説明

フォトリソグラフィーを使用して3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を製造する方法およびそれを使用して超大容量コンデンサを製造する方法

【課題】フォトリソグラフィーを使用して3D(三次元)パターン構造体を有するアルミニウム集電体およびこの集電体を含む超大容量コンデンサを製造する方法が、開示される。
【解決手段】この方法は、フォトリソグラフィーを使用してアルミニウム集電体の表面上に所定のパターンを設計するステップと、アルミニウム集電体の表面積を広げるためにパターンを選択的にエッチングすることによってアルミニウム集電体の表面上に3Dパターン構造体を形成するステップを含み、およびこの超大容量コンデンサが3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィーを使用した3D(三次元)パターン構造体を有するアルミニウム集電体およびこの集電体を含む超大容量コンデンサを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明はフォトリソグラフィーを使用してアルミニウム集電体の表面上に所定のパターンを設計し、かつパターンを選択的にエッチングすることによってアルミニウム集電体の表面上に3Dパターン構造体を形成するステップを通して、アルミニウム集電体の表面積を広げる方法、および3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体がそれに適用される超大容量コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
石油価格および地球温暖化の最近の増大に起因して代替エネルギに対する関心が増大しており、二次リチウムイオン電池を含むエネルギ蓄積器具が特に急速に発展している。しかしながら、それらが大静電容量を示すにもかかわらず二次電池が低出力を示すので、高出力を必要とする分野では二次電池が限定的に使われており、それで、超大容量コンデンサが二次電池の代替物として使われ、より高い出力を有する超大容量コンデンサが静電容量を拡大するための研究を通して二次電池の分野に段階的に拡大されている。特に、回生制動エネルギを利用する際に問題点を有する二次電池と比較してそれらが回生制動エネルギを容易に利用することができるので、この種の超大容量コンデンサがますますさまざまな分野に適用されている。
【0003】
この種の超大容量コンデンサは、大きな表面積を有する活性炭を使用して電解液内に存在するイオンの物理吸着および分離反応を通して、充電および放電を繰り返し、そこにおいて活性炭が従来の電解コンデンサ内の限定的な表面積を有するアルミニウムの役割を置換して静電容量を急速に高める。また、近年では、活性炭の代わりに金属酸化物、炭素ナノチューブ、炭素ナノファイバーまたは複合金属酸化物が電極の一方または両方として使われる新規な超大容量コンデンサが、静電容量を増大するために提案されている。
【0004】
超大容量コンデンサ内のアルミニウム箔が、活性炭から外部回路まで電子を導き、および電子が活性炭から集電体まで移動する時に生成される抵抗を最大限に低下させるための界面特性を必要とする集電体として機能する。これを達成するために、超大容量コンデンサの等価直列抵抗(ESR)が集電体の表面のエッチングを通して活性物質との接触面を増大することによって電気化学的方法を使用して低下されることができるか、または、超大容量コンデンサのESRが集電体としてアルミニウムの代わりに大きな表面積を有する多孔質ニッケルフォームを採用することによって活性物質と集電体との間の接触面を増大させることによって低下されることができる。加えて、実効キャパシタンスを向上させるために研究が実行されてきたが、ニッケルフォームを使用して超大容量コンデンサを製造するのに、実際問題として課題がある。
【0005】
超大容量コンデンサの静電容量を増大するための従来の方法は、物理吸着−分離を引き起こす活性炭の代わりに、酸化還元反応を引き起こす金属酸化物によって活性物質を置換する方法、および活性炭のそれより大きな表面積を有する炭素ナノチューブ(CNT)のような活性物質を使用する方法を含む。代替活性物質が現在大量生産されることができず、従来の活性物質が使われるプロセス装置で現在製造される材料が使われることさえできないという点で、活性物質を置換するためのこの種の方法には課題がある。さらに、活性物質の価格は非常に高く、コスト問題を引き起こす。
【0006】
