説明

フォトリソグラフィのための組成物および反射防止コーティング

【課題】フォトリソグラフィのための組成物および反射防止コーティングの提供。
【解決手段】少なくとも下記の:A)式1:


(式中、Raは、1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;およびその他3種類の特定ケイ素含有化合物を含む第一組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている2011年9月21日出願の米国仮出願第61/537,098号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、マイクロ電子応用において使用するための組成物、特に、裏面反射防止コーティング組成物(または、「BARC」)に関する。マイクロ電子産業では、より小さくかつより明確なリソグラフィパターンを有するマイクロチップが継続的に必要である。今日、これらの開発が直面している問題は、フォトレジスト層と基板の界面における反射に起因する現像されたフォトレジストプロファイルの悪化と、より短い露光波長に対応し、十分な耐エッチング性を有する薄いレジスト層の必要性を包含する。反射防止コーティングを使用し、上の問題に対処することができる。反射防止コーティングを製造する1つの方法は、費用のかかるプロセスである化学蒸着(CVD)によるものである。リソグラフィプロセシングを単純化し、反射防止層の費用のかかる真空コーティングを避けることが必要である。したがって、レジストに関して高いエッチング選択性を有し、スピンコーティングプロセスにより形成することができる反射防止コーティング用の組成物が必要である。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2009/0148789号は、ケイ素含有有機コーティング組成物、特に、Si原子(複数可)から間隔を置いて配置されるフェニルなどの発色団部分を含有する反射防止コーティング組成物を開示している。この公開は、液体(有機溶媒)組成物として製剤化され、溶媒成分のうちの少なくとも1つの溶媒が、ヒドロキシ基を含むケイ素含有下層組成物も開示している。
【0004】
米国特許出願公開第2007/0185298号は、電子デバイスの製造において1つまたは複数の層を形成するために用いられる硬化性有機シリケート組成物を開示している。この組成物は、下記の:(a)エチレン性不飽和を含有し、ケイ素原子と結合している少なくとも1つの基を有するアルコキシシランまたはアシルオキシシラン;(b)芳香族環を含有し、ケイ素原子と結合している少なくとも1つの基を有するアルコキシシランまたはアシルオキシシラン;(c)潜在性酸触媒;および(d)任意選択で、ケイ素原子と結合している少なくとも1つのC1〜C6アルキル基を有するアルコキシシランまたはアシルオキシシランを含む。
【0005】
米国特許第5,621,034号は、下記の:(A)ケイ素原子と結合しているヒドロキシル基および/またはアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン樹脂;ならびに(B)下記の:(B1)少なくとも2つのカルボキシル基を有する脂肪族ポリカルボン酸、および(B2)少なくとも2つのカルボキシル基を有する脂肪族ポリカルボン酸のカルボン酸無水物の中から選択される安定剤を含む保存に安定した組成物を開示している。
【0006】
国際公開第WO2009/088600号は、反射防止コーティングにおいて有用なシルセスキオキサン樹脂を開示しており、シルセスキオキサン樹脂は、式:(PhSiO(3−x)/2(OR’)(HSiO(3−x)/2(OR’)(MeSiO(3−x)/2(OR’)(RSiO(3−x)/2(OR’)(RSiO(3−x)/2(OR’)を有する。この式において、Phは、フェニル基であり、Meは、メチル基であり、Rは、硫黄含有有機官能基から選択され、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Rは、エステル基、ポリエーテル基、およびポリエチレンオキシド基から選択され、xは、0、1または2の値を有し、mは、0.01〜0.97の値を有し、nは、0.01〜0.97の値を有し、oは、0.01〜0.97の値を有し、pは、0.01〜0.97の値を有し、qは、0〜0.96の値を有し、m+n+o+p+qは、約1である。
【0007】
米国特許第7,417,104号は、下記の:(A)式(1):R−Si−R4−nを有する加水分解性シランの加水分解縮合により得られるポリマーを含む多孔性膜形成組成物を開示している。この式において、Rは、一価有機基または水素であり、Rは、加水分解性基もしくはヒドロキシル基(nは、0から3までの整数である)、その加水分解物またはその部分縮合物であり、ただし、少なくとも1つのケイ素化合物は、Rとして有機架橋性基を有する。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0086872号は、リソグラフィにおいて使用される多層レジストプロセスにおいて形成される、金属酸化物含有膜を形成するための「熱硬化性金属酸化物含有膜形成組成物」を開示している。「熱硬化性金属酸化物含有膜形成組成物」は、少なくとも下記の:(A)加水分解性ケイ素化合物と加水分解性金属化合物の加水分解縮合により得られる金属酸化物含有化合物;(B)熱架橋促進剤;(C)1〜30個の炭素原子を有する一価、二価、またはそれ以上の有機酸;(D)三価またはそれ以上のアルコール;および(E)有機溶媒を含む。
【0009】
米国特許第6,268,457号は、スピンオンガラス材料中に組み入れられた1つまたは複数の有機色素を包含する深紫外フォトリソグラフィのための反射防止コーティング材料を開示している。適当な色素は、フォトリソグラフィにおいて使用されることがある248nmおよび193nmなどの260nm未満の波長周辺の波長範囲にわたって強く吸収する。染色されたスピンオンガラス材料を製造する方法は、スピンオンガラス材料の合成中に1つまたは複数の有機色素をアルコキシシラン反応剤と混ぜ合わせることを包含する。
【0010】
米国特許出願公開第2005/0277058号は、有機溶媒、架橋剤、ならびに2つ以上のタイプのケイ素化合物、架橋基、および非架橋基を加水分解および縮合させることにより得られる光吸収基を含むポリマーを含む反射防止膜形成組成物を開示している。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0210765号は、レジスト下層膜を形成するための組成物を開示している。レジスト下層膜形成組成物は、下記の:主鎖中にケイ素原子を有するポリマー;多環式構造の化合物;および有機溶媒を含む。多環式構造の化合物は、置換基として少なくとも2つのカルボキシル基を有し;2つのカルボキシル基は、互いに隣接する2つの炭素原子と個別に結合して多環式構造を形成し;2つのカルボキシル基は共に、エンド立体配置またはエキソ立体配置を有するか、シス立体配置を有する。主鎖中にケイ素原子を有するポリマーは、アルコキシシランの混合物から形成させることができる。
【0012】
反射防止膜用の追加の組成物および/または他の電子応用は、下記の参考文献に開示されている:米国特許第7303785号、7736837号、5100503号、米国特許出願公開第2005/0031964号、および第2009/0148789号。
【0013】
しかしながら、当技術分野の従来のケイ素含有BARC組成物は、小さな限界寸法(critical dimension)パターニング(<100nm)にふさわしい光学特性およびリソグラフィック性能を満たしていない。加えて、従来の組成物の一部は、高価かつ/または不安定な成分を含有する。例えば、一部の組成物は、典型的には、フリーラジカルならびにアルコールおよび水などのヒドロキシル含有化合物と反応する「Si−H含有」化合物を含有する。一部の組成物は、そのような組成物を製造することに伴うコストを増大させる有機色素を含有する。一部の組成物は、高価なPOSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン((RSiO1.5)8)を含有する。一部の組成物は、スカムなどのパターニング欠陥につながることがあるエポキシシルセスキオキサンを含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0148789号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0185298号
【特許文献3】米国特許第5,621,034号
【特許文献4】国際公開第WO2009/088600号
【特許文献5】米国特許第7,417,104号
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0086872号
【特許文献7】米国特許第6,268,457号
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0277058号
【特許文献9】米国特許出願公開第2010/0210765号
【特許文献10】米国特許第7303785号
【特許文献11】米国特許第7736837号
【特許文献12】米国特許第5100503号
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/0031964号
【特許文献14】米国特許出願公開第2007/0238052号
【特許文献15】米国特許第6,042,997号
【特許文献16】米国特許第5,492,793号
【特許文献17】米国特許第5,929,176号
【特許文献18】米国特許第6,090,526号
【特許文献19】米国特許第5,843,624号
【特許文献20】米国特許第6,048,664号
【特許文献21】米国特許第6,057,083号
【特許文献22】欧州出願公開第01008913号
【特許文献23】欧州出願公開第00930542号
【特許文献24】米国特許第6,048,662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、反射防止層組成物として使用するための、およびより小さなかつより明確なリソグラフィパターンを形成するのに使用することができる組成物が未だに必要である。レジスト層のエッチングに関して高いエッチング選択性を有するような組成物がさらに必要である。スピンコーティングプロセスを使用して反射防止層に形成することができる対費用効果の高い組成物がさらに必要である。これらの必要性および他の必要性は、下記の発明により満たされることになった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、少なくとも下記の:
A)式1:
【0017】
【化1】


