説明

フォトリソグラフィ用コーティング組成物

【課題】フォトリソグラフィ用コーティング組成物及び方法の提供
【解決手段】第一の態様においては、(a)基体上に硬化性組成物を適用する工程、(b)硬化性組成物上にハードマスク組成物を適用する工程、(c)ハードマスク組成物上にフォトレジスト組成物層を適用する工程を含む方法であって、アッシングを含まないプロセスにおいて一以上の組成物を除去する工程、を含む方法が提供される。第二の態様においては、(a)基体上に有機組成物を適用する工程、(b)有機組成物上にフォトレジスト組成物層を適用する工程であって、その有機組成物が、熱処理および/または放射線処理の際にアルカリ溶解性基を生じさせる材料を含む工程を含む方法が提供される。関連する組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に電子デバイスの製造分野に関する。詳細には、本発明は向上したプロセスおよび組成物の使用を介することを含む、集積回路デバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスがより小さくなるにつれて、エレクトロニクス産業においては、例えば集積回路、回路基板、マルチチップモジュール、チップテスト装置などの電子部品の回路密度を、電気的性能、例えばクロストークまたは静電結合を低下させること無く高めるための、さらにはこれらの部品における信号の伝達速度を高めるための継続的な要求が存在する。これらの目的を達成するための一つの方法は、部品に用いられる層間または金属間、絶縁体の誘電率を低下させることである。
【0003】
電子デバイス、特に集積回路の製造分野においては、種々の有機および無機の多孔性誘電体が知られている。好適な無機誘電体には、二酸化ケイ素および有機ポリ二酸化ケイ素が包含される。好適な有機誘電体には、熱硬化性樹脂、例えばポリイミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレン、ポリシアヌレート、ポリベンズアゾール、ベンゾシクロブテン、フッ素化物質、例えばポリ(フルオロアルカン)などが包含される。有機ポリ二酸化ケイ素の誘電体の中で、アルキルシルセスキオキサン、例えばメチルシルセスキオキサンは、誘電率が小さい為、重要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0077629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘電体下層を伴うプロセスにおいて、フォトレジスト材料を剥離し、且つ下層の誘電体の一部を除去するために、プラズマ「アッシング」が採用されてきた。米国特許出願公開第2005/0077629号を参照のこと。アッシングはプラズマ剥離プロセスと称され、フォトレジスト材料およびエッチング後の物質が、プラズマによって基体から除去される。多くの場合、エッチングまたは埋込プロセスの後にアッシングを実施され得る。少なくとも特定の用途に関しては、アッシングは最適とはいえず、例えば、アッシングプラズマは、製造された電子デバイスにおいて形成された種々の層を望ましくなく劣化させることがある。
【0006】
そこで、発明者らは、集積回路をはじめとする電子デバイスを製造するための新規な方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様においては、(a)基体上に硬化性組成物を適用する工程、(b)硬化性組成物上にハードマスク組成物を適用する工程、(c)ハードマスク組成物上にフォトレジスト組成物層を適用する工程を含む方法であって、一以上の組成物がアッシングを含まないプロセスにおいて除去される方法が提供される。このような態様においては、ハードマスク組成物層および/または下層の硬化性組成物層は、好ましくは、例えば一以上の有機溶媒および/または水溶性アルカリ組成物をを用いて除去される。
【0008】
好ましい態様においては、硬化性組成物は、ビニルモノマーまたはオリゴマー、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン化合物)、およびその他のビニル化合物の重合によって好適に形成される一以上の有機樹脂を含むことができる。好適には、かかる硬化性組成物は樹脂成分に加えて架橋剤も含み、好ましくは架橋剤が、熱プロセスの間の著しい昇華に対し耐性を示す。
【0009】
一つの実施形態においては、硬化性組成物は、架橋剤成分であるが、しかし別の樹脂成分ではないものを含んでもよい。好ましい硬化性組成物は、例えば、組成物のコーティング層を基体上に適用した後、活性化放射線(例えば400nm以下または300nm以下)に全体的に暴露することを介して組成物の硬化を促進するための硬化触媒、例えばフリーラジカル重合触媒を含むことができる。
【0010】
本発明の第二の態様において、(a)基体上に有機組成物を適用する工程、(b)有機組成物上にフォトレジスト組成物層を適用する工程を含む方法であって、下層の有機組成物が、熱処理および/または放射線処理の際にアルカリ可溶性基を生じさせ得る物質を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の第二の態様においては、下層の有機組成物は、一以上の光酸不安定基(photoacid−labile groups)および/または熱不安定基(thermally−labile groups)、例えば光酸不安定エステルまたはアセタール基を含む樹脂を好適に含むことができ、これは例えば、t−ブチルアクリレートおよびt−ブチルメタクリレートをはじめとするアクリル酸エステルの重合によって提供され得る。下層の有機組成物はさらに一以上の無水物基を好適に含み得る。
【0012】
本発明のこの態様において、下層の組成物はさらに一以上の発色団基を含んでもよく、それによって、オーバーコートされたフォトレジスト層のための反射防止層としての機能を向上する。好ましい発色団基は芳香族基であり、例えば193nmで画像化されるオーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのフェニル基、ならびに248nmで画像化されるオーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのアントラセンおよびナフチレン基である。
【0013】
本発明のこの態様において、下層の組成物を適用した後、例えば150℃、200℃または250℃以上で、熱処理を行ってもよく、これにより組成物中に存在する前記不安定基の脱保護が起こり、水性アルカリ可溶性基を提供することができる。例えば、このような熱処理下で、t−ブチルエステル基を脱保護して酸(COOH基)を形成させることができる。また、これらの解放されたカルボン酸基は、分子間および分子内の架橋を行うことができ、例えば無水物基が得られ、その後に適用されるフォトレジスト層に対し不溶性のコーティング組成物層が提供される。しかしながら、十分なカルボン酸基(すなわち無水物基が形成されないもの)が残存して、オーバーコートされたレジスト層を現像するために用いる水性アルカリ現像液における下層の溶解性を提供することができ、それにより、単一の現像工程において、レジストおよび下層の組成物層の両方の現像が可能となる。
【0014】
本発明のこのような態様において、下層のコーティング組成物が、従来の下層反射防止用コーティング組成物で用いられるような、追加の架橋剤成分(例えばアミン物質)を含む必要はない。したがって、下層のコーティング組成物には、添加される架橋剤成分、例えばアミン物質が、少なくとも実質的に、本質的にまたは完全に含まれていなくてもよい。5、4、3、2または1重量パーセント未満の固体(溶媒担体以外のすべての成分)が、架橋剤以外のもの、例えばアミン系物質(例えばベンゾグアナミンもしくはメラミン物質)以外のものである場合、下層のコーティング組成物は、少なくとも実質的に架橋剤を含まないコーティング組成物である。
【0015】
本発明のこのような態様において、下層のコーティング組成物は、熱処理の際に脱ブロッキングおよびカルボン酸基の生成を促進するため、酸または酸発生剤(例えば光酸発生剤または熱酸発生剤)を任意に含んでもよい。
【0016】
本発明はさらに、上記の方法に有用な組成物を提供する。
【0017】
したがって、一つの態様においては、アッシングを含まない除去プロセスにおける使用に好適な硬化性コーティング組成物が提供される。上述のように、硬化性組成物は、ビニルモノマーまたはオリゴマー、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン化合物)、およびその他のビニル化合物の重合によって好適に形成される一以上の有機樹脂を好適に含み得る。このような硬化性組成物が、樹脂成分に加えて架橋剤を含むことも好ましく、架橋剤が熱プロセスの間の著しい昇華に対して耐性を示すこと好ましい。例えば、好ましい架橋剤は、昇華耐性を与えるために、約100、200、300、400、500または1000を超える分子量を持有する。
【0018】
