説明

フォトマスクの製造方法、フォトマスクおよびフォトマスクの製造装置

【課題】隣接するストライプ状領域の重複領域の位置を所望の位置に容易に調整することができるフォトマスクの製造方法、この方法を用いて作製されたフォトマスク、およびフォトマスクの製造装置を提供する。
【解決手段】マスクブランクス10上でX方向に延びかつX方向と交差するY方向における幅を有するとともにY方向に並ぶ複数のストライプ状領域S1,S2に順にパターンの描画が行われる。複数のストライプ状領域S1,S2のうち一部のストライプ状領域S1の幅ws1が他のストライプ状領域S2の幅ws2と異なるように、複数のストライプ状領域S1,S2の幅がそれぞれ設定される。設定された幅ws1,ws2を有する複数のストライプ状領域S1,S2に順に描画が行なわれることにより、隣接する複数のストライプ状領域S1,S2の境界部分にX方向に沿って延びる重複領域OVが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの製造方法、この方法を用いて作製されたフォトマスク、およびフォトマスクの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトマスクの製造には、レーザ光または電子ビームによりマスクブランクスにパターンの描画を行う描画装置が用いられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の描画装置は、一方向(以下、Y方向と呼ぶ)に移動可能なステージを有する。ステージの上方には、レーザ光を出射するためのヘッド部がY方向に垂直な一方向(以下、X方向と呼ぶ)に移動可能に設けられる。
【0004】
ステージ上にマスクブランクスが固定される。その状態で、ヘッド部がX方向に移動しつつ所定のタイミングでマスクブランクス上に向けてレーザ光を出射する。これにより、マスクブランクス上のX方向に沿うストライプ状の領域(以下、ストライプ状領域と呼ぶ。)においてパターンの描画が行われる。
【0005】
次いで、ステージがY方向に沿って移動することにより、マスクブランクスの位置がY方向にずらされる。その状態で、上記同様にヘッド部がX方向に移動しつつ所定のタイミングでマスクブランクス上に向けてレーザ光が出射される。これにより、上記のストライプ状領域と隣接する他のストライプ状領域において、パターンの描画が行われる。
【0006】
このように、X方向に沿うストライプ状領域において描画を行う毎に、マスクブランクスの位置をY方向にずらすことにより、マスクブランクスの全面において描画を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−244272号公報
【特許文献2】特開2008−210850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、マスクブランクスにストライプ状領域毎にパターンを描画する場合には、レーザ光のビームの広がりの誤差等に起因して隣接する2つのストライプ状領域の境界部分に隙間が発生することを防止するために、隣接するストライプ状領域の境界部分に互いに重なり合う領域(以下、重複領域と呼ぶ)が設定される。しかしながら、重複領域での露光量を他の領域での露光量と等しくすることは難しい。そのため、重複領域では、露光されるパターンの寸法変動(寸法誤差)が生じる。液晶表示装置またはDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)等のデバイス内では、配線のように重複領域におけるパターンの寸法変動が許容される部分と、液晶表示装置のトランジスタ形成部分またはDRAMのキャパシタ形成部分のように重複領域におけるパターンの寸法変動が許容されない部分とが存在する。
【0009】
そこで、特許文献2には、デバイス内でパターンの寸法変動が許容される部分に重複領域を設定するように描画データを作成することが記載されている。液晶表示装置の複数のトランジスタ形成部分およびDRAMの複数のキャパシタ形成部分は、デバイス内で一定のピッチで規則的に配列されている。そのため、ストライプ状領域の幅をトランジスタ形成部分またはキャパシタ形成部分のピッチと一致させることにより、パターンの寸法変動が許容される部分に複数の重複領域を設定することができる。それにより、トランジスタ形成部分またはキャパシタ形成部分のようなパターンの寸法変動が許容されない部分に重複領域が位置することを回避することができる。
【0010】
しかしながら、重複領域におけるパターンの寸法変動が許容されない複数の部分がマスクブランクスの全体の領域で一定のピッチで配列されているとは限らない。パターンの寸法変動が許容されない複数の部分の一部が一定のピッチで配列されていない場合または異なるピッチで配列されている場合に、パターンの寸法変動が許容されない全ての部分を避けるように重複領域を設定することは困難である。
【0011】
本発明の目的は、隣接するストライプ状領域の重複領域の位置を所望の位置に容易に調整することができるフォトマスクの製造方法、この方法を用いて作製されたフォトマスク、およびフォトマスクの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係るフォトマスクの製造方法は、マスクブランクスに描画すべき描画パターンに対応する描画データに基づいて、マスクブランクス上における第1の方向に延びかつ第1の方向と交差する第2の方向における幅を有するとともに第2の方向に並ぶ複数のストライプ状領域に、隣接するストライプ状領域の境界部分に第1の方向に沿って延びる重複領域が形成されるように順にパターンの描画を行うフォトマスクの製造方法であって、複数のストライプ状領域のうち一部のストライプ状領域の幅が他のストライプ状領域の幅と異なるように、複数のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定するステップを含むものである。
【0013】
このフォトマスクの製造方法においては、一部のストライプ状領域の幅および他のストライプ状領域の幅を任意に設定することにより、第1の方向に延びる重複領域の位置を第2の方向における所望の位置に容易に調整することができる。したがって、描画パターンにおいて小さい許容寸法精度を有する部分に重複領域が位置することを容易に回避することができる。
【0014】
(2)描画パターンは、第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、第2の方向において第1の規則的領域に並ぶように配置される他の描画領域とを含み、一部のストライプ状領域は、第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域であり、他のストライプ状領域は、他の描画領域の少なくとも一部を含む一または複数の第2のストライプ状領域であり、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の第2の方向におけるピッチが第1のピッチの整数倍になるように複数の第1のストライプ状領域の幅を一定の幅に設定するとともに、一または複数の第2のストライプ状領域の幅を一定の幅と異なる幅に設定することを含んでもよい。
【0015】
この場合、第1の規則的領域においては、複数の重複領域の各々がいずれかの第1の単位領域の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくなる。その結果、複数の第1の単位領域のパターンにより形成される要素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しい場合には、第1の規則的領域に形成される複数の重複領域がむらとして視認されない。
【0016】
また、一または複数の第2のストライプ状領域の幅を複数の第1のストライプ状領域の一定の幅と異なる幅に設定することにより第1の規則的領域における複数の重複領域の位置を容易に調整することができる。
【0017】
