素によって重合させるためのプロセスを含む。このように、酵素による重合は、フォトクロミック化合物が顕著に分解しないか、または全く分解せずに、低温で行われてもよい。
【0010】
上のプロセスは、(a)少なくとも1つのエステルモノマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、または少なくとも1つのヒドロキシル基を有するように官能基化されたフォトクロミック化合物と、金属を含まない触媒とを含む反応溶液を与え;(b)少なくとも1つのエステルモノマーと、フォトクロミック化合物とを、金属を含まない触媒を用いて反応させ、フォトクロミックポリエステルを含むポリマー生成物を製造し;(c)ポリマー生成物を反応溶液から分離することによって達成される。
【0011】
フォトクロミックポリエステルは、モノマー(例えば、ラクトンまたは同様のエステル)の酵素反応によってポリエステルに共有結合したフォトクロミック化合物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示で使用されるフォトクロミック化合物は、エステルモノマーと反応性であり、反応後でさえ、フォトクロミック官能性を保持している。このことは、少なくとも1つの反応性末端基を有するフォトクロミック化合物を用いて達成されてもよい。フォトクロミック化合物の反応基の一例は、反応性ヒドロキシル基である。したがって、反応性基(特に、反応性ヒドロキシル基)を有する任意のフォトクロミック化合物を用いてもよい。例えば、ラクトンまたは他のエステルを生成するモノマーの酵素による重合において利用可能な、主要な反応性基(例えば、ヒドロキシル)がフォトクロミック化合物に付着している任意のフォトクロミック化合物が適している。
【0013】
フォトクロミック化合物は、フォトクロミズムを示し、ここで、フォトクロミズムは、電磁放射線の吸収によって、異なる吸収スペクトルを有する2形態間を一方向または両方向に誘発されるような、化学種の可逆的な変換である。第1の形態は、熱に安定であり、紫外線のような光を吸収することによって誘発され、第2の形態に変換されてもよい。第2の形態から第1の形態への逆反応は、例えば、熱によって、または紫外線のような光を吸収することによって、またはその両方によって起こってもよい。また、フォトクロミック化合物の種々の例示的な実施形態は、2種類よりも多い形態間で可逆的な変換が起こることが可能な場合は、3種類以上の形態の中で化学種を可逆的に変換することも包含していてもよい。いくつかの実施形態のフォトクロミック化合物は、1種類、2種類、3種類、4種類またはそれ以上の異なる種類のフォトクロミック化合物を包含していてもよく、それぞれが、可逆的に相互に変換可能な形態である。本明細書で使用される場合、用語「フォトクロミック化合物」は、一時的な異性体形態であるかどうかにかかわらず、フォトクロミック化合物の特定の種のすべての分子を指す。例えば、フォトクロミック化合物が、スピロピラン種である場合、スピロピランおよびメロシアニンのような異性体形態を示し、いかなるときも、フォトクロミック化合物の分子は、完全にスピロピランであるか、完全にメロシアニンであるかまたはスピロピランとメロシアニンの混合物である。種々の例示的な実施形態では、それぞれの種類のフォトクロミック化合物について、ある形態は無色であるか、色が弱くてもよく、他の形態は、異なる色であってもよい。
【0014】
適切なフォトクロミック化合物の一例は、以下の化学式を有するビス−ヒドロキシメチルフォトクロムである。さらなるフォトクロミック化合物は、ヒドロキシル基を含む任意の市販のフォトクロミック化合物、または反応性ヒドロキシル基を含むように官能基化されたフォトクロミック化合物であってもよい。
【化1】

【0015】
フォトクロミック化合物の他の例としては、スピロピラン、スピロオキサジンおよびチオスピロピラン、ベンゾピランおよびナフトピラン(クロメン)、スチルベン、アゾベンゼン、チオインジゴ、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニール、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、スピロペリミジン、トリアリールメタンなどのような関連化合物が挙げられる。アリールジスルフィドおよびアリールチオスルホネートにおいて、適切なアリール基としては、フェニル、ナフチル、フェナントレン、アントラセン、これらの置換基などが挙げられる。これらの化合物は、スピロピランおよび関連化合物のように種々のヘテロ環開列を受けてもよく;ヒドラジンおよびアリールジスルフィド化合物のようにホモ環開列を受けてもよく;アゾ化合物、スチルベン化合物などのようにシス‐トランス異性化を受けてもよく;フォトクロミックキニーネのように、プロトンまたは基が移動する光異性化を受けてもよく;ビオロゲンのように電子移動によってフォトクロミズムを受けてもよい、など。化合物の特定の例としては、以下のものが挙げられる。