さらなる態様においては、熱処理の際に酸基(例えば−COOH基)を提供することができる熱不安定基または酸不安定基を含む成分を含む下層のコーティング組成物が提供される。この成分は、熱不安定基または酸不安定基を含む一以上の樹脂を好適に含み得る。また、組成物は、酸または酸発生剤化合物、例えば光酸発生剤化合物もしくは熱酸発生剤化合物を必要に応じて含み得る。好ましい態様においては、この組成物は、別の架橋剤成分、例えばアミン系物質を少なくとも実質的に含まないものであり得る。また、この組成物は、特にコーティング組成物の反射防止性を高めるため、一以上の発色団、例えば芳香族基、を含む成分を含むことができる。
【0019】
種々のフォトレジストを、本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわちオーバーコートされたものとして)用いることができる。本発明の反射防止組成物と共に用いるための好ましいフォトレジストは、化学増幅レジストであり、特にポジ型フォトレジスト、すなわち一以上の光酸発生剤化合物を含み、及び光によって発生する酸の存在下で脱ブロッキング反応または開裂反応を受ける単位、例えば光酸不安定のエステル単位、アセタール単位、ケタール単位もしくはエーテル単位を含む樹脂成分を含むポジ型フォトレジストである。また、ネガ型フォトレジスト、例えば活性化放射線に暴露された際に架橋する(すなわち硬化するまたは硬くなる)レジストも、本発明のコーティング組成物と共に用いることができる。本発明のコーティング組成物と共に用いるための好ましいフォトレジストは、比較的短い波長の放射線、例えば300nm未満もしくは260nm未満、例えば約248nmの波長を有する放射線、または約200nm未満、例えば193nmの波長を有する放射線によって画像化されるものであり得る。
【0020】
本発明はさらに、フォトレジストレリーフ像および電子デバイスを形成する方法、ならびに本発明のコーティング組成物のみで、またはフォトレジスト組成物を組み合わせたものでコーティングされた基体(例えばマイクロエレクトロニクスウエハー基体)を含む新規な製造物品を提供する。
【0021】
本発明の他の態様は以下に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
硬化性コーティング組成物(アッシングを含まないプロセスにおいて有用):
樹脂
本発明の硬化性組成物において用いるのに好適なポリマーとしては、エチレン性またはアセチレン性不飽和モノマーから誘導されるものが挙げられ、これらは例えばそのポリマー鎖を、不安定であって且つホストマトリクス物質を通過して急速に拡散する当初のモノマー単位に解くことによって除去され得る。「除去され得る」とは、ポリマー粒子が解重合し、分解し、またはその他の方法によって崩壊して、不安定な成分になり、次いでそれらがホスト誘電体マトリクスフィルムを介して拡散し得ることを意味する。好適な不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、ビニル芳香族モノマー、窒素含有化合物およびこれらのチオ類似体、ならびに置換されたエチレンモノマーが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
本硬化性組成物の樹脂において有用なアルキル(メタ)アクリレートとしては、(C−C24)アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。適切なアルキル(メタ)アクリレートとしては、「ローカット」アルキル(メタ)アクリレート、「ミッドカット」アルキル(メタ)アクリレートおよび「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
「ローカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、アルキル基が1〜6の炭素原子を含むものである。好適なローカットアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルメタクリレート(「MMA」)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(「BMA」)、ブチルアクリレート(「BA」)、イソブチルメタクリレート(「IBMA」)、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
「ミッドカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、アルキル基が7〜15の炭素原子を含むものである。好適なミッドカットアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−エチルヘキシルアクリレート(「EHA」)、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート(「IDMA」、分岐鎖の(C10)アルキル異性体の混合物に基づく)、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレートとしても知られる)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート(ミリスチルメタクリレートとしても知られる)、ペンタデシルメタクリレートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。特に有用な混合物としては、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(「DPMA」);ドデシル、トリデシル、テトラデシルおよびペンタデシルメタクリレートの直鎖および分岐鎖の異性体の混合物;ならびにラウリル−ミリスチルメタクリレート(「LMA」)が挙げられる。
【0026】
「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、アルキル基が16〜24の炭素原子を含むものである。好適なハイカットアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノナデシルメタクリレート、コシルメタクリレート、エイコシルメタクリレートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ハイカットアルキル(メタ)アクリレートの特に有用な混合物としては、ヘキサデシル、オクタデシル、コシルおよびエイコシルメタクリレートの混合物であるセチル−エイコシルメタクリレート(「CEMA」)、ならびにヘキサデシルおよびオクタデシルメタクリレートの混合物であるセチル−ステアリルメタクリレート(「SMA」)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0027】
上記のミッドカットおよびハイカットアルキル(メタ)アクリレートモノマーは一般的に、工業用グレードの長鎖脂肪族アルコールを用いる標準的なエステル化手順によって調製され、これらの商業的に入手可能なアルコールは、そのアルキル基において10〜15または16〜20の炭素原子を含有するさまざまな鎖長のアルコールの混合物である。これらのアルコールの例は、Vista Chemical社の種々のチーグラー触媒によるAlfolアルコール、すなわちALFOL 1618およびALFOL 1620、Shell Chemical社のチーグラー触媒による種々のNEODOLアルコール、すなわちNEODOL 25L、ならびに天然由来のアルコール、例えばProctor and GambleのTA−1618およびCO−1270である。したがって、本発明の目的にとっては、アルキル(メタ)アクリレートとしては、指定された個々のアルキル(メタ)アクリレート生成物だけが含まれるのではなく、指定された特定のアルキル(メタ)アクリレートの量が支配的であるアルキル(メタ)アクリレートの混合物もまた含まれることを意図する。
【0028】
本硬化性組成物の樹脂において有用なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単一のモノマーでもよく、またはアルキル部分において異なる数の炭素原子を有する混合物でもよい。また、本発明において有用な(メタ)アクリルアミドモノマーおよびアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、任意に置換されていてもよい。任意に置換されてもよい好適な(メタ)アクリルアミドモノマーおよびアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C−C)−アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C−C)アルキル(メタク)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
