説明

フォトレジスト組成物およびフォトリソグラフィパターンを形成する方法

【課題】ネガティブトーン現像プロセスによってフォトリソグラフィパターンを形成するのに有用なフォトレジスト組成物、フォトリソグラフィパターンを形成する方法、並びにフォトレジスト組成物でコーティングされた基体を提供する。
【解決手段】フォトレジスト組成物、およびネガティブトーン現像プロセスを用いて微細パターンの形成を可能にするフォトリソグラフィ方法に関し、このフォトレジスト組成物は一部分が特定のアセタール部分を含むモノマーから形成されるコポリマーを含む。本発明の好ましい組成物および方法は、フォトリソグラフィ処理における厚さ損失の低減およびパターン崩壊マージンの向上をもたらす。この組成物、方法およびコーティングされた基体については、半導体デバイスの製造における特別な適用性が見いだされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明はフォトレジスト組成物に関し、およびネガティブトーン(negative tone)現像プロセスを用いて微細パターンの形成を可能にするフォトリソグラフィ方法に関する。このフォトレジスト組成物は一部分が特定のアセタール部分を含むモノマーから形成されるコポリマーを含む。本発明の好ましい組成物および方法は、フォトリソグラフィ処理における厚さ損失の低減およびパターン崩壊マージンの向上をもたらしうる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、フォトレジスト材料は、半導体基体上に配置される金属、半導体および誘電体層のような1以上の下層に、並びに基体自体に像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を増大させかつナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトリソグラフィ処理ツールおよびフォトレジストが開発されてきており、かつ開発され続けている。
【0003】
半導体デバイスにおいてnmスケールのフィーチャサイズを達成するための1つの手法は、化学増幅型フォトレジストの露光中での短波長、例えば、193nm以下の光の使用である。液浸リソグラフィは、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数を効果的に増大させる。これは、像形成装置の最終面と半導体ウェハの上面との間に、比較的高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるであろうよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を合わせられることを可能にする。
【0004】
レイリー方程式(Rayleigh equation)によって定義される理論的な解像限界は以下に示される:
【数1】

式中、kはプロセス因子であり、λは像形成ツールの波長であり、NAは像形成レンズの開口数である。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大されうる。ラインアンドスペースパターンを印刷する場合の0.25のkについては、193nmの液浸スキャナは36nmハーフピッチラインアンドスペースパターンを解像することができるのみであろう。コンタクトホールまたは任意の2Dパターンを印刷するための解像度は、ダークフィールドマスクを用いた低空中像コントラストのせいで、さらに限定され、kについての理論的限界は0.35である。よって、コンタクトホールの最も小さいハーフピッチは約50nmに限定される。標準の液浸リソグラフィプロセスは、より高解像度を必要とするデバイスの製造に一般的に適していない。
【0005】
材料および処理の双方の観点から、液浸リソグラフィにおけるポジティブトーン現像の実際の解像能を拡大するためのかなりの努力がなされてきた。そのような例の1つは従来のポジ型化学増幅型フォトレジストのネガティブトーン現像(NTD)を伴う。NTDは像反転技術であり、臨界的な暗いフィールド層を印刷するための明るいフィールドマスクを用いて得られる優れた像形成品質の使用を可能にする。NTDレジストは典型的には酸不安定(acid−labile)(または、酸により開裂可能な)基を有する樹脂と光酸発生剤とを使用する。化学線への露光は光酸発生剤に酸を形成させ、この酸は、露光後ベーキング中に、樹脂中の酸不安定基の開裂をもたらし、露光領域における極性切り替えを引き起こす。その結果、そのレジストの未露光領域が特定の現像剤、典型的には有機現像剤、例えば、ケトン、エステルもしくはエーテルによって除去され、不溶性の露光領域によって作られるパターンを残すことができるように、そのレジストの露光領域と未露光領域との間に溶解度特性の差がつくり出される。このようなプロセスは、例えば、グッドオール(Goodall)らへの米国特許第6,790,579号に記載されている。この文献は、酸発生性開始剤と、反復した酸不安定ペンダント基をポリマー骨格に沿って含む多環式ポリマーとを含むフォトレジスト組成物を開示する。露光領域はアルカリ現像剤で選択的に除去されることができ、あるいは未露光領域はネガティブトーン現像に好適な非極性溶媒での処理によって選択的に除去されることができる。
【0006】
従来の193nmフォトレジストはネガティブトーン現像から、向上した空中像品質についての恩恵を受けうるがこれらは標準のポジティブトーン現像技術と比較して1以上の不利益を示す傾向がある。現像されたフォトレジストは、例えば、露光前のレジスト層と比較して有意な厚さ損失を示す場合がある。このような厚さ損失は、ターシャリーアルキルエステル基のような一般的に使用される酸不安定基のレジスト層からの開裂の結果であると考えられる。レジストパターンの領域が完全に浸蝕除去されることとなる場合には、下層のエッチング中にこのことは特に問題となりうる。焦点深度およびパターン崩壊の低減のような他の問題がより厚い膜から生じうるので、この問題はより厚いレジスト層の使用によって本質的に回避されることができない。典型的な193nmレジストにおけるパターン崩壊の発生は、例えば、(メタ)アクリラートべースのポリマーからのターシャリーアルキルエステルおよびアセタール脱離基などの特定の酸不安定基の開裂の後でフォトレジストの露光領域において生じる(メタ)アクリル酸単位の相対的に高い含量によって悪化させられると考えられる。