説明

フォトレジストおよびその使用方法

【課題】SiON、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウムおよび他の無機表面のような下地無機表面に対して良好な接着性を示しうるイオン注入リソグラフィ適用に特に有用な新規フォトレジストの提供。
【解決手段】1)樹脂、2)光活性成分、および3)多ケト成分を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物のレリーフ像を半導体基体上にコーティングした半導体基体を提供し、並びにイオンを前記基体に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入リソグラフィ用途に特に有用な、多ケト成分を含む新規のフォトレジストに関する。本発明のフォトレジストは、SiON、酸化ケイ素、窒化ケイ素および他の無機表面のような下地無機表面に対する良好な接着性を示す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体に像を移すために使用される感光膜である。フォトレジストの塗膜層が基体上に形成され、次いで、フォトレジスト層は、フォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。
【0003】
イオン注入技術は、半導体ウェハをドーピングするために使用されてきた。このアプローチによって、イオンビーム注入装置は真空(低圧)チャンバー内でイオンビームを生じさせ、そのイオンがウェハに向けられ、ウェハに「注入」される。
【0004】
しかし、現在のイオン注入方法では顕著な問題が生じている。特に、注入リソグラフィプロトコルにおいては、フォトレジストは多くの場合有機下層上に堆積されないが、その代わりに、酸窒化ケイ素(SiON)、SiO(酸化ケイ素)層のような無機層上に堆積され、そしてSi塗膜のような他の無機物質が半導体デバイス製造において、例えば、エッチストップ層および無機反射防止層として使用されてきた。例えば、米国特許第6,124,217号;第6,153,504号;および第6,245,682号を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,124,217号明細書
【特許文献2】米国特許第6,153,504号明細書
【特許文献3】米国特許第6,245,682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良好な解像度、並びにSiONおよび他の無機基体層上への良好な接着を提供する新規のフォトレジストシステムを有することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで、本発明者は、1)多ケト成分、2)光酸不安定基を含む樹脂、および3)1種以上の光酸発生剤化合物を好ましく含む新規フォトレジスト組成物を提供する。本発明の好ましいレジストは248nm、193nmおよびEUVなどのサブ−300nmおよびサブ−200nm波長をはじめとする短波長像形成に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において言及される場合、「多ケト(multi−keto)成分」、「多ケト材料」、「多ケトモノマー」、もしくは「多ケト樹脂」、または他の類似の用語は、2つの隣り合うケト(すなわち、>C=O)部分が30個以下の挿入原子(例えば、挿入炭素および/またはヘテロ原子、例えば、O、Nおよび/またはS)によって隔てられている、並びにより典型的には2つの隣り合うケト部分が25以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下もしくは1個の挿入原子で隔てられている、成分、材料、モノマーまたは樹脂をいう。好ましい形態においては、この2つの隣り合うケト(すなわち、>C=O)部分は15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個の挿入原子(例えば、挿入炭素および/またはヘテロ原子、例えば、O、Nおよび/またはS)によって隔てられており、より好ましくは、この2つの隣り合うケト(すなわち、>C=O)部分は10、9、8、7、6、5、4、3、もしくは2個の挿入原子(例えば、挿入炭素および/またはヘテロ原子、例えば、O、Nおよび/またはS)によって隔てられている。この隣り合うケト部分は独立してケトン、カルボキシ(−COOH)、エステル、などの部分であり得る。
【0009】
理論に拘束されるものではないが、この隣り合うケト基は、多ケト成分を含むフォトレジストがその上にコーティングされる表面上の部分をキレート化するかまたはこれと他の方法で相互作用して、それによりフォトレジストの下地表面への接着性を増大させると考えられる。例えば、隣り合うケト基は基体表面上のシラノール基と相互作用しうる。
【0010】
本発明のフォトレジストの多ケト成分は様々な設計のものであることができる。一形態においては、アクリラートもしくはメタクリラート繰り返し単位を含む樹脂が好ましい。例えば、複数のケト基を含むアクリラートもしくはメタクリラートモノマーが重合されて、ホモポリマーを形成することができ、または1種以上の他の別個のモノマーと共に、本発明のフォトレジストの多ケト成分として機能しうる高次のポリマーを形成することができる。
【0011】
本発明の好ましい樹脂は例えば、248nm、193nmおよびEUVのようなサブ−300nmおよびサブ−200nmをはじめとする短波長で像形成されうる。