特に有用な置換アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基内に一以上のヒドロキシル基を伴うものであり、とりわけ、ヒドロキシル基がアルキル基内のβ−位(2位)に見られるものである。置換されたアルキル基が(C−C)アルキル、分岐鎖または非分岐鎖の(C−C)アルキルであるところのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。好適なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(「HEA」)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、HEMA、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびこれらの混合物である。後者の二つのモノマーの混合物は、一般的に「ヒドロキシプロピルメタクリレート」すなわち「HPMA」と称される。
【0030】
本硬化性組成物の樹脂において有用なその他の置換(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリルアミドモノマーは、アルキル基内にジアルキルアミノ基またはジアルキルアミノアルキル基を伴うものである。このような置換(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドの例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、N,N−ジ−エチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルメタクリルアミド、N−(1,1−ジメチル3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1,3−ジフェニル−1−エチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1−メチル−1−フェニル−3−オキソブチル)メタクリルアミド、および2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アミノエチルエチレン尿素のN−メタクリルアミド、N−メタクリルオキシエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアミンのN−マレイミドならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
本硬化性組成物の樹脂において有用なその他の置換(メタ)アクリレートモノマーはケイ素含有モノマーであり、例えば、γ−プロピルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルトリ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルキル(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルジ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニル(C−C)アルコキシジ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物である。
【0032】
本硬化性組成物の樹脂における不飽和モノマーとして有用なビニル芳香族モノマーとしては、スチレン(「STY」)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ビニル芳香族モノマーには、それらに対応する置換対応物も包含され、例えば、ハロゲン化誘導体、すなわち一以上のハロゲン基、例えばフッ素、塩素または臭素を含むもの;およびニトロ、シアノ、(C−C10)アルコキシ、ハロ(C−C10)アルキル、カルボ(C−C10)アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(C−C10)アルキルアミノ誘導体などがある。
【0033】
本硬化性組成物の樹脂における不飽和モノマーとして有用な窒素含有化合物およびそれらのチオ類似体としては、ビニルピリジン、例えば2−ビニルピリジンまたは4−ビニルピリジン;低級アルキル(C−C)置換N−ビニルピリジン、例えば2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5ビニルピリジンおよび2−メチル−3−エチル−5−ビニルピリジン;メチル置換キノリンおよびイソキノリン:N−ビニルカプロラクタム;N−ビニルブチロラクタム;N−ビニルピロリドン;ビニルイミダゾール;N−ビニルカルバゾール;N−ビニルスクシンイミド;(メタ)アクリロニトリル;o−、m−、またはp−アミノスチレン;マレイミド;N−ビニル−オキサゾリドン;N,N−ジメチルアミノエチル−ビニル−エーテル;エチル−2−シアノアクリレート;ビニルアセトニトリル;N−ビニルフタルイミド;N−ビニル−ピロリドン、例えばN−ビニル−チオ−ピロリドン、3メチル−1−ビニル−ピロリドン、4−メチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−1−ビニル−ピロリドン、3−エチル−1−ビニル−ピロリドン、3−ブチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3−ジメチル−1−ビニルピロリドン、4,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、5,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3,5−トリメチル−1−ビニルピロリドン、4−エチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−5−エチル−1−ビニル−ピロリドンおよび3,4,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドン;ビニルピロール;ビニルアニリン;ならびにビニルピペリジンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
本硬化性組成物の樹脂における不飽和モノマーとして有用な置換エチレンモノマーとしては、アリルモノマー、酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよび臭化ビニリデンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
本発明において有用な溶液ポリマーは直鎖でもまたは分岐鎖でもよく、コポリマーでもまたはホモポリマーでもよい。本硬化性組成物における樹脂として有用な好適な溶液ポリマーとしては、ブチルアクリレートホモポリマー、エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、イソデシルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマーおよびベンジルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、これらのポリマーの分子量は10,000〜1,000,000の範囲であり、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜100,000である。これらの物質の多分散度は1〜20の範囲であり、1.001〜15が好ましく、1.001〜10がより好ましい。
【0036】
本発明の組成物の溶液ポリマーは、非水性溶媒中で調製される。かかる重合に好適な溶媒は、当業者にはよく知られている。かかる溶媒の具体例としては、炭化水素、例えばアルカン、フッ化炭化水素および芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコールならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。特に好適な溶媒としては、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、カプロラクトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、デカノールおよびt−ブタノールが挙げられる。
【0037】
本発明の組成物において有用な溶液ポリマーは一般的に、まず最初に、溶媒ヒール、またはその代わりの溶媒とモノマー混合物の一部との混合物を、撹拌器、温度計および還流冷却器を備えた反応容器に投入することによって調製される。モノマー混合物は典型的に、モノマー、開始剤および必要に応じて連鎖移動剤から構成される。溶媒または溶媒/モノマー混合物ヒールを、窒素ブランケット下撹拌しながら約55℃〜約125℃の温度に加熱する。ヒールチャージが重合を開始するのに十分な温度に達した後、モノマー混合物またはモノマー混合物の残りを、15分間〜4時間にわたって反応容器に投入すると同時に、所望の反応温度で反応を維持する。モノマー混合物の添加が完了した後、追加する一連の溶媒中の開始剤のアリコートを反応物に投入する。典型的に、開始剤を反応物に投入し、次いで次の開始剤の量を添加する前に、反応が起きるまでの間保持する。典型的に、三回の開始剤の添加が用いられる。最後の開始剤の量を添加した後、すべての重合開始剤を完全に分解させ、完全な反応を促進するために、そのバッチを30分間〜4時間保持する。別の方法は、まず最初に溶媒とモノマー混合物の一部の両者を反応容器に投入することである。