この(メタ)アクリル酸単位は、レジストパターンと基体との間の極性不適合のせいで有機基体およびSi−ベースの無機基体上での劣った接着性に寄与する。従来の193nmフォトレジストの使用に伴って起こりうる別の問題はエッチング耐性喪失である。この問題は酸不安定ターシャリーアルキル基の喪失からも生じる場合があり、この基は典型的にはポジティブトーン現像処理におけるフォトレジストパターンに対してエッチング耐性を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,790,579号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この技術分野において、電子デバイス製造における微細パターンの形成を可能にし、および最新技術に関連する1以上の問題に取り組む、ネガティブトーン現像のための改良されたフォトリソグラフィ方法とフォトレジスト組成物についての継続した必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、フォトレジスト組成物が提供される。このフォトレジスト組成物はコポリマーと光酸発生剤とを含み、前記コポリマーは第1の単位および1種以上の追加の単位を含み、前記第1の単位は重合性官能基と下記式(I)もしくは式(II)の第1部分とを含むモノマーから形成されており、
【化1】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)線状、分岐および環式有機基から選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびaもしくはbは1であり、かつaもしくはbのうちのもう一方は1もしくは2であり;
【化2】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)線状、分岐および環式有機基から独立して選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびcもしくはdは1であり、かつcもしくはdのうちのもう一方は1もしくは2であり;
前記コポリマーは、開裂されるとカルボン酸基の形成をもたらすであろう酸により開裂可能な基を含まない。
また、ネガティブトーン現像によるフォトリソグラフィパターンを形成する方法も提供される。この方法は(a)パターン形成される1以上の層を基体の表面上に含む基体を提供し;(b)本明細書において上述した本発明のフォトレジスト組成物の層を前記パターン形成される1以上の層上に適用し;(c)フォトレジスト組成物層を化学線でパターン様式で(patternwise)露光し;(d)露光したフォトレジスト組成物層を露光後べークプロセスにおいて加熱し;並びに(e)現像剤をフォトレジスト組成物層に適用することを含む。フォトレジスト層の未露光領域が現像剤によって除去され、かつフォトレジスト層の露光領域はパターン形成される1以上の層上にフォトレジストパターンを形成する。
コーティングされた基体も提供される。コーティングされた基体は、基体と、その基体の表面上の、本明細書に記載される本発明のフォトレジスト組成物の層とを含む。
本明細書において記載される本発明のネガティブトーン現像方法によって形成される電子デバイスも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1B】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1C】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1D】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1E】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図2】図2は実施例のフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図3】図3は実施例のフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図4】図4は実施例のフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図5】図5は実施例のフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図6】図6は実施例のフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図7A】図7Aは実施例のフォトレジスト組成物を使用して形成されたパターンのSEM顕微鏡写真である。
【図7B】図7Bは実施例のフォトレジスト組成物を使用して形成されたパターンのSEM顕微鏡写真である。
【図7C】図7Cは実施例のフォトレジスト組成物を使用して形成されたパターンのSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において使用される場合、「g」はグラムを意味し;「重量%」は重量パーセントを意味し;「L」はリットルを意味し;「mL」はミリリットルを意味し;「nm」はナノメートルを意味し;「mm」はミリメートルを意味し;「min」は分を意味し;「h」は時間を意味し;「Å」はオングストロームを意味し;「モル%」はモルパーセントを意味し;「Mw」は重量平均分子量を意味し;「Mn」は数平均分子量を意味し;並びに用語「コポリマー」は異なる構造の2種以上のモノマーから生じるポリマーを意味する。
【0012】
本発明は添付の図面を参照して説明され、この図面においては同様の参照番号は同様のフィーチャを示す。
【0013】
フォトレジスト組成物
本発明の好ましいフォトレジスト組成物はネガティブトーン現像プロセスに使用されて非常に微細なパターンを形成する場合に、従来のポジティブトーンフォトリソグラフィ技術と比較して低減された上部損失、並びに低減されたもしくは除去されたパターン崩壊を提供しうる。好ましいフォトレジストは、改良された焦点寛容度(focus latitude)および露光寛容度(exposure latitude)、並びにラインおよびコンタクトホールについて形状が均一なレジストパターン、並びに低減された欠陥をさらに提供することができる。これら利点は、ドライリソグラフィまたは液浸リソグラフィプロセスにおいて本明細書に記載される組成物を使用する場合に達成されうる。
