説明

フォトセンサ、光検出装置および光検出方法

【課題】外乱光が入射する使用環境でも検出対象物の有無の検出を行うことができるフォトセンサ、光検出装置および光検出方法を得ること。
【解決手段】キャリアパルス生成回路207は、擬似乱数系列に基づいて信号「1」と信号「−1」のいずれかを所定の周期の中で同じ時間ずつとるキャリアパルス信号206を出力し、発光部駆動回路209はこれに応じて発光部204のオンオフを制御する。乗算回路212は、受光部205が受光に応じて出力する光強度信号210とこのキャリアパルス信号206を入力して乗算し、キャリアパルス信号206の波形と相関関係を有さない外乱光227による信号成分の平均値をほぼ「0」にする。平均化回路214はこの乗算後の信号を平均化し、比較器218はこの平均化された信号が基準値216以上となる区間に「検出対象物有り」とする検出信号217を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の方向に射出した光が反射されるか否かによって、あるいはその光が遮られるか否かによって所定の位置に検出対象物が存在するか否かを検出するフォトセンサと、これを複数備えた光検出装置およびフォトセンサを使用した光検出方法に係わり、特にフォトセンサの受光部分に外乱光が入射する場合に好適なフォトセンサ、光検出装置および光検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反射光を用いて検出対象物の有無を検出する反射型フォトセンサや、進路の途中で光が遮られるかどうかによって検出対象物の有無を検出する透過型フォトセンサは、様々な分野で使用されている。たとえば、複写機の原稿検出センサや、改札口で人の通行の有無を検知するセンサはその代表的なものである。
【0003】
図14は、フォトセンサを使用して検出対象物の有無を検出する様子を表わしたものである。このフォトセンサ101は発光部102と受光部103を備えている。発光部102はこの検出対象物104が存在すべき位置に向けて検出光105を射出するようになっている。検出対象物104が存在すると、検出光105がこの検出対象物104で反射することにより生ずる反射光106が入射する位置に受光部103が配置されている。したがって、受光部103が反射光106を検知するか否かによって、検出対象物104の有無を検出することが可能となる。
【0004】
しかしながら、反射光106以外の光が受光部103に入射するような環境では、検出対象物104が存在しない状態でも検出対象物104が存在するような誤検知が生じる可能性がある。このような本来検出すべき光以外の光は、一般に外乱光と呼ばれている。そこで、受光部103に外乱光の波長光を遮断するフィルタを配置すると共に、発光部103からこのフィルタによっては遮断されないような波長の光を出力させることで、外乱光による影響を無くすことが一般に行われている。
【0005】
ところが、外乱光は、日光や白色蛍光灯のようにさまざまな波長の光を含んでいることがある。このため、外乱光の全波長を遮断するフィルタを選定することが難しく、外乱光による誤検出の問題解決に役立たない場合が多い。そこで、発光部が射出する光の波長は特に制限せず、時間軸上における光の出力をパルス状とすることで、このパルス状の波形となる光のみを本来検出すべき光とし、外乱光による誤った検出を防止するようにしたフォトセンサが従来より提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
図15は、この第1の提案によるフォトセンサの構成を表わしたものである。このフォトセンサ120は、検出対象物121の有無を検出するため、発光部122と受光部123とを備えた検知部124と、発光部122に接続された発光部駆動制御回路125および受光部123に接続された光強度信号処理回路126を備えている。発光部駆動制御回路125は所定の周期のパルス信号127を発生させ、これを発光部122および光強度信号処理回路126へと供給する。発光部122はこのパルス信号127が立ち上がっている区間だけ検出光128を射出する。光強度信号処理回路126は、受光部123が受光に応じて出力する光強度信号129を入力し、これを所定のしきい値と比較して受光量が多いときに立ち上がるようなパルス状の信号に整形する。
【0007】
そして、パルス信号127が立ち上がっている区間すなわち発光区間と、パルス信号127が立ち下がっている区間すなわち非発光区間の両方で、この整形された信号が立ち上がっているか否か、すなわち所定の量以上の光が入射されているかどうかを監視する。発光区間で所定の量以上の光が入射され、非発光区間で所定の量以上の光が入射されていない場合は、「検出対象物有り」と判別するようになっている。また、非発光区間に所定の量以上の光が入射されている場合は、発光区間に所定の量以上の光の入射があってもそれが反射光130によるものではなく外乱光131によるものである可能性があるため、検出対象物の有無の判別を行わないようになっている。
【0008】
他にも、発光部を駆動するためのパルス信号とこれを反転させた信号とを利用して、外乱光を反射光と誤って検出することを防ぐようにしたフォトセンサの提案が行われている(たとえば特許文献2参照)。この第2の提案では、受光部が出力する光強度信号を所定のしきい値との比較によって受光量が多いときに立ち上がるようなデジタル信号に整形する。そして、このデジタル信号について、発光部を駆動するためのパルス信号との論理積を演算するとともに、パルス信号を反転させた反転信号との論理積を演算するようになっている。すなわち、パルス信号との論理積を平滑化した第1の信号のレベルは、発光区間における受光量のレベルを表わし、反転信号との論理積を平滑化した第2の信号のレベルは、非発光区間における受光量、すなわち外乱光の入射量のレベルを表わすようになっている。したがって、第1の信号のレベルが高く第2の信号のレベルが低い場合には「検出対象物有り」と判別し、両方のレベルが低い場合には「検出対象物無し」と判別するようになっている。また、両方のレベルが高い場合には、発光区間の光の入射が検出対象物からの反射光によるものではなく外乱光によるものである可能性があるため、「判別不能」とする結果を出力するようになっている。
【特許文献1】特開2002−148353号公報(第0035、0048段落、図1)
【特許文献2】特開昭59−090111号公報(第2頁左下欄2行目〜第3頁左上欄15行目、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、フォトセンサは外乱光が入射する使用環境においても検出対象物の有無の検出を行えることが望ましい。たとえば、複写機の自動原稿供給装置で原稿の用紙サイズを検知するために反射型フォトセンサを使用するような場合に、外乱光の影響で検知不能となってしまうのは好ましくない。
【0010】
しかしながら、第1および第2の提案のいずれも、光強度信号をパルス状に整形した信号を基に発光区間における反射光の入射の有無の判別および外乱光の入射の可能性の有無の判別を行うようになっている。したがって、たとえば、発光区間に単独でしきい値を超えるような外乱光のみが入射している場合と、それぞれ単独でもしきい値を超えるような外乱光と反射光の双方が同時に入射されている場合は、共に同じ信号波形に整形されてしまう。この結果として、発光区間に反射光がしきい値以上の量で入射されているか否かを判別することができない。また、発光区間にそれぞれ単独ではしきい値に達しないがその総量ではしきい値を超えるような外乱光と反射光とが入射しており、非発光区間にはしきい値に達しない外乱光のみが入射しているような場合には、本来であれば「検出対象物無し」とすべきところを「検出対象物有り」と誤検出してしまう可能性がある。