【0038】
本硬化性組成物において有用なエマルジョン状ポリマーは一般的に、まず最初に、水とモノマーエマルジョンの一部とを、撹拌器、温度計および還流冷却器を備えた反応容器に投入することによって調製される。典型的に、モノマーエマルジョンはモノマー、界面活性剤、開始剤および必要に応じて連鎖移動剤から構成される。最初に投入したモノマーエマルジョンを、窒素ブランケット下撹拌しながら約55℃〜約125℃の温度に加熱する。シードチャージが重合を開始するのに十分な温度に達した後、モノマーエマルジョンまたはモノマーエマルジョンの残りを、15分間〜4時間にわたって反応容器に投入すると同時に、所望の反応温度で反応を維持する。モノマーエマルジョンの添加が完了した後、追加する一連の水中の開始剤のアリコートを反応物に投入する。典型的に、開始剤を反応物に投入し、次いで次の開始剤の量を添加する前に、反応が起こるまでの間保持する。典型的に、三回の開始剤の添加が用いられる。最後の開始剤の量を添加した後、すべての重合開始剤を完全に分解させ、完全な反応を促進するために、そのバッチを30分間〜4時間保持する。
【0039】
別の方法では、バッチプロセスでエマルジョン重合を行ってもよい。このようなバッチプロセスにおいて、エマルジョンポリマーは、水、モノマー、界面活性剤、重合開始剤および必要に応じて連鎖移動剤を、窒素ブランケット下撹拌しながら反応容器に投入することによって調製される。モノマーエマルジョンを約55℃〜約125℃の温度に加熱し、重合を行う。この温度で30分間〜4時間経過した後、追加する一連の開始剤のアリコートを反応容器に投入する。典型的に、重合開始剤を反応容器に投入し、次いで次の開始剤量のを添加する前に、反応が起きるまでの間保持する。典型的に、三回の開始剤の添加が採用される。すべての重合開始剤を完全に分解させ、完全な反応を促進するため、最後の開始剤の量を添加した後、そのバッチを30分間〜4時間保持する。
【0040】
本硬化性組成物において用いるためのポリマーは、アニオン重合技術またはラジカル重合技術用いて調製されるものが好ましい。また、本発明において有用なポリマーは、段階成長重合(step−growth polymerization)プロセスによって調製されないことが好ましい。
【0041】
硬化性組成物の架橋剤(第一の態様)
硬化性コーティング組成物において有用な好適な架橋剤としては、ジ−、トリ−、テトラ−またはより多くの官能性のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。本発明において有用な架橋剤の具体例としては、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレンおよびジビニルキシレン;および例えばエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタクリレート(「ALMA」)、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート(「DEGDMA」)、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、ジビニルベンゼン(「DVB」)、グリシジルメタクリレート、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0042】
その他の架橋剤も有用である。
【0043】
上記のように、好ましい架橋剤は、プロセスの間の昇華に対する耐性を有するものとなる。とりわけ、より分子量が大きい物質が好ましい。
【0044】
硬化性コーティング組成物のための重合触媒(第一の態様)
上述のように、硬化性コーティング組成物は、適用された組成物層を硬くすること(硬化)を促進するための重合触媒または硬化触媒も含み得る。
【0045】
種々の重合触媒を用いることができ、例えば一以上のフリーラジカル重合触媒が挙げられる。
【0046】
酸基を提供するために熱により脱保護可能な基を有する下層の組成物(第二の態様)
上述のように、下層のコーティング組成物は、熱処理の際に酸基(例えば−COOH基)を提供することができる熱不安定基または酸不安定基を含む成分を含むものを提供する。この成分は、熱不安定基または酸不安定基を含む一以上の樹脂を適切に含み得る。組成物は、酸または酸発生剤化合物、例えば光酸発生剤化合物もしくは熱酸発生剤化合物を任意に含んでもよい。好ましい態様においては、この組成物には、別の架橋剤成分、例えばアミン系物質が少なくとも実質的に含まれていなくてもよい。また、組成物は、特にコーティング組成物の反射防止特性を促進するための一以上の発色団基、例えば芳香族基、を含む成分を含んでもよい。
【0047】
好ましい樹脂は、二以上の異なる繰り返し単位を伴うコポリマーであり得る。アクリル樹脂は、多くの用途に特に適したものであり得る。より高次の樹脂も好ましく、ターポリマー(三つの異なる繰り返し単位)およびテトラポリマー(四つの異なる繰り返し単位)が挙げられる。
【0048】
特に反射を抑える用途のための本発明のコーティング組成物は、オーバーコートされたフォトレジスト層を暴露するために用いられる放射線を吸収する追加の染料化合物を含み得る。その他の任意の添加剤としては、表面のレベリング剤が挙げられ、例えばUnion Carbideから商品名Silwet7604で入手可能なレベリング剤、または3M社から入手可能な界面活性剤FC171もしくはFC431が挙げられる。
【0049】
アクリレート系樹脂は、公知の方法、例えば一以上のアクリレートモノマー、例えばヒドロキシエチルメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートメチルアントラセンメタクリレートまたはその他のアントラセンアクリレートなどの、重合(例えばラジカル開始剤の存在下)によって調製することができる。無水物、例えば無水マレイン酸をはじめとするその他のモノマーを、アクリレートモノマーと共重合することができる。反射防止組成物内で用いるために、一以上の共重合されたモノマーは、好適な発色団基、例えば248nmの放射線で画像化されるオーバーコートされたフォトレジストと共に用いる反射防止コーティング組成物において用いるためのアントラセン、または193nmの放射線で画像化される反射防止コーティング組成物において用いるためのフェニルを含有することができる。本発明のコーティング組成物において有用な樹脂を好適に合成するための後述の具体例も参照のこと。
【0050】
本発明の特に好ましいコーティング組成物は、無水物部位およびヒドロキシル部位を含む一以上の成分を含む。かかる好ましい組成物において、無水物部位およびヒドロキシル部位は、単一の組成物成分上に、例えば樹脂上に共に存在していてもよく、例えばヒドロキシル基を含有するモノマーと無水物モノマーとの共重合によって樹脂上に共に存在していてもよい。あるいは、無水物部位およびヒドロキシル部位が別々の組成物成分、例えば別々の樹脂上において共に存在していてもよく、例えば、一つの樹脂が無水物基を含み、そして別の樹脂がヒドロキシル基を含むといったように共に存在していてもよい。
【0051】
上述のように、反射防止用途のためには、反応して樹脂を形成する好適な一以上の化合物は、オーバーコートされたフォトレジストコーティング層を暴露するために用いられる放射線を吸収するための発色団として機能することができる部位を含む。例えば、フェニル化合物、例えばスチレンまたはフェニルアクリレート(例えばベンジルアクリレートもしくはベンジルメタクリレート)を、その他のモノマーと重合化して、200nm未満の波長、例えば193nmで画像化されるフォトレジストと共に用いられる反射防止組成物において特に有用な樹脂を提供することができる。同様に、300nm未満の波長または200nm未満の波長、例えば248nmまたは193nmで画像化されるオーバーコートされるフォトレジストと共に、組成物において用いられる樹脂では、ナフチル化合物、例えば一または二以上のカルボキシル置換基を含むナフチル化合物、例えばジアルキル、とりわけジ−C1−6アルキルナフタレンジカルボキシレートが重合され得る。反応性アントラセン化合物も好ましく、例えば、一以上のカルボキシ基またはエステル基を有するアントラセン化合物、例えば一以上のメチルエステル基またはエチルエステル基を有するアントラセン化合物も好ましい。
【0052】
遠紫外線(すなわちオーバーコートされたレジストを遠紫外線照射で画像化する)に対しては、反射防止組成物のポリマーが遠紫外線の範囲(典型的に約100〜300nm)の反射を吸収することが好ましい。したがって、好ましくは、ポリマーは、遠紫外線発色団である単位、すなわち遠紫外線照射を吸収する単位を含む。高度に共役した部位は一般的に好適な発色団である。芳香族基、特に多環式炭化水素またはヘテロ環式単位は典型的に好ましい遠紫外線発色団であり、例えば2から3、4つの、縮合したまたは別々の3〜8員環を有する基であり、それぞれの環は一つの環あたり0〜3つのN、OもしくはS原子を有するのが好ましい。かかる発色団としては、必要に応じて置換されてもよいフェナントリル、必要に応じて置換されてもよいアントラシル、必要に応じて置換されてもよいアクリジン、必要に応じて置換されてもよいナフチル、必要に応じて置換されてもよいキノリニルおよび環置換されたキノリニル、例えばヒドロキシキノリニル基が挙げられる。必要に応じて置換されてもよいアントラセニル基は、オーバーコートされたレジストの248nmでの画像化に特に好ましい。好ましい反射防止組成物樹脂はペンダントしたアントラセン基を有する。好ましい樹脂としては、Shipley Company社の欧州特許出願公開第813114A2号の第4頁に開示された化学式Iのものが挙げられる。
