説明

フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置

【課題】フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明に従うフォトニック結晶特性を用いた表示方法は、粒子間距離を制御するために、電荷を持つ複数の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置(ディスプレイ装置)に関する。より詳細には、本発明は、電荷を持つ複数の粒子を、電気分極特性を持つ溶媒中に分散させるか、または電荷及び電気分極特性を持つ粒子を溶媒中に分散させた状態で、電場を印加することによって粒子間距離を制御し、ひいては、粒子から反射される光の波長を制御するような、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、次世代ディスプレイの研究開発が活発に行われており、多様な表示手段が紹介されている。次世代ディスプレイの代表的な例として、電子インクを挙げることができる。電子インクは、特定色の粒子、例えば負電荷を持つ黒色粒子及び正電荷を持つ白色粒子に、電場を印加して、特定色を表示する表示手段である。電子インクは、電力消費が少なく、自在に表示することが可能であるという長所を有している。しかし、粒子の色が特定色に固定されていることから、多様な色を表すことが難しいので、電子インクには限界がある。さらに、電子インクは、表示切替速度が遅いので動画の表示に適していないという限界もある。
【0003】
上記の従来の次世代ディスプレイの問題を根本的に解決するために、フォトニック結晶の原理を用いる方法などの様々な方法が提案されてきた。
【0004】
「フォトニック結晶」なる語は、規則的に配列された微細構造に入射する複数の光のうち、特定の波長範囲の光のみを反射させ、残りの波長範囲の光を透過させることによって、特定の波長範囲に相当する色を帯びる性質を有する物質または結晶を指す。フォトニック結晶の代表的な例としては、蝶の羽、甲虫の甲殻などがある。これらは、色素を含んでいないが、特有のフォトニック結晶構造を含んでいるので、特有の色を出すことができる。
【0005】
最近のフォトニック結晶に関する研究によると、自然界に存在するフォトニック結晶は特定波長の光のみを反射させるのに対し、人工合成されたフォトニック結晶は、その結晶構造(例えば、フォトニック結晶の層間厚さ)を様々な外部刺激によって任意に変化させることができ、結果として、反射光の波長範囲を、可視光線領域のみならず、紫外線または赤外線領域に至るまで自由に調節できることが明らかになった。
【0006】
この点に注目し、本願出願人は、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置を具現できることを発見し、本発明を完成するに至った。電荷または電気分極特性を持つ粒子及び/または電気分極特性を持つ溶媒に電場を印加することによって粒子間距離を制御し、それによって粒子から特定の波長範囲の光を反射させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電荷を持つ粒子を溶媒中に分散させるか、電荷及び電気分極特性を持つ粒子を溶媒中に分散させるか、または電荷を持つ粒子を、電気分極特性を持つ溶媒中に分散させた状態で、電場を印加することによって粒子間距離を制御するような、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置を提供することである。このようにして、粒子から反射される光の波長が制御される。
【0008】
本発明の別の目的は、粒子及び溶媒に印加される電場の強さ、方向及び印加時間を調節することによって、粒子から反射される光の波長を制御できるような、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、カプセル、セル、分割電極などの構造を用いて、粒子間距離を独立して制御できるような、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、電荷を持つ複数の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加することによって粒子間距離を制御ことを特徴とする、フォトニック結晶特性を用いた表示方法が提供される。
【0011】
粒子または溶媒のうちの少なくとも一方は、電気分極特性を有し得る。
【0012】
電場を印加することによって、電場と粒子との間に発生して粒子の電気泳動を生じさせる電気力と、電荷を持つ複数の粒子間に発生する電気力との間の相互作用により、粒子間距離が特定範囲内で維持される。粒子間距離が特定範囲内で維持されることによって、特定波長パターンの光が、複数の粒子から反射され得る。
【0013】
電場を印加することによって、電場と粒子との間に発生して粒子の電気泳動を生じさせる電気力と、電荷を持つ複数の粒子間に発生する電気力と、電気分極によって発生する電気力との間の相互作用により、粒子間距離が特定範囲内で維持され得る。粒子間距離が特定範囲内で維持されることによって、特定波長パターンの光が、複数の粒子から反射され得る。
【0014】
粒子間距離は、電場の強さ、方向、印加時間、印加周期または印加回数のうちの少なくとも1つが変化すると変化し得る。複数の粒子から反射される光の波長は、粒子間距離が変化すると変化し得る。
【0015】
粒子と溶媒との屈折率の差は、0.3以上であり得る。
【0016】
粒子及び溶媒は、光透過性絶縁物質によってカプセル化または区画化されることができる。
【0017】
電場が印加される領域を少なくとも2つの部分領域に分割し、分割された部分領域にそれぞれ電場を印加することができる。
【0018】
粒子または溶媒に電場を印加した後に、該電場と反対の極性を有する電場を印加して粒子間距離をリセットすることができる。
【0019】
電場を印加する前に、粒子間距離を所定の粒子間距離に維持するために、待機(standby)電場を印加することができる。
【0020】
粒子を通過する光を用いて電気エネルギーを発生させることができ、該電気エネルギーを用いて電場を印加することができる。
【0021】
上部電極及び下部電極を介して電場を印加し、かつ電場の強さを所定値未満に設定して粒子の移動範囲を所定値未満に制御することによって、粒子、溶媒、上部電極または下部電極の、固有の色を表示することができる。
【0022】
上部電極及び下部電極を介して電場を印加し、かつ電場の強さを所定値またはそれ以上に設定して粒子を上部または電極のいずれかの電極の少なくとも一部の領域に向かって移動させることによって、粒子、溶媒、上部電極または下部電極の、固有の色を表示することができる。
【0023】
負電荷を持つ複数の第1の粒子及び正電荷を持つ複数の第2の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加し、第1の粒子間の粒子間距離及び第2の粒子間の粒子間距離を制御することによって、第1の粒子間の粒子間距離及び第2の粒子間の粒子間距離を電場によって互いから独立して制御することができる。
【0024】
粒子及び溶媒は可視光線を透過させる物質を含むことができ、複数の粒子から反射される光の波長範囲が可視光線の波長範囲外にあるときに、複数の粒子及び溶媒は透明になり得る。
【0025】
粒子または溶媒は、電子分極、イオン分極、界面分極または回転分極のうちのいずれか1つによって電気分極が生じる物質を含むことができる。
【0026】
粒子または溶媒は、超常誘電性または強誘電性の物質を含み得る。
【0027】
溶媒は、極性指数1以上の物質を含み得る。
【0028】
溶媒は、ゲル状態の物質でできているものであってよい。
【0029】
本発明の別の態様によれば、フォトニック結晶特性を用いた表示装置であって、電荷を持つ複数の粒子及び粒子を分散させた溶媒を含む表示部と、表示部に印加される電場を発生させる電場発生及び/または印加部とを含み、電荷を持つ複数の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加することによって、粒子間距離を制御する装置が提供される。
【0030】
粒子及び溶媒のうちの少なくとも一方は、電気分極特性を有し得る。
【0031】
電場が印加される領域は少なくとも2つの部分領域に分割され得、分割された部分領域それぞれに電場が印加され得る。
【0032】
粒子を通過する光を用いて電気エネルギーを発生させることができ、該電気エネルギーを用いて電場が印加され得る。
【0033】
上部電極及び下部電極を介して電場を印加し、かつ電場の強さを所定値未満に設定して粒子の移動範囲を所定値未満に制御することによって、粒子、溶媒、上部電極または下部電極の、固有の色が表示され得る。
【0034】
上部電極及び下部電極を介して電場を印加し、かつ電場の強さを所定値またはそれ以上に設定して粒子を前記上部または前記下部のいずれかの電極の少なくとも一部の領域に向かって移動させることによって、粒子、溶媒、上部電極または下部電極の、固有の色が表示され得る。
【0035】
負電荷を持つ複数の第1の粒子及び正電荷を持つ複数の第2の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加し、第1の粒子間の粒子間距離及び第2の粒子間の粒子間距離を制御することによって、第1の粒子間の粒子間距離及び第2の粒子間の粒子間距離を電場によって互いから独立して制御することができる。
【発明の効果】
【0036】
上記のように構成された本発明によれば、粒子から反射される光の波長を制御することによって、全波長範囲にわたる構造色を実現するという効果がある。
【0037】
また、本発明によると、粒子間距離を迅速かつ正確に制御できるので、動作速度を向上させ、残像を抑制できるという効果がある。
【0038】
また、本発明によると、粒子間距離を独立して制御できるので、より精密かつ独立的なディスプレイを可能にし、維持及び補修を容易にするという効果がある。
【0039】
また、本発明によると、自在に表示することが可能であるので、表示装置の使用、運搬及び保管を容易にするという効果がある。
【0040】
また、本発明によると、太陽電池との結合が可能であるので、可変色太陽電池や電源内蔵型表示機能が実現されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に従う表示装置に含まれる粒子の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に従う表示装置に含まれる粒子の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に従って電場が印加されることによって粒子または溶媒が分極される構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って分子の非対称的配置による単位分極特性を示す図である。
