説明

フォトリソグラフィのための組成物および反射防止コーティング

【課題】フォトリソグラフィのための組成物を提供する。
【解決手段】下記のAを含むポリマーとシランから形成されるポリマーを含む組成物。A)下記の構造単位1:


(式中、Lは、C−C結合でありであり;Mは2価の結合基、Si上に酸素含有基、ハライドから選択される基を持つ。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に全体が組み込まれている2011年9月21日出願の米国仮出願第61/537,097号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、マイクロ電子応用において使用するための組成物、特に、反射防止コーティング組成物(例えば、「BARC」)に関する。マイクロ電子産業では、フォトレジストポリマーに対する改善された接着を有するような組成物が継続的に必要である。
【背景技術】
【0003】
国際出願公開第WO2005/056682号は、ケイ素ポリマーおよび有機ポリマーを含有するエマルジョン組成物を開示している。有機ポリマーは、アクリル酸エステル、メチルアクリレート、フッ素化アクリレート、フッ素化メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、ビニル芳香族化合物、モノカルボン酸のビニルエステル、またはビニルピロリドンなどの1つまたは複数のエチレン性不飽和有機モノマーのフリーラジカル重合により形成される。
【0004】
WO2009/095521は、シルセスキオキサン分子当たり可変(1から12)数の重合性二重結合を有するモノマーを使用する、コポリマーへのシルセスキオキサンの組み入れを開示している。線状架橋コポリマーは、優れた光学特性および高いレベルの光安定性を有するとして開示されている。
【0005】
日本特許文献特開2004−309560は、トリアルキルシリル構造またはトリアルコキシシリル構造を有するポリマー、および架橋剤を含有する、リソグラフィ用の反射防止膜を開示している。
【0006】
日本特許文献特開平04−214385は、感光材料のための包装材料としての遮光性膜を開示している。膜は、(A)「2.0〜3.0g/10分」のメルトフローレート、および「0.910〜0.920g/cm」の密度を有する直鎖の低密度PE55〜65重量部;(B)「0.03〜0.05g/10分」のメルトフローレート、および「0.940〜0.956g/cm」の密度を有する高密度PE35〜45重量部;ならびに(C)カーボンブラック2〜10重量部からなるブレンドを含む。
【0007】
日本特許文献特開2004−354547は、優れた光学特徴、耐熱性および成形性を有するとして開示されている材料を開示している。材料は、「はしご型」ポリシルセスキオキサンを含む。
【0008】
米国特許第7855043号は、下記の:(A−1)酸触媒の存在下での加水分解性ケイ素化合物の加水分解縮合により得られるケイ素含有化合物、(A−2)塩基性触媒の存在下での加水分解性ケイ素化合物の加水分解縮合により得られるケイ素含有化合物、(B)リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムもしくはセシウム、またはスルホニウム、ヨードニウムもしくはアンモニウム化合物の水酸化物もしくは有機酸塩、(C)有機酸、および(D)有機溶媒を含む熱硬化性組成物から形成されるケイ素含有膜を開示している。ケイ素含有膜は、覆っているフォトレジスト膜の効果的なパターニングを可能にするとして開示されている。
【0009】
米国特許第7875417号は、下記の:(A−1)酸触媒の存在下での加水分解性ケイ素化合物の加水分解縮合を通して得られるケイ素含有化合物、(A−2)塩基触媒の存在下での加水分解性ケイ素化合物の加水分解縮合を通して得られるケイ素含有化合物、(B)Li、Na、K、RbもしくはCe、またはスルホニウム、ヨードニウムもしくはアンモニウム化合物の水酸化物もしくは有機酸塩、(C)有機酸、(D)環式エーテル置換アルコール、および(E)有機溶媒を含む熱硬化性組成物から形成されるケイ素含有膜を開示している。ケイ素含有膜は、基板上の効果的なパターン形成、フォトレジストパターンの効果的な転写、および基板の正確なプロセシングを確保するとして開示されている。
【0010】
米国特許第7868407号は、少なくとも有機膜、有機膜を覆う反射防止シリコーン樹脂膜、および反射防止シリコーン樹脂膜を覆うフォトレジスト膜を含む基板を開示している。反射防止シリコーン樹脂膜は、下部シリコーン樹脂膜および下部シリコーン樹脂膜より低いケイ素含有量を有する上部シリコーン樹脂膜を包含する。
【0011】
反射防止膜のための追加の組成物および/または他の電子応用は、下記の文献に開示されている:米国特許第5621034号、第6268457号、第6824879号、第7385021号、第7417104号、第7485690号および第7655377号;米国出願公開第2004/0253461号、第2005/0277756号、第2005/0277755号、第2005/0277058号、第2005/0274692号、第2005/0148380号、第2007/0238300号、第2007/0298349号、第2007/0298349号、第2007/0185298号、第2009/0148789号、第2010/0086872号、第2010/0285407号および米国出願公開第2010/0210765号;EP1845132A2;EP1614151B1;WO2007/148223;WO2009/088600;ならびにRaoら、Molecular Composites Comprising TiO2and Their Optical Properties、Macromolecules、2008、41、4838-4844頁。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2005/056682
【特許文献2】WO2009/095521
【特許文献3】特開2004−309560
【特許文献4】特開平04−214385
【特許文献5】特開2004−354547
【特許文献6】米国特許第7855043号
【特許文献7】米国特許第7875417号
【特許文献8】米国特許第7868407号
【特許文献9】米国特許第5621034号
【特許文献10】米国特許第6268457号
【特許文献11】米国特許第6824879号
【特許文献12】米国特許第7385021号
【特許文献13】米国特許第7417104号
【特許文献14】米国特許第7485690号
【特許文献15】米国特許第7655377号
【特許文献16】米国出願公開第2004/0253461号
【特許文献17】米国出願公開第2005/0277756号
【特許文献18】米国出願公開第2005/0277755号
【特許文献19】米国出願公開第2005/0277058号
【特許文献20】米国出願公開第2005/0274692号
【特許文献21】米国出願公開第2005/0148380号
【特許文献22】米国出願公開第2007/0238300号
【特許文献23】米国出願公開第2007/0298349号
【特許文献24】米国出願公開第2007/0185298号
【特許文献25】米国出願公開第2009/0148789号
【特許文献26】米国出願公開第2010/0086872号
【特許文献27】米国出願公開第2010/0285407号
【特許文献28】米国出願公開第2010/0210765号
【特許文献29】EP1845132A2
【特許文献30】EP1614151B1
【特許文献31】WO2007/148223
【特許文献32】WO2009/088600
【特許文献33】米国特許出願公開第2007/0238052号
【特許文献34】米国特許第6,042,997号
【特許文献35】米国特許第5,492,793号
【特許文献36】米国特許第5,929,176号
【特許文献37】米国特許第6,090,526号
【特許文献38】米国特許第5,843,624号
【特許文献39】米国特許第6,048,664号
【特許文献40】米国特許第6,057,083号
【特許文献41】欧州出願公開第01008913号
【特許文献42】欧州出願公開第00930542号
【特許文献43】米国特許第6,048,662号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Raoら、Molecular Composites Comprising TiO2 and Their Optical Properties、Macromolecules、2008、41、4838-4844頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
議論されているように、反射防止層組成物として使用するための、およびフォトレジストポリマーに対する改善された接着を有する組成物が依然として必要である。スピンコーティングプロセスを使用して反射防止層に形成することができる対費用効果の高い組成物がさらに必要である。これらの必要性および他の必要性は、下記の発明により満たされることになった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、少なくとも下記のAおよびB:
A)下記の構造単位1:
【0016】
【化1】