(3)各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さな許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される各重複領域が第1の単位領域の第1のパターン部に位置しないように、一または複数の第2のストライプ状領域の幅を設定することを含んでもよい。
【0018】
この場合、第1のパターン部が高い寸法精度で描画される。一方、第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域においては、重複領域による寸法誤差が許容される。
【0019】
これらの結果、描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスクの品質を十分に向上させることができる。
【0020】
(4)一または複数の第2のストライプ状領域の幅は、複数の第1のストライプ状領域の幅よりも大きくてもよい。
【0021】
この場合、第2のストライプ状領域の数を低減することができる。これにより、パターンの描画時間を短縮することができる。
【0022】
(5)描画パターンは、第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第2の単位領域からなる第2の規則的領域と、第2の方向において第1の規則的領域と第2の規則的領域との間に配置される他の描画領域とを含み、第2の方向における他の描画領域の幅は第1のピッチの整数倍とは異なり、一部のストライプ状領域は、第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域および第2の規則的領域を含む複数の第2のストライプ状領域であり、他のストライプ状領域は、他の描画領域の少なくとも一部を含む一または複数の第3のストライプ状領域であり、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の第2の方向におけるピッチおよび第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の第2の方向におけるピッチが第1のピッチの整数倍になるように複数の第1および第2のストライプ状領域の幅を一定の幅に設定するとともに、一または複数の第3のストライプ状領域の幅を一定の幅と異なる幅に設定することを含んでもよい。
【0023】
この場合、第1の規則的領域においては、複数の重複領域の各々がいずれかの第1の単位領域の同一位置に配置される。また、第2の規則的領域においては、複数の重複領域の各々がいずれかの第2の単位領域の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくなるとともに、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第2の単位領域との相対的な位置関係が等しくなる。
【0024】
その結果、複数の第1および第2の単位領域のパターンにより形成される要素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係および複数の重複領域とそれらが形成される複数の第2の単位領域との相対的な位置関係が等しい場合には、第1の規則的領域および第2の規則的領域に形成される複数の重複領域がむらとして視認されない。
【0025】
また、一または複数の第3のストライプ状領域の幅を複数の第1および第2のストライプ状領域の幅と異なる幅に設定することにより、第2の方向における他の描画領域の幅が第1のピッチの整数倍とは異なる場合でも、第1または第2の規則的領域における複数の重複領域の位置を容易に調整することができる。
【0026】
(6)各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、各第2の単位領域は、その第2の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第2のパターン部を含み、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が複数の第1の単位領域の第1のパターン部に位置せずかつ第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が複数の第2の単位領域の第2のパターン部に位置しないように、一または複数の第3のストライプ状領域の幅を設定することを含んでもよい。
【0027】
この場合、第1および第2のパターン部が高い寸法精度で描画される。一方、第1および第2の単位領域内の他の部分および他の描画領域においては、重複領域による寸法誤差が許容される。
【0028】
これらの結果、描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスクの品質を十分に向上させることができる。
【0029】
(7)一または複数の第3のストライプ状領域の幅は、複数の第1および第2のストライプ状領域の幅よりも大きくてもよい。
【0030】
この場合、第3のストライプ状領域の数を低減することができる。これにより、パターンの描画時間を短縮することができる。
【0031】
(8)描画パターンは、第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、第2の方向において第1のピッチと異なる第2のピッチで配列される複数の第2の単位領域からなる第2の規則的領域とを含み、一部のストライプ状領域は、第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域であり、他のストライプ状領域は、第2の規則的領域を含む第2のストライプ状領域であり、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の第2の方向におけるピッチが第1のピッチの整数倍になるとともに第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の第2の方向におけるピッチが第2のピッチの整数倍になるように、複数の第1および第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含んでもよい。
【0032】
この場合、第1の規則的領域においては、複数の重複領域の各々がいずれかの第1の単位領域の同一位置に配置される。また、第2の規則的領域においては、複数の重複領域の各々がいずれかの第2の単位領域の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくなるとともに、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第2の単位領域との位置関係が等しくなる。その結果、複数の第1および第2の単位領域のパターンにより形成される要素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域とそれらが形成される複数の第2の単位領域との相対的な位置関係が等しい場合には、第1の規則的領域および第2の規則的領域に形成される複数の重複領域がむらとして視認されない。
【0033】
また、複数の第1のストライプ状領域の幅と複数の第2のストライプ状領域の幅とを異なる幅に設定することにより、第2方向における複数の第1の単位領域の第1のピッチと第2の方向における複数の第2の単位領域の第2のピッチとが異なる場合でも、第1および第2の規則的領域における複数の重複領域の位置を容易に調整することができる。
【0034】
(9)各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、各第2の単位領域は、その第2の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第2のパターン部を含み、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が複数の第1の単位領域の第1のパターン部に位置せずかつ第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が複数の第2の単位領域の第1のパターン部に位置しないように、複数の第1のストライプ状領域の幅および複数の第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含んでもよい。
