説明

フォトクロミック化合物

ピラン、オキサジンまたはフルギドであってよいフォトクロミック化合物を提供する。フォトクロミック化合物は、それに結合した少なくとも1つの置換基Qを有し、各Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’であり、ここで、各R’は、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルケンまたはアルキン基であり、ここで、該置換基はハロまたはヒドロキシルであり、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基である。成分Qの数、位置および種類は、フォトクロミック化合物の構造に依存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
本願は、米国特許出願第10/846,629号(2004年5月17日出願、参照により本明細書に組み入れられる)の一部継続出願であり、この出願は、米国仮特許出願第60/484,100号(2003年7月1日出願)の利益を主張する。
【0002】
連邦委託研究または開発に関する記述
該当なし
配列表の参照
該当なし
背景
本明細書に開示される種々の非限定的実施形態は、一般に、フォトクロミック化合物に関する。他の非限定的実施形態は、本明細書に開示されるフォトクロミック化合物を使用して作製されたデバイスおよびエレメントに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のフォトクロミック化合物は、少なくとも2つの状態(第一吸収スペクトルを有する第一状態、および第一吸収スペクトルと異なる第二吸収スペクトルを有する第二状態)を有し、少なくとも化学線に応答して2つの状態間をスイッチすることができる。さらに、従来のフォトクロミック化合物は、熱可逆性である。即ち、従来のフォトクロミック化合物は、少なくとも化学線に応答して第一状態および第二状態の間をスイッチすることができ、熱エネルギーに応答して第一状態に戻ることができる。本明細書において使用される「化学線」は、電磁放射線、例えば応答を生じることができる紫外線および可視光線を意味するが、それらに限定されない。より具体的には、従来のフォトクロミック化合物は、化学線に応答して、1つの異性体から他の異性体への変換することができ(各異性体は特徴的吸収スペクトルを有する)、さらに、熱エネルギーに応答して最初の異性体に戻ることもできる(即ち、熱可逆性である)。例えば、従来の熱可逆性フォトクロミック化合物は、一般に、化学線に応答して、第一状態、例えば「透明状態」から、第二状態、例えば「着色状態」にスイッチし、熱エネルギーに応答して「透明」状態に戻ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイクロイック化合物は、透過線の2つ直交平面偏光成分の1つを、他方より強く吸収することができる化合物である。従って、ダイクロイック化合物は、透過線を直線的に偏光させることができる。本明細書において使用される「直線的偏光」は、光波の電気ベクトルの振動を、1つの方向または平面に限定することを意味する。しかし、ダイクロイック物質は、透過線の2つの直交平面偏光成分の1つを優先的に吸収できるが、ダイクロイック化合物の分子が適切に配置または配列されていなければ、透過線の正味直線偏光が得られない。即ち、ダイクロイック化合物の分子のランダム配置により、個々の分子による選択的吸収が相互に打ち消され、それによって正味のまたは全体的な直線偏光効果が得られない。従って、従来の直線偏光エレメント、例えば、直線偏光フィルターまたはサングラス用のレンズを形成するために、別の物質内のダイクロイック化合物の分子を適切に配置または配列することが一般に必要である。
【0005】
ダイクロイック化合物と対照的に、従来のフォトクロミックエレメントを形成するために、従来のフォトクロミック化合物の分子を配置または配列することは一般に必要でない。従って、例えば、従来のフォトクロミックエレメント、例えばフォトクロミックアイウェア用のレンズは、例えば下記によって、形成することができる:従来のフォトクロミック化合物および「ホスト」物質を含有する溶液をレンズの表面にスピンコーティングし、フォトクロミック化合物を任意の特定配向に配列せずに、得られたコーティングまたは層を適切に硬化させる。さらに、従来のフォトクロミック化合物の分子が、ダイクロイック化合物に関して先に記載したように適切に配置または配列された場合でも、従来のフォトクロミック化合物はダイクロイックの性質を強く示さないので、それから作られたエレメントは、一般に、強く直線偏光しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの状態において、有用なフォトクロミックおよび/またはダイクロイック特性を示すことができ、かつ、種々の用途においてフォトクロミックおよび/またはダイクロイック特性を付与するために使用することができる、フォトクロミック化合物を提供することが有利であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の種々の非限定的実施形態は、図面と共に読まれた場合に、より深く理解される。
【図1】図1は、セル法を使用して、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によるフォトクロミック化合物に関して得た、2つの平均差吸収スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、本発明による種々のQ基を有するフォトクロミック化合物(PC)を調製する一般的反応式を示す図である。
【図3】図3および図4は、それぞれ、本発明による種々のQ基を有するナフトールを調製する一般的反応式を示す図である。
【図4】図3および図4は、それぞれ、本発明による種々のQ基を有するナフトールを調製する一般的反応式を示す図である。
【図5】図5は、本発明によるインデノ縮合ナフトールを調製する反応式を示す図である。
【図6】図6は、本発明によるナフトールを調製する反応式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されている冠詞「a」、「an」および「the」は、特別にかつ明確に1つの指示物に限定されない限り、複数の指示物を包含する。
【0009】
さらに、本明細書の解釈上、特に指示しない限り、本明細書に使用されている成分の量、反応条件および他の特性またはパラメーターを表わす全ての数値は、あらゆる場合において「約」という用語によって修飾されているものと理解される。従って、特に指示しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、概数であるものと理解すべきである。少なくとも、かつ、均等論の適用を特許請求の範囲に限定するものではなく、数値パラメーターは、記載されている有効桁の数および通常の丸め法の適用に鑑みて、読み取るべきである。
【0010】
さらに、本発明の広い範囲を示す数値の範囲およびパラメーターは前記のように概数であるが、実施例部分に示されている数値は、できる限り正確に記載されている。しかし、そのような数値は、測定器および/または測定法によって生じるある程度の誤差を本質的に有するものと理解すべきである。
【0011】
本発明の種々の非限定的実施形態を以下に説明する。1つの非限定的実施形態は、以下に記載する位置のQ基、および場合により、これも以下に記載する延長基L、を有する熱可逆性フォトクロミック化合物を提供する。他の非限定的実施形態は、少なくとも第一状態および第二状態を有するように適合されたフォトクロミック化合物を提供し、該熱可逆性フォトクロミック化合物は、以下に詳しく記載するセル法によって測定した場合に、少なくとも1つの状態において2.3より高い平均吸収比を有する。さらに、種々の非限定的実施形態によれば、熱可逆性フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に、活性化状態において2.3より高い平均吸収比を有する。本明細書において使用される「フォトクロミック化合物」(PC)という用語は、下記から選択される熱可逆性フォトクロミック化合物を包含する:インデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、インデノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、2H−ナフト[1,2−b]ピラン、3H−ナフト[2,1−b]ピラン、ベンゾピラン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−3,3’−ナフト[2,1−b][1,4]]オキサジン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,2’−ナフト[1,2−b][1,4]]オキサジン、フルギド、およびそれらの混合物。フォトクロミック化合物に関して本明細書において使用される「活性化状態」という用語は、フォトクロミック化合物の少なくとも一部が状態をスイッチするのに充分な化学線に暴露されたときのフォトクロミック化合物を意味する。さらに、本明細書において使用される「化合物」という用語は、2つ以上のエレメント、成分、構成要素または部分の結合によって形成された物質を意味し、2つ以上のエレメント、成分、構成要素または部分の結合によって形成された分子および巨大分子(例えば、ポリマーまたはオリゴマー)を包含するが、それらに限定されない。
【0012】
一般的に言えば、フォトクロミック化合物の平均吸収比を測定するセル法は、セルアセンブリ内に含有されている整列液晶媒体中においてフォトクロミック化合物が少なくとも部分的に配列している間に、2つの直交偏光方向のそれぞれにおいて、活性化または非活性化状態におけるフォトクロミック化合物の吸収スペクトルを得ることを含む。より具体的には、セルアセンブリは、20ミクロン+/−1ミクロンの間隔をあけた2つの対向ガラス基板を含む。基板が2つの対向縁に沿って密閉されて、セルを形成する。各ガラス基板の内表面は、ポリイミド被覆剤でコーティングされ、その表面は研磨によって少なくとも部分的に秩序化されている。フォトクロミック化合物の整列は、フォトクロミック化合物および液晶媒体をセルアセンブリに導入し、液晶媒体を研摩ポリイミド表面と共に整列させることによって達成される。フォトクロミック化合物は液晶媒体内に含有されているので、液晶媒体の整列が、フォトクロミック化合物を整列させる。試験中に使用される液晶媒体および温度の選択が、測定吸収比に影響を与えうることが当業者に理解される。従って、実施例に詳しく示されるように、セル法のために、吸収比測定を室温(73°F+/−0.5°Fまたはそれ以上)で行ない、液晶媒体はLicristal(登録商標)E7(これは、シアノビフェニルおよびシアノテルフェニル液晶化合物の混合物であることが報告されている)である。
【0013】
液晶媒体およびフォトクロミック化合物が整列されたら、セルアセンブリを光学ベンチ(これは、実施例に詳しく記載されている)に配置する。活性化状態における平均吸収比を得るために、飽和またはほぼ飽和状態(即ち、測定が行なわれる時間にわたって、フォトクロミック化合物の吸収特性が実質的に変化しない状態)に達するのに充分な時間にわたってフォトクロミック化合物を紫外線に暴露することによって、フォトクロミック化合物の活性化が行なわれる。吸収測定は、ある時間(一般に10〜300秒)にわたって、3秒間隔で、光学ベンチに垂直の平面(0°偏光面または方向と称される)において直線偏光する光、および光学ベンチに平行の平面(90°偏光面または方向と称される)において直線偏光する光に関して、以下の順序:0°、90°、90°、0°等で行なわれる。セルによる直線偏光の吸光度は、試験される全ての波長に関して各時間間隔において測定され、同じ波長範囲における非活性化吸光度(即ち、液晶物質および非活性化フォトクロミック化合物を有するセルの吸光度)を減じて、0°および90°偏光面のそれぞれにおけるフォトクロミック化合物の吸収スペクトルを得て、飽和またはほぼ飽和状態におけるフォトクロミック化合物の各偏光面における平均差吸収スペクトルを得る。
【0014】
例えば、図1を参照すると、本明細書に開示されている1つの非限定的実施形態によるフォトクロミック化合物に関して得た、1つの偏光面における平均差吸収スペクトル(一般的表示10)が示されている。平均吸収スペクトル(一般的表示11)は、直交偏光面において同じフォトクロミック化合物に関して得た平均差吸収スペクトルである。
【0015】
フォトクロミック化合物に関して得た平均差吸収スペクトルに基づいて、フォトクロミック化合物の平均吸収比が以下のように得られる。λmax−vis+/−5ナノメートル[ここで、λmax−visは、フォトクロミック化合物が任意の平面において最も高い平均吸光度を有していた波長である]に対応する所定の波長範囲(図1において14として一般的に表示)の各波長におけるフォトクロミック化合物の吸収比は、下記の等式によって算出される:
【0016】
【数1】

等式1
[式中、ARλiは、波長λiにおける吸収率であり、Abλiは、より高い吸光度を有する偏光方向(即ち、0°または90°)における波長λiにおける平均吸収であり、Abλiは、残りの偏光方向における波長λiにおける平均吸収である]。先に記載したように、「吸収率」は、(第一平面において直線偏光した放射線の吸収)/(第一平面に直交する平面において直線偏光した同波長放射線の吸収)の比率を意味し、該第一平面は、最も高い吸光度を有する平面と考えられる。
【0017】
次に、フォトクロミック化合物の平均吸収率(「AR」)は、下記の等式に従って、所定の波長範囲内(即ち、λmax−vis+/−5ナノメートル)の波長に関して得た個々の吸収率を平均することによって算出される:
【0018】
【数2】