【0053】
別の好ましい樹脂結合剤は、必要に応じて置換されてもよいキノリニル基または一以上のN、OまたはS環原子を有するキノリニル誘導体、例えばヒドロキシキノリニルを含む。ポリマーは、その他の単位、例えばポリマーの主鎖からペンダントしたカルボキシ単位および/またはアルキルエステル単位を含んでもよい。このような単位を含有するアクリルの特に好ましい反射防止組成物樹脂としては、例えばShipley Companyの欧州特許出願公開第813114A2号の第4〜5頁に開示された化学式IIの樹脂が挙げられる。
【0054】
上述のように、193nmで画像化するために、反射防止組成物はフェニル発色団単位を有する樹脂を好ましく含み得る。例えば、193nmで画像化されるフォトレジストと共に用いるための一つの好適な反射防止用樹脂は、スチレンと無水マレイン酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートの重合単位からなるターポリマーである。
【0055】
本発明の好ましい反射防止組成物の樹脂は、約1,000〜約10,000,000ダルトン、より典型的には約5,000〜約1,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、及び約500〜約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)有する。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMnのいずれか)は、ゲル透過クロマトグラフィーによって適切に測定される。
【0056】
吸収性の発色団を有するコーティング組成物樹脂が一般的に好ましいが、本発明の反射防止組成物は、共樹脂(co−resin)または単独の樹脂(sole−resin)結合剤成分のいずれかとしてのその他の樹脂を含んでもよい。例えば、フェノール、例えば、ポリ(ビニルフェノール)およびノボラック用いることができる。かかる樹脂は、本明細書に組み込まれるShipley Company社の欧州特許出願EP542008号に開示されている。フォトレジスト樹脂結合剤として以下に記載されているその他の樹脂も、本発明の反射防止組成物の樹脂結合剤成分に用いることができる。
【0057】
本発明のコーティング組成物のかかる樹脂成分の濃度は、比較的広い範囲で変化してもよく、および一般的には、コーティング組成物の総乾燥成分の約50〜95重量パーセントの濃度において樹脂結合剤が用いられ、より典型的には総乾燥成分(溶媒担体以外のすべての成分)の約60〜90重量パーセントである。
【0058】
酸または酸発生剤化合物(任意成分、第二の態様)
本発明のコーティング組成物は追加の任意の成分を含んでもよい。したがって、例えば、コーティング組成物は追加の酸源、例えば酸または酸発生剤化合物、特に熱酸発生剤化合物を好適に含むことができ、これによって適用されるコーティング組成物を、例えばオーバーコートされたフォトレジスト層に適用する前の熱処理によって硬化させることができる。
【0059】
しかしながら、上述のように、好ましい態様においては、本発明のコーティング組成物を、このような追加の酸または酸発生剤化合物を含むことなく形成することができる。いかなる追加の酸または酸発生剤化合物を含まないかまたは少なくとも本質的に含まないこのような組成物が、保存性向上をはじめとする性能上の利点を与え得る。本明細書で述べるように、追加の酸または酸発生剤化合物を本質的に含まない組成物は、形成された溶媒ベースのコーティング組成物の総重量を基準として3、2または1重量パーセント未満の追加の酸または酸発生剤化合物を有する。さらに本明細書で述べる場合に、追加の酸は、組成物に存在し得る残存する酸、例えば樹脂合成から残される樹脂内に閉じこめられた残存する酸、とは別のものである。
【0060】
追加の酸または酸発生剤化合物を用いる場合、反射防止組成物のコーティング層が硬化する間に架橋を触媒する又は促進するために、コーティング組成物は、熱酸発生剤化合物(すなわち熱処理の際に酸を発生させる化合物)、例えばイオン性または実質的に中性の熱酸発生剤、例えばアンモニウムアレンスルホネート塩、を好適に含む。典型的に、一以上の熱酸発生剤が反射防止組成物中に、組成物の総乾燥成分(溶媒担体以外のすべての成分)の約0.1〜10重量パーセントの濃度存在し、より好ましくは総乾燥成分の約2重量パーセント存在する。
【0061】
本発明のコーティング組成物はまた、典型的に、一以上の光酸発生剤化合物を、他の酸源(例えば酸または熱酸発生剤化合物)に加えて含んでもよい。光酸発生剤化合物(PAG)のかかる使用において、光酸発生剤は、架橋反応を促進するための酸源としては用いない。したがって、光酸発生剤が、コーティング組成物の架橋の間に(架橋性コーティング組成物の場合)、実質的に活性化されないことが好ましい。光酸発生剤をかかる使用は、Shipley Companyに与えられた米国特許第6,261,743号に開示されている。特に、熱によって架橋するコーティング組成物に関しては、次に行われるオーバーコートされたレジスト層の露光の間に、PAGを活性化させて酸を発生させることができるように、コーティング組成物のPAGは架橋反応の条件に対して実質的に安定であることが必要である。具体的には、約140または150〜190℃の温度で5〜30分間またはそれ以上の露光の際に、好ましいPAGは実質的に分解されるかまたはその他の方法で劣化することはない。
【0062】
本発明の反射防止組成物またはその他のコーティングにおけるかかる使用のために一般的に好ましい光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、例えばジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−ペルフルオロオクタンスルホネート、ハロゲン化非イオン性光酸発生剤、例えば、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、およびフォトレジスト組成物において用いるために開示されたその他の光酸発生剤が挙げられる。少なくともいくつかの本発明の反射防止組成物にとっては、界面活性剤として機能することができ、且つ反射防止組成物/レジストコーティング層の界面に隣接した反射防止組成物層の上方部分付近に集まることができる、反射防止組成物の光酸発生剤が好ましい。したがって、例えば、かかる好ましいPAGには、伸長した脂肪族基、例えば置換されたかもしくは非置換の、4以上の炭素、好ましくは6〜15もしくはそれ以上の炭素、またはフッ素化基を有するアルキル基または脂環基、例えば、一つかまたは好ましくは二つ以上のフルオロ置換基を有するC1−15アルキルまたはC2−15アルケニルが含まれ得る。
【0063】
下層のコーティング組成物の形成(第二の態様)
本発明の液状コーティング組成物を作るために、下層のコーティング組成物の成分を、好適な溶媒、例えば、一以上のオキシイソ酪酸エステル、特に上記のメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、乳酸エチルまたは一以上のグリコールエーテル、例えば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルとヒドロキシ部位との両方を有する溶媒、例えばメトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノールおよびエトキシプロパノール;エステル、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ならびにその他の溶媒、例えば二塩基エステル、プロピレンカルボネートおよびガンマ−ブチロラクトンに溶解させる。本発明の反射防止用コーティング組成物にとって好ましい溶媒は、メチル−2−ヒドロキシイソブチレートであり、必要に応じてアニソールを混合してもよい。溶媒中の乾燥成分の濃度は、いくつかの因子、例えば 適用方法に依存する。一般的に、反射防止組成物の固形分の含量は、コーティング組成物の総重量の約0.5〜20重量パーセントで変化し、固形分の含量がコーティング組成物の約2〜10重量パーセントで変化することが好ましい。
【0064】
例示的なフォトレジスト系
ポジ型およびネガ型の光酸発生性組成物をはじめとする種々のフォトレジスト組成物を、本発明のコーティング組成物と共に採用することができる。本発明の下層の組成物と共に用いられるフォトレジストは、樹脂結合剤と光活性成分、典型的には光酸発生剤化合物、を典型的に含む。好ましいフォトレジスト樹脂結合剤は、画像化されるレジスト組成物に対するアルカリ水溶液現像可能性を与える官能基を有する。
