説明

フォトマスクとそれを用いるカラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタ、ならびに液晶表示素子

【課題】一回のフォトリソグラフィー法における露光工程により、高さの異なる複数種類の突起状パターンを適正な高さと形状を保持して同時に形成するためのフォトマスクを提供すること。
【解決手段】高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する際に用いる、異なる高さの突起状パターン形成に対応したフォトマスクであって、最も高い突起状パターンを除く突起状パターンを形成するためのマスクパターンをフォトマスクの開口部に半透過性のハーフトーン膜により設け、かつ、ハーフトーン膜を用いるマスクパターンをハーフトーン膜を用いない最も高い突起状パターン形成に対応するマスクパターンよりも低く設けた透明基材表面に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示素子に用いるカラーフィルタに関し、特に、液晶表示セルのセルギャップを制御するための固定スペーサを設けたカラーフィルタとその製造に用いるフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス方式の液晶表示素子では、一般に、ガラス基板上に各画素ごとに薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチング素子を形成した画素電極基板と、他のガラス基板上に画素パターンを配列した着色透明画素を覆って一様な透明電極を形成したカラーフィルタ基板とが、間に液晶を挟んで対向して配置される。本素子は、各TFT素子のスイッチング動作によって各画素の液晶配向の変化を利用したシャッター機能を制御している。
近年、液晶表示装置の大型化、高精細化、高速応答化、広い視野角や高コントラスト化などの高画質化にあわせて、垂直配向と呼称されるVA液晶において液晶の配向を制御する配向規制用突起を形成したMVA方式、画素の横方向に液晶駆動用の電界が印加されるIPS(In Plane Swiching)方式の液晶表示素子が採用されるようになってきている。
【0003】
TFTを用いた液晶表示素子は、画素電極基板であるTFT基板とカラーフィルタ基板を所定の間隔を設けて対向させて配置し、エポキシ樹脂等に補強用の繊維を混合したシール剤によってこれら基板を貼り合わせることにより構成される。カラーフィルタ基板とTFT基板との間には液晶が封入されているが、カラーフィルタ基板とTFT基板との間隔を正確に保持しないと、液晶層の厚みに差異が出て、液晶の旋光特性差による着色を生じたり、あるいは部分的な色むらが生じて、正しく表示されなくなるという現象が生じる。そのため、セル化工程でビーズスペーサとも称する直径2μmないし10μmの樹脂、ガラス、アルミナ等からなる球あるいは同等サイズの棒状体を多数散布してスペーサを設け、液晶に混合した状態で、液晶のセルギャップ(挟持間隔)の保持を図っている。このスペーサは透明な粒子であることから、画素内に液晶と一諸にスペーサが入っていると、黒色表示時にスペーサを介して光が漏れてしまい、また、液晶材料が封入されている基板間にスペーサが存在することによって、スペーサ近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分で光漏れを生じ、コントラストが低下し表示品質に悪影響を及ぼす、などの問題を有している。
【0004】
このような問題を解決する技術として、例えば、感光性樹脂を用い、部分的なパターン露光〜現像というフォトリソグラフィー法により、カラーフィルタ画素間の遮光層上に固定スペーサ機能を有する突起部を形成する方法が提案されている(特許文献1、2参照)。固定スペーサは、フォトスペーサ、あるいは、柱状(ポスト)スペーサなどとも呼ばれ、PSと略称される。感光性樹脂により選択的に位置決めされて形成される複数のPSを、カラーフィルタ基板上にフォトリソグラフィー法を用いて規則的に配することが多い。上記固定スペーサ、あるいは、前述のMVA方式の配向規制用突起のような突起状パターンを、フォトリソグラフィ法の手法で形成するための技術は、特許文献3〜6に開示されている。
【0005】
固定スペーサは、様々な外部からの圧力に抗して液晶セルギャップを一定の範囲に保持する機能を充分に発揮することが重要である。液晶セルは、セル化工程後にも、外部から強い圧力を受ける機会が多い。そこで、このような強い圧力に対しても固定スペーサが容
易につぶれないように、固定スペーサを構成する材料の強度や弾性特性を改善することが要請されている。
また、セル面内における柱状の固定スペーサの総断面積が小さいとセル化工程で基板間のギャップが均一になりにくく、液晶表示装置に色ムラなどが発生し易くなる。さらに、局部的に過剰な荷重を受けた場合には液晶表示装置に色ムラなどが発生し易くなる。従って、上述の固定スペーサを構成する材料の強度や弾性特性とともに、柱状の固定スペーサの断面形状および配置密度で決まるセルの押圧耐性を一定レベル以上とすることが必要である。
【0006】
