説明

フォトリフラクティブ組成物

下記式(i)によって表されるポリマーを含み、フォトリフラクティブ能力を示す組成物である。


式(i)
ここで、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、nは、10から10,000までの整数であり、Zは、少なくとも構造式(ii)によって表されるトリ−芳香族アミン部分を含む基である。


構造式(ii)
ここで、Ra1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトリフラクティブ組成物に関する。特に、本発明は、側鎖にトリ-アリールアミン部分を有するポリシロキサンを含むフォトリフラクティブ組成物に関する。更に、該組成物は、フォトリフラクティブ能力を提供するクロモファを含むことができる。
【背景技術】
【0002】
光屈折性は、ある材料の屈折率がレーザービーム照射によるような、その材料内の電界を変えることによって変更される現象である。その屈折率の変化は、以下の一連のステップによって達成される。 (1) レーザー照射による電荷発生, (2) 正電荷及び負電荷の分離につながる電荷移送、 (3) 1種の電荷(電荷非局在化)の捕獲, (4) 電荷の非局在化の結果として非単一内部電界(空間電界)の形成、及び(5) 非単一電界によって誘発された屈折率変化。
【0003】
従って、優れたフォトリフラクティブ特性は、優れた電荷発生、優れた電荷移送あるいは光導電性、及び優れた電気光活性を組み合わせた材料にのみ見られる。
フォトリフラクティブ材料は、高密度光データ蓄積、ダイナミックホログラフィー、光画像処理、相複合化ミラー、光コンピューター、平行光論理、及びパターン認識のような多くの将来性がある用途を有している。
元来、そのフォトリフラクティブ効果は、LiNbO3のような様々な無機電気光(EO)結晶の中で見つけられた。これらの材料の中で、内部空間電荷界による屈折率変調の機構は、直線電気光効果に基づいている。
【0004】
1990年及び1991年に、最初の有機フォトリフラクティブ結晶及び高分子フォトリフラクティブ材料が発見され、報告された。そのような材料は、例えば、Ducharme等の米国特許5,064,264に開示されている。有機フォトリフラクティブ材料は、元来の無機フォトリフラクティブ結晶に比べ多くの優れた点がある。例えば、大きな光非線形性、低い誘電率、低いコスト、軽量、構造柔軟性、及び装置組み立ての容易性が挙げられる。その用途に応じて好ましいとされる他の重要な特徴として、充分に長い寿命、オプティカル品質、及び熱安定性が挙げられる。これらの活性有機ポリマーは、先進情報及びデータ通信技術のためのキー材料として新生である。
【0005】
近年、有機、特にポリマーのフォトリフラクティブ材料の特性を最適化するために努力が払われている。上記記載したように、優れたフォトリフラクティブ特性は、優れた電荷発生、優れた電荷移送、これは光導電性として知られる、及び優れた電気光活性に依存する。これらの特性のそれぞれを与える成分の選択及び組み合わせ調べる様々な研究が行われている。その光導電性能力は、しばしばカルバゾール基を含む材料を含ませることによって提供される。フェニルアミン基もまた、その材料の電荷移送部分として使用される。
【0006】
非線形オプティカル能力は、一般に、フォトン照射を吸収することができるアゾ系染料のようなクロモファ化合物を含ませることによって提供される。そのクロモファはまた、充分な電荷発生を提供してもよい。あるいは、発生する光屈折性のために要求される流動的な電荷を提供し増進するために、増感剤として知られる材料を添加してもよい。広範囲の染料や顔料を含む多くの材料が増感剤として機能することができる。
【0007】
フォトリフラクティブ組成物は、単に、ホストポリマーマトリックスの中に要求される個々の特性を提供する分子成分を混合することによって作られてもよい。しかし、このように調製されたほとんどの組成物は、時間の経過とともに安定ではない。なぜなら、成分が結晶化するとともに相分離が発生する傾向があるからである。
そのポリマー構造のなかに活性成分の1以上を含むポリマーを調製するための努力がなされている。
【0008】
移送成分を含むポリマーマトリックスの例として、ポリ(n-ビニルカルバゾール) (PVK)が挙げられる。そのようなマトリックスとともに、高性能を有するポリマーがN. Peyghambarian等によって報告されている(Nature, 1994, 371, 497)。
このケースでは、フォトリフラクティブ組成物は、クロモファとしてアゾ染料(DMNPAA; 2,5-ジメチル-4-(p-ニトロフェニルアゾ)アニソール)及び増感剤としてトリニトロフルオレノン(TNF)を加えることによって調製された。その得られた組成物は、1W/cm2 のレーザー強度及び90 V/μmのバイアス電圧でほぼ100%の回折効率を示した。しかしながら、その反応時間は100ミリ秒以上と遅いものであった。
【0009】
優れた光屈折性を達するために、そのような材料は、25 wt%といったクロモファの大濃度でドープされなければならない。従って、強い双極子クロモファの結晶化及び相分離が大きな問題として残る。
相分離によって引き起こされる不安定を完全に取り除くために、完全に機能化されたフォトリフラクティブポリマー、即ち、光導電性及び非線形オプティカル能力の両方がポリマー自身に属するポリマーを調製することが好ましいということが認識されている。
【0010】
アリゾナ大学での研究に基づいて、反応時間を速めると同様に十分な機能性フォトリフラクティブポリマーを開発する努力がなされている。例えば、カルバゾール基のいくつかがトリシアノビニル化されたPVKポリマーが作られている(N. Peyghambarian et al., Applied Phys. Lett., 1992, 60, 1803)。しかし、このポリマーの光導電性は、わずか0.98 pS/cmと報告されており、回折効率は1%未満とあまりに低く、優れた光屈折性を示さなかった。その後、同じグループは、4ミリ秒の反応時間を示すPVK系材料を報告している(N. Peyghambarian et al., Applied Physics Letters, 1999, 16, 2253)。
【0011】
材料改良の多大な努力によって、光導電性及びクロモファ側鎖を含むメタクリレート系ポリマー及びコポリマーが使用された。T. Kawakami及びN. Sonodaによる報告(Applied Phys. Lett., 1993, 62, 2167.)は、電荷移送基としてジシアノビニリデニル フェニルアミンを含むアクリレート系ポリマーを開示する。その回折効率は0.01%くらいと報告された。
【0012】
日立(株)の日本公開公報1995-318992は、従来の重合技術によって調製され、電荷移送基及び非線形オプティカル基を含むアクリレート系ポリマー及びコポリマーを開示するが、フォトリフラクティブ性能のデータはない。
【0013】
H. Sato等によるレポート(Technical report of IEICE., 1995, OME-95-53, OPE95-94, 43)は、コポリマーの側鎖に電荷移送成分及び非線形オプティカル成分の両方を有するいくつかのコポリマーの調製方法を記載する。しかし、その電荷移送速度は、優れたフォトリフラクティブ材料のためにはあまりに遅いと思われる。
【0014】
昭和電工の日本公開公報1998-333195は、電荷移送剤としてトリフェニルアミン基を導入するアクリレート系ポリマーを開示する。速い反応時間(70 V/μm バイアス電圧で50ミリ秒)が報告されているが、回折効率に関する記載又はデータは全く無い。
【0015】
Van Steenwickel等による報告(Macromolecules, 2000, 33, 4074)は、カルバゾール系側鎖及びいくらかのスチルベン系側鎖を含むアクリレート系ポリマーを開示する。その報告は58 V/μmで60%の高い回折効率を示すが、反応時間は数百ミリ秒オーダーと遅い。
【0016】
Y.Chen等による報告(Modern Optics, 1999, 46, 1003)は、電荷移送能力を提供するカルバゾール系側鎖及び非線形オプティカル能力を提供するニトロフェニルアゾ系側鎖を有するメタクリレートポリマーを論述する。その材料は再度20秒以上の遅い反応時間を示す。
【0017】
N. Kim等による報告(Molecular Cryst., 2000, 349, 43)は、電荷移送能力を提供するカルバゾール系側鎖及び非線形オプティカル能力を提供するベンジリデンマロノニトリル・クロモファを有するポリシロキサンポリマーを論述する。
【0018】
R. Twieg等による報告(Polymeric Materials Science and Engineer., 1996, 75, 165)は、電荷移送能力を提供するカルバゾール系側鎖及び非線形オプティカル能力を提供するニトロ-ジアミノアニリン・クロモファを有するポリシロキサンポリマーを論述する。その材料は、反応時間については記載がないけれど、34 % (8kV)の低い回折効率を示す。
【0019】
上記記載の材料には、高い回折効率、速い反応時間、長期安定性、及び製造容易性の組み合わせを達成するものはない。従って、これらの特性を組み合わせたフォトリフラクティブ組成物の必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、反応時間が速く、回折効率が高く、フォトリフラクティブ組成物にとって好ましく使用される組成物安定性に優れたフォトリフラクティブ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の最初の態様は、下記式(i)によって表されるポリマーを含む組成物である。