また、電解液を使用してアルミニウム集電体を電気化学的にエッチングする方法は、超大容量コンデンサの有効静電容量が増大されることができる程度まで、活性物質とアルミニウム集電体との間の接触面積を十分に増大することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来技術で生じている課題を解決するためになされたものであり、および、本発明の一目的はフォトリソグラフィーを使用して既存のアルミニウム集電体の表面上にパターンを形成し、かつ選択エッチングを通して活性物質とのアルミニウム集電体の接触面積を効果的に増大することによってアルミニウム集電体を製造する一方法、および、この集電体を超大容量コンデンサに適用することによって既存の活性物質をなお使用するとともに、向上された有効静電容量を有する一超大容量コンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を製造する一方法を提供し、この方法が、次のステップ、すなわち、
アルミニウム箔集電体を洗浄し、かつ窒素を使用してこの洗浄されたアルミニウム箔集電体を乾燥させるステップと、
乾燥アルミニウム箔集電体の表面上にフォトレジストを施着し、かつフォトレジストがその上に施着されるアルミニウム箔の表面を乾燥させてフォトレジストを選択的に露光してかつ硬化するステップと、
露光されたアルミニウム集電体に現像液体を吹き付けることによって未露光のフォトレジストを選択的に取り除き、かつアルミニウム集電体上にパターン構造体を形成するために残りのフォトレジストを完全に硬化するステップと、
対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間にパターン構造体を有するアルミニウム集電体を設置し、交流電力をアルミニウム集電体に印加し、かつ電解液の中でアルミニウム集電体を一次的にエッチングするステップと、
エッチングされたアルミニウム集電体を乾燥させるステップと、
対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に一次的にエッチングされかつ乾燥されたアルミニウム集電体を設置し、かつアルミニウム集電体を二次的にエッチングするステップと、二次的にエッチングされたアルミニウム集電体を洗浄してかつ乾燥させるステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、アルミニウム箔は99.00から99.99%の純度および10から100μmの厚さを有する。アルミニウム箔の純度が99.00より低い場合、EDLCのリーク電流特性が悪化し、および、100%の純度を有するアルミニウム箔は現在の技術によって得られることができない。アルミニウム箔の厚さが10μm未満の場合、その深さはまた、10μm未満に限られている。アルミニウム箔のエッチング深さが低い場合、その効果はより小さくなり、および、その厚さが100μmを超える場合、電極の体積部分が増大する。したがって、アルミニウム箔のエネルギ密度が低下することになる。
【0010】
好ましくは、フォトレジストが0.5から50μmの厚さを有するように施着される。施着されたフォトレジストの厚さが0.5μm未満である場合、フォトレジストが集電体のエッチング中に容易に壊れ、パターンが崩れるかもしれず、その厚さが50μmを超える場合、エッチング液が浸透の困難を有し、エッチングを十分に実行して完全なパターンを形成するのをむずかしくする。好ましくは、乾燥プロセスが摂氏50から150度の温度で5から30分の間実行される。温度が摂氏150度を上回る場合、フォトレジストが壊れ、および、温度が摂氏50度未満の場合、多くの時間が非実際的に消費される。乾燥時間が5分未満の場合、硬化が充分でなく、パターンが容易に崩れ、および、乾燥時間が30分を超える場合、硬化が選択的な露光を通して完全に実行されるときにさえ、パターンが露光に従って形成されることができないように、フォトレジストが過度に硬化される。
【0011】
露光プロセスは、アルミニウム集電体上のクロムを備えた透過材料上に形成されるパターン構造体を有するマスクを設置し、かつアルミニウム集電体に紫外線を照射することによって選択的に実行され、そこにおいてマスクが石英を含む紫外線透過材料であり、および、10から500μmの寸法を有するパターンが10から500μmの間隔で組み合わせられるパターン構造体をこのマスクが有する。パターンの寸法および間隔が10μmより小さいか500μmより大きい場合、活性物質から集電体への電子の移行距離はより短くなり、本発明の効果を低下させる。
【0012】