【0012】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、本明細書において開示される多ケト成分、像形成有効量の1種以上の光酸発生剤化合物(PAG)、並びに以下の群から選択される樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な、化学増幅ポジ型レジストを提供できる酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種類の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、このポリマーにおいては、重合されたアクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。典型的には、光酸誘起デブロッキング反応を受けうるアクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートが挙げられ、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号(参照により本明細書に組み込まれる)におけるポリマーが挙げられる;ii)ビニルフェノール、場合によって置換された(ただし、ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えば、スチレン)、および上記ポリマーi)について記載されるデブロッキング基のもののようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているポリマー;並びに、iii)光酸と反応しうるアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位を含み、および場合によって芳香族繰り返し単位、例えば、フェニルもしくはフェノール性基などを含むポリマー;
2)実質的にまたは完全にフェニルまたは他の芳香族基を含まない樹脂、これは193nmのようなサブ200nm波長での像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる。特に好ましいこの種類の樹脂には以下のものが挙げられる;i)場合によって置換されたノルボルネンのような、非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているポリマー;ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;例えば、米国特許第6,057,083号に記載されているポリマー。
【0013】
本発明のレジストは、別個のPAGの混合物、典型的には2または3種の異なるPAGの混合物、より典型的には、合計2種類の別個のPAGからなる混合物を含むこともできる。
【0014】
本発明は、サブ(sub)クオーターミクロン寸法以下の、例えば、サブ0.2またはサブ0.1ミクロン寸法の、高解像でパターン形成されたフォトレジスト像(例えば、本質的に垂直の側壁を有するパターン形成されたライン)を形成する方法をはじめとする、本発明のフォトレジストのレリーフ像を形成する方法も提供する。
【0015】
本発明は、本発明のフォトレジストおよびレリーフ像を基体上にコーティングした、マイクロエレクトロニクスウェハのような基体を含む製造物品をさらに含む。本発明はマイクロエレクトロニクスウェハおよび他の物品を製造する方法も含む。本発明のフォトレジストは、例えば、SiON、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウム、および他の無機表面をはじめとする様々な表面上にコーティングされうる。
【0016】
さらに、論じられるように、好ましい形態においては、本発明は、改良されたイオン注入処理を提供する。このプロセスは、マスクとして機能する開示されるような有機フォトレジストを基体上に有する基体(例えば、半導体ウェハ)の表面にドーパントイオン(例えば、第III族および/またはV族イオン、例えば、ホウ素、ヒ素、リンなど)を注入することを含みうる。イオン化可能なソースからのイオンのプラズマおよび減圧を提供しうる反応チャンバー内に、レジストでマスクされた基体が配置されうる。これらのイオンは、基体に注入されるときに電気的に活性な、言及されたようなドーパントを含む。ドーパントイオンを選択的に注入するために、反応チャンバー内に(導電性チャンバー壁を通すなどで)電圧が適用されうる。
【0017】
本発明の他の形態が以下に開示される。
上述のように、ここで、本発明者は、1)光酸不安定基を適切に含むことができる樹脂成分;2)1種以上の光酸発生剤化合物;および3)上述のような隣り合うケト基を含む樹脂のような、多ケト成分;を適切に含む新規のフォトレジストを提供する。好ましくは、これら成分1)、2)および3)は別個であり、すなわち共有結合されておらず、かつそれぞれ異なる物質である。本発明の好ましいフォトレジストはポジ型レジストであり、特に化学増幅型レジストである。本発明は、ネガ型フォトレジストも含み、この場合、このレジストは、本明細書において開示されるように、樹脂、架橋機能およびフェノール系成分を含むことができる。
【0018】
ある好ましい実施形態においては、多ケト成分はフォトレジスト組成物中で安定であって、かつレジストのリソグラフィ処理を妨げない。すなわち、多ケト成分(例えば、多ケト樹脂)は、好ましくは、レジストの早すぎる分解(すなわち、貯蔵寿命の低減)を促進せず、またはリソグラフィック処理条件を変えることを必要としない。
【0019】