式(i)
ここで、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、nは、10から10,000までの整数であり、Zは、少なくとも構造式(ii)によって表されるトリ−芳香族アミン部分を含む基である。

構造式(ii)
【0022】
ここで、Ra1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
特に、構造式(ii)は、構造式(iii)及び(iv)からなる群より選択される構造によって表されるのが好ましい。
【0023】
構造式(iii)

【0024】
ここで、Qは、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、好ましくはQは、(CH2)pによって表されるアルキレン基である。pは、約2から6の整数である。Rb1からRb13、及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0025】
構造式(iv)

【0026】
ここで、Qは、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、好ましくはQは、(CH2)pによって表されるアルキレン基である。pは、約2から6の整数である。Rc1からRc9及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0027】
本発明の第2の態様は、式(i)によって表されるポリマーと、下記式(v), (vi), (vii)及び(viii)からなる群より選択される少なくとも1つのクロモファとの混合物を含有するフォトリフラクティブ能力を示す組成物である。

式(v)
【0028】
ここで、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
特に式(v)では、Bが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基であることが好ましい。
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
【0029】
構造式(ix)

,
構造式(x)

【0030】
ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0031】
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
【0032】
前記式(v)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であることが好ましい。

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0033】
第2に、下記式(vi)において、

式(vi)

Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
特に、式(vi)では、Bが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基であることが好ましい。
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
【0034】
構造式(ix)

,
構造式(x)

【0035】
ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0036】
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
【0037】
前記式(vi)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であることが好ましく、

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0038】
第3に、下記式(vii)において、

式(vii)
Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
【0039】
特に、前記式(vii)において、Arが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であることが好ましい。
前記式(vii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表されることが好ましい。
【0040】
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
【0041】
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
【0042】
前記式(vii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であることが好ましい。

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,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0043】
第4に、下記式(viii)において、

式(viii)
Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
【0044】
特に、前記式(viii)において、Arが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であることが好ましく、前記式(viii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表されることが好ましい。
【0045】
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
【0046】
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
【0047】
前記(viii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であることが好ましい。

,

,

,

,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0048】
本発明の第3の態様は、クロモファ及びポリマーを含有する組成物に、更に、可塑剤及び増感剤を含有するものであり、該組成物は、フォトリフラクティブ能力を示す。
その組成物は、当該分野で従来知られているフォトリフラクティブ組成物といくつかの点で異なる。
最初の点では、本発明の好ましい態様による組成物は、従来の光導電性材料と比較して反応時間が速く、及び/又は回折効率が高い、光導電性が高いといった1以上の優れた特性を有する。更に、これらの特性は、一般に、優れた取り扱い性、製造能力のような1以上の好ましい特性と連結して提供され得る。
【0049】
第2の点では、本発明の好ましい態様による組成物は、ポリマーを含み、非常に良い相安定性、即ち、相分離への抵抗を示す。
第3の点では、該組成物は、光導電性側鎖基を含むポリシロキサン系ポリマーを有する。
前記最初の点に関して、本発明者は、好ましいフォトリフラクティブ組成物は、50ms以下のような速い反応時間を示すということを発見した。
【0050】
前記第2の点に関して、本発明者は、光導電性(電荷移送)能力を提供する成分及び非直線性オプティカル能力を提供する成分からなるフォトリフラクティブポリマーを開発した。そのクロモファは、独特の化学構造を持ち、ポリシロキサン系マトリックスポリマーと混ざりやすい傾向を有しているので、該組成物は長期安定性を提供し得る。
【0051】
本発明の好ましい態様によるフォトリフラクティブ組成物は、ホログラフィー貯蔵、光相関性、相結合、非破壊評価及び画像を含む様々な光応用分野での利用性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明は、フォトリフラクティブ組成物に関する。特に、本発明は、側鎖にトリ−アリールアミン部分を有するポリシロキサンを含有するフォトリフラクティブ組成物に関する。更に、該組成物は、優れたフォトリフラクティブ能力を提供する特定のクロモファを含有することができる。
付加的に、該組成物は、増感剤や可塑剤成分のようなその他の成分を更に含んでもよい。
光導電性を提供するポリマーは、そのような能力を提供するために、従来公知の構造であってもよい。
好ましいポリマー構造は、側鎖にトリアリールアミノ型部分を含むポリシロキサンである。
【0053】
本発明で使用される光導電性を提供するポリマーは、式(i)によって表される。

式(i)
ここで、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、nは、10から10,000までの整数であり、Zは、少なくとも構造式(ii)によって表されるトリ−芳香族アミン部分を含む基である。
【0054】

構造式(ii)
ここで、Ra1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
好ましくは、該ポリマーは、構造式(iii)及び(iv)からなる群より選択されるポリマーを含む。
【0055】
構造式(iii)



ここで、Qは、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、好ましくはQは、(CH2)pによって表されるアルキレン基である。pは、約2から6の整数である。Rb1からRb13、及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0056】
構造式(iv)


ここで、Qは、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、好ましくはQは、(CH2)pによって表されるアルキレン基である。pは、約2から6の整数である。Rc1からRc9及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0057】
電荷移送成分としてフェニルアミン部分を含む基の具体例として特に、カルバゾリルプロピル基、N-(N,N-ジフェニルアミノ)-ビフェニル-N-フェニルアミノプロピル基、4-{N-(N,N-ジフェニルアミノ)-ビフェニル-N-フェニルアミノ}-フェニルプロピル基、カルバゾリルブチル基、N-(N,N-ジフェニルアミノ)-ビフェニル-N-フェニルアミノブチル基、4-{N-(N,N-ジフェニルアミノ)-ビフェニル-N-フェニルアミノ}-フェニルブチル基が挙げられる。そのような基は、ポリマー鎖に単独で、あるいは2以上の基の混合で存在する。
【0058】
好ましい態様では、クロモファは、式(v), (vi), (vii), 及び(viii)からなる群より選択される。