柱状の固定スペーサーの断面積が大きく押圧耐性が高いとセル化工程で基板間のギャップは均一に保持できるが、過剰な押圧耐性により液晶セル内で真空気泡が発生し易くなる。例えば、低温時に液晶の体積収縮が生じた場合に、セルギャップが収縮に充分に追随できないと、内圧変動により低温発泡という異常現象が発生し、表示品質を劣化させる。
この問題を解決する方法として、基板間のギャップを保持する柱状の固定スペーサ(メインスペーサ)よりも高さの低い柱状の固定スペーサ(サブスペーサ)を併せて形成する方法が特許文献7に記載されている。サブスペーサを設ける上記の方法は、メインスペーサのみでの押圧耐性不足を補うためのセルギャップの下支えの意味と共に、下限のセルギャップをサブスペーサの高さに従って設定することにより、外部からの圧力に対抗して必要に応じてセルギャップを調節し易くする意味がある。
【0007】
なお、前記メインスペーサやサブスペーサは、基板に水平な断面形状が円形または多角形で、全体形状は、上底部が下底部より狭い柱状のパターンを用いることが多い。
また、前記メインスペーサやサブスペーサを形成するにあたり、高さの異なる2つのパターンを別個の工程で順次作製することは可能であるが、フォトリソグラフィー法を繰り返すために製造工程が長くなり、製品を高品質に低コストで供給する上で不利になる。そのため、工程を短縮する目的で、同一の感光性樹脂を用い、フォトマスクパターンに工夫をすることにより、異なる高さのパターンを一括して同時に実現することが試みられている。具体的には、厚く塗布されたフォトレジスト膜の厚さの制御に関して、充分な露光量を与える領域と遮光する領域との中間の露光量を与えて、突起部の高さを中間レベルに作る方法を用いれば、メインスペーサより低いサブスペーサのパターンをメインスペーサと一括して形成することができる。
さらに、メインスペーサ、サブスペーサ、MVA用の配向規制用突起の3種を、光透過率が異なる半透過性のハーフトーン膜を有するフォトマスクを用いて形成する方法が特許文献8に記載されている。
【0008】
一方、面内均一なセルギャップを有する液晶セルをセル化工程でのトラブル無しに形成する目的で、カラーフィルタ基板端部にもダミーパターンとしてメインスペーサと同等のものを設ける提案があるが、通常は、端部のダミーパターンの天頂部の高さ方向の位置が有効部のメインパターンの天頂部の高さ方向の位置より低く形成される。これは、端部のダミーパターンを設ける土台となる端部の平面位置上にカラーフィルタ各層の厚み分が存在しないことにより、ダミーパターン自体の高さがメインスペーサと同じであっても、ダミーパターンの天頂部の高さ方向の位置がメインスペーサの天頂部の高さ方向の位置より低くなってしまうことによる。上記の問題を防ぐために、カラーフィルタ有効面内のメインスペーサ自体の高さをダミーパターン自体の高さより小さくして、結果的にパターン天頂部の高さ方向の位置を揃える手法として、フォトマスクに段差を設ける方法が提案されている(特許文献9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−48636号公報
【特許文献2】特開平8−262484号公報
【特許文献3】特開平9−258192号公報
【特許文献4】特開平11−248921号公報
【特許文献5】特開2001−201750号公報
【特許文献6】特開2001−108813号公報
【特許文献7】特許第3925142号公報
【特許文献8】特開2009−151071号公報
【特許文献9】特開2006−330545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液晶表示素子に組み込むカラーフィルタ基板において、固定スペーサの平面配置位置に応じて異なる種類の固定スペーサの高さを制御する目的で、使用するフォトマスクにハーフトーンマスク(特許文献8)や段差付きフォトマスク(特許文献9)を用いることは既に提案されている。しかし、段差付きフォトマスクを用いる場合において、近接露光(プロキシミティ)法における露光ギャップを大きくするためにフォトマスク表面上で低く設けた通常パターンにより投影される有効部の固定スペーサは、露光ギャップを小さくするためにフォトマスク表面上で高く設けた通常パターンにより投影される端部のダミーパターンに較べて、形成されるスペーサパターン自体の高さを自由に制御された状態で低く設けることは簡単ではない。
【0011】
これに対して、ハーフトーンマスクを用いる場合においては、ハーフトーン膜の光透過率を適宜設定することによって、ハーフトーン膜を通過する露光量を直接制御できるので、形成されるスペーサパターン自体の高さを自由に制御し易い。しかし、ハーフトーンマスクを用いてメインスペーサとサブスペーサを一度に形成する場合、サブスペーサのサイズによっては、サブスペーサの上底部が凹んだ形状になってしまい、液晶の配向乱れによる光漏れやサブスペーサの弾性特性の低下が生じることがある。図3は、従来のハーフトーン膜36を用いた(a)フォトマスク30と、プロキシミティ露光方式によりフォトマスク30を用いて製造される(b)光硬化性樹脂によるネガタイプ材料で突起部を形成したカラーフィルタ40の一例とを説明するための模式断面図である。ハーフトーン膜36により露光量を減らされて形成されたサブスペーサ46は、表面の開口部35を通して全透過の露光を受けて形成された隣接するメインスペーサ45より、その高さを低く制御することができるものの、不充分な露光量による光硬化のため上底部が凹んだ形状など形状不良になり易い。