多ケト成分成分は、典型的には、他のレジスト成分、例えば、光酸不安定もしくはデブロッキング樹脂、光酸発生剤、塩基性添加剤、界面活性剤/レベラー、可塑剤および/または溶媒とはさらに別個のレジスト成分であることができる。
【0020】
ある形態においては、レジストにおいて使用するための多ケト成分添加剤はフォトレジスト露光工程の結果としてデブロッキング反応を受ける光酸不安定エステルまたはアセタール基のような光酸不安定部分を含まないことが可能である。
【0021】
他の形態においては、レジストにおいて使用するための好ましい多ケト成分添加剤はフォトレジスト露光工程の結果としてデブロッキング反応を受ける光酸不安定エステルまたはアセタール基のような光酸不安定部分を含むことが可能である。
【0022】
多ケト成分はレジスト組成物に他の機能を提供することができ、例えば、固体成分の溶解力を提供または増大させることができる。しかし、他の揮発性溶媒とは異なり、露光前熱処理の後で、多ケト成分は有効量でレジスト層内に留まることができ、例えば、好ましくは、液体レジスト組成物中に配合される多ケト成分の量の少なくとも約10、20、30、40、または50モルパーセントは露光前熱処理の後でレジスト組成物中に留まることができる。典型的には、効果的な結果を達成するために、何らかの熱処理の後で、多ケト成分の少量だけがレジスト塗膜層内に留まるか、もしくは存在する必要があり、例えば、多ケト成分は、揮発性溶媒除去後のレジスト層の全物質の約0.05または0.1重量パーセントから約5重量パーセントの量で好適に存在することができる。
【0023】
ある形態においては、好ましい多ケト成分は、下記式(I)のビニルモノマーのような、1以上の多ケト官能基を含む1種以上のモノマーを重合することにより提供されうる:
【化1】

式中、Rは水素もしくは、場合によって置換されたアルキル、特に場合によって置換されたC1−6アルキル、例えば、メチルもしくはフッ素化メチルであり;並びに、Xは水素もしくは非水素置換基、例えば、光酸不安定基を提供しうる部分(これは、t−ブチルのような第四級炭素、描かれた酸素に連結した完全置換脂環式炭素などでありうる)、ラクトン、極性基、例えば、ヒドロキシアルキル、例えば、場合によって置換されたヒドロキシ(C1−30アルキル)(当該アルキルは環式もしくは非環式であり得る);または非極性基、例えば、アルキル、例えば、C1−30アルキル(当該アルキルは環式もしくは非環式であり得る)である。
【0024】
1以上の多ケト官能基を含み、かつ重合されて多ケト成分になることができる特に好ましいモノマーには以下のものが挙げられる:
【化2】

【0025】
上記式Iおよび上記好ましいモノマーで例示されるように、好ましい形態においては、本発明のフォトレジストの多ケト成分は、環のメンバーではない少なくとも2つの隣り合うケト基を含む。すなわち、2つのケト基(それらがケトン基であるか、カルボキシ基であるか、エステルカルボニルであるかに関わらず)はラクトンのような環メンバーではないが、多ケトン成分は好ましくは、上記モノマー1)および4)によって提示されるように、2以上の非環式ケトン基に加えて、ラクトンをさらに含むこともできる。
【0026】
本発明のフォトレジストは広範囲の量の多ケトン成分を適切に含むことができる。例えば、フォトレジストは、流体フォトレジスト組成物の全重量を基準にして、約0.1もしくは0.5重量パーセントから5、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50重量パーセントまで、またはこれらより多くの1種以上の多ケト成分を含むことができる。
【0027】
本明細書において示されるように、レジストの成分の様々な置換基が場合によって置換されうる。置換部分は1以上の利用可能な位置において、例えば、F、Cl、Brおよび/またはIのようなハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホノ、アルキル、例えば、C1−16アルキル(C1−8アルキルが好ましい)、ハロアルキル、例えば、フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)およびペルハロアルキル、例えば、ペルフルオロC1−4アルキル、アルコキシ、例えば、1以上の酸素結合を有するC1−16アルコキシ(C1−8アルコキシが好ましい)、アルケニル、例えば、C2−12アルケニル(C2−8アルケニルが好ましい)、アルケニル、例えば、C2−12アルケニル(C2−8アルキニルが好ましい)、アリール、例えば、フェニルまたはナフチル、並びに置換アリール、例えば、ハロ、アルコキシ、アルケニル、アルキニルおよび/またはアルキル置換アリール(好ましくは、対応する基についての上記炭素原子数を有する)によって、適切に置換される。好ましい置換アリール基には、置換フェニル、アントラセニルおよびナフチルが挙げられる。
【0028】
本発明のフォトレジストは典型的には、樹脂バインダーおよび光活性成分および多ケト成分を含む。例えば、好ましいのは、ヒドロキシルもしくはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーである。好ましくは、樹脂バインダーは、アルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中に使用される。
【0029】
多くの実施形態においては、好ましいのは、化学増幅型ポジ型レジストである。このようなレジスト組成物の多くは、例えば、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;および第4,491,628号;並びに、カナダ国特許出願公開第2,001,384号に記載されている。