式(v)
式(v)中、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され 、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
【0059】

式(vi)

式(vi)中、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
【0060】

式(vii)
式(vii)中、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基である。
【0061】

式(viii)
式(viii)中、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
【0062】
上記定義において、「π-共役結合のブリッジ」は、π-共役結合によって2以上の化学基を結合する分子フラグメントを意味する。π-共役結合は、原子軌道(σ結合用s+p 混成原子軌道; π 結合用p原子軌道)のオーバーラップによって2つの原子間に形成されたσ 結合を持つ原子とπ結合を持つ原子との間の共有結合を有する。
「電子受容体」は、π-共役ブリッジに結合可能な高い電子親和力を有する原子グループを意味する。代表的なアクセプターを強度が強くなる順に並べると、
C(O)NR2< C(O)NHR < C(O)NH2 < C(O)OR < C(O)OH < C(O)R < C(O)H <CN <S(O)2R < NO2 となる。
上記式(vi), (vii) 又は(viii)における典型的な電子受容性基として、Eacptは、電子受容性基であり、下記構造からなる群より選択される構造によって表される。
【0063】

,

,

,

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ここで、R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0064】
更に、他の代表的な電子受容性基として、米国特許6,267,913に記載され、下記構造式で表される機能性基を使用することができる。化学構造式中、「‡」の記号は、別の化学基へ結合する原子を表し、その構造は、「‡」がない場合の構造によって通常示される水素が1つ欠落していることを示す。
【0065】





上記構造中、Rは、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0066】
好ましくは、該クロモファは、式(v)によって表される構造を有する。

式(v)
ここで、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され 、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Bは、構造式(ix), (x) 及び(xi)からなる群より選択される。
【0067】
構造式(ix)

,
構造式(x)

【0068】
ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0069】
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記式(v)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基である。
【0070】

,

,

,

,



R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
好ましくは、R1及びR2の構造は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチルからなる群より選択される。
好ましくは、該クロモファは、式(vi)によって表される構造を有する。
【0071】

式(vi)

ここで、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Bは、構造式(ix), (x)及び(xi)からなる群より選択され、式(vi)のEacptは、電子受容性基であり、式(v)の中で表されるものと同じ構造からなる群より選択される構造によって表される。
また、式(vi)中、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
好ましくは、Qの構造は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン及びヘプチレンからなる群より選択される。
好ましくは、式(v)及び(vi)の中で非線形オプティカル機能を提供する構造は、下記構造の誘導体から選択される。
【0072】

,

,








ここで、Rは、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0073】
好ましくは、該クロモファは、式(vii)によって表される構造を有する。

式(vii)
ここで、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、Gは、構造式(ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基である。
式(vii)中のEacptは、電子受容性基であり、式(v)中で表されるのと同じ構造からなる群より選択される構造によって表される。
好ましくは、該クロモファは、式(viii)によって表される構造を有する。
【0074】

式(viii)
ここで、Arは、フェニレン、ナフチレン、及びチオフェニレンから選択される。式(viii)のGは、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表される。
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
【0075】
構造式(xii)


ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0076】
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
Eacptは、電子受容性基であり、式(v)中で表されるのと同じ構造からなる群より選択される構造によって表される。
好ましくは、R1及びR2の構造は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチルからなる群より選択される。
【0077】
また、上記式(viii)の中で、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
好ましくは、Qの構造は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン及びヘプチレンからなる群より選択される。
最も好ましくは、非直線性オプティカル機能を提供する構造は、下記構造の誘導体から選択される。

,



,



ここで、Rは、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0078】
更に、その他の混合可能なクロモファとして、米国特許5,064,264(IBM)に記載されるような、ポリマーマトリックスを通して非直線性オプティカル特性を所有する成分を使用することができる。上記公報は本明細書の一部とされる。適した材料が当該分野で公知であり、D.S. Chemla & J. Zyss, “有機分子及び結晶の非直線性オプティカル特性” (アカデミック出版, 1987)のような文献によく記載れている。また、米国特許6,090,332(Seth R. Marder et. al.)に記載されるように、熱安定フォトリフラクティブ組成物を形成する縮合環ブリッジ、非回転クロモファを使用することができる。典型的なクロモファ添加物の非限定的な具体例として、以下の化学構造化合物を使用することができる。
【0079】























class=Section2>
選択された化合物は、約80重量%までの濃度で、より好ましくは40重量%の濃度でマトリックスコポリマー中に混合される。
【0080】
ポリシロキサン系ポリマーの様々な調製技術が当該分野で知られている。そのような従来技術の1つとして、酸又は塩基触媒の存在下、相当するトリ−又はテトラ−シクロシロキサン誘導体の開環反応がある。この開環重合方法では、重合触媒は一般に、重合性モノマーの合計モルに対して0.01から5モル%の量で、好ましくは0.1から1モル%の量で使用される。
ポリシロキサン系ポリマーの別の調製技術として、貴金属触媒の存在下、予め合成した又は市販のポリヒドロシリル系ポリマーの縮合反応が挙げられる。
ポリヒドロシリル系ポリマーとして、式(xiv)で表されるポリマーを使用することができる。

式(xiv)
式(xiv)中、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。r及びqは、それぞれ独立に10から10,000の整数である。
【0081】
これらの種類のポリヒドロシリル系ポリマーは、通常市販されているか、あるいは酸又は塩基触媒の存在下、式(xv)及び(xvi)で表される相当する2つのモノマーの開環反応によって合成される。

式(xv) ,

式(xvi)