【0035】
この場合、第1および第2のパターン部が高い寸法精度で描画される。一方、第1および第2の単位領域内の他の部分および他の描画領域においては、重複領域による寸法誤差が許容される。
【0036】
これらの結果、描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスクの品質を十分に向上させることができる。
【0037】
(10)描画パターンは、第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域を含み、複数のストライプ状領域は、第1の規則的領域を含み、複数の第1のストライプ状領域および複数の第2のストライプ状領域により構成されるとともに、複数の第1のストライプ状領域の各々と複数の第2のストライプ状領域の各々とが交互に配置され、一部のストライプ状領域は、複数の第1のストライプ状領域であり、他のストライプ状領域は、複数の第2のストライプ状領域であり、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域のうち、各第1のストライプ状領域の第2の方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域のピッチと各第2のストライプ状領域の第2の方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域のピッチとの合計が第1のピッチの整数倍になるように、複数の第1および第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含んでもよい。
【0038】
この場合、第1の規則的領域においては、複数の重複領域のうち1つ置きの複数の重複領域の各々が第1の単位領域の同一位置に配置され、残りの1つ置きの複数の重複領域の各々が第1の単位領域の同一位置に配置される。したがって、1つ置きの複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくなるとともに、残りの1つ置きの複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくなる。その結果、複数の第1の単位領域のパターンにより形成される要素の特性のばらつきが低減される。また、1つ置きの複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しくかつ残りの1つ置きの複数の重複領域とそれらが形成される複数の第1の単位領域との相対的な位置関係が等しい場合には、第1の規則的領域に形成される複数の重複領域がむらとして視認されない。
【0039】
また、複数の第1のストライプ状領域の幅と複数の第2のストライプ状領域の幅とを異なるように設定することにより、第1の規則的領域における複数の重複領域の位置を容易に調整することができる。
【0040】
さらに、各第1のストライプ状領域の幅または各第2のストライプ状領域の幅のうち一方を最大幅に設定することにより、描画時間を短縮することも可能となる。
【0041】
(11)各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、設定するステップは、第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が複数の第1の単位領域の第1のパターン部に位置しないように、複数の第1のストライプ状領域の幅および複数の第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含んでもよい。
【0042】
この場合、第1のパターン部が高い寸法精度で描画される。一方、第1の単位領域内の他の部分および他の描画領域においては、重複領域による寸法誤差が許容される。
【0043】
これらの結果、描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスクの品質を十分に向上させることができる。
【0044】
(12)第2の発明に係るフォトマスクは、第1の発明に係るフォトマスクの製造方法により製造されたものである。
【0045】
上記の製造方法により製造されたフォトマスクおいては、一部のストライプ状領域の幅および他のストライプ状領域の幅を任意に設定することにより、第1の方向に延びる重複領域の位置が第2の方向における所望の位置に容易に調整されている。したがって、描画パターンにおいて小さい許容寸法精度を有する部分に重複領域が位置することが容易に回避されている。その結果、このフォトマスクを用いた露光処理により露光パターンの寸法精度を向上させることが可能となる。
【0046】
(13)第3の発明に係るフォトマスクの製造装置は、マスクブランクスに描画すべき描画パターンに対応する描画データに基づいて、マスクブランクス上における第1の方向に延びかつ第1の方向と交差する第2の方向における幅を有するとともに第2の方向に並ぶ複数のストライプ状領域に、隣接するストライプ状領域の境界部分に第1の方向に沿って延びる重複領域が形成されるように順にパターンの描画を行うフォトマスクの製造装置であって、複数のストライプ状領域のうち一部のストライプ状領域の幅が他のストライプ状領域の幅と異なるように、複数のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定する設定手段と、設定手段によりそれぞれ設定された幅を有する複数のストライプ状領域に順に描画を行う描画手段とを含むものである。
【0047】
このフォトマスクの製造装置においては、一部のストライプ状領域の幅および他のストライプ状領域の幅を任意に設定することにより、第1の方向に延びる重複領域の位置を第2の方向における所望の位置に容易に調整することができる。したがって、描画パターンにおいて小さい許容寸法精度を有する部分に重複領域が位置することを容易に回避することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、隣接するストライプ状領域の重複領域の位置を所望の位置に容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】マスクブランクスにパターンを描画する際に用いられる描画装置の構成を示す模式図である。
【図2】描画装置の動作の概要について説明するための模式的平面図である。
【図3】描画装置の動作の概要について説明するための模式的平面図である。
【図4】描画装置の動作の概要について説明するための模式的平面図である。
【図5】レーザ光のスウィープについて説明するための図である。
【図6】単位領域の一例を示す模式的平面図である。
【図7】マスクブランクスに設定される規則的領域の一部を示す模式的平面図である。
【図8】複数のストライプ状領域の幅の第1の設定例を説明するための図である。
【図9】複数のストライプ状領域の幅の第2の設定例を説明するための図である。
【図10】複数のストライプ状領域の幅の第3の設定例を説明するための図である。
【図11】複数のストライプ状領域の幅の第4の設定例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の一実施の形態に係るフォトマスクの製造方法、フォトマスクおよびフォトマスクの製造装置について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態に係るフォトマスクは、マスクブランクスにレーザ光を出射してパターンの描画を行うことにより作製される。以下の説明では、フォトマスクの一例として、液晶表示装置に設けられる薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板を製造するために用いられるフォトマスクを説明する。また、フォトマスクの製造装置の一例として、マスクブランクスにパターンの描画を行う描画装置を説明する。
【0051】
(1)描画装置の構成
図1は、マスクブランクスにパターンを描画する際に用いられる描画装置の構成を示す模式図である。図1以降の図面においては、水平面内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義する。