【0012】
また、上記と同様のフォトマスクを用いてサブスペーサと同様にメインスペーサより低く形成する配向規制用突起を設ける場合、突起の形状不良により液晶配向制御に不具合が発生することがある。サブスペーサや配向規制用突起の凹み形状はスペーサや突起の形成工程においてプロキシミティ露光方式による露光時に露光ギャップを広くすることで一般的には改善できるが、同時に形成するメインスペーサに対して充分な露光量を与える際の露光ギャップが過剰に大きくなることにより、メインスペーサの高さバラツキが悪化する問題が発生する。このため、高さの異なる複数種類の突起状パターンを同時形成する場合の実用的な改善が困難であった。
【0013】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、一回のフォトリソグラフィー法における露光工程により、高さの異なる複数種類の突起状パターンを適正な高さと形状を保持して同時に形成するためのフォトマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する際に用いる、異なる高さの突起状パターン形成に対応したフォトマスクであって、最も高い突起状パターンを除く突起状パターンを形成するためのマスクパターンをフォトマスクの開口部に半透過性のハーフトーン膜により設け、かつ、ハーフトーン膜を用いるマスクパターンをハーフトーン膜を用いない最も高い突起状パターン形成に対応するマスクパターンよりも低く設けた透明基材表面に有することを特徴とするフォトマスクである。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、高さの異なる複数種類の突起状パターンが、メインスペーサとメインスペーサよりも高さの低いサブスペーサとからなる固定スペーサを含み、ハーフトーン膜を設けたフォトマスクが、前記固定スペーサを有するカラーフィルタを製造する際に用いるフォトマスクであることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、サブスペーサを形成するためのマスクパターンがi線透過率10〜30%の半透過性のハーフトーン膜であり、メインスペーサを形成するためのマスクパターンが遮光膜を除去した全透過性の開口部であって、サブスペーサを形成するためのマスクパターンがメインスペーサを形成するためのマスクパターンよりも20〜100μm低く設けた透明基材表面に有することを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、高さの異なる複数種類の突起状パターンを、光硬化タイプの感光性樹脂を用いて1回のフォトリソグラフィ工程で形成するカラーフィルタの製造方法であって、フォトリソグラフィ工程の露光時に請求項1〜3のいずれかに記載のフォトマスクを用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の製造方法により製造されることを特徴とするカラーフィルタである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカラーフィルタを用いることを特徴とする液晶表示素子である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する際に用いる、異なる高さの突起状パターン形成に対応したフォトマスクであって、最も高い突起状パターンを除く突起状パターンを形成するためのマスクパターンをフォトマスクの開口部に半透過性のハーフトーン膜により設け、かつ、ハーフトーン膜を用いるマスクパターンをハーフトーン膜を用いない最も高い突起状パターン形成に対応するマスクパターンよりも低く設けた透明基材表面に有するので、一回のフォトリソグラフィー法における露光工程により、高さの異なる複数種類の突起状パターンを適正な高さと形状を保持して同時に形成するためのフォトマスクを提供することができる。
【0021】
また、本発明のフォトマスクを、液晶表示素子用のカラーフィルタにおけるメインスペーサとサブスペーサとからなる固定スペーサの製造に適用することによって、各スペーサの高さを最適に保持し、良好な形状を有するカラーフィルタを提供できるので、これを組み込んだ液晶表示素子において、低温発泡による表示不良を起こさずに耐荷重特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のフォトマスクの構成の一例を形成順に説明するための模式断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの構成の一例を説明するための模式断面図である。
【図3】従来のフォトマスク(a)と、それを用いて製造されるカラーフィルタ(b)の一例とを説明するための模式断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の液晶表示素子の構成の一例を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明のフォトマスクの構成の一例を形成順に説明するための模式断面図である。