【図5】常誘電体、強誘電体及び超常誘電体のヒステリシス曲線を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に従う粒子または溶媒に含まれ得るペロブスカイト構造を有する物質を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に従う粒子間距離を制御する構成を概念的に示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に従う粒子間距離を制御する構成を概念的に示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に従う表示装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に従う表示装置の構成を概念的に示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に従う表示装置の構成を概念的に示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に従い複数の電極を含む電場発生または印加部を含む表示装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が複数のカプセル内にカプセル化されている構成を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が媒体中に分散されている構成を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に従い媒体中に分散させた粒子及び溶媒の構成を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に従い媒体中に分散させた粒子及び溶媒の構成を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が複数のセルに区画化されている構成を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に従い表示装置に印加される電圧のパターンを示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に従い表示装置に印加される電圧のパターンを示す図である。
【図20】本発明の一実施形態に従い表示装置に印加される電圧のパターンを示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に従い太陽電池部を含む表示装置の構成を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態に従い電場発生及び/または印加部を構成する電極がパターニングされている構成を示す図である。
【図23】本発明の一実施形態に従い電場発生及び/または印加部を構成する電極がパターニングされている構成を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態に従い電場発生及び/または印加部を構成する電極がパターニングされている構成を示す図である。
【図25】本発明の一実施形態に従って黒色または白色を表示する表示装置の構成を示す図である。
【図26】本発明の一実施形態に従って透過型ディスプレイを達成する表示装置の構成を示す図である。
【図27】本発明の一実施形態に従って互いに異なる電荷を持つ粒子を用いてフォトニック結晶ディスプレイを実現するための表示装置の構成を示す図である。
【図28】本発明の一実施形態に従って接地電圧を印加するための電極を用いて両面フォトニック結晶ディスプレイを実現するための表示装置の構成を示す図である。
【図29】本発明の別の実施形態に従う表示装置の構成を示す図である。
【図30】本発明の一実施形態に従って電気分極特性を持つ溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光を示すグラフである。
【図31】本発明の一実施形態に従って電気分極特性を持つ溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光を示す写真である。
【図32】本発明の一実施形態に従って異なる極性指数を有する溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光の波長を示すグラフである。
【図33】本発明の一実施形態に従って異なる極性指数を有する溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光の波長を示すグラフである。
【図34】本発明の一実施形態に従って溶媒中に電荷及び電気分極特性を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光を示すグラフである。
【図35】本発明の一実施形態に従って電荷及び電気分極特性を持つ粒子を溶媒に分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果、粒子から反射される光を示す写真である。
【図36】本発明の一実施形態に従って透過型ディスプレイを実現するための構成に対する実験結果を示す図である。
【図37】本発明の一実施形態に従う表示装置の観察角とともに変化する表示性能の実験結果(すなわち、ディスプレイの視野角に関する実験結果)を示す図である。
【図38】本発明のさらに別の実施形態によって電荷及び磁性を持つ粒子に電場を印加することによって実際にディスプレイを実現した結果を示す図である。
【図39】本発明のさらに別の実施形態によって電荷及び磁性を持つ粒子に磁場を印加することによって実際にディスプレイを実現した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明において、添付の図面を参照するが、これらの図面は、本発明が実施され得る特定実施形態を例として示している。これら実施形態は、当業者が本発明を実施できるよう十分に詳細に説明されている。本発明の様々な実施形態は、互いに異なってはいるが、必ずしも互いに排他的である必要はないことを理解されたい。
【0043】
例えば、本明細書において一実施形態と関連して記載されている特定の形状、構造及び特性は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、他の実施形態において具現されることができる。また、実施形態の個別構成要素の位置または配置は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、変更可能であることを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ画定される。添付の請求項は、該請求項と均等なものまで全て含めて適宜解釈されるものとする。図面においては、幾つかの図面を通して同一または類似の構成要素または機能に類似の参照符号を付してある。
【0044】
以下、本発明の構成について、当業者が本発明を容易に実施できるように添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
表示装置の構成
【0046】
本発明の一実施形態に従う表示装置の主な技術的特徴は、電荷を持つ粒子を溶媒中に分散させるか、電荷を持つ粒子を、電気分極特性を持つ溶媒中に分散させるか、または電荷及び電気分極特性を持つ粒子を溶媒中に分散させた状態のとき、電場を印加することによって粒子間距離を制御し、これによって、フォトニック結晶特性を用いてフルスペクトル表示装置を具現することである。
【0047】
[電荷を持つ粒子]
【0048】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に従う表示装置に含まれる粒子の構成を示す図である。
【0049】
まず、図1を参照すると、本発明の一実施形態に従う粒子110は、負電荷または正電荷を持つ粒子として溶媒120中に分散される。このとき、粒子110は、同一極性の電荷による相互間の斥力によって互いから所定の間隔をおいて配列され得る。粒子110の直径は、数nm〜数百μmであり得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0050】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に従う粒子110は、図2の(a)に示されているような異種の物質からできているコア−シェル112構造か、図2の(b)に示されているような異種の物質からできているマルチ−コア114構造か、または図2の(c)に示されているような複数のナノ粒子からできているクラスタ構造116を有することができる。ここで、電荷を持つ電荷層118がこれらの粒子を取り囲んでいる。
【0051】
より具体的には、本発明の一実施形態に従う粒子110は、シリコン(Si)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの元素やこれらを含む化合物からできているものであってよい。そして、本発明の一実施形態に従う粒子は、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの高分子物質からできているものであってよい。また、本発明の一実施形態に従う粒子は、電荷を持たない粒子またはクラスタを、電荷を持つ物質でコーティングすることによって作ることができる。これらの粒子の例として、炭化水素基を有する有機化合物によって表面が加工(またはコーティング)された粒子と、カルボン酸基、エステル基、アシル基を有する有機化合物によって表面が加工(またはコーティング)された粒子と、ハロゲン(F、Cl、Br、Iなど)元素を含む錯化合物によって表面が加工(コーティング)された粒子と、アミン、チオール、ホスフィンを含む配位化合物によって表面が加工(コーティング)された粒子と、表面上にラジカルを形成することによって形成された電荷を持つ粒子とが挙げられる。
【0052】
一方、本発明の一実施形態によれば、粒子が後述する溶媒内で沈澱せずに安定したコロイド状態を維持することによってフォトニック結晶特性を効果的に示すために、粒子及び溶媒からなるコロイド溶液の界面動電位(すなわちゼータ電位)の値を所定値またはそれ以上にし、粒子と溶媒との比重差を所定値またはそれ以下にし、溶媒と粒子との屈折率差を所定値またはそれ以上にすることができる。例えば、コロイド溶液の界面動電位の絶対値を10mVまたはそれ以上にし、粒子と溶媒との比重差を5またはそれ以下にし、粒子と溶媒との屈折率差を0.3またはそれ以上にすることができる。
【0053】
[電気分極特性]
【0054】
さらに、本発明の一実施形態によれば、表示装置に含まれる粒子及び/または溶媒は、電気分極特性を持つものであってよいが、このような粒子及び/または溶媒は、原子または分子の非対称的な電荷分布などによって外部電場が印加されることによって、電子分極、イオン分極、界面分極及び回転分極のうちのいずれか1つによって電気分極が生じる物質を含むことができる。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態に従い、電場が印加されたときの粒子または溶媒が分極される構成を示す図である。
【0056】
