説明

フォトクロミック機能付遮光フィルム

【課題】紫外線の少ない夜間における視認性を有し、夜間に光の照光範囲を制御したり、部分照光を可能にし、紫外線の多い所で、十分な遮光効果を発揮することができるフォトクロミック機能付遮光フィルムを提供する。
【解決手段】ルーバー層110と、ルーバー層110の片面に積層して接着層130によって接着される透明保護層120と、ルーバー層110の他方の面に形成された粘着層140とを備え、ルーバー層110、透明保護層120、接着層130及び粘着層140は、それぞれ、可撓性を有するフィルム状とし、ルーバー層110は、複数のフォトクロミック色素を含む遮光帯111と複数の光透過帯112とが互い違いに積層され、これら遮光帯111と光透過帯112の接合面をルーバー層110の表面に垂直で、互いに平行となるように等間隔に配置したフォトクロミック機能付遮光フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光フィルムに関する。より具体的には、ATM、照明器具、デジタル家電、車載用途等のディスプレイに適用する光制御フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末、カード等の暗号番号入力端末等からなる情報表示体を操作する際、情報を視認するため、太陽光や蛍光灯等の不要な外光を遮断したり、コントラストを向上させたり、あるいは可視角の範囲の調整に迫られることがある。
【0003】
これに対し、透明シリコーンゴムシートと着色シリコーンゴムシートとを交互に重ねて一体化することにより形成した防眩層を含む覗き見防止体を情報表示体に貼り付ける方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
又、ディスプレイ装置用フィルターにおいて、外部環境光の遮蔽等のために、透明基材中に光変色性色素等の変色性色素の含まれた樹脂が層を成して、その変色性色素が所定のパターンに不可逆的に変色して外光遮蔽パターンを形成するような外光遮蔽フィルムを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−131202号公報
【特許文献2】特開2009−98695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている覗き見防止体においては、防眩層内に使用される着色シリコーンゴムの構成材料が定まれば色は固定され、又、特許文献2に提案されている外光遮蔽フィルムにおいても、光変色性色素が変色して元の色に戻らないようにしているので、外光環境が大きく変動する場合には、その変動に外光遮断効果が追随しないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、(い)紫外線の少ない夜間における視認性を有し、(ろ)夜間に光の照光範囲を制御したり、部分照光を可能にし、(は)紫外線の多い所で、十分な遮光効果を発揮することができるフォトクロミック機能付遮光フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0009】
(1)光透過帯と遮光帯とが交互に配されたルーバー層と、そのルーバー層の少なくとも片側表面に接着された透明保護層とを有し、遮光帯が、黒色又は有色樹脂と、フォトクロミック色素を含むことを特徴とするフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0010】
(2)ルーバー層が第1ルーバー層と第2ルーバー層の2層からなり、そのルーバー層は、第1ルーバー層と第2ルーバー層が、第1ルーバー層の光透過帯及び遮光帯の方向が、第2ルーバー層の光透過帯及び遮光帯の方向と直交するように積層されていることを特徴とする(1)に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0011】
(3)遮光帯の黒色又は有色樹脂は、黒色又は暗色の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0012】
(4)フォトクロミック材料は、スピロラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、フルキド系化合物及びヘキサアリールビスイミダゾール系化合物からなる群から選択される1つ又は複数であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0013】
(5)光透過帯は、透明の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0014】
(6)光透過帯及び遮光帯は、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤のうちのいずれか1つ又は複数を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0015】