【0014】
A.マトリックスコポリマー
フォトレジスト組成物はマトリックスコポリマーを含む。フォトレジスト組成物の層の要素としてのマトリックスコポリマーが、ソフトベーク、活性化放射線への露光、並びに露光後ベークの後の、光酸発生剤から生じた酸との反応の結果として、有機現像剤中での溶解度の変化を受ける。マトリックスコポリマーは環構造とアセタール基とを有する部分を含むモノマーから形成される第1の単位を含む。アセタール基の特徴である2つの酸素原子とこの酸素原子に結合している第二級炭素原子(アセタール第二級炭素原子)とは環構造の一部分を形成している。このアセタール第二級炭素原子に結合されるのは、この環構造にペンダントである2つの基の形態をとることができる構造であるか、もしくはアセタール第二級炭素原子と一緒になって環構造の形態をとりうる構造である。ペンダント基と一緒になったアセタール第二級炭素原子は酸不安定であり、活性化放射線および熱処理への曝露の際に光酸促進脱保護反応を受ける。アセタール第二級炭素原子およびペンダント基の開裂は、従前のアセタール酸素原子を伴うヒドロキシ基の形成をもたらすと考えられる。このことはネガ型像の形成を可能にするレジスト層を現像するのに使用される有機溶媒中でのコポリマーの可溶性を低くする。
【0015】
より具体的には、モノマーは重合性官能基と式(I)もしくは式(II)の第1部分とを含む:
【化3】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)、好ましくは(C−C)線状、分岐および環式有機基から選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびaもしくはbは1であり、かつaもしくはbのうちのもう一方は1もしくは2であり;
【化4】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)、好ましくは(C−C)線状、分岐および環式有機基から独立して選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびcもしくはdは1であり、かつcもしくはdのうちのもう一方は1もしくは2である。
【0016】
、R、RおよびRは、例えば、(C−C10)、好ましくは(C−C)炭化水素、例えば、(C−C)アルキルもしくは(C−C)シクロアルキル;(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルカルボニル、(C−C10)アルコキシカルボニル、(C−C10)アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミン、アルキル硫黄含有物質などでありうる。RとR、またはRとRが一緒になって環を形成する場合、この環は典型的にはC4〜C6シクロアルカンである。R、R、RおよびR基は場合によっては置換されていてもよく、これは1以上の水素原子が別の原子もしくは基で置き換えられうることを意味している。
【0017】
モノマーは、好ましくは、第1部分がラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンにペンダントであるかまたはこれらに縮合しているように、第1部分に結合したラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンをさらに含むことができる。好ましいラクトンは5員環構造を有するものから選択される。好ましい環式エーテルは5員および6員環構造を有するものから選択される。好ましい環式アルカンは6員環構造を有するものから選択される。ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンは典型的には重合性基に直接結合されているが、場合によってはスペーサー単位、例えば、線状および分岐の脂肪族(場合によっては−O−、−S−、−COO−および−CONR−から選択される1以上の連結部分を有する)から選択されるスペーサー単位を介して重合性基に結合されていてもよく;Rは水素、並びに(C−C10)線状、分岐および環式炭化水素から選択される。R炭化水素は場合によっては置換されていてもよい。ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンがモノマー中に存在している場合には、第1部分は好ましくは、ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンを介して重合性基に間接的に結合されている。第1部分は、例えば、ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンと共に縮合環構造を形成してよく、またはラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンに対してペンダントであってよい。第1部分およびラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンについての好適な構造には、例えば、ケトンと反応したグルコールおよびフルクトースのような糖を含む天然に存在する炭水化物から得られるものが挙げられる。このような物質は市販されている。
【0018】
モノマーは上記式(I)もしくは式(II)の1種以上の追加の部分をさらに含むことができ、第1部分および追加のこのような部分は同じかまたは異なっていてよい。追加のこの部分が存在する場合には、モノマーには、典型的には上述のようなラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンも挙げられうる。第1部分および追加の部分は様々な配置でモノマー中に存在することができる。例えば、第1および第2のこのような部分の場合には、第1部分および第2部分の一方は上述のようにラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンに縮合されていてよく、第1部分および第2部分のうちのもう一方はラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンにペンダントであってよく、または第1部分および第2部分の双方ともにラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンに縮合されていてよくまたはこれらに対してペンダントであってもよい。