等式2
[式中、ARは、フォトクロミック化合物の平均吸収率であり、ARλiは、所定の波長範囲内(即ち、λmax−vis+/−5ナノメートル)の各波長における個々の吸収率(前記の等式1で求める)であり、nは、平均される個々の吸収率の数である]。
【0019】
前記のように、従来の熱可逆性フォトクロミック化合物を、化学線に応答して第一状態から第二状態にスイッチし、熱エネルギーに応答して第一状態に戻るように、適合させる。より具体的には、従来の熱可逆性フォトクロミック化合物は、化学線に応答して1つの異性体形(例えば、限定するものではないが、閉鎖形)から他の異性体形(例えば、限定するものではないが、開放形)に変換することができ、熱エネルギーに暴露した際に閉鎖形に戻ることができる。しかし、先に記載したように、一般に従来の熱可逆性フォトクロミック化合物は、ダイクロイズムを強く示さない。
【0020】
前記のように、本明細書に開示される非限定的実施形態は、セル法によって測定した場合に少なくとも1つの状態において2.3より高い平均吸収比を有する熱可逆性フォトクロミック化合物、および/または2.3より高い吸収比を有するフォトクロミック化合物の調製における中間体として使用することができる熱可逆性フォトクロミック化合物を提供する。従って、この非限定的実施形態による熱可逆性フォトクロミック化合物は、有用なフォトクロミック特性および/または有用なフォトクロミックおよびダイクロイック特性を示すことができる。即ち、熱可逆性フォトクロミック化合物は、熱可逆性フォトクロミックおよび/またはフォトクロミック−ダイクロイック化合物であることができる。本明細書に記載されるフォトクロミック化合物に関して本明細書において使用される「フォトクロミック−ダイクロイック」という用語は、特定の条件下にフォトクロミックおよびダイクロイック特性の両方を示すことを意味し、該特性は計測器により少なくとも検出可能である。
【0021】
他の非限定的実施形態によれば、熱可逆性フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に少なくとも1つの状態において4〜20、3〜30、または2.5〜50の平均吸収比を有する熱可逆性フォトクロミック−ダイクロイック化合物であることができる。フォトクロミック化合物の平均吸収比が高いほど、フォトクロミック化合物はより多く直線偏光することが当業者に理解される。従って、種々の非限定的実施形態によれば、熱可逆性フォトクロミック化合物は、所望レベルの直線偏光を達成するために必要とされる任意の平均吸収比を有することができる。
【0022】
他の非限定的実施形態は、オキサジンを含有せず、少なくとも第一状態および第二状態を有するように適合された、熱可逆性フォトクロミック化合物を提供し、該フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に少なくとも1つの状態において少なくとも1.5の平均吸収比を有する。さらに、この非限定的実施形態によれば、平均吸収比は、セル法によって測定した場合に少なくとも1つの状態において1.5〜50であることができる。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、下記を含むフォトクロミック物質が提供され:インデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、インデノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、2H−ナフト[1,2−b]ピラン、3H−ナフト[2,1−b]ピラン、ベンゾピラン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−3,3’−ナフト[2,1−b][1,4]]オキサジン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,2’−ナフト[1,2−b][1,4]]オキサジン、またはフルギド;
ここで、
(A) 前記フォトクロミック物質は、下記に指定する特定の炭素原子においてそれに結合した少なくとも1つの置換基Qを有し、各Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルケンまたはアルキン基を含み、ここで、前記置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
但し、
(a) 前記フォトクロミック物質が、インデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、インデノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピランを含むとき、Qは、7位および/または10位でそれに結合し、−N、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’または−CNを含み、但し、前記フォトクロミック物質がインデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピランであるとき、前記物質化合物は12位において置換基を実質的に有さない;
(b) 前記フォトクロミック物質が3H−ナフト[2,1−b]ピランを含むとき、Qは、6位および/または7位でそれに結合し、各存在について独立に−Nまたは−OCOOR’を含む;
(c) 前記フォトクロミック物質が2H−ナフト[1,2−b]ピランを含むとき、Qは、8位でそれに結合し、−N;または−OCOOR’(但し、前記フォトクロミック物質は、5位において置換基を実質的に有さない)を含む;
(d) 前記フォトクロミック物質がベンゾピランを含むとき、Qは、7位でそれに結合し、−N、−CN、−CCR’または−OSOR’’’を含む;
(e) 前記フォトクロミック物質がスピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,2’−ナフト[1,2−b][1,4]]オキサジンを含むとき、置換基Qは、5位、6位および/または8’位でそれに結合し、各存在について独立に、−N;−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、前記フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)を含む;
(f) 前記フォトクロミック物質がスピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,3’−ナフト[2,1−b][1,4]]オキサジンを含むとき、置換基Qは、5位、6位、6’位および/または7’位でそれに結合し、各存在について独立に、−N;−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、前記フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)を含む;および
(g) 前記フォトクロミック物質がフルギドを含むとき、Qは、−N、−CN、−CCR’または−OSOR’’’を含む;および
(B) 場合により、前記フォトクロミック物質は、下記の式によって表わされる少なくとも1つの延長剤L(これは以下に詳しく説明される)を有する:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P
本明細書に使用される「結合した」という用語は、直接的に結合しているか、または他の基を介して間接的に結合していることを意味する。従って、例えば、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によれば、Lは、PC上の置換基としてPCに直接的に結合することができ、またはLは、PCに直接的に結合している他の基(例えばRで示される基であって、これは以下に記載される)上の置換基であることができる(即ち、LはPCに間接的に結合している)。本明細書において限定するものではないが、種々の非限定的実施形態によれば、Lは、活性化状態におけるPCを延ばすまたは長くするようにPCに結合され、それによって、延長されたPC(即ち、フォトクロミック化合物)の吸収率を、PC単独と比較して、増加させることができる。本明細書において限定するものではないが、種々の非限定的実施形態によれば、PC上のLの結合位置は、PCの活性化形態の理論遷移双極子モーメントに対して少なくとも1つの平行方向または垂直方向において、LがPCを延長させるように選択することができる。Lの位置については、それを次に、Q基の位置においてフォトクロミック化合物に結合させうる。本発明のフォトクロミック化合物は、指示位置における少なくとも1つのQ基、および場合により1つ以上のL基を有することができる。本明細書において使用される「理論遷移双極子モーメント」という用語は、電磁放射線と分子との相互作用によって生じる一時的双極子分極を意味する。例えば、IUPAC Compendium of Chemical Technology、第2版、International Union of Pure and Applied Chemistry(1997)参照。
【0024】
前記のLに関して、各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択できる:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニル、ペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニル、ペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロまたはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である。本明細書において使用される接頭辞「ポリ」は、少なくとも2を意味する。
【0025】
前記のように、各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択できる:二価の基、例えば、非置換または置換芳香族基、非置換または置換複素環式基、および非置換または置換脂環式基。有用な芳香族基の非限定的な例は、下記を包含する:ベンゾ、ナフト、フェナントロ、ビフェニル、テトラヒドロナフト、テルフェニルおよびアントラセノ。
【0026】
本明細書において使用される「複素環式基」という用語は、原子の環を有する化合物であって、該環を形成する少なくとも1個の原子が、該環を形成する他の原子と異なっている化合物を意味する。さらに、本明細書において使用される複素環式基という用語は、特に、縮合複素環式基を除外する。Q、QおよびQを選択することができる好適な複素環式基の非限定的な例は、下記を包含する:イソソルビトール、ジベンゾフロ、ジベンゾチエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チエノ、フロ、ジオキシノ、カルバゾロ、アントラニリル、アゼピニル、ベンゾオキサゾリル、ジアゼピニル、ジオアズリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、インダゾリル、インドレニニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、インドオキサジニル、イソベンザゾリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソオキサジル、イソピロイル、イソキノリル、イソチアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジル、オキサチオリル、オキサトリアゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペラジル、ピペリジル、プリニル、ピラノピロリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジル、ピリダジニル、ピリダジル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピリデニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロイル、キノリジニル、キヌクリジニル、キノリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジル、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、アリールピペリジノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピリル、非置換、モノまたはジ置換C−C18スピロ二環式アミン、および非置換、モノまたはジ置換C−C18スピロ三環式アミン。
【0027】
前記のように、種々の非限定的実施形態によれば、Q、QおよびQは下記から選択できる:モノまたはジ置換C−C18スピロ二環式アミンおよびC−C18スピロ三環式アミン。好適な置換基の非限定的な例は、アリール、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、またはフェニル(C−C)アルキルを包含する。モノまたはジ置換スピロ二環式アミンの具体的な非限定的例は、下記を包含する:2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル;3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル;2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル;および6−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−6−イル。モノまたはジ置換三環式アミンの具体的な非限定的例は、下記を包含する:2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−ベンジル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−メトキシ−6−メチル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イル;および7−メチル−4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イル。
【0028】
、QおよびQを選択することができる脂環式基の例は、下記を包含するが、それらに限定されない:シクロヘキシル、シクロプロピル、ノルボルネニル、デカリニル、アダマンタニル、ビシクロオクタン、ペル−ヒドロフルオレン、およびクバニル。
【0029】
引き続きLに関して、各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−であって、ここで、gは、各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16から選択される(両端の数字を含む);
(2) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合であって、ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(3) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基であって、前記C−C24アルキレン残基は、非置換、シアノまたはハロによるモノ置換、またはハロによるポリ置換である;
但し、ヘテロ原子を含む2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している。本明細書において使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子を意味する。
【0030】
本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によれば、Lにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、1〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1であるものとする。本明細書に開示されている他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2であるものとする。本明細書に開示されているさらに他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3であるものとする。本明細書に開示されているさらに他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1であるものとする。
【0031】
さらに、Lにおいて、Pは下記から選択できる:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキル、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキル、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換または非置換キラルまたは非キラル一価または二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);または、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造物であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である。
【0032】
本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によれば、Pが重合可能基であるとき、重合性基は、重合反応に参加するように適合された任意の官能基であることができる。重合反応の非限定的な例は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary Thirteenth Edition,1997,John Wiley & Sons,p.901−902において「重合」の定義に記載されている反応を包含し、それに開示されている内容は参照により本明細書に組み入れられる。例えば、本明細書において限定するものではないが、重合反応は、下記の重合反応を包含する:「付加重合」(これにおいて、フリーラジカルが開始剤であり、これが一方でモノマーの二重結合に付加し、同時に、他方で新しい自由電子を生じることによって、モノマーの二重結合と反応する);「縮合重合」(これにおいて、小分子、例えば水分子の脱離を伴って、2つの反応分子が結合して、より大きい分子を形成する);および「酸化カップリング重合」。さらに、重合性基の非限定的な例は、下記を包含する:ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、2−(アクリルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリルオキシ)エチルカルバミル、イソシアネート、アジリジン、アリルカーボネート、およびエポキシ、例えばオキシラニルメチル。
【0033】
1つの具体的な非限定的実施形態によれば、Pは、主鎖または側鎖液晶ポリマー、および液晶メソゲンから選択できる。本明細書において使用される液晶「メソゲン」という用語は、剛体棒状または円板状液晶分子を意味する。さらに、本明細書において使用される「主鎖液晶ポリマー」という用語は、ポリマーのバックボーン(即ち、主鎖)構造内に、液晶メソゲンを有するポリマーを意味する。本明細書において使用される「側鎖液晶ポリマー」という用語は、側鎖においてポリマーに結合している液晶メソゲンを有するポリマーを意味する。本明細書において限定するものではないが、一般に、メソゲンは液晶ポリマーの動きを制限する2個以上の芳香環から構成される。好適な棒状液晶メソゲンは、下記を包含するが、それらに限定されない:置換または非置換芳香族エステル、置換または非置換線状芳香族化合物、および置換または非置換テルフェニル。
【0034】
他の具体的な非限定的実施形態によれば、Pは、ステロイド基、例えば、限定するものではないがコレステロール系化合物から選択できる。
【0035】
前記のように、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態は、(a)フォトクロミック基(PC)、および(b)本明細書に記載されている位置における少なくとも1つのQ基、および場合により、PCに結合している少なくとも1つの延長剤(L)(前記)、を含有するフォトクロミック化合物を提供する。
【0036】
代替的実施形態において、フォトクロミック化合物は、下記の構造式I、II、III、IVA、IVB、VまたはVIによって表わしうる:
【0037】
【化1】

[式中、
(A) 各置換基Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、 、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CONHR’を含み、ここで、各R’は、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルケンまたはアルキン基を含み、ここで、前記置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜利用可能位置の総数から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 以下に記載するBによって表わされる基;
(b) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:延長剤L、ヒドロキシ、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−C18アルキル、フェニル、ベンジルおよびナフチルでモノ−またはジ−置換されたアミノ;
(c) −OXおよび−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(i) 延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18アシル、フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルキル置換フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルコキシ置換フェニル(C−C18)アルキル;C−C18アルコキシ(C−C18)アルキル;C−C10シクロアルキル;モノ(C−C18)アルキル置換C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、前記ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(ii) −CH(X)X;ここで、Xは、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択され、Xは、延長剤L、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択される;
(iii) −C(O)X;ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:延長剤L、水素、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−C18アルキルでモノ−またはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;または
(iv) トリ(C−C18)アルキルシリル、トリ(C−C18)アルキルシリルオキシ、トリ(C−C18)アルコキシシリル、トリ(C−C18)アルコキシシリルオキシ、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリル、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリルオキシ、ジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリル、またはジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリルオキシ;
(d) −SX11;ここで、X11は、下記から選択される:延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、非置換またはC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシまたはハロゲンでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(e) 式iによって表わされる窒素含有環:
【0038】
【化2】

ここで、
(i) nは、0、1、2および3から選択される整数であり、但し、nが0であるとき、U’はUであり、各Uは、各存在について独立に、−CH−、−CH(X12)、−C(X12、−CH(X13)−、−C(X13−および−C(X12)(X13)−から選択され、ここで、X12は、延長剤LおよびC−C12アルキルから選択され、X13は、延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択される;および
(ii) U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、mは1、2および3から選択される整数である;
(f) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
【0039】
【化3】

ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、あるいはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシまたはハロゲンから選択される;
(g) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
【0040】
【化4】

ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−および−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17について、X14およびX15は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、またはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、またはハロゲンから選択される;および
(iii) qは、0、1、2、3および4から選択される整数である;および
(h) 下記によって表わされる延長剤L:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P
ここで、
(i) 各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択される:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロまたはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である;
(ii) c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択され;各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−;ここで、gは各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16(両端の数字を含む)の自然数である;
(2) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合;ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(3) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、または直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基;前記C−C24アルキレン残基は、非置換であるか、またはシアノまたはハロによるモノ置換されているか、またはハロによるポリ置換されており;但し、ヘテロ原子を含有する2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している;
(iii) Pは下記から選択される:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキレン、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキレン、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキレン、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキレン、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルフェニレン、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換もしくは非置換キラルもしくは非キラル一価もしくは二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);あるいは、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である;および
(iv) d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択され、但し、d’+e’+f’の合計は少なくとも1であるものとする;
(C) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式Iによって表わされるとき、下記であるものとする:
(a) Qは−CNを含み、構造式Iの前記フォトクロミック物質は、12位において置換基を実質的に有さず、またはQは、−N、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’および−OSOR’’’を含む;
(b) 基Aは、インデノ、チオフェノ、ベンゾチオフェノ、フロまたはベンゾフロを表わす;および
(c) BおよびB’は、それぞれ独立に下記から選択される:
(i) 水素、C−C18アルキル、C−C18アルキリデン、C−C18アルキリジン、ビニル、C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシでモノ置換されている);
(ii) 下記から選択される少なくとも1つの置換基でパラ位置においてモノ置換されたフェニル:C−C18アルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C20アルキレン、直鎖または分岐鎖C−Cポリオキシアルキレン、環状C−C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C−C18アルキル置換フェニレン、モノ−またはポリ−ウレタン(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−エステル(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−カーボネート(C−C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびそれらの混合物;ここで、少なくとも1つの置換基が、フォトクロミック物質のアリール基に結合している;
(iii) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、C−C18アルキルまたはC−C18ハロアルキルまたはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−C18アルキルおよびC−C18アルコキシおよび延長剤Lから選択される;
(iv) −CH(X)(X);ここで、
(1) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、C−C18アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;および
(2) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択され、ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択され:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−C18アルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシから選択される);Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C18)アルコキシもしくはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、(C−C18)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(v) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルまたはフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各アリールおよび複素芳香族基の置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(1) 延長剤L;
(2) −COOXまたは−C(O)X
(3) アリール、ハロアリール、C−C10シクロアルキルアリール、およびC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(4) C−C18アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキルオキシ(C−C18)アルキル、アリール(C−C18)アルキル、アリールオキシ(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルキル、C−C18ハロアルキル、およびモノ(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル;
(5) C−C18アルコキシ、C−C10シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C18)アルコキシ、アリール(C−C18)アルコキシ、アリールオキシ(C−C18)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルコキシ;
(6) アミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(7) −OXまたは−N(X
(8) −SX11
(9) 式iによって表わされる窒素含有環;
(10) 式iiまたはiiiによって表わされる基;
(11) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(12) 式ivまたはvによって表わされる基:
【0041】
【化5】

ここで、
(I) V’は、各式において独立に、−O−、−CH−、C−Cアルキレン、およびC−C10シクロアルキレンから選択される;
(II) Vは、各式において独立に、−O−または−N(X21)−から選択され、ここで、X21は、延長剤L、水素、C−C18アルキル、およびC−C18アシルであり、但し、Vが−N(X21)−であるとき、V’は−CH−である;
(III) X18およびX19は、それぞれ独立に、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(IV) kは、0、1および2から選択され、各X20は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される;
(13) 式viによって表わされる基:
【0042】
【化6】

ここで、
(I) X22は、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(II) X23は、延長剤L、ならびにナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基から選択され;ここで、各置換基は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、およびハロゲンから選択される;および
(14) BおよびB’は、一緒になって、下記を形成し:フルオレン−9−イリデン、モノ−またはジ−置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C−C12スピロ−単環式炭化水素環、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン;飽和C−C12スピロ−二環式炭化水素環、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン、即ち、ノルボルニリデン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン、即ち、ボルニリデン、ビシクロ[3.2.1]オクチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン;飽和C−C12スピロ−三環式炭化水素環、例えば、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプチリデン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシリデン、即ち、アダマンチリデン、およびトリシクロ[5.3.1.12,6]ドデシリデン;および延長剤L;前記フルオレン−9−イリデン置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ブロモ、フルオロおよびクロロから成る群から選択される;
(D) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IIによって表わされるとき、Qは−Nまたは−OCOOR’を含み、但し、構造式IIの前記フォトクロミック物質は5位において置換を実質的に有さず;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(E) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IIIによって表わされるとき、Qは各存在について独立に−Nまたは−OCOOR’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(F) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IVAまたはIVBによって表わされるとき、Qは各存在について独立に下記を含み:−N;または−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、前記フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)、各R’’は各存在について独立に、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルから選択されるか、または一緒になって置換または非置換シクロアルキルを形成し;Rおよびiは先に記載したのと同様である;
(G) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式Vによって表わされるとき、Qは、−N、−CN、−CCR’、または−OSOR’’’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;および
(H) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式VIによって表わされるとき、Qは、−N、−CN、−CCR’、または−OSOR’’’を含み;Eは、−O−または−N(Q)−であり;Dは、下記の構造式によって表わされ:
【0043】
【化7】

ここで、Tは、−S−、−O−または−N(R)−であり、Jは、スピロ−脂環式環であり、Qは先に記載したのと同様である]。
【0044】
フォトクロミック基が少なくとも2つのPCを含む1つの具体的な非限定的実施形態によれば、PCは、個々のPCにおける結合基置換基を介して互いに結合することができる。例えば、PCは、重合性フォトクロミック基、またはホスト物質に適合性であるように適合されたフォトクロミック基(「適合化フォトクロミック基」)、であることができる。PCを選択することができ、かつ本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態に関連して有用である、重合性フォトクロミック基の非限定的な例は、米国特許第6113814号に開示されており、それは参照により本明細書に具体的に組み入れられる。PCを選択することができ、かつ本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態に関連して有用である、適合化フォトクロミック基の非限定的な例は、米国特許第6555028号に開示されており、それは参照により特に本明細書に組み入れられる。
【0045】
他の好適なフォトクロミック基および相補的フォトクロミック基は、米国特許第6080338号、第2欄、第21行〜第14欄、第43行;第6136968号、第2欄、第43行〜第20欄、第67行;第6296785号、第2欄、第47行〜第31欄、第5行;第6348604号、第3欄、第26行〜第17欄、第15行;第6353102号、第1欄、第62行〜第11欄、第64行;および第6630597号、第2欄、第16行〜第16欄、第23行に記載されており、前記特許に開示の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0046】
他の非限定的実施形態は、少なくとも1つのフォトクロミック基に結合した前記の延長剤(L)を提供し、ここで、少なくとも1つの延長剤は、以下に列記されている(かつ、図式的に表わされている)1つの下記化合物から選択される:
【0047】
【化8】