図3の(a)及び(b)を参照すると、外部電場が印加されなければ、粒子及び/または溶媒は電気的平衡状態を維持するが、外部電場が印加されると、粒子及び/または溶媒内の電荷は所定の方向に移動し、従って粒子または溶媒の電気的分極が起こり得る。図3の(c)及び(d)を参照すると、外部電場が印加されなければ、電気的に非対称的な構成要素によって生じる単位分極(unit polarization)を有する粒子及び/または溶媒は、無秩序またはランダムに配列されるが、外部電場が印加されると、単位分極を有する粒子及び/または溶媒は、外部電場の方向に沿って所定の方向に再配列され得るので、全体として相当大きい分極値を示し得る。一方、本発明の一実施形態によれば、単位分極は、電子またはイオンの非対称的配置や分子の非対称的構造において生じ得る。外部電場が印加されなければ、この単位分極により、微細な残留分極値が表れるであろう。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態に従い分子の非対称的配置によって示される単位分極特性を示す図である。より具体的には、図4は、水分子(HO)の場合を示している。水分子の他に、トリクロロエチレン、四塩化炭素、ジイソプロピルエーテル、トルエン、メチル−t−ブチルエーテル、キシレン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、酢酸ブチル、イソプロパノール、n−ブタノール、テトラヒドロフラン、n−プロパノール、クロロホルム、酢酸エチル、2−ブタノン、ジオキサン、アセトン、メタノール、エタノール、 アセトニトリル、酢酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどは、分子構造の非対称性に起因する単位分極特性を示すので、本発明に従う粒子または溶媒を構成する物質として用いることができる。参考のため、物質の分極特性を比較するために使用される極性指数は、水(HO)の分極特性に対する所与の物質の相対的な分極の程度を示す指標である。
【0058】
さらに、本発明の一実施形態に従う粒子または溶媒は強誘電性物質を含み得るが、これは、外部電場の印加時の分極の増加を示し、外部電場の印加なしでも大きな残留分極及び残留ヒステリシスを示す。粒子または溶媒は超常誘電性物質を含み得るが、これは、外部電場の印加時の分極の増加を示し、外部電場が印加されなければ残留分極及び残留ヒステリシスを示さない。図5を参照すると、常誘電性物質510、強誘電性物質520及び超常誘電性物質530の外部電場によるヒステリシス曲線を確認することができる。
【0059】
さらに、本発明の一実施形態に従う粒子または溶媒は、ペロブスカイト構造を有する物質を含むことができる。ABOのようなペロブスカイト構造を有する物質の例としては、PbZrO、PbTiO、Pb(Zr,Ti)O、SrTiO、BaTiO、(Ba,Sr)TiO、CaTiO、LiNbOなどの物質を挙げることができる。
【0060】
図6は、本発明の一実施形態に従う粒子または溶媒に含まれ得るペロブスカイト構造を有する物質を示す図である。図6を参照すると、PbZrO(またはPbTiO)のZr(またはTi)(すなわち、ABO構造のB)の位置は、PbZrO(またはPbTiO)に印加される外部電場の方向によって異なるので、PbZrO(またはPbTiO)の全体極性が変化し得る。
【0061】
一方、本発明の一実施形態によれば、溶媒は、極性指数1以上の物質を含み得る。
【0062】
粒子及び溶媒の構成は、必ずしも上記したものに限定されることはないが、本発明の目的の範囲内で、すなわち、電場によって粒子間距離を制御できる範囲内で、適宜変更可能である。
【0063】
[表示装置の動作原理及び構成]
【0064】
一方、本発明の第1の実施形態によれば、同一の符号または極性の電荷を持つ複数の粒子を、電気分極特性を持つ溶媒中に分散させたとき、粒子を含む分散液及び分散粒子を含む溶媒に電場を印加すると、粒子の電荷により、電場の強さ及び粒子の電荷量に比例する電気的引力が粒子に作用する。これによって、複数の粒子が電気泳動によって所定の方向に移動し、それゆえに粒子間距離が狭くなる。対照的に、粒子間距離が狭くなるにつれて、同一の符号または極性の電荷を持つ粒子間で発生する電気的斥力が増加し、結局のところ、粒子間距離が小さくなり続けないようにしつつ所定の均衡状態になる。さらに、溶媒は、溶媒の電気分極特性によって所定の方向に電気的に分極される。これによって、電気的引力が、局部的に発生し、分極された溶媒と電気的に相互作用する粒子同士の粒子間距離に所定の影響を及ぼす。すなわち、本発明の第1の実施形態によれば、複数の粒子は、外部電場によって発生する電気的引力、同一極性の電荷を持つ粒子間の電気的斥力、分極によって発生する電気的引力などが平衡する距離をおいて、規則的に配列されることができる。上記の原理に従って、粒子間距離を所定の間隔で制御することができ、所定の距離をおいて配列された複数の粒子は、フォトニック結晶として機能することができる。規則的に離間した複数の粒子から反射される光の波長は、粒子間距離によって決定されるので、粒子から反射される光の波長は、粒子間距離を制御することによって任意に制御可能である。ここで、反射光の波長のパターンは、印加される電場の強さ及び方向、粒子の大きさ及び質量、粒子及び溶媒の屈折率、粒子の電荷量、溶媒の電気分極特性、溶媒中に分散された粒子の濃度などの諸因子によって、様々に表すことができる。
【0065】
図7は、本発明の第1の実施形態に従う粒子間距離の制御の構成を概念的に示す図である。図7を参照すると、外部電場が印加されなければ、電荷を持つ粒子720周辺の単位分極が生じた溶媒710は、粒子の電荷と相互作用することによって粒子の方向に集中的に配列されることができ、単位分極が生じた溶媒710は、荷電粒子からの距離が大きくなるにつれて、より無秩序またはランダムに配列されることができる(図7の(a)参照)。また、図7を参照すると、外部電場が印加されると、粒子720によって影響されない領域(すなわち、粒子720から遠く離れた領域)に位置する単位分極が生じた溶媒710は、電場の方向に再配列される。粒子720の電荷によって発生する電気的引力に強く影響される領域(すなわち、粒子720の周囲の領域)に位置する単位分極が生じた溶媒710は、粒子720の電荷によって発生する電気的引力と外部電場によって発生する電気的引力との相互作用によって、非対称的に配列され得る。従って、粒子720の周囲の領域で溶媒710が非対称的に配列されている領域、すなわち分極領域730は、1つの大きな、電気的に分極した粒子のように作用するので、他の大きな分極領域と相互作用することができ、それによって、電荷を持つ粒子を、所定の間隔または空間を維持した状態で規則的に配列することができる(図7の(b)参照)。
【0066】
本発明の第2の実施形態によれば、同一の符号または極性の電荷及び電気分極特性を持つ複数の粒子を溶媒中に分散させたとき、粒子及び溶媒に電場を印加すると、粒子の電荷により、電場の強さ及び粒子の電荷量に比例する電気的引力が粒子に作用する。これによって、複数の粒子が電気泳動によって所定の方向に移動し、それゆえに粒子間距離が狭くなる。対照的に、粒子間距離が狭くなるにつれて、同一の符号または極性の電荷を持つ粒子間で発生する電気的斥力が増加し、結局のところ、粒子間距離が小さくなり続けないようにしつつ所定の均衡状態になる。粒子は、粒子の電気分極特性によって所定の方向に電気的に分極される。これによって、電気的引力が、分極された粒子同士の間に局部的に発生し、粒子間距離に所定の影響を及ぼす。
【0067】
すなわち、本発明の第2の実施形態によれば、複数の粒子は、外部電場によって発生する電気的引力、同一符号の電荷を持つ粒子間の電気的斥力及び分極によって発生する電気的引力が平衡する距離をおいて、規則的に配列されることができる。上記の原理に従って、粒子間距離を所定の間隔で制御することができ、所定の間隔で配列された複数の粒子は、フォトニック結晶として機能することができる。規則的に配列された複数の粒子から反射される光の波長は、粒子間距離によって決定されるので、粒子から反射される光の波長は、粒子間距離を制御することによって正確に制御可能である。ここで、反射光の波長のパターンは、電場の強さ及び方向、粒子の大きさ及び質量、粒子及び溶媒の屈折率、粒子の電荷量、粒子の電気分極特性、溶媒中に分散された粒子の濃度などの諸因子によって、様々に表すことができる。
【0068】
図8は、本発明の第2の実施形態に従う粒子間距離の制御の構成を概念的に示す図である。
図8を参照すると、外部電場が印加されなければ、粒子810は分極されない(図8の(a)参照)。外部電場が印加されると、粒子810は、粒子810内の物質の電気分極特性によって、電気的に分極され得る。従って、粒子810を、所定の間隔または空間を維持した状態で規則的に配列することができる(図8の(b)参照)。
【0069】
本発明の第1及び第2の実施形態において、溶媒または粒子の電気分極値が大きいほど、分極領域730間または分極された粒子810間の相互作用が大きくなり、これによって、粒子をより規則的に配列することができる。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態に従う表示装置の構成を示す図である。
【0071】
図9を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置900は、表示部910と、電場発生及び/または印加部920とを含み得る。より具体的には、本発明の第1の実施形態によれば、表示部910は、同一の符号の電荷を持つ複数の粒子912を、電気分極特性を持つ溶媒914中に分散させた状態で含み得る。また、本発明の第2の実施形態によれば、表示部910は、同一の符号の電荷及び電気分極特性を持つ複数の粒子912を、溶媒914中に分散させた状態で含み得る。
【0072】
図10及び図11はそれぞれ、本発明の第1及び第2の実施形態に従う表示装置の構成を概念的に示している。本発明の第1及び第2の実施形態については、既に図7及び図8を参照して詳細に説明したので、図10及び図11の追加的な説明は省略する。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、表示部910は、印加される電場の強さ及び/または方向により、特定の波長範囲の光(すなわち、可視光線領域から見て特定の色の光)を反射させる機能を行う。上述したように、これは、表示部910に印加される電場の強さ及び/または方向によって決まる粒子912同士の粒子間距離を制御することによって達成することができる。
【0074】
次に、電場発生及び/または印加部920は、表示部910に所定の強さ及び/または方向の電場を印加する機能を行う。電場発生及び/または印加部920によって印加される電場の強さ及び/または方向は、表示部910から反射されることが望ましい光の波長範囲にわたって適切に制御することができる。
【0075】
より具体的には、図12は、本発明の一実施形態に従う複数の電極を含む電場発生または印加部を含む表示装置の構成を示す図である。
【0076】
図12を参照すると、本発明の一実施形態に従う電場発生/または印加部1222、1224、1226及び1228は、それぞれ電極1222、1224、1226及び1228を含むことができ、これらの電極は、表示部1210に含まれる粒子1212の粒子間距離をより正確にかつ独立して制御するために、表示部1210の一部領域にのみ独立して電場を印加することができる。電極1222、1224、1226及び1228は、薄膜トランジスタ(TFT)などの精密駆動回路によって、個々に制御することができる。電場発生/または印加部1222、1224、1226及び1228は、表示部1210から放出される光の進行を妨害しないように、光透過性物質で作製することができる。例えば、電場発生/または印加部1222、1224、1226及び1228は、インジウム・スズ酸化物(ITO)、酸化チタン(TiO)、カーボンナノチューブ(これらは光透過性電極材料である)及び他の電気伝導性ポリマーフィルムでできているものであってよい。