【0019】
モノマー中の重合性官能基は、例えば、(メタ)アクリラート、ビニルおよび非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、ノルボルネン、例えば、下記一般式(P−A)、(P−B)および(P−C)のものから選択されうる:
【化5】

式中、Rは水素およびC1〜C3アルキルから選択され;
【化6】

式中、Rは水素およびC1〜C3アルキルから選択され;並びに
【化7】

式中、mは0〜3の整数である。Rは場合によっては置換されてよく、例えば、1以上の水素原子をフッ素のようなハロゲンで置き換えることにより置換されてよい。好ましくは、このモノマーおよび他のモノマー単位の重合性基は式(P−A)の(メタ)アクリラート基である。
【0020】
限定されることなく、式IもしくはIIの好適なモノマーには、例えば、以下のものが挙げられる:
【化8】

【化9】

上記モノマーにおいて特定の重合性基が例示されているが、上記式(P−A)、(P−B)および(P−C)のもののような他の重合性基が使用されうることは明らかである。
【0021】
上記第1の単位に加えて、マトリックスコポリマーは1種以上の追加の単位を含む。典型的には、この追加の単位は、第1のモノマーにおいて使用されるのと同じ重合性基を含むであろうが、異なる重合性基、例えば、上記(P−A)、(P−B)および/または(P−C)のものを同じポリマー骨格内に含むことができる。コポリマーに好適な追加のモノマー単位には、例えば、以下のものの1種以上が挙げられる:第1の単位とは異なり、式(I)もしくは(II)の部分を含むモノマーから形成されるモノマー単位;エーテル、ラクトンもしくはエステルを含むモノマー単位、例えば、2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノニ−2−イルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシ−8−イルエステル、および2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノニ−2−イルエステル、並びに2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;極性基を有するモノマー単位、例えば、アルコールおよびフッ素化アルコール、例えば、2−メチル−アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−ヒドロキシ−エチルエステル、6−ビニル−ナフタレン−2−オール、2−メチル−アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、および2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン−2−オール;開裂後にカルボン酸基の形成をもたらす酸不安定部分以外の酸不安定部分を有するモノマー単位、例えば、2−メチル−アクリル酸2−(1−エトキシ−エトキシ)−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−エトキシメトキシ−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−メトキシメトキシ−エチルエステル、2−(1−エトキシ−エトキシ)−6−ビニル−ナフタレン、2−エトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン、および2−メトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン。
【0022】
コポリマーの第1の単位および追加の単位は、その開裂がカルボン酸基の形成をもたらすであろう酸により開裂可能な基を含まず、その結果マトリックスコポリマーはこのようなカルボン酸形成性の酸により開裂可能な基を含まない。典型的なこのような酸による開裂可能な基には、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した、ターシャリー非環式アルキル炭素、例えば、t−ブチル、またはターシャリー脂環式炭素、例えば、メチルアダマンチルもしくはエチルフェンキルを含むエステル基が挙げられる。このような基は193nm化学増幅型フォトレジストにおいて一般的に使用される。上述のように、レジスト現像の時点でのマトリックスポリマー中の高レベルのカルボン酸基の存在はパターン崩壊をもたらしうる。これら酸により開裂可能な基の非存在の結果として、本発明のフォトレジスト組成物は典型的には、ポジティブトーン現像プロセスにおいて従来使用されてきた水性塩基現像剤中でポジティブトーンコントラストを示さない。このような水性塩基現像剤には、例えば、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、テトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液、典型的には、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。よって、カルボン酸誘導性の酸により開裂可能な基を有するマトリックスポリマーを含む既知のポジ型レジストシステムとは対照的に、本発明のフォトレジスト組成物の露光領域は露光後ベークの後で水性塩基現像剤中で実質的に不溶性である。193nmフォトレジストポリマーにおいて一般的に使用されるかさ高な酸不安定基、例えば、アルキルアダマンチル基のようなターシャリーアルキルエステル不安定基の存在は、露光前のレジスト層と比べて有意な厚さ損失および/またはエッチング損失に寄与しうることがさらに考えられる。
【0023】
サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、マトリックスポリマーは典型的には、フェニル、ベンジルもしくは他の芳香族基を実質的に含まず(例えば、15モル%未満)、このような基はこの放射線を非常に吸収する。コポリマーはヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位、例えば、ポリマー骨格に縮合したヘテロ脂環式単位;縮合炭素脂環式単位、例えば、ノルボルネン基の重合により提供される;並びに1以上のヘテロ原子(例えば、酸素もしくは硫黄)含有基で置換されている炭素環式アリール単位、例えば、ヒドロキシナフチル基:から選択される1種以上を含むことができる。
【0024】
マトリックスポリマーの重量平均分子量Mは典型的には100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的には5000〜15,000である。好適なマトリックスポリマーは当業者によって市販の出発物質を用いて容易に製造されうる。マトリックスポリマーはレジスト組成物中に所望の厚みの均一な塗膜を得るのに充分な量で存在する。典型的には、マトリックスポリマーはレジスト組成物の全固形分を基準にして70〜95重量%の量で組成物中に存在する。
【0025】
B.光酸発生剤
フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層中に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光酸発生剤(PAG)をさらに含む。例えば、光酸発生剤はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして約1〜20重量%の量で好適に存在しうる。典型的には、より少ない量のPAGが化学増幅型レジストのためには好適であろう。
【0026】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されてもよい。
【0027】
C.溶媒
本発明のフォトレジスト組成物に好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸メチルおよび乳酸エチル;プロピオン酸エステル、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナート、およびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。溶媒のブレンド、例えば、上述の溶媒の2種類、3種類もしくはそれより多い種類のブレンドも好適である。溶媒はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0028】
D.他の成分
フォトレジスト組成物は他の任意物質を含むこともできる。例えば、組成物は化学線およびコントラスト染料(actinic and contrast dyes)、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤などの1種以上を含むことができる。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在する。
【0029】
本発明のレジスト組成物の好ましい任意の添加剤は追加塩基、例えば、カプロラクタムであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。他の好適な塩基性添加剤には、アルキルアミン、例えば、トリプロピルアミンおよびドデシルアミン、アリールアミン、例えば、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。追加塩基は好適には比較的少量で、例えば、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%で使用される。
【0030】
レジスト層上のトップコート層の必要性を回避することにより液浸リソグラフィプロセスを単純化するために、フォトレジスト配合物中の添加剤として界面活性ポリマーが場合によっては使用されうる。トップコート層は光酸発生剤のようなレジスト成分が像形成レンズ表面を汚染するのを妨げるために典型的に使用される。フォトレジスト配合物に添加される界面活性ポリマー添加剤は、その比較的低い表面自由エネルギーのせいでコーティングプロセス中に表面へ移動する。界面活性ポリマーが表面に移動するのを可能にするように、この界面活性ポリマー添加剤はマトリックスポリマーよりも低い表面自由エネルギーを有するべきである。界面活性ポリマー添加剤の典型的な表面自由エネルギーは10〜40mJ/mである。好適な界面活性ポリマーは当該技術分野において知られており、例えば、TsibouklisおよびNevell(Advanced Materials,2003,15,647〜650ページ)によって開示されたものが挙げられる。典型的に好適なポリマー添加剤には、例えば、ポリ(アクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(アクリル酸i−ブチル)、ポリ(メタクリル酸i−ブチル)、ポリ(ジエチルシロキサン)、ポリ(酪酸ビニル)、ポリテトラヒドロフラン、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレンオキシド)およびフッ素化ポリマーが挙げられる。1種以上の添加剤ポリマーは典型的にはフォトレジスト組成物中に比較的少量で存在しうるが、依然として有効な結果を提供できる。添加剤ポリマーの量は、例えば、リソグラフィが乾燥もしくは液浸型プロセスであるかに応じて変化しうる。例えば、液浸リソグラフィのための添加剤ポリマーの下限は概してレジスト成分の漏出を妨げる必要性によって定められる。より高い添加剤ポリマー量は典型的にはパターン劣化をもたらすであろう。本発明の組成物中に1種以上のポリマー添加剤は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして、典型的には0.1〜10重量%、より典型的には1〜5重量%の量で存在する。添加剤ポリマーの重量平均分子量は典型的には400,000未満、例えば、5000〜50,000である。
【0031】
フォトレジスト組成物の製造