【0065】
本発明の下層の組成物と共に用いるために特に好ましいフォトレジストは化学増幅型レジストであり、特に、レジスト層において光活性化された酸が、一以上の組成物成分の脱保護型反応を誘導し、それによってレジストコーティング層の露光された領域と露光されなかった領域間の溶解性の差を提供する、ポジ型化学増幅型レジスト組成物である。多数の化学増幅型レジスト組成物が、例えば米国特許第4,968,581号、第4,883,740号、第4,810,613号、第4,491,628号および第5,492,793号に記載されており、これらのすべてはポジ型化学増幅型レジストを作製し使用するための教示として、引用することによって本明細書に組み込まれる。本発明のコーティング組成物は、光酸の存在下で脱ブロッキングを受ける、アセタール基を有するポジ型化学増幅型フォトレジストと共に用いることに特に適している。このようなアセタールベースのレジストは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている。
【0066】
本発明の下層の組成物はまた、極性の官能基(例えばヒドロキシルまたはカルボキシレート)を含む樹脂結合剤を含有するものなどをはじめとするその他のポジ型レジストと共に用いてもよく、該樹脂結合剤は、レジスト組成物において、アルカリ性水溶液によってレジストが十分に現像可能となる量の用いられる。一般的に好ましいレジスト樹脂結合剤は、本技術分野において、ノボラック樹脂として知られるフェノール・アルデヒド縮合物、アルケニルフェノールのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにN−ヒドロキシフェニルマレイミドのホモポリマーおよびコポリマーをはじめとするフェノール樹脂である。
【0067】
本発明の下層のコーティング組成物と共に用いるための好ましいポジ型フォトレジストは、画像化する能力がある量の光酸発生剤化合物、および一以上の次の群から選択される樹脂を含む。
【0068】
1)248nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを与えることができる酸不安定基を含有するフェノール樹脂。この種の特に好ましい樹脂としては次のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合単位を含有するポリマーであって、重合されたアルキルアクリレート単位が光酸の存在下で脱ブロッキング反応を受け得るもの。光酸誘導性の脱ブロッキング反応を受け得る例示的なアルキルアクリレートとしては、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、ならびに光酸誘導性の反応を受け得るその他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレート、例えば米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられる;ii)ビニルフェノール、必要に応じて置換されてもよいがヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まないビニルフェニル(例えばスチレン)、およびアルキルアクリレート、例えば上記のポリマーi)と共に記載されているこれらの脱ブロッキング基、の重合単位を含むポリマー。例えば引用することによって本明細書に組み込まれる米国特許第6,042,997号に記載されたポリマー;ならびにiii)光酸と反応するアセタール部位またはケタール部位を含む繰り返し単位、および必要に応じて芳香族(例えばフェニル基またはフェノール基)の繰り返し単位、を含むポリマー。;このようなポリマーは米国特許第5,929,176および第6,090,526号において記載されている。
【0069】
2)200nm未満の波長、例えば193nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを与えることができる、フェニル基またはその他の芳香族基を実質的にまたは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂としては、次のものが挙げられる:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位、例えば必要に応じて置換されてもよいノルボルネンを含むポリマーであり、例えば米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載のポリマー;ii)アルキルアクリレート単位、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレートおよびその他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレートを含むポリマーが挙げられる;。このようなポリマーは、米国特許第6,057,083号、欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;ならびに米国特許出願第09/143,462号に記載されている。ならびにiii)重合した無水物単位、特に重合した無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマーであり、例えば欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されている。
【0070】
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む(しかし、無水物以外のもの、すなわちこの単位はケト環の原子を含まない)繰り返し単位を含み、好ましくは如何なる芳香族単位を実質的にまたは完全に含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位は樹脂の主鎖と結合し、さらに好ましいものは、例えばノルボレン基および/または無水物単位の重合、例えばマレイン酸無水物またはイタコン酸無水物の重合によって提供される、縮合した炭素脂環式単位を含む樹脂である。このような樹脂はPCT/US01/14914号に開示されている。
【0071】
4)例えばテトラフルオロエチレン、フッ化芳香族基、例えばフルオロスチレン化合物などの重合によって供給され得るフッ素置換を含有する樹脂(フルオロポリマー)。かかる樹脂の例は、例えばPCT/US99/21912号に開示されている。
【0072】
本発明のコーティング組成物上にオーバーコートするポジ型またはネガ型のフォトレジストにおいて用いるのに好適な光酸発生剤としては、イミドスルホネート、例えば次の化学式の化合物が挙げられる。
【0073】
【化1】

【0074】
式中、Rは、ショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0075】
スルホネート化合物、特にスルホネート塩も、本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるレジストにとって好適なPAGである。193nmおよび248nmでの画像化に好適な二つの薬剤は、次のPAG1および2である。
【0076】
【化2】

【0077】
かかるスルホネート化合物は、上記のPAG1の合成を詳述している欧州特許出願第96118111.2号(公開番号0783136号)に開示されるようにして、調製することができる。
【0078】
また、上記のカンファースルホネート基以外のアニオンと複合化した上記の二つのヨードニウム化合物も好適である。特に、好ましいアニオンとしては式RSOのものが挙げられ、ここで、Rはアダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)であり、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。
【0079】
また、その他の公知のPAGを、下層のコーティング組成物と共に用いられるフォトレジストに用いてもよい。
【0080】
本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるフォトレジストの好ましい任意の添加剤は追加の塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテートであり、これらは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上することができる。193nmで画像化されるレジストに対して、好ましい添加される塩基はヒンダードアミンであり、例えばジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。添加される塩基は、比較的少量(例えば固形分の総量に対して約0.03〜5重量パーセント)で好適に用いられる。
【0081】
本発明のオーバーコートされたコーティング組成物と共に用いる好ましいネガ型レジスト組成物は、酸および光酸発生剤への暴露の際に硬化する、架橋するまたは硬くなる物質の混合物を含む。
【0082】