【0052】
図1に示すように、描画装置100は、ステージ20、ステージ駆動部30、キャリッジ40、ヘッド部50、レーザ光発生部60、制御部70、オンオフ切替部80およびデータ入力部90を備える。
【0053】
ステージ20上にマスクブランクス10が固定される。ステージ20は、ステージ駆動部30によりY方向に沿って移動する。
【0054】
ステージ20の上方において、X方向に沿うようにキャリッジ40が設けられる。キャリッジ40には、ヘッド部50が取り付けられる。ヘッド部50は、キャリッジ40に沿ってX方向に移動可能に構成される。
【0055】
レーザ光発生部60は、レーザ光を発生する。レーザ光発生部60により発生されたレーザ光は、オンオフ切替部80を通してヘッド部50に導かれ、ヘッド部50からステージ20上のマスクブランクス10に向けて出射される。オンオフ切替部80により、レーザ光の出射のオンオフが切り替えられる。
【0056】
データ入力部90は、使用者により操作可能に構成される。データ入力部90には、例えばマスクブランクス10に描画すべきパターンの情報(以下、パターン情報と呼ぶ。)、およびマスクブランクス10上に後述する複数のストライプ状領域を設定するための情報(以下、領域情報と呼ぶ。)が入力される。入力されたパターン情報および領域情報は、制御部70に与えられる。
【0057】
制御部70は、データ入力部90から与えられるパターン情報および領域情報に基づいてマスクブランクス10上に描画されるべきパターンの描画データを作成し、作成した描画データに基づいてステージ駆動部30、ヘッド部50およびオンオフ切替部80を制御する。
【0058】
ヘッド部50においては、レーザ光発生部60により発生されるレーザ光の出射方向が一定の周期でX方向と交差する方向に繰り返し変化する。それにより、マスクブランクス10上では、レーザ光が照射されるべき位置が一定の周期でY方向に繰り返し移動する。
【0059】
以下の説明において、マスクブランクス10上でレーザ光が照射されるべき位置をレーザ光の照準位置と呼ぶ。また、レーザ光の出射方向の変化によりレーザ光の照準位置が移動することをレーザ光のスウィープと呼ぶ。レーザ光のスウィープについては後述する。
【0060】
(2)描画装置の動作の概要
次に、図1に示した描画装置100の動作の概要について説明する。図2〜図4は、描画装置100の動作の概要について説明するための模式的平面図である。ここでは、描画装置100の全体の動作の理解を容易にするために、レーザ光のスウィープについては説明を省略する。
【0061】
まず、図2(a)に示すように、ヘッド部50がキャリッジ40の一端部にある状態で、ヘッド部50の下方にマスクブランクス10の端部が位置するように、ステージ20の位置が調整される。続いて、図2(b)に示すように、ヘッド部50がキャリッジ40の一端部から他端部に移動しつつ所定のタイミングでマスクブランクス10に向けてレーザ光を出射する。これにより、X方向に沿ったマスクブランクス10上のストライプ状領域S1において、パターンの描画が行われる。
【0062】
続いて、図3(a)に示すように、ヘッド部50がレーザ光の出射を停止した状態でキャリッジ40の一端部に戻るとともに、ステージ20がY方向に移動する。
【0063】
次に、図3(b)に示すように、ヘッド部50が再びキャリッジ40の一端部から他端部に移動しつつ所定のタイミングでマスクブランクス10に向けてレーザ光を出射する。これにより、ストライプ状領域S1に隣接するマスクブランクス10上のストライプ状領域S1において、パターンの描画が行われる。
【0064】
このようにして、ストライプ状領域S1毎にパターンの描画が行われる。最終的に、図4に示すように、マスクブランクス10の全面(複数のストライプ状領域S1)において描画が行われる。全面にパターンが描画されたマスクブランクス10の現像処理およびエッチング処理を行うことにより、本実施の形態に係るフォトマスク11が完成する。
【0065】
図1のデータ入力部90においては、Y方向における複数のストライプ状領域S1の幅に関する情報を領域情報として個別に入力することが可能である。そのため、複数のストライプ状領域S1のY方向の幅が互いに異なる場合には、ストライプ状領域S1におけるパターンの描画毎にY方向に移動するステージ20の移動量が変化する。
【0066】
本実施の形態において、隣接する2つのストライプ状領域S1は、それらの一部が互いに重なるようにマスクブランクス10上に設定される。以下の説明では、隣接する2つのストライプ状領域S1が重なる領域を重複領域と呼ぶ。
【0067】
この描画装置100においては、複数のストライプ状領域S1に関する領域情報がデータ入力部90に個別に入力されることにより、重複領域S1を特定のパターンの位置から外れるように容易に調整することが可能である。詳細は後述する。
【0068】
(3)レーザ光のスウィープおよび重複領域
レーザ光のスウィープについて説明する。図5は、レーザ光のスウィープについて説明するための図である。図5においては、隣接する2つのストライプ状領域S1にパターンが描画される場合について説明する。
【0069】
上記のように、図1のヘッド部50から出射されるレーザ光の照射位置が所定の周期でY方向に繰り返し移動する。すなわち、レーザ光がY方向にスウィープする。
【0070】
具体的には、図5に矢印aで示すように、レーザ光の照準位置PTがY方向に沿って所定の長さ(以下、スウィープ長と呼ぶ)移動する。この場合、レーザ光の照準位置PTが移動する領域(以下、照準移動領域と呼ぶ)Rxは、Y方向にスウィープ長を有しかつX方向にレーザ光のビーム径Doを有する。スウィープ長は、各ストライプ状領域S1にそれぞれ対応して設定される。スウィープ長は、それぞれ対応するストライプ状領域S1のY方向の幅ws1に等しい。
【0071】
図5に矢印bで示すように、レーザ光の照準位置PTが一定の周期で移動するとともに、ヘッド部50(図1)がX方向に移動することにより、照準移動領域RxがX方向に徐々にずれる。それにより、ストライプ状領域S1の全体にレーザ光の照準位置PTが移動する。
【0072】
パターンを描画すべき位置(露光位置)とレーザ光の照準位置PTとが重なったときに、オンオフ切替部80(図1)によりレーザ光の出射がオンされる。それにより、ストライプ状領域S1において所望のパターンの描画を行うことができる。
【0073】
上記のように、マスクブランクス10にストライプ状領域S1毎にパターンを描画する場合には、レーザ光のビームの広がりの誤差等に起因して隣接する2つのストライプ状領域S1の境界部分に隙間が発生する。このような隙間の発生を防止するために、隣接する2つのストライプ状領域S1の境界部分に互いに重なり合う重複領域OVが設定される。重複領域OVのY方向の幅wovは、ストライプ状領域S1のY方向の幅ws1に比べて十分に小さく、図1の制御部70に予め設定されている。
【0074】
一方のストライプ状領域S1の全体にレーザ光の照準位置PTが移動することにより、ステージ20(図1)がそのストライプ状領域S1のY方向の幅ws1から重複領域OVの幅wovを減算した長さ分Y方向に移動する。
【0075】
続いて、一方のストライプ状領域S1と同様に、その一方のストライプ状領域S1に隣接するストライプ状領域S1におけるパターンの描画が行われる。この場合、重複領域OVでは、一度露光されたパターンの位置に再度レーザ光が照射される。このように、重複領域OVでは重複してレーザ光が照射されるので、重複領域OVでの露光量を他の領域での露光量と等しくすることは難しい。そのため、重複領域OVでは、露光されるパターンの寸法誤差が生じる。本実施の形態において、寸法誤差とは、予め定められたパターンの寸法(設計寸法)と実際にマスクブランクス10に描画されたパターンの寸法とのずれの大きさをいう。
【0076】
(4)重複領域の位置の調整
上述のように、本実施の形態に係るフォトマスク11は液晶表示装置に設けられるTFTアレイ基板の製造に用いられる。TFTアレイ基板は、液晶表示装置の1画素に対応する回路(以下、単位回路と呼ぶ)が一定のピッチで規則的に配列された構成を有する。