式(xv)及び(xvi)において、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0082】
好ましい態様では、縮合反応型ポリマー調製が、不活性ガス下、及び酢酸エチル、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、トルエン又はキシレンのような溶媒の存在下に行われる。
好ましい態様では、縮合反応型ポリマー調製が、パラジウム又は白金を含む化合物のような貴金属触媒とともに行われる。
この縮合反応として、好ましくは、PtCl6, H2PtCl4, Pt (CH=CH2)Cl6 のような白金誘導体を使用することができる。
【0083】
一般的に使用される乾燥ガスとしては、窒素、アルゴン又はヘリウムが好ましい。重合圧力は、1から50 atomであり、好ましくは1から5 atomである。
前記溶媒は、重合性モノマーの合計重量に対して、一般に100から1000重量%、好ましくは100から500重量%の量で使用される。
重合プロセスを開始するために、予め合成した又は市販のポリヒドロシリル系ポリマー、不飽和二重結合を含むモノマー、触媒及び溶媒を反応容器中に導入する。プロセスが開始されると、触媒と不飽和二重結合を含むモノマーが金属錯体のようなものを形成し、ポリヒドロシリル系ポリマーを攻撃し、縮合反応を開始させる。
【0084】
該縮合は、望ましい最終分子量及び重合温度に依存して、また重合割合及び触媒の失活を考慮して、好ましくは、約70℃から130℃の温度で行われ、約1から100時間継続される。
本発明者は、形成されたポリマーの物理的特性として重要なのは分子量及びガラス転移温度Tgであると認識している。また、本質ではないけれど、該組成物が、溶媒コーティング、注入鋳型、押し出し加工のような標準ポリマー加工技術によって、様々な種類のフィルム、コーティング及び型に形成することができるということが価値があり好ましい。
【0085】
好ましい態様では、該ポリマーは一般に、約3,000から500,000の重量平均分子量を有し、好ましくは約5,000から100,000の重量平均分子量を有する。ここで使用される「重量平均分子量」という用語は、当該分野でよく知られるように、ポリスチレン標準でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって決定される値を意味する。
【0086】
優れたフォトリフラクティブ特性のためには、該フォトリフラクティブ組成物は、使用条件下、実質的に無定形であり、非結晶又は非ガラス質であるべきである。従って、得られたフォトリフラクティブ組成物は、比較的低いガラス転移温度、例えば約50℃以下、より好ましくは約40℃以下のガラス転移温度を有する。Tgのより好ましい温度範囲は10から50 oC、最も好ましくは20から40 oCである。
純粋なポリマー自身がこれらの好ましい値より高いガラス転移温度有するならば(一般にそうである)、以下に詳細に記載されるように、Tg を下げるために成分が添加されてもよい。
にも拘らず、ポリマー自身が比較的低いガラス転移温度を有することが好ましい。ここで、本発明者は、比較的低いとは、約125℃以下のTg 、より好ましくは約120℃以下のTg 、最も好ましくは110℃又は100℃以下のTg を意味する。
【0087】
特に、コポリマー自身のガラス転移温度を低くするために、該組成物中に可塑剤を導入することにより、導入率に依存して、50℃以上あるいは20℃以上、少なくとも5℃はガラス転移温度を低くすることができる。
該コポリマーは、ポリマーマトリックス中に可塑剤特性を所有する成分を混ぜることができる。好ましい可塑剤化合物として、フタレート誘導体あるいは低分子量ホール輸送化合物のような市販の可塑剤化合物を使用することができる。例えば、N−アルキルカルバゾール、トリフェニルアミン誘導体、アセチルカルバゾール、トリフェニルアミン誘導体などが挙げられる。
【0088】
詳しい具体例として、エチルカルバゾール、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-フェニルプロピルアセテート、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-フェニルメチロキシアセテート、N-(アセトキシプロピルフェニル)-N, N’, N’-トリフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、N-(アセトキシプロピルフェニル)-N’-フェニル-N, N’-ジ(4-メチルフェニル)- (1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、N-(アセトキシプロピルフェニル)- N’-フェニル- N, N’-ジ(4-ブトキシフェニル)- (1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミンが挙げられる。そのような化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。また、未重合モノマーは、低分子量ホール輸送化合物であることができ、例えば、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、N-[(メタ)アクロイルオキシプロピルフェニル]-N, N’, N’-トリフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、N-[(メタ)アクロイルオキシプロピルフェニル]-N’-フェニル-N, N’-ジ(4-メチルフェニル)- (1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、N-[(メタ)アクロイルオキシプロピルフェニル]- N’-フェニル- N, N’-ジ(4-ブトキシフェニル)- (1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミンが挙げられる。そのようなモノマーは、1種単独であるいは2種以上のモノマーの混合物として使用することができる。
好ましくは、別のタイプの可塑剤として、電子受容性基を含むN-アルキルカルバゾール又はトリフェニルアミン誘導体を使用することができ、下記構造式(xvii), (xviii), 又は(xix)で示される。
【0089】

構造式(xvii)
構造式(xvii)中、Ra1は、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。pは、0又は1である。
【0090】

構造式(xviii)
構造式(xviii)では、Rb1からRb4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。pは、0又は1である。
【0091】

構造式(xix)
構造式(xix)では、Rc1からRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。pは、0又は1である。
Eacptは、電子受容性基であり、下記構造からなる群より選択される構造によって表される。