以下、加工対象として、カラーフィルタにメインスペーサとメインスペーサよりも高さの低いサブスペーサとからなる固定スペーサを同時形成する場合について説明するが、一般的に高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する場合に用いるフォトマスクに関して、同様の構成により同様の機能を得ることができる。
【0024】
図1(a)において、フォトマスクの透明基材1は、平坦性、光学的均一性、表面硬度、熱的安定性、耐薬品性等に優れた石英ガラス等のガラス基板が利用できる。透明基材1のパターン形成する側を表面、パターン形成しない反対面を裏面14とすれば、表面に段差13を設けることにより、高い表面11と低い表面12を選択的に形成することができる。ここで、高い表面とは透明基材1が厚い領域の表面を指し、低い表面とは透明基材1が薄い領域の表面を指す。
透明基材1の元来の板厚を特定の箇所だけ薄くする加工によって上記の段差13を設けるが、その方法としてウェットエッチング法とドライエッチング法があり、加工部の平坦性を考慮するとウエットエッチングの方が好ましい。フォトマスクの基材となる石英ガラス基板にポジレジストを塗布し、エッチングで基板厚を薄くする箇所のみを描画にて感光、現像して基材表面を露出させる。次に基材表面上の高い表面11となるべき箇所に残したポジレジストをマスクとしてフッ化水素酸溶液にてエッチングを行い、段差13とその結果現れる低い表面12を形成した後に、レジストパターンを専用の剥離液で除去して、段差付き透明基材1を得る。
【0025】
次に、段差付き透明基材の加工表面に真空蒸着、スパッタリング等により、酸化クロム膜、クロム膜及び酸化クロム膜の多層からなる遮光膜5を形成し、遮光膜上にスピンコート法等によりレジストを塗布し、レジスト層を形成し、電子ビーム描画装置にてパターン描画、現像処理等のフォトリソグラフィー法によるパターニング処理を行って、レジストパターンを形成する。電子ビーム露光では、基板厚の異なる領域に形成されたレジスト層をパターン露光する際、露光面の位置(フォーカス)調整を光の一括露光に較べて容易に行うことができる。その後、レジストパターンをマスクにして専用のエッチング液にて遮光膜5を選択的にエッチングし、レジストパターンを専用の剥離液で除去することにより、段差付き透明基材1上の遮光膜5の所定位置に高い表面の開口部15および低い表面の開口部16をそれぞれ形成する(図1(b)参照)。次に、酸化クロムからなるハーフトーン膜6を全面に成膜し、スピンコート法等によりレジストを塗布し、レジスト層を形成、電子ビーム描画装置にてパターン描画、現像処理等のパターニング処理を行って高い表面の開口部15上のハーフトーン膜上をレジスト開口部に、また低い表面の開口部16上のハーフトーン膜上をレジストで覆うようにレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクにして専用のエッチング液にてハーフトーン膜を選択的にエッチングし、レジストパターンを専用の剥離液で除去して、高い表面の開口部15を全透過性の開口部とし、低い表面の開口部16を半透過性の開口部にハーフトーン膜6を形成した領域とする本発明のフォトマスク10を得る(図1(c)参照)。
【0026】
図2は、本発明のカラーフィルタの構成の一例を説明するための模式断面図である。
図2に示すように、このカラーフィルタは、液晶表示素子に用いるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたカラーフィルタに、高さの異なる2種の柱状の固定スペーサが付加されたものである。
すなわち、図2に示すカラーフィルタ20は、一般に低膨張ガラス等を用いることの多いカラーフィルタの透明基板21上に、遮光性のブラックマトリックス22と、一般に赤色、緑色、青色の3色を選択的に平面配置する着色透明画素23、24、25が順次にフォトリソグラフィー法により形成された後に、オーバーコート層26が塗布形成される。必要に応じて、オーバーコート層26の全面上に透明電極層を真空蒸着法、スパッタリング法等により成膜するが、図では省略する。さらに高さの異なる2種の柱状の固定スペーサとして、メインスペーサ27およびサブスペーサ28が、前述の目的のために、同時に形成されたものである。サブスペーサ28は、前述のように外部からの圧力に対抗して必要に応じてセルギャップを調節し易くする意味で、メインスペーサ27よりも高さが0.3〜0.8μm低く、通常は約0.5μm低く形成する。
【0027】
図4は、本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を、露光工程について示す模式断面図である。本発明のカラーフィルタ20を図2に示した構成に形成するために、ブラックマトリックス22、着色透明画素23、24、25、オーバーコート層26に積層して光硬化性の感光性樹脂8を塗布する。その後、該感光性樹脂材料により選択的に高さの異なる2種の柱状の固定スペーサとして、破線で示したメインスペーサ27’およびサブスペーサ28’が同時に形成されるように、前述の本発明のフォトマスク10による近接露光を行い、以後の現像等の一連のフォトリソグラフィー法による工程によってカラーフィルタを製造する。以下、露光工程について詳述する。