現像液は中性の溶液以外の酸またはアルカリ溶液であり、および、硬化プロセスが摂氏50から150度の温度で5から60分の間実行される。乾燥温度が摂氏150度を上回る場合、フォトレジストが壊れ、および、乾燥温度が摂氏50度未満の場合、フォトレジストを硬化するために多くの時間が非実際的に消費される。乾燥時間が5分未満の場合、硬化程度が不十分であるので、フォトレジストがエッチングプロセス中にエッチング液によって壊され、パターンを形成するのを困難にする。乾燥時間が60分を超える場合、フォトレジストが極端に硬化され、その結果、フォトレジストをスムーズに取り除くのがむずかしい。
【0013】
交流電力が5から60Hzの周波数および0.1から10A/cmの電流密度を有する。過剰なエッチングが、5Hz未満の周波数および10A/cmを超える電流密度で実行され、パターンを壊すようにすることになる。エッチングが60Hzを超える周波数および0.1A/cm未満の電流密度で実行される場合、エッチングがパターンに従って不十分に実行される。好ましくは、電解液が20グラム/リットルのAlイオン、0.5から5Mの塩化水素酸および0.01から2Mの硫酸を含む。20グラム/リットルを超えるAlイオンが存在する場合、Alイオンがエッチングを中断する。0.5M未満の塩化水素酸および0.01M未満の硫酸が存在する場合、エッチングが不十分に実行され、および、5Mを超える塩化水素酸および2Mを超える硫酸が存在する場合、エッチングが過度に実行される。
【0014】
一次エッチングが、摂氏10から60度の温度を有する電解液の中で10から60秒の間実行される。エッチングが10秒未満の間摂氏10度未満の温度で実行される場合、アルミニウム集電体は非効率的にエッチングされ、およびエッチングが60秒より多くの間摂氏60度を超える温度で実行される場合、アルミニウム集電体は極端にエッチングされる。
【0015】
蒸留水によってエッチングされたアルミニウム集電体を洗浄し、かつ、アセトンを含むリムーバによって残余のフォトレジストを取り除いた後に、摂氏50から500度の温度で2から15分の間乾燥プロセスが実行される。乾燥は摂氏50度未満の温度および2分未満の時間の条件の下では適切に実行されないので、加水分解反応がアルミニウムの表面に生じ、および、アモルファス酸化被膜が形成される。乾燥が15分より多くの間摂氏500度を超える温度で実行される場合、酸化反応が生じ、および、結晶酸化被膜が形成される。
【0016】
二次エッチングプロセスが交流電力をアルミニウム集電体に印加することによって実行され、および、交流電力は10から90Hzの周波数および0.1から10A/cmの電気密度を有する。二次エッチングが10Hz未満の周波数および10A/cmを超える電流密度で実行される場合、過剰なエッチングに起因してパターンが壊されることになり、および、二次エッチングが90Hzを超える周波数および0.1A/cmを超える電流密度で実行される場合、エッチングがパターンに従って不十分に実行される。
【0017】
二次エッチングは10から30グラム/リットルのAlイオン、100から300グラム/リットルのClイオンおよび5から30グラム/リットルのSOイオンを含むエッチング電解液の中で実行される。30グラム/リットルを超えるAlイオンがイオン溶液内に含まれる場合、それらはエッチングを妨げ、ならびに、100グラム/リットル未満のClイオンおよび5グラム/リットル未満のSOイオンがイオン溶液内に含まれる場合、それらはエッチングプロセスを中断する。加えて、300グラム/リットルを超えるClイオンおよび30グラム/リットルを超えるSOイオンがイオン溶液内に含まれる場合、エッチングは過度に実行される。二次エッチングが摂氏30から90度の温度で10から60秒の間実行される。二次エッチングが、摂氏30度未満の温度でまたは10分未満の間実行されるならば、エッチングが不十分に実行され、および、二次エッチングが摂氏90度を超える温度でまたは60秒を超える間実行される場合、過度なエッチングが実行されることになる。
【0018】
洗浄および乾燥プロセスが、蒸留水によってアルミニウム集電体を洗浄した後に摂氏50から500度の温度で2から15分の間実行される。乾燥が摂氏50度未満の温度でまたは2分未満の間実行される場合、加水分解反応がアルミニウムの表面に生じ、および、アモルファス酸化被膜が形成される。乾燥が摂氏500度を超える温度でまたは15分より多くの間実行される場合、酸化反応が生じることになり、および、結晶酸化被膜が形成されることになる。
【0019】
3Dパターン構造体が、フォトリソグラフィーを使用して形成される。
【0020】
本発明はさらに、上記の方法によって製造されるアルミニウム集電体を備える電極およびこの電極を備える超大容量コンデンサを提供する。
【0021】