(式中、Raは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する1つまたは複数の多重結合(すなわち、二重結合または三重結合)を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置(conjugated configuration)にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;および
B)式2:
【0018】
【化2】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;および
C)式3:
【0019】
【化3】


(式中、Rcは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および
D)式4
【0020】
【化4】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4を含む第一組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】シリコンウェハ上の三層膜構造の概略図を描いている。
【図2】下記の:(a)完全方形パターン;および(b)スカムを有する欠陥パターンを図示しているリソグラフィックプロセス後に生成されるラインパターンの横断面図の図面である。
【図3】完全なパターン倒れ(pattern collapse)を図示しているリソグラフィプロセス後のウェハ表面の「トップダウン」SEM画像を描いている。
【図4】パターン倒れマージンを図示しているリソグラフィプロセス後のウェハ表面の「トップダウン」SEM画像である。
【図5】スカムを伴わないリソグラフィックパターンのSEM画像である(実施例16、溝42nm/ピッチ84nm)。
【図6】スカムを伴うリソグラフィックパターンのSEM画像である(比較実施例G、溝42nm/ピッチ84nm)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上で議論されているように、本発明は、少なくとも下記の:
A)式1
【0023】
【化5】


(式中、Raは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;
R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;および
B)式2
【0024】
【化6】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;
R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;および
C)式3
【0025】
【化7】


(式中、Rcは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;
R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および
D)式4
【0026】
【化8】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4を含む第一組成物を提供する。
【0027】
一実施形態において、第一組成物は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計重量を基準として、Si5重量パーセント以上、Si10重量パーセント以上、またはSi15重量パーセント以上を含む。
【0028】
一実施形態において、化合物F2と化合物F4の合計モル量は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、40モルパーセント以上である。
【0029】
一実施形態において、化合物F2と化合物F4の合計モル量は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、85モルパーセント以下、または80モルパーセント以下である。
【0030】
一実施形態において、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える量で存在する。
【0031】
一実施形態において、F1/F4のモル比は、1/20から1/1まで、または1/15から1/1まで、または1/10から1/1までである。
【0032】
一実施形態において、第一組成物について、F1は、5から50重量パーセントまで、または10から30重量パーセントまでの範囲であり;F2は、5から50重量パーセントまで、または10から40重量パーセントまでの範囲であり;F3は、2から20重量パーセントまで、または2から10重量パーセントまでの範囲であり;F4は、20から80重量パーセントまで、または30から80重量パーセントまでの範囲である。各重量パーセンテージは、第一組成物の重量を基準とする。
【0033】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F1は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10から90モルパーセントまで、さらに15から90モルパーセントまで、さらに20から90モルパーセントまで、さらに25から90モルパーセントまでの量で存在する。
【0034】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F1は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える、さらに12モルパーセントを超える量で存在する。
【0035】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10から65モルパーセントまで、さらに10から60モルパーセントまで、さらに10から55モルパーセントまで、さらに10から50モルパーセントまでの量で存在する。
【0036】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、65モルパーセント未満の、さらに60モルパーセント未満の量で存在する。
【0037】
第一組成物は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0038】
本発明は、第一組成物から形成されるプレポリマーも提供する。さらなる実施形態において、プレポリマーは、少なくとも下記の:第一組成物を加水分解して加水分解された生成物を形成すること、および加水分解された生成物を縮合することにより形成される。
【0039】
一実施形態において、プレポリマーは、従来のGPCにより決定されるように、1,000から20,000g/モルまで、または1,000から10,000g/モルまで、または1,000から5,000g/モルまでのMwを有する。
【0040】
一実施形態において、プレポリマーは、1.1から6まで、1.2から5まで、または1.5から4までのMw/Mnを有する。
【0041】
本発明プレポリマーは、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0042】
本発明は、本発明プレポリマー、および下記の:アミン含有化合物、ハライド含有化合物、塩酸塩、アンモニウム含有化合物、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む第二組成物も提供する。
【0043】
第二組成物は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0044】
本発明は、第二組成物から形成される架橋組成物も提供する。
【0045】
本発明は、本発明組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0046】
本発明は、第一組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0047】
本発明は、第二組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0048】
本発明は、本発明プレポリマーから形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0049】
一実施形態において、物品は、膜である。
【0050】
本発明は、本発明組成物から形成される少なくとも1つの層を含む膜も提供する。さらなる実施形態において、膜は、少なくとも2つの層を含む。さらなる実施形態において、第二層は、少なくとも1つのポリマーを含む第三組成物から形成される。
【0051】
本発明は、少なくとも2つの層を含む膜も提供し、少なくとも1つの層は、第一組成物または第二組成物などの本発明組成物から形成される反射防止層である。さらなる実施形態において、他の層は、フォトレジスト層である。
【0052】
本発明は、少なくとも2つの層を含む膜も提供し、少なくとも1つの層は、第一組成物から形成される反射防止層である。さらなる実施形態において、他の層は、フォトレジスト層である。
【0053】
本発明は、少なくとも2つの層を含む膜も提供し、少なくとも1つの層は、第二組成物から形成される反射防止層である。さらなる実施形態において、他の層は、フォトレジスト層である。
【0054】
本発明物品は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0055】
本発明膜は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0056】
本発明は、基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:
基板を準備すること、
基板上で下層を形成すること(下層は、少なくとも1つのポリマーを含む)、
下層の上に本発明第一組成物または本発明第二組成物を塗布すること、および
第一組成物または第二組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法も提供する。
【0057】
さらなる実施形態において、方法は、コーティングの上に、少なくとも1つのフォトレジストポリマーを含む少なくとも1つの組成物を塗布することを含む。
【0058】
一実施形態において、第一組成物または第二組成物の複数の層は、下層の上に塗布される。
【0059】
一実施形態において、コーティングは、反射防止層である。
【0060】
本発明は、基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:
基板を準備すること、
基板の少なくとも一部の上に、または前記基板の上に塗布された1つまたは複数の中間層の上に本発明第一組成物または本発明第二組成物を塗布すること、および
第一組成物または第二組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法も提供する。
【0061】
さらなる実施形態において、方法は、コーティングの上に、少なくとも1つのフォトレジストポリマーを含む少なくとも1つの組成物を塗布することを含む。
【0062】
一実施形態において、第一組成物または第二組成物の複数の層は、基板の少なくとも一部の上に、または前記基板の上に塗布された1つまたは複数の中間層の上に塗布される。
【0063】
一実施形態において、コーティングは、反射防止層である。
【0064】
本発明方法は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0065】
化合物F1〜F4
化合物F1、F2、F3およびF4は、下に記載されている。
【0066】
A)式1:
【0067】
【化9】


(式中、Raは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0068】
一実施形態において、Raは、アルケニル基、アルキニル基、イミド、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、またはカーボネートのうちの1つまたは複数を含み、2から10個までの炭素原子を含み;R1、R2、およびR3は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。
【0069】
一実施形態において、Raは、アルケニル基、アルキニル基、イミド、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、またはカーボネートのうちの1つまたは複数を含み、2から10個までの炭素原子を含み;R1、R2、およびR3は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルである)から選択される。
【0070】
一実施形態において、Raは、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、アセトキシル、シアノエチル、アセトエチル、またはアセトアミドプロピルから選択され;R1、R2、およびR3は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0071】
一実施形態において、化合物F1は、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランから選択される。
【0072】
【化10】

【0073】
B)式2:
【0074】
【化11】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0075】
一実施形態において、Rbは、アルキル、アルキレン、またはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0076】
一実施形態において、Rbは、置換または非置換のC〜C10環式アルキル、置換または非置換のC〜C10非環式アルキル、置換または非置換のC〜C10環式アルキレン、置換または非置換のC〜C10非環式アルキレン、置換または非置換のC〜C10環式アルキリデン、置換または非置換のC〜C10非環式アルキリデン、もしくはH;または非置換のC〜C10環式アルキル、非置換のC〜C10非環式アルキル、非置換のC〜C10環式アルキレン、非置換のC〜C10非環式アルキレン、非置換のC〜C10環式アルキリデン、非置換のC〜C10非環式アルキリデン、もしくはH;または非置換のC〜C10環式アルキル、非置換のC〜C10非環式アルキル、もしくはH;または非置換のC〜C10環式アルキル、もしくは非置換のC〜C10非環式アルキル;または非置換のC〜C10非環式アルキルを含む飽和基であり;
R4、R5、およびR6は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0077】
一実施形態において、Rbは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択され;R4、R5、およびR6は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0078】
一実施形態において、化合物F2は、メチルトリメトキシシランまたはメチルトリエトキシシランから選択される。
【0079】
【化12】