特に好ましいネガ型レジスト組成物は、樹脂結合剤、例えばフェノール樹脂、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。かかる組成物およびその使用は、欧州特許出願第0164248号および第0232972号ならびにThackerayらの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂結合剤成分として用いるために好ましいフェノール樹脂としては、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば上記のものが挙げられる。好ましい架橋剤としては、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系物質および尿素系物質をはじめとするアミン系物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的に最も好ましい。かかる架橋剤は商業的に入手可能であり、例えばメラミン樹脂はCytec Industriesによって、商品名Cymel300、301および303にて販売されている。グリコールウリル樹脂はCytec Industriesによって、商品名Cymel1170、1171、1172、Powderlink 1174にて販売され、ベンゾグアナミン樹脂は商品名Cymel1123および1125にて販売されている。
【0083】
本発明の下層の組成物と共に用いられるレジストに好適な光酸発生剤化合物としては、オニウム塩、例えば引用することによってそれぞれが本明細書に組み込まれる米国特許第4,442,197号、第4,603,10号、および第4,624,912号に開示されたもの;および非イオン性有機光活性化合物、例えばThackerayらの米国特許第5,128,232号にあるようなハロゲン化光活性化合物;およびスルホン化エステルおよびスルホニルオキシケトンをはじめとするスルホネート光酸発生剤が挙げられる。ベンゾイントシラート、t−ブチルフェニルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセテートおよびt−ブチルアルファ(p−トルエンスルホニルオキシ)アセテートをはじめとする好適なスルホネートPAGの開示については、J.of Photopolymer Science and Technology, 4(3):337−340 (1991)を参照すること。好ましいスルホネートPAGは、Sintaらの米国特許第5,344,742号にも開示されている。上記のカンファースルホネートPAG1および2も、本発明の下層の組成物と共に用いるレジスト組成物、特に本発明の化学増幅型レジストにとって好ましい光酸発生剤である。
【0084】
本発明の反射防止組成物と共に用いるフォトレジストはまた、その他の物質を含んでもよい。例えば、その他の任意の添加剤としては、アクチニック染料および造影剤、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、比較的高濃度(例えばレジストの乾燥成分の総重量の約5〜50重量パーセントの量)存在してもよいフィラーおよび染料を除けば、フォトレジスト組成物中に典型的に低濃度で存在する。
【0085】
硬化性組成物のリソグラフプロセス(第一の態様)
スピンコート(組成物を溶媒ベース物質として形成しておく場合)などの従来の任意の方法によって、硬化性組成物を基体(例えばマイクロエレクトロニクスウエハー)に適用し得る。
【0086】
次いで、コーティングされた基体(例えばウエハー)をソフトベーク、例えば真空ホットプレート上で100℃にて約30または60秒間加熱して、適用されたコーティング組成物の溶媒を除去してもよい。
【0087】
次いで、乾燥した組成物層を、例えば活性化放射線(例えば400nm未満または300nm未満の波長を有する放射線)に全面露光によって硬化させて、一以上の組成物成分の硬化を促進することができる。
【0088】
次いで、硬くなったコーティング層を、その上にハードマスク組成物が例えばスピンコート、スロットコート、ディップコートまたは真空堆積によって配置され得る下層として用いることができる。このハードマスク組成物はケイ素含有物を好適に有していてもよい。
【0089】
フォトレジスト組成物を、ハードマスク組成物の上に、例えばスピンコートによっておよび下記のようにして配置し得る。
【0090】
複数層系のプロセスの際に、硬化した組成物層を、熱処理および放射線処理、例えばアッシングプロセスを伴わない250℃以上での熱処理を用いて除去することができる。
【0091】
熱により脱保護され得る下層のコーティング組成物tatのリソグラフプロセス(第二の態様)
使用の際に、本発明のコーティング組成物をコーティング層として基体に、種々の方法の何れか、例えば、スピンコートにより適用する。一般的なコーティング組成物は、約0.02〜0.5μmの間の乾燥した層の厚み、好ましくは約0.04〜0.20μmの間の乾燥した層の厚みを有する基体上に適用される。この基体は、好適には、フォトレジストに関するプロセスにおいて用いられる任意の基体である。例えば、基体はケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウム−酸化アルミニウムのマイクロエレクトロニクスウエハーであり得る。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅の基体を採用することもできる。例えばガラス基体、酸化インジウムスズでコーティングされた基体などの、液晶ディスプレーまたはその他の平面パネルディスプレー用途の基体も好適に用いられる。光学用および光学電子デバイス(例えば導波路)のための基体も用いることができる。
【0092】
フォトレジスト組成物を反射防止組成物上に適用する前に、適用されたコーティング層を硬化させることが好ましい。硬化条件は、コーティング組成物の成分によって変化する。典型的な硬化条件は、約150℃〜250℃で約0.5〜5分間である。硬化条件としては、コーティング組成物を、フォトレジスト溶媒ならびに水溶性のアルカリ性現像液に対して実質的に不溶性のコーティング層とするものが好ましい。
【0093】
このような硬化の後、フォトレジストを最上層のコーティング組成物の表面上に適用する。底部の(単数または複数の)コーティング組成物層の適用と同様に、任意の標準的な手段によって、例えばスピンコート、浸漬、メニスカス法またはローラーコーティングによって、オーバーコートされるフォトレジストを適用することができる。適用に続いて、典型的にはフォトレジストコーティング層を加熱によって乾燥させ、好ましくはレジスト層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去する。好ましくは、底部の組成物層とオーバーコートされたフォトレジスト層との本質的な混合が生じるべきではない。
【0094】
次いで、このレジスト層を、従来法において、マスクを介して活性化放射線で画像化する。暴露のエネルギーは、レジスト系の光活性成分を効果的に活性化させ、レジストコーティング層においてパターン化された画像を与えるのに十分なものである。通常、暴露のエネルギーは、約3〜300mJ/cmの範囲であり、露光ツールおよび具体的なレジストならびに用いられるレジストプロセスに部分的に依存する。コーティング層の暴露された領域と暴露されなかった領域の間の溶解性に違いを生じさせるかまたは違いを大きくすることを望む場合、暴露されたレジスト層に露光後ベークを行ってもよい。例えば、酸により硬化するネガ型フォトレジストは典型的に、酸により促進される架橋反応を誘導するための露光後の加熱を必要とし、そして多くのポジ型化学増幅型レジストは、酸により促進される脱保護反応を誘導するための露光後の加熱を必要とする。典型的な露光後ベーク条件としては、約50℃以上の温度、より具体的には約50℃〜約160℃の範囲の温度が挙げられる。
【0095】
フォトレジスト層を、液浸リソグラフ系、すなわち露光ツール(特に映写レンズ)とフォトレジストコーティングされた基体との間の空間を、液浸液、例えば水または一以上の添加剤(例えば液体の屈折率を高めることができる硫酸セシウム)を混合した水、によって占められている液浸リソグラフ系で露光してもよい。好ましくは、液浸液(例えば水)は気泡を除くための処理をしておく。例えば、水を脱気してナノバブルを除くことができる。
【0096】
本明細書で言及される「液浸露光」またはその他の同様の用語は、露光ツールとコーティングされたフォトレジスト組成物層の間に挿入したこのような液体層(例えば水または添加剤を含む水)を伴って露光を実施することを意味する。
【0097】
次いで、露光されたレジストコーティング層を、好ましくは水性系現像液、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などによって例示されるアルカリで現像する。あるいは、有機現像剤を用いることもできる。一般的に、現像は技術的に認められている手法にしたがう。現像に続いて、酸硬化性フォトレジストの最後のベークは、多くの場合、約100℃〜約150℃の温度で数分間かけて行われ、現像された暴露コーティング層領域をさらに硬化させる。