【化2】

これらの構造において、種々のR基(すなわち、R、R、R、R、R)は、独立して、限定されないが、水素;アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど、環状アルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロヘキシルなど)を含み、不飽和アルキル基(例えば、ビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)など)を含み、上のそれぞれにおいて、アルキル基は、1〜約50個またはそれ以上の炭素原子、例えば、1〜約30個の炭素原子を有する;アリール(フェニル、ナフチル、フェナントレン、アントラセン、これらの置換基などを含み、約6〜約30個の炭素原子、例えば、約6〜約20個の炭素原子を含む);ヘテロアリール(フリル、チエニル、ピローリル、ピリジル、チアゾリル、オキサゾリルなどを含む);アリールアルキル(例えば、約7〜約50個の炭素原子、例えば、約7〜約30個の炭素原子を有する);シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタタイド);アミン基(一級アミン、二級アミン、三級アミンを含む);ヒドロキシ基;アルコキシ基(例えば、1〜約50個の炭素原子、例えば、1〜約30個の炭素原子を含む);アリールオキシ基(例えば、約6〜約30個の炭素原子、例えば、約6〜約20個の炭素原子を含む);アルキルチオ基(例えば、1〜約50個の炭素原子、例えば、1〜約30個の炭素原子を含む);アリールチオ基(例えば、約6〜約30個の炭素原子、例えば、約6〜約20個の炭素原子を含む);アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基などを含む任意の適切な基であってもよい。また、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基は、例えば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタタイド);アミン基(一級アミン、二級アミン、三級アミンを含む);ヒドロキシ基;アルコキシ基(例えば、1〜約20個の炭素原子、例えば、1〜約10個の炭素原子を含む);アリールオキシ基(例えば、約6〜約20個の炭素原子、例えば、約6〜約10個の炭素原子を含む);アルキルチオ基(例えば、1〜約20個の炭素原子、例えば、1〜約10個の炭素原子を含む);アリールチオ基(例えば、約6〜約20個の炭素原子、例えば、約6〜約10個の炭素原子を含む);アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基などのような基で置換されていてもよい。ArおよびArは、独立して、任意の適切なアリールまたはアリール含有基(限定されないが、フェニル、ナフチル、フェナントレン、アントラセンなどを含む)、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基について上に述べたいずれかの置換基を含む、これらの置換基であってもよい。スピロピランの式中のXは、適切なヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)である。Yは、−N−または−CH−であってもよい。ビオロゲンの式中のXは、例えば、F、Cl、Br、I、BF、PF、B(Cなどであってもよい。アリールチオスルホネート中のXは、例えば、−O−、S、−NH−などであってもよい。
【0016】
有機化合物に加え、フォトクロミック現象は、金属酸化物、アルカリ土類金属硫化物、チタン酸塩、水銀化合物、銅化合物、鉱物、遷移金属化合物(例えば、カルボニル)などのような無機化合物でも観察される。
【0017】
いくつかの実施形態では、フォトクロミック化合物は、ポリエステル鎖のα位または中心に結合していてもよい。ポリエステル鎖の中心に結合したフォトクロミック化合物は、末端に化学的に結合したエステルモノマー鎖と、別の末端に化学的に結合した少なくともひとつの第2のエステルモノマー鎖とを有するフォトクロミック化合物を指す。例えば、フォトクロミック化合物を有するいくつかの材料では、低分子フォトクロミック化合物を、ポリマーバインダーに単純に分散させる。このために、この分子は、時間経過に伴って、着色した状態から透明な状態になるのに十分なレベルで、望ましくない状態で、または予定よりも早く分子が移動してしまう。この消光反応は、幾何学的変化を必要とし、その変化によって媒体中での移動性が上がることによって、簡単に起こる。この消光を顕著に遅らせ、画像を長く継続させるために、フォトクロミック化合物の移動性を下げることが望ましい。フォトクロミックポリエステルは、消光を減らす場合がある。フォトクロミック化合物がポリエステル鎖に付着しているため、フォトクロミック化合物の移動性が低下し、その結果、望ましくない消光反応が顕著に遅くなるか、または、なくなる。ポリエステル鎖の中心に挿入されたフォトクロミック化合物は、この望ましくない消光反応をさらに低下させ、フォトクロミック化合物の書き込み寿命を長くする。