【0048】
【化9】

【0049】
【化10】

本明細書に開示されている他の非限定的実施形態は、下記の構造式によって表わされる構造式Iのフォトクロミック化合物を提供する:
【0050】
【化11】

さらに、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によれば、式I、II、III、IVA、IVB、VおよびVIによって表わされるフォトクロミック化合物は、1つ以上の延長剤(L)を含みうる。先に記載したように、Lにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、1〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1であるものとする。本明細書に開示されている他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2であるものとする。本明細書に開示されているさらに他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3であるものとする。本明細書に開示されているさらに他の非限定的実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択でき;d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択でき、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1であるものとする。
【0051】
従って、例えば、式I、II、III、IVA、IVB、VおよびVIにおいて、「i」は少なくとも1であることができ、少なくとも1つのR基は延長剤Lであることができる。付加的にまたは代替的に、フォトクロミック化合物は、少なくとも1つのR基、少なくとも1つのB基、または延長剤Lで置換された少なくとも1つのB’基を含有することができる。例えば、本明細書において限定するものではないが、1つの非限定的実施形態において、フォトクロミック化合物は、延長剤Lでモノ置換されたフェニル基を有するB基を含有することができる。
【0052】
さらに、本明細書において限定するものではないが、本明細書において開示されている種々の非限定的実施形態によれば、延長剤(L)を、フォトクロミック基(例えば、式I、II、IIIまたはVのピラン基)に任意の利用可能位置で結合させることができ、それによって、活性化状態においてフォトクロミック基を延長または伸長させ、それによって、延長フォトクロミック基(即ち、フォトクロミック化合物)の吸収率を非延長フォトクロミック基と比較して増加させる。従って、例えば、限定するものではないが、フォトクロミック化合物が式I、II、IIIまたはVによって表わされる種々の非限定的実施形態によれば、Lを、ピラン基に直接的に結合させることができ、例えば、ここでiは少なくとも1およびRはLであり、またはそれを、例えば、R基、BまたはB’基上の置換基として、ピラン基に間接的に結合させることができ、それによって、Lは活性化状態においてピラン基を延長させ、それによって、フォトクロミック化合物の吸収率を非延長ピラン基と比較して増加させる。
【0053】
さらに、本明細書に開示され、式I、II、III、VおよびVIによって一般に表わされる、種々の非限定的実施形態によるフォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に、活性化状態において少なくとも1.5の平均吸収比を有しうる。他の非限定的実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に、活性化状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の平均吸収比を有しうる。さらに他の非限定的実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に、活性化状態において、1.5〜50の平均吸収比を有しうる。
【0054】
L基を有する本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によるフォトクロミック化合物を形成する反応順序は、米国特許第7342112号における反応順序A〜J、K、M、N、P、Q、Tに開示されており、その開示の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0055】
式I、II、III、IVA、IVB、VおよびVIによって表わされるフォトクロミック化合物を調製する一般的反応式が、図2に示されている。構造番号1で示されているヒドロキシル基を有するフォトクロミック化合物、または図示されているトリフレートまたは同位置にハロゲンを有する構造番号2のフォトクロミック化合物で開始して、−OSOR’’’、−CN、−COOR’、−OCOR’、OCOOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’および−CON(R’)R’のQ基をそれぞれ有する構造番号3、5、6、7、8、9、10および11のフォトクロミック化合物を調製することができる。実施例1、2、3および5は、図2の一般的反応式に従って調製した。
【0056】
下記の略語を、反応式および下記の実施例に記載されている化学物質に使用した:
DHP − 3,4−ジヒドロ−2H−ピラン
DCC − ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP − 4−ジメチルアミノピリジン
PPTS − ピリジンp−トルエンスルホネート
pTSA − p−トルエンスルホン酸
NMP − N−メチルピロリドン
THF − テトラヒドロフラン
KMnO − 過マンガン酸カリウム
MeLi − メチルリチウム
ppTs − ピリジニウムp−トルエンスルホネート
(Tf)O − トリフルオロメタンスルホン酸無水物
Dppf − 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
Pd(dba) − トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
DIBAL − ジイソブチルアルミニウムヒドリド
t−BuOH − t−ブタノール
HOAc − 酢酸
PdCl(PPh − ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド
Cul − ヨウ化銅
PPh − トリフェニルホスフィン
(iPr)NH − ジイソプロピルアミン
EtMgBr − エチルマグネシウムブロミド
Zn(OAc) − 酢酸亜鉛
Zn(CN) − シアン化亜鉛
式I、II、III、IVA、IVBおよびVによって表わされるフォトクロミック化合物を調製するための、Q置換ナフトールおよびQ置換フェノール中間体を生成する他の一般的反応式が、図3および図4に示されている。図3における構造番号12のナフトールまたはフェノール(その1つの例は、実施例4の段階1〜3に従って調製できる)で開始して、−N、−CCR’、−CR’C(R’)R’、−COOR’、−CON(R’)R’のQ基をそれぞれ有する構造番号13、14、15、19および21のナフトールを調製することができる。図4における構造番号12のナフトールまたはフェノールで開始して、−CN、−SR’、−OSOR’’’、−OCOOR’、および−OCOR’のQ基をそれぞれ有する構造番号22、24、28、29および30のナフトールを調製することができる。図3および図4の反応式において調製されるQ置換ナフトールおよびQ置換フェノール中間体は、適切なプロパルギルアルコールとのカップリング反応に使用することができ、これは当業者に既知であり、かつ米国特許第5429774号の反応Cにおけるベンゾピランについて、および米国特許第5458814号の反応Eにおけるナフトピランについて、および米国特許第7262295号の反応Gにおけるインデノナフトピランについて記載されており、これらの反応の開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。実施例4、6および7は、図3および図4の一般的反応式に従って調製した。
【0057】
他の非限定的実施形態は、下記から選択されるフォトクロミック化合物、を提供する:
(a) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(b) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−シアノ−3H,13H−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(c) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン−4−イル)−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(d) 2−フェニル−2−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−8−シアノ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(e) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−ビニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(f) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエトキシカルボニル−6−メチル−8−ヒドロキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;および
(g) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト−[1,2−b]ピラン。
【0058】
本発明によって、1つの下記構造式によって表わされるナフトールも提供する:
【0059】
【化12】

[式中、
(A) 各置換基Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルケンまたは非置換もしくは置換アルキン基を含み、ここで、前記置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜利用可能位置の総数から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 水素、C−C18アルキル、C−C18アルキリデン、C−C18アルキリジン、ビニル、C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシでモノ置換されている);
(b) 下記から選択される少なくとも1つの置換基でパラ位置においてモノ置換されたフェニル:C−C18アルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C20アルキレン、直鎖または分岐鎖C−Cポリオキシアルキレン、環状C−C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C−C18アルキル置換フェニレン、モノ−またはポリ−ウレタン(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−エステル(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−カーボネート(C−C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびそれらの混合物;ここで、少なくとも1つの置換基が、フォトクロミック物質のアリール基に結合している;
(c) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、C−C18アルキルまたはC−C18ハロアルキルまたはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、延長剤LおよびC−C18アルコキシから選択される;
(d) −CH(X)(X);ここで、
(i) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、C−C18アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;および
(ii) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択される;
ここで、
(A) Xは、少なくとも1つの下記から選択される:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−C18アルキルでモノ−またはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシから選択される);および
(B) Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C18)アルコキシまたはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、(C−C18)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(e) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルおよびフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各アリールおよび複素芳香族基の置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(i) 延長剤L;
(ii) −COOXまたは−C(O)X;ここで、Xは、下記の少なくとも一つから選択される:延長剤L、水素、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−C18アルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;
(iii) アリール、ハロアリール、C−C10シクロアルキルアリール、およびC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(iv) C−C18アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキルオキシ(C−C18)アルキル、アリール(C−C18)アルキル、アリールオキシ(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルキル、C−C18ハロアルキル、およびモノ(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル;
(v) C−C18アルコキシ、C−C10シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C18)アルコキシ、アリール(C−C18)アルコキシ、アリールオキシ(C−C18)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルコキシ;
(vi) アミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、アミノ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(vii) −OXまたは−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(A) 延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18アシル、フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルキル置換フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルコキシ置換フェニル(C−C18)アルキル;C−C18アルコキシ(C−C18)アルキル;C−C10シクロアルキル;モノ(C18)アルキル置換C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、前記ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(B) −CH(X)X;ここで、Xは、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択され、Xは、延長剤L、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択される;
(C) −C(O)X;または
(D) トリ(C−C18)アルキルシリル、トリ(C−C18)アルキルシリルオキシ、トリ(C−C18)アルコキシシリル、トリ(C−C18)アルコキシシリルオキシ、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリル、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリルオキシ、ジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリル、またはジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリルオキシ;
(viii) SX11;ここで、X11は、延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシもしくはハロゲンでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基;
(ix) 式iによって表わされる窒素含有環:
【0060】
【化13】

ここで、
(A) nは、0、1、2および3から選択される整数であり、但し、nが0であるとき、U’はUであり、各Uは、各存在について独立に、−CH−、−CH(X12)、−C(X12、−CH(X13)−、−C(X13−および−C(X12)(X13)−から選択され、ここで、X12は、延長剤LおよびC−C18アルキルから選択され、X13は、延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択される;および
(B) U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、mは1、2および3から選択される整数である;および
(x) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
【0061】
【化14】

ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、あるいはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシまたはハロゲンから選択される;
(f) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(g) 式ivまたはvによって表わされる基:
【0062】
【化15】

ここで、
(i) V’は、各式において独立に、−O−、−CH−、C−Cアルキレン、およびC−C10シクロアルキレンから選択される;
(ii) Vは、各式において独立に、−O−または−N(X21)−から選択され、ここで、X21は、前記の式Iによって表わされる延長剤L、水素、C−C18アルキル、およびC−C18アシルから選択され、但し、Vが−N(X21)−であるとき、V’は−CH−である;
(iii) X18およびX19は、それぞれ独立に、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(iv) kは、0、1および2から選択され、各X20は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される;
(h) 式viによって表わされる基:
【0063】
【化16】

(i) X22は、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(ii) X23は、延長剤L、ならびにアリール、フラニルおよびチエニルから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基から選択され;ここで、各置換基は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、およびハロゲンから選択される;
(i) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:延長剤L、ヒドロキシ、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−C18アルキル、アリールおよびベンジルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ;
(j) −COOX
(k) −OXおよび−N(X
(l) −SX11
(m) 式iによって表わされる窒素含有環;
(n) 1つの式iiまたはiiiによって表わされる基;
(o) 下記によって表わされる延長剤L:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P;
ここで、
(i) 各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択される:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である;
(ii) c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択され;各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−;ここで、gは各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16(両端の数字を含む)の自然数である;
(2) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合;ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(3) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、または直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基;前記C−C24アルキレン残基は、非置換、またはシアノもしくはハロによるモノ置換、またはハロによるポリ置換であり;但し、ヘテロ原子を含有する2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している;
(iii) Pは下記から選択される:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキル、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキル、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキレン、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノ−カルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換もしくは非置換キラルもしくは非キラル一価もしくは二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);または、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である;および
(iv) d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択され、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である;
(p) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
【0064】
【化17】

ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−、−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17は、前記の通りである;および
(iii) qは、0、1、2、3および4から選択される整数である;および
(C) 基Aは、インデノ、チオフェノ、ベンゾチオフェノ、フロまたはベンゾフロを表わす]。
【0065】
本発明の特定の実施形態において、ナフトールは、1つの下記構造式によって表わしうる:
【0066】
【化18】

[式中、各置換基Qは、独立に、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を含み、R’’’は、−CF、または2〜12個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含み、基Aはインデノである]。
【0067】
他の特定の実施形態において、ナフトールは、下記の構造式によって表わしうる:
【0068】
【化19】