本発明は、活性物質とのアルミニウム集電体の接触面積を効果的に増大することができるアルミニウム集電体の表面積を拡大する一方法および集電体を超大容量コンデンサに適用することによって有効静電容量を高めることができる超大容量コンデンサを製造する一方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施態様に従うフォトリソグラフィーを通して製造される3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体の写真である。
【図2A】フォトレジストを使用したフォトリソグラフィーを通してアルミニウム集電体の表面上に10μmの間隔で10μmの寸法を有するパターンを配置することによって形成されるパターン構造体を示す写真である。
【図2B】フォトレジストを使用したフォトリソグラフィーを通してアルミニウム集電体の表面上に50μmの間隔で50μmの寸法を有するパターンを配置することによって形成されるパターン構造体を示す写真である。
【図2C】フォトレジストを使用したフォトリソグラフィーを通してアルミニウム集電体の表面上に50μmの間隔で100μmの寸法を有するパターンを配置することによって形成されるパターン構造体を示す写真である。
【図2D】フォトレジストを使用したフォトリソグラフィーを通してアルミニウム集電体の表面上に10μmの間隔で50μmの寸法を有するパターンを配置することによって形成されるパターン構造体を示す写真である。
【図3】フォトレジストが残される部分およびフォトレジストが取り除かれる部分を有するパターン構造体を示す写真である。
【図4】フォトレジストが取り除かれる部分だけでアルミニウムが選択的にエッチングされたあと形成されるアルミニウム集電体の写真である。
【図5】アルミニウム集電体の表面上に残される全てのフォトレジストがエッチングプロセスの後でリムーバを通して除去されるときに形成されるアルミニウム集電体の写真である。
【図6】本発明の実施態様に従って製造されるアルミニウム集電体が適用される超大容量コンデンサの投影図である。および
【図7】本発明の実施態様に従って製造されるアルミニウム集電体を使用した超大容量コンデンサの内部構造体を示す投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するために、10から100μmの寸法を有し、かつ99.00から99.99%の純度、ならびにCu(4,000ppm以下)、Si(2,000ppm以下)およびFe(2,000ppm以下)を含む不純物を有するアルミニウムを含有するアルミニウム集電体の表面から(a)アセトン溶液、(b)メタノール溶液および(c)蒸留水を使用してアルミニウム集電体の表面を順に洗浄し、かつ窒素を使用してそれを乾燥させることによって有機材料が最初に取り除かれる。
【0024】
次に、フォトレジストがアルミニウム集電体の表面上に均一に施着されて0.5から50μmのフォトレジスト箔を形成したあと、フォトレジスト箔内に含有される溶媒を蒸発させることによって摂氏50から150度の温度で5から30分の間フォトレジスト箔が乾燥され、フォトレジスト箔を固体に維持する。次いで、フォトレジストによってコーティングされたアルミニウム集電体上にマスクを設置し、かつマスク上へ紫外線を照射することによってフォトレジスト箔が選択的に露光され、そこにおいて、このマスクが、石英のような紫外線を透過することができる材料上に形成される10から500μmの寸法および10から500μmの間隔を有するクロムパターンを含むパターン構造体を有する。
【0025】
その後で、フォトレジストの露光部または未露光部がアルミニウム集電体上に現像液(アルカリ溶液)を吹き付けることによって除去され、および、5から60分の間摂氏50から150度の温度で残りのフォトレジストを凝固させることによってパターン構造体が形成される。
【0026】
上記のプロセスの前か後に、一次エッチング電解液が20グラム/リットル以下のAlイオン、0.5から5Mの塩化水素酸および0.01から2Mの硫酸を加えることによって準備される。
【0027】
次に、パターン構造体がフォトレジストを使用して形成されるアルミニウム集電体が対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に設置され、および、摂氏10から60度の電解液温度、5から60Hzの交流電力の周波数および0.1から10A/cmの交流電力の電流密度の条件の下で、10から60分の間、アルミニウム集電体をエッチングするために、交流電力がアルミニウム集電体に印加される。
【0028】
エッチングされたアルミニウム集電体が蒸留水によって洗浄され、および全ての残りのフォトレジストがアセトンのようなリムーバを使用して取り除かれたあと、アルミニウム集電体が摂氏50から500度の温度で2から15分の間乾燥される。上記のプロセスの前か後に、二次エッチング電解液が10から30グラム/リットルのAlイオン、100から300グラム/リットルのClイオンおよび5から30グラム/リットルのSOイオンを加えることによって準備される。