(7)透明保護層は、アクリル樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなる紫外線透過性の透明樹脂フィルムであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0016】
(8)遮光帯は、3〜50質量%のフォトクロミック色素を含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【0017】
(9)ルーバー層、又は第1ルーバー層及び第2ルーバー層を、厚さ0.15〜0.25mm、透明性70%以上、可視角30°〜120°に形成し、光透過帯の巾を40〜260μmに形成するとともに、遮光帯の幅を10〜50μmに形成し、透明保護層の厚さを0.1〜0.5mmとした(1)〜(8)のいずれかに記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、(い)紫外線の少ない夜間における視認性を有し、(ろ)夜間に光の照光範囲を制御したり、部分照光を可能にし、(は)紫外線の多い所で、十分な遮光効果を発揮することができるフォトクロミック機能付遮光フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係るフォトクロミック機能付遮光フィルムの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係るフォトクロミック機能付遮光フィルムの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例3に係るフォトクロミック機能付遮光フィルムの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る実施例1のフォトクロミック機能付遮光フィルムの斜視図であり、図2は、図1のA−A矢視断面図である。
【0022】
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態におけるフォトクロミック機能付遮光フィルム1は、ルーバー層110と、このルーバー層110の片側表面に積層して接着層130によって接着される透明保護層120と、ルーバー層110のもう1方の表面に形成された粘着層140とを備える。これらルーバー層110、透明保護層120、接着層130及び粘着層140は、それぞれ、可撓性を有するフィルム状又はシート状とし、ルーバー層110は、複数の遮光帯111と複数の光透過帯112とを横方向に互い違いに積層して形成するとともに、これら遮光帯111と光透過帯112の接合面をルーバー層110の表面に垂直で、互いに平行となるように等間隔に配置する。フォトクロミック機能付遮光フィルム1は、粘着層140によって、ATM、照明器具、デジタル家電、車載用途等のディスプレイ(図示せず)上に着脱自在に粘着される。
【0023】
遮光帯111は、少なくとも、黒色又は有色樹脂と、フォトクロミック色素を含む。
【0024】
遮光帯111に含まれる黒色又は有色樹脂としては、黒色又は暗色の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂を使用することができる。
【0025】
黒色又は暗色の熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂は、透明熱硬化性シリコーン樹脂組成物又は熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物にカーボンブラック等の黒色又は暗色の顔料や染料添加して、黒色又は暗色の遮光性樹脂とすることができる。
【0026】
一般的にフォトクロミック色素は、特定波長の光を受けると色が変わり、特定波長の光を一定時間受けない場合は、また本来の色に戻る特性を有している。遮光帯111に含まれるフォトクロミック色素としては、紫外線によって色の変わるスピロラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、フルキド系化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物等から選択される1つ又は複数を使用することができる。
【0027】
遮光帯111は、フォトクロミック色素を3〜50質量%含有することが好ましい。フォトクロミック色素の含有量が3質量%未満であると、紫外線による変色効果が微弱となり、フォトクロミック色素の含有量が50質量%を超えると、
熱硬化性のシリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂がフォトクロミック色素を固定することができなくなる。
【0028】
光透過帯112の樹脂としては、透明の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂を使用することができるが、遮光帯111との界面の接着性の点で、遮光帯111に用いた樹脂と同質の樹脂が好ましい。
【0029】