【0098】
次いで、現像された基体を、フォトレジストのそれらの基体が剥き出しになった領域に関して選択的に加工、例えば、本技術分野において周知の手順にしたがったフォトレジストの、露出した基体の領域の化学的エッチングまたはメッキ、してもよい。適切なエッチャントとしては、フッ化水素酸エッチング溶液および例えば酸素プラズマエッチングなどのプラズマガスエッチが挙げられる。
【0099】
以下の実施例では本発明のさらなる種々の態様の例証を提示するが、任意の態様における本発明の範囲を制限する意図はない。
【実施例】
【0100】
実施例1 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中にトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)およびフリーラジカル重合触媒を含む下層物質を、ウエハー上にスピンコートする。次いで、このウエハーをソフトベークして溶媒を除去する。得られる下層物質を、次に適切な波長の化学線に全体的に暴露してTMPTMAの重合を引き起こし、架橋された下層物質フィルムを形成させる。次いで、このフィルムは、その上にケイ素含有ハードマスク材料が配置された下層として用いられる。
【0101】
実施例2 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
材料組成物が、TMPTMA、フリーラジカル重合触媒、重量比が70/30のスチレンおよびPETMAを重合単位として含むコポリマーならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを含むこと以外は、上記の実施例1の手順を繰り返す。
【0102】
実施例3 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
材料組成物が、TMPTMA、フリーラジカル重合触媒、重量比が10/60/30のスチレン−メチルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレートを重合単位として含むコポリマーおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むこと以外は、上記の実施例1の手順を繰り返す。
【0103】
実施例4 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
材料組成物が、TMPTMA、フリーラジカル重合触媒、重量比が10/60/30のジメチルアミノエチルメタクリレート−エチルアクリレート−メチルメタクリレートを重合単位として含むコポリマーおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを含むこと以外は、上記の実施例1の手順を繰り返す。
【0104】
実施例5 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
熱的フリーラジカル重合触媒、重量比が10/60/30のスチレン−メチルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレートを重合単位として含むコポリマーおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを含む下層の材料組成物を、ウエハー上にスピンコートする。次いで、このウエハーをソフトベークして溶媒を除去し、フィルムを硬化させる。次いで、このフィルムは、その上に例えばスピンコート、スロット、ディップまたは真空堆積によってケイ素含有ハードマスク物質が配置される下層として用いられる。
【0105】
実施例6 硬化性組成物およびプロセス(第一の態様)
下層組成物が、TMPTMA、フリーラジカル重合触媒、重量比が30/40/30のジメチルアミノエチルメタクリレート−エチルアクリレート−メチルメタクリレートを重合単位として含むコポリマーおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを含むこと以外は、実施例5の手法を繰り返して行う。
【0106】
実施例7 熱的脱ブロッキング組成物(第二の態様)
それぞれのモノマー含量が30/55/15モルパーセントであるところのメチルアダマンチルメタクリレート(MAMMA)、アルファ−ブチロイルラクトンメタクリレート(αGBLMA)および4−ヒドロキシビニルナフタレン(HVN)を含むターポリマー(ここではポリマー1と称する)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させて、ポリマーを10重量パーセント含む溶液を作った。
【0107】
それぞれのモノマー含量が60/40モルパーセントであるところのスチレンおよびt−ブチルアクリレートを含む第二のコポリマー(ここではポリマー2と称する)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させて、ポリマーを10重量パーセント含む溶液を作った。
【0108】
ヒドロピラン、無水マレイン酸、ノルボルネンおよびMAMAを含む第三のコポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させて、ポリマーを10重量パーセント含む溶液を作った。
【0109】
3つのポリマー溶液(すなわちポリマー1を含む溶液、ポリマー2を含む溶液およびポリマー3を含む溶液)のそれぞれを0.2ミクロンのフィルターでろ過し、4インチのウエハー上にスピンコートした。次いで、コーティングされたウエハーを60秒間、恒温ホットプレート上で250℃に加熱し、Nonospec3000装置を用いてフィルムの厚みを決定した。現像液のたまりの中にフィルムを60秒間浸漬した後、フィルムの厚みを再度測定した。3つのポリマー溶液のすべてのフィルムの厚みが、現像液での処理の際に無くなったことが示された。
【0110】
実施例8:コーティング組成物の調製およびリソグラフプロセス(第二の態様)
下層のコーティング組成物を、次に示す以下の量の物質を混合することによって調製する。
【0111】
材料
樹脂成分
1)それぞれのモノマー含量が30/55/15モルパーセントであるところのメチルアダマンチルメタクリレート(MAMMA)、アルファ−ブチロイルラクトンメタクリレート(αGBLMA)および4−ヒドロキシビニルナフタレン(HVN)
2)アントラセンメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートのコポリマー
酸源
p−トルエンスルホン酸アンモニア塩
溶媒
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
【0112】
このコーティング組成物をケイ素マイクロチップウエハー上にスピンコートし、真空ホットプレート上で250℃にて90秒間で硬化させる。
【0113】
次いで、商業的に入手可能な193nmフォトレジストを、硬化したコーティング組成物層上にスピンコートする。適用されたレジスト層を、真空ホットプレート上で100℃にて60秒間ソフトベークし、フォトマスクを介してパターン化された193nm放射線に暴露し、110℃で60秒間で露光後ベークをし、次いで0.26Nの水性アルカリ現像液で現像してレジストのレリーフ像を与える。水性アルカリ現像液は下層のコーティング組成物を除去することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に有機組成物を適用する工程、
有機組成物上にフォトレジスト組成物層を適用する工程
を含む、電子デバイスを作製する方法であって、
該有機組成物が、熱処理および/または放射線処理の際にアルカリ可溶性基を生じる物質を含む、方法。
【請求項2】
有機組成物が光酸不安定基を有する樹脂を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有機組成物が無水物基を含む樹脂を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
フォトレジスト組成物を適用する前に、有機組成物が熱処理される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
熱不安定基または酸不安定基を含む一以上の成分を含む下層のコーティング組成物であって、別の架橋剤成分を少なくとも実質的に含まない組成物。
【請求項6】
組成物が一以上の発色団基を有する成分を含む、請求項5記載のコーティング組成物。
【請求項7】
組成物が酸または酸発生剤化合物を含む請求項5記載のコーティング組成物。

【公開番号】特開2012−128455(P2012−128455A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−63808(P2012−63808)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2007−102679(P2007−102679)の分割
【原出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】