【0029】
次に、一次エッチングにかけられたアルミニウム集電体が対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に設置され、および、摂氏30から90度の電解液温度、10から90Hzの交流電力の周波数および0.1から10A/cmの交流電力の電流密度の条件の下で、10から60分の間交流電力がアルミニウム集電体に印加されてアルミニウム集電体を二次的にエッチングする。二次的にエッチングされたアルミニウム集電体は蒸留水によって洗浄され、および摂氏50から500度の温度で2から15分の間乾燥され、その結果、本発明が完了される。
【0030】
以下に、本発明の実施例が詳述され、および、本発明が実施例に限られていない点に留意する必要がある。
【実施例1】
【0031】
フォトレジストを使用して3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を製造する方法
99.99%の純度および0.030mmの厚さを有するアルミニウム箔が、(a)アセトン溶液、(b)メタノール溶液および(c)蒸留水によって順に洗浄されてそれから、乾燥される。
【0032】
フォトレジストがアルミニウム集電体の表面上に均一に施着されて0.5μmのフォトレジスト箔を形成したあと、フォトレジスト箔が摂氏80度の温度で15分の間乾燥され、および、フォトレジストが施着されるアルミニウム集電体上に、80μmの直径および70μmの間隔を有する円形のパターンを形成するマスクが設置される。次いで、フォトレジストを選択的に露光するために紫外線がアルミニウム集電体に照射される。
【0033】
フォトレジストの未露光部が露光されたアルミニウム集電体に現像液を吹き付けることによって選択的に除去されたあと、残りのフォトレジストが摂氏100度の温度で15分の間完全に凝固されてアルミニウム集電体上にパターン構造体を形成する。
【0034】
一次エッチング電解液が15グラム/リットルのAlイオン、1Mの塩化水素酸および2Mの硫酸を加えることによって準備されたあと、フォトレジストによって形成されるパターン構造体を有するアルミニウム集電体が対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に設置され、および、交流電力がアルミニウム集電体に印加される。
【0035】
アルミニウム集電体が50Hzの交流電力周波数および3A/cmの電流密度の下で摂氏45度の温度を有する電解液の中で50秒の間一次エッチングされた後、エッチングされたアルミニウム集電体が蒸留水によって洗浄され、および、集電体の表面上に残る全てのフォトレジストがアセトンによって除去されたあと、集電体が摂氏150度の温度で2分の間乾燥される。
【0036】
10グラム/リットルのAlイオン、120グラム/リットルのClイオンおよび20グラム/リットルのSOイオンを加えることによって二次エッチング電解液が準備されたあと、一次的にエッチングされたアルミニウム集電体が対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に設置され、および、交流電力がアルミニウム集電体に印加される。
【0037】
アルミニウム集電体が、30Hzの交流電力周波数および1A/cmの電流密度の下で摂氏45度の温度を有する電解液の中で45秒の間二次的にエッチングされる。
【0038】
二次的にエッチングされたアルミニウム集電体が、蒸留水によって洗浄され、かつ摂氏125度の温度で10分の間乾燥される。
【0039】
3Dパターン構造体を有する上記のアルミニウム集電体が、図1内に示される。
【実施例2】
【0040】
3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を使用して超大容量コンデンサを製造する方法
80gの活性炭(2100m/gの比表面積)、20gのカーボンブラックおよび4gの結合剤が撹拌容器内に含有されたあと、それらが撹拌器を使用して30分の間撹拌される。次いで、200gの脱イオン水を加えた後に、混合物が200分の間再び撹拌される。次いで、100gの脱イオン水および4gの結合剤が加えられ、および、混合物が200分の間追加的に撹拌されてスラリーを準備する。
【0041】
0.6g/cmの密度を有するスラリーが、フォトレジストによって製造される3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体上にコーティングされて電極を製造する。