【0018】
いくつかの実施形態では、反応溶液は、エステルモノマーを含む。エステルモノマーは、環状エステルモノマーであってもよい。任意の適切な環状エステルモノマー、例えば、5〜16個の炭素原子、例えば、6〜15個の炭素原子、7〜12個の炭素原子、または8〜10個の炭素原子を有する環状エステルを、酵素による重合で用いてもよい。例えば、環状エステルモノマーは、ラクトン、ラクチド、マクロライド、環状カーボネート、環状ホスフェート、環状デプシペプチドまたはオキシランであってもよい。ラクトンの具体的な例としては、オキサシクロヘプタデカ−10−エン−2−オン(AMBRETTOLIDEとしてPenta Manufacturing Co.から入手可能)、ω−ペンタデカラクトン(EXALTOLIDEとしてPenta Manufacturing Co.から入手可能)、ペンタデカラクトン、11/12−ペンタデセン−15−オリド(ペンタデセンラクトンとしても知られる)、ヘキサデセンラクトンおよびカプロラクトンが挙げられる。他の適切なエステルモノマーとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、プロピルマロラクトネート、2−メチレン−4−オキサ−12−ドデカノリド、ポリ(ブタジエン−b−ペンタデカラクトン、ポリ(ブタジエン−b−ε−CL)、ε−カプロラクトン、(R)および(S)体の3−メチル−4−オキサ−6−ヘキサノリド、1,3−ジオキサン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、3(S)−イソプロピルモルホリン−2,5−ジオン、モルホリン−2,5−ジオン誘導体、トリメチレンカーボネート、1−メチルトリメチレンカーボネート、8−オクタノリド、δ−デカラクトン、12−ドデカノリド、α−メチレンマクロライド、α−メチレン−δ−バレロラクトンが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、反応溶液は、非環状エステルモノマーを含んでいてもよい。例示的な非環状エステルモノマーは、二塩基酸、ヒドロキシル酸、ジエステルを含む。例えば、使用可能な適切な非環状エステルモノマーとしては、10−ヒドロキシデカン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、3−ヒドロキシ酪酸、ジカルボン酸ジビニル、例えば、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、2,2,2−トリクロロエチルエステル、2,2,2−トリフルオロエチルエステル、不活性化された二塩基酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、6−6’−O−ジビニルアジペート、α−ω−ジキサカルボン酸メチルエステル、ビス(ヒドロキシルメチル)酪酸、ω−フルオロ−(ω−1)ヒドロキシルアルカン酸が挙げられる。
【0020】
エステルモノマーは、独立して、反応溶液に与えられてもよく、またはエステルモノマーを含む水溶液の形態で与えられてもよい。
【0021】
反応溶液中のフォトクロミック化合物とエステルモノマーとのモル比は、任意の効果的な比率であってもよく、例えば、約1:1〜約1:50、約1:10〜約1:30、約1:15〜約1:25、1:20〜約1:40、約1:20〜約1:50であってもよい。エステルモノマーに対する着色剤の濃度を変動させ、ポリマー生成物の分子量を制御してもよい。
【0022】
反応溶液は、金属を含まない適切な1つ以上の触媒(例えば、酵素触媒)をさらに含む。酵素触媒は、着色剤とエステルモノマーとの反応を触媒し、低温で重合させることができる。使用可能な酵素の具体的な例は、リパーゼであり、例えば、リパーゼPA、リパーゼPC、リパーゼPF、リパーゼA、リパーゼCA、リパーゼB(例えば、candita antartica リパーゼB)、リパーゼCC、リパーゼK、リパーゼMM、クチナーゼまたはブタリパーゼである。使用可能な他の例示的な触媒は、過酸化物触媒(例えば、過酸化ベンゾイル)およびアゾ触媒(例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどを含む有機触媒である。