【0077】
以下の説明では、TFTアレイ基板の各単位回路を形成するためにマスクブランクス10に描画されるパターンの領域を単位領域と呼ぶ。1のTFTアレイ基板に対応してマスクブランクス10に描画されるパターンの領域においては、複数の単位領域がX方向およびY方向に並ぶように配列される。以下の説明では、1のTFTアレイ基板に対応してマスクブランクス10に描画されるパターンの領域を規則的領域と呼ぶ。
【0078】
図6は、単位領域の一例を示す模式的平面図である。図6に示すように、単位領域UR1は矩形形状を有し、第1の部分R、第2の部分Gおよび第3の部分Bを含む。第1〜第3の部分R,G,Bは、それぞれ長方形状を有し、X方向に並ぶようにマスクブランクス10上に配置される。
【0079】
第1〜第3の部分R,G,Bには、それぞれTFTを形成するためのTFT形成部Tが含まれる。図6の例では、TFT形成部Tが、Y方向における第1〜第3の部分R,G,Bの一端部近傍に位置する。
【0080】
本実施の形態において、TFT形成部Tに許容される寸法誤差(許容寸法精度)は、単位領域UR1における他の部分およびマスクブランクス10における規則的領域以外の領域で許容される寸法誤差(許容寸法精度)よりも小さい。
【0081】
そこで、本実施の形態では、図6に示すように、パターンの許容寸法精度が小さいTFT形成部Tに位置しないように重複領域OVの位置が調整される。
【0082】
重複領域OVの位置の調整について一例を説明する。図7は、マスクブランクス10に設定される規則的領域の一部を示す模式的平面図である。以下の説明では、マスクブランクス10に描画される単位領域UR1のY方向の長さを単位長さと呼ぶ。
【0083】
図7では、規則的領域を含む3つのストライプ状領域S1が太い一点鎖線で示されている。この規則的領域RR1においては、複数の重複領域OVの位置がTFT形成部Tに位置しないように、例えば複数のストライプ状領域S1のY方向の幅WS1が、単位領域UR1の単位長さの整数倍(本例では2倍)の値に重複領域OVの幅wovを加算して得られる値に設定される。
【0084】
これにより、複数の重複領域OVを単位領域UR1の単位長さの整数倍(本例では2倍)のピッチpovでY方向に配置することができる。この場合、TFT形成部Tは単位長さのピッチp1でY方向に配列されるので、Y方向における複数の重複領域OVの位置をTFT形成部Tからずらすことにより、TFT形成部Tに重複領域OVが位置することを回避することができる。
【0085】
また、この場合、複数の重複領域OVは単位領域UR1の単位長さの整数倍(本例では2倍)のピッチpovでY方向に並ぶので、複数の重複領域OVと単位領域UR1との相対的な位置関係にばらつきが生じない。すなわち、複数の重複領域OVは単位領域UR1における一定の位置(本例では、Y方向における単位領域UR1の中央部)に設定される。
【0086】
一定のピッチp1で規則的に配列される単位領域UR1に対して、複数の重複領域OVが単位領域UR1のピッチp1の整数倍とずれたピッチで配列されるように設定されると、複数の重複領域OVと単位領域UR1との相対的な位置関係にばらつきが生じる。この状態でマスクブランクス10にパターンが描画されると、作製されるフォトマスク11にはむらが視認される。
【0087】
そこで、単位領域UR1のピッチp1に基づいて複数のストライプ状領域S1のY方向の幅WS1が設定される。これにより、小さい許容寸法精度を有するTFT形成部Tに重複領域OVが位置することを容易に回避すること、および複数の重複領域OVと単位領域UR1との相対的な位置関係にばらつきが生じることを防止することができる。
【0088】
(5)ストライプ状領域の幅の第1の設定例
図8は、複数のストライプ状領域のY方向の幅の第1の設定例を説明するための図である。図8では、1枚のマスクブランクス10上に描画されるパターンの一例が平面図で示されている。マスクブランクス10上に描画されるパターンが点線で示されている。マスクブランクス10は、一対の短辺および一対の長辺を有する。
【0089】
このマスクブランクス10では、一点鎖線により取り囲まれる範囲が描画装置100によるパターンの描画可能部分10aである。描画可能部分10aも、一対の短辺および一対の長辺を有する。パターンの描画時には、描画可能部分10aの全面に対してスウィープが行われる。以下、描画可能部分10a内に描画されるべきパターンを描画パターンと呼ぶ。
【0090】
マスクブランクス10には、矩形形状を有する2つの規則的領域RR1が、所定の間隔を隔ててY方向に並ぶように配置される。描画可能部分10aの一方の短辺と規則的領域RR1との間に端部領域A1が設けられる。2つの規則的領域RR1間に中間領域A2が設けられる。他方の短辺と規則的領域RR1との間に端部領域A3が設けられる。
【0091】
本例では、Y方向における2つの規則的領域RR1間の間隔(中間領域A2の幅)は、複数の単位領域UR1のピッチp1の2倍である。2つの規則的領域RR1の各々には、複数の単位領域UR1および配線用パターンWPが含まれる。
【0092】
端部領域A1,A3には、それぞれ矩形のマークパターンMP1が描画される。また、端部領域A1,A3および中間領域A2には複数のマークパターンMP2が描画される。複数のマークパターンMP2は、それぞれ十字形状を有する。
【0093】
これらのマークパターンMP1,MP2は、例えば位置合わせを行うためにフォトマスク11に形成されるアライメントマークおよびパターンの寸法精度を検査するためにフォトマスク11に形成される検査用マークである。
【0094】
上述のように、TFT形成部T(図6および図7)は、小さい許容寸法精度を有する。これに対して、マークパターンMP1,MP2は、TFT形成部Tが有する許容寸法精度よりも十分に大きい許容寸法精度を有する。したがって、マークパターンMP1,MP2においては、重複領域OVで生じる寸法誤差が許容される。
【0095】
この場合、図8に示すように、規則的領域RR1では、複数の単位領域UR1がピッチp1で配列される。規則的領域RR1の描画の際に形成される複数の重複領域OVのピッチpovがピッチp1の整数倍になるように、規則的領域RR1を含む複数のストライプ状領域S1の幅ws1が一定の幅に設定される。
【0096】
また、端部領域A1,A3のストライプ状領域S2の幅ws2は、ストライプ状領域S1の幅ws1と異なる任意の幅に設定することができる。
【0097】
それにより、規則的領域RR1においては、複数の重複領域OVの各々がいずれかの単位領域UR1の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくなる。その結果、複数の単位領域UR1のパターンにより形成される画素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しい場合には、規則的領域RR1に形成される複数の重複領域OVがむらとして視認されない。
【0098】
また、端部領域A1,A3におけるストライプ状領域S2の幅をストライプ状領域S1の幅ws1と異なる幅ws2に設定することにより、規則的領域RR1における複数の重複領域OVの位置を容易に調整することができる。
【0099】
規則的領域RR1の描画の際に形成される各重複領域OVが小さい許容寸法誤差を有するTFT形成部T(図6および図7)に位置しないように、OVの位置を容易に調整することができる。それにより、TFT形成部Tが高い寸法精度で描画される。
【0100】
一方、単位領域UR1内の他の部分、端部領域A1,A3および中間部分A2は、TFT形成部Tよりも大きい許容寸法誤差を有する。したがって、これらの他の部分、端部領域A1,A3および中間部分A2においては、重複領域OVによる寸法誤差が許容される。
【0101】
これらの結果、描画可能部分10a内の描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスク11の品質を十分に向上させることができる。
【0102】
さらに、ストライプ状領域S2の幅ws2を、複数のストライプ状領域S1の幅ws1よりも大きい最大スウィープ長(図2のヘッド部50により調整可能なスウィープ長の最大値)に設定した場合には、ストライプ状領域S2の数を低減することができる。これにより、描画パターンの描画時間を短縮することができる。