(式中、
Lは、CX−CYZ(式中、X、Y、およびZは、各々独立して、水素、アルキル、または置換アルキルから選択される)であり;
Mは、アルキレン、アリーレン、置換アルキレン、置換アリーレン、またはC(O)O−W−(式中、Wは、アルキレンまたは置換アルキレンである)であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、またはO、N、S、またはSi原子のうちの1つまたは複数を含む置換炭化水素から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、アルコキシル、アリールオキシル、ヒドロキシル、ハライド、カルボキシル、またはカーボネートから選択され;
pは、1から10,000までの整数である)を含み、
ただし、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)構造を含まないポリマー;および
B)下記:
a)式1:
【0017】
【化2】


(式中、Raは、1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置(conjugated configuration)にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;
b)式2:
【0018】
【化3】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;
c)式3:
【0019】
【化4】


(式中、Rcは、2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および/または
d)式4
【0020】
【化5】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4のうちの少なくとも1つを含む第一組成物から形成されるポリマーを含む組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】シリコンウェハ上の三層膜構造の概略図を描いている。
【図2】完全なパターン倒れ(pattern collapse)を図示しているリソグラフィプロセス後のウェハ表面の「トップダウン」SEM画像を描いている。
【図3】パターン倒れマージンを図示しているリソグラフィプロセス後のウェハ表面の「トップダウン」SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上で議論されているように、本発明は、少なくとも下記のAおよびB:
A)下記の構造単位1:
【0023】
【化6】


(式中、
Lは、CX−CYZ(式中、X、Y、およびZは、各々独立して、水素、アルキル、または置換アルキルから選択される)であり;
Mは、アルキレン、アリーレン、置換アルキレン、置換アリーレン、またはC(O)O−W−(式中、Wは、アルキレンまたは置換アルキレンである)であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、またはO、N、S、またはSi原子のうちの1つまたは複数を含む置換炭化水素から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、アルコキシル、アリールオキシル、ヒドロキシル、ハライド、カルボキシル、またはカーボネートから選択され;
pは、1から10,000までの整数である)を含み、
ただし、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)構造を含まないポリマー;および
B)下記:
a)式1
【0024】
【化7】


(式中、Raは、1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;
R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;
b)式2
【0025】
【化8】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;
c)式3
【0026】
【化9】


(式中、Rcは、2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および/または
d)式4
【0027】
【化10】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4のうちの少なくとも1つを含む第一組成物から形成されるポリマーを含む組成物を提供する。
【0028】
本発明組成物は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0029】
一実施形態において、成分Bのポリマーは、a)、b)、c)およびd)を含む第一組成物から形成される。
【0030】
一実施形態において、成分Bのポリマーは、下記の:a)、b)およびc);またはc)およびd);またはb)、c)およびd)を含む第一組成物から形成される。
【0031】
一実施形態において、成分Bのポリマーは、下記の:a)およびb);またはa)およびc);またはa)およびd);またはb)およびc);またはb)およびd);またはc)およびd)を含む第一組成物から形成される。
【0032】
一実施形態において、成分Bのポリマーは、下記の:a);またはb);またはc);またはd)を含む第一組成物から形成される。
【0033】
一実施形態において、構造単位(1)において、X、Y、およびZは、各々独立して、水素またはC1〜C10アルキル基、またはC1〜C6アルキル基、またはC1〜C3アルキル基から選択される。
【0034】
一実施形態において、構造単位(1)において、Mは、C1〜C10アルキレン、C1〜C10アリーレン、またはC(O)O−W−であり、Wは、C1〜C10アルキレン基である。
【0035】
一実施形態において、構造単位(1)において、R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、C1〜C10脂肪族炭化水素、C1〜C10芳香族炭化水素、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、C1〜C10脂肪族炭化水素、またはC1〜C10芳香族炭化水素である)から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)ORである。
【0036】
一実施形態において、構造単位(1)において、X、Y、およびZは、各々独立して、水素、またはC1〜C10アルキル基から選択され;
Mは、C1〜C10アルキレン、C1〜C10アリーレン、またはC(O)O−W−であり、Wは、C1〜C10アルキレン基であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、C1〜C10脂肪族炭化水素、C1〜C10芳香族炭化水素、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、C1〜C10脂肪族炭化水素、またはC1〜C10芳香族炭化水素である)から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)ORであり;
pは、10から1000までの整数である。
【0037】
一実施形態において、構造単位(1)において、X、Y、およびZは、各々独立して、水素またはメチル基から選択され;
Mは、フェニレンまたはC(O)O−W−であり、Wは、C1〜C4アルキレン基であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルである)から選択され;
pは、10から500までの整数である。
【0038】
一実施形態において、構造単位(1)は、下記の構造:
【0039】
【化11】