【0023】
触媒は、固定されているか、担持されている形態(非共有結合により結合した酵素、例えば、吸着した酵素、または他の酵素と架橋した酵素)、または固定され、担持されている形態、または遊離形態で反応溶液中に存在していてもよい。
【0024】
酵素触媒は、反応溶液中に、任意の有効な濃度で存在してもよく、例えば、約0.001g/cm〜約0.060g/cm、例えば、約0.002g/cm〜約0.050g/cm、約0.004g/cm〜約0.040g/cm、約0.005g/cm〜約0.030g/cm、約0.006g/cm〜約0.020g/cm、約0.01g/cm〜約0.050g/cmの濃度で存在してもよい。反応溶液中の1つ以上の酵素の濃度は、酵素の質量と、固定化剤(例えば、架橋したポリマーネットワーク、架橋したポリマービーズ、ポリマー封入物、膜、シリカゲル、シリカビーズ、砂、ゼオライトのうち、1つ以上)の質量との比率を変えることによって制御してもよい。
【0025】
エステルモノマーは、反応溶液に独立して与えられてもよく、モノマーと溶媒とを含むモノマー溶液の形態で与えられてもよい。
【0026】
また、このことから反応溶液は、1つ以上の適切な溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサンおよびその類似体(例えば、ヘプタン)、テトラヒドロフランおよびその類似体(例えば、2−メチルテトラヒドロフラン)、メチルエチルケトンおよびその類似体)を含んでいてもよい。
【0027】
反応溶液にモノマーを加える前、または加えた後に、溶媒をモノマーと混合してもよい。存在する場合、溶媒は、モノマー含有量に対して、任意の適切な濃度範囲であってもよい。例えば、溶媒は、溶媒および環状モノマーの合計重量の1%〜約99%含まれていてもよく、例えば、溶媒および環状モノマーの合計重量の約10%〜約90%、例えば、約25%〜約75%、例えば、約40%〜約60%、または例えば、約50%含まれていてもよい。
【0028】
溶媒の役割は、溶液をもっと撹拌しやすくするために、または圧送しやすくするために、反応媒体の粘度を減らすことであってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、酵素による重合は、フォトクロミック化合物と、エステルモノマーと、酵素触媒とを含む反応溶液を与えることによって達成される。酵素による重合反応は、さらに水を含んでいてもよい。重合は、反応媒体中に存在する水によって、またはフォトクロミック化合物に存在するヒドロキシル基によって、またはこれら両方によって開始されてもよい。したがって、この機構によって、乾燥溶媒およびモノマーが存在しない状態で、2種類のポリエステルの集合が作られてもよく、片方のポリエステルの集合は、このポリエステルに付着した調光化合物を有しており、他方のポリエステルの集合は、α−ヒドロキシル基を有しており、このエステルには、フォトクロミック化合物は付着していない。α−ヒドロキシル基を有するポリエステルは、フォトクロミックではない。水の量および出発物質の濃度を調節することによって、フォトクロミックポリエステルと非フォトクロミックポリエステルとの比率を変えることができる。
【0030】
酵素による重合は、約50℃〜約90℃、または約60℃〜約90℃、または約70℃〜約90℃、または約80℃〜約90℃、または約50℃〜約60℃、または約50℃〜約70℃、または約50℃〜約80℃、または約60℃〜約80℃の温度で行われてもよい。
【0031】
この方法は、任意の適切な酵素による重合技術によって達成されてもよい。この方法は、塊重合または溶液重合を含んでいてもよく、いずれも、バッチ構造または連続反応器構造であってもよい。後者の場合、触媒は、反応塔に封入され、エステルモノマーは、触媒へと圧送され、連続的にポリマーが作られる。前者の場合、触媒は、ケトルに加えられ、加えられたエステルモノマーとともに撹拌される。両方の場合において、フォトクロミック化合物は、酵素による重合のためのヒドロキシル開始部位として加えられる。フォトクロミック化合物とエステルモノマーとの比率を用い、ポリマー分子量をある程度まで制御することができる。
【0032】
封入床反応器中の塊重合は、固定されているか、または担持された酵素を1つ以上有する反応器を含み、ここで、封入床反応器は、入口と出口を備えており、エステルモノマーとフォトクロミック化合物とを含む溶液が供給される。この方法は、エステルモノマーとフォトクロミック化合物との溶液を、封入床反応器に循環させ、フォトクロミックポリエステルを豊富に含む溶液を作成し、その結果、循環中に、封入床反応器内で、固定されているか、または担持されている1つ以上の酵素が、エステルモノマーおよびフォトクロミック化合物をフォトクロミックポリエステルに変換することと、出口から出てくるフォトクロミックポリエステルを豊富に含む溶液を集めることとをさらに含んでいてもよい。