【0011】
そこで本発明の目的は、外乱光が入射する使用環境でも検出対象物の有無の検出を行うことができるフォトセンサ、光検出装置および光検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明では、(イ)異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中でその周期の半分の時間となっている信号である2値信号の値が、前記した2つの値のうち一方の値のときにのみ所定の位置に向けて光を射出する光射出手段と、(ロ)この光射出手段によって射出される光が所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置され、入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号を出力する受光手段と、(ハ)この受光手段が出力する光強度信号を入力し、2値信号が前記した2つの値のうち一方の値のときにはこの光強度信号をそのまま出力するとともに、他方の値のときにはこの光強度信号の正負を反転させた信号を出力する信号処理手段と、(ニ)この信号処理手段が出力する信号の値を前記した所定の周期ごとに平均化した平均化後信号を出力する信号平均化手段と、(ホ)この信号平均化手段が出力する平均化後信号の絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには所定の位置に検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには所定の位置に検出対象物が存在することを示す検出信号を出力するしきい値比較手段とをフォトセンサに具備させる。
【0013】
すなわち請求項1記載の発明では、フォトセンサは所定の位置に向けて光を射出する光射出手段と、この光が所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置された受光手段とを備えている。そして、光射出手段は、異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号である2値信号が一方の値のときにのみ光の射出を行うようになっている。また、受光部は、入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号を出力する。したがって、外乱光が無い状態で、光射出手段によって射出された光が受光手段に直接に、あるいは検出対象物の表面で反射した反射光として間接的に入射すると、光強度信号は2値信号の波形と対応した波形となる。すなわち、2値信号の値が変化するタイミングと光強度信号の値が大きく変化するタイミングがほぼ同じとなっている。そして、これを基にして光射出手段が射出した光が受光手段に入射しているか否か、すなわち検出対象物が所定の位置に存在するか否かを判別することができる。
【0014】
しかしながら、外乱光を受光している状態では光強度信号の波形は乱れるため、誤った検出を行ってしまう恐れがある。そこで、信号処理手段はこの光強度信号を入力し、この信号を2値信号が一方の値のときにはそのままとし、他方の値のときには正負を反転させる。すると、光強度信号の信号成分のうち2値信号の波形と対応している波形の信号成分の値は、正あるいは負のいずれかに偏ることになり、その平均値は、値「0」から離れた値となる。一方、光強度信号の信号成分のうち2値信号の波形と対応していない波形の信号成分は、正と負に分散され、しかも2値信号の2つの値は前記したように各周期内で同じ時間ずつ出力されるようになっているので、この所定の周期ごとの時間平均をとるとその値がほぼ「0」となる。そこで、光強度信号の値をこの所定の周期ごとに平均化することによって、外乱光による信号成分を低減させる。そして、その絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには所定の位置に検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには所定の位置に検出対象物が存在することを示す検出信号を出力する。これにより、外乱光が入射する使用環境でも検出対象物の有無の検出を行うことができる。
【0015】
請求項8記載の発明では、それぞれ異なった位置に配置された請求項1記載のフォトセンサと、各々の光射出手段によってそれぞれ異なる所定の位置に向けて射出される光が自己以外のフォトセンサの受光手段に入射し得る配置で複数具備するとともに、これらの複数のフォトセンサにそれぞれ異なるパターンの2値信号を供給するこれらのフォトセンサを構成するそれぞれの光射出手段に対して、時間軸上で異なったパターンを構成する2値信号を供給する2値信号供給手段とを光検出装置に具備させる。
【0016】
すなわち請求項8記載の発明は、それぞれ異なった位置に配置された請求項1記載のフォトセンサを複数備えた光検出装置となっているが、このような場合にそれぞれ同じパターンの2値信号を使用していると、誤検出を招く恐れがある。そこで、これらのフォトセンサにそれぞれ時間軸上で異なったパターンを構成する2値信号を供給するようにしている。これにより、その配置関係にかかわらず複数のフォトセンサのそれぞれで検出対象物の有無の検出を行うことができる。
【0017】
請求項9記載の発明では、(イ)異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号である2値信号の値が、前記した2つの値のうち一方の値のときにのみ所定の位置に向けて光を射出する光射出ステップと、(ロ)この光射出手段によって射出される光が所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置され入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号を出力する受光手段からこの光強度信号を入力し、2値信号生成ステップで出力される2値信号が前記した2つの値のうち一方の値のときにはこの光強度信号をそのまま出力するとともに、他方の値のときにはこの光強度信号の正負を反転させた信号を出力する信号処理ステップと、(ハ)この信号処理ステップで出力される信号を前記した所定の周期ごとに平均化した平均化後信号を出力する信号平均化ステップと、(ニ)この信号平均化ステップで出力される平均化後信号の絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには所定の位置に検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには所定の位置に検出対象物が存在することを示す検出信号を出力する検出結果出力ステップとを光検出方法に具備させる。
【0018】