(式中、Tは、Hまたはメチルであり;Rは、メチルまたはエチルであり;nは、1から3までの整数であり;pは、10から500までの整数である)を有する。
【0040】
一実施形態において、構造単位(1)は、重合した「3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン」ユニットである。
【0041】
一実施形態において、組成物Aのポリマーは、ポリ(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)である。
【0042】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、約10,000から約100,000までのMwを有する。
【0043】
成分Aのポリマー(ポリマーA)は、本明細書に記載されているような2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0044】
一実施形態において、第一組成物は、F1、F2、F3およびF4を含み、化合物F1、F2、F3およびF4の合計重量を基準として、Si5重量パーセント以上、Si10重量パーセント以上、またはSi15重量パーセント以上を含む。
【0045】
一実施形態において、第一組成物は、F1、F2、F3およびF4を含み、化合物F2と化合物F4の合計モル量は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、40モルパーセント以上である。
【0046】
一実施形態において、第一組成物は、F1、F2、F3およびF4を含み、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える量で存在する。
【0047】
一実施形態において、第一組成物は、F1、F2、F3およびF4を含み、F1/F4のモル比は、1/20から1/1まで、または1/15から1/1まで、または1/10から1/1までである。
【0048】
一実施形態において、第一組成物は、F1、F2、F3およびF4を含み、F1は、5から50重量パーセントまで、または10から30重量パーセントまでの範囲であり;F2は、5から50重量パーセントまで、または10から40重量パーセントまでの範囲であり;F3は、2から20重量パーセントまで、または2から10重量パーセントまでの範囲であり;F4は、20から80重量パーセントまで、または30から80重量パーセントまでの範囲である。各重量パーセンテージは、第一組成物の重量を基準とする。
【0049】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F1は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10から90モルパーセントまで、さらに15から90モルパーセントまで、さらに20から90モルパーセントまで、さらに25から90モルパーセントまでの量で存在する。
【0050】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F1は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える、さらに12モルパーセントを超える量で存在する。
【0051】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10から65モルパーセントまで、さらに10から60モルパーセントまで、さらに10から55モルパーセントまで、さらに10から50モルパーセントまでの量で存在する。
【0052】
一実施形態において、第一組成物について、化合物F4は、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、65モルパーセント未満の、さらに60モルパーセント未満の量で存在する。
【0053】
第一組成物は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0054】
本発明組成物は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0055】
本発明は、本発明組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0056】
本発明は、本発明組成物から形成される少なくとも1つの層を含む膜も提供する。
【0057】
一実施形態において、膜は、ポリマーを含む第二組成物から形成される第二層をさらに含む。
【0058】
本発明は、少なくとも2つの層を含む膜も提供し、少なくとも1つの層は、本発明組成物から形成される反射防止層である。さらなる実施形態において、他の層は、フォトレジスト層である。
【0059】
本発明物品は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0060】
本発明膜は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0061】
本発明は、基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:
基板を準備すること、
基板上で下層を形成すること(下層は、少なくとも1つのポリマーを含む)、
下層の上に本発明組成物を塗布すること、および
組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法も提供する。
【0062】
さらなる実施形態において、方法は、コーティングの上に、少なくとも1つのフォトレジストポリマーを含む少なくとも1つの組成物を塗布することを含む。
【0063】
一実施形態において、組成物の複数の層は、下層の上に塗布される。
【0064】
一実施形態において、コーティングは、反射防止層である。
【0065】
本発明は、基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:
基板を準備すること、
基板の少なくとも一部の上に、または前記基板の上に塗布された1つまたは複数の中間層の上にコーティングとして本発明組成物を塗布すること、および
組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法も提供する。
【0066】
さらなる実施形態において、方法は、コーティングの上に、少なくとも1つのフォトレジストポリマーを含む少なくとも1つの組成物を塗布することを含む。
【0067】
一実施形態において、組成物の複数の層は、基板の少なくとも一部の上に、または前記基板の上に塗布された1つまたは複数の中間層の上に塗布される。
【0068】
一実施形態において、コーティングは、反射防止層である。
【0069】
本発明方法は、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0070】
本発明組成物は、フォトレジストポリマーとの強い相互作用を形成することが発見された。本発明組成物は、シリコンウェハ上での、コーティング、例えば、二層または三層コーティングの形成において接着促進性組成物として使用することができることも発見された。
【0071】
成分Aのポリマー
成分Aのポリマーは、下記の構造単位1:
【0072】
【化12】


(式中、
Lは、CX−CYZ(式中、X、Y、およびZは、各々独立して、水素、アルキル、または置換アルキルから選択される)であり;
Mは、アルキレン、アリーレン、置換アルキレン、置換アリーレン、またはC(O)O−W−(式中、Wは、アルキレンまたは置換アルキレンである)であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、またはO、N、S、またはSi原子のうちの1つまたは複数を含む置換炭化水素から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、アルコキシル、アリールオキシル、ヒドロキシル、ハライド、カルボキシル、またはカーボネートから選択され;
pは、1から10,000までの整数である)を含み、
ただし、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)構造を含まない。
【0073】
多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)構造は、2つの異なる視点から下に示されている。POSS構造において、R基は、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであってよい。POSS構造は、「R」基のうちの1つを通じてポリマーと接続することができる。しかしながら、成分Aのポリマーは、POSS構造を含んでいない。
【0074】
【化13】

【0075】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、ホモポリマーである。
【0076】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、インターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーは、重合した形態で、アクリレート(例えば、アクリレートまたはメタクリレート)、ビニル(例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン)、環式ラクトン、またはそれらの組合せから選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。さらなる実施形態において、コモノマーは、インターポリマー中の重合したモノマーの合計モルを基準として、2から15モルパーセントまで、または5〜10モルパーセントの量で存在する。
【0077】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、コポリマーである。さらなる実施形態において、コポリマーは、重合した形態で、アクリレート(例えば、アクリレートまたはメタクリレート)、ビニル(例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン)、または環式ラクトンから選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。さらなる実施形態において、コモノマーは、コポリマー中の重合したモノマーの合計モルを基準として、2から15モルパーセントまで、または5〜10モルパーセントの量で存在する。
【0078】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、重合した形態で、下記の構造単位:
【0079】
【化14】


を含むホモポリマーである。
【0080】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、重合した形態で、下記の構造単位:
【0081】
【化15】


を含むインターポリマーである。
【0082】
さらなる実施形態において、インターポリマーは、重合した形態で、アクリレート(例えば、アクリレートまたはメタクリレート)、ビニル(例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン)、環式ラクトン、またはそれらの組合せから選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。さらなる実施形態において、コモノマーは、インターポリマー中の重合したモノマーの合計モルを基準として、2から15モルパーセントまで、または5〜10モルパーセントの量で存在する。
【0083】
一実施形態において、成分Aのポリマーは、重合した形態で、下記の構造単位:
【0084】
【化16】


を含むコポリマーである。
【0085】
さらなる実施形態において、コポリマーは、重合した形態で、アクリレート(例えば、アクリレートまたはメタクリレート)、ビニル(例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン)、または環式ラクトンから選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。さらなる実施形態において、コモノマーは、コポリマー中の重合したモノマーの合計モルを基準として、2から15モルパーセントまで、または5〜10モルパーセントの量で存在する。
【0086】
成分Aのポリマーは、本明細書に記載されているような2つ以上の実施形態の組合せを含むことがある。
【0087】
化合物F1〜F4
化合物F1、F2、F3およびF4は、下に記載されている。
【0088】
a)化合物F1は、式1:
【0089】
【化17】