【0033】
封入床反応器は、酵素を固定するための1つ以上の固定化剤(例えば、架橋したポリマーネットワーク、架橋したポリマービーズ、ポリマー封入物、膜、シリカゲル、シリカビーズ、砂、ゼオライト)を含んでいてもよい。
【0034】
反応器は、任意の適切な材料、例えば、ステンレス鋼管、ガラス管、またはポリマー管(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)管)から作られていてもよい。
【0035】
反応器は、任意の適切な直径および長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、反応器は、外側の直径が、約0.1cm〜約300cm、例えば、約10cm〜約100cmであってもよく、長さが約1cm〜約300cmであってもよい。
【0036】
固定された酵素触媒を用いる、連続封入床反応器におけるポリエステルの塊重合は、米国特許出願第12/240,421号にさらに開示されている。
【0037】
さらに、この方法は、エステルモノマーおよびフォトクロミック化合物の反応器内滞留時間、反応器の寸法、反応器の組成、反応器の温度、フォトクロミック化合物およびエステル溶液中の開始剤の濃度のうち、1つ以上を用い、分子量、多分散性、フォトクロミック化合物およびエステルモノマーがフォトクロミックポリエステルに変換される比率のうち、1つ以上を制御することを含んでいてもよい。反応器への反応溶液の供給速度を下げることによって、反応溶液の反応器内滞留時間が長くなることがあり、これによって、フォトクロミック化合物およびエステルモノマーがフォトクロミックポリエステルに変換されるのが多くなり、フォトクロミックポリエステル生成物の分子量が大きくなることがある。
【0038】
この方法は、フォトクロミック化合物および1つ以上のエステルモノマーがフォトクロミックポリエステル生成物に変換されるのをモニタリングするために、反応器の出口から集めたフォトクロミックポリエステル生成物溶液をモニタリングすることを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、モニタリングすることは、生成物が、実質的に安定な分子量または望ましい分子量に達したときに、フォトクロミックポリエステル溶液を集めることを含む。いくつかの実施形態では、モニタリングすることは、生成物溶液を集め、分析し、溶液中のフォトクロミックポリエステルの分子量を決定することを含む。溶液中のフォトクロミックポリエステルを分析するために、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、示差走査熱量測定(DSC)、核磁気共鳴(NMR)などによる任意の適切な技術を用いてもよい。
【0039】
屈折率検出器(RI)および光ダイオードアレイ(PDA)を利用する、ポリエステルのゲル透過クロマトグラフィーを用い、フォトクロミック化合物と、作成したポリエステルとの共有結合を確認する。RI検出器のシグナルによってポリエステルの集合全体を観察することができ、一方、フォトクロミックポリエステルを含む部分集合は、PDA検出器によって観察される。
【0040】
重合後に、集めたフォトクロミックポリエステルを溶媒(例えば、メタノール)中で沈殿させ、濾過によって回収し、任意の残留溶媒またはエステルモノマーを除去してもよい。得られたケーキを任意の適切な抽出(例えば、メタノールを用いたソックスレー抽出)で抽出し、ポリエステル生成物から、任意の未反応のフォトクロミック化合物および未反応のエステルモノマーを除去してもよい。この抽出の後、フォトクロミック化合物およびポリエステルが共有結合したポリエステルをソックスレー円筒濾紙から回収し、乾燥させておく。
【0041】
固定された触媒は、反応中、管の中にとどまっており、それによって、重合が終了した後に、反応混合物を希釈し、濾過するさらなる工程を防ぐことができるため、反応器は、系中での濾過を提供してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、酵素による重合反応によって、ポリマー混合物(ポリマー生成物)を含む反応生成物を製造する。反応生成物は、共有結合したフォトクロミック化合物(以降「非フォトクロミックポリエステル」と呼ぶ)を含まずに作成されたフォトクロミックポリエステルとポリエステルの両方を含んでいてもよい。フォトクロミックポリエステルは、フォトクロミック化合物と、ポリエステルとを含み、ここで、フォトクロミック化合物は、ポリエステルに共有結合している。フォトクロミック化合物は、ポリエステル鎖のα位または中心で、ポリエステルに共有結合していてもよい。
【0043】