,

,

,

,



R5, R6, R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【0092】
電子受容性基を含み、上記構造式(xvii), (xviii)又は(xix)で表されるN−アルキルカルバゾール又はトリフェニルアミンといった可塑剤は、フォトリフラクティブ組成物をより安定にすることができる。それは、該可塑剤が、1つの化合物中にN−アルキルカルバゾール又はトリフェニルアミン部分と非線形オプティカル部分とを同時に含んでいるためである。
【0093】
詳細な具体例として、2-(4-ジフェニルアミノ-ベンジリデン)-マロニトリル、2-{4-[(4’-ジフェニルアミノ-ビフェニル-4-イル)-フェニル-アミノ]-ベンジリデン}-マロニトリル、2-(4-{[(4’-(フェニル)-p-トリル-アミノ)-ビフェニル-4-イル]-p-トリル-アミノ}-ベンジリデン)-マロニトリルが挙げられる。そのようなモノマーは、1種単独で使用でき、又は2種以上のモノマーの混合物として使用することもできる。
一般に、該組成物のために適した全Tgを提供するのに要求される可塑剤の最小量が使用されるべきである。ポリマーマトリックスと可塑剤は時間の経過ととも相分離するかもしれないので、可塑剤を多く含む組成物は安定性が低い傾向がある。また、材料のフォトリフラクティブ特性は、可塑剤による活性成分の希釈によって減少してしまう。
【0094】
上記論じたように、好ましい態様は、従来法に従って調製された類似のポリマーと比較したとき、比較的低いTgのポリマーである。本発明者は、これは可塑剤への依存性が低いため利益があると認識している。本質的に適度なTgのコポリマーを選択し、平均Tgを下げる傾向にある方法を使用することによって、該組成物に要求される可塑剤の量を、好ましくは約30%又は25%以下に、より好ましくは、約20%以下のようにより低く限定することができる。
【0095】
付随的に、ポリマーマトリックスに、このセクションで既に述べた好ましい物理的特性を提供するため又は改良するために、その他の成分を加えてもよい。通常、優れたフォトリフラクティブ能力をのために、電荷発生剤として機能する光増感剤を加えることが好ましい。そのような光増感剤の広範囲な選択が当該分野で知られている。典型的なしかし非限定的な光増感剤の例として、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン(TNF) 及びC60が挙げられる。要求される光増感剤の量は、通常3重量%未満である。
【0096】
従来、フォトリフラクティブポリマー化合物の多くは、相安定性が悪く、日が経つにつれかすんでいた。一旦、該化合物フィルムがかすみを示すと、優れたフォトリフラクティブ特性を示さない。このフィルム化合物のかすみは、通常いくつかのフォトリフラクティブ成分間の相性が悪いことから来ている。一般的に、フォトリフラクティブ化合物は、電荷移送能力を有する成分及び非線形オプティカル能力を有する成分を含有する。電荷移送能力を有する成分は、通常、疎水性であり、非極性材料である。一方、非線形オプティカル能力を有する成分は、通常、親水性であり、極性材料である。従って、これらの成分の性質として、相分離し、かすんだ化合物を与える傾向があった。
【0097】
過去に記載れた記事 (Macromolecules, 2000, 33, 4074)の中では、カルバゾール系側鎖及びスチリベン系側鎖を含むアクリレート系ポリマーは、電荷移動機能を有する成分と非線形オプティカル機能を有する成分とを含有する。この記事の中で、実際の詳細データはないが、これらのポリマーは、優れた相安定が期待されると記載されている。
【0098】
一方、好ましい態様では、該フォトリフラクティブポリマー組成物は、優れた相安定性を示し、数ヶ月後でさえ、かすみを与えなかった。該組成物はとても安定で、相分離が観察されないので、優れたフォトリフラクティブ特性を変えることはない。これらのフィルム組成物安定性は、恐らくクロモファ構造及び/又は異なるクロモファの混合物のためである。
【0099】
この好ましい態様の優れた相安定は、1日以上又は1週間、あるいは場合によっては6ヶ月以上続く。また、通常、相分離速度を高めるとされるサンプルの加熱によっても、該サンプルは、1日以上又は1週間、あるいは場合によっては6ヶ月以上も、優れた相安定性を示した。この優れた相安定性のおかげで、本発明におけるコポリマーを商業用製品のための光装置用途として適用することができる。加速テスト用として、加熱テスト温度は制限はないが、通常、該温度は40℃から120℃であり、好ましくは60℃から80℃である。
【0100】
好ましい態様のフォトリフラクティブ材料は、従来当該分野で利用可能でない好ましい特性を提供する。
特に有望な特徴は、反応時間が速いことである。反応時間は、レーザー書き込みビームに曝された際、該フォトリフラクティブ材料中で回折格子を形成するのに必要な時間である。サンプル材料の反応時間は、以下の実施例の欄で詳細に記載されるように、過渡4波混合 (TFWM)実験によって測定されてもよい。そのデータは、下記の2次指数関数に当てはめられてもよい。
η (t) = A sin2 [B(1 - a1e-t/J1 - a2e-t/J2)]
a1 + a2= 1
ここで、η (t)は、時間tでの回折効率であり、A, B, a1 及びa2は、適切なパラメーターであり、J1及びJ2は、格子形成時間である。J1及びJ2の間で、より小さい数が、反応時間として定義される。
反応時間は、重要である。なぜなら、より速い反応時間はより速い格子形成を意味し、それは、該フォトリフラクティブ組成物に対し、リアルタイム・ホログラムのような幅広い応用での使用を可能にする。
【0101】
公知のフォトリフラクティブ材料の典型的な反応時間は、数秒から数百ミリ秒の範囲である。100ミリ秒以上は一般的である。より速い反応時間は、W.F. Moerner, Appl. Phys. Lett., Vol. 73, p. 1490 (1998)に報告されているが、ハイスピードを得るために、より高い電場強度が要求される。そのような高電場強度は、実験環境よりむしろ産業環境の中では困難であるかもしれない。
典型的な従来の材料と比較して、好ましい態様のフォトリフラクティブ組成物は、優れた反応時間を提供する。例えば、約50ミリ秒以下、好ましくは約40ミリ秒以下、約30ミリ秒以下、約20ミリ秒以下である。
【0102】
更に、これらの反応時間は、バイアス電圧として表現される非常に高い電界への助けを必要とせずに達成することができる。発明者は、非常に高いバイアス電圧とは、約100 V/μmを超える電界を意味する。発明者の材料では、速い反応時間は、一般に、約100 V/μm以下、より好ましくは約90 V/μm以下のバイアス電圧で達成することができる。
そして、光導電性に関して議論したように、これらの優れた反応時間は、1以上のその他の有望な特性、例えば、高い光導電性、高い回折効率、優れた処理能力、効率のよい重合技術と組み合わせて提供される。
【0103】
別の有望な特性は、回折効率ηである。回折効率は、入射プローブビームの強度に対する回折したビームの強度の割合として定義され、それぞれのビームの強度を測定することによって決定される。明らかなように、その割合が100%に近くなると、その装置はより効率がよくなる。
一般に、与えられたフォトリフラクティブ組成物に対して、適用されるバイアス電圧を上げることによって高い回折効率が達成される。
【0104】
典型的な従来の材料と比較して、好ましい態様の該フォトリフラクティブ組成物は、少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%といった優れた回折効率を提供する。そして、光導電性に関して議論したように、これらの優れた回折効率は、1以上のその他の有望な特性、例えば、高い光導電性又は速い反応時間とともに、また、優れた処理能力、ブロックコポリマー能力、及び効率のよい重合技術と組み合わせて提供される。
本発明は更に以下の実施例によって記載される。該実施例は本発明の例証として意図され、その範囲あるいは根本原則を制限することを意図しない。
【0105】
実施例
製造例1
(a) 電荷移送基を含むプレカーサー
以下の電荷移送モノマーが以下のように合成された。
(i) テトラジフェニルジアミン系モノマー:

【0106】
(ii) トリジフェニルジアミン系モノマー:

【0107】
iii) トリジフェニルジアミン系モノマー:



上記手順において、ジフェニルアミンの代わりに3-メチルジフェニルアミン、フェニルハロゲン化物の代わりに3-メチルフェニルハロゲン化物を用いて、N(アクロイルオキシプロピルフェニル)-N’-フェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミンを形成することができる。
【0108】
b) 非線形オプティカルクロモファ7-DCSTの合成
非線形オプティカルプレカーサー7-DCST (7 員環ジシアノスチレン, 4-ホモピペリジノベンジリデン マロノニトリル)が、下記の2ステップ合成スキームに従って合成された。



4-フルオロベンズアルデヒド(17.8 g, 143 mmol), ホモピペリジン(15.0g, 151mmol), リチウム炭酸塩(55g, 744 mmol), 及びDMF (100mL)の混合物を50℃で16時間撹拌した。水(500mL)を反応混合物に添加した。生成物をエーテル(1L)で抽出した。エーテルの除去後、溶離液としてヘキサン−エチルアセテート(9:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(100mg, 0.82mmol)をメタノール(60mL)中の4-ホモピペリジノベンズアルデヒド(18.2g, 89.5mmol)及びマロノニトリル(9.1g, 137.8mmol)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で保持し、生成物をろ過して集め、ジクロロメタンを用いた再結晶によって精製した。収率(17.1g, 48%)
【0109】
c) 非線形オプティカルクロモファ7-FDCSTの合成
非線形オプティカルプレカーサー7-FDCST (7 員環ジシアノスチレン, 4-ホモピペリジノ-2-フルオロベンジリデン マロノニトリル)を下記2ステップ合成スキームに従って合成した。


2,4-ジフルオロベンズアルデヒド(25 g, 176 mmol), ホモピペリジン(17.4 g, 176mmol), リチウム炭酸塩(65g, 880 mmol), 及びDMSO (625mL)の混合物を50℃で16時間撹拌した。水(50mL)を反応混合物に添加した。生成物をエーテル(100mL)で抽出した。エーテル除去後、溶離液としてヘキサン−エチルアセテート(9:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、中間生成物が得られた(22.6 g)。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(230mg)をメタノール(323mL)中の4-ホモピペリジノ-2-フルオロベンズアルデヒド(22.6g, 102 mmol)及びマロノニトリル(10.1g, 153mmol)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で維持し、生成物をろ過によって集め、エタノールを用いて再結晶によって精製した。収率 (18.1g, 38%)
【0110】
d) 縮合環クロモファRLC (3a) 及びAPDC (3b)の合成