(式中、Raは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0090】
一実施形態において、Raは、アルケニル基、アルキニル基、イミド、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、またはカーボネートのうちの1つまたは複数を含み、2から10個までの炭素原子を含み;R1、R2、およびR3は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。
【0091】
一実施形態において、Raは、アルケニル基、アルキニル基、イミド、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、またはカーボネートのうちの1つまたは複数を含み、2から10個までの炭素原子を含み;R1、R2、およびR3は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルである)から選択される。
【0092】
一実施形態において、Raは、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、アセトキシル、シアノエチル、アセトエチル、またはアセトアミドプロピルから選択され;R1、R2、およびR3は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0093】
一実施形態において、化合物F1は、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランから選択される。
【0094】
【化18】

【0095】
b)化合物F2は、式2:
【0096】
【化19】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0097】
一実施形態において、Rbは、置換C〜C10環式アルキル、置換C〜C10非環式アルキル、置換C〜C10環式アルキレン、置換C〜C10非環式アルキレン、置換C〜C10環式アルキリデン、置換C〜C10非環式アルキリデン、もしくはH;または非置換のC〜C10環式アルキル、非置換のC〜C10非環式アルキル、非置換のC〜C10環式アルキレン、非置換のC〜C10非環式アルキレン、非置換のC〜C10環式アルキリデン、もしくは非置換のC〜C10非環式アルキリデンを含む飽和基であり;
R4、R5、およびR6は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0098】
一実施形態において、Rbは、非置換C〜C10環式アルキル、非置換C〜C10非環式アルキル、非置換C〜C10環式アルキレン、非置換C〜C10非環式アルキレン、非置換C〜C10環式アルキリデン、非置換C〜C10非環式アルキリデン、もしくはHを含む飽和基であり;
R4、R5、およびR6は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0099】
一実施形態において、Rbは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択され;R4、R5、およびR6は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0100】
一実施形態において、化合物F2は、メチルトリメトキシシランまたはメチルトリエトキシシランから選択される。
【0101】
【化20】

【0102】

c)化合物F3は、式3:
【0103】
【化21】


(式中、Rcは、C=C、C≡C、C=O、C=N、およびC≡Nを包含する2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0104】
一実施形態において、Rcは、アリールもしくは置換アリール、共役ジエンもしくは共役トリエン、共役ジケトン、共役ケト−エステル、α、β−不飽和エステル、α、β−不飽和ケトン、アルケンと共役しているニトリル、ケトンと共役しているニトリル、エステルと共役しているニトリル、アルケンと共役しているアルキン、ケトンと共役しているアルキン、またはエステルと共役しているアルキンを含み;
R7、R8、およびR9は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0105】
一実施形態において、Rcは、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、フルオレン基、ピリジン基、キノリン基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基、カルバゾール基、フラン基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、アクリロキシル基、アクリルアミド基、メタクリロキシル基、またはメタクリルアミド基を含み;
R7、R8、およびR9は、各々OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0106】
一実施形態において、化合物F3は、フェニルトリメトキシシランまたはフェニルトリエトキシシランから選択される。
【0107】
【化22】

【0108】
d)化合物F4は、式4:
【0109】
【化23】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、アルキルである。
【0110】
一実施形態において、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、OH、OR、またはOC(O)R(式中、Rは、C〜C10アルキルまたはC〜C10置換アルキルである)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、C〜C10アルキルである。
【0111】
一実施形態において、R10、R11、R12、およびR13は、OR(式中、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルから選択される)である。
【0112】
一実施形態において、化合物F4は、オルトケイ酸テトラメチルまたはオルトケイ酸テトラエチルから選択される。
【0113】
【化24】

【0114】
三層コーティング
三層コーティング、例えば、三層レジストは、典型的には、(a)基板上の硬化性下層組成物;(b)硬化性組成物の上に塗布されるハードマスク組成物(例えば、本明細書に記載されている本発明組成物から形成されるハードマスク層);および(c)ハードマスク組成物の上に塗布されるフォトレジスト組成物層を含む。基板は、フォトレジストが関わるプロセスにおいて使用されるいかなる基板も適している。例えば、基板は、ケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロ電子ウェハであってよい。ヒ化ガリウム、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅基板も用いられることがある。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途用の基板、例えば、ガラス基板、インジウムスズ酸化物でコーティングされた基板なども適当に用いられる。光デバイスおよび光−電子デバイス(例えば、導波管)用の基板も用いることができる。コーティング組成物およびリソグラフィックプロセスは、各々が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2007/0238052号および米国特許出願公開第2009/0148789号に記載されている。
【0115】
様々なフォトレジストは、本発明の本発明コーティング組成物と組合せて(すなわち、オーバーコーティングされて)使用されることがある。好ましいフォトレジストは、化学増幅レジスト、特に、1つまたは複数の光酸発生剤化合物および光酸に不安定なエステル、アセタール、ケタールまたは他のユニットなどの、光発生した酸の存在下でデブロッキング反応または切断反応を受けるユニットを含有する樹脂成分を含有するポジティブ作用性フォトレジストまたはネガティブ作用性フォトレジストを包含する。
【0116】
活性化照射への露光で架橋する(すなわち、硬化(cure)または硬化(harden)する)レジストなどのネガティブ作用性フォトレジストも、本発明のコーティング組成物と共に用いることができる。本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、比較的短い波長照射、例えば、約248nmなどの300nm未満、もしくは260nm未満の波長を有する照射、または193nmなどの約200nm未満の波長を有する照射で撮像されることがある。
【0117】
適当なフォトレジストは、撮像に有効な量の光酸発生剤化合物および1つまたは複数の樹脂を含有する。適当な樹脂は、i)酸に不安定な基を含有するフェノール性樹脂(例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号を参照);ii)米国特許第6,042,997号に記載されているポリマーなどの、ビニルフェノール、ヒドロキシル環置換基もカルボキシル環置換基も含有しない置換されていてもよいビニルフェニル(例えば、スチレン)、および上のポリマーi)で記載されているデブロッキング基などのアルキルアクリレートの重合したユニットを含有するポリマー;およびiii)光酸と反応するはずのアセタールまたはケタール部分を含む反復ユニットと、任意選択で、フェニル基またはフェノール性基などの芳香族反復ユニットを含有するポリマー(そのようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されてきた)を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0118】
追加の樹脂は、フェニル基も他の芳香族基も実質的にも完全にも含まず、193nmなどの200nm以下の波長において撮像するのに特に適している化学増幅レジストを提供することができる樹脂を包含する。このクラスの好ましい樹脂は、i)米国特許第5,843,624号、および第6,048,664号に記載されているポリマーなどの、置換されていてもよいノルボルネンなどの非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)の重合したユニットを含有するポリマー;ii)例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、ならびに他の非環式アルキルアクリレートおよび脂環式アクリレートなどのアルキルアクリレートユニットを含有するポリマー(そのようなポリマーは、米国特許第6,057,083号;欧州出願公開第01008913号および第00930542号に記載されてきた)、ならびにiii)欧州出願公開第01008913号および米国特許第6,048,662号に開示されているような、重合した無水物ユニット、特に、重合した無水マレイン酸および/または無水イタコン酸ユニットを含有するポリマーを包含する。
【0119】
他の樹脂は、ヘテロ原子、特に、酸素および/または硫黄を含有する反復ユニット(しかし、無水物以外の、すなわち、カルボニル環原子を含有しないユニット)を含有し、いかなる芳香族ユニットも実質的にまたは完全に含まないことが好ましい樹脂を包含する。ヘテロ脂環式ユニットは、樹脂主鎖と縮合していることが好ましく、樹脂は、ノルボレン基および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような無水物ユニットの重合により提供されるような縮合した炭素脂環式ユニットを含む場合がさらに好ましい。また、フッ素置換を含有する樹脂(フルオロポリマー)は、例えば、テトラフルオロエチレン、フルオロスチレン化合物などのフッ素化芳香族基などの重合により提供されることがある。
【0120】
定義
「組成物」という用語は、本明細書で使用されているように、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物の混合物を包含する。
【0121】
「ポリマー」という用語は、本明細書で使用されているように、同じタイプか異なるタイプかにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般用語は、ホモポリマーという用語(痕跡量の不純物が、ポリマー構造中に組み入れられることがあるという理解の上で、たった1つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)および本明細書で後に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。
【0122】
「インターポリマー」という用語は、本明細書で使用されているように、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般用語は、コポリマー(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを包含する。
【0123】
本明細書で使用されているような「多重結合」という用語は、二重結合かまたは三重結合を指すことがある。
【0124】
本明細書で使用されているような「共役配置」という用語は、2つの多重結合が、1つの単結合により隔てられ、交互パターン(例えば、「二重結合−単結合−二重結合」または「三重結合−単結合−二重結合」または「二重結合−単結合−三重結合」)を形成する、化合物中で生じる多重結合の配置を指す。共役配置において、多重結合は、独立して、二重結合または三重結合であってよい。2つ以上の交互パターンは、結合の共役配置を伴う化合物中に存在することがある。共役結合を伴う化合物の例は、ベンゼン、1,4−ブタジエン、フラン、アクリロニトリル、およびアクリル酸である。
【0125】
【化25】