【0103】
(6)ストライプ状領域の幅の第2の設定例
ストライプ状領域の幅の第2の設定例について、第1の設定例と異なる点を説明する。図9は、複数のストライプ状領域の幅の第2の設定例を説明するための図である。図9においては、図8の例と同様に、1枚のマスクブランクス10上に描画されるパターンの一例が平面図で示されている。
【0104】
本例では、Y方向における2つの規則的領域RR1間の間隔(中間領域A2の幅)が、複数の単位領域UR1のピッチp1の整数倍とは異なる。
【0105】
2つの規則的領域RR1においては複数の単位領域UR1がピッチp1で配列される。2つの規則的領域RR1の描画の際に形成される複数の重複領域OVのピッチpovがピッチp1の整数倍になるように、2つの規則的領域RR1を含む複数のストライプ状領域S1の幅ws1が一定の幅に設定される。また、中間領域A2におけるストライプ状領域S3の幅ws3は、複数のストライプ状領域S1の幅sw1と異なる任意の幅に設定することができる。
【0106】
それにより、2つの規則的領域RR1においては、複数の重複領域OVの各々がいずれかの単位領域UR1の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくなる。
【0107】
その結果、複数の単位領域UR1のパターンにより形成される画素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しい場合には、2つの規則的領域RR1に形成される複数の重複領域OVがむらとして視認されない。
【0108】
また、中間領域A2におけるストライプ状領域S3の幅ws3を複数のストライプ状領域S1の幅ws1と異なる幅に設定することにより、本例のように中間領域A2の幅がピッチp1の整数倍とは異なる場合でも、2つの規則的領域RR1における複数の重複領域OVの位置を容易に調整することができる。
【0109】
したがって、規則的領域RR1の描画の際に形成される各重複領域OVが小さい許容寸法誤差を有するTFT形成部T(図6および図7)に位置しないように、重複領域OVの位置を容易に調整することができる。それにより、TFT形成部Tが高い寸法精度で描画される。
【0110】
一方、単位領域UR1内の他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3は、TFT形成部T(図6および図7)よりも大きい許容寸法誤差を有する。したがって、これらの他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3においては、重複領域OVによる寸法誤差が許容される。
【0111】
これらの結果、描画可能部分10a内の描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスク11の品質を十分に向上させることができる。
【0112】
さらに、ストライプ状領域S3の幅ws3を複数のストライプ状領域S1の幅ws1よりも大きい最大スウィープ長(図2のヘッド部50により調整可能なスウィープ長の最大値)に設定した場合には、ストライプ状領域S3の数を低減することができる。これにより、描画パターンの描画時間を短縮することができる。
【0113】
(7)ストライプ状領域の幅の第3の設定例
ストライプ状領域の幅の第3の設定例について、第2の設定例と異なる点を説明する。図10は、複数のストライプ状領域の幅の第3の設定例を説明するための図である。図10においては、図9の例と同様に、1枚のマスクブランクス10上に描画されるパターンの一例が平面図で示されている。
【0114】
本例では、マスクブランクス10に大きさが互いに異なる2つの規則的領域RR1,RR2が配置される。一方の規則的領域RR1は他方の規則的領域RR2よりも大きい。また、一方の規則的領域RR1に含まれる単位領域UR1も、他方の規則的領域RR2に含まれる単位領域UR2よりも大きい。これにより、一方の規則的領域RR1においては複数の単位領域UR1がピッチp1で配列され、他方の規則的領域RR2においては複数の単位領域UR2がピッチp1よりも小さいピッチp2で配列される。
【0115】
規則的領域RR1の描画の際に形成される複数の重複領域OVのピッチpovがピッチp1の整数倍になるように、規則的領域RR1を含む複数のストライプ状領域S1の幅ws1が設定される。
【0116】
また、規則的領域RR2の描画の際に形成される複数の重複領域OVのピッチpovがピッチp1と異なるピッチp2の整数倍になるように、規則的領域RR2を含む複数のストライプ状領域S4の幅ws4が設定される。
【0117】
それにより、規則的領域RR1においては、重複領域OVの各々がいずれかの単位領域UR1の同一位置に配置される。また、規則的領域RR2においても、複数の重複領域OVの各々がいずれかの単位領域UR2の同一位置に配置される。したがって、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくなるとともに、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR2との位置関係が等しくなる。
【0118】
その結果、複数の単位領域UR1,UR2のパターンにより形成される画素の特性のばらつきが低減される。また、複数の重複領域OVとそれらが形成される複数の単位領域UR1,UR2との相対的な位置関係が等しい場合には、各規則的領域RR1,RR2に形成される複数の重複領域OVがむらとして視認されない。
【0119】
また、規則的領域RR1を含む複数のストライプ状領域S1の幅ws1と規則的領域RR2を含む複数のストライプ状領域S4の幅ws4とを異なる幅に設定することにより、本例のように複数の単位領域UR1のピッチp1と単位領域UR2のピッチp2とが異なる場合でも、規則的領域RR1,RR2における複数の重複領域OVの位置を容易に調整することができる。
【0120】
したがって、規則的領域RR1,RR2の描画の際に形成される各重複領域OVが小さい許容寸法誤差を有するTFT形成部T(図6および図7)に位置しないように、重複領域OVの位置を容易に調整することができる。それにより、TFT形成部Tが高い寸法精度で描画される。
【0121】
一方、単位領域UR1,UR2内の他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3は、TFT形成部T(図6および図7)よりも大きい許容寸法誤差を有する。したがって、これらの他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3においては、重複領域OVによる寸法誤差が許容される。
【0122】
これらの結果、描画可能部分10a内の描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスク11の品質を十分に向上させることができる。
【0123】
(8)ストライプ状領域の幅の第4の設定例
ストライプ状領域の幅の第4の設定例について、第1の設定例と異なる点を説明する。図11は、複数のストライプ状領域の幅の第4の設定例を説明するための図である。図11においては、1枚のマスクブランクス10上に描画されるパターンの一部(主として図8の一方の規則的領域RR1、端部領域A1および中間領域A2の部分)が平面図で示されている。
【0124】
図11に示すように、本例では、マスクブランクス10上に描画されるパターンは第1の設定例と同じであるが、規則的領域RR1を含む領域に互いに異なる幅ws5,ws6を有する2種類のストライプ状領域S5,S6が交互に配置される。ストライプ状領域S5,S6の幅ws5,ws6は、以下のように設定される。
【0125】
規則的領域RR1においては、複数の単位領域UR1がピッチp1で配列される。規則的領域RR1の描画の際に形成される複数の重複領域OVのうち、各ストライプ状領域S5のY方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域OVのピッチpovと各ストライプ状領域S6のY方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域OVのピッチpovとの合計がピッチp1の整数倍になるように、複数のストライプ状領域S5,S6の幅ws5,ws6がそれぞれ設定される。