【0080】
C)式3:
【0081】
【化13】


(式中、Rcは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0082】
一実施形態において、Rcは、アリールもしくは置換アリール、共役ジエンもしくは共役トリエン、共役ジケトン、共役ケト−エステル、α、β−不飽和エステル、α、β−不飽和ケトン、アルケンと共役しているニトリル、ケトンと共役しているニトリル、エステルと共役しているニトリル、アルケンと共役しているアルキン、ケトンと共役しているアルキン、またはエステルと共役しているアルキンを含み;
R7、R8、およびR9は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0083】
一実施形態において、Rcは、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、フルオレン基、ピリジン基、キノリン基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基、カルバゾール基、フラン基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、アクリロキシル基、アクリルアミド基、メタクリロキシル基、またはメタクリルアミド基を含み;
R7、R8、およびR9は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0084】
一実施形態において、化合物F3は、フェニルトリメトキシシランまたはフェニルトリエトキシシランから選択される。
【0085】
【化14】

【0086】
D)式4:
【0087】
【化15】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0088】
一実施形態において、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0089】
一実施形態において、R10、R11、R12、およびR13は、OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0090】
一実施形態において、化合物F4は、オルトケイ酸テトラメチルまたはオルトケイ酸テトラエチルから選択される。
【0091】
【化16】

【0092】
三層コーティング
三層コーティング、例えば、三層レジストは、典型的には、(a)基板上の硬化性下層組成物;(b)硬化性組成物の上に塗布されるハードマスク組成物(例えば、本明細書に記載されている本発明組成物から形成されるハードマスク層);および(c)ハードマスク組成物の上に塗布されるフォトレジスト組成物層を含む。基板は、フォトレジストが関わるプロセスにおいて使用されるいかなる基板も適している。例えば、基板は、ケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロ電子ウェハであってよい。ヒ化ガリウム、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅基板も用いられることがある。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途用の基板、例えば、ガラス基板、インジウムスズ酸化物でコーティングされた基板なども適当に用いられる。光デバイスおよび光−電子デバイス(例えば、導波管)用の基板も用いることができる。コーティング組成物およびリソグラフィックプロセスは、各々が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2007/0238052号および米国特許出願公開第2009/0148789号に記載されている。
【0093】
様々なフォトレジストは、本発明の本発明コーティング組成物と組合せて(すなわち、オーバーコーティングされて)使用されることがある。好ましいフォトレジストは、化学増幅レジスト、特に、1つまたは複数の光酸発生剤化合物および光酸に不安定なエステル、アセタール、ケタールまたは他のユニットなどの、光発生した酸の存在下でデブロッキング反応または切断反応を受けるユニットを含有する樹脂成分を含有するポジティブ作用性フォトレジストまたはネガティブ作用性フォトレジストを包含する。
【0094】
活性化照射への露光で架橋する(すなわち、硬化(cure)または硬化(harden)する)レジストなどのネガティブ作用性フォトレジストも、本発明のコーティング組成物と共に用いることができる。本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、比較的短い波長照射、例えば、約248nmなどの300nm未満、もしくは260nm未満の波長を有する照射、または193nmなどの約200nm未満の波長を有する照射で撮像されることがある。
【0095】
適当なフォトレジストは、撮像に有効な量の光酸発生剤化合物および1つまたは複数の樹脂を含有する。適当な樹脂は、i)酸に不安定な基を含有するフェノール性樹脂(例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号を参照);ii)米国特許第6,042,997号に記載されているポリマーなどの、ビニルフェノール、ヒドロキシル環置換基もカルボキシル環置換基も含有しない置換されていてもよいビニルフェニル(例えば、スチレン)、および上のポリマーi)で記載されているデブロッキング基などのアルキルアクリレートの重合したユニットを含有するポリマー;およびiii)光酸と反応するはずのアセタールまたはケタール部分を含む反復ユニットと、任意選択で、フェニル基またはフェノール性基などの芳香族反復ユニットを含有するポリマー(そのようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されてきた)を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0096】
追加の樹脂は、フェニル基も他の芳香族基も実質的にも完全にも含まず、193nmなどの200nm以下の波長において撮像するのに特に適している化学増幅レジストを提供することができる樹脂を包含する。このクラスの好ましい樹脂は、i)米国特許第5,843,624号、および第6,048,664号に記載されているポリマーなどの、置換されていてもよいノルボルネンなどの非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)の重合したユニットを含有するポリマー;ii)例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、ならびに他の非環式アルキルアクリレートおよび脂環式アクリレートなどのアルキルアクリレートユニットを含有するポリマー(そのようなポリマーは、米国特許第6,057,083号;欧州出願公開第01008913号および第00930542号に記載されてきた)、ならびにiii)欧州出願公開第01008913号および米国特許第6,048,662号に開示されているような、重合した無水物ユニット、特に、重合した無水マレイン酸および/または無水イタコン酸ユニットを含有するポリマーを包含する。
【0097】
他の樹脂は、ヘテロ原子、特に、酸素および/または硫黄を含有する反復ユニット(しかし、無水物以外の、すなわち、カルボニル環原子を含有しないユニット)を含有し、いかなる芳香族ユニットも実質的にまたは完全に含まないことが好ましい樹脂を包含する。ヘテロ脂環式ユニットは、樹脂主鎖と縮合していることが好ましく、樹脂は、ノルボレン基および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような無水物ユニットの重合により提供されるような縮合した炭素脂環式ユニットを含む場合がさらに好ましい。また、フッ素置換を含有する樹脂(フルオロポリマー)は、例えば、テトラフルオロエチレン、フルオロスチレン化合物などのフッ素化芳香族基などの重合により提供されることがある。
【0098】
定義
「組成物」という用語は、本明細書で使用されているように、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物の混合物を包含する。
【0099】
「ポリマー」という用語は、本明細書で使用されているように、同じタイプか異なるタイプかにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般用語は、ホモポリマーという用語(痕跡量の不純物が、ポリマー構造中に組み入れられることがあるという理解の上で、たった1つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)および本明細書で後に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。
【0100】
「インターポリマー」という用語は、本明細書で使用されているように、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般用語は、コポリマー(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを包含する。
【0101】
「プレポリマー」という用語は、本明細書で使用されているように、例えば、約500g/モルから100,000,g/モルまで、好ましくは、約500から50,000g/モルまで(下に記載されるように、従来のGPCにより決定されるように)の分子量Mw(重量平均)のポリマーを指す。
【0102】
本明細書で使用されているような「多重結合」という用語は、二重結合かまたは三重結合を指すことがある。
【0103】
本明細書で使用されているような「共役配置」という用語は、2つの多重結合が、1つの単結合により隔てられ、交互パターン(例えば、「二重結合−単結合−二重結合」または「三重結合−単結合−二重結合」または「二重結合−単結合−三重結合」)を形成する、化合物中で生じる多重結合の配置を指す。共役配置において、多重結合は、独立して、二重結合または三重結合であってよい。2つ以上の交互パターンは、結合の共役配置を伴う化合物中に存在することがある。共役結合を伴う化合物の例は、ベンゼン、1,4−ブタジエン、フラン、アクリロニトリル、およびアクリル酸である。
【0104】
【化17】