【0077】
図12を参照すると、電場発生/または印加部1222、1224、1226及び1228は、第1の電極1222と、第2の電極1224と、第3の電極1226と、第4の電極1228とを含み得る。電圧が印加されない第1の電極1222によってカバーされる空間には電場が印加されないので、第1の電極1222によってカバーされる空間に位置する粒子1212は、不規則に配列され得る。従って、第1の電極1222によって制御される表示部1210は、フォトニック結晶によって生じる色を表さないであろう。次に、互いに異なるレベルの電圧が印加される第2の電極1224、第3の電極1226及び第4の電極1228によってカバーされる空間には、それぞれの電圧に対応する電場が印加されるので、これらの電極によってカバーされる空間に位置する粒子1212はそれぞれ、電場によって発生する電気的引力(すなわち電気泳動を生じさせる力)、同一の符号の電荷を持つ粒子1212間の電気的斥力、粒子1212または溶媒1214の分極(またはその増加)によって発生する電気的引力などが平衡している状態で、互いから所定の粒子間距離で規則的に配列され得る。従って、第2の電極1224、第3の電極1226及び第4の電極1228によって制御される表示部1210は、それぞれの領域に対して異なる波長範囲の光(すなわち、フォトニック結晶特性によって生じる構造色)を反射することができる。例えば、第4の電極1228に印加される電圧が第3の電極1226に印加される電圧よりも大きいと仮定すると、第4の電極1228によってカバーされる空間に位置する粒子1212の粒子間距離は、第3の電極1226間に位置する粒子1212の粒子間距離よりも小さいであろう。それゆえ、第4の電極1228によって制御される表示部1210は、第3の電極1226によって制御される表示部1210よりも短い波長の光を反射することができる。
【0078】
図13は、本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が複数のカプセル内にカプセル化されている構成を示す図である。
【0079】
図13を参照すると、表示装置1300に含まれる粒子1312及び溶媒1314は、光透過性物質でできているカプセル1332、1334、1336及び1338内にそれぞれカプセル化されている。図13に示すように粒子1312及び溶媒1314をカプセル化することによって、互いに異なるカプセル内に含まれる粒子1312及び溶媒1314同士の間で、混入などの直接的な干渉を防止することができ、電荷を持つ粒子の電気流体力学(EHD)運動によって粒子が不規則に配列されることを防止することができ、粒子及び溶媒の密封を容易にすることによって表示装置1300のフィルム加工性を向上させることができ、表示装置1300に含まれる粒子間距離を各カプセル毎に独立して制御することができる。
【0080】
図13を参照すると、表示装置1300は、4個のカプセル1332、1334、1336及び1338を含み得る。第1のカプセル1332、第2のカプセル1334、第3のカプセル1336及び第4のカプセル1338の一部分に位置する電極1322、1324、1326及び1328には、それぞれ第1の電圧、第2の電圧、第3の電圧及び第4の電圧を印加することができる。よって、異なる強さ及び異なる方向の電場が印加されるそれぞれのカプセルは、互いに異なる波長範囲の光を反射する。従って、本発明の一実施形態に従う表示装置1300により、各カプセル毎に独立したディスプレイを具現することができる。
【0081】
図13とは異なり、電極とカプセルとが1対1に対応して配置されておらず、代わりに、電極によってカバーされる領域がカプセルより小さいか、または1つのカプセルが2つ以上の電極によってカバーされていても、電極パターンを用いることによって表示部の所与の領域に対して望ましいように独立したディスプレイを具現することができる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、或るカプセル内の特定領域に、該カプセルをカバーしている複数の電極のうちの1つによって電場が印加されるとき、カプセル内に存在する複数の粒子のうち特定領域に存在する溶媒及び/または粒子のみが電場と反応し、他の領域に存在する粒子及び/または溶媒は電場と反応しない。それゆえ、特定波長の光が反射される領域(すなわち表示領域)は、カプセルの大きさやパターンではなく、むしろ電極パターンによって決定されることができる。
【0082】
図14は、本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が媒体中に分散されている構成を示す図である。
【0083】
図14を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置1400に含まれる粒子及び溶媒は、光透過性物質でできている媒体1430中に分散され得る。より具体的には、所定量の粒子及び溶媒が、電場などの外部刺激に対して変化しない光透過性物質1430中に液滴の形態で分散・分布しているので、表示装置1400に含まれる粒子が部分的に分離される。すなわち、本発明の一実施形態によれば、溶媒及び溶媒内に分散させた粒子は、異なる領域に含まれる粒子または溶媒同士の間で混入などの直接的な干渉の発生を防止し、それによって、表示装置1400に含まれる粒子の粒子間距離をより独立的に制御するように、光透過性媒体1430中に分散・分布している。
【0084】
表示装置1400は、媒体1430に含まれる複数の領域1410、1420を含み得る。より具体的には、第1の電圧が印加される第1の電極1442間に位置する第1の領域1410に含まれる粒子の粒子間距離と、第2の電圧が印加される第2の電極1444間に位置する第2の領域1420に含まれる粒子の粒子間距離とを、互いから独立して制御することができる。よって、第1の領域1410及び第2の領域1420は、互いに異なる波長範囲の光を反射することができる。従って、表示装置1400により、各領域に対して独立したディスプレイを具現することができる。
【0085】
図15は、本発明の一実施形態に従い光透過性媒体内にカプセル化された溶液の構成を示す図である。参考として、図15は、図13に関連して説明した表示装置1300の断面を電子顕微鏡で撮影した写真に相当する。
【0086】
図15を参照すると、溶媒及び溶媒中に分散させた粒子1510が、電場によって変化しない光透過性物質内にカプセル化されている。本発明の一実施形態によれば、コロイド状態で溶媒中に分散させた粒子1510を含む溶液(すなわち粒子及び溶媒の混合物)を、異なる種類の非混和性溶液と混合してエマルションを形成し、その後、エマルションの界面を光透過性物質1520でコーティングし、それによって光透過性物質1520内にカプセル化する。ここで、粒子として、電荷層でコーティングされた酸化鉄(FeOx)クラスタを用いることができ、溶媒として、電気分極特性を持つ溶媒を用いることができ、カプセル物質として、ゼラチンを含む光透過性高分子物質を用いることができる。
【0087】
図16は、本発明の一実施形態に従い媒体中に分散させた粒子及び溶媒の構成を示す図である。参考として、図16は、図14に関連して説明した表示装置1400の断面を電子顕微鏡で撮影した写真に相当する。
【0088】
図16を参照すると、溶媒1620及び溶媒中に分散させた粒子1610が、電場や磁場などの外部刺激に対して変化しない固体またはゲル状態の光透過性物質でできている媒体1630中に分散されている。電荷を持つ粒子1610を溶媒1620中に分散させ、得られた分散液を液滴形態で光透過性媒体1630中で均一に混合することによって、図16に示した構成を得ることができる。さらに、粒子1610は、電荷層でコーティングされた酸化鉄(FeOx)クラスタであってよく、溶媒1620は、エチレングリコール(EG)であってよく、媒体1630は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってよい。
【0089】
図17は、本発明の一実施形態に従い表示装置に含まれる粒子及び溶媒が複数のセルに区画化されている構成を示す図である。
【0090】
図17を参照すると、表示装置1700に含まれる粒子1712及び溶媒1714は、絶縁体でできている隔壁または同様のものによって分離され、複数のセル1732、1734、1736及び1738に区画化されることができる。粒子1712及び溶媒1714を区画化することによって、異なるセルに含まれることになる粒子1712及び/または溶媒1714同士の間で、混入などの直接的な干渉が発生することを防止できる。これによって、表示装置1700に含まれる粒子の粒子間距離を各セルごとに独立して制御することができ、粒子が、電荷を持つ粒子の電気流体力学(EHD)運動によって不規則に配列されることを防止できる。
【0091】
一方、図17とは異なり、電極とセルが1対1に対応して配置されておらず、代わりに、電極によってカバーされる領域がセルより小さいか、または1つのセルが2つ以上の電極によってカバーされていても、電極パターンを用いることによって表示部の所与の領域に対して望ましいように独立したディスプレイを具現することができる。すなわち、或るセル内の特定領域に、該セルをカバーしている複数の電極のうちの1つによって電場が印加されるとき、セル内に存在する複数の粒子のうち特定領域に存在する溶媒及び/または粒子のみが電場と反応し、他の領域に存在する粒子及び/または溶媒は電場と反応しない。それゆえ、特定波長の光が反射される領域(すなわち表示領域)は、セルの大きさやパターンではなく、むしろ電極パターンによって決定されることができる。
【0092】
上記したように、粒子及び溶媒をカプセル化するか、それらを媒体中に分散させるか、またはそれらを区画化することによって、粒子間距離を、各カプセル、各領域、または各セル毎に独立して制御することができ、それによって、より精密なディスプレイを可能にし、表示装置の維持及び補修を容易にするという効果が達成される。
【0093】
一方、図12〜図17の実施形態は、上部電極及び下部電極が共に複数の電極に分割されている場合について説明してきたが、上部電極または下部電極のいずれか一方を共通電極として形成してもよい。例えば、ディスプレイ製品に実際に適用する際に、上部電極を透明電極物質でできている共通電極として形成する一方で、下部電極は、単位セルに分割して各セルを駆動するためのトランジスタに接続することができ、透明電極物質から製作しなくてもよい。
【0094】
図18〜図20は、本発明の一実施形態に従い表示装置に印加される電圧のパターンを示す図である。
【0095】
まず、図18を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置は、次のような制御部、すなわち、粒子を含む分散液に異なる強さ及び/または異なる方向の電場を順次印加するときに、電場の強さ及び/または方向を変える間の時間に粒子の粒子間距離をリセットまたは初期化し、そのようにして連続的なディスプレイを達成する機能を行う制御部(図示せず)をさらに含むことができる。より具体的には、電場発生及び/または印加部を用いて粒子及び溶媒を含む分散液に第1の電圧及び第2の電圧を順次印加するとき、制御部は、第1の電圧を印加した後、第2の電圧を印加する前に、第1の電圧と反対の極性を有するリセット電圧を分散液に印加することによって、第1の電圧によって所定の距離で配列されていた粒子間距離を初期またはリセット状態に戻す機能を行う。これによって、表示装置は、動作速度の向上及び残像の抑制を含む表示性能の向上を実現することができる。さらに、直前に印加された電圧とは反対の極性を有するリセット電圧が印加される。従って、たとえ表示装置がオフになっていても、直前に印加された電圧によって所定の方向に移動しかつ配列された粒子を強制的に反対方向に移動させることによって、動作速度を上げることができる。