すなわち請求項9記載の発明では、異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号である2値信号の値が一方の値のときにのみ所定の位置に光を射出する。また、この射出される光がこの所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置された受光手段からは、入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号が出力されるようになっている。したがって、外乱光が無い状態で、光射出手段が射出した光が受光手段に直接に、あるいは検出対象物の表面で反射した反射光として間接的に入射すると、光強度信号は2値信号の波形と対応した波形となる。すなわち、2値信号の値が変化するタイミングと光強度信号の値が大きく変化するタイミングがほぼ同じとなっている。そして、これを基にして光射出手段が射出した光が受光手段に入射しているか否か、すなわち所定の位置に検出対象物が存在するか否かを判別することができる。
【0019】
しかしながら、外乱光を受光している状態では光強度信号の波形は乱れるため、誤った検出を行ってしまう恐れがある。そこで、信号処理ステップでは、この光強度信号を入力し、この信号を2値信号が一方の値のときにはそのまま出力し、他方の値のときには正負を反転させて出力する。すると、光強度信号の信号成分のうち2値信号の波形と対応している波形の信号成分の値は、正あるいは負のいずれかに偏ることになり、その平均値は、値「0」から離れた値となる。一方、光強度信号の信号成分のうち2値信号の波形と対応していない波形の信号成分は、正と負に分散され、しかも2値信号の2つの値は所定の周期ごとにほぼ同じ時間ずつ出力されるようになっているので、この所定の周期ごとの時間平均をとるとその値がほぼ「0」となる。そこで、光強度信号の値をこの所定の周期ごとに平均化することによって、外乱光による信号成分を低減させる。そして、その絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには所定の位置に検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには所定の位置に検出対象物が存在することを示す検出信号を出力する。これにより、外乱光が入射する使用環境でも検出対象物の有無の検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号としての2値信号の値に対応して、検出対象物が存在すべき位置への光の射出をオンオフするともに、受光手段が出力する光強度信号の正負の符号を反転させる。そして、平滑化を行った後にその絶対値を所定のしきい値と比較し、その比較結果を基に検出対象物の有無を表わす検出信号を出力する。これにより、2値信号の波形と相関関係を有さない外乱光による信号成分を除去することができ、外乱光が入射する使用環境でも検出対象物の有無の検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるフォトセンサとしての反射型フォトセンサの構成を表わしたものである。反射型フォトセンサ201は、所定の位置に検出対象物としての原稿202が存在しているかどうかを光によって検知するための検知部203を備えている。この検知部203には、赤外発光ダイオード(LED : Light Emitting Diode)からなる発光部204と、フォトトランジスタからなる受光部205が設けられている。反射型フォトセンサ201には更に、擬似乱数系列に基づいて発光部204が出力する光をパルス状の信号に変調するためのキャリアパルス信号206を生成するキャリアパルス生成回路207と、キャリアパルス信号206を基に発光部204を駆動するための発光部駆動信号208を出力する発光部駆動回路209が備えられている。また、受光部205が出力する光強度信号210とキャリアパルス生成回路207が出力するキャリアパルス信号206とを乗算し乗算後信号211として出力する乗算回路212と、この乗算回路212の出力する乗算後信号211を平均化し平均化後信号213として出力する平均化回路214が備えられている。更に、この平均化後信号213と基準値出力部215が出力する基準値216とを入力してこれらを比較し、その比較結果を検出信号217として出力する比較器218が備えられている。
【0023】
この反射型フォトセンサ201は、図示しない複写機の自動原稿供給装置の所定位置にセットされた原稿の用紙サイズを検出する検出センサとして使用されるものである。反射型フォトセンサ201は、この自動原稿供給装置の図示しない原稿トレイにおける原稿202のサイズ判別に必要な複数の位置に原稿と対向するように複数配置されている。
【0024】
発光部204は、発光部駆動信号208が立ち上がっている区間で赤外光である検出光225を出力する。したがって、前記した原稿トレイにおける検知部203と対向する箇所に原稿202が存在していると、反射光226が受光部205に入射するようになっている。反射型フォトセンサ201は、すでに説明したように複数配置されている。そして、たとえばA4サイズの原稿とA5サイズの原稿のサイズ判別および原稿の存否の判別を行う場合には、両方の原稿のいずれが原稿トレイにセットされていても必ず検出を行う位置と、一方のサイズの原稿のみを検出する位置との最低2箇所に反射型フォトセンサ201を配置して、これらの検出結果の論理をとることにしている。もちろん、原稿トレイにおける原稿のセットされる方向をさらに判別するには、更に多く箇所に反射型フォトセンサ201を配置する必要がある。
【0025】
ここでは、複数設置されたもののうち、原稿202を前記した原稿トレイにセットしたときに、A4サイズよりも内側であってB5サイズよりも外側となる所定の位置に設置されているものを例として説明する。すなわち、その検出結果によってA4サイズの原稿が載置されているかどうかを判別できるようになっている。また、この反射型フォトセンサ201が使用される図示しない複写機は、外乱光227が受光部205に入射し得る使用環境となっている。
【0026】
図2は、受光部の回路構成を表わしたものである。受光部205には、フォトトランジスタ228が備えられており、そのコレクタ側は定電圧の電源VCCに接続され、エミッタ側は抵抗229を介して接地されているとともに、光強度信号210を出力する。すなわち、反射光226や外乱光227がフォトトランジスタ228に入力されると、その光の量に応じた大きさの電流を出力し、これを光強度信号210として出力するようになっている。
【0027】
以上の構成を有する反射型フォトセンサ201の各装置部の処理を、各装置部から出力される信号の様子とともに説明する。まず、外乱光227が受光部205に入射していない場合について説明を行う。
【0028】
図3は、外乱光が入射していない場合に各装置部が出力する信号の様子を表わしたものである。同図では、それぞれの信号のレベルの変化を時間軸上で表わしている。ここで、時刻t1から時刻t2までの第1の期間S1には原稿202が前記した検知部203の対向する所定の位置に存在しておらず、時刻t2から時刻t3までの第2の期間S2には原稿202がこの所定の位置に存在しているものとする。すなわち、時刻t2にA4サイズの原稿202が図示しない原稿トレイにセットされたものとする。
【0029】