光透過帯112の巾(図2のW1)と遮光帯111の巾(図2のW2)は、透明性や平行光線透過率がW1/W2の比で決定されること、可視角θの範囲が光透過帯112の屈折率と幅、ルーバー層110の厚さ(図2のt)により決定されることを勘案して選択される。具体的には、ルーバー層の厚さtは0.15〜0.25mm、光透過帯112の巾W1は40〜260μmに形成される。また、遮光帯111の巾W2は、人間の視力に悪影響を及ぼさないよう10〜50μm、好ましくは10〜30μmに形成される。t、W1、W2を係る数値とすれば、可視角θを30°〜120°とし、黒色又は暗色樹脂と透明樹脂を適宜選択することにより、ルーバー層110に紫外線が入射していない状態で、ルーバー層110を透明性で平行光線透過率が70%以上に形成することができる。
【0030】
ルーバー層110に外光環境から紫外線が入射すると、紫外線の強度に応じて遮光帯111中に含まれるフォトクロミック色素が効率的に変色して光吸収程度が変化するので、ディスプレイの画像のコントラストは変化せず、良好な状態に保たれる。
【0031】
透明保護層120としては、厚さ0.1〜0.5mm程度、好ましくは厚さ0.1〜0.3mm程度、より好ましくは0.1〜0.2mm程度のアクリル樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなる紫外線透過性の光透過度65%以上の高透明樹脂フィルムが使用される。このような材質・厚さとすれば、引張り強さ、引き裂き強度等の物理的強度に優れたシート又はフィルムを得ることができる。また、ルーバー層110と一体化することにより、打ち抜き加工等の二次加工性も良好となる。
【0032】
ルーバー層110と透明保護層120は、接着層130を介して接着される。
【0033】
接着層130は、プライマーを含有したシリコーン型等の透明接着剤からなり、ルーバー層110の接着面又は透明保護層120の接着面に10〜30μmの厚さで印刷塗布される。
【0034】
粘着層140は、例えば透明なシリコーンゴムシート等からなり、ルーバー層110の透明保護層120を接着した表面と対向する表面(図2の下側表面)に加硫して接着される。この透光性の粘着層140は、ディスプレイに粘着される貼り付け面が透光性粘着面であることが望ましい関係上、例えば鏡面状態のPETフィルムにカレンダーロール等を使用して厚さ10〜30μmにコーティングされ、ルーバー層110の下側表面に転写されて加硫接着され、その後、PETフィルムが剥離されることによりルーバー層110の下側表面と一体化される。粘着層140の情報表示体の液晶ディスプレイに対する粘着強度(JIS K 6256)は、0.30〜0.80N/25mm、好ましくは0.30〜0.50N/25mmに選択される。また、粘着層140の透光性粘着面における鏡面光沢度(JIS Z 8741における入射角度60°の光沢度)は120%以上に選択される。
【0035】
上記構成によれば、フォトクロミック機能付遮光フィルム1をディスプレイに粘着させると、明室環境では、太陽光や蛍光灯等の強度に追随してフォトクロミック色素が着色されるため、不要な外光を遮断して、コントラストを向上させることができ、あるいは夜間等の外光のない暗室環境においてはフォトクロミック色素が透明となるため、ディスプレイの表示のコントラストが損なわれることはない。従って、ディスプレイを手で覆ったり、フォトクロミック機能付遮光フィルム1を傾けたり、あるいはフォトクロミック機能付遮光フィルム1の向きを変えなくても、良好な視認性を有効に確保することができ、これを通じて操作性を大幅に向上させることが可能になる。フォトクロミック機能付遮光フィルム1のルーバー層110が遮光効果を発揮するので、適切な可視角の設定により、ディスプレイに表示される各種の情報を第三者が可視角より大きい角度で横から覗き見て読み取るのが不可能、あるいはきわめて困難になる。従って、第三者に情報の漏洩することがなく、覗き見を気にすることなく、安心して情報を把握したり、発信することができる。
【0036】
(第2実施形態)
【0037】
図4は、本発明の第2実施形態に係る実施例3のフォトクロミック機能付遮光フィルムの斜視図である。
【0038】
図4に示したように、本発明の第2実施形態においては、ルーバー層310が第1ルーバー層310aと第2ルーバー層310bとからなる他は、基本的な構成は第1実施形態と同様である。
【0039】
ルーバー層310において、第1ルーバー層と第2ルーバー層は、第1ルーバー層の遮光帯311a及び光透過帯312aが第2ルーバー層の遮光帯311b及び光透過帯312bと直交するように配置されて、接着層330bを介して接着されている。
【0040】
第1ルーバー層の遮光帯311a及び光透過帯312aと、第2ルーバー層の遮光帯311b及び光透過帯312bの寸法、構成は、それぞれ図2における第1実施形態の第1ルーバー層の遮光帯111及び光透過帯112と同様であるが、
第1ルーバー層の可視角と第2ルーバー層の可視角が異なるように設定して、ディスプレイの目的に応じて縦方向、横方向の可視角を変えることができる。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