【0105】
本明細書で使用されているような「アミン含有化合物」という用語は、少なくとも1つ、好ましくは、1つのアミン基(例えば、一級、二級または三級アミン(NHまたはNHまたはN))を含有する有機化合物を指す。
【0106】
「ハライド含有化合物」という用語は、本明細書で使用されているように、少なくとも1つ、好ましくは、1つのハライド基(例えば、Cl、Br、F、好ましくは、Cl)を含有する有機化合物を指す。
【0107】
「含む」、「包含する」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、いかなる追加の成分、ステップおよび手順の存在も排除するように意図されていない。いかなる疑念も避けるため、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、それとは反対の記述がない限り、ポリマーかそれ以外のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバントおよび化合物も包含することがある。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に不可欠ではないものを除いて、いかなる他の成分、ステップ、および手順も、いかなる後続の詳述の範囲からも排除する。「からなる」という用語は、具体的に描写されても列挙されてもいないいかなる成分、ステップ、および手順も排除する。
【0108】
試験方法
GPC
プレポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)とも呼ばれるゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によりモニターした。装置に、ポリスチレン較正標準を基準として、約500g/モルから少なくとも約100,000g/モルの範囲で分子量を測定するのに適している一組のカラムを取り付けた。連続して設置された一組のThomson Instrument Co.から入手可能な8mm径×300mm長の2本のSHODEX LF−804 GPCカラムが特に有効であった。移動相は、テトラヒドロフランとし、1mL/分の速度にてポンプ注入した。装置に、屈折率検出器も取り付けた。較正は、Polymer Standards Service GmbH、Mainz、Germanyから入手可能なポリスチレン標準品を使用して行った。Mn、Mw、およびMWDは、Agilent Technologies,Inc.から入手可能なChemStationソフトウェア用の「GPC−アドオン」を使用して計算した。
【0109】
SEM
トップダウン画像と横断画像は共に、Hitachi CG4000 SEM(Hitachi High Technologies America,Inc)で測定した。トップダウン測定は、撮像ウェハ全体で行われる。横断面は、関心のある特徴を通してウェハを切断し、金かまたはイリジウムの薄層でウェハ切片をスパッタコーティングすることにより得られる。
【0110】
実験の部
本発明において使用される材料は、商用ソースから入手し、受領したまま使用する。略語および原材料ソースは、
VTMS:ビニルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)
MTMS:メチルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)
PTMS:フェニルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)
TEOS:オルトケイ酸テトラエチル(Sigma Aldrich、Dow Corning)
GlyTMS:グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning、Gelest)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DOWANOL PMA、The Dow Chemical Company)
BTEAC:塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(Sigma Aldrich)
である。
【0111】
3N水性酢酸溶液は、研究室で調製した。氷酢酸は、JT Bakerより供給された。
【0112】
0.1N水性塩酸は、研究室で調製した。濃塩酸は、Fisherより供給された。
【0113】
表1は、本発明において使用された異なる第一組成物を列挙している。量は、組成物を調製するために加えられた総モル数を基準として、モルパーセントである。
【0114】
【表1】

【0115】
異なるプレポリマーは、表2Aおよび2Bに示されているような上の組成物を使用して合成した。プレポリマーの詳細にわたる合成プロセスは、表2Bに続く段落に記載されている。
【0116】
【表2】