本発明のナフトールを調製するための他の反応式が、図5および図6に示されている。両反応式において、Qに変換することができる基Q’が使用されている。Q’の例は、アルコキシおよびハロゲン基を包含する。Q’のQへの変換は、ナフトールまたはフォトクロミック化合物段階で行ないうる。実施例4において、Q’はナフトール段階でQに変換され、実施例1において、Q’はフォトクロミック化合物段階でQに変換される。図5は、置換インデノ縮合ナフトールがどのように調製されるかを示している。合成順序は、所定位置に所望の置換基(Q’およびR’)を有する構造番号31のベンゾフェノンから開始する。そのような物質は、市販されているかまたは当業者に既知の方法によって調製される。カリウムt−ブトキシドの存在下の構造番号31とコハク酸ジメチルとのシュトッベ反応は、構造番号32の縮合生成物を与え、該生成物は、無水酢酸中で容易に閉環反応を受けて、構造番号33のナフトールを生成する。該ナフトールを、種々の多段階反応によって、架橋炭素上に種々の置換基を有する構造番号34のインデノ縮合ナフトールにさらに変換することができ、該多段階反応は下記に見出すことができる:米国特許第5645767号、第5869658号、第5698141号、第5723072号、第5961892号、第6113814号、第5955520号、第6555028号、第6296785号、第6555028号、第6683709号、第6660727号、第6736998号、第7008568号、第7166357号、第7262295号、および第7320826号(これらの特許は、参照により本明細書に組み入れられる)。
【0069】
図6は、図5で行なわれているのと同様の方法での、Q’置換ナフトールの調製方法を示している。構造番号35のケトンで開始して、カリウムt−ブトキシドの存在下の構造番号35とコハク酸ジメチルとのシュトッベ反応は、構造番号36の縮合生成物を与え、該生成物は無水酢酸中で容易に閉環反応を受けて構造番号37の化合物を生成し、該化合物が構造番号38のナフトールにさらに変換される。種々の位置にQ’置換基を有するナフトールは、当業者に既知の方法を使用して調製することができる。
【0070】
本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態による熱可逆性フォトクロミック化合物を種々の用途に使用して、フォトクロミックおよび/またはフォトクロミック−ダイクロイック特性を与えることができる。
【0071】
1つの非限定的実施形態は、有機ホスト物質、および該有機ホスト物質の少なくとも一部に接合した本発明のフォトクロミック組成物を含むフォトクロミック物品を提供する。本明細書において使用される「に接合した」という用語は、対象との直接接触、または1つ以上の他の構造または物質(それらの少なくとも1つが、対象と直接接触している)を介した対象との間接接触を意味する。さらに、この非限定的実施形態によれば、ホスト物質への組込みによって、またはホスト物質上への適用によって、例えばコーティングまたは層の一部として、フォトクロミック化合物を該ホストの少なくとも一部に接合させることができる。フォトクロミック化合物に加えて、フォトクロミック組成物は、下記から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含有しうる:色素、整列促進剤、動力学的促進添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合防止剤、溶剤、光安定剤、熱安定剤、離型剤、流動性調整剤、均染剤、フリーラジカルスカベンジャー、ゲル化剤、および定着剤。
【0072】
本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態に関連して使用しうる有機ホスト物質の非限定的な例は、下記のポリマー物質を包含する:モノマーおよびモノマー混合物(それらは、米国特許第5962617号、および米国特許第5658501号、第15欄、第28行〜第16欄、第17行に開示されており、これらの米国特許の開示内容は参照により本明細書に特に組み入れられる)から調製されるポリマー物質、例えばホモポリマーおよびコポリマー、オリゴマー物質、モノマー物質、またはそれらの混合物または組合せを包含する。ポリマー物質は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー物質であることができ、透明または光学的明澄であることができ、必要とされる任意の屈折率を有することができる。そのような開示モノマーおよびポリマーの非限定的な例は、下記を包含する:ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えばアリルジグリコールカーボネート、例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(該モノマーは商標CR−39でPPG Industries,Inc.によって販売されている;ポリウレア−ポリウレタン(ポリウレア−ウレタン)ポリマー(該ポリマーは、例えば、ポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤の反応によって調製され、1つのそのようなポリマー用の組成物が、商標TRIVEXでPPG Industries,Inc.によって販売されている);ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(ビニルアセテート);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(ビニルクロリド);ポリ(ビニリデンクロリド);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート、例えば、ビスフェノールAおよびホスゲンから誘導されたカーボネート結合樹脂(1つのそのような物質が、商標LEXANで販売されている);ポリエステル、例えば、商標MYLARで販売されている物質;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メチルメタクリレート)、例えば、商標PLEXIGLASで販売されている物質;および多官能性イソシアネートとポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応によって調製されるポリマー(ホモ重合されているか、またはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび場合によりエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族化合物含有ビニルモノマーと共重合および/または三元重合されている)。さらに、そのようなモノマーのコポリマー、および前記ポリマーおよびコポリマーと他のポリマーとのブレンドも、例えば、ブロックコポリマーまたは相互貫入ネットワーク生成物を生成するために、考えられる。
【0073】
1つの具体的な非限定的実施形態によれば、有機ホスト物質が下記から選択される:ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(C−C12)アルキルメタクリレート、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシル化フェノールメタクリレート)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール、および下記から成る群のメンバーのポリマー:ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、一官能価アクリレートモノマー、一官能価メタクリレートモノマー、多官能価アクリレートモノマー、多官能価メタクリレートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシル化多価アルコールモノマー、およびジアリリデンペンタエリトリトールモノマー。
【0074】
他の具体的な非限定的実施形態において、有機ホスト物質は、下記から選択されるモノマーの、ホモポリマーまたはコポリマーである:アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチレングリコールビスメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルブチラール、ウレタン、チオウレタン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、およびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート。ポリマー物質は、ほとんどの場合、下記を含む:自己集合化物質、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリ(アリルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリアルケン、ポリアルキレン−ビニルアセテート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、および/またはそれらの混合物。
【0075】
さらに、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態によれば、有機ホスト物質は、光学エレメントまたはその一部を形成することができる。光学エレメントの非限定的な例は、眼科用エレメント、表示エレメント、ウィンドー、およびミラーを包含する。本明細書において使用される「光学」という用語は、光および/または視覚に関係するかまたは付随することを意味する。例えば、本明細書において限定するものではないが、種々の非限定的実施形態によれば、光学エレメントまたはデバイスは、眼科用エレメントおよびデバイス、表示エレメントおよびデバイス、ウィンドー、ミラー、パッキング材料、ならびに能動的および受動的液晶セルエレメントおよびデバイスから選択できる。
【0076】
本明細書において使用される「眼科用」という用語は、眼および視覚に関係しているかまたは付随していることを意味する。眼科用エレメントの非限定的な例は、下記を包含する:セグメント化または非セグメント化マルチビジョンレンズ(例えば、限定するものではないが、バイフォーカルレンズ、トライフォーカルレンズ、およびプログレッシブレンズ)であってよい単焦点または多焦点レンズを包含する矯正および非矯正レンズ、ならびに、視覚を矯正、保護または強化する(美容的またはその他)ために使用される他のエレメント(コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、および保護レンズまたはバイザーを包含するが、それらに限定されない)。本明細書において使用される「表示」という用語は、言葉、数字、記号、デザインまたは図形における、情報の、可視のまたは機械読取可能な表示を意味する。表示エレメントおよびデバイスの非限定的な例は、下記を包含する:スクリーン、モニター、およびセキュリティエレメント(限定するものではないが、セキュリティマークおよび認証マークを包含する)。本明細書において使用される「ウィンドー」という用語は、放射線の透過を可能にするように適合させたアパーチャを意味する。ウィンドーの非限定的な例は、自動車および航空機のトランスペアレンシー、フィルター、シャッターおよび光学スイッチを包含する。本明細書において使用される「ミラー」という用語は、入射光の大部分を鏡面反射する面を意味する。
【0077】
例えば、1つの非限定的実施形態において、有機ホスト物質は眼科用エレメントであり、特に眼科用レンズである。
【0078】
さらに、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物は、単独で、または300nm〜1000nm(両端の数値を含む)の範囲内の少なくとも1つの活性化吸収極大を有する少なくとも1つの他の相補的有機フォトクロミック化合物(または同様物を含有する物質)と共に、使用することができると考えられる。例えば、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物を、少なくとも1つの他の従来の有機フォトクロミック化合物と組み合わして、該フォトクロミック化合物組合せが、活性化された際に、所望の色相を示すようにしうる。好適な従来の有機フォトクロミック化合物の非限定的な例は、前記のフォトクロミックピラン、オキサジンおよびフルギドを包含する。他の相補的フォトクロミック化合物は、例えば、以下に記載するピラン、オキサジン、フルギドおよびフルギミドを包含する。
【0079】
熱可逆性相補的フォトクロミックピランの非限定的な例は、下記を包含する:ベンゾピラン、ナフトピラン、例えば、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、インデノ縮合ナフトピラン(例えば、米国特許第5645767号に開示されている)、および複素環式縮合ナフトピラン(例えば、米国特許第5723072号、第5698141号、第6153126号および第6022497号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる);スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン;フェナントロピラン;キノピラン;フルオロアンテノピラン;スピロピラン、例えば、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン、およびスピロ(インドリン)ピラン。ナフトピランおよび相補的有機フォトクロミック物質のより具体的な例が、米国特許第5658501号に記載されており、これらは参照により本明細書に具体的に組み入れられる。スピロ(インドリン)ピランも、テキストTechniques in Chemistry、第III巻、「Photochromism」、第3章、Glenn H.Brown編集、John Wiley and Sons,Inc,New York,1971に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0080】
熱可逆性相補的フォトクロミックオキサジンの非限定的な例は、下記を包含する:ベンズオキサジン、ナフトキサジン、およびスピロ−オキサジン、例えば、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンズオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾオキサジン、スピロ(インドリン)フルオランテノキサジン、およびスピロ(インドリン)キノキサジン。
【0081】
さらに、熱可逆性相補的フォトクロミックフルギドの非限定的な例は、下記を包含する:フルギミド、および3−フリルおよび3−チエニルフルギドよびフルギミド(これらは米国特許第4931220号に開示されており、これらは参照により本明細書に具体的に特に組み入れられる)、および任意の前記フォトクロミック物質/化合物の混合物。
【0082】
例えば、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物は、単独で、または他の従来の有機フォトクロミック化合物(前記)と共に、下記の量または比率で使用できると考えられる:フォトクロミック化合物が中に組み入れられるか、または有機ホスト物質が上に適用される、有機ホスト物質が、活性化または「退色」状態において、所望される1つまたは複数の色を示すことができるような量または比率。従って、使用されるフォトクロミック化合物の量は、所望のフォトクロミック効果を生じるのに充分な量が存在することを条件として、重要ではない。本明細書において使用される「フォトクロミック量」は、所望のフォトクロミック効果を生じるのに必要とされるフォトクロミック化合物の量を意味する。
【0083】
他の非限定的実施形態は、フォトクロミック物品を提供し、該物品は、基材、および、該基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に接合した、フォトクロミック量の本発明フォトクロミック化合物を含有するコーティング組成物の少なくとも部分的なコーティングを含む。さらに、本明細書において限定するものではないが、少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部を、少なくとも部分的に硬化させることができる。本明細書において使用される「硬化」という用語は、所望の配向において固定することを意味する。
【0084】
例えば、前記の非限定的実施形態によれば、コーティング組成物は、ポリマーコーティング組成物、塗料およびインキから選択できるが、それらに限定されない。さらに、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物に加えて、種々の非限定的実施形態によるコーティング組成物は、300nm〜1000nm(両端の数値を含む)の範囲内の少なくとも1つの活性化吸収極大を有する少なくとも1つの他の従来有機フォトクロミック化合物をさらに含有することができる。
【0085】
フォトクロミック量のフォトクロミック化合物を含有するコーティング組成物を適用することができる好適な基材の非限定的な例は、ガラス、メーソンリ、布地、セラミックス、金属、木材、紙およびポリマー有機物質を包含する。好適なポリマー有機物質の非限定的な例は、前記に示されている。
【0086】
さらに他の非限定的実施形態は、光学エレメントを提供し、該光学エレメントは、基材、および該基材の少なくとも一部に接合した、少なくとも1つの本発明フォトクロミック化合物を含有する少なくとも部分的なコーティングを含む。光学エレメントの非限定的な例は、眼科用エレメント、表示エレメント、ウィンドー、およびミラーを包含する。例えば、非限定的実施形態によれば、光学エレメントは眼科用エレメントであり、基材は、矯正および非矯正レンズ、部分成形レンズおよびレンズブランクから選択される眼科用基材である。
【0087】
本明細書において限定するものではないが、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態による光学エレメントは、所望の光学特性、例えば、限定されないが、フォトクロミック特性およびダイクロイック特性を得るのに必要な任意量のフォトクロミック化合物を含有することができる。
【0088】
前記の非限定的実施形態と共に使用するのに好適な基材の、他の非限定的な例は、非着色基材、着色基材、フォトクロミック基材、着色−フォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材および反射基材を包含する。基材に関して本明細書において使用される「非着色」という用語は、着色剤添加剤(例えば、限定するものではないが、従来の色素)を本質的に有さず、かつ化学線に応答して有意に変化しない可視光線の吸収スペクトルを有する、基材を意味する。さらに、基材に関して、「着色」という用語は、着色剤添加剤(例えば、限定するものではないが、従来の色素)、および化学線に応答して有意に変化しない可視光線の吸収スペクトル、を有する基材を意味する。
【0089】
基材に関して本明細書において使用される「直線偏光」という用語は、放射線を直線偏光する(即ち、光波の電気ベクトルの振動を1つの方向に限定する)ように適合された基材を意味する。基材に関して本明細書において使用される「円偏光」という用語は、放射線を円偏光するように適合された基材を意味する。基材に関して本明細書において使用される「楕円偏光」という用語は、放射線を楕円偏光するように適合された基材を意味する。基材に関して本明細書において使用される「フォトクロミック」という用語は、少なくとも化学線に応答して変化し、かつ熱可逆性である可視光線の吸収スペクトルを有する基材を意味する。さらに、基材に関して本明細書において使用される「着色フォトクロミック」という用語は、着色剤添加剤ならびにフォトクロミック化合物を含有し、少なくとも化学線に応答して変化し、熱可逆性である可視光線の吸収スペクトルを有する基材を意味する。従って、例えば、1つの非限定的実施形態において、着色フォトクロミック基材は、着色剤に特徴的な第一の色、および化学線に暴露された際の、着色剤およびフォトクロミック化合物の組み合わせに特徴的な第二の色を有しうる。
【0090】
1つの具体的な非限定的実施形態は、光学エレメントを提供し、該光学エレメントは、基材、および該基材の少なくとも一部に接合した、少なくとも1つの本発明フォトクロミック化合物を含有する少なくとも部分的なコーティングを含む。さらに、この非限定的実施形態によれば、少なくとも1つの熱可逆性フォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に活性化状態において2.3より高い平均吸収比を有するフォトクロミック−ダイクロイック化合物であることができる。
【0091】
前記のように、本明細書に開示されている種々の非限定的実施形態による光学エレメントは、表示エレメント、例えば、スクリーン、モニター、およびセキュリティエレメントであることができるが、それらに限定されない。例えば、1つの非限定的実施形態は、表示エレメントを提供し、該表示エレメントは、下記を含む:第一表面を有する第一基材、第二表面を有する第二基材(ここで、第二基材の第二表面は、第一基材の第一表面に向き合い、間隔をあけ、それによって隙間を規定している);および液体物質であって、第一基材の第一表面および第二基材の第二表面によって規定された隙間内に配置された少なくとも1つの本発明フォトクロミック化合物を含有する液体物質。さらに、少なくとも1つのフォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に活性化状態において2.3より高い平均吸収比を有するフォトクロミック−ダイクロイック化合物であることができる。
【0092】
さらに、この非限定的実施形態によれば、第一および第二基材は、独立に、下記から選択することができる:非着色基材、着色基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材および反射基材。
【0093】
他の非限定的実施形態は、セキュリティエレメントを提供し、該セキュリティエレメントは、基材、および該基材の少なくとも一部に接合した、少なくとも1つの本発明フォトクロミック化合物を含む。セキュリティエレメントの非限定的な例は、下記:アクセスカードおよびパス、例えば、チケット、バッジ、身分証明書または会員証、デビッドカード等;流通証券および非流通証券、例えば、為替手形、小切手、債券、約束手形、預金証書、株券等;公文書、例えば、通貨、許可書、身分証明書、給付書、ビザ、パスポート、公式認定書、証書等;消費者物品、例えば、ソフトウエア、コンパクトディスク(「CD」)、デジタルビデオディスク(「DVD」)、家庭電化器具、大衆消費電子製品、スポーツ用具、自動車等;クレジットカード;および商品タグ、ラベルおよび包装等、基材の少なくとも一部に接合したセキュリティマークおよび認証マークを包含する。
【0094】
本明細書において限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、セキュリティエレメントは、透明基材および反射基材から選択される基材の少なくとも一部に接合させることができる。または、反射基材が必要とされる特定の非限定的実施形態によれば、基材が意図する用途に対して反射性でないかまたは充分に反射性でない場合、セキュリティマークを基材に適用する前に、基材の少なくとも一部に反射性物質を先ず適用することができる。例えば、セキュリティエレメントを基材上に形成する前に、基材の少なくとも一部に反射性アルミニウムコーティングを適用することができる。さらに、セキュリティエレメントを、下記から選択される基材の少なくとも一部に接合させることもできる:非着色基材、着色基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材および楕円偏光基材。
【0095】
さらに、前記の非限定的実施形態によれば、少なくとも1つのフォトクロミック化合物は、セル法によって測定した場合に活性化状態において2.3より高い平均吸収比を有する熱可逆性フォトクロミック−ダイクロイック化合物であることができる。
【0096】
さらに、前記の非限定的実施形態によるセキュリティエレメントは、米国特許第6641874号(これは参照により本明細書に具体的に特に組み入れられる)に記載されている視角依存性の特性を有する多層反射性セキュリティエレメントを形成するために、1つ以上の他のコーティングまたはシートをさらに含むことができる。
【0097】
前記のフォトクロミック物品および光学エレメントは、当業者に既知の方法によって調製することができる。本明細書において限定するものではないが、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物を、ホスト材料に組み込むかまたはホストまたは基材上に適用する(例えばコーティングの形態で)ことによって、基材またはホストに接合させることができると考えられる。
【0098】
例えば、フォトクロミック−ダイクロイック化合物は、下記によって、有機ホスト物質に組み込むことができる:ホスト物質へのフォトクロミック化合物の溶解または分散、例えば、重合前にモノマーホスト物質にフォトクロミック化合物を添加することによる所定位置へのそれのキャスティング、フォトクロミック化合物の熱溶液へのホスト物質の浸漬によるかまたは熱移動によるホスト物質へのフォトクロミック化合物の吸収。本明細書において使用される「吸収」という用語は、ホスト物質へのフォトクロミック化合物単独の浸透、多孔質ポリマーへのフォトクロミック化合物の溶媒補助移動、気相移動、および他のそのような移動法を包含する。
【0099】
さらに、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物は、有機ホスト物質または他の基材に、コーティング組成物(前記)の一部として、またはフォトクロミック化合物を含有するシートとして、適用することができる。本明細書において使用される「コーティング」という用語は、流動性組成物から得られた裏付フィルムを意味し、これは均一な厚さを有しても有さなくてもよい。本明細書において使用される「シート」という用語は、ほぼ均一な厚さを有し、自立することができる事前形成フィルムを意味する。
【0100】
本明細書に開示されているフォトクロミック化合物を含有するコーティング組成物を適用する非限定的方法は、コーティングの適用に関して当分野で既知の方法、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、スプレーおよびスピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、射出成形、キャスティング、ロールコーティング、ワイヤーコーティングおよびオーバーモールディングを包含する。1つの非限定的実施形態によれば、フォトクロミック化合物を含有するコーティングを、型に適用し、コーティングの上に基材を形成する(即ち、オーバーモールディング)。付加的にまたは選択的に、フォトクロミック化合物を含有しないコーティング組成物を、前記の方法のいずれかを使用して基材または有機ホスト物質に先ず適用し、次に、前記のようにフォトクロミック化合物と共に吸収させることができる。
【0101】
本明細書に開示されているフォトクロミック化合物を含有するシートを基材に適用する非限定的方法は、例えば、少なくとも1つの下記方法を含む:ポリマーシートを基材の少なくとも一部へのポリマーシートの貼合わせ、融着、型内キャスティング、および接着。本明細書において使用される「型内キャスティング」は、下記のような種々のキャスティング法を包含するが、それらに限定されない:オーバーモールディング、これにおいて、シートを型に入れ、基材の少なくとも一部の上に基材を形成する(例えばキャスティングによる);および射出成形、これにおいて、基材をシートのまわりに形成する。さらに、シートを基材に適用する前またはその後に、フォトクロミック化合物をシートにコーティングとして適用することができ、吸収または他の好適な方法によってシートに組み込むことができると考えられる。
【0102】
さらに、前記のように、本明細書に開示されているフォトクロミック化合物は、単独で、または少なくとも1つの他の従来有機フォトクロミック化合物と組み合わして、組み込むかまたは適用することができ、これも前記のようにホスト物質および基材に適用するかまたは組み込むことができる。下記のコーティングを包含する付加的コーティングを、フォトクロミック物品に適用しうる:他のフォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、遷移性コーティング、配向層、下塗り、接着性コーティング、ミラーコーティングおよび保護コーティング(防曇コーティング、酸素遮断コーティングおよび紫外線吸収コーティングを包含する)。
【0103】
次に、本明細書に開示されている種々の実施形態を、下記の非限定的実施例において例示する。
【実施例】
【0104】
パートI:調製例
(実施例1)
段階1
2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オール(100.17グラム(g)、0.31モル(mol))、2,6−ジメチルピペリジン(38.93g、0.344mol)、テトラヒドロフラン(THF)(400ミリリットル(mL))およびトルエン(400mL)を、添加漏斗および凝縮器を取り付けた反応フラスコに添加した。得られた混合物を撹拌した。凝縮器を大気に開放して、エチルマグネシウムブロミド(240mLのヘキサン中3モーラーの溶液)をゆっくり添加した。添加後、約300mLの溶媒を留去し、凝縮器を経て窒素を適用した。残留混合物を約16時間還流した。次に、混合物を、3Lの水を含有するビーカーに注いだ。12N塩酸(HCl)を使用して、pHを約3に調整した。水をデカントし、得られた油状混合物を酢酸エチルに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。塩化メチレンを混合物に添加して、生成物を結晶化した。生成物を真空濾過によって収集し、真空デシケーターで乾燥して、57gのオフホワイト色の結晶を得た。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、回収生成物が7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールと一致する構造を有することを示した。
【0105】
段階2
4−フルオロベンゾフェノン(44.6g)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(200mL)を、窒素下に反応フラスコに添加した。1−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン(94g)を添加し、その懸濁液を160℃に加熱した。2時間後、熱を除去し、混合物を4リットルの水に注いだ。沈殿物を真空濾過によって収集し、アセトンで洗浄し、真空乾燥した。NMRデータは、白色固形物として回収した得られた生成物(81.5g)が、4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)ベンゾフェノンと一致する構造を有することを示した。
【0106】
段階3
段階2の生成物4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)ベンゾフェノン(80.6g)、およびジメチルホルムアミド(DMF)(750mL、アセチレンで飽和)を、反応フラスコに添加した。ナトリウムアセチリド懸濁液(121gのトルエン中18wt%のスラリー;Aldrichから入手)を、撹拌しながらその混合物に添加した。30分後、反応物を、脱イオン水(2L)およびヘキサン(500mL)の撹拌混合物に注いだ。形成された固形物を真空濾過によって収集し、真空乾燥した。NMRスペクトルは、オフホワイトの粉末の最終生成物(85g)が、1−フェニル−1−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロパ−2−イン−1−オールと一致する構造を有することを示した。
【0107】
段階4
段階1の生成物7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオール(1.93g、6.3ミリモル(mmol))、および段階3の生成物1−フェニル−1−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロパ−2−イン−1−オール(2.76g、6.9mmol)、トリメチルオルトホルメート(1.47g、13.9mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.08g、0.3mmol)およびクロロホルム(40mL)を、反応フラスコに添加し、撹拌し、6時間還流した。得られた生成物を、室温(約23℃)で12時間撹拌した。次に、生成物が泡立ち始めるまで、その溶液をより少ない量に濃縮した。メタノール(250mL)を添加して、生成物を沈殿させた。真空濾過後に、黒色固形物(4.1g)を得た。回収生成物を、NMRによって、3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシル−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有するものとして同定した。
【0108】
段階5
段階4の生成物3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(3.1g、4.5mmol)、およびピリジン(30mL)を、0℃で反応フラスコに添加し、撹拌し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.53g、4.5mmol)を一度に添加した。得られた反応を室温で4時間撹拌し、次に、水(500mL)を含有するビーカーに注いだ。沈殿した生成物を真空濾過によって収集した。それをクロロホルムに溶解し、次に、メタノールから沈殿させた。NMRスペクトルは、回収生成物(3.3g)、緑色固形物が、3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有することを示した。
【0109】
(実施例2)
実施例1の生成物3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(11.37g、13.9mmol)、シアン化亜鉛(1.71g、14.6mmol)、酢酸亜鉛(0.1g、0.56mmol)、亜鉛(0.036g、0.56mmol)、ジメチルホルムアミド(DMF)(40mL)、脱イオン水(0.4mL)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.02g、0.035mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.013g、0.014mmol)を、反応フラスコに添加し、脱気し、窒素の保護下に撹拌した。反応フラスコを、90〜100℃の温度に保った油浴に維持した。12時間後、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.05g)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.032g)を添加した。さらに24時間後、反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、Fisher Scientificから入手可能なグレード60、230〜400メッシュのシリカゲルで濾過し、濃縮した。得られた生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1/4の容量比の酢酸エチル/ヘキサンを使用)によって精製した。緑色固形物(5.6g)を生成物として回収した。NMRスペクトルは、生成物が、3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−シアノ−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有することを示した。
【0110】
(実施例3)
実施例1の生成物3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(1.71g、2.1mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.26g、3.1mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.015g、0.02mmol)、ヨウ化銅(I)(8mg、0.04mmol)、トリフェニルホスフィン(22mg、0.08mmol)およびジイソプロピルアミン(10mL)を、反応フラスコに添加し、脱気し、乾燥窒素によって保護し、70〜80℃で約12時間撹拌した。反応混合物を冷水(100m)に注ぎ、得られた沈殿物を収集した。次に、得られた生成物をフラッシュクロマトグラフィー(3/7の容量比の酢酸エチル/ヘキサンを使用)によって精製した。緑色固形物(1.18g)を生成物として回収した。NMRスペクトルは、生成物が、3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン−4−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有することを示した。
【0111】
(実施例4)
段階1
3’−ブロモアセトフェノン(200.0g、1mol)、コハク酸ジメチル(190g、1.3mmol)およびトルエン(800mL)を、3Lのフラスコに添加し、窒素下に磁気撹拌機に配置した。カリウムt−ブトキシド(123g、1.1mol)を1時間にわたって添加した。温度を40℃未満に調節した。1時間後、得られた反応混合物を1Lの水に注ぎ、15分間撹拌した。層を分離し、水性層を撹拌しながらpH4に酸性化した。酢酸エチル(500mL)を撹拌混合物に添加し、15分後に相を分離した。溶媒を回転蒸発器によって蒸発し、得られた生成物を半透明褐色油状物として分離した。その油状物を精製せずに次の段階に直接使用した。
【0112】
段階2
段階1の生成物(220g、0.7mol)を含有する2Lのフラスコに、無水酢酸(300mL)を添加した。その溶液を窒素下に100℃に加熱した。4時間後、得られた反応物を褐色油状物に濃縮した。その油状物を塩化メチレンに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた油状物を、エーテルから結晶化した(34gの結晶を得た)。残留粗油状物(102g)を次の段階に使用した。
【0113】
段階3
段階2の粗油状物(102g)を含有する1Lのフラスコに、メタノール(300mL)を添加した。濃HCl(1mL)を添加し、溶液を還流温度に加熱し、その温度で4時間維持した。さらに濃HCl(1mL)を添加し、反応混合物をさらに4時間還流した。次に、反応混合物を油状物に濃縮した。粗生成物を、アセトニトリルおよびt−ブチルメチルエーテルからの結晶化によって精製した。白色固形物を生成物(40g)として得、これを、NMRによって、6−ブロモ−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステルと一致する構造を有するものとして同定した。
【0114】
段階4
6−ブロモ−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステル(5g、17mmol)、シアン化亜鉛(2.2g、19mmol)、酢酸亜鉛(0.13g、0.7mmol)、亜鉛(0.046g、0.7mmol)、DMF(100mL)、水(1mL)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.047g、0.085mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.031g、0.034mmol)の混合物を、反応フラスコに添加し、脱気し、窒素の保護下に撹拌した。反応混合物を70℃に加熱した。24時間後、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノセン(0.5g)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.03g)を添加し、反応を同条件下に15時間維持した。得られた懸濁液を真空濾過して、亜鉛を除去した。その溶液を200mLの水に注ぎ、15分間撹拌した。固体生成物を真空濾過によって収集し、酢酸エチルから再結晶した。回収生成物、1.1gの黄白色結晶を、NMRによって、6−シアノ−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステルと一致する構造を有するものとして同定した。
【0115】
段階5
段階4の生成物6−シアノ−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステル(1g、4mmol)、実施例1の段階3の生成物1−フェニル−1−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロパ−2−イン−1−オール(1.9g、4.8mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.2g、0.8mmol)およびクロロホルム(100mL)を加熱還流した。4時間後、不完全反応混合物を油状物に濃縮し、カラム分離(容量比4:1のヘキサン:酢酸エチルを使用)によって精製した。生成物を酢酸エチルからの再結晶によってさらに精製した。ピンク白色固形物(0.3g)を所望の生成物として得た。生成物を、NMRによって、2−フェニル−2−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−8−シアノ−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有するものとして確認した。
【0116】
(実施例5)
段階1
トルエン(3.0L)を、窒素下に、適切な16リットル反応器に添加した。3−ブロモアセトフェノン(600g)およびコハク酸ジメチル(512mL)を反応器に添加した。温度を35℃未満に維持しながら、トルエン(2640mL)中の約25wt%溶液におけるカリウムt−ペントキシドを、約50mL/分の速度で反応器に添加した。添加の終了後、3−ブロモアセトンの量が、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって判定して1wt%未満になるまで、得られた反応混合物を1〜3時間撹拌した。反応混合物を15℃に冷却し、水(4L)を添加した。得られた混合物を20〜25℃に加温し、30分間撹拌した。相分離した後、下部水性層を収集した。トルエン(1.5L)を添加し、撹拌を15分間継続した。相分離した後、下部水性層を収集し、塩化メチレン(4L)をそれに添加した。得られた混合物を20〜25℃の温度に維持し、6N HCl(850〜900mL)を撹拌しながら添加して、pHを約2.0に低下させた。得られた混合物を20分間撹拌した。相分離した後、下部有機相を収集し、水(2L)で洗浄し、半インチ(1.27cm)厚の硫酸マグネシウム層を上に有する200gのシリカのプラグで濾過した。薄層クロマトグラフィー(TLC)によって判定して全生成物になるまで、プラグを、1.5Lの塩化メチレン、次に、塩化メチレン混合物における30wt%酢酸エチルで濯いだ。得られた溶液を、4Lの量に蒸留し、純粋生成物を分離せずに粗溶液として、6Lの反応器に移した。
【0117】
段階2
キシレン(1.8L)を、段階1の粗溶液に添加し、得られた混合物を100℃で蒸留して、塩化メチレンを除去した。次に、反応器含有物の温度を60℃に下げ、4−ジメチルアミノピリジン(3.6g)および無水酢酸(615g)を反応器に添加した。得られた混合物を120℃に加熱し、その温度で24〜30時間維持した。反応が終了した後、反応混合物を70℃に冷却した。反応混合物温度を80℃未満に維持しながら、10wt%のHCl(150mL)を、滴下漏斗によって添加した。得られた反応を77℃で24〜30時間維持した。反応が終了した後、キシレン(500mL)およびヘプタン(1.2L)を反応混合物にゆっくり添加し、その間、それを65℃より高い温度に維持した。添加後、得られた反応混合物を約20℃に3〜4時間冷却した。20℃に冷却した後、反応混合物を、結晶化のために6〜12時間撹拌した。反応混合物を10℃に冷却し、生成物(結晶)を濾過し、1:1の容量比のキシレン:ヘプタン(1〜2L)で洗浄し、次に、ヘプタン(2〜3L)で洗浄し、80℃で乾燥した。得られた生成物を、NMRによって、2−メトキシカルボニル−7−ブロモ−1−メチル−2−ナフタ−4−オールと一致する構造を有するものとして確認した。
【0118】
段階3
適切な反応器に、メタノール(2.5L)、段階2の生成物2−メトキシカルボニル−7−ブロモ−1−メチル−2−ナフタ−4−オール(250g)、および水(200mL)を添加した。得られた反応混合物を撹拌し、その間、50wt%の水酸化ナトリウム(150mL)を滴下漏斗でゆっくり添加し、漏斗を水(50mL)で洗浄した。得られた混合物を、約3時間撹拌しながら65℃に維持した。約3時間後、反応混合物の温度を75℃に上げ、メタノール(2L)を留去した。水(250mL)を反応混合物に添加し、蒸留を続けながら温度を80℃に上げた。次に、反応混合物を15℃に冷却した。10wt%のHCl(1.5L)を反応混合物に添加し、その間、温度を25℃より低く維持した。酢酸エチル(2.5L)、次に、10wt%のHCl(300〜400mL)を、2.0のpHを得るまで添加した。下方水性層を分離し、捨てた。有機相を、10wt%の塩化ナトリウム(1L)で洗浄し、セライトおよび硫酸マグネシウムの小プラグで濾過した。濾過した有機相を、反応器に移し、最少量に蒸留した。トルエン(1L)を添加し、混合物が100℃に達するまで蒸留を続けた。得られた混合物を15℃に冷却し、2〜3時間撹拌し、結晶化生成物を濾過した。得られた生成物を、1:1の容量比のトルエン:ヘプタン(1L)で洗浄し、次に、ヘプタン(1〜1.5L)で洗浄し、80℃で乾燥した。得られた生成物を、NMRによって、7−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエ酸と一致する構造を有するものとして確認した。
【0119】
段階4
段階3の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエ酸(20.15g、74.35mmol)、2−メトキシエタノール(200mL)およびp−トルエンスルホン酸(8.00g、37.17mol)を、ディーン・スターク装置および撹拌子を取り付けた丸底フラスコ(500mL)に添加した。混合物を24時間加熱還流し、次に、室温に冷却した。溶媒を真空除去して、油状残渣を得た。残渣を酢酸エチル(300mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で3回洗浄した(各回100mL)。得られた酢酸エチル溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、褐色固形物(17.4g)を得た。褐色固形物のNMR分析は、固形物が2−メトキシエチル−7−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエートと一致する構造を有することを示した。
【0120】
段階5
1,1−ビス(4−メトキシフェニル)プロパ−2−イン−1−オール(2.99g、11.18mmol)およびp−トルエンスルホン酸(141mg、0.74mmol)を、段階4の生成物2−メトキシエチル−7−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエート(2.52g、7.46mmol)のクロロホルム溶液を含有する反応フラスコに添加した。溶液を4時間加熱還流し、次に、反応混合物を冷却し、溶媒を真空除去して、油状残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(容量に基づいて9:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を、溶離剤として使用)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、油状残渣(3.06g)を得た。残渣のNMR分析は、2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−ブロモ−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を示した。
【0121】
段階6
THF(25mL)および水(25mL)の1:1混合物中の、段階5の2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−ブロモ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン(2.89g、4.91mmol)およびビニルボロン酸ピナコールエステル(1mL、5.89mmol)を含有する反応フラスコに、フッ化カリウム(4.56g、78.62mmol)を添加した。窒素を10分間泡立たせることによって、溶液を脱気した。脱気した溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.34g、0.49mmol)を添加した。溶液を18時間加熱還流し、室温に冷却し、酢酸エチルで希釈した。次に、混合物をセライト床で濾過し、濾液を酢酸エチルと水で分配した。酢酸エチル抽出物を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣を、カラムクトマトグラフィー(容量に基づいて4:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を、溶離剤として使用)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、ガラス状残渣(1.98g)を得た。残渣のNMR分析は、2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−ビニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を示した。
【0122】
(実施例6)
段階1
THF(250mL)および水(250mL)の1:1混合物中の、実施例5の段階1の生成物(17.4g、51.5mmol)およびビニルボロン酸ピナコールエステル(11.0mL、61.8mmol)の混合物に、フッ化カリウム(48.0g、824mmol)を添加した。窒素を20分間泡立たせることによって、溶液を脱気した。脱気した溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.81g、2.58mmol)を添加した。溶液を20時間加熱還流し、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈した。次に、混合物をセライト床で濾過し、濾液を酢酸エチルと水で分配した。酢酸エチル抽出物を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣を、カラムクトマトグラフィー(4:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を溶離剤として使用)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、褐色固形物(11.5g)を得た。褐色固形物のNMR分析は、2−メトキシエチル−7−ビニル−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエートと一致する構造を示した。
【0123】
段階2
段階1の生成物2−メトキシエチル−7−ビニル−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−ナフトエート(11.55g、40.38mmol)を、塩化メチレン(200mL)およびピリジン(7.00mL、80.76mmol)を含有する反応フラスコに添加した。混合物を5分間撹拌し、トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート(16.30mL、60.57mmol)をゆっくり添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、氷冷水(500mL)に注ぎ、10分間撹拌した。混合物を分配し、塩化メチレン溶液を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣を、シリカプラグ(容量ベースで19:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用)で精製した。所望の物質を含有する画分を集め、真空濃縮して、無色油状物(17.85g)を得た。NMR分析は、2−メトキシエチル−7−ビニル−4−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1−メチル−2−ナフトエートと一致する構造を示した。
【0124】
段階3
段階2の生成物2−メトキシエチル−7−ビニル−4−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1−メチル−2−ナフトエート(17.85g、40.38mmol)を、t−ブタノール(121mL)および水(283mL)を含有するフラスコに添加し、0℃に冷却した。水(180mL)中の過マンガン酸カリウム(19.35g、122.49mmol)の溶液を、反応フラスコにゆっくり添加した。炭酸ナトリウム水溶液の添加によって、溶液のpHを8〜10に調整した。氷浴を除去し、反応混合物を室温に温め、4時間撹拌した。得られた混合物をセライト床で濾過し、10wt%の塩化水素の水溶液の添加によって、濾液をpH4に注意深く酸性化した。得られた水溶液を酢酸エチルで3回抽出し(各回300mL)、有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。油状残渣をシリカプラグ(容量ベースで4:1の酢酸エチルおよびヘキサンの混合物を使用)で精製した。所望の物質を含有する画分を集め、真空濃縮して、黄色固形物(9.14g)を得た。NMR分析は、7−((2−メトキシエトキシ)カルボニル)−8−メチル−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)−2−ナフトエ酸と一致する構造を示した。
【0125】
段階4
段階3の生成物7−((2−メトキシエトキシ)カルボニル)−8−メチル−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)−2−ナフトエ酸(1.17g、2.54mmol)を、塩化メチレン(10mL)を含有する反応フラスコに添加した。メタノール(0.09mL、2.12mmol)、次に、ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.33mmol)およびN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.53g、2.57mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を塩化メチレンで希釈し、濾過した。濾液を収集し、真空濃縮して、黄色固形物を得、これをさらに精製しなかった。黄色固形物を、テトラヒドロフラン(10mL)および水(10mL)を含有する反応フラスコに添加した。フッ化カリウム(0.35g、6.03mmol)を添加し、混合物を室温で20時間撹拌した。得られた混合物を酢酸エチル(100mL)で抽出し、水で分配した。酢酸エチル抽出物を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣を最少量の塩化メチレンに溶解し、沈殿物が形成されるまでヘキサンを添加した。沈殿物(0.61g)を真空濾過によって収集し、冷ヘキサンで洗浄した。沈殿物のNMR分析は、2−(2−メトキシエチル)−7−メチル−4−ヒドロキシ−1−メチルナフタレン−2,7−ジカルボキシレートと一致する構造を示した。
【0126】
段階5
段階4の生成物2−(2−メトキシエチル)−7−メチル−4−ヒドロキシ−1−メチルナフタレン−2,7−ジカルボキシレート(0.61g、1.92mmol)を、クロロホルム(20mL)を含有する反応フラスコに添加した。1,1−ビス(4−メトキシフェノル)プロパ−2−イン−1−オール(0.77g、2.87mmol)およびp−トルエンスルホン酸(0.04g、0.0.21mmol)を添加した。得られた溶液を加熱還流し、還流温度に4時間維持した。次に、反応混合物を冷却し、溶媒を真空除去して、油状残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(容量ベースで4:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、油状残渣(0.76g)を得た。残渣のNMR分析は、2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト−[1,2−b]ピランと一致する構造を示した。
【0127】
(実施例7)
段階1
実施例6の段階5の生成物5−(2−メトキシエチル)−8−メチル2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メチル−2H−ナフト−[1,2−b]ピラン−5,8−ジカルボキシレート(0.56g、0.98mmol)を含有するフラスコに、テトラヒドロフラン(10mL)、メタノール(5mL)および50wt%の水酸化ナトリウム水溶液(3mL)を添加した。混合物を30分間撹拌し、次に、10wt%の塩化水素水溶液(100mL)を含有するビーカーに注いだ。得られた混合物を酢酸エチルで3回抽出した(各回100mL)。酢酸エチル抽出物を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣をシリカプラグ(容量ベースで19:1の酢酸エチルおよびメタノールの混合物で溶離)で精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、泡状物(0.45g)を得た。泡状物のNMR分析は、2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエトキシカルボニル−6−メチル−8−ヒドロキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を示した。
【0128】
比較例1
実施例1の生成物3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(0.13g、0.16mmol)、炭酸カリウム(0.054g、0.4mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.018g、0.016mmol)、2−ブタノール(3mL)およびTHF(1mL)の混合物を、反応フラスコに添加し、脱気し、窒素の保護下に撹拌した。反応混合物を加熱還流した。3時間後、反応混合物を100mLの酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(3/7の酢酸エチル/ヘキサン)によって精製した。生成物をさらに、塩化メチレンへの溶解、次に、メタノールからの沈殿によって精製した。灰色固形物(0.08g)を得た。それを、NMRによって、3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−3H,13H−メトキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有するものとして同定した。
【0129】
比較例2
段階1
実施例6の段階3の生成物7−((2−メトキシエトキシ)−カルボニル)−8−メチル−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)−2−ナフトエ酸(2.3g、7.8mmol)、炭酸カリウム(4.4g、32mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.52g、0.44mmol)、2−ブタノール(20mL)およびメタノール(10mL)の混合物を、反応フラスコに添加し、脱気し、窒素の保護下に撹拌した。反応混合物を加熱還流した。6時間後、反応混合物を100mLの酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルの薄層で濾過し、濃縮した。茶色がかったガラス状固形物(1.7g)を得、次の段階に直接使用した。それを、NMRによって、1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステルと一致する構造を有するものとして同定した。
【0130】
段階2
段階1の生成物1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ナフトエ酸メチルエステル(1.6g、7.4mmol)、1−フェニル−1−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロパ−2−イン−1−オール(2.9g、7.4mmol)、p−トルエンスルホン酸(0.14g、0.74mmol)および塩化メチレン(30mL)の混合物を撹拌し、17時間還流した。次に、反応混合物中の生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(3/7の酢酸エチル/ヘキサン)によって分離した。回収した暗赤色固形物を、メタノール中で20時間撹拌した。薄黄色固形物(1.3g)を所望の生成物として得た。生成物を、NMRによって、2−フェニル−2−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有するものとして確認した。
【0131】
比較例3
段階1
実施例5の段階5の生成物2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト−[1,2−b]ピラン(1.37g、2.33mmol)、炭酸カリウム(1.29g、9.32mmol)、2−ブタノール(10mL)およびメタノール(10mL)の混合物を、丸底フラスコ(100mL)に添加し、10分間脱気した。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.13g、0.12mmol)を添加し、混合物を窒素下に加熱還流した。混合物を還流温度に4時間維持した。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮して、油状残渣を得た。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(容量ベースで9:1のヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を溶離剤として使用)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を集め、真空濃縮して、赤色油状残渣(0.95g)を得た。生成物を、NMRによって、2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−((2−メトキシエトキシ)カルボニル−6−メチル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有するものとして確認した。
【0132】
パートII:試験
実施例1〜7ならびに比較例(CE)1、2および3のフォトクロミック物質のフォトクロミック性能を、下記の光学ベンチ装置を使用して試験した。各フォトクロミック物質を、以下に記載するメタクリレート試験正方形に組み込んだ。CE1は実施例1〜3との比較のために含まれ、CE2は実施例4との比較のために含まれ、CE3は実施例5〜7との比較のために含まれた。
【0133】
本開示を読むことにより当業者に明らかな適切な変更を加えて、本明細書に開示されている教示および実施例に従って、実施例1〜7およびCE1〜3のフォトクロミック物質を作製しうることが当業者に理解される。さらに、当業者は、本明細書に示されている本開示の範囲および本特許請求の範囲を逸脱せずに、開示されている方法の種々の改変法、ならびに他の方法を、実施例1〜7のフォトクロミック物質の作製にしうることを認識する。
【0134】
1.5x10−3M溶液を生じるように算出されたある量の被験フォトクロミック物質を、50gのモノマーブレンド(4部のエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(BPA 2EO DMA)、1部のポリ(エチレングリコール)600ジメタクリレート、および0.033wt%の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(「AIBN」))を含有するフラスコに添加した。該フォトクロミック物質を、撹拌および緩やかな加熱によって、該モノマーブレンドに溶解させた。透明溶液を得た後、それを、2.2mm x 6インチ(15.24cm) x 6インチ(15.24cm)の内寸法を有する平板型に注ぐ前に真空脱気した。型を密閉し、下記のようにプログラムした水平気流プログラム可能炉に入れた:5時間にわたって温度を40℃から95℃に上げ、温度を95℃で3時間維持し、次に、少なくとも2時間にわたって温度を60℃に下げる。型を開いた後、ポリマーシートを、ダイヤモンド刃鋸で2インチ(5.1cm)試験正方形にカットした。
【0135】
前記のように作製したフォトクロミック物質を組み込んでいる試験正方形を、光学ベンチでフォトクロミック反応について試験した。光学ベンチでの試験の前に、フォトクロミック試験正方形を365nmの紫外線に約30分間暴露して、その中のフォトクロミック物質を、不活性基底(または退色)状態から、活性化(または着色)状態に変換させ、次に、75℃の炉に約15分間入れて、フォトクロミック物質を非活性化状態に戻した。次に、試験正方形を、室温に冷却し、蛍光室内照明に少なくとも2時間暴露し、次に、覆った状態(即ち、暗い環境)に少なくとも2時間保ち、次に、23℃に維持した光学ベンチで試験した。ベンチに、下記を取りつけた:300ワットのキセノンアークランプ、遠隔操作シャッター、Melles Griot KG2 3mmフィルター(これは、UVおよびIR波長を変更し、ヒートシンクとして作用する)、1つまたは複数のニュートラルデンシティフィルター、および試料ホルダー(これは23℃の水浴内に置かれ、試験される正方形がこれに挿入された)。試料ホルダーおよび試料を、300ワットのキセノンアークランプによって生じる活性化ビームに対して小角(約31°)で配置した。タングステンランプからの光の平行ビームを、正方形に対して垂直に、およびその活性化ビームに対して31°で、試料正方形に通した。正方形を通過した後、タングステンランプからの光が、収集(積分)球(そこで、光がブレンドされた)、およびOcean Optics S2000スペクトロメーター(そこで、測定ビームのスペクトルが収集され分析された)に向けられた。λmax−visは、試験正方形中のフォトクロミック物質の活性化(着色)形態の極大吸収が生じる可視スペクトルにおける波長である。λmax−vis波長は、Varian Cary 4000 UV−Visibleスペクトロメーターでフォトクロミック試験正方形を試験することによって決定した。
【0136】
各試験正方形の飽和光学密度(「Sat’d OD」)は、キセノンランプからシャッターを開き、試験片を紫外線に30分間暴露する前および後にλmax−visにおける透過率を測定することによって求めた。λmax−visにおけるこのSat’d ODは、光学ベンチ上のS2000スペクトロメーターによって測定された初期および活性化スペクトルから算出した。感度は、どれくらい速くフォトクロミックが最初に活性化し始めるかの測度であり、5秒の活性化において得られた光学密度の12倍として計算される。退色半減期(即ち、T1/2)によって測定される退色速度は、試験正方形におけるフォトクロミック物質の活性化形態の吸光度が、活性化光源の除去後に、室温(23℃)でSat’d OD吸光度値の半分に達するまでの時間間隔(秒)である。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】