【0030】
本発明において使用するためのフォトレジストは、活性化放射線への露光の際にレジストの塗膜層に潜像を生じさせるのに充分な量で適切に使用される光活性成分、特に1種以上の光酸発生剤(すなわち、PAG)も含む。193nmおよび248nm像形成での像形成に好ましいPAGには、下記式の化合物のようなイミドスルホナートが挙げられる:
【化3】

式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびフルオロアルキル、例えば、フルオロ(C1−18アルキル)、例えば、RCF−(Rは場合によって置換されたアダマンチルである)である。
【0031】
他の既知のPAGも本発明のレジストにおいて使用されうる。特に193nmでの像形成のためには、向上した透明性を提供するために、上記イミドスルホナートのような、芳香族基を含まないPAGが概して好ましい。
【0032】
本フォトレジストにおいて使用するのに好適な他の光酸発生剤には、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されてよい。
【0033】
本発明に従って使用されるフォトレジストの好ましい任意の添加剤は追加塩基、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)または乳酸テトラメチルアンモニウムであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加塩基はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩、並びに様々な他のアミン、例えば、トリイソプロパノール、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで適切に使用される。
【0034】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意の物質も含むことができる。例えば、他の任意の添加剤には、抗ストリエーション剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の約5〜30重量パーセントの量で存在することができる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0035】
本発明に従って使用されるフォトレジストは、概して以下の既知の手順に従って製造される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として製造されることができ、この好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。フォトレジストの固形分量は、典型的には、フォトレジスト組成物の全重量の5〜35重量パーセントで変化する。このような溶媒のブレンドも好適である。
【0036】
液体フォトレジスト組成物は、例えば、スピニング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。スピンコーティングの場合には、コーティング溶液の固形分量は、使用される具体的なスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングが可能な時間量に基づいて、所望の膜厚みを提供するように調節されうる。
【0037】
本発明に従って使用されるフォトレジスト組成物は、フォトレジストでのコーティングを伴うプロセスにおいて従来使用されてきた基体に適切に適用される。例えば、この組成物は、マイクロプロセッサおよび他の集積回路部品の製造のためのシリコンウェハ、または二酸化ケイ素でコーティングされたシリコンウェハ上に適用されうる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども好適に使用される。フォトレジストは、反射防止層、特に有機反射防止層上にも好適に適用されうる。
【0038】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、フォトレジストは、好ましくはフォトレジスト塗膜が粘着性でなくなるまで、加熱により乾燥させられて溶媒を除去することができる。
【0039】
次いで、フォトレジスト層は像形成性放射線に露光される。液浸リソグラフィプロセスが使用されても良い。本明細書における「液浸露光」または他の類似の用語についての言及は、露光ツールと塗布されたフォトレジスト組成物層との間に挿入された液体層(例えば、水または添加剤を含む水)を用いて露光が行われることを示す。
【0040】
ある用途のためにはドライ露光が適している場合があり、すなわち、ドライ露光では空気または他の非液体媒体が像形成ツールとフォトレジスト塗膜層表面との間に挿入されている。
【0041】
フォトレジスト組成物層は、フォトレジスト組成物の成分および露光ツールに応じて、典型的に約1〜100mJ/cmの範囲の露光エネルギーで活性化放射線に露光されて、適切にパターン形成される。本明細書における、フォトレジストを活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することについての言及は、光活性成分の反応を誘起する(例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせる)ことによるなどして、その放射線がフォトレジスト内に潜像を形成できることを示す。
【0042】