キャリアパルス生成回路207は、図示しないシフトレジスタと排他的論理和ゲートを備えており、擬似乱数系列であるM系列(Maximum length sequence)の信号を生成するようになっている。具体的には、シフトレジスタのそれぞれの位に初期値として値「0」または値「1」がラッチされ、図示しないクロック発生回路から出力されるクロック信号に同期してそれぞれの位の値が1つ下の位へとシフトするようになっている。そして、最も低い位から出力される信号と他の所定の位から出力される信号を図示しない排他的論理和ゲートに入力し、その演算結果を最も高い位にシフトする。ただし、この排他的論理和ゲートに入力する各信号の位は原始多項式を基に決定され、たとえばシフトレジスタの段数が6段の場合、最も低い位から出力される信号と次に低い位から出力される信号とを図示しない排他的論理和ゲートに入力すればよい。
【0030】
この結果、シフトレジスタからは信号「0」と信号「1」のいずれかを擬似的にランダムに取る信号列が周期的に出力される。たとえば、シフトレジスタの段数がn段の場合、その周期は2n−1ビットとなる。また、この周期内で信号「0」は2n-1−1ビット、信号「1」は2n-1ビット出力される。すなわち、その差は1ビットとなっているため、信号「0」と信号「1」はこの周期内でほぼ同じビット数ずつ出力されるといえる。
【0031】
そして、生成された擬似乱数系列の信号に基づいて、前記したクロック信号によって定まる一定の周期Tp単位で信号「1」または信号「−1」のいずれかをとる信号列としての同図(a)に示すキャリアパルス信号206を出力する。たとえば、信号「0」のときには信号「−1」を、信号「1」のときには信号「1」を出力する形で信号を変換すればよい。ここでは、たとえば周期Tpは10kHz(キロヘルツ)となっている。このキャリアパルス信号206は、信号「1」と信号「−1」の2値をとるため、個々の信号の値を自乗すると常に信号「1」になるという特徴を有している。更に、周期Tpよりも十分に長い時間、たとえば前記した擬似乱数系列における信号「0」と信号「1」がほぼ同じビット数ずつ出力される周期で時間平均を算出すると、前記した擬似乱数系列の特性により、ほぼ信号「0」になるという特徴を有している。
【0032】
発光部駆動回路209は、キャリアパルス信号206の信号「1」を発光部204の点灯、信号「−1」を発光部204の消灯にそれぞれ対応付けて発光部204を駆動するための同図(b)に示す発光部駆動信号208を出力する。発光部駆動信号208は、信号「1」の状態で所定の大きさの電流を発光部204に供給してこれを駆動し、発光部204は、前記したように原稿202が存在すべき所定の位置に向けて検出光225を出力するようになっている。この検出光225は、原稿202が存在しない第1の期間S1はこの所定の位置を通過してしまうが、原稿202が存在する第2の期間S2はこの原稿202に照射され、その反射光226が受光部205に入射するようになっている。
【0033】
また、受光部205は前記したように入射する光の量に応じた信号レベルで同図(c)に示す光強度信号210を出力する。したがって、受光部205から出力される光強度信号210の信号レベルは、第1の期間S1中変化していないが、第2の期間S2には発光部駆動信号208の波形に対応した信号変化となる。ただし、光強度信号210は、受光部205の特性によって通常は図示したように光強度信号210の各パルスの立ち上がりと立ち下がりの波形が鈍くなる。
【0034】
乗算回路212は、この光強度信号210と同図(a)に示すキャリアパルス生成回路207が出力するキャリアパルス信号206とを入力し、これらを乗算する。その演算結果として、同図(d)に示す乗算後信号211が出力される。平均化回路214は、この乗算後信号211を入力し、時間平均をとる形で波形を平滑化し、同図(e)に示す平均化後信号213として出力する。
【0035】
この平滑化は、たとえば高い周波数成分を低減させるローパスフィルタによって実現できる。キャリアパルス信号206は前記したように10kHzとなっているため、これよりも十分に低い100Hz(ヘルツ)をカットオフ周波数として平滑化を行うものとする。平均化後信号213は、原稿202からの反射光226の強度と正の相関を有する信号となる。すなわち、キャリアパルス信号206は前記したように時間平均をとるとほぼ信号「0」になるという特徴を有しているため、第1の期間S1には平均化後信号213はほぼ信号「0」になるが、第2の期間S2には時間とともにその値は増加するようになっている。なお、図3(e)に示す平均化後信号213の波形は実際にはリップル分を含んでいるが、リップルの幅は微小であるため説明の簡便化のために省略して滑らかな線として描いている。以降の各図についても同様である。
【0036】
比較器218は、この平均化後信号213を基準値出力部215から出力される基準値216と比較し、たとえば基準値216以上であれば信号「1」を、基準値216未満であれば信号「0」を同図(f)に示す検出信号217として出力する。平均化後信号213は時刻t2からゆっくりと値を増加させていくため、同図から明らかなように、検出信号217が信号「1」をとる期間は、時刻t2、すなわちA4サイズの原稿202が原稿トレイにセットされた時刻に対して、時間Tdだけ遅れる形となる。
【0037】
この時間Tdは基準値216の設定により変化し、基準値216が信号「0」に近いほど時間Tdは短くなる。しかしながら、後で説明する外乱光227によって平均化後信号213は、多少上下に波打つ波形となるので、誤検出を招く可能性がより高くなる。したがって、基準値216は許容される範囲内に時間Tdが収まり、なおかつ誤検出を十分に防ぐことができるように、使用する環境に応じて適宜調整できるようになっている。平均化回路214のカットオフ周波数は前記したように100Hzとなっているため、時間Tdはこれよりも低い周波数に対応する時間となり、これはそのまま反射型フォトセンサ201の原稿202の有無を検出する際の応答周波数となる。たとえば、応答周波数が10Hzとなるように、基準値216を調整すればよい。そして、検出信号217を基にした原稿サイズの判別は、この時間Tdを考慮したタイミングで行うようにすればよい。このようにして、反射型フォトセンサ201では、原稿202の存在の有無を検出することができるようになっている。
【0038】
次に、外乱光227が受光部205に入射している場合について説明する。
【0039】
図4は、外乱光が入射している場合の外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたものであり、図3に対応するものである。そこで、図3と同一部分には同一符号を付しており、これについての説明を適宜省略する。図4の(a)に示すキャリアパルス信号206と、同図(b)に示す発光部駆動信号208と、第1および第2の期間S1、S2は、図3と同様となっている。外乱光227による信号成分を含んだ光強度信号210は、図4の(c1)に示す反射光226による信号成分としての第1の光強度信号2101と、同図(c2)に示す外乱光227による信号成分としての第2の光強度信号2102とに分けて考えることができる。同図(c1)に示す第1の光強度信号2101は、当然ながら図3の(c)に示した光強度信号210と同一の波形となっている。
【0040】