本発明に従って使用されるフォトレジストは既知の手順に従って一般的に製造される。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分を溶媒成分中に溶解させることにより製造されうる。フォトレジストの望まれる全固形分量は組成物中の具体的なポリマー、最終層厚さおよび露光波長などの要因に応じて変化しうる。典型的には、フォトレジストの固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変化する。
【0032】
ネガティブトーン(negative tone)現像方法
本発明は、本発明のフォトレジストを用いてフォトレジストレリーフ像を形成する方法および電子デバイスを製造する方法をさらに提供する。本発明は、本発明のフォトレジスト組成物でコーティングされた基体を含む新規製造物品も提供する。本発明に従う方法は、ここで図1A〜Eを参照して説明され、この図1A〜Eは、ネガティブトーン現像によってフォトリソグラフィパターンを形成するための代表的なプロセスフローを示す。
【0033】
図1Aは様々な層およびフィーチャを含むことができる基体100の断面を示す。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料からなることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成されたフィーチャを有することができる。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供されうる。場合によっては、例えば、基体材料に溝を形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体材料自体がパターン形成されてよい。ベース基体材料自体をパターン形成する場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされるものとする。
【0034】
この層には、例えば、1以上の導電体層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコン、1以上の誘電体層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長;物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成されうる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、材料および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0035】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ材料およびプロセスに応じて、層102上に、フォトレジスト層108がこの上にコーティングされる反射防止塗膜(bottom antireflective coating;BARC)106および/またはハードマスク層104を配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣る非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層104の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に写されることができ、これは次いで、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。好適なハードマスク材料および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な材料には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層104は単一層を構成するか、または異なる材料の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成されうる。
【0036】
反射防止塗膜がなければ基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、反射防止塗膜106が望まれる場合がある。このような塗膜は焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させうる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、もしくはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合には、反射防止塗膜が典型的に使用される。反射防止塗膜106は単一層を構成するか、または複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止材料および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止材料は市販されており、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR商標40AおよびAR商標124反射防止材料などのAR商標の下で販売されているものがある。
【0037】
本明細書において記載されるようにフォトレジスト組成物が基体上に、(存在する場合には)反射防止層106上に適用されて、フォトレジスト層108を形成する。フォトレジスト組成物はスピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。もちろん、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについては、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。フォトレジスト層108の典型的な厚みは約500〜3000Åである。
【0038】
フォトレジスト層は、次いで、ソフトベークされることができ、層内の溶媒含量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、フォトレジストの具体的な材料および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0039】
