説明

フォトクロミック分子担持体、およびその製造方法

【課題】卵殻膜の新しい利用方法、即ちフォトクロミック分子担持体としての利用方法などを提案する。
【解決手段】卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成を有する、フォトクロミック分子担持体とした。このとき、フォトクロミック分子をスピロピラン系化合物とすることが好ましい。また、上記フォトクロミック分子担持体の製造方法としては、有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる方法が好適である。卵殻膜への塗布は、フォトクロミック分子溶液を卵殻膜に滴下させて行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵殻膜を基材としたフォトクロミック分子担持体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食文化において、卵を原材料とした調理は欠かせないものとなっている。特に日本では20世紀後半から一人当たりの鶏卵消費量が世界第1位(320個/人 2009年)となっている。このため、処理後に生じる卵殻に関するリサイクルに関しては、古くから研究開発が行われてきた。
【0003】
しかしながら、これまでの卵殻活用法としては土壌改良材や調味料等、構成成分である無機分やアミノ酸そのものに着目した利用がほとんどであり、卵の内皮である卵殻膜に着目した研究例などは少なかった。
【0004】
ここで、卵殻膜の吸着特性に着目したものとして、下記特許文献1に記載された発明がある。
【0005】
特許文献1には、「卵殻膜またはその分解物を黒酢に添加して、卵殻膜またはその分解物に黒酢の色素成分を吸着させた色素成分吸着物を製造することを特徴とする色素成分吸着物の製造方法。」、および「卵殻膜またはその分解物に黒酢の色素成分が吸着されていることを特徴とする色素成分吸着物。」が記載されており、これによって、「本発明の製造方法で得られる色素成分吸着物は、黒酢の色素成分(有効成分)を吸着した吸着物である。よって、そのような色素成分吸着物を用いれば、様々な機能性を有すると考えられる黒酢の色素成分を、容易に得ることができ、さらに、容易に濃縮することも可能となる。その結果、黒酢の色素成分を、機能性食品およびその原料として利用することができる。」と記載されている。
【0006】
また、廃棄物から有害物質などを吸着除去する目的での卵殻膜の研究もあるが、有害物質などの回収率が低いという欠点があり、普及していない。
【0007】
このように、卵殻膜の吸着特性に着目してこれを有効利用しようとする試みはまだまだ少なく、実用化にも程遠いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−42807号公報(請求項2及び3、発明の効果)
【0009】
一方、フォトクロミック分子は適切な光照射によって可逆的な色変化を示す分子群である。このようなフォトクロミック分子としては、ジアリールエテン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、フルギド類、シクロファン類、カルコン誘導体などが知られている。このうち、代表的なジアリールエテン類(ジアリールエテン系化合物)とスピロピラン類(スピロピラン系化合物)につき、光照射によって起こる反応(光反応)を図6に示す。
【0010】
これらのフォトクロミック分子は溶液中でフォトクロミズムを示すが、一般的に固体状態では分子の運動が制限されるため、例外的に反応するものを除いてフォトクロミズムは起こらない。固体状態でフォトクロミズム反応を誘起するためには特殊な高分子に分散させるなどの処理を必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、卵殻膜の新しい利用方法、即ちフォトクロミック分子担持体としての利用方法などを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成を有する、フォトクロミック分子担持体とした。
【0013】
このフォトクロミック分子担持体は、卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成を有することにより、フォトクロミック分子のフォトクロミズム反応が阻害されにくくなり、従来の特殊な高分子分散処理などを必要とすることなく、固体状態でフォトクロミズム反応を誘起することができる。
【0014】
本願発明者は、卵の内皮である卵殻膜の構造に注目した。具体的には、卵殻膜が持つ孵化する際の呼吸活動保持と病原菌の侵入阻止特性に注目した。この特性からは卵殻膜の物質透過の選択性は10-6〜10-9m程度であることが予想され、この点に着目して鋭意研究開発を重ねたのである。その結果、卵殻膜とフォトクロミック分子という従来にない組み合わせによって、前述のような特有の効果が生じることを見出したのである。
【0015】
フォトクロミック分子がスピロピラン系化合物であるフォトクロミック分子担持体とすることができる。
【0016】
スピロピラン系化合物をろ紙などの紙に吸着させた場合には、フォトクロミズム反応が殆ど生じない。しかし、卵殻膜に吸着させた場合には、フォトクロミズム反応が生じるため、上記フォトクロミック分子担持体は、スピロピラン系化合物に好適なものである。すなわち、卵殻膜に吸着させた場合には、ろ紙などの紙に吸着させた場合よりも、光反応性が向上するのである。
【0017】
このとき、スピロピラン系化合物がスピロベンゾピランであるフォトクロミック分子担持体とすることが好ましい。
【0018】
また、これらフォトクロミック分子担持体を製造するには、有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる、フォトクロミック分子担持体の製造方法とすればよい。
【0019】
また、有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に滴下して塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる、フォトクロミック分子担持体の製造方法としてもよい。このフォトクロミック分子担持体の製造方法は、フォトクロミック分子溶液を卵殻膜に滴下して塗布することにより、フォトクロミズム反応が生じやすいフォトクロミック分子担持体となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、卵殻膜の新しい利用方法などを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】フォトクロミック分子担持体(実施例1、比較例1)の光照射による反応を示す写真である。
【図2】フォトクロミック分子担持体(実施例1、比較例1)の光照射による吸収スペクトル変化の測定結果である。
【図3】フォトクロミック分子担持体(実施例2)の光照射による吸収スペクトル変化の測定結果である。
【図4】フォトクロミック分子担持体(実施例1〜5)の光照射による反応を示す写真である。
【図5】卵殻膜(ニワトリ、ダチョウ、エミュー)の表面SEM写真である。