【0117】
本発明プレポリマーおよび比較プレポリマーの合成
プレポリマー1
機械撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた三つ口丸底フラスコに、氷酢酸(0.52mL)およびHPLC等級のサブミクロン濾過水(20.52mL)を装入し、酢酸/水溶液を形成させた。トランスファラインを取り付けたプラスチックシリンジに、フェニルトリメトキシシラン(6.16g、31.1mmol)、メチルトリメトキシシラン(21.64g、158.8mmol)、ビニルトリメトキシシラン(7.68g、51.8mmol)、オルトケイ酸テトラエチル(21.58g、103.6mmol)、およびPGMEA(58.33mL)の予混合溶液を装入した。アルコキシシランモノマー/PGMEA混合物を、シリンジポンプを使用して1時間かけて酢酸/水溶液に滴加した。添加後、シリンジトランスファラインを、丸底フラスコ入口から取り外し、内部反応温度をモニターするためにガラスジョイント内に取り付けられた熱電対と交換した。反応混合物を、10分にわたって室温にて撹拌した。次いで、フラスコを、温度制御された油浴に入れ、浴温を、100℃の温度に達するように設定した。縮合反応は、蒸留によりアルコールおよび水を捕集しながら、窒素雰囲気下で進行した。反応混合物を、2時間25分にわたって加熱した。次いで、濃縮された反応混合物を、127.4gの最終重量まで、PGMEA(42mL)でおおよそ20wt%固体まで希釈した。溶液を、0.2μmPTFEメンブランフィルターを介して濾過した。
【0118】
固体濃度は、110℃にてオーブン中で試料1gを乾燥することにより測定した。分子量は、GPCにより決定した:Mw、4152g/モル;Mn、1414g/モル;MWD、2.94。
【0119】
プレポリマー2
機械撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた三つ口丸底フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(6.16g、31.1mmol)、メチルトリメトキシシラン(21.64g、158.8mmol)、ビニルトリメトキシシラン(7.68g、51.8mmol)、オルトケイ酸テトラエチル(21.58g、103.6mmol)、およびPGMEA(58.33mL)の予混合溶液を装入した。トランスファラインを取り付けたプラスチックシリンジに、氷酢酸(0.52mL)およびHPLC等級のサブミクロン濾過水(27.98mL)を装入した。酢酸/水溶液を、シリンジポンプを使用して30分かけてアルコキシシランモノマー/PGMEA混合物に加えた。添加後、シリンジトランスファラインを、丸底フラスコ入口から取り外し、内部反応温度をモニターするためにガラスジョイント内に取り付けられた熱電対と交換した。フラスコを、温度制御された油浴に入れ、浴温を、100℃の温度に達するように設定した。縮合反応は、蒸留によりアルコールおよび水を捕集しながら、窒素雰囲気下で進行した。反応混合物を、2時間半にわたって加熱した。次いで、濃縮された反応混合物を、127gの最終重量まで、PGMEA(42mL)でおおよそ20wt%固体まで希釈した。溶液を、0.2μmPTFEメンブランフィルターを介して濾過した。固体濃度は、110℃にてオーブン中で試料1gを乾燥することにより測定した。分子量は、GPCにより決定した:Mw、4627g/モル;Mn、1709G/モル;PDI、2.71。
【0120】
プレポリマー3
磁気撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた250mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(34.21g)を装入した。トランスファラインを取り付けたプラスチックシリンジに、フェニルトリメトキシシラン(8.82g)、メチルトリメトキシシラン(17.49g)、ビニルトリメトキシシラン(10.96g)、オルトケイ酸テトラエチル(51.36g)、およびPGMEA(82mL)の予混合溶液を装入した。モノマー溶液を、シリンジポンプを使用して反応フラスコにゆっくりと加えた。モノマー添加の開始から1時間後、フラスコを、温度制御された油浴に入れ、浴温を、100℃に設定した。3時間後、浴温を、110℃まで上げ、反応混合物内の温度が90℃に達するまで、この温度に保った。次いで、油浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液を20wt%固体に調整した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液の試料を加熱することにより決定した。ポリマーの分子量は、GPCにより決定した:Mw 3083g/モル;Mn 1396g/モル;MWD 2.21。
【0121】
プレポリマー4
磁気撹拌機およびディーンスターク装置を取り付けた500mLの三つ口丸底フラスコに、氷酢酸(13.33g)および水(59.98g)を装入した。トランスファラインを取り付けたプラスチックシリンジに、フェニルトリメトキシシラン(18.86g)、メチルトリメトキシシラン(37.41g)、ビニルトリメトキシシラン(23.48g)、オルトケイ酸テトラエチル(110.04g)、およびPGMEA(175.07g)の予混合溶液を装入した。モノマー溶液を、シリンジポンプを使用して反応フラスコに1時間かけて加えた。フラスコを、100℃に設定された温度制御された油浴に入れ、1時間にわたってその温度に保った。蒸留物の捕集を開始した。浴温を、110℃まで上げ、反応温度が90℃に達するまで、この温度に保ち、その時点で、加熱浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液を20wt%固体に調整した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液の試料を加熱することにより決定した。ポリマーの分子量は、GPCにより決定した:Mw 2443g/モル;Mn 1419g/モル;MWD 1.72。
【0122】
プレポリマー5
磁気撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた250mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(34.5g)を装入した。トランスファラインを取り付けたプラスチックシリンジに、フェニルトリメトキシシラン(8.81g)、メチルトリメトキシシラン(17.46g)、ビニルトリメトキシシラン(10.95g)、オルトケイ酸テトラエチル(51.36g)、およびPGMEA(82mL)の予混合溶液を装入した。モノマー溶液を、シリンジポンプを使用して反応フラスコにゆっくりと加えた。モノマー添加の開始から1時間後、フラスコを、温度制御された油浴に入れ、浴温を、100℃に設定した。3時間後、浴温を、110℃まで上げ、反応温度が90℃に達するまで、この温度に保ち、その時点で、油浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液を20wt%固体に調整した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液の試料を加熱することにより決定した。ポリマーの分子量は、GPCにより決定した:Mw 2928g/モル。
【0123】
プレポリマー6
ビニルトリメトキシシラン(11.1g)、フェニルトリメトキシシラン(9g)、メチルトリメトキシシラン(31.3g)、オルトケイ酸テトラエチル(31.1g)、およびPGMEA(65g)を混ぜ合わせ、ガラスシリンジに加えた。500mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(23.9g)を装入した。オーバーヘッド撹拌機でフラスコ内を混合した。シラン/溶媒ブレンドを、シリンジポンプを使用し、室温にてフラスコに加え、合計添加時間は、70分であった。シランの添加後、ディーンスタークトラップおよび窒素ラインを、フラスコに接続した。フラスコを、油浴に入れ、浴を、100℃まで加熱し、蒸留物を、ディーンスタークトラップ中に捕集した。60分にわたって蒸留物を捕集した後、PGMEA(40g)を、フラスコにゆっくりと加えた。油浴を、蒸留物を依然として捕集しながら、125℃まで加熱し、さらに70分にわたって続けた。合計57.8gの蒸留物が捕集された。フラスコを、熱から取り外し、ディーンスタークトラップを取り外した。重量平均分子量は、GPCにより2590g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻した。125℃にて30分後、試料を、フラスコから採取し、重量平均分子量は、GPCにより約3790g/モルであると決定された。125℃における加熱を、さらに30分にわたって続けた。フラスコを、油浴から取り外した。重量平均分子量は、GPCにより5040g/モルであると決定された。得られたシロキサンポリマー溶液の濃度は、溶液の重量を基準として、23.46wt%であった。
【0124】
プレポリマー7
ビニルトリメトキシシラン(11.1g)、フェニルトリメトキシシラン(9g)、メチルトリメトキシシラン(27.9g)、オルトケイ酸テトラエチル(36.4g)、およびPGMEA(65g)を混ぜ合わせ、ガラスシリンジに加えた。500mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(24.1g)を装入した。オーバーヘッド撹拌機でフラスコ内を混合した。シラン/溶媒ブレンドを、シリンジポンプを使用し、室温にてフラスコに加え、合計添加時間は、60分であった。シランの添加後、ディーンスタークトラップおよび窒素ラインを、フラスコに接続した。フラスコを、100℃まで加熱された油浴に入れ、蒸留物を、60分にわたってディーンスタークトラップ中に捕集した。次いで、PGMEA(40g)を、フラスコにゆっくりと加えた。油浴を、蒸留物を依然として捕集しながら、125℃まで加熱し、さらに60分にわたって続けた。合計55.1gの蒸留物が捕集された。フラスコを、熱から取り外し、ディーンスタークトラップを取り外した。重量平均分子量は、GPCにより3770g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻した。125℃にて15分後、フラスコを、油浴から取り外し、冷却した。重量平均分子量は、GPCにより約4505g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻し、加熱を、さらに16分にわたって続けた。フラスコを、油浴から取り外した。重量平均分子量は、GPCにより5620g/モルであると決定された。得られたシロキサンポリマー溶液の濃度は、溶液の重量を基準として、27.29wt%であった。
【0125】
プレポリマー8
ビニルトリメトキシシラン(11.1g)、フェニルトリメトキシシラン(9g)、メチルトリメトキシシラン(24.5g)、オルトケイ酸テトラエチル(41.6g)、およびPGMEA(65g)を混ぜ合わせ、ガラスシリンジに加えた。500mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(24.3g)を装入した。オーバーヘッド撹拌機でフラスコ内を混合した。シラン/溶媒ブレンドを、シリンジポンプを使用し、室温にてフラスコに加え、合計添加時間は、62分であった。シランの添加後、ディーンスタークトラップおよび窒素ラインを、フラスコに接続した。フラスコを、100℃まで加熱された油浴に入れ、蒸留物を、ディーンスタークトラップ中に捕集した。51分にわたって蒸留物を捕集した後、PGMEA(50g)を、フラスコにゆっくりと加えた。油浴を、さらに45分にわたって蒸留物を依然として捕集しながら、125℃まで加熱した。合計52.5gの蒸留物が捕集された。フラスコを、熱から取り外し、ディーンスタークトラップを取り外した。重量平均分子量は、GPCにより3020g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻した。125℃にて16分後、フラスコを、油浴から取り外し、冷却させた。重量平均分子量は、GPCにより約3675g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻し、加熱を、さらに30分にわたって続けた。フラスコを、油浴から取り外した。重量平均分子量は、GPCにより4960g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻し、加熱を、さらに15分にわたって続けた。フラスコを、油浴から取り外した。重量平均分子量は、GPCにより5925g/モルであると決定された。得られたシロキサンポリマー溶液の濃度は、23.01wt%であった。
【0126】
プレポリマーA
ビニルトリメトキシシラン(65.9g)、フェニルトリメトキシシラン(5.9g)、およびメチルトリメトキシシラン(3.4g)を混ぜ合わせ、ガラスシリンジに加えた。500mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(27g)を装入した。オーバーヘッド撹拌機でフラスコ内を混合した。シランを、シリンジポンプを使用してフラスコに加え、合計添加時間は、45分であった。シランの添加後、ディーンスタークトラップおよび窒素ラインを、フラスコに接続した。フラスコを、100℃まで加熱された油浴に入れた。45分にわたって蒸留物をディーンスタークトラップ中に捕集した後、PGMEA(75g)を、フラスコにゆっくりと加えた。油浴を、さらに75分にわたって蒸留物を捕集しながら、125℃まで加熱した。合計49.4gの蒸留物が捕集された。ディーンスタークトラップを、フラスコから取り外した。油浴を、さらに95分にわたって125℃に保ち、フラスコを、油浴から取り外し、加熱を中止した。フラスコを、さらに60分にわたって125℃にて油浴中に戻した。フラスコを、油浴から取り外し、PGMEA35gを、フラスコに加えて冷却を容易にするのに役立てた。得られたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、GPCにより約4255g/モルであると決定された。目標とされた重量平均分子量は、5000g/モルであった。フラスコを、さらに61分にわたって125℃にて油浴中に戻し、次いで、油浴から取り外して分子量を決定した。重量平均分子量は、GPCにより4625g/モルであると決定された。フラスコを、さらに61分にわたって125℃にて油浴中に戻し、次いで、油浴から取り外して分子量を決定した。重量平均分子量は、GPCにより5015g/モルであると決定された。得られたシルセスキオキサンポリマー溶液の濃度は、22.71wt%であった。
【0127】
プレポリマーB
ビニルトリメトキシシラン(13.6g)、フェニルトリメトキシシラン(3.4g)、メチルトリメトキシシラン(6.1g)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(10.8g)およびPGMEA(80g)を混ぜ合わせ、ガラスシリンジに加えた。250mLの三つ口丸底フラスコに、3N酢酸(9.2g)を装入した。オーバーヘッド撹拌機でフラスコ内を混合した。シラン/溶媒ブレンドを、シリンジポンプを使用して室温にてフラスコに加え、合計添加時間は、70分であった。シランの添加後、ディーンスタークトラップおよび窒素ラインを、フラスコに接続した。フラスコを、100℃まで加熱された油浴に入れた。43分にわたって蒸留物をディーンスタークトラップ中に捕集した後、PGMEA(40g)を、フラスコにゆっくりと加えた。油浴を、さらに68分にわたって蒸留物を捕集しながら、125℃まで加熱した。合計12.3gの蒸留物が捕集された。フラスコを、熱から取り外し、ディーンスタークトラップを取り外した。重量平均分子量は、GPCにより645g/モルであると決定された。フラスコを、125℃にて油浴中に戻し、120分後、試料を、フラスコから採取し、重量平均分子量は、GPCにより約1130g/モルであると決定された。加熱を、さらに300分にわたって続けた。フラスコを、油浴から取り外した。重量平均分子量は、GPCにより2050g/モルであると決定された。フラスコを、420分にわたって油浴中に戻し、その後、重量平均分子量は、GPCにより3460g/モルであると決定された。フラスコを、420分にわたって油浴中に戻し、その後、重量平均分子量は、GPCにより5480g/モルであると決定された。得られたシルセスキオキサンポリマー溶液の濃度は、溶液の重量を基準として、14.03wt%であった。
【0128】
プレポリマーC
三つ口の250mLフラスコに、温度プローブ、2インチテフロン(登録商標)パドル付きの一定RPMオーバーヘッド撹拌機、およびシリンジポンプ添加アダプターを取り付けた。蒸留したシランモノマーフェニルトリメトキシシラン(7.03g、35.4mmol)、メチルトリメトキシシラン(38.12g、279.8mmol)、およびオルトケイ酸テトラエチル(16.42g、78.8mmol)を、プラスチックボトルに量り入れ、反応フラスコに移し、PGMEA65.5mLで希釈した。塩酸(0.1N、3.95mL、3.95mmol)を、HPLC等級の水(19.49mL、1082mmol)で希釈し、メスシリンダー中で混合し、次いで、周囲室温にてシリンジポンプにより、シラン溶液に30分かけて滴加した。酸/水溶液添加ステップが終了したら直ぐに、シリンジポンプ添加アダプターを、窒素ラインを取り付けた短経路蒸留ヘッドと交換し、その後、溶液を、設定ポイントが110℃の油浴により加熱した。15分後、浴温設定ポイントを、100℃まで下げた。反応アリコート(0.2mL)を、たびたび取り出し、THF(1.0mL)中で希釈し、GPCにより分析した。ポリマー溶液は、75分にわたって加熱した後に、目標(5000g/モル)に近い分子量に達した。溶液を、追加のPGMEA(46.8mL、342mmol)で、溶液の総重量を基準として、21.9wt%固体まで希釈し、室温まで冷却した。溶液を、過剰当量の、Dow Chemical Co.により製造されたDOWEX MARATHON MR−3混合イオン交換樹脂上でかき混ぜ、「0.2μm」PTFEシリンジフィルターに通して濾過した。分子量は、GPCにより測定した:Mw 4079g/モル;Mn 1798g/モル;MWD 2.27。
【0129】
プレポリマーD
三つ口の250mLフラスコに、温度プローブ、2インチテフロン(登録商標)パドル付きの一定RPMオーバーヘッド撹拌機、およびシリンジポンプ添加アダプターを取り付けた。蒸留したシランモノマーフェニルトリメトキシシラン(7.08g、35.7mmol)、メチルトリメトキシシラン(32.96g、242.0mmol)、およびオルトケイ酸テトラエチル(24.79g、119.0mmol)を、プラスチックボトルに量り入れ、反応フラスコに移し、PGMEA65.3mLで希釈した。塩酸(0.1N、0.40mL、0.04mmol)を、HPLC等級の水(23.2mL、1287mmol)で希釈し、メスシリンダー中で混合し、次いで、周囲室温にてシリンジポンプにより、シラン溶液に30分かけて滴加した。酸/水溶液添加ステップが終了したら直ぐに、シリンジポンプ添加アダプターを、窒素ラインを取り付けた短経路蒸留ヘッドと交換した。材料を、30分の酸添加時間に続いて、周囲温度にて60分にわたって混合し、その後、溶液を、設定ポイントが100℃の油浴により加熱した。5時間後、浴温設定ポイントを、120℃まで上げた。反応アリコート(0.2mL)を、たびたび取り出し、THF(1.0mL)中で希釈し、GPCにより分析した。ポリマー溶液は、6時間にわたって加熱した後に、目標(5000g/モル)に近い分子量に達した。溶液を、追加のPGMEA(45.5mL)で22.4wt%固体まで希釈し、室温まで冷却した。ポリマー溶液を、過剰当量のDOWEX MARATHON MR−3混合イオン交換樹脂上でかき混ぜた。溶液を、「0.2μm」PTFEシリンジフィルターに通して濾過し、おおよそ15wt%固体にて冷凍庫中で保存した。分子量は、GPCにより測定した:Mw 7782g/モル;Mn 2294g/モル;MWD 3.39。
【0130】
プレポリマーE
250mLの三つ口丸底フラスコを、20℃の水浴に入れた。フラスコに、空気モーターに連結された撹拌機、水ジャケット付き冷却器、温度調節器に連結された熱電対、および添加漏斗を取り付けた。酸性化された水(21.6g、1.2モル、3N酢酸)を、フラスコに加えた。ビニルトリメトキシシラン(53.3g、0.360モル)およびフェニルトリメトキシシラン(7.94g、0.040モル)を予混合し、添加漏斗に加えた。シランを、45分かけて反応器に加えた。添加が終了した後、水浴を取り外し、加熱マントルを、フラスコの下に置いた。添加漏斗を取り外し、ディーンスタークトラップおよび窒素スイープラインを接続した。溶液を、100℃に設定された油浴中でゆっくりと加熱した。加熱しながら、蒸留物を、トラップ中に捕集した。反応が、100℃に達した時に、PGMEA100gを加えた。油浴を、追加の蒸留物を捕集しながら、125℃までゆっくりと加熱した。浴温が、125℃に達した時に、トラップを取り外した。3時間後、加熱を中止し、PGMEA75gを加え、溶液を、室温まで冷却するまで混合した。
【0131】
プレポリマー6’
三つ口の250mLフラスコに、温度プローブ、2インチテフロン(登録商標)パドル付きの一定RPMオーバーヘッド撹拌機、およびシリンジポンプ添加アダプターを取り付けた。蒸留したシランモノマーフェニルトリメトキシシラン(7.91g、39.9mmol)、メチルトリメトキシシラン(18.10g、132.9mmol)、ビニルトリメトキシシラン(36.74g、247.9mmol)、およびオルトケイ酸テトラエチル(4.61g、22.1mmol)を、プラスチックボトルに量り入れ、反応フラスコに移し、PGMEA81.65mLで希釈した。氷酢酸(5.5mL、94mmol)を、HPLC等級の水(21.9mL、1215mmol)で希釈し、メスシリンダー中で混合し、次いで、周囲室温にてシリンジポンプにより、シラン溶液に60分かけて滴加した。酸/水溶液添加ステップが終了したら直ぐに、シリンジポンプ添加アダプターを、窒素ラインを取り付けた短経路蒸留ヘッドと交換した。材料を、60分の酸添加時間に続いて、周囲温度にて60分にわたって混合し、その後、溶液を、設定ポイントが100℃の油浴により加熱した。反応アリコート(0.2mL)を、たびたび取り出し、THF(1.0mL)中で希釈し、GPCにより分析した。ポリマー溶液は、9.5時間にわたって加熱した後に、目標(5000g/モル)に近い分子量に達した。溶液を、追加のPGMEA(58.3mL)で21.0wt%固体まで希釈し、室温まで冷却した。樹脂溶液を、「0.2μm」PTFEシリンジフィルターに通して濾過し、ポリマー溶液を、おおよそ20wt%固体にて冷凍庫中で保存した。分子量は、GPCにより測定した:Mw 4527g/モル;Mn 1793g/モル;MWD 2.52。
【0132】
プレポリマー7’
三つ口の500mLフラスコに、温度プローブ、2インチテフロン(登録商標)パドル付きの一定RPMオーバーヘッド撹拌機、およびシリンジポンプ添加アダプターを取り付けた。蒸留したシランモノマーフェニルトリメトキシシラン(11.65g、58.7mmol)、メチルトリメトキシシラン(44.42g、326.0mmol)、ビニルトリメトキシシラン(34.85g、234.7mmol)およびオルトケイ酸テトラエチル(6.79g、32.6mmol)を、プラスチックボトルに量り入れ、反応フラスコに移し、PGMEA116.7mLで希釈した。氷酢酸(8.10mL、138mmol)を、HPLC等級の水(32.3mL、1792mmol)で希釈し、メスシリンダー中で混合し、次いで、周囲室温にてシリンジポンプにより、シラン溶液に60分かけて滴加した。酸/水溶液添加ステップが終了したら直ぐに、シリンジポンプ添加アダプターを、窒素ラインを取り付けた短経路蒸留ヘッドと交換した。材料を、60分の酸添加時間に続いて、周囲温度にて60分にわたって混合し、その後、溶液を、設定ポイントが100℃の油浴により加熱した。反応アリコート(0.2mL)を、たびたび取り出し、THF(1.0mL)中で希釈し、GPCにより分析した。ポリマー溶液は、10.5時間にわたって加熱した後に、目標(5000g/モル)に近い分子量に達した。溶液を、追加のPGMEA(83.3mL)で22.3wt%固体まで希釈し、室温まで冷却した。樹脂溶液を、「0.2μm」PTFEシリンジフィルターに通して濾過し、ポリマー溶液を、おおよそ20wt%固体にて冷凍庫中で保存した。分子量は、GPCにより測定した:Mw 4384g/モル;Mn 1722g/モル;MWD 2.55。
【0133】
プレポリマー8’
磁気撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた250mLの三つ口丸底フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(4.86g)、メチルトリメトキシシラン(22.24g)、およびビニルトリメトキシシラン(20.57g)を装入した。氷酢酸(5.15g)と水(23.53g)の溶液を、フラスコに加え、撹拌を開始した。次いで、オルトケイ酸テトラエチル(17.01g)を加え、混合物を、60分にわたって室温にて撹拌した。当初は相分離した反応混合物は、加水分解が進行するにつれて均一化し、澄明な溶液が得られ、発熱が観察された。PGMEA(70g)を加え、フラスコを、温度制御された油浴に入れた。油浴を、1時間にわたって100℃まで加熱し、次いで、1時間にわたって110℃まで上げ、次いで、120℃まで上げた。反応混合物の温度が、100℃に達した時に、加熱浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液を20wt%固体に調整した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液の少量試料を加熱することにより決定した。ポリマーの分子量は、GPCにより決定した:Mw 2071;Mn 1268;MWD 1.63。
【0134】
プレポリマー9’
磁気撹拌機および短経路蒸留装置を取り付けた250mLの三つ口丸底フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(4.84g)、メチルトリメトキシシラン(22.24g)、およびビニルトリメトキシシラン(20.58g)を装入した。「0.1N HCl(0.41g)」と水(23.22g)から調製された溶液を、フラスコに加え、撹拌を開始した。次いで、オルトケイ酸テトラエチル(17.02g)を加え、混合物を、60分にわたって室温にて撹拌した。当初は相分離した反応混合物は、加水分解が進行するにつれて均一化し、澄明な溶液が得られ、発熱が観察された。PGMEA(50g)を加え、フラスコを、温度制御された油浴に入れた。油浴を、1時間にわたって100℃まで加熱し、次いで、1時間にわたって110℃まで上げ、次いで、120℃まで上げた。反応混合物の温度が、100℃に達した時に、加熱浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液を20wt%固体に調整した。残留酸を、The Dow Chemical Companyにより製造された、AMBERLITE IRN 150混床イオン交換樹脂が充填されているイオン交換カラムにポリマー溶液を通すことにより除去した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液の少量試料を加熱することにより決定した。ポリマーの分子量は、GPCにより決定した:Mw 2925;Mn 1540;MWD 1.9。
【0135】
第二組成物の形成
第二組成物はすべて、第二組成物9’を除いて、他に断りのない限りここに記載されている一般手順に従って形成させた。
【0136】
指定されたプレポリマー(37.5g)、BTEAC(0.37g)、およびPGMEA(263g)を、プラスチックボトルに加え、十分に混合し、0.2μmPVDFフィルターに通して濾過し、それぞれの第二組成物を形成させた。
【0137】
第二組成物9’については、プレポリマー8(37.5g)およびPGMEA(263g)を、プラスチックボトルに加え、十分に混合し、「0.2μm」PVDFフィルターに通して濾過し、第二組成物9’を形成させた。表3は、この研究において使用された第二組成物のすべてを要約している。
【0138】
【表3】