【0028】
フォトマスク10とカラーフィルタ20との正確な位置合わせを行った後に、フォトマスク10の裏面14側に設置した光源(図示せず)より均一で平行な照射光7をフォトマスクパターン面に向けて、露光ギャップの最小値50μm程度の近接露光を行う。フォトマスク10の高い表面の開口部15を全透過した露光量の大きい光と、低い表面の開口部に設けたハーフトーン膜6により半透過した露光量の小さい光とが、感光性樹脂8の所定の位置を照射することにより、最終的にそれぞれメインスペーサ27’およびサブスペーサ28’を残すことができる。
すなわち、高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する際に用いる、異なる高さの突起状パターン形成に対応したフォトマスクにおいて、最も高い突起状パターンを除く突起状パターンであるサブスペーサ28’を形成するためのマスクパターンをフォトマスクの開口部に半透過性のハーフトーン膜6により設け、かつ、ハーフトーン膜6を用いるマスクパターンをハーフトーン膜を用いない最も高い突起状パターン形成に対応するマスクパターンである開口部15よりも低く設けた透明基材表面に有するフォトマスクを使用して露光することにより、高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に同時に製造することができる。
また、本例においては、高さの異なる複数種類の突起状パターンが、メインスペーサ27’とメインスペーサよりも高さの低いサブスペーサ28’とからなる固定スペーサを含み、前述のように段差を設けたハーフトーン膜を設けたフォトマスク10が、前記固定スペーサを有するカラーフィルタ20を製造する際に用いるフォトマスクとして有効である。
【0029】
さらに、サブスペーサを形成するためのマスクパターンがi線透過率10〜30%の半透過性のハーフトーン膜であり、メインスペーサを形成するためのマスクパターンが遮光膜を除去した全透過性の開口部であって、サブスペーサを形成するためのマスクパターンがメインスペーサを形成するためのマスクパターンよりも20〜100μm低く設けた透明基材表面に有することが望ましい。
本発明のフォトマスクを用いて近接露光を行う場合に、光源として高圧水銀灯を用いることが実用的であり、高圧水銀灯が出射する照射光の主波長は、g線(波長436nm)、
h線(波長405nm)、i線(波長365nm)であるが、カラーフィルタの固定スペーサ等の微細パターンを形成するには、i線を最も有効に利用する。メインスペーサ27よりも高さが0.3〜0.8μm低く形成するサブスペーサ28に照射する露光量としては、メインスペーサに照射する充分なi線露光量の10%未満では硬化不足が甚だしく良好な形状が得られないため不適当であり、また30%を超えると形成するサブスペーサの高さにメインスペーサとの望ましい差が得られなくなるため、ハーフトーン膜6のi線透過率を10〜30%とすることが望ましい。
また、サブスペーサを形成するためのフォトマスクのパターンがメインスペーサを形成するためのパターンよりも低く設けるための段差の量としては、後述の実施例の結果より20〜100μmとすることが望ましい。
【0030】
前述のように本発明のフォトマスクを用いて近接露光を行うことにより、高さの異なる複数種類の突起状パターンを同時形成できるので、光硬化タイプの感光性樹脂を用いて1回のフォトリソグラフィ工程で、従来のカラーフィルタ上にメインスペーサとサブスペーサとからなる固定スペーサを追加して製造することができる。得られるカラーフィルタは、各固定スペーサの高さを最適に保持し、良好な形状を有することができるので、図5を用いて後述する上記のカラーフィルタを組み込んだ液晶表示素子において、低温発泡による表示不良を起こさずに耐荷重特性を向上させることができる。
【0031】
なお、本発明のフォトマスクを用いて近接露光を行うことにより、高さの異なる複数種類の突起状パターンを良好な形状で同時形成できるメカニズムについて、以下のように考えられる。
まず、後述の実施例で述べる段差を有しないフォトマスクを用いる比較例のマスク開口広さと露光ギャップでは、光の回折と干渉により、パターン中央部の露光強度がパターン端部より弱くなっている。ハーフトーンの無い全透過の開口部分であれば、光の干渉で露光強度が多少弱くなっても飽和感度に達するため、充分に硬化して形状不良は発生しないが、ハーフトーン露光部では光の干渉の影響が、低い突起状パターンであるサブスペーサの形状に反映されやすい。サブスペーサに合わせて露光ギャップを大きくする方向に適切に設定すれば光の干渉による形状不良を解消できるが、露光ギャップを大きくし過ぎることはメインスペーサの線幅や高さの面内バラツキに悪影響を及ぼす。
すなわち、メインスペーサ形成に適切な露光ギャップに対してサブスペーサを形成するのに適切な露光ギャップは異なる場合が多く、メインスペーサの形成を優先するとサブスペーサの形状不良が発生し、サブスペーサの形状を優先するとメインスペーサの高さバラツキ、線幅太りを生じてしまう。従来のフォトマスクでは、メインスペーサとサブスペーサは必ず同じ露光ギャップで形成することになるので、固定スペーサの仕様によっては形状不良なくサブスペーサを形成することが不可能な場合があった。これに対して、本発明では、フォトマスクの透明基材をエッチングしサブスペーサ形成に対応するパターン部分に段差を設けることで、メインスペーサとサブスペーサの露光ギャップに一定の差をつけて設定することができるので、一枚のフォトマスクを露光時に設定する露光ギャップを、メインスペーサとサブスペーサでそれぞれ最適に設定することが可能になる。