【0126】
本明細書で使用されているような「アミン含有化合物」という用語は、少なくとも1つ、好ましくは、1つのアミン基(例えば、一級、二級または三級アミン(NHまたはNHまたはN))を含有する有機化合物を指す。
【0127】
「ハライド含有化合物」という用語は、本明細書で使用されているように、少なくとも1つ、好ましくは、1つのハライド基(例えば、Cl、Br、F、好ましくは、Cl)を含有する有機化合物を指す。
【0128】
「含む」、「包含する」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、いかなる追加の成分、ステップおよび手順の存在も排除するように意図されていない。いかなる疑念も避けるため、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、それとは反対の記述がない限り、ポリマーかそれ以外のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバントおよび化合物も包含することがある。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に不可欠ではないものを除いて、いかなる他の成分、ステップ、および手順も、いかなる後続の詳述の範囲からも排除する。「からなる」という用語は、具体的に描写されても列挙されてもいないいかなる成分、ステップ、および手順も排除する。
【0129】
試験方法
GPC
ポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)とも呼ばれるゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により決定した。装置に、適切な較正標準を基準として、約500g/モルから約1,000,000g/モルの範囲で分子量を測定するのに適している一組のカラムを取り付けた。連続して設置された一組のThomson Instrument Co.から入手可能な8mm径×300mm長の3本のカラム、SHODEX KF−801、KF−802.5、およびKF−803が特に有効であった。移動相は、テトラヒドロフランとし、1.2mL/分の速度にてポンプ注入した。装置に、屈折率検出器も取り付けた。較正は、ポリマーAについてはポリ(メタクリル酸メチル)標準品を、ポリマーBについてはポリスチレン標準品を使用して行った。両タイプの標準品は、Polymer Standards Service GmbH、Mainz、Germanyから入手可能である。Mn、Mw、およびMWDは、Agilent Technologies,Inc.から入手可能なChemStationソフトウェア用の「GPC−アドオン」を使用して計算した。
【0130】
SEM
トップダウン画像と横断画像は共に、Hitachi CG4000 SEM(Hitachi High Technologies America,Inc)で測定した。トップダウン測定は、撮像ウェハ全体で行われる。横断面は、関心のある特徴を通してウェハを切断し、金かまたはイリジウムの薄層でウェハ切片をスパッタコーティングすることにより得られる。
【0131】
実験の部
本発明において使用される材料は、商用ソースから入手し、受領したまま使用する。略語および原材料ソースは、以下の通りである:
VTMS:ビニルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)、
MTMS:メチルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)、
PTMS:フェニルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)、
TEOS:オルトケイ酸テトラエチル(Sigma Aldrich、Dow Corning)、
APTMS:3−(アクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich、Dow Corning)、
OTDA:
9−(4−オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカン−3−オン)アクリレート(下記参照)、
【0132】
【化26】


HADA:メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(下記参照)、
【0133】
【化27】


THEIC:Aldrichからのイソシアヌル酸トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル](下記参照)、
【0134】
【化28】


PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DOWANOL PMA、The Dow Chemical Company)、
BTEAC:塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(Sigma Aldrich)、および
3N水性酢酸溶液は、研究室で調製した。氷酢酸は、JT Bakerより供給された。
【0135】
ポリマー1、APTMSのホモポリマー(ポリマーA)の合成
最初に、APTMS30グラムを、PGMEA30グラムに加え、モノマー溶液を形成させた。別個に、開始剤、V601(Waco Chemical)1.5グラムを、PGMEA6グラムに加え、開始剤溶液を形成させた。次に、開始剤溶液の2/3を、反応フラスコに装入し、10分にわたって脱気した。浴温を、80℃に設定した。モノマー溶液を、1時間かけて反応フラスコにゆっくりと(ポンプまたは添加漏斗を使用して)加えた。モノマーの添加が終了した後、反応物を、3時間にわたって80℃に保った。次いで、残りの開始剤溶液をゆっくりと加え、反応を、さらに1時間にわたって続けた。反応が終わったら、PGMEA「21グラム」を、反応フラスコに加え、室温まで冷却させ、「ポリマー1溶液」(ポリマーA溶液)を形成させた。分子量を、従来のGPCにより測定すると、ポリ(メタクリル酸メチル)標準品を基準として、Mnは、6139g/mol、Mwは、21180g/mol、MWDは、3.45であった。
【0136】
ポリマー2、APTMS/OTDA/HADA(80/10/10)のコポリマー(ポリマーA)の合成
最初に、APTMS48.5グラム、OTDA5.75グラムおよびHADAモノマー5.75グラムを、PGMEA72.25グラムに加え、モノマー溶液を形成させた。別個に、開始剤、V601(Waco Chemical)3グラムを、PGMEA15グラムに加え、開始剤溶液を形成させた。次に、開始剤溶液の2/3を、反応フラスコに装入し、10分にわたって脱気した。浴温を、80℃に設定した。モノマー溶液を、1時間かけて反応フラスコにゆっくりと(ポンプまたは添加漏斗を使用して)加えた。モノマーの添加が終了した後、反応物を、3時間にわたって80℃に保った。次いで、残りの開始剤溶液をゆっくりと加え、反応を、さらに1時間にわたって続けた。反応が終わったら、PGMEA67.75グラムを、反応フラスコに加え、室温まで冷却させ、「ポリマー2溶液」を形成させた。分子量を、従来のGPCにより測定した。分子量を、従来のGPCにより測定すると、Mnは、7099g/mol、Mwは、30283g/mol、MWDは、4.27であった。
【0137】
ポリマー3、APTMS/THEIC(90/10)のコポリマー(ポリマーA)の合成
最初に、APTMS33.31グラム、およびTHEIC6.69グラムを、シクロヘキサノン85.33グラムに加え、モノマー溶液を形成させた。別個に、開始剤、V601(Waco Chemical)2グラムを、シクロヘキサノン10グラムに加え、開始剤溶液を形成させた。次に、開始剤溶液の2/3を、反応フラスコに装入し、10分にわたって脱気した。浴温を、80℃に設定した。モノマー溶液を、1時間かけて反応フラスコにゆっくりと(ポンプまたは添加漏斗を使用して)加えた。モノマーの添加が終了した後、反応物を、3時間にわたって80℃に保った。次いで、残りの開始剤溶液をゆっくりと加え、反応を、さらに1時間にわたって続けた。反応が終わったら、シクロヘキサノン34.67グラムを、反応フラスコに加え、室温まで冷却させ、「ポリマー3溶液」を形成させた。分子量を、従来のGPCにより測定すると、Mnは、9887g/mol、Mwは、43986g/mol、MWDは、4.45であった。
【0138】
ポリマーBの合成
反応は、短経路蒸留カラムおよび回収フラスコおよび撹拌棒を取り付けた250mlの三つ口丸底フラスコ中で実行した。反応温度は、OMEGA Engineering Temperature Recorder DP470を使用してモニターした。熱は、油浴を使用して印加した。メチルトリメトキシシラン(17.49g)、フェニルトリメトキシシラン(8.82g)、ビニルトリメトキシシラン(10.96g)、およびオルトケイ酸テトラエチル(51.36g)を秤量し、PGMEA82g中で予混合した。酢酸(3N、34.1g)を、フラスコに加え、撹拌を開始した。モノマー溶液を、シリンジポンプを使用して反応フラスコにゆっくりと加えた。モノマー添加の開始から1時間で、油浴温を、100℃に設定した。反応物を、3時間にわたって100℃に保ち、その後、浴温を、110℃まで上げ、反応温度が90℃に達するまで保ち、その時点で、加熱浴を取り外し、ポリマー溶液を冷却させた。PGMEAの第二アリコートを加え、ポリマー溶液をおおよそ20wt%固体に調整した。ポリマー溶液の固体含有量は、1時間にわたって145℃にてオーブン中でポリマー溶液を加熱することにより決定した。
【0139】
コーティング溶液の形成:組成物
代表的手順
ポリマー2溶液(ポリマーA)を、PGMEA中で1wt%固体まで希釈した。その後、ポリマーB溶液とポリマーA溶液を、表1に従って混合し、異なるコーティング溶液を形成させた。下記は、特に規定のない限り、コーティング溶液を調製するために使用される一般手順であった。マロン酸を、全固体に対して1wt%にて、コーティング溶液に加え、全固体に対してBTEAC0.1wt%を、コーティング溶液に加え、最後に、PGMEAを加え、製剤を2wt%全固体にバランスをとった。市販の有機BARC製品、AR26N(The Dow Chemicalから入手可能)を、比較溶液コーティングとして修正することなく使用した。
【0140】
【表1】