本記載は、本発明の明確な理解に関して、本発明の態様を例示するものであると理解すべきである。当業者に明らかと考えられ、従って本発明のより深い理解を助けるものではないと考えられる本発明のいくつかの態様は、本記述を平易にするために示されていない。本発明をいくつかの実施形態に関して記載したが、本発明は、開示されている特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の意図および範囲内の変更を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含むフォトクロミック物質:
インデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、インデノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、2H−ナフト[1,2−b]ピラン、3H−ナフト[2,1−b]ピラン、ベンゾピラン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−3,3’−ナフト[2,1−b][1,4]]オキサジン、スピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,2’−ナフト[1,2−b][1,4]]オキサジン、またはフルギド;
ここで、
(A) 該フォトクロミック物質は、下記に指定する特定の炭素原子においてそれに結合した少なくとも1つの置換基Qを有し、各Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルケンまたは非置換もしくは置換アルキン基を含み、ここで、該置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
但し、
(a) 該フォトクロミック物質が、インデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、インデノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、チオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾチオフェノ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、フロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、ベンゾフロ[3’,2’−3,4]ナフト[1,2−b]ピランを含むとき、Qは、7位および/または10位でそれに結合し、−N、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’または−CNを含み、但し、該フォトクロミック物質がインデノ[2’,3’−3,4]ナフト[1,2−b]ピランであるとき、該物質化合物は12位において置換基を実質的に有さない;
(b) 該フォトクロミック物質が3H−ナフト[2,1−b]ピランを含むとき、Qは、6位および/または7位でそれに結合し、各存在について独立に−Nまたは−OCOOR’を含む;
(c) 該フォトクロミック物質が2H−ナフト[1,2−b]ピランを含むとき、Qは、8位でそれに結合し、−N;または−OCOOR’(但し、該フォトクロミック物質は、5位において置換基を実質的に有さない)を含む;
(d) 該フォトクロミック物質がベンゾピランを含むとき、Qは、7位でそれに結合し、−N、−CN、−CCR’または−OSOR’’’を含む;
(e) 該フォトクロミック物質がスピロ[1,3−ジヒドロインドール−2,2’−ナフト[1,2−b][1,4]]オキサジンを含むとき、置換基Qは、5位、6位および/または8’位でそれに結合し、各存在について独立に、−N;−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、該フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)を含む;
(f) 該フォトクロミック物質がスピロ[1,3−ジヒドロインドール−3,3’−ナフト[2,1−b][1,4]]オキサジンを含むとき、置換基Qは、5位、6位、6’位および/または7’位でそれに結合し、各存在について独立に、−N;−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、該フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)を含む;および
(g) 該フォトクロミック物質がフルギドを含むとき、Qは、−N、−CN、−CCR’または−OSOR’’’を含む;および
(B) 場合により、該フォトクロミック物質は、下記の式によって表わされる少なくとも1つの延長剤Lを有する:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P:
ここで、
(a) 各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択される:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である;
(b) c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、1〜20(両端の数字を含む)の整数から選択され;各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(i) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−;ここで、gは各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16(両端の数字を含む)の自然数である;
(ii) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合;ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(iii) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、または直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基;前記C−C24アルキレン残基は、非置換、またはシアノもしくはハロによるモノ置換、またはハロによるポリ置換であり;但し、ヘテロ原子を含有する2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している;
(c) Pは下記から選択される:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキル、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキル、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換もしくは非置換キラルもしくは非キラル一価もしくは二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);または、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である;および
(d) d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択され、但し、d’+e’+f’の合計は少なくとも1であるものとする。
【請求項2】
1つの下記構造式によって表わされるフォトクロミック物質:
【化20】