【0042】
電極が摂氏70度の温度で20分の間一次的に乾燥されたあと、それが摂氏100度の温度で240分の間二次的に乾燥される。
【0043】
乾燥電極が、各々4.5cm×3.5cm(15.75cm)の寸法を有する2枚のシートにスライスされる。次いで、電極シートの1枚、電解液紙および電極シートの残りの1枚が、順に積み重ねられる。その後、リードタップが形成され、および、積み重ねられた構造体の外側がアルミニウムパウチによって覆われる。
【0044】
電解液(1MのTEABF/ACN)がパウチ内に含有されたあと、パウチの内部が真空状態に保たれるように、パウチが封止され、それによって超大容量コンデンサを製造する。
【0045】
[比較例]
80gの活性炭(2100m/gの比表面積)、20gのカーボンブラックおよび4gの結合剤が撹拌容器内に含有されたあと、それらが撹拌器を使用して30分の間撹拌される。次いで、200gの脱イオン水が加えられたあと、混合物が200分の間再び撹拌される。次いで、100gの脱イオン水および4gの結合剤が加えられ、ならびに、混合物が200分の間追加的に撹拌されてスラリーを準備する。
【0046】
0.6g/cmの密度を有するスラリーが、市場から入手可能なEDLCに対してアルミニウム集電体上にコーティングされて電極を製造する。
【0047】
電極が摂氏70度の温度で20分の間一次的に乾燥されたあと、それが摂氏100度の温度で240分の間二次的に乾燥される。
【0048】
乾燥電極が、各々4.5cm×3.5cm(15.75cm)の寸法を有する2枚のシートにスライスされる。次いで、電極シートの1枚、電解液紙および電極シートの残りの1枚が、順に積み重ねられる。その後、リードタップが形成され、および、積み重ねられた構造体の外側がアルミニウムパウチによって覆われる。
【0049】
電解液(1MのTEABF/ACN)がパウチ内に含有されたあと、パウチの内部が真空状態に保たれるように、パウチが封止され、それによって超大容量コンデンサを製造する。
【0050】
[評価]
実施例および比較例に従う超大容量コンデンサが15.75mAの静的電流および2.7Vの静的電圧によって充電されたあと、それらが30分の間維持されて、それから、15.75mAの静的電流で放電される。
【0051】
静電容量が上記の条件の下で測定され、および、結果が表1内に示される。
【0052】
【表1】

【0053】
表1で分かるように、本発明は超大容量コンデンサに適しているアルミニウム集電体を提供することができる。
【0054】
本発明の好ましい一実施例が図示する目的のために記述されたとはいえ、当業者は、添付の請求の範囲にて開示したように、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、さまざまな変更、追加および置換が可能であるということを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dパターン構造体を有するアルミニウム集電体を製造する一方法であって、前記方法が、次のステップ、すなわち、
アルミニウム箔集電体を洗浄し、かつ窒素を使用して前記洗浄されたアルミニウム箔集電体を乾燥させるステップ(S1)と、
前記乾燥アルミニウム箔集電体の表面上にフォトレジストを施着し、かつ前記フォトレジストを乾燥させて前記フォトレジストを選択的に露光するステップ(S2)と、
前記露光されたアルミニウム集電体に現像液体を吹き付けることによって未露光のフォトレジストを選択的に取り除き、かつ前記アルミニウム集電体上にパターン構造体を形成するために残りのフォトレジストを完全に硬化するステップ(S3)と、
対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に前記パターン構造体を有する前記アルミニウム集電体を設置し、交流電力を前記アルミニウム集電体に印加し、かつ電解液の中で前記アルミニウム集電体を一次的にエッチングするステップ(S4)と、
前記エッチングされたアルミニウム集電体を乾燥させるステップ(S5)と、
対向する極として機能する2枚のカーボンプレートの間に前記一次的にエッチングされかつ乾燥されたアルミニウム集電体を設置し、かつ前記アルミニウム集電体を二次的にエッチングするステップ(S6)と、
前記二次的にエッチングされたアルミニウム集電体を洗浄してかつ乾燥させるステップ(S7)と、を含む方法。
【請求項2】
ステップS1の前記アルミニウム集電体が99.00から99.99%の純度および10から100μmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記フォトレジストが、ステップS2において0.5から50μmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