【0126】
すなわち、規則的領域RR1においては、複数の重複領域のうち1つ置きの複数の重複領域OV1のY方向におけるピッチpovaがピッチp1の整数倍になり、残りの1つ置きの複数の重複領域OV2のY方向におけるピッチpovbがピッチp1の整数倍になる。
【0127】
それにより、規則的領域RR1においては、複数の重複領域のうち1つ置きの複数の重複領域OV1の各々が単位領域UR1の同一位置に配置され、残りの1つ置きの複数の重複領域OV2の各々が単位領域UR1の同一位置に配置される。
【0128】
したがって、1つ置きの複数の重複領域OV1とそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくなるとともに、残りの1つ置きの複数の重複領域OV2とそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくなる。その結果、複数の単位領域UR1のパターンにより形成される画素の特性のばらつきが低減される。また、1つ置きの複数の重複領域OV1とそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しくかつ残りの1つ置きの複数の重複領域OV2とそれらが形成される複数の単位領域UR1との相対的な位置関係が等しい場合には、規則的領域RR1に形成される複数の重複領域OV1,OV2がむらとして視認されない。
【0129】
さらに、複数のストライプ状領域S5の幅ws5と複数のストライプ状領域S6の幅ws6とを異なるように設定することにより、規則的領域RR1における複数の重複領域OV1,OV2の位置を容易に調整することができる。
【0130】
また、各ストライプ状領域S5の幅ws5または各ストライプ状領域S6の幅ws6のうち一方を最大スウィープ長(図2のヘッド部50により調整可能なスウィープ長の最大値)に設定することにより、描画時間を短縮することも可能となる。
【0131】
上記のように、複数のストライプ状領域S5の幅ws5と複数のストライプ状領域S6の幅ws6とを異なるように設定することにより、規則的領域RR1における複数の重複領域OV1,OV2の位置を容易に調整することができる。
【0132】
したがって、規則的領域RR1の描画の際に形成される各重複領域OVが小さい許容寸法誤差を有するTFT形成部T(図6および図7)に位置しないように、重複領域OV1,OV2の位置を容易に調整することができる。それにより、TFT形成部Tが高い寸法精度で描画される。
【0133】
一方、単位領域UR1,UR2内の他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3は、TFT形成部T(図6および図7)よりも大きい許容寸法誤差を有する。したがって、これらの他の部分、中間領域A2および端部領域A1,A3においては、重複領域OVによる寸法誤差が許容される。
【0134】
これらの結果、描画可能部分10a内の描画パターンの全体において要求される寸法精度を満足させることができ、フォトマスク11の品質を十分に向上させることができる。
【0135】
(9)その他
上記では、重複領域OVのY方向の幅wovが、図1の制御部70により予め定められている例を説明したが、重複領域OVのY方向の幅wov(図5)はそれぞれ任意の値に設定可能であってもよい。
【0136】
上記では、小さい許容寸法精度を有するパターンとしてTFTを形成するためにマスクブランクス10に描画されるTFT形成部Tの例を説明したが、小さい許容寸法精度を有するパターンとしては、例えばマスクブランクス10に描画されるDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)のキャパシタ形成部分が挙げられる。
【0137】
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0138】
上記実施の形態においては、X方向が第1の方向の例であり、Y方向が第2の方向の例であり、描画装置100がフォトマスクの製造装置の例であり、制御部70およびデータ入力部90が設定手段の例であり、ステージ20、ステージ駆動部30、キャリッジ40、ヘッド部50、レーザ光発生部60およびオンオフ切替部80が描画手段の例である。
【0139】
また、ストライプ状領域の幅の第1の設定例が請求項1,2,3,4に記載のフォトマスクの製造方法の例であり、ストライプ状領域の幅の第2の設定例が請求項1,5,6,7に記載のフォトマスクの製造方法の例であり、ストライプ状領域の幅の第3の設定例が請求項1,8,9に記載のフォトマスクの製造方法の例であり、ストライプ状領域の幅の第4の設定例が請求項1,10,11に記載のフォトマスクの製造方法の例である。
【0140】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、フォトマスクの製造等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0142】
10 マスクブランクス
11 フォトマスク
20 ステージ
30 ステージ駆動部
40 キャリッジ
50 ヘッド部
60 レーザ光発生部
70 制御部
80 オンオフ切替部
90 データ入力部
100 描画装置
A1,A3 端部領域
A2 中間領域
B 第3の部分
Do ビーム径
G 第2の部分
MP1,MP2 マークパターン
OV,OV1,OV2 重複領域
p1,p2,pov,pova,povb ピッチ
PT 照準位置
R 第1の部分
Rx 照準移動領域
RR1,RR2 規則的領域
S1,S2,S3,S4,S5,S6 ストライプ状領域
T TFT形成部
UR1,UR2 単位領域
WP 配線用パターン
ws1、ws2、ws3,ws4,ws5,ws6,wov 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクブランクスに描画すべき描画パターンに対応する描画データに基づいて、マスクブランクス上における第1の方向に延びかつ前記第1の方向と交差する第2の方向における幅を有するとともに前記第2の方向に並ぶ複数のストライプ状領域に、隣接するストライプ状領域の境界部分に前記第1の方向に沿って延びる重複領域が形成されるように順にパターンの描画を行うフォトマスクの製造方法であって、
前記複数のストライプ状領域のうち一部のストライプ状領域の幅が他のストライプ状領域の幅と異なるように、前記複数のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定するステップを含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
前記描画パターンは、前記第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、前記第2の方向において前記第1の規則的領域に並ぶように配置される他の描画領域とを含み、