[式中、
(A) 各置換基Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CONHR’を含み、ここで、R’は独立に、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルケンまたは非置換もしくは置換アルキン基を含み、ここで、該置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜利用可能位置の総数から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 以下に記載するBによって表わされる基;
(b) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:延長剤L、ヒドロキシ、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−C18アルキル、フェニル、ベンジルおよびナフチルでモノ−またはジ−置換されたアミノ;
(c) −OXおよび−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(i) 延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18アシル、フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルキル置換フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルコキシ置換フェニル(C−C18)アルキル;C−C18アルコキシ(C−C18)アルキル;C−C10シクロアルキル;モノ(C−C18)アルキル置換C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、該ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(ii) −CH(X)X;ここで、Xは、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択され、Xは、延長剤L、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択される;
(iii) −C(O)X;ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:延長剤L、水素、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−C18アルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;または
(iv) トリ(C−C18)アルキルシリル、トリ(C−C18)アルキルシリルオキシ、トリ(C−C18)アルコキシシリル、トリ(C−C18)アルコキシシリルオキシ、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリル、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリルオキシ、ジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリル、またはジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリルオキシ;
(d) −SX11;ここで、X11は、下記から選択される:延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、非置換またはC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシまたはハロゲンでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(e) 式iによって表わされる窒素含有環:
【化21】