【0139】
ArFポジティブトーン現像(PTD)フォトレジストの形成
適当なポジティブトーン現像フォトレジストは、下記の混合物から形成される:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート28.60g、シクロヘキサノン19.30g、ヒドロキシ酪酸メチルエステル48.25g、モル比がそれぞれ20/20/30/20/10で重量平均分子量が9,000のメタクリル酸イソプロピル−アダマンチル、メタクリル酸メチルシクロペンチル、メタクリル酸(3aR,4s,5R,7S,7aR)−3−オキソオクタヒドロ−4,7−エポキシ−イソベンゾフラン−5−イル、メタクリル酸ヒドロキシアダマンチルのコポリマー3.02g、1,1−ジフルオロ−2−(((1r,3s,5R,7S)−3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)メトキシ)−2−オキソエタンスルホン酸(4−(tert−ブチル)フェニル)ジフェニルスルホニウム0.46g、(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−プロパン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル0.04g、およびPolyFox 656フッ素化表面レベリング剤0.01g。
【0140】
ArFネガティブトーン現像(NTD)フォトレジストの形成
適当なネガティブトーン現像フォトレジストは、下記の混合物から形成される:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート28.95g、シクロヘキサノン19.30g、ヒドロキシ酪酸メチルエステル48.25g、モル比がそれぞれ25/25/40/10で重量平均分子量が22,000のメタクリル酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル、メタクリル酸5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−イル、メタクリル酸メチルアダマンチル/メタクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロノナ−2−イルオキシカルボニルメチル、アクリル酸ヒドロキシアダマンチルのコポリマー2.89g、1,1,2,2−テトラフルオロ−4−((4−(13−メチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)ブタン−1−スルホン酸トリフェニルスルホニウム0.49g、重量平均分子量が10,000のメタクリル酸n−ブチルのポリマー0.07g、ドデシルジエタノールアミン0.05、およびPolyFox 656フルオリネート表面レベリング剤0.01g。
【0141】
単層コーティングの形成
クリーンルーム環境(約72゜F、約50%RH、クラス100)において、WaferNet Inc.からのプライマー処理されていない(unprimed)「200mm」径シリコンウェハを、基板として使用した。Siウェハ上に、第二組成物を手で施し、Tokyo Electron(TEL)ACT−8コートトラック上で35nm(THERMA−WAVE分光エリプソメーターで測定されるように)の公称膜厚までスピンコーティングした。コーティングされたウェハを、60秒にわたって240℃にてベークした。単層コーティングは、表4A、4Bおよび4Cに要約されている。
【0142】
【表4】