また、本発明により、従来の方法では面内バラツキや形状不良が発生する仕様においても、メインスペーサの面内バラツキが良好で、サブスペーサや配向制御突起の形状不良が無い状態で形成することができる。
【0032】
図5は、本発明の液晶表示素子の構成の一例として、アクティブ駆動方式のTNタイプの透過型液晶表示素子60を説明するための模式断面図である。
前記メインスペーサ27やサブスペーサ28は、上述のようにカラーフィルタ20側に設けることが一般的である。カラーフィルタ20側にはメインスペーサ27やサブスペーサ28を設けずに、液晶セル構造を構成するカラーフィルタ20とは対向側の画素電極基板50上にそれらを設けることもできるが、樹脂素材を用いる一連の加工に引き続いてカラ
ーフィルタ20側に設ける方が製造工程上都合の良いことが多い。メインスペーサ27やサブスペーサ28がいずれの側にあっても、液晶表示素子60はセルギャップを制御するための固定スペーサをもち、一般的に両側に設けた液晶配向膜62に挟まれて配向駆動される液晶61を封止するための封止剤63で閉じたセル構造を作ることができる。
【0033】
図5の液晶表示素子60において、カラーフィルタ20は、透明基板21のセル内部に向く面に、前述のブラックマトリクス22、着色透明画素23、24、25、また必要に応じてオーバーコート層26、透明電極層29、を有し、それに加えて液晶配向膜62を設ける。また、セル外部側の面に偏光板64が貼り付けられている。また、カラーフィルタ20に対向する画素電極基板50は、透明基板51のセル内部に向く面に、TFT等のアクティブ駆動用スイッチング素子52、画素電極53、に加えて液晶配向膜62を有し、セル外部側の面には、カラーフィルタ側のセル外部側偏光板64と平行平面内にて直交する回転角度を設けた偏光板65が貼り付けられており、さらに外側には、液晶表示のための照明光源としてバックライト(図示せず)が設けてある。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明のフォトマスクおよびそれを用いて製造するカラーフィルタに関して実施例を述べる。
先ず、突起状パターンである固定スペーサを形成する前のカラーフィルタの構成部分の製造方法について、具体例により説明する。
【0035】
透明基板上にブラックマトリックスを形成する。その後、赤色層、青色層、緑色層の各色のカラーフィルタ層を形成する。
次いで、前面に保護膜としてオーバーコート層を形成する。オーバーコートには熱硬化性の透明樹脂を使用し、ダイコート法により塗布、減圧下で乾燥させた後230℃で30分間ベークを実施した。
【0036】
着色層を形成する着色レジストとしては以下の組成のものを使用した。
着色レジストに使用する顔料として、下記のものを用いた。
[赤色顔料1(R−1)]
赤色顔料1(C.I. Pigment Red 254、BASF社製「IRギャップHOR RED B-CF」;R−1)を使用した。
[赤色顔料2(R−2)]
赤色顔料2(C.I. Pigment Red 177、BASF社製「CROMOPHTAL RED A2B」;R−2)を使用した。
[緑色顔料1(G−1)]
緑色顔料(C.I. Pigment Green 36、東洋インキ製造社製「LIONOL GREEN 6YK」;G−1)500部、塩化ナトリウム1300部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で3時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、496部のソルトミリング処理顔料を得た。
[黄色顔料1(Y−1)]
黄色顔料(C.I. Pigment Yellow 138、BASF社製「PALIOTOL YELLOW K0961HD」)200
部、塩化ナトリウム1500部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)270部ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、196部のソルトミリング処理
顔料を得た。
[青色顔料1(B−1)]
青色顔料1(C.I. Pigment Blue 15:6、東洋インキ製造社製「LIONOL BLUE ES」を使用した。
[紫色顔料1(V−1)]
紫色顔料1(C.I. Pigment Violet 23、東洋インキ製造社製「LIONOGEN VIOLET RL」を使用した。
[アクリル樹脂溶液の調製]
実施例で用いたアクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して、重合反応を行った。
メタクリル酸 20.0部
メチルメタクリレート 10.0部