ポリエステル(フォトクロミックポリエステルまたは非フォトクロミックポリエステルの一部として)は、エステルモノマーの重合によって作られてもよい。作成するポリエステルの構造は、反応で用いられるモノマーに依存する。ポリエステルの例示的な構造は、以下の反応構造モデルによってあらわされ、
【化3】

式中、Rは、フォトクロミック化合物であってもよく、mは、4〜15、例えば、6〜13、8〜11であってもよく、nは、1〜600、例えば、5〜200、10〜100、15〜25であってもよい。他の種々の構造は、上述のいずれかのエステルモノマーを用いることによって可能である。
【0044】
また、非フォトクロミックポリエステルを、その物理的特性、機械的特性、レオロジー特性、および/または熱特性のために用いてもよい。非フォトクロミックポリエステルは、例えば、特定の用途に望ましい物理的特性を有していてもよく、同時に、フォトクロミックポリエステルの希釈剤(マトリックス)として役立ってもよい。したがって、非フォトクロミックポリエステルは、例えば、他の望ましい材料特性に影響を与えることなく、最終生成物中のフォトクロミックポリエステルの濃度を、特定の用途に望ましい濃度まで下げるのに役立つ場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、反応生成物は、異なるフォトクロミックポリエステルを含んでいてもよく、異なるフォトクロミック化合物は、異なるポリエステル分子に結合している。
【0046】
フォトクロミック化合物を用い、酵素による重合によって合成されたフォトクロミックポリエステルは、眼で見る限り、そのフォトクロミック挙動を保持しており、フォトクロミックの特徴を有する材料からの利点があると考えられる種々の用途で使用することができる。
【0047】
重合方法、およびこの方法によって製造されるフォトクロミックポリエステルは、種々の分野で広範囲の用途を有していてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、印刷、コーティング、バイオメディカル、または検知産業でフォトクロミックポリエステルを用いてもよい。例えば、共有結合したフォトクロミック化合物を有するポリエステル材料を、レーザー露光のためのセンサーとして用いることができ、これは、レーザーによる薬物送達などの分野で重要である。また、UV光を紙にあてることによって、後でトナーを可視化することができるような透明トナーにフォトクロミックポリエステルを組み込むことができる場合は、フォトクロミックポリエステルをインクまたはトナーとして使用してもよい。フォトクロミックポリエステルを、気候の条件(例えば、雨 対 晴れ、夜 対 昼)に伴って塗料の色を変えられるように、自動車用途のポリエステル粉末コーティングに組み込んでもよい。さらに、フォトクロミックポリエステルを、ポリマー溶融物に添加剤として用い、光があてるとパンツまたは衣類の色が変わるようにしてもよい。さらに、フォトクロミックポリエステルは、均一な分散物または溶液を製造するのに望ましいマトリックスと、フォトクロミック化合物とを相溶させる手段として、興味深いものであろう。
【0048】
フォトクロミックポリエステルを製造するための、酵素による重合方法は、低い反応温度(約50℃〜約90℃)で、金属触媒を用いずに、大気圧で、溶媒を用いないか、または用いる溶媒の量を減らして行われるため、環境にさらに優しい官能基化方法である。さらに、フォトクロミックポリエステルは、生分解性であってもよい。いくつかの実施形態では、酵素による重合方法は、フォトクロミック化合物をポリエステル鎖のα位または中心でポリエステルに共有結合させる。
【0049】
酵素による重合方法は、フォトクロミック化合物を官能基化するための単純かつ有効な方法を与える。得られたフォトクロミックポリエステルは、同様のポリマーを含むポリマーマトリックスとの高い相溶性を有し、したがって、相分離または沈殿が起こらず、または分散する必要性がなく、フォトクロミック化合物のインクまたはトナーへの組み込みを非常に単純化する。したがって、これらの高分子構造のために、フォトクロミックポリエステルは、トナーまたはインクのポリマーマトリックスで分散し、安定した状態を保持する可能性が高い。
【0050】
酵素による重合方法は、一般的に高温を必要としないため、熱分解を最低限にする(防ぐ)ことによって、フォトクロミック化合物を分解させない。さらに、酵素による重合方法で用いる低温は、200℃以上で行われる縮重合よりも環境に優しい製造経路である。酵素による重合方法は、金属系触媒および溶媒を必要とせず、フォトクロミック化合物を、エステルモノマーから製造される生分解ポリマーに組み込んでもよいため、さらに環境に優しい。酵素は、高いエナンチオ選択性および位置選択性を伴う反応を触媒するため、他の重合方法を用いて、エステルモノマーから生分解性ポリマーを得ることは困難である。