【0141】
単層コーティングの形成(本発明組成物)
クリーンルーム環境(約72゜F、約50%RH、クラス100)において、WaferNet Inc.からのプライマー処理されていない「200mm」径シリコンウェハを、基板として使用した。Siウェハ上に、組成物(表1に記載されているような、マロン酸、BTEACおよびPGMEAを加えて)を手で施し、Tokyo Electron(TEL)ACT−8コートトラック上で35nm(THERMA−WAVE分光エリプソメーターで測定されるように)の公称膜厚までスピンコーティングした。コーティングを、60秒にわたって240℃にてソフトベークし、SiARCコーティングを形成させた。
【0142】
光学特性(193nmにおけるn、k)および膜厚の測定
光学特性および単層コーティングの厚さは、WOOLAM VUV−VASE VU−302エリプソメーター(Woolam、NE)を使用して測定した。偏光データを、170nmから900nmまでの波長範囲にわたって3つの角度にて集めた。データは、自動的に生成され、コーティングの厚さおよび193nmにおける屈折率(n、k)(ここで、nは、複素屈折率の実数部であり、kは、複素屈折率の虚数部である)が得られた。結果は表2に示されている。
【0143】
水接触角の測定
単層コーティングを、上で議論されているように、コーティングの1時間以内に「受領したまま」分析した。DATAPHYSICS Instruments GmbH、OCA20型ゴニオメーターを、すべての接触角測定のために使用した。脱イオン水を、試験液として使用した。1マイクロリットルの液滴を、各接触角決定のために使用した。液滴を、単層コーティングの表面上に施した後、ゴニオメーターニードルを、付着した液滴を残して引き抜いた。液滴運動を、3フレーム/秒の最小速度にて、ゴニオメーターカメラを使用し、(各測定について)少なくとも10秒にわたって記録した。ニードルが、視野から完全に移動し、液滴運動が存在しなくなった時に、最初の液滴画像を使用し、接触角を決定した。接触角は、OCAソフトウェア中の円形モデルを使用して評価した。少なくとも3回の測定を、ステージの線形変換を使用し、各液滴をおおよそ0.5〜0.75cmだけ隔置し、単層コーティング全体に行った(単層コーティング毎に3滴)。接触角測定に典型的な標準偏差は、典型的には、0.2度であるが、0.1度未満であることが好ましい。結果は、表2に示されている(CAは、「接触角」を指す)。
【0144】
耐溶媒性の測定
耐溶媒性を、下記の手順を使用して評価した。最初に、単層膜の初期膜厚を、THERMA−WAVEで測定した。次いで、コーティングを、Tokyo Electron(TEL)ACT−8コートトラックを使用して塗布した。PGMEAを、ウェハ上に施し、90秒にわたって保った。その後、ウェハを、3000rpmにて30秒にわたってスピン乾燥し、110℃/60秒にてベークした。乾燥したコーティングの厚さを、上で議論されているように、THERMA−WAVEで測定した。耐溶媒性は、厚さの変化の割合により特徴付けられた。
【0145】
ArFネガティブトーン現像(NTD)フォトレジストの形成
適当なネガティブトーン現像フォトレジストは、下記の混合物から形成される:
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート28.95g、
シクロヘキサノン19.30g、
ヒドロキシ酪酸メチルエステル48.25g、
モル比がそれぞれ25/25/40/10で重量平均分子量が22,000のメタクリル酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル、メタクリル酸5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−イル、メタクリル酸メチルアダマンチル/メタクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロノン−2−イルオキシカルボニルメチル、アクリル酸ヒドロキシアダマンチルのコポリマー2.89g、
1,1,2,2−テトラフルオロ−4−((4−(13−メチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)ブタン−1−スルホン酸トリフェニルスルホニウム0.49g、
重量平均分子量が10,000のメタクリル酸n−ブチルのポリマー0.07g、
ドデシルジエタノールアミン0.05g、および
PolyFox 656フッ素化表面レベリング剤0.01g。
【0146】
二層コーティングの形成
最初に、組成物(表1を参照、マロン酸、BTEACおよびPGMEAを加えて)の単層コーティングを、単層コーティングの形成の項に記載されているようにコーティングした。ArF PTDフォトレジストを、スピンコーティングにより単層コーティングの上に塗布し、コーティングされたウェハを60秒にわたって100℃でソフトベークすると、100nm(Therma−Wave分光エリプソメーターで測定されるように)のフォトレジスト膜厚が得られた。
【0147】
二層コーティングの接着の評価
二層コーティングが形成された後、接着試験を行った。接着試験は、ASTM D3359を参照してテーププル(tape pull)を使用した。最初に、ウェハ片を、10分にわたって2−ヘプタノン溶液に浸し、脱イオン水ですすぎ、窒素で吹き付け乾燥した。1片のScotchテープ(3M、MN)を、ArFフォトレジストコーティング上にしっかりと押し付けた。接着された区分の長さは1インチとし、残りの連結フリー区分は、少なくとも1インチとした。テープのフリー区分を、2本の指で握り、約270゜のコーティング表面に対する角度で素早く引き戻した。テーププル後、残っているコーティングを視覚的に調べ、テープに移動したコーティングの面積を、コーティングに接着していたテープの表面積に占める割合として推定した。「0%剥離」は、良好な接着を表し、一方、「100%剥離」は、接着不良を示した。結果は表2に示されている。
【0148】
パターンリソグラフィのためのコーティングは、良好な層間接着を有することが必要である。接着が弱ければ、層間剥離が、リソグラフィ中に生じることがあるか、パターン倒れが、接着力が残留力、熱ストレス、溶媒膨潤ストレス、および毛管力などの異なるタイプの力未満である場合に生じることがある。
【0149】
三層コーティングの形成
本発明層を、三層スキームで使用し、リソグラフィック性能を調べる。三層の一般的構造は、図1に示されている。
【0150】
下層の形成
有機ポリ(メタクリレート)ベースの下層コーティング組成物(AR26N、Dow Chemical Companyから入手可能)を、スピンコーティングによりシリコンウェハに塗布し、コーティングされたウェハを、60秒にわたって240℃にてベークすると、135nmの膜厚が得られた。
【0151】
下層上の本発明層(本発明組成物)の形成
表1に記載されている各本発明コーティング組成物(マロン酸、BTEACおよびPGMEAを加えて)を、スピンコーティングにより前ステップからの下層でコーティングされたウェハに塗布し、60秒にわたって240℃にてベークすると、35nmの膜厚(本発明層の厚さ)が得られた。
【0152】
三層の形成
ArFフォトレジスト(前に記載されているようなNTD)を、スピンコーティングにより、前ステップからのコーティングされたウェハに塗布し、コーティングされたウェハを、60秒にわたって100℃にてソフトベークすると、100nmのフォトレジスト膜厚が得られた。
【0153】
リソグラフィックパターンの形成
リソグラフィックプロセシング
形成された三層コーティングを、下記のステップに従って処理した:
1)露光:塗布されたフォトレジスト層を、ASML 1900iを使用し、パターニングされた「193nm」照射に露光した;
2)露光後ベーク:120℃/60秒;
3)現像:潜像を、適当な有機溶媒(Dow Chemical CompanyからのOSD−1000など)で現像した。
【0154】
三層コーティングのリソグラフィック性能の評価
フォトレジスト性能の1側面は、フォトスピードである。フォトスピードシフトは、参照材料に対して、ASML機器(PAS5500/1100型)を使用し、コントラスト曲線を実行することにより測定した。各三層コーティングを、上で議論されているように、増加する放射レベル(ArFレーザー、193nm)の対象とした。コントラスト曲線は、「1mJ/cm」の線量から始まり、「10.9mJ/cm」の最終線量まで「0.1mJ/cm」ずつ増加させた。コーティングされたウェハの下左隅で開始する蛇行パターンで実行される合計100回の露光があった。露光後、三層を、OSD1000で現像した。レジストの膜厚は、THERMA−WAVE OPTIPROBEにより測定した。50%を超えるレジスト膜が残存した線量を、E100と表した。低めのE100の値は、速めのフォトスピードに対応するであろう。この研究では、参照反射防止コーティング、有機反射防止コーティング、AR26N(Dow Chemical Company)を使用した。参照材料のE100を測定した。相対的フォトスピードシフトは、(E100,r−E100,s)/E100,r100(式中、E100,rは、AR26NについてのE100であり、E100,sは、本発明コーティングのE100とした)と定義した。本発明反射防止ハードマスク(本発明コーティング)は、参照材料と比較して同様のフォトスピード(または、小さめのフォトスピードシフト)を有することが望ましい。結果は、表2に示されている。
【0155】
フォトレジスト性能の別の側面は、パターン倒れマージンである。そのような小さなライン−スペースパターンの「崩れ(fall over)」、または倒れを防ぐか、減らしながら、極めて小さなライン−スペースパターンを得ることが望ましい。フォトレジストに十分な接着を提供しないハードマスク組成物は、図2における「トップダウンSEM画像」に示されるように、パターン倒れをもたらすことがある。図3は、「パターン倒れマージン」の定量的定義を図示している。この図における数字は、「80nmピッチパターン」における溝の幅である。パターン倒れマージンが高いほど、スタンディングラインの幅は狭く、したがって、形成することができる最小寸法に関して、リソグラフィ性能が良い。結果は、表2に示されている(PCMは、「パターン倒れマージン」を指す)。
【0156】
上で議論されているように、表2は、本発明実施例および比較実施例の異なる特性を要約している。表2によれば、すべての6つの本発明実施例は、良好な接着(10%未満の除去)を有していた。比較すると、ポリマーBのみからなる比較実施例1は、50%を超える除去を有し、SiARCとフォトレジストの間の不十分な接着を示唆した。表2は、本発明実施例が、比較実施例よりも良いリソグラフィック性能を有していたことを示している。実施例1は、比較実施例1および3より高いパターン倒れマージンを(PCM)を有していた。表2は、本発明実施例が、より良好な耐溶媒性を有していたことも示している。実施例2、5および6は、溶媒への暴露後に低めの厚さ変化を有し、一方、比較実施例2は、リソグラフィの失敗を引き起こすであろう14%の厚さ変化(または14%の膨潤)を有していた。さらに、これらの本発明実施例は、望ましいフォトスピードを有していた。参照材料の20%以内のフォトスピードを有することが好ましい。実施例7は、この試料のプロセスウィンドウを狭める可能性のある参照材料より39%速いフォトスピードを有していた。表2を参照されたい。
【0157】
本発明を、前述の実施例でかなり詳細に説明してきたが、この詳細は、例示のためであって、下記の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の限定と解釈されるべきではない。
【0158】
【表2】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記のAおよびB:
A)下記の構造単位1:
【化1】