i) RLC (3a)
4-ブロモ-N,N-ジ-n-ブチルアニリン(1a). DMF (25 mL)中のN-ブロモサクシンイミド(9.61 g, 0.054 mol)の溶液を25 mLのN,N-ジメチルホルムアミド中のN,N-ジ-n-ブチルアニリン(11.0 g, 0.054 mol)撹拌溶液に0℃で添加した。得られた緑の溶液を外界温度で12時間撹拌し、1Lの水の中に注いだ。その混合物をジクロロメタンで3倍抽出した。その結合有機層を水及び飽和チオ硫酸ナトリウム溶液の200mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過及び蒸発により、やや黄色の油状物として1aを生成した(14.2 g, 0.050 mol, 93%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.23 (d, J = 9.1 Hz, 2H, CH); 6.48 (d, J= 9.0 Hz, 2H, CH); 3.21 (t, J = 8.5 Hz, 4H, CH2N); 1.52 (q, J= 7.6 Hz, 4H, CH2); 1.34 (q, J= 7.3 Hz, 4H, CH2); 0.93 (t, J= 7.3 Hz, 6H, CH3)。
【0111】
2a. n-ブチルリチウム(ヘキサンの2.5 M 溶液の18.9 mL, 0.047 mol)を-10 oCで乾燥ジエチルエーテルの1a (12.3 g, 0.043 mol)溶液に加えた。-10oCで2時間撹拌後、反応混合物を0 oCまで暖めた。ジエチルエーテル中の1-エトキシ-2-シクロヘキサン-3-オン(6.02 g, 0.043 mol)を加えた。その反応混合物を外界温度まで加温し、2.5時間撹拌した。塩化ナトリウムの飽和水溶液を添加後、有機層を分離した。その水溶性層をジエチルエーテルで2回抽出した。結合有機層を硫酸ナトリウム塩で乾燥し、ろ過し、蒸発して残渣を得た。それを溶離液としてヘキサン及びエチルアセテートの混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色っぽい固形物として2aを得た。 1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.46 (d, J = 9.0 Hz, 2H, CH); 6.60 (d, J = 8.9 Hz, 2H, CH); 6.38 (s, 1H, CH); 3.29 (t, J = 7.6 Hz, 4H, CH2N); 2.72 (t, J = 6.0 Hz, 2H, CH2); 2.42 (t, J = 6.6 Hz, 2H, CH2); 2.08 (q, J= 6.3 Hz, 2H, CH2); 1.56 (q, J= 7.5 Hz, 4H, CH2); 1.34 (sext, J= 7.4 Hz, 4H, CH2); 0.94 (t, J= 7.3 Hz, 6H, CH3)。
【0112】
3a (RLC). ケトン2a (2.60 g, 8.7 mmol)を還流エタノールの最小量で溶解し、マロノジニトリル(3.44 g, 52 mmol)をピペリジンの触媒量とともに添加した。その反応混合物を70℃で2時間撹拌した。その開始材料の転換をTLCで観察した。副生成物が観察されるとその反応を止めた。その溶媒を蒸発し、溶離液としてヘキサン及びエチルアセテートの混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによってその黒ずんだ残渣を精製し、続いてエタノールによる再結晶によって融点が101から102℃の赤い針状物3a(1.66 g, 4.8 mmol, 55%)を得た。 1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.56 (d, J = 9.1 Hz, 2H, CH): 7.12 (s, 1H, CH); 6.61 (d, J = 9.1 Hz, 2H, CH); 3.32 (t, J = 7.6 Hz, 4H, NCH2); 2.75 (t, J = 6.4 Hz, 4H, CH2); 1.95 (quint., J = 6.3 Hz, 2H, CH2); 1.52-1.63 (m, 4H, CH2); 1.29-1.41 (td, Jd = Jt= 7.5 Hz, 4H, CH2); 0.95 (t, J= 7.3 Hz, 6H, CH3)。
【0113】
ii) APDC (3b)
1-フェニル-アゼパンをある文献(R. E. Walkup and S. Searles, Tetrahedron, 1985, 41, 101-106)の手順に従って、アゼパン(また、ヘキサメチレンイミン及びヘキサヒドロアゼピンとして知られる)、ナトリウムアミド、及びブロモベンゼンの反応によって合成した。他の出発材料は、市販品として取得した。
【0114】
1-(4-ブロモフェニル)アゼパン(1b). DMF (15 mL)中のN-ブロモサクシンイミド(1.789 g, 10.1 mmol)の溶液を0℃でDMF (25 mL)中の1-フェニル-アゼパン(1.768 g, 10.1 mmol)の溶液に滴下によって加えた。その混合物を撹拌し、48時間後に40 Mlの水で冷却した。その製造物をジエチルエーテル40mLで3回抽出した。ジエチルエーテル層を水40mLで3回洗浄し、それから水溶性の0.01Mチオ硫酸ナトリウム40mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。そのジエチルエーテルを蒸発し、黄色っぽい油状物として1b (1.9721 g, 77.25 mmol, 77 %収率)を得た。 1H NMR (CDCl3, 250 MHz) 7.23 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 6.53 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 3.40 (t, 4H, J = 5.9 Hz), 1.74 (m, 4H), 1.51 (m, 4H)。
【0115】
2b. 1-(4-ブロモフェニル)-アゼパン(20 g, 78.7 mmol)を窒素ガス下、乾燥THF (400 mL)中で溶解し、-78°Cまで冷却した。tert-ブチル リチウム(ペンタンの1.7M溶液の92.6 mL, 1.45 mol)をその混合物に滴下して加えた。乾燥THF (80 mL)中の1-エトキシ-2-シクロヘキセン-3-オン(11.45 mL, 78.7 mmol)をその混合物に滴下して加えた。36時間後、その反応を水(~250 mL)で冷却した。反応は、ジエチルエーテルで分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。そのジエチルエーテルを蒸発し、1:1 ヘキサン/エチル アセテート溶液(黄色固体, 16.13 g, 59.8 mmol, 76%)を用いて8cm直径カラム上でクロマトグラフィーで分離した。 1H NMR (CDCl3, 250 MHz) 7.46 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 6.66 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 6.38 (s, 1H, J = 2.035 Hz), 3.48 (t, 4H, J = 5.88 Hz), 2.72 (t, 2H, J = 5.98 Hz), 2.42 (t, 2H, J= 6.23 Hz), 2.08 (m, 2H), 1.77 (m, 5H), 1.53 (m, 4H)。
【0116】
3b (APDC). そのケトン2b (7.50 g, 27.8 mmol)及びマロノニトリル(9.5 g, 143.8 mmol)をエタノール(300mL)中で溶解した。ピピリジン(~5 mL)を反応混合物に添加した。タイプ4A分子ふるいを加えた。その反応混合物は、数分後に濃い赤に変わった。その反応を4.5時間後に止めた。そのエタノールを減圧下蒸発した。その残渣をエチルアセテート中で抽出し、ろ過し、再結晶して赤い固体を得た(7.11 g, 22.4 mol, 80%).。1H NMR (CDCl3, 200 MHz) 7.55 (d, 2H, J = 8.94 Hz), 7.11 (s, 1H), 6.67 (d, 2H, J = 9.1 Hz), 3.51 (t, 4H, J= 5.86 Hz), 2.73 (m, 4H), 1.87 (m, 6H), 1.53 (m, 4H)。
【0117】
e) 可塑剤TPD-Acの合成
可塑剤TPD-Acを下記1ステップ合成スキームに従って、TPDアクリレート合成のために使用された同じ中間物から合成した。