【図6】フォトクロミック分子の光照射による反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を用いて本発明を例示説明する。本発明のフォトクロミック分子担持体は、卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成を有する。また、本発明のフォトクロミック分子担持体の製造方法は、有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる、フォトクロミック分子担持体の製造方法である。
なお、図5については、「ニワトリ」の表面SEM写真が、たまご博物館(http://homepage3.nifty.com/takakis2/)からの引用、「ろ紙」と「髪の毛」の表面SEM写真が、秋田総合教育センター(http://www.akita-c.ed.jp/center/gallery/e-microscope/)からの引用である。なお、図5の各写真は何れも同倍率である。
以下、卵殻膜、フォトクロミック分子、フォトクロミック分子担持体の製造方法について詳説する。
【0023】
[卵殻膜]
卵殻膜は、フォトクロミック分子担持体の基材として用いられる。ここで、卵殻膜とは、鳥類又は爬虫類の卵の卵殻の内側に存在する膜を指す。鳥類の卵から得られた卵殻膜としては、鶏(ニワトリ)、アヒル、ウズラ、エミュー、ダチョウ、カモ等のものがある。なかでも、消費量の多い鶏の卵殻膜を用いることが好ましい。卵殻膜の主成分はグルタミン酸やシステインに富む不溶性タンパク質である。
【0024】
また、卵殻膜は、卵殻廃棄物から手作業によって卵殻膜を取り出して、よく水洗いしたものを用いることができるし、例えば、次のようにしても得られる。まず、殻付の卵を割卵して卵液を除外し、卵殻を得る。次に、その卵殻を水洗いした後、破砕する。そして、その破砕物を水へ浸漬して、卵殻から卵殻膜を分離・浮遊させる。その分離・浮遊した卵殻膜を回収して必要に応じて洗浄すれば、卵殻膜を得ることができる。なお、卵殻膜は、上記のように回収されたものを使用してもよいが、もちろん、それをさらに乾燥(天日乾燥、又は乾燥機等で乾燥)・保存したものを用いてもよい。以上の卵殻膜はシート状又は膜状となるが、乾燥した卵殻膜を粉砕機などで粉砕して得られた粉状の卵殻膜も用いることができる。即ち、「フォトクロミック分子担持体」は、シート状、膜状、粉状のものが含まれる概念である。
【0025】
[フォトクロミック分子]
フォトクロミック分子は、種々のものを用いることができる。例えば、スピロピラン類、スピロオキサジン類、ジアリールエテン類、フルギド類、シクロファン類、カルコン誘導体などを用いることができる。なかでも、スピロピラン類やジアリールエテン類を用いることが好ましい。
フォトクロミック分子の分子量は特に制限されないが、200〜1500であることが好ましい。
【0026】
[フォトクロミック分子担持体の製造方法]
まず、フォトクロミック分子溶液を準備する(フォトクロミック分子溶液の準備工程)。このフォトクロミック分子溶液は、有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなる。有機溶剤としては種々のものを使用することができるが、フォトクロミック分子の溶解性や乾燥時間を考慮すると、エタノール、テトラヒドロフラン (THF)、ジクロロメタン、又はこれらの混合溶剤が好ましい。
この有機溶剤にフォトクロミック分子を配合する。フォトクロミック分子の配合量としては、液状のフォトクロミック分子溶液となる限りにおいて特に制限されないが、卵殻膜への吸着量や塗布適正などを考慮すると、0.05〜10重量%の範囲が好ましく、0.1〜1重量%の範囲が最も好ましい。フォトクロミック分子溶液には、固体状態でフォトクロミズム反応を誘起するための特殊な高分子などは配合しなくてもよい。
有機溶剤にフォトクロミック分子を配合した後は、ディゾルバーなどで分散溶解させてフォトクロミック分子溶液とする。
【0027】
次に、このフォトクロミック分子溶液を卵殻膜に塗布する(塗布工程)。塗布方法としては卵殻膜に塗布できるのであれば特に制限されない。具体的には、ディップコート法、フローコート法、溶液滴下法(スプレー法を含む)、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法及びエアーナイフコート法等の塗布方法を用いることが出来る。なかでも、卵殻膜にフォトクロミック分子溶液を滴下する溶液滴下法を用いることが、フォトクロミック分子担持体においてフォトクロミズム反応が比較的生じやすく、好ましい。
【0028】
最後に、前記塗布工程の後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させて塗膜を乾燥させる(乾燥工程)。これにより、卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成となる。具体的には卵殻膜の微細繊維が形成する格子構造若しくは網目構造(図5参照)のなかに、フォトクロミック分子が取り込まれた状態となる。
【0029】
ここで、有機溶剤を蒸発させるための手段は特に限定されないが、フォトクロミック分子の安定性を考慮すると、あまり高温での加熱乾燥は好ましくない。常温常圧で自然乾燥させることが好ましい。加熱する場合には、70℃以下での加熱乾燥が好ましい。
【0030】
[フォトクロミック分子担持体の特性]
このようにして得られたフォトクロミック分子担持体は、紫外線(紫外光)を照射すると、卵殻膜に吸着されたフォトクロミック分子のフォトクロミズム現象によって変色する。すなわち情報の書き込みができる。
さらに、紫外線照射によって変色したフォトクロミック分子担持体に、可視光を照射すると、諸条件によって程度は異なるものの変色が元に戻る(可逆性)。すなわち、書き込まれた情報の消去ができるのである。
なお、卵殻膜の代わりに市販紙(ろ紙)を用いた場合、フォトクロミック分子の種類などによって変色したりしなかったりするのであるが、卵殻膜を用いると殆どのフォトクロミック分子で紫外線照射による変色がみられた。なかでも、後述するように、スピロピラン系化合物を用いた場合には、市販紙(ろ紙)を用いると殆ど変色しないものの、卵殻膜を用いると著しい変色がみられた。これは、格子構造若しくは網目構造の違い(図5参照)がフォトクロミック分子の安定性に作用して量子効率に影響を及ぼしているためと思われるが、明確なメカニズム解析は今後の課題である。
以下、本発明の内容を実施例によりさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
卵殻膜として鶏卵の卵殻膜を用いた。卵殻膜は、卵殻廃棄物から手作業によって取り出し、よく水洗いしたものを用いた。また、フォトクロミック色素(分子)として、スピロベンゾピランである 1,3,3-トリメチルイントリノ-6'-ニトロベンゾピリロスピラン(化1)を用いた。このフォトクロミック分子は、1,3,3-トリメチル-2-メチレンイントリン(東京化成製)と 5-ニトロサリチルアルテヒト(東京化成製)をエタノール中で加熱環流して得たものである。
【化1】