ここで、
(i) nは、0、1、2および3から選択される整数であり、但し、nが0であるとき、U’はUであり、各Uは、各存在について独立に、−CH−、−CH(X12)、−C(X12、−CH(X13)−、−C(X13−および−C(X12)(X13)−から選択され、ここで、X12は、延長剤LおよびC−C12アルキルから選択され、X13は、延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択される;および
(ii) U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、mは1、2および3から選択される整数である;
(f) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
【化22】

ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、またはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシまたはハロゲンから選択される;
(g) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
【化23】

ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−および−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17について、X14およびX15は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、あるいはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、またはハロゲンから選択される;および
(iii) qは、0、1、2、3および4から選択される整数である;および
(h) 下記によって表わされる延長剤L:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P
ここで、
(i) 各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択される:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である;
(ii) c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択され;各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−;ここで、gは各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16(両端の数字を含む)の自然数である;
(2) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合;ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(3) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、または直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基;該C−C24アルキレン残基は、非置換であるか、またはシアノもしくはハロによるモノ置換であるか、またはハロによるポリ置換であり;但し、ヘテロ原子を含有する2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している;
(iii) Pは下記から選択される:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキル、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキル、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換または非置換キラルまたは非キラル一価または二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、該置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);または、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である;および
(iv) d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択され、但し、d’+e’+f’の合計は少なくとも1であるものとする;
(C) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式Iによって表わされるとき、下記であるものとする:
(a) Qは−CNを含み、構造式Iの該フォトクロミック物質は、12位において置換基を実質的に有さず、またはQは、−N、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’および−OSOR’’’を含む;
(b) 基Aは、インデノ、チオフェノ、ベンゾチオフェノ、フロまたはベンゾフロを表わす;および
(c) BおよびB’は、それぞれ独立に下記から選択される:
(i) 水素、C−C18アルキル、C−C18アルキリデン、C−C18アルキリジン、ビニル、C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシでモノ置換されている);
(ii) 下記から選択される少なくとも1つの置換基でパラ位置においてモノ置換されたフェニル:C−C18アルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C20アルキレン、直鎖または分岐鎖C−Cポリオキシアルキレン、環状C−C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C−C18アルキル置換フェニレン、モノ−またはポリ−ウレタン(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−エステル(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−カーボネート(C−C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびそれらの混合物;ここで、少なくとも1つの置換基が、フォトクロミック物質のアリール基に結合している;
(iii) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、C−C18アルキルまたはC−C18ハロアルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−C18アルキルおよびC−C18アルコキシおよび延長剤Lから選択される;
(iv) −CH(X)(X);ここで、
(1) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、C−C18アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;および
(2) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択され、ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−C18アルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−もしくはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシから選択される);Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C18)アルコキシもしくはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、(C−C18)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(v) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルまたはフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各アリールおよび複素芳香族基の置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(1) 延長剤L;
(2) −COOXまたは−C(O)X
(3) アリール、ハロゲン、ハロアリール、C−C10シクロアルキルアリール、およびC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(4) C−C18アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキルオキシ(C−C18)アルキル、アリール(C−C18)アルキル、アリールオキシ(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルキル、C−C18ハロアルキル、およびモノ(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル;
(5) C−C18アルコキシ、C−C10シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C18)アルコキシ、アリール(C−C18)アルコキシ、アリールオキシ(C−C18)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルコキシ;
(6) アミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(7) −OXまたは−N(X
(8) −SX11
(9) 式iによって表わされる窒素含有環;
(10) 式iiまたはiiiによって表わされる基;
(11) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(12) 式ivまたはvによって表わされる基:
【化24】

ここで、
(I) V’は、各式において独立に、−O−、−CH−、C−Cアルキレン、およびC−C10シクロアルキレンから選択される;
(II) Vは、各式において独立に、−O−または−N(X21)−から選択され、ここで、X21は、延長剤L、水素、C−C18アルキル、およびC−C18アシルであり、但し、Vが−N(X21)−であるとき、V’は−CH−である;
(III) X18およびX19は、それぞれ独立に、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(IV) kは、0、1および2から選択され、各X20は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される;
(13) 式viによって表わされる基:
【化25】

ここで、
(I) X22は、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(II) X23は、延長剤L、ならびにナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから選択される非置換またはモノ−もしくはジ−置換された基から選択され;ここで、各置換基は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、およびハロゲンから選択される;および
(14) BおよびB’は、一緒になって、下記を形成し:フルオレン−9−イリデン、モノ−またはジ−置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C−C12スピロ−単環式炭化水素環、飽和C−C12スピロ−二環式炭化水素環、飽和C−C12スピロ−三環式炭化水素環;および延長剤L;前記フルオレン−9−イリデン置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ブロモ、フルオロおよびクロロから成る群から選択される;
(D) 但し、該フォトクロミック物質が構造式IIによって表わされるとき、Qは−Nまたは−OCOOR’を含み、但し、構造式IIの該フォトクロミック物質は5位において置換を実質的に有さず;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(E) 但し、該フォトクロミック物質が構造式IIIによって表わされるとき、Qは各存在について独立に−Nまたは−OCOOR’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(F) 但し、該フォトクロミック物質が構造式IVAまたはIVBによって表わされるとき、Qは各存在について独立に下記を含み:−N;または−CCR’(但し、インドリノ基はN−置換基を実質的に有さない);または−OSOR’’’(但し、前記フォトクロミック物質はカルボニル基を実質的に有さない)、各R’’は各存在について独立に、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルから選択されるか、または一緒になって置換または非置換シクロアルキルを形成し;Rおよびiは先に記載したのと同様である;
(G) 但し、該フォトクロミック物質が構造式Vによって表わされるとき、Qは、−N、−CN、−CCR’、または−OSOR’’’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;および
(H) 但し、該フォトクロミック物質が構造式VIによって表わされるとき、Qは、−N、−CN、−CCR’、または−OSOR’’’を含み;Eは、−O−または−N(Q)−であり;Dは、下記の構造式によって表わされ:
【化26】

ここで、Tは、−S−、−O−または−N(R)−であり、Jは、スピロ−脂環式環であり、Qは先に記載したのと同様である]。
【請求項3】
下記の構造式I、II、IIIおよびVの一つによって表わされる、請求項2に記載のフォトクロミック物質:
(A) 各置換基Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CONHR’を含み、ここで、各R’は独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を含み、R’’’は、−CF、または2〜12個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜3から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 以下に記載するBによって表わされる基;
(b) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:延長剤L、ヒドロキシ、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびナフチルでモノ−またはジ−置換されたアミノ;
(c) −OXおよび−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(i) 延長剤L、水素、C−C12アルキル、C−C12アシル、フェニル(C−C12)アルキル、モノ(C−C12)アルキル置換フェニル(C−C12)アルキル、モノ(C−C12)アルコキシ置換フェニル(C−C12)アルキル;C−C12アルコキシ(C−C12)アルキル;C−Cシクロアルキル;モノ(C12)アルキル置換C−Cシクロアルキル、C−C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、該ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;
(ii) −CH(X)X;ここで、Xは、延長剤L、水素またはC−C12アルキルから選択され、Xは、延長剤L、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、延長剤L、水素またはC−C12アルキルから選択される;
(iii) −C(O)X;ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:延長剤L、水素、C−C12アルコキシ、非置換またはC−C12アルキルもしくはC−C12アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−Cアルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;
(d) 式iによって表わされる窒素含有環;
(e) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C12アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、またはX14およびX15は一緒になって5〜7個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C12アルキル、C−C12アルコキシまたはハロゲンから選択される;
(f) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−および−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17について、X14およびX15は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C12アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、またはX14およびX15は一緒になって5〜7個の炭素原子の環を形成し;X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、またはハロゲンから選択される;および
(iii) qは、0〜3から選択される整数である;および
(g) 延長剤L;
(C) 但し、該フォトクロミック物質が構造式Iによって表わされるとき、下記であるものとする:
(a) Qは−CNを含み、構造式Iの該フォトクロミック物質は、12位において置換基を実質的に有さず、またはQは、−N、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’および−OSOR’’’を含む;
(b) 基Aは、インデノ、チオフェノ、フロまたはベンゾフロを表わす;および
(c) BおよびB’は、それぞれ独立に下記から選択される:
(i) C−C12アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C12ハロアルキル、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−CアルキルおよびC−Cアルコキシでモノ置換されている);
(ii) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−C12アルキル、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシおよび延長剤Lから選択される;
(iii) −CH(X)(X);ここで、
(1) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、C−C12アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;および
(2) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択され、ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−Cアルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−もしくはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−CアルキルまたはC−Cアルコキシから選択される);Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C12)アルコキシもしくはフェニルでモノ置換されたC−C12アルキル、(C−C12)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C12)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;
(iv) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルまたはフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各アリールおよび複素芳香族基の置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(1) 延長剤L;
(2) −COOXまたは−C(O)X
(3) アリール、ハロアリール、C−Cシクロアルキルアリール、およびC−C12アルキルまたはC−C12アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(4) C−C12アルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキルオキシ(C−C12)アルキル、アリール(C−C12)アルキル、アリールオキシ(C−C12)アルキル、モノ−またはジ−(C−C12)アルキルアリール(C−C12)アルキル、モノ−またはジ−(C−C12)アルコキシアリール(C−C12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C−C12)アルコキシ(C−C12)アルキル;
(5) C−C12アルコキシ、C−Cシクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C12)アルコキシ、アリール(C−C12)アルコキシ、アリールオキシ(C−C12)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C12)アルキルアリール(C−C12)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C12)アルコキシアリール(C−C12)アルコキシ;
(6) アミド、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(7) −OXまたは−N(X
(8) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;および
(9) BおよびB’は、一緒になって、下記を形成し:フルオレン−9−イリデン、モノ−もしくはジ−置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C−Cスピロ−単環式炭化水素環、飽和C−C10スピロ−二環式炭化水素環、飽和C−C10スピロ−三環式炭化水素環;該フルオレン−9−イリデン置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フルオロおよびクロロから成る群から選択される;
(D) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IIによって表わされるとき、Qは−OCOOR’を含み、但し、構造式IIの前記フォトクロミック物質は5位において置換を実質的に有さず;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(E) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IIIによって表わされるとき、Qは各存在について独立に−OCOOR’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である;
(F) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式Vによって表わされるとき、Qは、−CN、−CCR’、または−OSOR’’’を含み;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である。
【請求項4】
下記の構造式IまたはIIによって表わされる、請求項2に記載のフォトクロミック物質:
(A) 各置換基Qは、独立に、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を含み、R’’’は、−CF、または2〜6個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜3から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 以下に記載するBによって表わされる基;
(b) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびナフチルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ;
(c) −OXおよび−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(i) 水素、C−Cアルキル、C−Cアシル、フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル(C−C)アルキル;C−Cアルコキシ(C−C)アルキル;C−Cシクロアルキル;モノ(C−C)アルキル置換C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、前記ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;
(ii) −CH(X)X;ここで、Xは、水素またはC−Cアルキルから選択され、Xは、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、水素またはC−Cアルキルから選択される;
(iii) −C(O)X;ここで、Xは、下記から選択される:水素、C−C12アルコキシ、非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−Cアルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−CアルキルもしくはC−Cアルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;
(d) 式iによって表わされる窒素含有環;
(e) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、水素、C−Cアルキルまたはフェニルから選択されるか、あるいはX14およびX15は一緒になって5〜7個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはハロゲンから選択される;
(f) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−および−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17について、X14およびX15は、各存在について独立に、水素、C−Cアルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、あるいはX14およびX15は一緒になって5〜7個の炭素原子の環を形成し;X17は、各存在について独立に、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、またはハロゲンから選択される;および
(iii) qは、0〜3から選択される整数である;および
(g) 延長剤L;
(C) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式Iによって表わされるとき、下記であるものとする:
(a) Qは−CNを含み、構造式Iの前記フォトクロミック物質は、12位において置換基を実質的に有さず、またはQは、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’および−OSOR’’’を含む;
(b) 基Aは、インデノを表わす;および
(c) BおよびB’は、それぞれ独立に下記から選択される:
(i) C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−CアルキルおよびC−Cアルコキシでモノ置換されている);
(ii) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−Cアルキル、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C)アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシおよび延長剤Lから選択される;
(iv) −CH(X)(X);ここで、
(1) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、C−C12アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;および
(2) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択され、ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択され:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−Cアルキルでモノ−またはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−もしくはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−CアルキルまたはC−Cアルコキシから選択される);Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C)アルコキシもしくはフェニルでモノ置換されたC−Cアルキル、(C−C)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C12)アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;
(v) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルまたはフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(1) 延長剤L;
(2) −C(O)X
(3) アリール、ハロアリール、C−Cシクロアルキルアリール、およびC−C12アルキルまたはC−C12アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(4) C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキルオキシ(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキル、アリールオキシ(C−C)アルキル、モノ−またはジ−(C−C)アルキルアリール(C−C)アルキル、モノ−またはジ−(C−C)アルコキシアリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル;
(5) C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C)アルコキシ、アリール(C−C)アルコキシ、アリールオキシ(C−C)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C)アルキルアリール(C−C)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C)アルコキシアリール(C−C)アルコキシ;
(6) アミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(7) −OXまたは−N(X
(8) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;および
(9) BおよびB’は、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、アダマンチリデン、ボルニリデン、ノルボルニリデン、またはビシクロ(3.3.1)ノナン−9−イリデンを形成する;
(D) 但し、前記フォトクロミック物質が構造式IIによって表わされるとき、Qは−OCOOR’を含み、但し、構造式IIの前記フォトクロミック物質は5位において置換を実質的に有さないものとし;R、i、BおよびB’は先に記載したのと同様である。
【請求項5】
下記の構造式によって表わされる、構造式1の、請求項1に記載のフォトクロミック化合物:
【化27】