TPD アクリレートモノマー用の中間体であるTPDアルコール(2.8 g, 5.0 mmol)をジクロロメタン(10 mL)で溶解した。この溶液の中に、無水酢酸(0.8 mL, 10.6mmol)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(100mg, 0.82mmol)を添加し、50oCで16時間撹拌した。水(5mL)をその反応混合物に加えた。その生成物をジクロロメタン(10 mL)で抽出した。ジクロロメタンの除去後、その生成物を溶離液としてヘキサン−エチルアセテート(1:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。その生成物を集めた。収率(2.97 g, 93%)
【0118】
f) 可塑剤TPA-Acの合成
可塑剤TPA-Acを下記合成スキームに従って合成した。


STEP 1:
アルゴン雰囲気下で0℃でDMF無水物(17 mL)の冷却溶液に、オキシ塩化リン無水物(10 mL, 107.3 mmol)を滴下して加えた。添加終了後、トリフェニルアミン(30 g, 122.3 mmol)及びDMF無水物(75 mL)を混ぜた。溶液を1晩80℃に加熱した。反応混合物を水(500 mL)及びジクロロメタン(500 mL)で抽出した。そのジクロロメタン層をロータリーエバポレートで蒸発し、カラムクロマトグラフィー(7 ジクロロメタン: 3 ヘキサン)で抽出した。収率は約21.9g (66%)。
【0119】
STEP 2:
上記アルデヒド(11.71g, 42.8 mmol), トルエン及びエタノールの1:1 溶液(150 mL), 及びNaBH4 (2.43g, 64.2 mmol)の混合物をアルゴン雰囲気下室温で撹拌した。3時間後、ろ過された溶液をロータリーエバポレートで蒸発し、ジクロロメタン(400 mL)及び水(400 mL)で抽出した。集めたジクロロメタン層をロータリーエバポレートで蒸発した。収率は約12.2g (定量的)。
【0120】
STEP 3:
アルゴン雰囲気下0℃で、アルコール(12.17 g, 44.2 mmol), ピリジン(1.8 mL, 22.2 mmol), 及びテトラヒドロフラン無水物(100 mL)の撹拌溶液に、無水酢酸(6.2 mL, 65.7 mmol)を滴下して加えた。45分後、外界温度まで暖めた。その反応混合物を水(500 mL)及びジクロロメタン(500 mL)で抽出した。ロータリーエバポレートで蒸発したジクロロメタン層をカラムクロマトグラフィー(3 エチルアセテート: 1 ヘキサン)で精製した。収率は約10.5g (75%)であった。
【0121】
g) 可塑剤TPA-(CN)2の合成
可塑剤TPA-Acを下記合成スキームに従って合成した。



STEP 1:
上記で記載したTPA-Ac用の合成方法と同じプロセスを取ることができる。
STEP 2:
トリフェニルアミンアルデヒド(273 mg, 1.00 mmol)及びマロノジニトリル(80 mg, 1.2 mmol)を乾燥エタノール(4 mL)中で溶解した。その反応混合物は、数分後に濃い赤に変わった。その反応を40℃で18時間後に止めた。その混合物を減圧下で蒸発させ、3:2ヘキサン/エチルアセテート溶液を用いて60mLカラム上でクロマトグラフィーで分離した。その生成物をエチルアセテートによる再結晶後に赤色結晶として得た(192 mg, 0.60 mmol, 60 %収率)。
【0122】
製造例 2 (テトラジフェニルジアミン系ポリシロキサンの合成):
テトラジフェニルジアミン系ポリシロキサンを下記手順によって調製した。


重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した。その結果は、Mn= 14,000, Mw= 20,000, 及び多分散性が1.43であった。Tg (ガラス転移温度)は85 oCであった。
【0123】
製造例 3 (トリジフェニルジアミン系ポリシロキサンの合成):
トリジフェニルジアミン系ポリシロキサンを以下の手順によって調製した。


重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した。その結果は、Mn= 8,800, Mw= 14,600, 及び多分散性は1.66であった。Tg (ガラス転移温度)は72 oCであった。
【0124】
製造例 4 (iso-オクチルトリジフェニルジアミン系ポリシロキサンの合成):
iso-オクチルトリジフェニルジアミン系ポリシロキサンを以下の手順によって調製した。