【0143】
単層コーティングに対する試験方法
光学特性(193nmにおけるn、k)および膜厚の測定
光学特性および膜の厚さは、WOOLAM VUV−VASE VU−302エリプソメーター(Woolam、NE)を使用して測定した。膜を、単層コーティングの項で上に記載されているように、「200mm」径ベアシリコンウェハ上にコーティングした。偏光データを、170nmから900nmまでの波長範囲にわたって3つの角度にて集めた。データは、自動的に生成され、膜の厚さおよび193nmにおける屈折率(n、k)(ここで、nは、複素屈折率の実数部であり、kは、複素屈折率の虚数部である)が得られた。
【0144】
表5は、本発明実施例および比較実施例の193nmにおける屈折率n、kを要約している。反射の最小化は、反射防止層の光学定数および厚さに依存する。20nmと50nmの間の望ましい厚さについて、PROLITHソフトウェアV10.0(KLA−Tencor Corporation)を使用するコンピューターシミュレーションは、0.5%未満に反射を減らすために、193nmにおいて、nは、1.67以上であり、kは、0.15から0.3までであることを示している。表5に示されているように、本発明実施例はすべて、必要範囲内のn値およびk値を有し、2つの比較実施例は、各々、必要なものよりも低いn値を有する。したがって、本発明実施例は、反射を制御する際に良好な性能を提供することができ、したがって、良好な反射防止層であり、一方、比較実施例は、この点で劣っている。
【0145】
【表5】