【0096】
次に、図19を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置は、次のような制御部、すなわち、粒子を含む分散液に異なる強さ及び/または異なる方向の電場を順次印加するときに、予め粒子間距離を所定の距離(待機距離)に維持し、連続的なディスプレイを達成する機能を行う制御部(図示せず)をさらに含むことができる。より具体的には、電場発生及び/または印加部を用いて粒子及び溶媒を含む分散液に第1の電圧及び第2の電圧を順次印加するとき、本発明の一実施形態に従う制御部は、予め所定の待機電圧を印加し、その後に第1の電圧または第2の電圧を印加することによって、粒子間距離を所望の粒子間距離になるように迅速に調整する機能を行う。これによって、本発明の一実施形態に従う表示装置は、応答速度及び画面切替速度の高速化を含む表示性能の向上を実現することができる。すなわち、従来の電子ペーパー技術では、特定色を表示するために、特定色の粒子をセルの一端から他端へ縦断するように移動させなければならなかった。これに対して、本発明では、可視光に対応しない待機粒子間距離が形成されるように可視スペクトルの反射光が表れないようにする相対的に低いレベルの待機電圧が印加され、その後、可視スペクトルの光を反射するように特定レベルまたはそれ以上の電圧が印加されるようにして、フォトニック結晶を実現することができる。従って、可視スペクトルの光を反射させるためのフォトニック結晶は、粒子を僅かに移動させるだけで実現することができ、そのような反射型表示装置の動作速度をより速くする。
【0097】
続いて図20を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置は、次のような制御部、すなわち、分散液に異なる強さ及び/または異なる方向の電場を順次印加するときに、電場の強さ及び印加時間などの様々なパターンの電場を印加し、連続的なディスプレイを達成する機能を行う制御部(図示せず)をさらに含むことができる。より具体的には、電場発生及び/または印加部を用いて粒子及び溶媒を含む分散液に電場を印加するとき、本発明の一実施形態に従う制御部は、所定の電圧になるように電圧のレベルを増減させることができ(図20の(a)を参照)、電圧の印加時間または周期を増減させることができ(図20の(b)を参照)、不連続なパルス電圧を繰り返して印加することによって、電圧の連続的な印加と同じ効果を達成することができる(図20の(c)を参照)。そのようにすることによって、本発明の一実施形態に従う表示装置は、多様なパターンの表示及び電力消費の減少を含む表示性能の向上を実現することができる。
【0098】
しかし、本発明に従う電場印加パターンは、必ずしもここに挙げたものに限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、すなわち、粒子間距離が電場によって制御できる範囲内で、適宜変更可能であることに留意されたい。
【0099】
図21は、本発明の一実施形態に従い太陽電池部を含む表示装置の構成を示す図である。
【0100】
図21を参照すると、表示装置2100は、表示装置2100を透過する光を用いて起電力を発生させかつそれを保存する機能を行う太陽電池部2130をさらに含むことができる。太陽電池部2130によって発生した起電力は、電場発生及び/または印加部2120を用いた電圧の発生及び印加に用いることができ、これによって、表示装置2100は、外部の電源供給に依存せずに、上記したフォトニック結晶特性ディスプレイを実現することができる。しかし、本発明に従う表示装置と太陽電池部の組合せは、ここに挙げたものに限定されるものではなく、太陽電池部によって発生した起電力は、表示装置の駆動以外の目的に用いることもできる。
【0101】
図22〜図24は、本発明の一実施形態に従い電場発生及び/または印加部を構成する電極がパターニングされている構成を示す図である。
【0102】
まず、図22を参照すると、電場発生及び/または印加部の下部電極2225(または上部電極2220)上に格子状の絶縁層2230を形成することができ、それゆえ、下部電極2225(または上部電極2220)を所定の間隔でパターニングすることができる。
【0103】
図22に示した表示装置によれば、電極のパターニング間隔は、およそ数μm〜数百μmに設定され、それによって、電荷を持つ粒子の電気流体力学(EHD)運動によって粒子が不規則に配列されることを防止し、ひいては均一なディスプレイを達成する。特に、図22に示した表示装置によれば、多くの時間及び費用を要するカプセル化やセル区画化などの複雑な工程を経ることなく、電気流体力学運動による粒子の偏りを効果的に防止することができる。
【0104】
次に、図23を参照すると、本発明の一実施形態に従う電場発生及び/または印加部の下部電極(または上部電極)は、2つの電極(第1の電極2320及び第2の電極2325)に分割されることができる。より具体的には、図24を参照すると、電場発生及び/または印加部の下部電極(または上部電極)を構成する第1の電極2420及び第2の電極2425は、鋸歯状(alternating teeth)にパターニングすることができる。
【0105】
図23及び図24に示した表示装置によれば、1つの基板のみに電極を形成することができるので経費削減の面で有利であり、電場の印加による粒子の移動距離が減少するので表示装置の動作速度を上げることができる。
【0106】
しかし、本発明に従う電極パターンは、必ずしも上記したものに限定されることはなく、本発明の目的の範囲内で、すなわち、電場によって粒子間距離を制御できる範囲内で、適宜変更可能であることに留意されたい。
【0107】
一方、フォトニック結晶特性を用いた表示装置は、入射光のうちの特定波長の光が選択的に反射される原理によって動作するので、フォトニック結晶特性を用いた表示装置を用いて完全な黒または完全な白を表すことが容易でないかもしれない。フォトニック結晶特性を用いた表示装置によりて黒色または白色を表示する構成について以下に説明する。
【0108】
図25は、本発明の一実施形態に従って黒色または白色を表示する表示装置の構成を示す図である。
【0109】
図25を参照すると、表示部2510が黒色の粒子2512を含むことができ、電場発生及び/または印加部が、透明な上部電極2520と、白色の第1及び第2の下部電極2522、2524とを含むことができる。まず、表示部2510に印加される電場の強さが所定値未満であるかまたは電場が印加されなければ、粒子2512は、フォトニック結晶を形成することができないが、自身の固有の色である黒色か、または粒子と溶媒との屈折率の差によって発生する散乱光を反射することができ、これによって、表示部2510は黒色を表示することができる(図25の(a)を参照)。図25に示していないが、しきい値以上の電場を表示部2510に印加することによって、黒色粒子2512を上部電極2520に密接に接触させて配列することができる。この場合も、表示部2510は黒色を表示することができる。次に、表示部2510に適切な強さの電場が印加されると、フォトニック結晶を形成する粒子2512から、特定の所望の波長範囲の光が反射され得る(図25の(b)を参照)。次に、表示部2510に所定の強さ以上の電場が印加されると、電気泳動を生じさせる電気的引力の大きさが大きくなり過ぎるので、粒子間距離2512が適切な距離に維持されず、粒子2512は一方の側に引き寄せられ得る。例えば、第1の下部電極2522の一部分にのみ所定値以上の電場が印加されるならば、表示部2510に含まれる全ての粒子2512は、フォトニック結晶を形成せず、第1の下部電極2522によってカバーされる狭い領域に引き寄せられ得る。従って、第2の下部電極2524は、黒色粒子2512の影響を受けずに、自身の固有の色である白色を反射することができるので、表示部2510は白色を表示することができる(図25の(c)を参照)。
【0110】
図25の実施形態について、粒子及び電極の色を黒色及び白色に特定した場合に関して説明してきたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の表示装置に適用可能な粒子及び電極の色を所望のように変更することができ、さらに、透明に設定することもできる。フォトニック結晶特性を用いた表示装置を用いて透過型ディスプレイを達成する構成について以下に説明する。
【0111】
図26は、本発明の一実施形態に従って透過型ディスプレイを達成具現する表示装置の構成を示す図である。
【0112】
図26を参照すると、表示部2610が、SiOxなどの可視光線透過性物質を含む透明な粒子2612を含むことができ、電場発生及び/または印加部が、同様に透明である上部電極2620及び下部電極2622を含むことができる。まず、表示部2610に印加される電場の強さが所定値未満であるかまたは電場が印加されなければ、粒子2612は、フォトニック結晶を形成してフォトニック結晶による色を表すことができず、粒子と溶媒との間の屈折率の差による入射光の散乱が生じ得る(図26の(a)を参照)。次に、表示部2610に適切な強さの電場が印加されると、フォトニック結晶を形成する粒子2612から、特定の所望の波長範囲の光が反射され得る(図26の(b)を参照)。次に、表示部2610に所定の強さ以上の電場が印加されると、電気泳動を生じさせる電気的引力の大きさが大きくなり過ぎるので粒子間距離2612が可視スペクトルよりも短い波長範囲(例えば紫外線スペクトル)の光のみを反射させることができる。すなわち、この場合には、可視スペクトルの光はフォトニック結晶によって反射されずに透過されるので、上部電極2620、下部電極2622及び粒子2612は全て透明になり、これによって、図26の表示装置は完全に透明になる(図26の(c)を参照)。
【0113】
一方、図26には具体的に示していないが、図26の(c)において、特定色を有する電極を下部電極として用いると、可視スペクトルの光はフォトニック結晶によって反射されずに透過され、下部電極で反射するので、下部電極の色を表示することができる。
【0114】
すなわち、本発明に従う表示装置は、特定レベルを下回る電圧が印加されると、入射光が散乱されて半透明または不透明になり、特定範囲の電圧が印加されると、粒子の規則的配列(すなわちフォトニック結晶)によって可視スペクトルの入射光が反射され、それによって所定の色を表示する。また、特定レベルを超える電圧が印加されると、粒子間距離が狭くなり過ぎる。よって、可視スペクトルの入射光は透過され、可視スペクトルよりも短い波長範囲を有する紫外線スペクトルの入射光が反射されて、透明になる。従って、本発明に従う表示装置によれば、特定の波長範囲の光が反射され得るのみならず透明または不透明にもなり得るような変色ガラスなどを製作することができる。さらに、表示装置の透明度を調節することによって、表示装置に対して一方の側に存在する特定の色またはパターンが反対側にいる観察者の目に見えるようにするかまたは見えなくするディスプレイシステムを具現することができる。
【0115】