n−ブチルメタクリレート 35.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0部(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続行して、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥し、不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。
[顔料分散体の調製]
下記表1に示す組成(重量比)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体RP−1、GP−1、BP−1を作製した。
【0037】
【表1】

【0038】
[着色組成物の調製]
下記表2に示す組成(重量比)の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、各色の着色組成物であるRR−1(赤色)、GR−1(緑色)、BR−1(青色)を得た。
【0039】
【表2】

【0040】
上記表2の組成要素の具体例を以下に示した。
モノマー:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製「イルガキュア 907」)
増感剤:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
有機溶剤:シクロヘキサノン
【0041】
〔着色層形成およびオーバーコート層形成〕
以上のようにして得た着色組成物を用いて、透明基板上にあらかじめ形成された膜厚2.0μmブラックマトリックスにより区画された領域に各色の画素を形成した。
即ち、透明基板に、赤色の着色組成物であるRR−1をダイコートにより仕上り膜厚1.5μmとなるように塗布した。次いで、90℃で3分間乾燥した後、画素形成用のストライプ状フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を100mJ/cm照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像した。その後、230℃で30分間のベイキングにより硬膜し、赤色画素を得た。このとき、ブラックマトリックス上の赤色層の膜厚は0.65μmとなった。なお、仕上り膜厚とは、230℃で30分間の硬膜後の膜厚あるいは色層の高さを意味する。
次に、同様にして、緑色の着色組成物であるGR−1をダイコートにより仕上り膜厚が1.5μmとなるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、フォトマスクを通して露光し、現像した後、230℃で30分間硬膜することで、緑色画素を得た。このとき、赤色層上の緑色層の膜厚は0.6μmとなった。
更に、赤色の画素、緑色の画素を形成した場合と全く同様にして、青色の着色組成物であるBR−1をダイコートにより仕上り膜厚が1.5μmとなるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、フォトマスクを通して露光し、現像した後、230℃で30分間で硬膜することで、緑色画素、赤色画素と隣接した位置に、仕上り膜厚が1.8μmの青色画素を形成した。このとき、緑色層上の青色層の膜厚は0.5μmとなった。
このようにして、透明基板に赤、緑、青3色の画素を有するカラーフィルタが得られた。なお、アルカリ現像液は以下の組成を有する。
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0重量%
水 90.0重量%
これら3色の画素を形成したカラーフィルタ上に、液晶表示装置の設計により、オーバーコート層ないし透明電極層を形成し、その上に後述の方法によりスペーサを形成する。
【0042】
〔固定スペーサの形成〕
実施例1については、ブラックマトリクス、着色層、オーバーコート層を有する基板にネガ型フォトレジストをスピンナーで塗布し、仕上り膜厚が3.5μmとなるように塗布量を調整してフォトレジスト膜を形成した。減圧乾燥、プレベークを行った後、フォトマスク基材に50μmの窪み部段差とi線透過率が15.0%である半透光膜(ハーフトーン膜)遮光部と、透光部を有する本発明によるフォトマスクを用いて露光を行った。外観で判別出来るようにメインスペーサ用のマスク開口部は一辺が8μmの正方形、ハーフトーン膜を形成したサブスペーサ用の開口部は内接円の直径が14μmの正八角形とした。メインスペーサ用のマスクの高い表面と被露光面とのギャップ量は50μm、露光照度40mW/cm、露光量100mJ/cmの近接露光を行った。上記フォトマスクの設計条件と露光ギャップ量を表3の実施例1の欄に示す。
メインスペーサは透光部を介した照射で、メインスペーサより高さの低いサブスペーサは半透光膜(ハーフトーン膜)を介した照射で露光を行い、無機アルカリ現像液にて現像し、クリーンオーブンにて230℃30分間の焼成した結果、表4の実施例1に示す固定スペーサのサイズと柱状形状の状態評価を得た。
実施例2〜8、比較例1〜9については、表3に示すようにフォトマスクの各種の設計条件、すなわち窪み部の段差、マスク開口サイズ、ハーフトーン透過率の条件、のいずれかに関して実施例1とは異なるマスクを使用し、露光ギャップの大きさを変える以外は、実施例1と同様の方法で固定スペーサを形成した。