前記一部のストライプ状領域は、前記第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域であり、前記他のストライプ状領域は、前記他の描画領域の少なくとも一部を含む一または複数の第2のストライプ状領域であり、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の前記第2の方向におけるピッチが前記第1のピッチの整数倍になるように前記複数の第1のストライプ状領域の幅を一定の幅に設定するとともに、前記一または複数の第2のストライプ状領域の幅を前記一定の幅と異なる幅に設定することを含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さな許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される各重複領域が第1の単位領域の前記第1のパターン部に位置しないように、前記一または複数の第2のストライプ状領域の幅を設定することを含むことを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記一または複数の第2のストライプ状領域の幅は、前記複数の第1のストライプ状領域の幅よりも大きいことを特徴とする請求項2または3記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記描画パターンは、前記第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、前記第2の方向において前記第1のピッチで配列される複数の第2の単位領域からなる第2の規則的領域と、前記第2の方向において前記第1の規則的領域と前記第2の規則的領域との間に配置される他の描画領域とを含み、前記第2の方向における前記他の描画領域の幅は前記第1のピッチの整数倍とは異なり、
前記一部のストライプ状領域は、前記第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域および前記第2の規則的領域を含む複数の第2のストライプ状領域であり、前記他のストライプ状領域は、前記他の描画領域の少なくとも一部を含む一または複数の第3のストライプ状領域であり、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の前記第2の方向におけるピッチおよび前記第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の前記第2の方向におけるピッチが前記第1のピッチの整数倍になるように前記複数の第1および第2のストライプ状領域の幅を一定の幅に設定するとともに、前記一または複数の第3のストライプ状領域の幅を前記一定の幅と異なる幅に設定することを含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、各第2の単位領域は、その第2の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第2のパターン部を含み、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が前記複数の第1の単位領域の前記第1のパターン部に位置せずかつ前記第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が前記複数の第2の単位領域の前記第2のパターン部に位置しないように、前記一または複数の第3のストライプ状領域の幅を設定することを含むことを特徴とする請求項5記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記一または複数の第3のストライプ状領域の幅は、前記複数の第1および第2のストライプ状領域の幅よりも大きいことを特徴とする請求項5または6記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記描画パターンは、前記第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域と、前記第2の方向において前記第1のピッチと異なる第2のピッチで配列される複数の第2の単位領域からなる第2の規則的領域とを含み、
前記一部のストライプ状領域は、前記第1の規則的領域を含む複数の第1のストライプ状領域であり、前記他のストライプ状領域は、前記第2の規則的領域を含む第2のストライプ状領域であり、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の前記第2の方向におけるピッチが前記第1のピッチの整数倍になるとともに前記第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域の前記第2の方向におけるピッチが前記第2のピッチの整数倍になるように、前記複数の第1および第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、各第2の単位領域は、その第2の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第2のパターン部を含み、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が前記複数の第1の単位領域の前記第1のパターン部に位置せずかつ前記第2の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が前記複数の第2の単位領域の前記第1のパターン部に位置しないように、前記複数の第1のストライプ状領域の幅および前記複数の第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含むことを特徴とする請求項8記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
前記描画パターンは、前記第2の方向において第1のピッチで配列される複数の第1の単位領域からなる第1の規則的領域を含み、
前記複数のストライプ状領域は、前記第1の規則的領域を含み、複数の第1のストライプ状領域および複数の第2のストライプ状領域により構成されるとともに、前記複数の第1のストライプ状領域の各々と前記複数の第2のストライプ状領域の各々とが交互に配置され、
前記一部のストライプ状領域は、前記複数の第1のストライプ状領域であり、前記他のストライプ状領域は、前記複数の第2のストライプ状領域であり、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域のうち、各第1のストライプ状領域の前記第2の方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域のピッチと各第2のストライプ状領域の前記第2の方向に沿った両側辺に形成される一対の重複領域のピッチとの合計が前記第1のピッチの整数倍になるように、前記複数の第1および第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項11】
各第1の単位領域は、その第1の単位領域内の他の部分および前記他の描画領域よりも小さい許容寸法誤差を有する第1のパターン部を含み、
前記設定するステップは、前記第1の規則的領域の描画の際に形成される複数の重複領域が前記複数の第1の単位領域の前記第1のパターン部に位置しないように、前記複数の第1のストライプ状領域の幅および前記複数の第2のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定することを含むことを特徴とする請求項10記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項13】
マスクブランクスに描画すべき描画パターンに対応する描画データに基づいて、マスクブランクス上における第1の方向に延びかつ前記第1の方向と交差する第2の方向における幅を有するとともに前記第2の方向に並ぶ複数のストライプ状領域に、隣接するストライプ状領域の境界部分に前記第1の方向に沿って延びる重複領域が形成されるように順にパターンの描画を行うフォトマスクの製造装置であって、
前記複数のストライプ状領域のうち一部のストライプ状領域の幅が他のストライプ状領域の幅と異なるように、前記複数のストライプ状領域の幅をそれぞれ設定する設定手段と、
前記設定手段によりそれぞれ設定された幅を有する複数のストライプ状領域に順に描画を行う描画手段とを含むことを特徴とするフォトマスクの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−252953(P2011−252953A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124790(P2010−124790)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(302003244)株式会社エスケーエレクトロニクス (31)
【Fターム(参考)】