図27は、本発明の一実施形態に従って互いに異なる電荷を持つ粒子を用いてフォトニック結晶特性ディスプレイを実現するための表示装置の構成を示す図である。
【0116】
まず、図27を参照すると、表示装置2700の表示部2710は、互いに異なる電荷を持つ粒子、すなわち、負電荷を持つ粒子2712及び正電荷を持つ粒子2714を含むことができる。表示部2710に電場が印加されると、負電荷を持つ粒子2712及び正電荷を持つ粒子2714は、それぞれ反対方向に移動して規則的に配列され得る。例えば、電場発生及び/または印加部の上部電極2720が陽極、下部電極2725が陰極であれば、負電荷を持つ粒子2712及び正電荷2714を持つ粒子はそれぞれ、上部電極2720の方向及び下部電極2725の方向に移動し、所定の粒子間距離を維持した状態でフォトニック結晶として配列され得る。この場合には、表示装置2700は、両面(すなわち、上部電極2720側の面及び下部電極2725側の面)に対して特定の波長範囲の光を反射することができるので、両面ディスプレイを実現することができる。さらに、負電荷を持つ粒子2712の電荷量と正電荷を持つ粒子2714の電荷量が互いに異なる場合には、電場が印加されたとき、負電荷を持つ粒子2712の粒子間距離と正電荷を持つ粒子2714の粒子間距離とが互いに異なり得る。それゆえ、表示装置2700は、両面で互いに異なる波長範囲の光を反射することができるので、両面が互いに独立して制御されるディスプレイを実現することができる。
【0117】
一方、図25を参照して説明したように、図27の表示装置2700に含まれる負電荷を持つ粒子2712及び正電荷を持つ粒子2714は、それぞれ固有の色を有することができる。この場合には、上部電極2720及び下部電極2725に印加される電場の極性を調節するだけで、表示装置の上部及び下部に異なる色を表示することができる。例えば、負電荷を持つ粒子2712を黒色、正電荷を持つ粒子2714を白色と仮定すると、上部電極2720に正の電圧が印加されたときには、負電荷を持つ黒色粒子2712が上部電極2720に向かって移動し、表示装置の上部に黒色を表示することができる。また、上部電極2720に負の電圧が印加されたときには、正電荷を持つ白色粒子2714が上部電極2720に向かって移動し、表示装置の上部に白色を表示することができる。そうであるので、負電荷を持つ粒子2712及び正電荷を持つ粒子2714も、フォトニック結晶を形成し、それによって特定の波長の光を反射させることができる。それゆえ、同一セル上に白色及び黒色を表示することができ、特定の波長範囲内の反射光も同様に表示することができる。
【0118】
図28は、本発明の一実施形態に従って接地電圧を印加するための電極を用いて両面フォトニック結晶ディスプレイを実現するための表示装置の構成を示す図である。
【0119】
図28を参照すると、表示装置2800は、上部電極2820と下部電極2825との間に接地電圧を印加するための接地電極2830を含むことができる。上部電極2820及び下部電極2825にそれぞれ異なる電圧が印加されると、上部電極2820と接地電極2830との間の空間及び下部電極2825と接地電極2830との間の空間に、それぞれ異なる方向及び大きさを有する電場が独立して印加されることができる。従って、上部電極2820と接地電極2830との間に位置する第1の表示部2810内に存在する粒子と、下部電極2825と接地電極2830との間に位置する第2の表示部2815内に存在する粒子とを、互いから独立して制御することができる。それゆえ、表示装置2800は、両面(すなわち、上部電極2820側の面及び下部電極2825側の面)に対して異なる波長の光を反射することができ、従って、両面が互いに独立して制御されるディスプレイを実現することができる。
【0120】
以下では、本発明の別の実施形態に従い、電荷を持つ粒子及び溶媒を含む分散液に電場を印加して粒子間距離を制御し、それによって特定の波長範囲の光を反射させるような、フォトニック結晶特性を用いた表示方法及び装置について説明する。
【0121】
図9に示した本発明の一実施形態に従う表示装置900と同様に、本発明の別の実施形態に従う表示装置(図示せず)は、表示部と、電場発生及び/または印加部とを含むことができ、表示部は、或る溶媒中に分散させた電荷を持つ複数の粒子を含むことができる。
【0122】
本発明の別の実施形態によれば、粒子に電場が印加されると、粒子の電荷により粒子に所定の方向の電気的引力が働き、粒子は電気泳動によって一方の側に引き寄せられるので、粒子間距離が狭くなる。これとは逆に、同じ符号の電荷を持つ粒子間に電気的斥力が働くので、粒子間距離は狭くなり続けずに、所定の均衡状態に達する。従って、粒子間距離は、電場によって発生する電気的引力と同じ符号の電荷を持つ粒子間の電気的斥力の相対的な強さによって決定することができ、それゆえ、所定の間隔で配列された複数の粒子はフォトニック結晶として機能することができる。すなわち、規則的に配列された複数の粒子から反射される光の波長が粒子間の距離によって決定されるので、粒子間の距離を制御することによって、粒子から反射される光の波長を変更することができる。
【0123】
一方、図12〜図23を参照しながら説明してきた構成及び実施形態は、本発明の別の実施形態に従う表示装置にも適用可能であることに留意されたい。
【0124】
電荷及び磁性または磁気特性を持つ粒子及び溶媒を含む分散液に電場及び/または磁場を印加して粒子の粒子間距離を制御し、特定の波長範囲の光を反射させるような、本発明のさらに別の実施形態に従うフォトニック結晶特性を用いた表示方法及び装置について以下に説明する。
【0125】
本発明のさらに別の実施形態によれば、溶媒と、電荷及び磁性または磁気特性を持つ粒子とを含む分散液に、電場または磁場を印加し、粒子間距離を制御するような、表示装置が提供される。磁性または磁気特性を持つ粒子の粒子間距離は、電荷を持つ粒子の粒子間距離が電場によって制御されるのと同じ原理で、磁場によって制御されることができる。従って、動作原理の詳細な説明は省略する。本発明のさらに別の実施形態によれば、電荷及び磁性を持つ粒子は、電荷を持つ物質に加えて、鉄(Fe)酸化物、ニッケル(Ni)酸化物、コバルト(Co)酸化物などの超常磁性体物質または磁性ナノ粒子を含み得る。しかし、本発明のさらに別の実施形態に従う粒子の構成は、上記したものに限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更可能であることに留意されたい。
【0126】
より具体的には、本発明のさらに別の実施形態によれば、表示部で特定色を表示するためのディスプレイが、電荷及び磁性を持つ粒子を含む表示部に所定の電場を印加することによって実現される状態において、表示部の部分領域に、所定の方向及び大きさを有する磁場を印加すると、表示部の対応する部分領域で表示される色を変更することができる。さらに、本発明のさらに別の実施形態によれば、表示部の部分領域に特定色を表示するためのディスプレイが、電荷及び磁性を持つ粒子を含む表示部の部分領域に、所定の方向及び大きさを有する磁場を印加することによって実現される状態において、表示部の全領域に、所定の方向及び大きさを有する電場を印加すると、表示部の全領域にわたってディスプレイをリセットすることができる。すなわち、本発明のさらに別の実施形態に従う表示装置を用いると、電場及び磁場を用いて粒子間距離を制御することができるので、ディスプレイ制御方法を多様化することができる。
【0127】
図29は、本発明のさらに別の実施形態に従う表示装置の構成を示す図である。
【0128】
図29を参照すると、本発明のさらに別の実施形態に従う表示装置2900は、電荷及び磁性を持つ粒子2912を含む表示部2910と、表示部2910に電場を印加するための電場発生及び/または印加部2922、2924及び2926と、表示部2910に磁場を印加するための磁場発生及び/または印加部2930とを含むことができる。磁場印加部2930は、表示部2910に印加される磁場の強さ及び方向を制御するために、電磁石2932及びコイル2934を含むことができる。さらに、磁場印加部2930は、表示装置2900の特定部分に固定設置される磁極の形態をとってもよいし、あるいは、表示部2910上の所与または所望の領域に磁場を印加するように使用者によって操作されるように、ペンの形態をとってもよい。
【0129】
図29を参照すると、電圧が印加されていない第1の電極2922間に位置する粒子2912は不規則に配列され得るが、電圧が印加される第2の電極2924間に位置する粒子2912は、第2の電極2924間に印加される電場によって所定の粒子間距離を維持した状態で規則的に配列され得る。第3の電極2926によって印加される電場にも磁場発生及び/または印加部2930によって印加される磁場にも影響される粒子2912は、第2の電極2924間に位置する粒子2912よりも密または疎に規則的に配列され得る。
【0130】
続いて、図29を参照すると、磁場印加部2930は、誘導電流によって生じる磁場を発生させるようにコイル2934が巻かれている電磁石2932と、コイル2934に電流を流すための電源(図示せず)とを含むことができる。このような構成では、コイル2934から誘導されかつ電磁石2932によって発生する磁場の強さを、コイル2934に供給される電流の変化を調節することによって変化させることができる。それゆえ、表示部2910内に含まれる粒子の粒子間距離は、多様かつ精密に制御されることができ、結果として、表示部2910上に全波長範囲の構造色を表示するためのディスプレイを実現することができる。
【0131】
さらに、図29を参照すると、本発明のさらに別の実施形態に従う磁場印加部2930は、表示部2910に多様な色のディスプレイを実現する「書き込み」機能と、表示部2910に実現されたディスプレイをリセットする「消去」機能を行うことができる。すなわち、本発明のさらに別の実施形態によれば、磁場発生及び/または印加部2930に取り付けられたコイル2934に流れる電流の強さ及び方向を変えることによって、表示部2910内に含まれている粒子の粒子間距離を所定の粒子間距離に設定するか、または逆に、表示部2910内に含まれている粒子の粒子間距離をリセットすることができる。従って、表示装置2900を用いて、全波長範囲の構造色を表示するディスプレイのみならず、背景における様々な色の文字の書き込み及び/または消去機能とともに様々な背景色を有するカラーボードを実現することができる。
【0132】
一方、図12〜図23を参照しながら説明してきた構成及び実施形態は、本発明のさらに別の実施形態に従う表示装置にも適用可能であることに留意されたい。
【0133】
実験結果
【0134】
まず、図30及び図31はそれぞれ、本発明の一実施形態に従って電気分極特性を持つ溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光を示すグラフ及び写真である。参考として、図30及び図31の実験において、電荷を持つ粒子として、負電荷に帯電させ、シリコン酸化膜をコーティングした大きさ100nm〜200nmの粒子を用い、電気分極特性を持つ溶媒として、1より大きい極性指数を有する溶媒を用いた。粒子及び溶媒を含む分散液に電場を印加するために印加された電圧の強さは、0V〜5Vの範囲内で様々に設定した。一方、図30に示したグラフは、様々な強さの電場を印加したときの粒子から反射された光の反射率を可視スペクトルの波長範囲で示している。図30から、電場の強さの変化による反射光の波長パターンの変化の度合いが大きいほど、粒子間距離の変化が大きいことが分かる。これは、電場の強さを制御することによって、より多様な波長の光を粒子から反射させることができることを意味している。