【0146】
水接触角の測定
単層コーティングを、上で議論されているように、コーティングの1時間以内に分析した。DATAPHYSICS Instruments GmbH、OCA20型ゴニオメーターを、すべての接触角測定のために使用した。脱イオン水を、試験液として使用した。1マイクロリットルの液滴を、各接触角決定のために使用した。液滴を、単層コーティングの表面上に施した後、液滴運動を、3フレーム/秒の最小速度にて、ゴニオメーターカメラを使用し、各測定について少なくとも10秒にわたって記録した。ゴニオメーターニードルが、視野から完全に移動し、液滴運動が存在しなくなった時に、最初の液滴画像を使用し、接触角を決定した。接触角は、OCAソフトウェア中の円形モデルを使用して評価した。少なくとも3回の別個の測定を、単層コーティング全体に行った(単層コーティング毎に3滴)。接触角測定に典型的な標準偏差は、約0.2度である。
【0147】
表6は、本発明実施例および比較実施例の水接触角結果を要約している。膜品質は、フォトリソグラフィプロセス中に良好なパターンを得るために重要である。本発明層は、本発明層の上にコーティングされる別の層がある多層スキームにおいて使用される可能性が高い。本発明層の表面エネルギーが、高い水接触角により示されるように低すぎれば、膜が、コーティングされた領域を完全に覆っていない場合に生じるディウェット(dewet)などの欠陥が、本発明層の上の膜層に現れることがある。隣接層の表面欠陥を最小限に抑えるために、本発明層の水接触角は、87゜未満であることが好ましい。表6に示されているように、本発明実施例は、比較実施例の接触角未満の水接触角を有し、本発明実施例1〜8は、87゜未満の接触角を有する。比較すると、比較実施例CおよびDは、それぞれ90゜、93゜の水接触角を有する。
【0148】
【表6】

【0149】
二層コーティングの形成
膜を、単層コーティングの形成の項に記載されているようにコーティングした。次いで、ArF PTDフォトレジストを、スピンコーティングによりコーティングされたウェハに塗布し、コーティングされたウェハを60秒にわたって100℃のソフトベークすると、100nm(Therma−Wave分光エリプソメーターで測定されるように)のフォトレジスト膜厚が得られた。二層の要約は、表7に提供されている。
【0150】
【表7】

【0151】
二層コーティングの接着の評価
二層コーティングが形成された後、接着試験を行った。接着試験は、ASTM D3359を参照してテーププル(tape pull)を使用した。最初に、1片のScotchテープ(3M、MN)を、ArF PTDフォトレジストコーティング上にしっかりと押し付けた。接着された区分の長さは1インチとし、残りの連結フリー区分は、少なくとも1インチとした。テープのフリー区分を、2本の指で握り、約270゜のコーティング表面に対する角度で素早く引き戻した。テーププル後、残っているコーティングを視覚的に調べ、テープに移動したコーティングの面積を、コーティングに接着していたテープの表面積に占める割合として推定した。「0%剥離」は、良好な接着を表し、一方、「100%剥離」は、接着不良を示した。試験は、少なくとも5回繰り返し、接着したコーティングの面積の平均を、表8に示されるように報告した。
【0152】
パターンリソグラフィのための三層コーティングは、良好な層間接着を有することが必要である。接着が弱ければ、層間剥離が、リソグラフィ中に生じることがあるか、パターン倒れが、接着力が残留力、熱ストレス、溶媒膨潤ストレス、および毛管力などの異なるタイプの力未満である場合に生じることがある。表8は、本発明実施例がすべて、良好な接着を有し、一方、比較実施例が、不十分な層間接着を有することを示している。
【0153】
【表8】

【0154】
三層コーティングの形成
本発明層を、三層スキームで使用し、リソグラフィック性能を調べた。三層の一般的構造は、図1に示されている。
【0155】
下層の形成
有機ポリ(メタクリレート)ベースの下層コーティング組成物を、スピンコーティングによりWaferNet,Inc.から入手可能な「300mm」径シリコンウェハに塗布し、コーティングされたウェハを60秒にわたって240℃にてベークすると、135nmの膜厚が得られた。適当な下層コーティング組成物は、Dow Chemical Companyから入手可能なAR26Nを包含する。
【0156】
下層上の本発明層の形成
表9に記載されている本発明のコーティング組成物を、スピンコーティングにより前ステップからの下層でコーティングされたウェハに塗布した。各コーティングを、60秒にわたって240℃にてベークすると、35nmの本発明膜厚が得られた。
【0157】
三層の形成
ArFフォトレジスト(前に記載されているようなPTDとNTDの両方)を、スピンコーティングにより、前ステップからのコーティングされたウェハに塗布し、コーティングされたウェハを、60秒にわたって100℃にてソフトベークすると、100nmのフォトレジスト膜厚が得られた。PTDフォトレジストコーティングに、トップコートを塗布し、「193nm」液浸リソグラフィックプロセスにとって望ましい浸出制御を提供することができる。適当なトップコートは、Dow Chemical CompanyからのOC2000を包含する。
【0158】
【表9】

【0159】
リソグラフィックパターンの形成
リソグラフィックプロセシング
形成された三層コーティングを、下記のステップに従って処理した:
1)露光:塗布されたフォトレジスト層を、ASML 1900iを使用し、パターニングされた193nm照射に露光した;
2)露光後ベーク:60秒にわたって120℃;
3)現像:潜像を、ポジティブフォトレジストレリーフ像を提供するために0.26N水性アルカリ現像液で、またはネガティブフォトレジストレリーフ像を提供するために適当な有機溶媒(Dow Chemical CompanyからのOSD−1000 Organic Solvent Developerなど)で現像した。
【0160】
三層コーティングのリソグラフィック性能の評価
図2は、2つのフォトレジストライン断面の概略図を描いている。望ましいフォトレジストライン断面は、図2aに示されている。断面は、方形プロファイルを示している。望ましくない断面プロファイルは、図2bに示されている。望ましくない断面は、フィーチャボトムにおけるCD(限界寸法)の増加を示す。このプロファイル欠陥は、フッティングまたはスカムと一般的に呼ばれる。
【0161】
フォトレジスト性能の別の側面は、「パターン倒れマージン」である。そのような小さなライン−スペースパターンの「崩れ(fall over)」、または倒れを防ぐか、減らしながら、極めて小さなライン−スペースパターンを得ることが可能であることが望ましい。フォトレジストに十分な接着を提供しないハードマスク組成物は、図3におけるトップダウンSEM画像に示されるように、パターン倒れをもたらすことがある。図4は、パターン倒れマージンの定量的定義を図示している。この図における数字は、「140nmピッチパターン」における溝の幅である。パターン倒れマージンが高いほど、スタンディングラインの幅は狭く、したがって、形成することができる最小寸法に関して、リソグラフィ性能が良い。
【0162】
リソグラフィックプロセス後に、スカムを伴わず、高いパターン倒れマージンを有するフォトレジストパターンを得ることが極めて望ましい。表10は、本発明実施例と比較実施例のプロファイル清浄度(スカムの欠如)を比較している。図5は、本発明実施例16が、スカムを伴わない方形プロファイルを有することを示し、一方、スカムが、図6に示されるように、比較実施例Gのプロファイルにおいて観察された。表11は、本発明実施例と比較実施例のパターン倒れマージンを比較している。この表に示されるように、本発明実施例は、良好なパターン倒れマージンを有し、一方、比較実施例は、完全なパターン倒れを有していた。
【0163】
【表10】

【0164】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記の:
A)式1:
【化1】


(式中、Raは、1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;および
B)式2:
【化2】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;および
C)式3:
【化3】


(式中、Rcは2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および
D)式4:
【化4】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4を含む第一組成物。
【請求項2】
化合物F1、F2、F3およびF4の合計重量を基準として、Si5重量パーセント以上を含む、請求項1に記載の第一組成物。
【請求項3】
化合物F2と化合物F4の合計モル量が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、40モルパーセント以上である、請求項1または請求項2に記載の第一組成物。
【請求項4】
化合物F4が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える量で存在する、前記請求項のいずれかに記載の第一組成物。
【請求項5】
化合物F1が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える量で存在する、前記請求項のいずれかに記載の第一組成物。
【請求項6】
化合物F4が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、65モルパーセント未満の量で存在する、前記請求項のいずれかに記載の第一組成物。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の第一組成物から形成されるプレポリマー。
【請求項8】
プレポリマー請求項7、および下記の:アミン含有化合物、ハライド含有化合物、塩酸塩、アンモニウム含有化合物、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む第二組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の第二組成物から形成される架橋組成物。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物から形成される少なくとも1つの層を含む膜。
【請求項12】
ポリマーを含む第三組成物から形成される第二の層をさらに含む、請求項11に記載の膜。
【請求項13】
基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:基板を準備すること、
基板上で下層を形成すること(下層は、少なくとも1つのポリマーを含む)、
下層の上に請求項1〜6のいずれかに記載の第一組成物または請求項8に記載の第二組成物を塗布すること、および
第一組成物または第二組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法。
【請求項14】
第一組成物または第二組成物の複数の層が、下層の上に塗布される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コーティングが、反射防止層である、請求項13または請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67798(P2013−67798A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−207144(P2012−207144)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】