【0051】
上に開示した様々の特徴および機能またはそれらの代替物、および他の特徴および機能またはそれらの代替物は、多くの他の異なるシステムまたは用途に望ましく組み込まれてもよいことが理解されるだろう。さらに、現時点でわかっていないか、または予想されていない種々の代替物、改変、変形または改良は、当業者によって後でなされてもよく、これらも以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0052】
酵素による重合反応の具体的な例は、反応図IおよびIIに示される。フォトクロミック化合物を、酵素による重合方法によって、エステルモノマーに結合し、フォトクロミックポリエステルを作成してもよい。以下の反応図Iを参照。
【化4】

ここで、nは、1〜600、例えば、5〜200、10〜100、15〜25であってもよい。
【0053】
さらに、エステルモノマーを、場合により反応系に存在する水によって開始される、酵素による重合方法によって重合させ、ポリエステルを作成してもよい。以下の反応図IIを参照。
【化5】

【0054】
適切なフォトクロミックの一例は、以下の化学式を有するビス−ヒドロキシメチルフォトクロムである。
【化6】

【0055】
反応図Iは、酵素による重合プロセスの反応スキームをまとめたものである。アンブレトリッド(2.5g、0.04moles)、Novozyme 435(Candita AntarticaリパーゼBがビーズに担持されたもの、0.08g)、MEK(3.1g)、ビス−ヒドロキシメチルフォトクロム(0.5g、0.0006moles)を、撹拌棒とともに25mlのガラスシュレンクフラスコに入れた。このフラスコをゴムセプタムで密閉し、次いで、モノマーを24時間かけて重合させることができるように、70℃にあらかじめ設定しておいた油浴に入れた。この後に、フラスコを冷却し、内容物を回収した。次いで、固形ワックス状材料を少量のDCM(約10ml)に溶解し、触媒を除去するために減圧濾過によって濾過し、次いで、濾液をメタノール30mlに加え、ポリマーを溶液から析出させた。ポリマー沈殿を第2の減圧濾過によって回収し、残余分をソックスレー円筒濾紙に入れた。次いで、この物質をメタノールでソックスレー抽出し、48時間かけてポリマー沈殿を洗浄した。
【0056】
2個の独立した検出器(PDAおよびRI)を用いたGPC分析から、フォトクロミック化合物が、ポリマーの集合の一部分に共有結合し、一方、ある程度のポリマーは、反応系中で遊離水からも開始したことが確認された。さらに、このデータは、反応図IおよびIIの設計および概説によって利用された、酵素による重合の機構を裏付けている。
【0057】
酵素による重合によって、フォトクロミック化合物を用いて合成したフォトクロミックポリエステルは、眼で観察されるように、そのフォトクロミック挙動を保持しており、種々の用途のためのフォトクロミック材料として用いることができる。
【0058】
上に開示した種々の特徴および機能またはそれらの代替物、および他の特徴および機能またはそれらの代替物は、多くの他の異なるシステムまたは用途に望ましく組み込まれてもよいことが理解されるだろう。さらに、現時点でわかっていないか、または予想されていない種々の代替物、改変、変形または改良は、当業者によって後でなされてもよく、これらも以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミックポリエステルを製造する方法であって、この方法は、
(a)少なくとも1つのエステルモノマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、または少なくとも1つのヒドロキシル基を有するように官能基化されたフォトクロミック化合物と、金属を含まない触媒とを含む反応溶液を与える工程と;
(b)少なくとも1つの前記エステルモノマーと、前記フォトクロミック化合物とを、前記金属を含まない触媒を用いて反応させ、フォトクロミックポリエステルを含むポリマー生成物を製造する工程と;
(c)前記ポリマー生成物を前記反応溶液から分離する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記フォトクロミック化合物が、前記フォトクロミックポリエステルの中心で前記フォトクロミックポリエステルに共有結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属を含まない触媒が、リパーゼPA、リパーゼPC、リパーゼPF、リパーゼA、リパーゼCA、リパーゼB、リパーゼCC、リパーゼK、リパーゼMM、クチナーゼ、ブタリパーゼからなる群から選択される酵素触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エステルモノマーが、ラクトン、ラクチド、マクロライド、環状カーボネート、環状ホスフェート、環状デプシペプチドまたはオキシランからなる群から選択される、5〜16個の炭素原子を有する飽和または不飽和のエステルモノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エステルモノマーが、オキサシクロヘプタデカ−10−エン−2−オン、ペンタデカラクトン、ペンタデセンラクトン、ヘキサデセンラクトンおよびカプロラクトン、環状ジエステルラクチド、ブチロラクトン、プロピルマロラクトン、プロピオラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、2−メチレン−4−オキサ−12−ドデカノリド、ポリ(ブタジエン−b−ペンタデカラクトン、ポリ(ブタジエン−b−ε−CL)、ε−カプロラクトン、(R)および(S)体の3−メチル−4−オキサ−6−ヘキサノリド、1,3−ジオキサン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、3(S)−イソプロピルモルホリン−2,5−ジオン、モルホリン−2,5−ジオン誘導体、トリメチレンカーボネート、1−メチルトリメチレンカーボネート、8−オクタノリド、δ−デカラクトン、12−ドデカノリド、ω−ペンタデカラクトン、α−メチレンマクロライド、α−メチレン−δ−バレロラクトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フォトクロミック化合物が、スピロピラン、スピロオキサジン、チオスピロピラン、ベンゾピランおよびナフトピラン(クロメン)、スチルベン、アゾベンゼン、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニール、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、チオインジゴ、スピロペリミジン、トリアリールメタン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フォトクロミック化合物と、ポリエステルとを含み、前記フォトクロミック化合物が、前記ポリエステルに共有結合し、前記ポリエステルが、金属を含まない触媒を用いてラクトンを重合させることによって得られる、フォトクロミックポリエステル。
【請求項8】
前記フォトクロミック化合物が、スピロピラン、スピロオキサジン、チオスピロピラン、ベンゾピランおよびナフトピラン(クロメン)、スチルベン、アゾベンゼン、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニール、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、チオインジゴ、スピロペリミジン、トリアリールメタン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のフォトクロミックポリエステル。
【請求項9】
前記フォトクロミック化合物が、前記ポリエステルの中心位置で前記ポリエステルに共有結合している、請求項7に記載のフォトクロミックポリエステル。
【請求項10】
前記ラクトンが、オキサシクロヘプタデカ−10−エン−2−オン、ペンタデカラクトン、ペンタデセンラクトン、ヘキサデセンラクトンおよびカプロラクトン、環状ジエステルラクチド、ブチロラクトン、プロピルマロラクトン、プロピオラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、2−メチレン−4−オキサ−12−ドデカノリド、ポリ(ブタジエン−b−ペンタデカラクトン、ポリ(ブタジエン−b−ε−CL)、ε−カプロラクトン、(R)および(S)体の3−メチル−4−オキサ−6−ヘキサノリド、1,3−ジオキサン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、3(S)−イソプロピルモルホリン−2,5−ジオン、モルホリン−2,5−ジオン誘導体、トリメチレンカーボネート、1−メチルトリメチレンカーボネート、8−オクタノリド、δ−デカラクトン、12−ドデカノリド、ω−ペンタデカラクトン、α−メチレンマクロライド、α−メチレン−δ−バレロラクトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のフォトクロミックポリエステル。

【公開番号】特開2012−97258(P2012−97258A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234429(P2011−234429)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】