上述のように、フォトレジスト組成物は好ましくは短い露光波長、特にサブ400nm、サブ300nm、およびサブ200nmの露光波長で光活性化され、EUV、並びに、I線(365nm)、248nmおよび198nmが特に好ましい露光波長である。
【0043】
露光にの後で、組成物の膜層は好ましくは約70℃〜約160℃の範囲の温度でベークされる。その後、膜は、好ましくは水性現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;様々なアミン溶液、好ましくは、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンもしくはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン;環式アミン、例えば、ピロール、ピリジンなど;での処理によって現像される。
【0044】
本発明のフォトレジストおよび方法は様々な用途に、例えば、バックエンド注入(back−end implant)、CDマスク、磁気ディスクおよび薄膜ヘッド(例えば、3〜5μm)の製造に使用されうる。
【0045】
また、本発明のフォトレジストは金属バンプを半導体ウェハ上に形成するのに有用であり得る。このような処理は、a)半導体ウェハ上に本発明のフォトレジストを配置し、好ましくは、50μm以上の乾燥レジスト塗膜層のような厚いフィルム塗膜層を提供し;c)この感光性組成物の層を化学線、例えば、サブ300nmまたはサブ200nm放射線、特に248nmおよび193nmで像形成するように(imagewise)露光し;d)感光性組成物の露光された層を現像して、パターン形成された領域を提供し;e)パターン形成された領域に金属を堆積させ;並びに、f)露光された感光性組成物を除去して、金属バンプを有する半導体ウェハを提供する;ことを含むことができる。
【0046】
このようなバンプ形成方法においては、フォトレジスト層は感光層内にバイアのような開口部を形成するように像形成される。このようなプロセスにおいては、感光層は電子デバイス上の導電層上に配置される。感光性組成物の露光およびその後の現像は、感光性組成物に画定された穴(バイア)を提供し、下にある導電層を露出させる。よって、このプロセスの次の工程は、画定された穴(バイア)に金属または金属合金バンプを堆積させることである。このような金属堆積は無電解または電解堆積プロセスによることができる。電解金属堆積が好ましい。電解金属堆積プロセスにおいては、電子デバイス基体、すなわち、半導体ウェハがカソードとして機能する。
【0047】
ハンダとして適しているような金属または金属合金の堆積前に、銅またはニッケルのような導電層がスパッタリング、無電解堆積などによって堆積されて、アンダーバンプメタル(under−bump−metal)を形成することができる。このようなアンダーバンプメタル層は典型的には、1000〜50,000Åの厚みであり、そして、その後にめっきされるハンダバンプに対して濡れ性の基礎として機能する。
【0048】
銅、スズ−鉛、ニッケル、金、銀、パラジウムなどをはじめとするが、これに限定されない様々な金属が無電解堆積されうる。電解堆積されうる好適な金属および金属合金には、これに限定されないが、銅、スズ、スズ−鉛、ニッケル、金、銀、スズ−アンチモン、スズ−銅、スズ−ビスマス、スズ−インジウム、スズ−銀、パラジウムなどが挙げられる。このような金属めっき浴は当業者に周知であり、そして、ロームアンドハースのような様々なソースから容易に入手可能である。
【0049】
ある実施形態においては、半導体ウェハ上の金属堆積物はハンダバンプとして有用である。よって、金属バンプが、スズ、スズ−鉛、スズ−銅、スズ−銀、スズ−ビスマス、スズ−銅−ビスマス、スズ−銅−銀などのようなはんだ付け可能な金属および金属合金であることが好ましい。ハンダバンプ形成に適した金属および金属合金は米国特許第5,186,383号;第5,902,472号;第5,990,564号;第6,099,713号;および第6,013,572号、並びに、欧州特許出願公開第EP1148548号(チェン(Cheung)ら)に開示されており、これら全ては、参照によって本明細書に組み込まれる。典型的な金属および金属合金には、これに限定されないが、スズ;2重量%未満の銅、好ましくは約0.7重量%の銅を有するスズ−銅合金;20重量%未満の銀、好ましくは3.5〜10重量%の銀を有するスズ−銀合金;5〜25重量%のビスマス、好ましくは約20重量%のビスマスを有するスズ−ビスマス合金;および5重量%未満の銀、好ましくは約3.5重量%の銀、2重量%未満の銅、好ましくは約0.7重量%の銅および残部のスズを有するスズ−銀−銅合金が挙げられる。ある実施形態においては、ハンダバンプに使用される金属合金は鉛を含まず、すなわち、その金属合金は10ppm以下しか鉛を含まない。
【0050】
一般に、適した電解金属めっき浴は酸性であり、そして酸、水、堆積される金属(1種または複数種)の可溶性形態、並びに任意に1種以上の有機添加剤、例えば、光沢剤(促進剤)、キャリア(抑制剤)、レベラー、延性増強剤、湿潤剤、浴安定化剤(特に、スズ含有浴のために)、グレインリファイナー(grain refiner)などを含む。各任意成分の存在、種類および量は使用される具体的な金属めっき浴に応じて変動する。このような金属めっき浴は、一般に市販されている。
【0051】
このようなプロセスにおいて、レジスト組成物はめっきされるべきでない領域に対する保護層として機能する。金属堆積の後で、残存するレジスト組成物は、約40℃〜69℃の温度で、市販のN−メチルピロリドン(NMP)ベースの剥離剤を用いることによるなどして剥離される。適切な剥離剤は様々な商業的ソースから入手可能である。