図1は、実施例1のフォトクロミック機能付遮光フィルムの斜視図、図2は、図1のA−A矢視断面図である。
【0042】
まず、シリコーンゴムコンパウンドKE−581U(信越化学工業社製 商品名)からなる厚さ0.20mmの高透明フィルムに、巾30μmの複数の平行な直線の溝を120μm離間させて、厚さ方向に貫通するように形成した。次に、シリコーンゴムコンパウンドKE−981U(信越化学工業社製 商品名)に、黒色物質としてのカーボンブラックと、フォトクロミック色素としての、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物の1種であるpseudogem−Bis(3,3’,4,4’−tetramethoxydiphenylimidazole)[2.2]
paracyclophane(2)(関東化学社製 商品名)とを加えて均一に混練して遮光帯の黒色樹脂とし、これを上記の溝に充填した。
【0043】
次に、黒色樹脂を溝に充填した高透明シリコーン樹脂フィルムを加熱加硫硬化させて、図1、2の遮光層111と光透過層112が相互に平行で、かつ交互に配置された厚さ0.2mmのルーバー層110を作製した。このルーバー層110は、可視平行光線透過率が80%以上、可視角が60°のシリコーンゴムフィルムである。
【0044】
次に、ルーバー層110の片側表面に、液状シリコーンゴムKE‐1934A/B(信越化学工業社製 商品名)とプライマーAP‐1(信越化学工業社製 商品名)とからなるシリコーンの接着層130を、スクリーン印刷機を使用して約30μmの厚さに塗布し、このシリコーンの接着層130に、厚さ0.2mmのアクリル樹脂のアクリライト#000(三菱レーヨン社製 商品名)からなる紫外線透過性かつ高透明性の透明保護層120を一体接着した。
【0045】
そして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの鏡面側に、液状シリコーンゴムKE‐1934A/B(信越化学工業社製
商品名)をスクリーン印刷機を使用して約30μmの厚さに塗布し、ルーバー層110のもう1方の表面に粘着層140を加熱加硫接着し、その後、PETフィルムを剥離して鏡面状の透光性粘着面を形成して、フォトクロミック機能付遮光フィルム1を作製した。このシリコーンゴム、すなわち、粘着層140の透光性粘着面における鏡面光沢度(JIS Z 8741における入射角度60°の光沢度)は140%であった。
【0046】
こうしてフォトクロミック機能付遮光フィルム1を得たら、これを車載用ナビゲータの液晶ディスプレイの大きさに応じてカットして、遮光帯111及び光透過帯112の方向が上下方向になるように液晶ディスプレイに粘着し、液晶ディスプレイに情報を表示した。液晶ディスプレイに情報を表示したところ、液晶ディスプレイの横約35°からは黒く見えるだけで液晶ディスプレイに表示された情報を把握することはできなかった。これに対し、液晶ディスプレイの正面からは液晶ディスプレイに表示された情報をきわめて容易、かつ鮮明に把握することができた。この液晶ディスプレイの表示は、昼間の明室環境で太陽光線があたって液晶ディスプレイに紫外線が照射されている場合も、夜間の暗室環境で外光がない場合も、同等の良好な視認性が確認された。
【0047】
(実施例2)
図3は、実施例2のフォトクロミック機能付遮光フィルムの部分側面図である。
【0048】
実施例2においては、図2における実施例1の粘着層140の代りに、図3に示したように、接着層230b、透明保護層220b及び粘着層240を配置したこと以外は、実施例1と同様である。
【0049】
実施例2におけるルーバー層210は、実施例1のルーバー層110と同様であり、実施例2における透明保護層220a、220bは、実施例1の透明保護層120と同様であり、実施例2における接着層230a、230bは、実施例1の接着層130と同様であり、実施例2における粘着層240は、実施例1の粘着層140と同様である。
【0050】
実施例1の場合、液晶ディスプレイ面と粘着層140の間に空気が入って、ルーバー層110の遮光層111の遮光性が十分に作用しなくなる恐れがある。これに対し、実施例2のように、粘着層240とルーバー層210の間に透明保護層220bを介在させると、液晶ディスプレイ面へのフォトクロミック機能付遮光フィルム2の粘着作業が容易となり、このような恐れは解消する。
【0051】
(実施例3)
図4は、実施例3のフォトクロミック機能付遮光フィルムの斜視図である。
【0052】
実施例3においては、実施例1の図2のルーバー層110を、図4に示すように、第1ルーバー層310aと第2ルーバー層310bの2層からなるルーバー層310とし、第1ルーバー層310aの厚さ及び第2ルーバー層310bの厚さをともに0.2mmとしたこと以外は、実施例1と同様である。
【0053】
実施例3における第1ルーバー層310aと第2ルーバー層310bは、第1ルーバー層310aの遮光帯311a及び光透過層312aが、第2ルーバー層310bの遮光帯311b及び光透過層312bと直交するように配置されている。
実施例3における第1ルーバー層310aと第2ルーバー層310bの寸法、構成は、それぞれ実施例1の図2のルーバー層110と同様である。
【0054】
実施例3における透明保護層320は、実施例1の透明保護層120と同様であり、実施例3における接着層330a、330bは、実施例1の接着層130と同様であり、実施例3における粘着層340は、実施例1の粘着層140と同様である。
【0055】
こうしてフォトクロミック機能付遮光フィルム3を得たら、これを車載用ナビゲータの液晶ディスプレイの大きさに応じてカットして、第1ルーバー層310aの遮光帯311a及び光透過帯312aの方向が上下の縦方向になるように液晶ディスプレイに粘着し、液晶ディスプレイに情報を表示した。この場合、第2ルーバー層310bの遮光帯311b及び光透過帯312bは左右の横方向を向く。液晶ディスプレイに情報を表示したところ、液晶ディスプレイの縦約35°及び横約35°からは黒く見えるだけで液晶ディスプレイに表示された情報を把握することはできなかった。これに対し、液晶ディスプレイの正面からは液晶ディスプレイに表示された情報をきわめて容易、かつ鮮明に把握することができた。この液晶ディスプレイの表示は、昼間の明室環境で太陽光線があたって液晶ディスプレイに紫外線が照射されている場合も、夜間の暗室環境で外光がない場合も、同等の良好な視認性が確認された。
【0056】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
1、2、3 フォトクロミック機能付遮光フィルム
110 ルーバー層
111 遮光帯
112 光透過帯
120 透明保護層
130 接着層
140 粘着層
210 ルーバー層
211 遮光帯
212 光透過帯
220a、220b 透明保護層
230a、230b 接着層
240 粘着層
310 ルーバー層
310a 第1ルーバー層
310b 第2ルーバー層
311a、311b 遮光帯
312a、312b 光透過帯
320 透明保護層
330a、330b 接着層
340 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過帯と遮光帯とが交互に配されたルーバー層と、
当該ルーバー層の少なくとも片側表面に接着された透明保護層とを有し、
前記遮光帯が、黒色又は有色樹脂と、フォトクロミック色素を含むことを特徴とするフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項2】
前記ルーバー層が第1ルーバー層と第2ルーバー層の2層からなり、
前記ルーバー層は、前記第1ルーバー層と前記第2ルーバー層が、前記第1ルーバー層の前記光透過帯及び前記遮光帯の方向が、前記第2ルーバー層の前記光透過帯及び前記遮光帯の方向と直交するように積層されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項3】
前記遮光帯の前記黒色又は有色樹脂は、黒色又は暗色の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項4】
前記フォトクロミック材料は、スピロラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、フルキド系化合物及びヘキサアリールビスイミダゾール系化合物からなる群から選択される1つ又は複数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項5】
前記光透過帯は、透明の、熱硬化性シリコーン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項6】
前記光透過帯及び前記遮光帯は、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤のうちのいずれか1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項7】
前記透明保護層は、アクリル樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなる紫外線透過性の透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項8】
前記遮光帯は、3〜50質量%のフォトクロミック色素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。
【請求項9】
前記ルーバー層、又は前記第1ルーバー層及び前記第2ルーバー層を、厚さ0.15〜0.25mm、透明性70%以上、可視角30°〜120°に形成し、前記光透過帯の巾を40〜260μmに形成するとともに、前記遮光帯の幅を10〜50μmに形成し、上記透明保護層の厚さを0.1〜0.5mmとした請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトクロミック機能付遮光フィルム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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