【0135】
図30を参照すると、粒子から反射される光の波長パターンは、印加される電場の強さ(すなわち電圧の強さ)によって決まることが分かる。より具体的には、全体的に見ると、印加される電場の強さ(すなわち電圧の強さ)が増すほど、粒子から反射される光の波長が短くなることが分かる。図30の実験結果によれば、印加される電場の強さ(すなわち電圧の強さ)が増すほど、粒子から反射される光の色がより赤色から青色に変化することが分かる。図31を参照すると、上記した反射光の色の変化を視覚的に確認することができる。
【0136】
次に、図32及び図33は、本発明の一実施形態に従って異なる極性指数を有する溶媒中に電荷を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光の波長を示すグラフである。参考として、図32及び図33の実験において、電荷を持つ粒子として、負電荷に帯電させ、シリコン酸化膜をコーティングした大きさ100nm〜200nmの粒子を用い、電気分極特性を持つ溶媒として、それぞれ極性指数0、2、4及び5の溶媒を用いた。より具体的には、図32のグラフ(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ極性指数0、2、4及び5の溶媒に対する実験結果を示しており、図33のグラフ(a)、(b)、(c)及び(d)は、極性指数0の溶媒と極性指数4の溶媒をそれぞれ90:10、75:25、50:50及び0:100の割合で混合した溶媒に対する実験結果を示している。一方、図32及び図33のグラフは、様々な強さの電場を印加したときの粒子から反射された光の反射率を可視スペクトルの波長範囲で示している。電場の強さの変化による反射光の波長パターンの変化の度合いが大きいほど、粒子間距離の変化が大きい。これは、電場の強さを制御することによって、より多様な波長の光を粒子から反射させることができることを意味している。
【0137】
図32を参照すると、極性指数0の溶媒に対する実験結果を示すグラフ(a)から、電場の強さ(すなわち電圧の強さ)を変化させても、異なる電圧間で反射光の波長パターンがほとんど変化しないことが分かる。極性指数が高くなるほど(すなわち、実験結果がグラフ(a)から(d)に向かって進むほど)、電場の強さ(すなわち電圧の強さ)による反射光の波長パターンの変化が大きくなることが分かる。さらに、図33を参照すると、高い極性指数を有する溶媒の割合が高くなるほど(すなわち、実験結果がグラフ(a)から(d)に向かって進むほど)、電場の強さ(すなわち電圧の強さ)による反射光の波長パターンの変化が大きくなることが分かる。
【0138】
以上の実験結果から、本発明の一実施形態に従う表示装置を用いれば、特定の波長の光を反射することができるフォトニック結晶は、粒子の電荷量及び/または分極量、溶媒の分極量、及び/または印加される電場の強さを適切に調節することによって実現することができ、これによって、特定の波長範囲(フルスペクトル)のディスプレイを実現することができる。
【0139】
次に、図34及び図35はそれぞれ、本発明の一実施形態に従って溶媒中に電荷及び電気分極特性を持つ粒子を分散させた状態で電場を印加する実験を行った結果として粒子から反射された光を示すグラフ及び写真である。参考として、図34及び図35の実験において、電荷及び電気分極特性を持つ粒子として、帯電させたSrTiO粒子(図34の(a)を参照)及び帯電させたBaTiO粒子(図34の(a)を参照)を用い、極性指数0の溶媒中にこれらの粒子を分散させた。
【0140】
図34を参照すると、全体的に見ると、粒子及び溶媒に印加される電場の強さが増すほど、光の反射率が小さくなることが分かる。この実験結果から、電場が印加されると、溶媒中に分散させた粒子は電気的に分極されかつ電場の方向に配列され(図35の(b)を参照)、この配列により、入射光を反射することができる粒子の数が減少し、光の反射率が低下する、と結論付けられる。本実験は、電気分極特性を持つ粒子を無極性溶媒中に分散させた状態で電場を印加する構成を用いて生じさせることになる反射光の波長の急激な変化を引き起こさないが、電場が印加されたときに粒子が一定の方向に配列されることが分かった。このことから、粒子表面上の電荷などの条件を最適化することによって反射光の波長を変えることができると結論付けられる。
【0141】
次に、図36は、本発明の一実施形態に従って透過型ディスプレイを実現するための構成に対する実験結果を示す図である。参考として、本実験で用いた粒子、溶媒及び電極は、可視スペクトルの光を透過させる透明な材質でできており、フォトニック結晶特性を用いた表示装置に印加される電場の強さを徐々に増加させながら、ディスプレイの透明性の度合いを視覚的に観察した。
【0142】
図36を参照すると、電場の強さが比較的小さければ、可視スペクトルの光がフォトニック結晶によって反射されるので、表示装置上に所定の色が表示されることが分かった(図36の(a)及び(b)を参照)。しかし、電場の強さが比較的大きいと、フォトニック結晶によって反射される光の波長範囲が可視スペクトルから紫外線スペクトルに徐々にシフトするので、表示装置上に表示される色が顕著に薄くなることが分かった(図36の(c)を参照)。電場の強さがそれよりもずっと大きくなると、フォトニック結晶によって反射される光の波長範囲は完全に可視スペクトルの範囲外にあり、表示装置は、色を表示しない透明な状態になることが分かった(図36の(d)及び(e)を参照)。この特性を用いると、本発明に従う表示装置を、変色ガラスなどのスマートガラスとして活用することができる。
【0143】
図37は、本発明の一実施形態に従う表示装置の観察角とともに変化する表示性能の実験結果(すなわち、ディスプレイの視野角に関する実験結果)を示す図である。
【0144】
図37を参照すると、本発明の一実施形態に従う表示装置の観察角が20゜から70゜まで変化するとしても、反射光のカラーパターン3710〜3760にはほとんど変化が見られなかった。従来のフォトニック結晶表示装置は、観察角に応じてカラーパターンの著しい変化を示すという短所を有するが、本発明に従う表示装置は、観察角が変化してもカラーパターンの変化がほとんどない一定のカラーパターンを示すという長所を有することが分かった。この長所は、本発明に従う表示装置によって形成されるフォトニック結晶が、短距離秩序を有する準結晶である、という事実に由来することを理解されたい。従って、本発明に従う表示装置は、単に長距離秩序を有するフォトニック結晶を形成するだけの従来の表示装置と比べて、表示性能を著しく向上させることができる。
【0145】
一方、図38及び図39は、本発明のさらに別の実施形態に従って電荷及び磁性を持つ粒子に電場(図38)及び磁場(図39)を印加することによって実際にディスプレイを実現した結果を示す図である。参考として、本実験において、粒子として、酸化鉄(Fe;マグネタイト)を含み、シリコン酸化物(SiOx)でコーティングされかつ負電荷を持つ粒子を用い、これらの粒子を溶媒中に分散させた状態で表示装置内に注入した。
【0146】
まず、図38の実験において、電場を印加するための電極の材料としてインジウム・スズ酸化物を用いた。これは、光透過性電極材料の1つである。さらに、本実験において、表示装置の上部電極に正電圧を印加することによって、負電荷を持つ粒子が配列され、上部電極に向かってバイアスされるようにした。一方、本実験において、表示装置の電極に、0V、1V、2V、・・・、10Vの電圧を順次印加し、0V〜10Vの電圧印加時に表示装置から反射された反射光の色を図38の(a)〜(k)にそれぞれ示した。
【0147】
図38を参照すると、0V〜4Vの比較的低い電圧を印加した場合には特に色の変化が観察されなかったが、5V〜10Vの比較的高い電圧を印加した場合は、著しい色の変化が観察された。特に、印加する電圧が高いほど、表示装置で観察される色が緑色から青色に変化した。その理由は、電場のおかげで粒子に作用する電気的引力(すなわち、電気泳動を生じさせる力)の大きさが増加するとともに粒子間距離が接近し、これによって、粒子から反射される光の波長が短くなるためであると結論付けられる(図38の(a)〜(k)を参照)。
【0148】
次に、図39の実験において、磁場を発生させる永久磁石と表示装置との間の距離を徐々に小さくすることによって、表示装置に印加される磁場の強さを徐々に増加させた。
【0149】
図39を参照すると、表示装置から反射される光の波長は、磁場の強さの変化とともに変化することが分かる。より具体的には、磁場の強さが小さいほど、より波長の長い赤の反射光が現れ、磁場の強さが大きいほど、より波長の短い青の反射光が現れることが分かる。
【0150】
図38及び図39の実験結果から、表示装置に電場及び/または磁場を印加することによって、粒子間距離を独立して変化させることができる。この特性を用いると、磁場によって実現されたディスプレイを電場を用いて消去し、または逆に、電場によって実現されたディスプレイ上に磁場を用いて或るパターンを形成することができるような、独創的な表示装置の製作が可能になる。
【0151】
上記したように、本発明に従う表示装置があれば、電荷を持つ粒子の粒子間距離を制御し、粒子から反射される光の波長を制御することによって、全波長範囲にわたる構造色を実現することができる。さらに、本発明に従う表示装置があれば、電荷を持つ粒子を独立して制御することによって多様かつ精密なディスプレイを実現することができ、表示装置の維持及び補修を容易にするという効果を達成することができる。特に、特定色しか表示できず、特定色とは異なる色を表示するために別体をなすカラーフィルタを使用しなければならないような、電子インクなどの既存のディスプレイと比較して、本発明に従う表示装置は、別体をなすカラーフィルタを使用せずに、全波長範囲にわたる構造色を効果的に表示するためのディスプレイを実現することができる点において効率的である。
【0152】
上記の実施形態について、フォトニック結晶特性を用いた表示装置に焦点を合わせて説明してきたが、本発明の構成は、色が変化する(カラーチェンジング)ガラス、色が変化する壁紙、色が変化する太陽電池、色が変化するセンサ、色が変化する紙、色が変化するインク、偽造防止タグなどの多様な分野に適用可能である。例えば、本概念を用いて、高価な測定機器なしで化学反応を検出可能な携帯用バイオセンサを、該化学反応から得られる化学信号を電気信号に変換しかつ該電気信号を特定の色で表示することによって、製作することができる。また、本発明の表示装置に用いられる溶媒として、光、熱、圧力などによって相変化が可能な物質を用いれば、特定の色を安定的かつ固定的に反射させるような電子ペーパー、電子インクなどを実現することができる。さらに、本発明に従う表示装置に含まれる粒子または溶媒に、蛍光物質や量子ドット(QD)などの物質を入れることによって、明るい環境ではフォトニック結晶を用いたディスプレイを実現することができ、暗い環境または紫外線環境では蛍光物質または量子ドットを用いたディスプレイを実現することができる。
【0153】
本発明について、特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に確定されているような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な変形形態及び変更形態を作ることができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0154】