乗算回路212で、図4の(c1)に示す第1の光強度信号2101とキャリアパルス信号206が乗算されると、同図(d1)に示す第1の乗算後信号2111が出力される。また、同図(c2)に示す第2の光強度信号2102とキャリアパルス信号206が乗算されると、同図(d2)に示す第2の乗算後信号2112が出力される。同図(d1)に示す第1の乗算後信号2111は、図3の(d)に示した乗算後信号211の波形と同一の波形となっている。
【0041】
平均化回路214で、図4の(d1)に示す第1の乗算後信号2111が平均化されると、同図(e1)に示す第1の平均化後信号2131が出力される。また、同図(d2)に示す第2の乗算後信号2112が平均化されると、同図(e2)に示す第2の平均化後信号2132が出力される。同図(e1)に示す第1の平均化後信号2131は、図3(e)の平均化後信号213の波形と同一の波形となっている。
【0042】
外乱光227は、キャリアパルス信号206と特に相関を有していないため、このように第2の平均化後信号2132はほぼ信号「0」となる。したがって、第1の平均化後信号2131と第2の平均化後信号2132を加算した結果に相当する同図(e)に示す平均化後信号213は、図3の(e)に示した外乱光227が入射していない場合の平均化後信号213の波形とほぼ同一の波形となる。すなわち、外乱光227が受光部205に入射しても検出信号217にはほとんどその影響が及んでおらず、発光部204で生成された光の反射光226による信号成分のみを容易に抽出することができる。
【0043】
これにより、外乱光227による影響を抑えた状態で検出対象物202の有無の検出を行うことができる。たとえば、平均化を行う周期の中でキャリアパルス信号206が信号「1」と信号「−1」をとる割合が1対1から離れれば離れるほど、乗算後信号211の外乱光227による信号成分のこの周期における平均値は値「0」から離れることになる。すなわち、平均化したときにその信号のレベルが高くなり、反射光226による信号成分が存在していないにもかかわらず基準値216を超えてしまう可能性が高くなり、外乱光227による影響を効果的に抑えることが難しくなる。したがって、本実施例ではキャリアパルス信号206を平均化回路214で平均化したときにその値がほぼ「0」となるようにし、外乱光227の入射量のレベルにかかわらず検出を行えるようにしている。
【0044】
ところで、最近では比較的高い周波数で光を点滅させるインバータ式の蛍光灯がオフィス等で多く使用されており、キャリアパルス204の周波数がこのような外乱光227の周波数と近い場合には誤検出が発生する恐れがある。これを防ぐために、本実施例では前記したように擬似乱数系列に基づいたキャリアパルス204を生成するようにしている。以下、外乱光227がインバータ式の蛍光灯等の特定の周波数で変調されたものである場合に、その信号成分のスペクトルがどのように変換されるかについて説明する。
【0045】
図5は、キャリアパルス生成回路が出力するキャリアパルス信号のスペクトルを表わしたものである。横軸は周波数に、縦軸は信号の強度にそれぞれ対応している。キャリアパルス信号206のスペクトル241は、前記したようにキャリアパルス生成回路207で擬似乱数系列に基づいて生成されるため、特定の周波数に依存しておらず、同図に示すように比較的広い周波数帯域に雑音状に分布した状態となっている。なお、ここでは同じ擬似乱数系列が繰り返し出力される周期に対応する周波数については無視している。
【0046】
図6は、特定の周波数で変調された外乱光による信号成分のスペクトルを表わしたものである。特定の周波数で変調された外乱光227の場合、光強度信号210の外乱光227による信号成分のスペクトル242はその周波数の周辺に集まった状態となる。
【0047】
図7は、図5および図6に示したスペクトルをそれぞれ有する信号を乗算した場合の信号のスペクトルを表わしたものである。図5に示したキャリアパルス信号206のスペクトル241と図6に示した外乱光227のスペクトル242は相関を有していない。したがって、光強度信号210の外乱光227による信号成分から直流成分を除いた信号にキャリアパルス信号206を乗算すると、外乱光227のスペクトル242はキャリアパルス信号206のスペクトル241によって拡散され、雑音状のスペクトル243となる。このような雑音状の信号は、平均化回路214で平均化されるとほぼ信号「0」となる。このように、特定の周波数で変調された外乱光227が受光部205に入射しても、キャリアパルス信号206がその周波数に依存していないので、光強度信号210の反射光226による信号成分のみを容易に抽出することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施例のフォトセンサ201では、キャリアパルス信号を、擬似乱数系列に基づいて生成し、受光部205が出力する光強度信号210にこれを乗算し、その乗算後信号211を平均化するようになっている。これにより、光強度信号210の外乱光227による信号成分を容易に除去し、外乱光227による影響を抑えた状態で原稿202すなわち検出対象物の有無の検出を行うことができる。また、擬似乱数系列を発生させてこれを基にキャリアパルス信号を生成するため、キャリアパルス信号はこの擬似乱数系列が繰り返し出力される周期に相当する周波数よりも高い特定の周波数に依存しないものとなる。これにより、外乱光が特定の周波数で明るさを変動させるであっても、これに影響されることなく検出対象物の有無の検出を行うことが可能となる。
【0049】
<本発明の第1の変形例>
【0050】
ところで受光部には、たとえば日光のようにキャリアパルス信号に比べて極めてゆっくりと変化するような外乱光が入射する場合も多い。このような定常的な外乱光が受光部に入射している場合、出力される光強度信号にはこれに対応して発生する直流成分が含まれることになる。また、受光部の特性によって直流成分が含まれている場合もある。そこで、第1の変形例としてこの直流成分を除去するようにしたフォトセンサについて説明する。
【0051】
図8は、第1の変形例による反射型フォトセンサの構成を表わしたものであり、実施例の図1と対応するものである。そこで、図1と同一部分には同一符号を付しており、これらについての説明を適宜省略する。この反射型フォトセンサ301では、図1の反射型フォトセンサ201とは異なり、光強度信号210から直流成分を除去するための直流成分除去回路319が受光部205と乗算回路212との間に備えられている。そして、受光部205が出力する光強度信号210は乗算回路212ではなく直流成分除去回路319に入力され、直流成分除去回路319が出力する直流成分除去後信号320が乗算回路212に入力されるようになっている。
【0052】
以上の構成を有する反射型フォトセンサ301の各装置部の処理を、外乱光227が受光部に入射している場合について説明する。
【0053】
図9は、外乱光が入射している場合の外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたものであり、実施例の図4に対応するものである。そこで、図4と同一部分には同一符号を付しており、これについての説明を適宜省略する。図9の(a)に示すキャリアパルス信号206と、同図(b)に示す発光部駆動信号208および第1、2の期間S1、S2は、図4と同様となっている。また、外乱光227による信号成分を含んだ光強度信号210は、図4と同様に(c1)に示す反射光226による信号成分としての第1の光強度信号2101と、同図(c2)に示す外乱光227による信号成分としての第2の光強度信号2102とに分けて考えることができる。