【0043】
【表3】

【0044】
比較例はいずれも従来の方法により作製されたフォトマスクを用いた一例である。
実施例および比較例にて作製したカラーフィルタのメインスペーサおよびサブスペーサの高さ、線幅の測定(μm単位)およびサブスペーサの形状を確認した結果を表4に示す。スペーサの線幅は顕微鏡にて平面視野で測定した際の下底線幅である。また、メインスペーサの高さバラツキ3σはカラーフィルタ面内20ポイントを測定した際の高さのバラツキである。サブスペーサの形状は走査型電子顕微鏡にて60°の角度より観察し、凹みや干渉縞の有無により判定を行った。○印は形状が良好であること、×印は形状が不良であることを示す。
【0045】
【表4】

【0046】
上記の結果より、本実施例、比較例におけるフォトマスクの設計条件および露光ギャップの範囲では、高さの異なる複数種類の突起状パターンを同一面側に同時に形成するためのフォトマスクパターンを同一平面上に設けた場合に、それを用いて形成する高い方の突起状パターンの高さのバラツキが大きくなるか、または、低い方の突起状パターンの形状が不良となり、フォトマスクのパターン形成面に高低差を設けて形成することによって、上記の不具合を克服できることが実証された。
本発明のフォトマスクを使用することで、従来の方法ではサブスペーサの形状不良ないしメインスペーサの高さバラツキが生じたことを改善し、良好なカラーフィルタを提供するとともに、これを組み込んだ液晶表示素子において、低温発泡による表示不良を起こさずに耐荷重特性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1、31・・・フォトマスクの透明基材
5・・・遮光膜
6・・・ハーフトーン膜
7・・・照射光
8・・・感光性樹脂
10、30・・・フォトマスク
11・・・高い表面
12・・・低い表面
13・・・表面の段差
14・・・裏面
15・・・高い表面の開口部
16・・・低い表面の開口部
20、40・・・カラーフィルタ
21、41・・・カラーフィルタの透明基板
22、42・・・ブラックマトリクス
23、24、25、43・・・着色透明画素
26、44・・・オーバーコート層
27、45・・・メインスペーサ
28、46・・・サブスペーサ
29・・・透明電極層
35・・・表面の開口部
36・・・ハーフトーン膜
50・・・画素電極基板
51・・・透明基板
52・・・スイッチング素子
53・・・画素電極
60・・・液晶表示素子
61・・・液晶
62・・・液晶配向膜
63・・・封止剤
64、65・・・偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さの異なる複数種類の突起状パターンを露光対象基板の同一面側に製造する際に用いる、異なる高さの突起状パターン形成に対応したフォトマスクであって、最も高い突起状パターンを除く突起状パターンを形成するためのマスクパターンをフォトマスクの開口部に半透過性のハーフトーン膜により設け、かつ、ハーフトーン膜を用いるマスクパターンをハーフトーン膜を用いない最も高い突起状パターン形成に対応するマスクパターンよりも低く設けた透明基材表面に有することを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
高さの異なる複数種類の突起状パターンが、メインスペーサとメインスペーサよりも高さの低いサブスペーサとからなる固定スペーサを含み、ハーフトーン膜を設けたフォトマスクが、前記固定スペーサを有するカラーフィルタを製造する際に用いるフォトマスクであることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
サブスペーサを形成するためのマスクパターンがi線透過率10〜30%の半透過性のハーフトーン膜であり、メインスペーサを形成するためのマスクパターンが遮光膜を除去した全透過性の開口部であって、サブスペーサを形成するためのマスクパターンがメインスペーサを形成するためのマスクパターンよりも20〜100μm低く設けた透明基材表面に有することを特徴とする請求項2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
高さの異なる複数種類の突起状パターンを、光硬化タイプの感光性樹脂を用いて1回のフォトリソグラフィ工程で形成するカラーフィルタの製造方法であって、フォトリソグラフィ工程の露光時に請求項1〜3のいずれかに記載のフォトマスクを用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法により製造されることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを用いることを特徴とする液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109006(P2013−109006A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251434(P2011−251434)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】