【0032】
そして、上記フォトクロミック色素50mgを有機溶剤としてのジクロロメタン10mlに配合し、十分に撹拌溶解させて、フォトクロミック分子溶液を得た。得られたフォトクロミック分子溶液をスポイトに入れ、卵殻膜に滴下した。その後、 常温常圧で1日かけて自然乾燥させ、シート状のフォトクロミック分子担持体を得た。
【0033】
得られたフォトクロミック分子担持体に波長が250〜400nmの紫外線(UV)を5秒程度照射したところ、青色に変色した。変色したフォトクロミック分子担持体に波長が500〜800nmの可視光(Vis)を5秒程度照射したところ、ほぼ元の色調に戻った(図1参照)。
【0034】
上記色調変化について吸収スペクトルの測定によってモニタリングした。吸収スペクトルの測定は日本分光製紫外可視分光光度計 V-560 と固体試料測定用積分球 ISV-469 を用いて行った。光照射装置はモリテックス社製 MUV-250U-L を用い、朝日分光製のカットフィルターを用いて照射波長を調整した。その結果を図2の(1)に示す。
実施例1のフォトクロミック分子担持体に紫外線を照射すると、光照射量に従って可視部に吸収帯が現れ、また、この吸収帯は可視光照射によって元のスペクトルに戻っていることがわかる。
【0035】
なお、鶏の他、ダチョウ、エミュー、ウズラ、カモの卵殻膜でも同様にサンプル作成及び評価を行ったところ、実施例1と同様の結果であった。また、塗布方法をデイップ法とした以外は、前記実施例1と同一の条件でフォトクロミック分子担持体を作成したところ、紫外線照射による変色がみられたものの、若干変色度合いが低かった。なお、デイップ法では、フォトクロミック分子溶液に卵殻膜を1時間浸漬させた。
【0036】
(実施例2)
フォトクロミック分子として、ジアリールエテン類である、東 京 化 成 製 の1,2-Bis[2-methylbenzo[b]thiophen-3-yl]-3,3,4,4,5,5 -hexafluoro-1-cyclopentene(化2)を用いる以外は、前記実施例1と同一の条件でフォトクロミック分子担持体を作成した。
【化2】