【0054】
同図(c1)および(c2)に示す第1および第2の光強度信号2101、2102には、第1、2の期間S1、S2に渡って変化しない直流成分が存在している。直流成分除去回路319は図示しないコンデンサを備えており、同図(c1)に示すの第1の光強度信号2101から直流成分を除去し、同図(ca1)に示す第1の直流成分除去後信号3201を出力する。また、同図(c2)に示す第2の光強度信号2102から直流成分を除去し、同図(ca2)に示す第2の直流成分除去後信号3202を出力する。すなわち、同図(ca1)および同図(ca2)に示す第1および第2の直流成分除去後信号3201、3202は、それぞれ平均値がほぼ信号「0」となっている。
【0055】
乗算回路212は、これらの第1および第2の直流成分除去後信号3201、3202のそれぞれに同図(a)に示すキャリアパルス信号206を乗算し、同図(d1)に示す第1の乗算後信号2111と同図(d2)に示す第2の乗算後信号2112を得る。これらを図4の(d1)および(d2)とそれぞれ比較すると、両方とも信号の振幅が小さくなっている。一方で、図9の(d1)および(d2)に示す第1および第2の乗算後信号2111、2112が平均化回路214で平均化された同図(e1)および(e2)に示す第1および第2の平均化後信号2131、2132の波形は、図4の(e1)および(e2)とそれぞれ同様となっており、これらを加算した図9の(e)に示す平均化後信号213も、図4の(e)と同様となっている。
【0056】
実施例で既に説明したように、平均化を行う周期の中でキャリアパルス信号206が信号「1」と信号「−1」をとる割合が1対1から離れれば離れるほど、乗算後信号211の外乱光227による信号成分のこの周期における平均値は値「0」から離れることになり、外乱光227による影響を効果的に抑えることが難しくなる。したがって、この変形例でも実施例と同様にキャリアパルス信号206を平均化回路214で平均化したときにその値がほぼ「0」となるようにすることで、外乱光227の振幅の大きさにかかわらず検出を行えるようにしている。
【0057】
以上説明したように、直流成分除去回路319を備えることによって、乗算回路212や平均化回路214の演算精度が低い場合や取り扱える信号の大きさの範囲が狭いような場合にも対応することができる。すなわち、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能となる。
【0058】
<本発明の第2の変形例>
【0059】
たとえば複写機で検知すべき原稿のサイズの種類が多いような場合には、複数の反射型フォトセンサが比較的近い距離で設置されることがある。すると、他の反射型フォトセンサの発光部から射出された検出光の反射光が受光部に入射してしまう可能性がある。また、複数の反射型フォトセンサが向かい合わせに設置される等、他の反射型フォトセンサの検出光が受光部に入射してしまうような配置で設置されることもある。このような場合でも、それぞれの反射型フォトセンサで異なる擬似乱数系列を使用してキャリアパルス信号を生成することで、互いに影響を及ぼすことなく検出対象物の有無の検出を行うことが可能となる。
【0060】
図10は、第2の変形例による複数の反射型フォトセンサを配置した検出装置の構成を表わしたものである。この検出装置400では、第1の反射型フォトセンサ4011と第2の反射型フォトセンサ4012が比較的近い距離で配置されており、第2の反射型フォトセンサ4012の第2の発光部2042で生成される光が第1の反射型フォトセンサ4011の第1の受光部2051に到達するようになっている。第1の反射型フォトセンサ4011および第2の反射型フォトセンサ4012のそれぞれの構成は実施例の図1と同様となっており、同一部分に同一の符号を付すとともにこれについての説明を省略する。
【0061】
ただし、それぞれに設けられた第1のキャリアパルス生成回路2061と第2のキャリアパルス生成回路2062では、複数の異なる種類の擬似乱数系列を使用できるようになっており、初期設定で互いに異なる種類のものを使用するように予め設定されている。これは、たとえば前記した図示しないシフトレジスタに初期的に格納するビットパターンを異なったパターンで設定できるようにしたり、排他的論理和ゲートとシフトレジスタとの接続パターンを変更できるようにする。これにより、各反射型フォトセンサ401を同一の構成とし、生産コストの低減を図ることができる。このような検出装置400の第1の反射型フォトセンサ4011で、第2の反射型フォトセンサ4012で生成される光が外乱光227として入射する場合について説明する。
【0062】
図11は、第1の反射型フォトセンサおよび第2の反射型フォトセンサの各装置部が出力する信号の様子を表わしたものであり、実施例の図4に対応するものである。そこで、図4と同一部分には同一符号を付しており、これについての説明を適宜省略する。図11の第1、2の期間S1、S2は図4と同様となっている。図11の(a1)は、第1のキャリアパルス生成回路2061が出力する第1のキャリアパルス信号2061を示しており、同図(a2)は、第2のキャリアパルス生成回路2062が出力する第2のキャリアパルス信号2062を示している。これら第1および第2のキャリアパルス信号2061、2062は、異なったパターンの波形となっている。また、それぞれに対応し、第1の発光部駆動回路2091からは同図(b1)に示す第1の発光部駆動信号2081が出力され、第2の発光部駆動回路2092からは同図(b2)に示す第2の発光部駆動信号2082が出力される。
【0063】
この結果、第1の受光部2051からは光強度信号210が出力される。これは、図4と同様に、同図(c1)に示す第1の発光部2041から検出光225の反射光226による信号成分としての第1の光強度信号2101と、同図(c2)に示す第2の発光部2042からの外乱光227による信号成分としての第2の光強度信号2102とに分けて考えることができる。同図(c1)に示す第1の光強度信号2101は、図4の(c1)と波形も大きさも同じとなっている。したがって、図11の(d1)に示す第1の乗算後信号2111および同図(e1)に示す第1の平均化信号2131も、図4の(d1)および(e1)に示した第1の乗算後信号2111および第1の平均化信号2131とそれぞれ同じ波形および大きさとなっている。
【0064】
第2の発光部駆動信号2082の基となる第2のキャリアパルス信号2062の波形は第1のキャリアパルス信号2061の波形と相関を有していない。したがって、図11の(c2)に示す第2の光強度信号2102に、第1の乗算回路2121で第1のキャリアパルス信号2061と乗算される同図(d2)に示す第2の乗算後信号2112が出力されるが、第2の平均化回路2142で平均化されることにより、図4の第2の乗算後信号2112と同様にその信号成分はほぼ信号「0」となる。これにより、第1の平均化信号2131と第2の平均化信号2132とを加算した図11の(e)に示す平均化後信号213も、図4の(e)に示した平均化後信号213とほぼ同じ波形および大きさとなっている。このように、複数の反射型フォトセンサ401のそれぞれに異なる擬似乱数系列を使用させることで、これらを近接配置した検知装置を構成することができる。
【0065】
なお、第1のキャリアパルス生成回路2071と第2のキャリアパルス生成回路2072との間で、同じ擬似乱数系列を所定のビット数だけずらした状態でそれぞれキャリアパルス信号206を発生させるようにしてもよい。たとえば、シフトレジスタの初期化のタイミングを制御する制御部を設け、それぞれに異なるタイミングで初期化を行わせるようにすることで実現可能である。このとき、ずらすビット数は使用する擬似乱数系列の周期に一致しないようにする必要がある。
【0066】
<本発明の第3の変形例>
【0067】
以上説明した実施例と第1および第2の変形例では、検出すべき光による信号成分を抽出するために、光強度信号とキャリアパルス信号とを乗算する乗算回路を用いたが、キャリアパルス信号に応じて光強度信号を反転させるような反転回路を用いるようにしてもよい。
【0068】
図12は、第3の変形例による反射型フォトセンサの構成を表わしたものであり、第1の変形例の図8に対応するものである。そこで、図8と同一部分に同一符号を付しており、これについての説明を適宜省略する。この反射型フォトセンサ501には、図8のキャリアパルス生成回路207と発光部駆動回路209に替えて、これらとは異なる処理を行うキャリアパルス生成回路507と発光部駆動回路509が備えられている。また、図8の反射型フォトセンサ301の乗算回路212に替えて反転回路512が備えられており、反転処理後信号511を出力して平均化回路214へ送るようになっている。
【0069】
図13は外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたものであり、第1の変形例の図9に対応するものである。そこで、図9と同一部分には同一符号を付しており、これについての説明を適宜省略する。図13の(a)に示すキャリアパルス信号206は、図9とは異なり、信号「1」と信号「−1」以外の任意の2値である第1の値X1と第2の値X2のいずれかをとるようになっている。この2値は、たとえば信号「1」と信号「0」すなわちH(High)とL(Low)の通常の2値デジタル信号とすればよい。
【0070】
そして、発光部駆動回路509は入力されるキャリアパルス信号206が第1の値X1の区間で発光部204を点灯させ、第2の値X2の区間で発光部204を消灯させる形で、同図(b)に示す発光部駆動信号208を出力する。この発光部駆動信号208と、同図(c1)に示す第1の光強度信号2101と、同図(c2)に示す第2の光強度信号2102と、同図(ca1)に示す第1の直流成分除去後信号3201および同図(ca2)に示す第2の直流成分除去後信号3202の波形は、それぞれ図9と同様となっている。
【0071】
反転回路512は、直流成分除去回路319から出力された直流成分除去後信号320と、同図(a)に示すキャリアパルス信号206とを入力する。そして、キャリアパルス信号206が第1の値X1の区間では直流成分除去後信号320をそのまま反転処理後信号511として出力し、キャリアパルス信号206が第2の値X2の区間では直流成分除去後信号320を反転させた信号を反転処理後信号511として出力するようになっている。直流成分除去後信号320は、図13の(ca1)に示す第1の直流成分除去後信号3201と(ca2)に示す第2の直流成分除去後信号3202とに分けてそれぞれについて反転処理を行うと考えることができる。
【0072】
反転回路512は、同図(ca1)に示す第1の直流成分除去後信号3201に対応して同図(d1)に示す第1の反転処理後信号5111を出力し、同図(ca2)に示す第2の直流成分除去後信号3202に対応して同図(d2)に示す第2の反転処理後信号5112を出力する。これらの波形は、図9の(d1)に示した第1の乗算後信号2111および同図(d2)に示した第2の乗算後信号2112とそれぞれ同じ波形および大きさとなっている。したがって、平均化回路214でこれらを平均化した図13の(e1)および(e2)に示す第1および第2の平均化後信号2131、2132と、これらを加算した同図(e)に示す平均化後信号213および同図(f)に示す検出信号217も、それぞれ図9と同一の波形および大きさとなる。すなわち、第1の変形例と同様の検出結果を得ることができることがわかる。このように反転回路512を用いることにより、キャリアパルス信号206の2値を任意に設定することが可能となる。
【0073】
以上説明した実施例および第1〜第3の変形例では、反射型フォトセンサに適用する場合について説明したが、発光部と受光部が対向配置された透過型フォトセンサや、発光側の装置部と受光側の装置部とが分離された分離型フォトセンサ等、他の各種フォトセンサあるいはこれらを複数配置した各種検出装置にも適用できることはもちろんである。発光部と受光部に他の各種の発光装置や受光装置を使用してもよく、受光する光の量が減少したときに信号を出力するいわゆる遮光時オンのタイプの受光装置にも適用可能である。また、乗算回路における乗算処理や反転回路における反転処理とキャリアパルス信号の2値との対応は、上記した例とは逆の対応としてもよい。この場合にはしきい値は負の値となり、平均化後信号がこのしきい値以下となったときに「検出対象物有り」とする検出信号を出力するようにする。あるいは、平均化後信号の絶対値を正の値のしきい値と比較するようにしてもよい。更に、乗算後信号あるいは反転処理後信号の平均化は、キャリアパルス信号の2値がほぼ同数となるような周期ごとにその平均値あるいは積算値を算出し、これをしきい値と比較するようにしてもよい。
【0074】
また、キャリアパルス信号を発生するためのアルゴリズムはM系列以外のハードウェアあるいはソフトウェアによる擬似乱数系列でもよい。更にいえば、必ずしも擬似乱数系列に基づいてパルスを発生しなくてもよく、使用される環境で受光部に入射する外乱光の周波数が予め分かっているような場合には、該当する周波数成分が十分に低いようなパターンのキャリアパルス信号を発生させるようにすればよい。あるいは、外部から供給される擬似乱数系列あるいは乱数系列の信号を利用してキャリアパルス信号を生成するようにしてもよい。ただし、キャリアパルス信号は、所定の周期ごとに2値がほぼ同じ時間ずつ出力されるようにし、平均化回路は入力された信号についてこの周期に対応する周波数よりも高い周波数成分について十分に低減させられる回路である必要がある。また、フォトセンサに設けられた各回路部の機能は、CPU(中央演算処理装置)がROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出してこれを実行することで、ソフトウェア的に実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例によるフォトセンサとしての反射型フォトセンサの構成を表わした構成図である。
【図2】本発明の実施例による受光部の回路構成を表わしたブロック図である。
【図3】本発明の実施例による外乱光が入射していない場合に各装置部が出力する信号の様子を表わしたタイミング図である。
【図4】本発明の実施例による外乱光が入射している場合の外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたタイミング図である。