110 粒子
112 コアセル
114 マルチコア
116 クラスタ
118 電荷層
120 溶媒
510 常誘電体
520 強誘電体
530 超常誘電体
710 溶媒
720 粒子
730 分極領域
810 粒子
900、1000、1100、1200、1300、1400、1700、2100、2200、2300 表示装置
910、1010、1110 表示部
912、1012、1112 粒子
914、1014、1114 溶媒
920、1020、1120 電場発生部
1210 表示部
1212 粒子
1214 溶媒
1222、1224、1226、1228 電場発生部
1312 粒子
1314 溶媒
1322、1324、1326、1328 電場発生部
1332、1334、1336、1338 第1〜第4のカプセル
1410、1420 第1及び第2の領域
1412、1422 粒子
1414、1424 溶媒
1430 媒質
1442、1444 電場発生部
1510 粒子
1520 光透過性物質(カプセル膜)
1610 粒子
1620 溶媒
1630 光透過性部材
1710 表示部
1712 粒子
1714 溶媒
1722、1724、1726、1728 電場発生部
1732、1734、1736、1738 第1〜第4のセル
2110 表示部
2112 粒子
2114 溶媒
2120 電場発生部
2130 太陽電池部
2210 表示部
2220、2225 電場発生部
2230 絶縁層
2310 表示部
2320、2325 電場発生部
2420、2425 電場発生部
2510 表示部
2512 粒子
2514 溶媒
2520 上部電極
2522 第1の下部電極
2524 第2の下部電極
2610 表示部
2612 粒子
2614 溶媒
2620 上部電極
2622 下部電極
2710 表示部
2712 負電荷を有する粒子
2714 正電荷を有する粒子
2720 上部電極
2725 下部電極
2810 第1の表示部
2815 第2の表示部
2820 上部電極
2825 下部電極
2830 接地電極
2910 表示部
2912 粒子
2914 溶媒
2922、2924、2926 電場印加部
2930 磁場印加部
2932 電磁石
2934 コイル
3710〜3760 観察角が20゜〜70゜である場合の反射光のカラーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷を持つ複数の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加することによって粒子間距離を制御することを特徴とする、フォトニック結晶特性を用いた表示方法。
【請求項2】
前記粒子または前記溶媒のうちの少なくとも一方が、電気分極特性を持つことを特徴とする請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記電場を印加することによって、前記電場と前記粒子との間に発生して前記粒子の電気泳動を生じさせる電気力と、前記電荷を持つ複数の粒子間に発生する電気力との間の相互作用により、前記粒子間距離を特定範囲内に維持し、前記粒子間距離を前記特定範囲内に維持することによって、特定波長パターンの光が前記複数の粒子から反射されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示方法。
【請求項4】
前記電場を印加することによって、前記電場と前記粒子との間に発生して前記粒子の電気泳動を生じさせる電気力と、前記電荷を持つ複数の粒子間に発生する電気力と、前記電気分極によって発生する電気力との間の相互作用により、前記粒子間距離を特定範囲内に維持し、前記粒子間距離を前記特定範囲内に維持することによって、特定波長パターンの光が前記複数の粒子から反射されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の表示方法。
【請求項5】
前記電場の強さ、方向、印加時間、印加周期または印加回数のうちの少なくとも1つを変化させることによって、前記粒子間距離を変化させ、前記粒子間距離の変化によって、前記複数の粒子から反射される光の波長を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記粒子と前記溶媒との屈折率の差が0.3以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項7】
前記粒子及び前記溶媒が、絶縁物質によってカプセル化または区画化されていることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載のフォトニック結晶特性を用いた表示方法。
【請求項8】
前記電場が印加される領域を少なくとも2つの部分領域に分割し、該分割された少なくとも2つの部分領域にそれぞれ電場を印加することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項9】
前記粒子または前記溶媒に前記電場を印加した後に、該電場と反対の極性を有する電場を印加して前記粒子間距離をリセットすることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項10】
前記電場を印加する前に、前記粒子間距離を所定の粒子間距離に維持するために、待機電場を印加することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項11】
前記粒子を通過する光を用いて電気エネルギーを発生させ、該電気エネルギーを用いて前記電場を印加することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項12】
上部電極及び下部電極を介して前記電場を印加し、かつ前記電場の強さを所定値未満に設定して前記粒子の移動範囲を所定値未満に制御することによって、前記粒子、前記溶媒、前記上部電極または前記下部電極のうちいずれか1つの、固有の色を表示することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項13】
上部電極及び下部電極を介して前記電場を印加し、かつ前記電場の強さを所定値以上に設定して前記粒子を前記上部または下部のいずれかの電極の少なくとも一部の領域に向かって移動させることによって、前記粒子、前記溶媒、前記上部電極または前記下部電極のうちいずれか1つの、固有の色を表示することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項14】
負電荷を持つ複数の第1の粒子と正電荷を持つ複数の第2の粒子を前記溶媒中に分散させた状態で電場を印加し、前記第1の粒子間距離及び前記第2の粒子間距離を制御することによって、前記第1の粒子間距離及び前記第2の粒子間距離を前記電場によって互いに独立して制御することを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項15】
前記溶媒が、ゲル状態の物質でできていることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項16】
前記粒子及び前記溶媒が可視光線を透過させる物質を含み、
前記複数の粒子から反射される光の波長範囲が可視光線の波長範囲外にあるようにすることによって、前記複数の粒子及び溶媒が透明になるようにすることを特徴とする請求項2に記載のフォトニック結晶を用いた表示方法。
【請求項17】
前記粒子または前記溶媒が、電子分極、イオン分極、界面分極または回転分極のうちのいずれか1つによって電気分極が生じる物質を含むことを特徴とする請求項2に記載のフォトニック結晶特性を用いた表示方法。
【請求項18】
前記粒子または前記溶媒が、超常誘電性または強誘電性物質を含むことを特徴とする請求項2に記載のフォトニック結晶特性を用いた表示方法。
【請求項19】
前記溶媒が、極性指数1以上の物質を含むことを特徴とする請求項2に記載のフォトニック結晶特性を用いた表示方法。
【請求項20】
フォトニック結晶特性を用いた表示装置であって、
電荷を持つ複数の粒子及び前記粒子を分散させた溶媒を含む表示部と、
前記表示部に印加される電場を発生させる電場発生及び/または印加部とを含み、
前記電荷を持つ複数の粒子を前記溶媒中に分散させた状態で前記電場を印加することによって、粒子間距離を制御するようにしたことを特徴とする表示装置。
【請求項21】
前記粒子及び前記溶媒のうちの少なくとも一方が、電気分極特性を持つことを特徴とする請求項20に記載のフォトニック結晶特性を用いた表示装置。
【請求項22】
前記電場が印加される領域が少なくとも2つの部分領域に分割されており、該分割された少なくとも2つの部分領域にそれぞれ電場が印加されるようにしたことを特徴とする請求項20または請求項21のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項23】
前記粒子を通過する光を用いて電気エネルギーを発生させ、該電気エネルギーを用いて前記電場が印加されるようにしたことを特徴とする請求項20または請求項21のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項24】
上部電極及び下部電極を介して前記電場を印加し、かつ前記電場の強さを所定値未満に設定し、前記粒子の移動範囲を所定値未満に制御することによって、前記粒子、前記溶媒、前記上部電極または前記下部電極のうちのいずれか1つの、固有の色が表示されるようにしたことを特徴とする請求項20または請求項21のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項25】
上部電極及び下部電極を介して前記電場を印加し、かつ前記電場の強さを所定値以上に設定し、前記粒子を前記上部または前記下部のいずれかの電極の少なくとも一部の領域に移動させることによって、前記粒子、前記溶媒、前記上部電極または前記下部電極のうちのいずれか1つの、固有の色が表示されるようにしたことを特徴とする請求項20または請求項21のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項26】
負電荷を持つ複数の第1の粒子及び正電荷を持つ複数の第2の粒子を溶媒中に分散させた状態で電場を印加し、前記第1の粒子間距離及び前記第2の粒子間距離を制御することによって、前記第1の粒子間距離及び前記第2の粒子間距離を前記電場によって互いに独立的に制御するようにしたことを特徴とする請求項20または請求項21のうちいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2012−533777(P2012−533777A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521577(P2012−521577)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004739
【国際公開番号】WO2011/010852
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(511259360)ナノブリック カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】