【0037】
得られたフォトクロミック分子担持体に、それぞれ前記実施例1と同一の材料及び条件で紫外線を照射して変色を確認した後、可視光を照射して色調の戻り具合を確認した。いずれも紫外線照射によって変色し、可視光照射によって、ほぼ元の色調に戻った。吸収スペクトルの測定結果を図3に示す。実施例2のフォトクロミック分子担持体に紫外線を照射すると、光照射量に従って可視部に吸収帯が現れ、また、この吸収帯は可視光照射によって元のスペクトルに戻っていることがわかる。
【0038】
(実施例3〜5)
フォトクロミック分子の種類以外は、前記実施例1と同一の条件でフォトクロミック分子担持体を作成した。フォトクロミック分子としては、何れもジアリールエテン類を用いた。詳細には、実施例3では下記の(化3)、実施例4では下記の(化4)、実施例5では下記の(化学5)でそれぞれ示されるジアリールエテン類をフォトクロミック分子として用いた。
【化3】


【化4】

【化5】

【0039】
得られたフォトクロミック分子担持体に、それぞれ前記実施例1と同一の材料及び条件で紫外線を照射して変色を確認した後、可視光を照射して色調の戻り具合を確認した。いずれも色調の違いこそあれ、紫外線照射によって変色し、可視光照射によって、ほぼ元の色調に戻った(図4参照)。
【0040】
(比較例1)
基材を市販のろ紙とした以外は、前記実施例1と同一の条件でフォトクロミック分子担持体を作成した。
【0041】
評価は、前記実施例1と同一の条件、内容であるが、紫外線照射による変色は非常に弱かった。なお、図1と図2には、それぞれ実施例1と比較例1の評価を比較表示してある。
【0042】
(比較例2)
基材を市販のろ紙とした以外は、前記実施例2と同一の条件でフォトクロミック分子担持体を作成した。
【0043】
評価は、前記実施例2と同一の条件、内容であり、紫外線照射によって変色し、可視光照射によって、ほぼ元の色調に戻った
【0044】
【表1】

【0045】
評価に関して、変色性については、○が強く着色(変色)、△が弱く着色 、×が殆ど着色なし とした。また、復元性については、○がほぼ元にもどった、△が若干元にもどった、×が殆ど元に戻らなかった とした。
【0046】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0047】
例えば、粉末状の卵殻膜を用いる場合には、フォトクロミック分子溶液をスプレー法などで、塗布すればよい。
【0048】
また、本発明のフォトクロミック分子担持体がシート状の場合に、これを粉砕などして粉末状にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
このフォトクロミック分子担持体は、光によって情報の書き込みが可能な高密度記録媒体、光多重記録媒体、調光材料等の様々な産業上利用可能性を秘めた機能性材料である。

【符号の説明】
【0050】
1 実施例1のフォトクロミック分子担持体
2 実施例2のフォトクロミック分子担持体
3 実施例3のフォトクロミック分子担持体
4 実施例4のフォトクロミック分子担持体
5 実施例5のフォトクロミック分子担持体
6 比較例1のフォトクロミック分子担持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻膜にフォトクロミック分子が吸着された構成を有する、
フォトクロミック分子担持体。

【請求項2】
フォトクロミック分子がスピロピラン系化合物である、
請求項1記載のフォトクロミック分子担持体。

【請求項3】
スピロピラン系化合物がスピロベンゾピランである、
請求項2記載のフォトクロミック分子担持体。

【請求項4】
有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる、
フォトクロミック分子担持体の製造方法。

【請求項5】
有機溶剤に分散させたフォトクロミック分子からなるフォトクロミック分子溶液を、卵殻膜に滴下して塗布した後、フォトクロミック分子溶液に含まれる有機溶剤を蒸発させる、
フォトクロミック分子担持体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−229295(P2012−229295A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96831(P2011−96831)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼刊行物名 日本化学会第91春季年会(2011)講演予稿集DVD−ROM ▲2▼発行日 平成23年3月11日 ▲3▼発行所 社団法人 日本化学会 ▲4▼該当ページ 2H7−08
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】