ステップS2の前記乾燥が、摂氏50から150度の温度で5から30分の間実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
ステップS2の前記露光が前記フォトレジストによってコーティングされる前記アルミニウム集電体上にパターン構造体を有するマスクを設置し、かつ前記アルミニウム集電体に紫外線を照射することによって選択的に実行され、そこにおいて、マスクが透過材料上にクロムパターンを形成することによって準備される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
前記マスクが、石英を含む紫外線を透過することができる材料を備える、ことを特徴とする請求項5の方法。
【請求項7】
前記マスクの前記パターン構造体が、10から500μmの寸法および10から500μmの間隔を有するパターンを含む、ことを特徴とする請求項5の方法。
【請求項8】
ステップS3の前記現像液が、中性の溶液以外の酸またはアルカリ溶液を含む、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項9】
ステップS3の前記硬化が摂氏50から150度の温度で5から60分の間実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
ステップS4の前記交流電力が5から60Hzの周波数および0.1から10A/cmの電流密度を有する、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
ステップS4の前記電解液が20グラム/リットルのAlイオン、0.5から5Mの塩化水素酸および0.01から2Mの硫酸を含む、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項12】
ステップS4の前記一次エッチングが、摂氏10から60度の温度を有する前記電解液の中で10から60秒の間実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項13】
ステップS5の前記乾燥が、蒸留水によって前記エッチングされたアルミニウム集電体を洗浄し、かつ、アセトンを含むリムーバによって前記残余のフォトレジストを取り除いた後に、摂氏50から500度の温度で2から15分の間実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項14】
ステップS6の前記二次エッチングが交流電力を前記アルミニウム集電体に印加することによって実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項15】
前記交流電力が10から90Hzの周波数および0.1から10A/cmの電気密度を有する、ことを特徴とする請求項14の方法。
【請求項16】
前記二次エッチングが10から30グラム/リットルのAlイオン、100から300グラム/リットルのClイオンおよび5から30グラム/リットルのSOイオンを含むエッチング電解液の中で実行される、ことを特徴とする請求項14の方法。
【請求項17】
前記二次エッチングが摂氏30から90度の温度で10から60秒の間実行される、ことを特徴とする請求項14の方法。
【請求項18】
ステップS7の前記洗浄および乾燥が、蒸留水によって前記アルミニウム集電体を洗浄した後に摂氏50から500度の温度で2から15分の間実行される、ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項19】
前記3Dパターン構造体が、フォトリソグラフィーを使用して形成される、ことを特徴とする請求項5の方法。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1つに記載の方法によって製造されるアルミニウム集電体を備えた電極。
【請求項21】
請求項20の電極を備えた超大容量コンデンサ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−182415(P2012−182415A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115772(P2011−115772)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(511126165)コリア ジェイシーシー カンパニー,リミテッド (2)
【Fターム(参考)】