重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した。その結果、Mn= 15,900, Mw= 31,100, 多分散性は1.96であった。Tg (ガラス転移温度)は48 oCであった。
【0125】
実施例 1
フォトリフラクティブ組成物の調製
フォトリフラクティブ組成物テストサンプルを調製した。その組成物の成分は以下の通りであった。
(i) テトラジフェニルジアミン系ポリシロキサン(製造例2で記載): 69.5 wt%
(ii) 調製された7-DCSTのクロモファパウダー 30 wt%
(iii) 2, 4,7-トリニトロ-9-フルオレノン-ジシアノマロネート (TNFDM)
0.5 wt%
該組成物を調製するために、上記に記載された成分をトルエンで溶解し、室温で一晩撹拌した。ロータリーエバポレーター及び真空ポンプによって溶媒を除去後、残渣をかき集めた。
テストサンプルを作るために、この粉末状残渣混合物をスライドガラス上に置き、125℃で溶解して200-300 μm の厚さのフィルム又はプレケーキを作製した。このプレケーキの一部を取り出し、105 μm のスペーサーによって分離されたインジウムスズ酸化物(ITO)を塗布したガラス板の間に挟み、個々のサンプルを形成した。
【0126】
測定 1
回折効率
回折効率を4波混合実験による633 nmで測定した。安定相及び過渡4波混合実験を空気中で20.5度の角度を作る2つの書き込みビーム、及びそのサンプル標準に対して60度の角度を作る書き込みビームの二等分線を使用して行った。この幾何学用格子間隔は3.1 μmであり、格子ベクトルはそのサンプル標準に対して60度を向いていた。
【0127】
4波混合実験のために、そのサンプルにおける0.12 W/cm2と等しい強度を有する2つの分極書き込みビームを使用した。そのスポット直径は600 μmであった。その表面標準に最も近い書き込みビームに関する1.7 mW/cm2 カウンタープロパゲーションのp-分極ビームを回折格子を調べるために使用し、そのサンプルのプローブビームのスポット直径は500 μmであった。回折され移送されたプローブビーム強度を回折効率を決定するために監視した。その結果を表1に示す。
【0128】
測定 2
反応時間
s-分極書き込みビーム及びp-分極プローブビームとともに633 nm で4波混合実験によって、測定1に記載されたのと似た手順を使用して、その適用された場の機能として回折効率を測定した。2つの書き込みビームの二等分線とサンプル標準との間の角度は60度であり、その書き込みビームの間の角度をその材料に3.1 μm 格子間隔を与えるように調整した(~20 度)。その書き込みビームは、0.45mW/cm2の等価な光出力を有し、反射損失のための修正後、そのポリマーに0.5 mWの合計光出力を導いた。そのビームを約500 μmのスポットサイズになるように視準した。そのプローブの光出力は4 mWであった。その格子増強時間の測定は以下のように行った。40 V/μmの電場をサンプルに適用し、そのサンプルに2つの書き込みビームの1つ及びプローブビームを100ミリ秒照らした。それから、回折されたビームの進展を記録した。反応時間は、安定相回折効率の半分に達するために要求される時間として評価した。
【0129】
測定 3
相安定性
テストされたサンプルを60 oCでオーブンの中に入れた。ある間隔で、サンプルのくすみを顕微鏡でチェックした。その組成物中にくすみや結晶がないならば、そのサンプルは優れた相安定性を有すると言える。
得られた性能:
回折効率(%) : 80V/μmで8%
反応時間 80V/μmで23 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以上で優れる
【0130】
実施例 2
成分及び成分比率を除いて実施例1と同様にフォトリフラクティブ組成物を得た。該組成物の成分は以下の通りであった。
・ テトラジフェニルジアミン系ポリシロキサン(製造例2に記載):
69.5 wt%
(ii) 調製されたHR-254のクロモファパウダー 30 wt%
(iii) 2, 4,7-トリニトロ-9-フルオレノン-ジシアノマロネート (TNFDM)
0.5 wt%
得られた性能:
回折効率 (%) : 80V/μmで10%
反応時間 80V/μmで43 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以上で優れる
【0131】
実施例 3
成分及び成分比率を除いて実施例1と同様にフォトリフラクティブ組成物を得た。該組成物の成分は以下の通りであった。
(i) トリジフェニルジアミン系ポリシロキサン (製造例3に記載): 49.3 wt%
(ii) 調製されたRLCのクロモファパウダー 29.6 wt%
(iii) 調製されたTPAアセテート可塑剤 20.6 wt%
(iv) C60 0.49 wt%
得られた性能:
回折効率(%) : 70V/μmで52%
反応時間 70V/μmで8 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以上で優れる
【0132】
実施例 4
成分及び成分比率を除いて実施例1と同様にフォトリフラクティブ組成物を得た。該組成物の成分は以下の通りであった。
(i) トリジフェニルジアミン系ポリシロキサン(製造例3に記載): 49.3 wt%
(ii) 調製されたAPDCのクロモファパウダー 29.6 wt%
(iii) 調製されたTPAアセテート可塑剤 20.6 wt%
(iv) C60 0.49 wt%
得られた性能:
回折効率(%) : 70V/μmで48%
反応時間 70V/μmで11 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以上で優れる
【0133】
実施例 5
成分及び成分比率を除いて実施例1と同様にフォトリフラクティブ組成物を得た。該組成物の成分は以下の通りであった。
(i) iso-オクチルトリジフェニルジアミン系ポリシロキサン(製造例4に記載): 69.5 wt%
(ii) 調製された7-DCSTのクロモファパウダー 30 wt%
(iii) 2, 4,7-トリニトロ-9-フルオレノン-ジシアノマロネート(TNFDM)
0.5 wt%
得られた性能:
回折効率(%) : 60V/μmで20%
反応時間 60V/μmで56 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以上で優れる
【0134】
比較例
ポリ(n-ビニルカルバゾール) (Aldrich Chemicals, ミルウォーキー, WI)を購入した。ポリ(n-ビニルカルバゾール)を使用し、TPDアセテート可塑剤の代わりにエチルカルバゾールを使用し、組成物比を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にフォトリフラクティブ組成物を得た。
(i) ポリ(n-ビニルカルバゾール) 49.5 wt%
(ii) 調製された7-DCSTのクロモファパウダー 35 wt%
(iii) エチルカルバゾール 15 wt%
(iii) C60 0.5 wt%
得られた性能:
回折効率(%) : 60V/μmで30%
反応時間 60V/μmで48 (ms)
相安定性(60°C) : 1日以内で相分離
比較例と比較して、好ましい態様の組成物は、優れた相安定性とともに、より速い反応時間及びよりよい回折効率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(i)によって表されるポリマーを含み、フォトリフラクティブ能力を示す組成物:

式(i)
ここで、Rは、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、nは、10から10,000までの整数であり、Zは、少なくとも構造式(ii)によって表されるトリ−芳香族アミン部分を含む基である:

構造式(ii)
ここで、Ra1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項2】
前記式(i)のZが、構造式(iii)及び(iv)からなる群より選択される構造によって表される請求項1の化合物:
構造式(iii)



ここで、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Rb1からRb13、及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(iv)


ここで、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Rc1からRc9及びRa1からRa14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項3】
更に、下記式(v), (vi), (vii)及び(viii)からなる群より選択される少なくとも1つのクロモファを含有する請求項1の化合物:

式(v)

ここで、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(vi)

ここで、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(vii)
ここで、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(viii)
ここで、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
【請求項4】
更に、下記式(v), (vi), (vii)及び(viii)からなる群より選択される少なくとも1つのクロモファを含有する請求項2の化合物:

式(v)

ここで、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(vi)

ここで、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表し、Bは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(vii)
ここで、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、R1及びR2は、炭素数10までの直鎖型アルキル基、炭素数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、

式(viii)
ここで、Arは、ヘテロ原子を有する又は有しない芳香族基を表し、Gは、π-共役結合のブリッジを有する基であり、Eacptは、電子受容性基であり、Qは、ヘテロ原子を有する又は有しないアルキレン基を表す。
【請求項5】
前記式(v)のBが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基である請求項3の組成物;
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
構造式(ix)

,
構造式(x)


ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記式(v)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項6】
前記式(v)のBが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基である請求項4の組成物;
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
構造式(ix)

,
構造式(x)


ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記式(v)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項7】
前記式(vi)のBが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基である請求項3の組成物;
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
構造式(ix)

,
構造式(x)


ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記式(vi)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項8】
前記式(vi)のBが、構造式 (ix), (x)及び(xi)からなる群より選択される基である請求項4の組成物;
ここで、構造式(ix), (x)及び(xi)は下記で表され、
構造式(ix)

,
構造式(x)


ここで、構造式(ix)及び(x)中、Rd1からRd4は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、R2は、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xi)


ここで、R7, R7’, R7”及びR7’” は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記式(vi)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


R9, R10, R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項9】
前記式(vii)のArが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であり、前記式(vii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表される請求項3の化合物;
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記(vii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項10】
前記式(vii)のArが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であり、前記式(vii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表される請求項4の化合物;
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記(vii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項11】
前記式(viii)のArが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であり、前記式(viii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表される請求項3の化合物;
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記(viii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項12】
前記式(viii)のArが、フェニレン、ナフチレン、又はチオフェニレンから選択される芳香族基であり、前記式(viii)のGが、構造式(xii)及び(xiii)からなる群より選択される構造によって表される請求項4の化合物;
構造式(xii)及び(xiii)は以下のように表され、
構造式(xii)

,
ここで、Rd1からRd7は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択され、
構造式(xiii)


ここで、Re1からRe9は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数10までの直鎖型又は分岐型アルキル基を表し、
前記(viii)のEacptは、下記構造からなる群より選択される構造によって表される電子受容性基であり、

,

,

,

,


ここで、R9, R10, R11及び R12は、それぞれ独立に、水素原子、原子数10までの直鎖型アルキル基、原子数10までの分岐型アルキル基、及び炭素数10までの芳香族基からなる群より選択される。
【請求項13】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項1の化合物。
【請求項14】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項2の化合物。
【請求項15】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項3の化合物。
【請求項16】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項4の化合物。
【請求項17】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項5の化合物。
【請求項18】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項6の化合物。
【請求項19】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項7の化合物。
【請求項20】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項8の化合物。
【請求項21】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項9の化合物。
【請求項22】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項10の化合物。
【請求項23】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項11の化合物。
【請求項24】
更に、可塑剤及び増感剤を含有する請求項12の化合物。

【公表番号】特表2007−505342(P2007−505342A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525327(P2006−525327)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023504
【国際公開番号】WO2005/023962
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】