【請求項6】
下記から選択されるフォトクロミック物質:
(a) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3H,13H−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(b) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−シアノ−3H,13H−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(c) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン−4−イル)−インデノ[2’,3’;3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(d) 2−フェニル−2−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−8−シアノ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(e) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−ビニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(f) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエトキシカルボニル−6−メチル−8−ヒドロキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;および
(g) 2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−5−メトキシエチルカルボニル−6−メチル−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト−[1,2−b]ピラン。
【請求項7】
有機物質の少なくとも一部に組み込まれた請求項2に記載のフォトクロミック物質を含むフォトクロミック組成物であって、該有機物質が、ポリマー物質、オリゴマー物質、モノマー物質、またはそれらの混合物もしくは組合せである組成物。
【請求項8】
前記ポリマー物質が下記を含む、請求項7に記載のフォトクロミック組成物:
自己集合化物質、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリ(アリルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリアルケン、ポリアルキレン−ビニルアセテート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、および/またはそれらの混合物。
【請求項9】
下記から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項7に記載のフォトクロミック組成物:色素、整列促進剤、動力学的促進添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合防止剤、溶剤、光安定剤、熱安定剤、離型剤、流動性調整剤、均染剤、フリーラジカルスカベンジャー、ゲル化剤、および定着剤。
【請求項10】
自己集合化物質および皮膜形成物質から選択されるコーティング組成物を含む、請求項7に記載のフォトクロミック組成物。
【請求項11】
基材、および基材の少なくとも一部に接合した請求項2に記載のフォトクロミック物質を含むフォトクロミック物品。
【請求項12】
光学エレメントを含む請求項11に記載のフォトクロミック物品であって、該光学エレメントが、少なくとも1つの、眼科用エレメント、表示エレメント、ウィンドー、ミラー、パッキング材料、および能動的または受動的液晶セルエレメントであるフォトクロミック物品。
【請求項13】
前記眼科用エレメントが、矯正レンズ、非矯正レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、および保護レンズまたはバイザーを含む、請求項12に記載のフォトクロミック物品。
【請求項14】
前記表示エレメントが、スクリーン、モニターおよびセキュリティエレメントを含む、請求項12に記載のフォトクロミック物品。
【請求項15】
前記基材がポリマー物質を含み、フォトクロミック物質が該ポリマー物質の少なくとも一部に組み込まれている、請求項11に記載のフォトクロミック物品。
【請求項16】
前記フォトクロミック物質が、前記ポリマー物質の少なくとも一部とブレンドされ、該ポリマー物質の少なくとも一部に結合され、および/または該ポリマー物質の少なくとも一部に吸収されている、請求項15に記載のフォトクロミック物品。
【請求項17】
前記基材の少なくとも一部に接合したコーティングまたはフィルムを含む請求項11に記載のフォトクロミック物品であって、該コーティングまたはフィルムがフォトクロミック物質を含むフォトクロミック物品。
【請求項18】
前記基材が、有機物質、無機物質またはそれらの組合せから形成されている、請求項17に記載のフォトクロミック物品。
【請求項19】
フォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、遷移性コーティング、配向層、下塗り、接着性コーティング、ミラーコーティングおよび保護コーティング(防曇コーティング、酸素遮断コーティングおよび紫外線吸収コーティングを包含する)から選択される少なくとも1つの付加的な少なくとも部分的なコーティングをさらに含む、請求項16に記載のフォトクロミック物品。
【請求項20】
1つの下記構造式によって表わされるナフトール:
【化28】

[式中、
(A) 各置換基Qは、独立に、−N、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、水素、1〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル基、非置換または置換アリール基、2〜18個の炭素原子を有する非置換または置換アルケンまたはアルキン基を含み、ここで、該置換基はハロおよびヒドロキシルから選択され、R’’’は、−CF、または2〜18個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含む;
(B) 各iは、0〜利用可能位置の総数から選択される整数であり、各Rは、各存在について独立に、下記から選択される:
(a) 水素、C−C18アルキル、C−C18アルキリデン、C−C18アルキリジン、ビニル、C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジル(これは、非置換であるか、または少なくとも1つのC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシでモノ置換されている);
(b) 下記から選択される少なくとも1つの置換基でパラ位置においてモノ置換されたフェニル:C−C18アルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C20アルキレン、直鎖または分岐鎖C−Cポリオキシアルキレン、環状C−C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C−C18アルキル置換フェニレン、モノ−またはポリ−ウレタン(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−エステル(C−C20)アルキレン、モノ−またはポリ−カーボネート(C−C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびそれらの混合物;ここで、少なくとも1つの置換基が、フォトクロミック物質のアリール基に結合している;
(c) −CH(CN)および−CH(COOX;ここで、Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、C−C18アルキルまたはC−C18ハロアルキルまたはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、延長剤LおよびC−C18アルコキシから選択される;
(d) −CH(X)(X);ここで、
(i) Xは、少なくとも1つの、延長剤L、水素、C−C18アルキル、および非置換またはモノ−またはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;および
(ii) Xは、少なくとも1つの、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXから選択される;
ここで、
(A) Xは、少なくとも1つの下記から選択される:モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC−C18アルキルでモノ−またはジ−置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基(ここで、各置換基は独立にC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシから選択される);および
(B) Xは、延長剤L、水素、−C(O)X、非置換または(C−C18)アルコキシもしくはフェニルでモノ置換されたC−C18アルキル、(C−C18)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C−C18)アルキル、および非置換またはモノ−もしくはジ−置換されたアリール基から選択され、ここで、各アリール置換基は独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(e) 非置換、モノ−、ジ−またはトリ−置換アリール基;9−ジュロリジニル;または、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルおよびフルオレニルから選択される非置換、モノ−またはジ−置換複素芳香族基;ここで、各アリールおよび複素芳香族基の置換基は、各存在について独立に下記から選択される:
(i) 延長剤L;
(ii) −COOXまたは−C(O)X;ここで、Xは、少なくとも1つの下記から選択される:延長剤L、水素、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェノキシ、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたアリール基、非置換またはC−C18アルキルでモノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシでモノ−もしくはジ−置換されたフェニルアミノ基;
(iii) アリール、ハロアリール、C−C10シクロアルキルアリール、およびC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(iv) C−C18アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキルオキシ(C−C18)アルキル、アリール(C−C18)アルキル、アリールオキシ(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルキル、モノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルキル、C−C18ハロアルキル、およびモノ(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル;
(v) C−C18アルコキシ、C−C10シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C−C18)アルコキシ、アリール(C−C18)アルコキシ、アリールオキシ(C−C18)アルコキシ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアリール(C−C18)アルコキシ、およびモノ−またはジ−(C−C18)アルコキシアリール(C−C18)アルコキシ;
(vi) アミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキレン、アミノ、モノ−またはジ−(C−C18)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C−C18)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(vii) −OXまたは−N(X;ここで、Xは下記から選択される:
(A) 延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18アシル、フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルキル置換フェニル(C−C18)アルキル、モノ(C−C18)アルコキシ置換フェニル(C−C18)アルキル;C−C18アルコキシ(C−C18)アルキル;C−C10シクロアルキル;モノ(C−C18)アルキル置換C−C10シクロアルキル、C−C18ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル、ここで、該ベンゾイルおよびナフトイル置換基はそれぞれ独立にC−C18アルキルおよびC−C18アルコキシから選択される;
(B) −CH(X)X;ここで、Xは、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択され、Xは、延長剤L、−CN、−CFまたは−COOX10から選択され、ここで、X10は、延長剤L、水素またはC−C18アルキルから選択される;
(C) −C(O)X;または
(D) トリ(C−C18)アルキルシリル、トリ(C−C18)アルキルシリルオキシ、トリ(C−C18)アルコキシシリル、トリ(C−C18)アルコキシシリルオキシ、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリル、ジ(C−C18)アルキル(C−C18アルコキシ)シリルオキシ、ジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリル、またはジ(C−C18)アルコキシ(C−C18アルキル)シリルオキシ;
(viii) SX11;ここで、X11は、延長剤L、水素、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、非置換またはC−C18アルキルもしくはC−C18アルコキシもしくはハロゲンでモノ−またはジ−置換されたアリール基;
(ix) 式iによって表わされる窒素含有環:
【化29】

ここで、
(A) nは、0、1、2および3から選択される整数であり、但し、nが0であるとき、U’はUであり、各Uは、各存在について独立に、−CH−、−CH(X12)、−C(X12、−CH(X13)−、−C(X13−および−C(X12)(X13)−から選択され、ここで、X12は、延長剤LおよびC−C18アルキルから選択され、X13は、延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択される;および
(B) U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、mは1、2および3から選択される整数である;および
(x) 式iiまたはiiiによって表わされる基:
【化30】

ここで、X14、X15およびX16は、各存在について独立に、延長剤L、水素、C−C18アルキル、フェニルまたはナフチルから選択されるか、またはX14およびX15は一緒になって5〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1または2から選択される整数であり、X17は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシまたはハロゲンから選択される;
(f) ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換された基;ここで、各置換基は、独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(g) 式ivまたはvによって表わされる基:
【化31】

ここで、
(i) V’は、各式において独立に、−O−、−CH−、C−Cアルキレン、およびC−C10シクロアルキレンから選択される;
(ii) Vは、各式において独立に、−O−または−N(X21)−から選択され、ここで、X21は、前記の式Iによって表わされる延長剤L、水素、C−C18アルキル、およびC−C18アシルから選択され、但し、Vが−N(X21)−であるとき、V’は−CH−である;
(iii) X18およびX19は、それぞれ独立に、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(iv) kは、0、1および2から選択され、各X20は、各存在について独立に、延長剤L、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される;
(h) 式viによって表わされる基:
【化32】

(i) X22は、延長剤L、水素、およびC−C18アルキルから選択される;および
(ii) X23は、延長剤L、ならびにアリール、フラニルおよびチエニルから選択される非置換またはモノ−またはジ−置換された基から選択され;ここで、各置換基は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、およびハロゲンから選択される;
(i) −C(O)X24;ここで、X24は、下記から選択される:延長剤L、ヒドロキシ、C−C18アルキル、C−C18ハロアルキル、C−C18アルコキシ、非置換またはC−C18アルキルまたはC−C18アルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換または少なくとも1つのC−C18アルキル、アリールおよびベンジルでモノ−またはジ−置換されたアミノ;
(j) −COOX
(k) −OXおよび−N(X
(l) −SX11
(m) 式iによって表わされる窒素含有環;
(n) 1つの式iiまたはiiiによって表わされる基;
(o) 下記によって表わされる延長剤L:
−[S−[Q−[Sd’−[Q−[Se’−[Q−[Sf’−S−P;
ここで、
(i) 各Q、QおよびQは、各存在について独立に、下記から選択される:下記から選択される二価の基:非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環式基、およびそれらの混合物;ここで、置換基は、下記から選択される:Pによって表わされる基、液晶メソゲン、ハロゲン、ポリ(C−C18アルコキシ)、C−C18アルコキシカルボニル、C−C18アルキルカルボニル、C−C18アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C18)アルコキシカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルカルボニルペルフルオロ(C−C18)アルキルアミノ、ジ−(ペルフルオロ(C−C18)アルキル)アミノ、ペルフルオロ(C−C18)アルキルチオ、C−C18アルキルチオ、C−C18アセチル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルコキシ、直鎖または分岐鎖C−C18アルキル基(これは、シアノ、ハロもしくはC−C18アルコキシでモノ置換されているか、またはハロでポリ置換されている)、および1つの下記の式を含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)、ここで、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、tはMの原子価である;
(ii) c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0〜20(両端の数字を含む)の整数から選択され;各S、S、S、SおよびSは、各存在について独立に、下記から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1) −(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−;ここで、gは各存在について独立に1〜20から選択され、hは1〜16(両端の数字を含む)の自然数である;
(2) −N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−、または単結合;ここで、Zは、各存在について独立に、水素、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、各存在について独立に、C−C18アルキル、C−C10シクロアルキルおよびアリールから選択される;および
(3) −O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、または直鎖または分岐鎖C−C24アルキレン残基;該C−C24アルキレン残基は、非置換、またはシアノもしくはハロによるモノ置換、またはハロによるポリ置換であり;但し、ヘテロ原子を含有する2個のスペーサー単位がともに結合しているとき、スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合し、SおよびSがそれぞれPCおよびPに結合しているとき、それらは2個のヘテロ原子が互いに直接的に結合しないように結合している;
(iii) Pは下記から選択される:ヒドロキシ、アミノ、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、アジド、シリル、シロキシ、シリルヒドリド、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ、チオ、イソシアナト、チオイソシアナト、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル、アジリジニル、アリルオキシカルボニルオキシ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリロイルアミノ、メタクリロイルアミノ、アミノカルボニル、C−C18アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル(C−C18)アルキル、C−C18アルキルオキシカルボニルオキシ、ハロカルボニル、水素、アリール、ヒドロキシ(C−C18)アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ(C−C18)アルキル、C−C18アルキルアミノ、ジ−(C−C18)アルキルアミノ、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、C−C18アルコキシ(C−C18)アルコキシ、ニトロ、ポリ(C−C18)アルキルエーテル、(C−C18)アルキル(C−C18)アルコキシ(C−C18)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ(C−C18)アルキル、2−クロロアクリロイル、2−フェニルアクリロイル、アクリロイルオキシフェニル、2−クロロアクリロイルアミノ、2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル、オキセタニル、グリシジル、シアノ、イソシアナト(C−C18)アルキル、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、主鎖および側鎖液晶ポリマー、シロキサン誘導体、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換桂皮酸誘導体、桂皮酸誘導体(これは、少なくとも1つの、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンで置換されている)、または置換または非置換キラルまたは非キラル一価または二価基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびそれらの混合物から選択され、ここで、該置換基は、独立に、C−C18アルキル、C−C18アルコキシ、アミノ、C−C10シクロアルキル、C−C18アルキル(C−C18)アルコキシ、フルオロ(C−C18)アルキル、シアノ、シアノ(C−C18)アルキル、シアノ(C−C18)アルコキシまたはそれらの混合物から選択される);または、Pは、2〜4個の反応性基を有する構造であるか、またはPは、非置換または置換開環メタセシス重合先駆物質である;および
(iv) d’、e’およびf’は、それぞれ独立に、0、1、2、3および4から選択され、但し、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である;
(p) 直接に隣接するR基が一緒になって、式vii、viiiまたはixによって表わされる基を形成する:
【化33】

ここで、
(i) WおよびW’は、各存在について独立に、−O−、−N(X)−、−C(X14)−、−C(X17)−から選択される;
(ii) X14、X15およびX17は、前記の通りである;および
(iii) qは、0、1、2、3および4から選択される整数である;および
(C) 基Aは、インデノ、チオフェノ、ベンゾチオフェノ、フロまたはベンゾフロを表わす]。
【請求項21】
下記構造式の一つによって表される、請求項20に記載のナフトール:
【化34】

[式中、各置換基Qは、独立に、−CN、−COOR’、−CCR’、−C(R’)C(R’)R’、−OCOR’、−OCOOR’、−SR’、−OSOR’’’および/または−CON(R’)R’を含み、ここで、各R’は独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を含み、R’’’は、−CF、または2〜12個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を含み、基Aはインデノである]。
【請求項22】
下記構造式によって表わされる、請求項20に記載のナフトール:
【化35】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−511001(P2012−511001A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539592(P2011−539592)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065701
【国際公開番号】WO2010/065393
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】