(式中、
Lは、CX−CYZ(式中、X、Y、およびZは、各々独立して、水素、アルキル、または置換アルキルから選択される)であり;
Mは、アルキレン、アリーレン、置換アルキレン、置換アリーレン、またはC(O)O−W−(式中、Wは、アルキレンまたは置換アルキレンである)であり;
R’、R”、およびR’’’は、各々独立して、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、またはO、N、S、またはSi原子のうちの1つまたは複数を含む置換炭化水素から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つは、アルコキシル、アリールオキシル、ヒドロキシル、ハライド、カルボキシル、またはカーボネートから選択され;
pは、1から10,000までの整数である)を含み、
ただし、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)構造を含まないポリマー;および
B)下記:
a)式1:
【化2】


(式中、Raは、1つまたは複数の多重結合を含み、ただし、Raが、2つ以上の多重結合を含む場合、これらの多重結合は、共役配置にはなく;R1、R2、およびR3は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F1;
b)式2:
【化3】


(式中、Rbは、Hまたはアルキル、アルキレン、もしくはアルキリデンを含む飽和基から選択され;R4、R5、およびR6は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F2;
c)式3:
【化4】


(式中、Rcは、2つ以上の多重結合を含み、これらの多重結合は、共役配置にあり;R7、R8、およびR9は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F3;および/または
d)式4:
【化5】


(式中、R10、R11、R12、およびR13は、各々独立して、アルコキシル、ヒドロキシル、ハライド、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである)から選択される)から選択される化合物F4のうちの少なくとも1つを含む第一組成物から形成されるポリマーを含む組成物。
【請求項2】
構造単位(1)において、X、Y、およびZが、各々独立して、水素またはC1〜C10アルキル基から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構造単位(1)において、Mが、C1〜C10アルキレン、C1〜C10アリーレン、またはC(O)O−W−であり、Wが、C1〜C10アルキレン基である、請求項2の請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構造単位(1)において、R’、R”、およびR’’’が、各々独立して、C1〜C10脂肪族炭化水素、C1〜C10芳香族炭化水素、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、C1〜C10脂肪族炭化水素、またはC1〜C10芳香族炭化水素である)から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つが、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)ORである、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
構造単位(1)において、X、Y、およびZが、各々独立して、水素、またはC1〜C10アルキル基から選択され;
Mが、C1〜C10アルキレン、C1〜C10アリーレン、またはC(O)O−W−であり、Wが、C1〜C10アルキレン基であり;
R’、R”、およびR’’’が、各々独立して、C1〜C10脂肪族炭化水素、C1〜C10芳香族炭化水素、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、C1〜C10脂肪族炭化水素、またはC1〜C10芳香族炭化水素である)から選択され、ただし、R’、R”、およびR’’’のうちの少なくとも1つが、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)ORであり;
pが、10から1000までの整数である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
構造単位(1)において、X、Y、およびZが、各々独立して、水素またはメチル基から選択され;
Mが、フェニレンまたはC(O)O−W−であり、Wが、C1〜C4アルキレン基であり;
R’、R”、およびR’’’が、各々独立して、OH、OR、OC(O)R、またはOC(O)OR(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、または2−ブチルである)から選択され;
pが、10から500までの整数である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
構造単位(1)が、下記の構造:
【化6】


(式中、Tは、Hまたはメチルであり;Rは、メチルまたはエチルであり;nは、1から3までの整数であり;pは、10から500までの整数である)を有する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
構造単位(1)が、ポリ(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
成分Aのポリマーが、約10,000から約100,000までのMwを有する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
第一組成物が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計重量を基準として、Si5重量パーセント以上を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
化合物F2と化合物F4の合計モル量が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、40モルパーセント以上である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
化合物F4が、化合物F1、F2、F3およびF4の合計モルを基準として、10モルパーセントを超える量で存在する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の組成物から形成される少なくとも1つの層を含む膜。
【請求項15】
基板上でコーティングを形成する方法であって、少なくとも下記の:基板を準備すること、
基板上で下層を形成すること(下層は、少なくとも1つのポリマーを含む)、
下層の上に請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を塗布すること、および
組成物を硬化させ、コーティングを形成することを含む方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−67799(P2013−67799A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−208064(P2012−208064)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】