【0052】
本明細書において言及される全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。以下の非限定的な例は本発明の例示である。
【実施例】
【0053】
実施例1:レジスト製造
【化4】

【化5】

【0054】
以下の成分(以下の1〜5)を混合することにより、フォトレジストが調製され、量はレジストの全重量の重量パーセントとして表される。
1.樹脂
フォトレジストの樹脂は上に示され(上の構造において「樹脂1」として指定される)、上で示された化学式においては、ターポリマーの各繰り返し単位の下の数字は、そのターポリマーにおけるその単位の重量割合(この樹脂合成の際に添加されるモノマーに基づく)を表す。この樹脂は流体フォトレジストの全重量の12.0重量パーセントの量で存在する。
2.光酸発生剤化合物(PAG)
PAGは、流体フォトレジストの全重量の2.5重量パーセントで存在するt−ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロブタンスルホナートである。
3.塩基性添加剤
塩基性添加剤は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして0.017重量%の量のN−アルキルカプロラクタムである。
4.多ケトン樹脂
このフォトレジストの多ケト樹脂は上に示され、示された化学式において、このターポリマーの各繰り返し単位の下の数字は、このターポリマーにおけるその単位の重量割合(この樹脂合成の際に添加されるモノマーに基づく)を表す。この多ケト樹脂は流体フォトレジストの全重量の8重量パーセントの量で存在する。
5.溶媒
溶媒は乳酸エチルであり、レジストの残部を提供する。
【0055】
実施例2:リソグラフィ処理
実施例1の配合されたレジスト組成物はSiONウェハ表面上にスピンコートされ、90℃で60秒間、真空ホットプレートでソフトベークされる。レジスト塗膜層は、フォトマスクを通して193nmで露光され、次いで、露光された塗膜層は110℃で露光後ベークされる。コーティングされたウェハは、次いで0.26Nのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理されて、像形成されたレジスト層を現像する。
フォトレジストレリーフ像の形成後、基体(レジストマスクを有する)は高エネルギー(>20eV、減圧環境)リンイオン注入処理にかけられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)樹脂、2)光活性成分、および3)多ケト成分;を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物のレリーフ像を半導体基体上にコーティングした半導体基体を提供し;並びに
イオンを前記基体に適用する;
ことを含む、イオン注入された半導体基体を提供する方法。
【請求項2】
多ケト成分が樹脂である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1)樹脂が光酸不安定基を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
環のメンバーではない少なくとも2つの隣り合うケト基を前記多ケト成分が含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
1)樹脂、2)光活性成分、および3)多ケト成分;を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物のレリーフ像を半導体ウェハ上にコーティングした半導体ウェハであって;
ドーパントイオンを適用した前記ウェハ;
を含むコーティングされた基体。
【請求項6】
環のメンバーではない少なくとも2つの隣り合うケト基を前記多ケト成分が含む、請求項5に記載の基体。
【請求項7】
(a)1)樹脂、2)光活性成分、および3)多ケト成分を含むフォトレジストを基体上に適用し;並びに
(b)フォトレジスト塗膜層をパターン化された活性化放射線に露光する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項8】
放射線が193nmの波長を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
フォトレジスト組成物が無機表面上に適用される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
環のメンバーではない少なくとも2つの隣り合うケト基を前記多ケト成分が含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
1)樹脂、2)光活性成分、および3)多ケト成分を含むフォトレジスト組成物。
【請求項12】
多ケト成分が樹脂である請求項11に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
前記1)樹脂が光酸不安定基を含む請求項11または12に記載のフォトレジスト組成物。

【公開番号】特開2012−141613(P2012−141613A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−219(P2012−219)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】