【図5】本発明の実施例によるキャリアパルス生成回路が出力するキャリアパルス信号のスペクトルを表わした説明図である。
【図6】本発明の実施例による特定の周波数で変調された外乱光による信号成分のスペクトルを表わした説明図である。
【図7】本発明の実施例による図5および図6に示したスペクトルをそれぞれ有する信号を乗算した場合の信号のスペクトルを表わした説明図である。
【図8】第1の変形例による反射型フォトセンサの構成を表わした構成図である。
【図9】第1の変形例による外乱光が入射している場合の外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたタイミング図である。
【図10】第2の変形例による複数の反射型フォトセンサを配置した検出装置の構成を表わしたシステム構成図である。
【図11】第2の変形例による第1の反射型フォトセンサおよび第2の反射型フォトセンサの各装置部が出力する信号の様子を表わした説明図である。
【図12】第3の変形例による反射型フォトセンサの構成を表わした構成図である。
【図13】第3の変形例による外乱光が入射している場合の外乱光および各装置部が出力する信号の様子を表わしたタイミング図である。
【図14】従来のフォトセンサを使用して検出対象物の有無を検出する様子を表わした説明図である。
【図15】従来の第1の提案によるフォトセンサの構成を表わした構成図である。
【符号の説明】
【0076】
201、301、401、501 反射型フォトセンサ
203 検出部
204 発光部
205 受光部
206 キャリアパルス
207、507 キャリアパルス生成回路
208 発光部駆動信号
209、509 発光部駆動回路
210 光強度信号
211 乗算後信号
212 乗算回路
213 平均化後信号
214 平均化回路
215 検出信号
216 比較器
317 直流成分除去回路
318 直流成分除去後信号
400 検出装置
512 反転回路
511 反転処理後信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号である2値信号の値が、前記2つの値のうち一方の値のときにのみ所定の位置に向けて光を射出する光射出手段と、
この光射出手段によって射出される光が前記所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置され、入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号を出力する受光手段と、
この受光手段が出力する光強度信号を入力し、前記2値信号が前記2つの値のうち一方の値のときにはこの光強度信号をそのまま出力するとともに、他方の値のときにはこの光強度信号の正負を反転させた信号を出力する信号処理手段と、
この信号処理手段が出力する信号の値を前記所定の周期ごとに平均化した平均化後信号を出力する信号平均化手段と、
この信号平均化手段が出力する平均化後信号の絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには前記所定の位置に前記検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには前記所定の位置に前記検出対象物が存在することを示す検出信号を出力するしきい値比較手段
とを具備することを特徴とするフォトセンサ。
【請求項2】
前記2値信号は、前記所定の周期の中で前記2つの値が時間軸上でランダムに配置された信号であることを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ。
【請求項3】
前記2値信号がとる2つの値は、互いに絶対値が等しく正負が逆の値であり、前記信号処理手段は、入力した2値信号と光強度信号を乗算し、その演算結果を出力する手段であることを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ。
【請求項4】
前記受光手段が出力する光強度信号から直流成分を除去して前記信号処理手段に入力させる直流成分除去手段を更に具備していることを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ。
【請求項5】
前記しきい値を任意に設定するためのしきい値設定手段を更に具備していることを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ。
【請求項6】
前記所定の周期よりも短い所定の長さの時間を単位として値「0」と値「1」のいずれかをとるとともにそれぞれの合計時間が前記所定の周期のなかで半分ずつとなっている擬似乱数系列を発生させる擬似乱数系列発生手段と、この擬似乱数系列発生手段が発生させる擬似乱数系列の値に対応して前記2値信号を生成する2値信号生成手段とを更に具備することを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ。
【請求項7】
前記擬似乱数系列発生手段は、予め定められた異なる複数のパターンのうち指定されたパターンの前記擬似乱数系列を発生させる手段であり、この擬似乱数系列発生手段に対して前記異なる複数のパターンの中から任意に指定するための擬似乱数系列パターン指定手段とを更に具備することを特徴とする請求項6記載のフォトセンサ。
【請求項8】
それぞれ異なった位置に配置された請求項1記載のフォトセンサと、
これらのフォトセンサを構成するそれぞれの前記光射出手段に対して、時間軸上で異なったパターンを構成する前記2値信号を供給する2値信号供給手段
とを具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項9】
異なる2つの値を交互にとるとともにそれぞれの合計時間が所定の周期の中で半分ずつとなっている信号である2値信号の値が、前記2つの値のうち一方の値のときにのみ所定の位置に向けて光を射出する光射出ステップと、
この光射出手段によって射出される光が前記所定の位置に検出対象物が存在するか否かに応じて達する位置に配置され入射する光の強さに応じた値をとる光強度信号を出力する受光手段からこの光強度信号を入力し、前記2値信号が前記2つの値のうち一方の値のときにはこの光強度信号をそのまま出力するとともに、他方の値のときにはこの光強度信号の正負を反転させた信号を出力する信号処理ステップと、
この信号処理ステップで出力される信号を前記所定の周期ごとに平均化した平均化後信号を出力する信号平均化ステップと、
この信号平滑化ステップで出力される平均化後信号の絶対値を予め定められたしきい値と比較し、しきい値よりも小さいときには前記所定の位置に前記検出対象物が存在しないことを示す検出信号を出力するとともに、しきい値以上のときには前記所定の位置に前記検出対象物が存在することを示す検出信号を出力する検出結果出力ステップ
とを具備することを特徴とする光検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−162573(P2006−162573A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358855(P2004−358855)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】