フォトレジスト層108は次いで、第1のフォトマスク112を通した活性化放射線110に露光されて、露光領域と未露光領域との間に溶解度の差を作り出す。本明細書における、組成物を活性化する放射線へのフォトレジスト組成物の露光についての言及は、その放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成することができることを意味する。フォトマスクは光学的に透明な領域113および光学的に不透明な領域114を有し、これらはそれぞれ、示されるようなポジ型物質については、その後の現像工程において、レジスト層が残る領域およびレジスト層が除去される領域に対応する。露光は長は典型的にはサブ−400nm、サブ−300nm、またはサブ−200nmであり、248nmoyobi193nmが典型的である。本方法は液浸もしくは乾燥(非液浸)リソグラフィ技術における用途を見いだす。露光エネルギーは典型的には約10〜80mJ/cmであり、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて変化する。
【0040】
図1Bに示されるように、露光されたレジスト層は未露光領域108aおよび露光領域108bからなる。フォトレジスト層108の露光の後で、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン内で行われうる。PEBの条件は、例えば、具体的なフォトレジスト組成物および層厚さ応じて決定されうる。PEBは典型的には約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0041】
露光されたフォトレジスト層は次いで現像されて未露光領域108aを除去し、露光領域108bを残して、図1Cに示されるようなレジストパターンを形成する。現像剤は典型的には有機現像剤であり、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素およびこれらの混合物から選択される溶媒である。好適なケトン溶媒には、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適なエステル溶媒には、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオナート、3−メトキシブチルアセタート、3−メチル−3−メトキシブチルアセタート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよび乳酸プロピルが挙げられる。好適なエーテル溶媒には、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびメトキシメチルブタノールが挙げられる。好適なアミド溶媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。好適な炭化水素溶媒には、例えば、芳香族炭化水素溶媒、例えば、トルエンおよびキシレンが挙げられる。さらに、これらの溶媒の混合物、または上記以外の溶媒と混合された1種以上の示された溶媒、または水と混合された1種以上の示された溶媒が使用されても良い。もちろん、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノンが特に好ましい。他の好適な溶媒には、フォトレジスト組成物に使用される溶媒が挙げられる。
【0042】
溶媒は実質的に純粋な材料として、例えば、現像剤の全重量を基準にして95重量%を超える、98重量%を超える、もしくは99重量%を超える量で存在することができる。溶媒の混合物が現像剤において使用される場合には、この溶媒の沸点は好ましくは類似する。現像剤の溶媒は現像剤の全重量を基準にして典型的には50重量%〜100重量%、より典型的には80重量%〜100重量%の量で存在する。
【0043】
現像剤材料は、フォトレジストに関して上述したような界面活性剤など任意の添加剤を含むことができる。このような任意の添加剤は、典型的には少量で、例えば、現像剤の全重量を基準にして約0.01〜5重量%の量で存在することができる。
【0044】
現像剤は既知の技術で、例えば、スピンコーティングもしくはパドルコーティングで基体に適用されることができる。現像時間はフォトレジストの未露光領域を除去するのに有効な期間であり、5〜30秒の時間が典型的である。現像は典型的には室温で行われる。現像プロセスは現像の後にクリーニングすすぎを使用することなく行われうる。これに関して、現像プロセスが、このような追加のすすぎ工程を不要にする残留物非含有水面を生じさせうることが見いだされた。
【0045】
レジストパターン108bをエッチングマスクとして用いて、存在する場合には、BARC層106が選択的にエッチングされて、下にあるハードマスク層104を露出させる。図1Dに示されるように、このハードマスク層は、次いで、レジストパターン108bを再びエッチングマスクとして使用して、選択的にエッチングされて、結果として、パターン形成されたBARC106’およびハードマスク層104’を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は、当該技術分野において知られており、かつ、例えば、これらの層の具体的な物質に応じて変化するであろう。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。レジストパターン108bおよびパターン形成されたBARC層106’は、次いで、既知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。
【0046】
ハードマスクパターン104’をエッチングマスクとして使用して、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層104’は、次いで、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去されうる。得られる構造は図1Eに示されるようなエッチングされたフィーチャ102’のパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層104を使用することなく、レジストパターン108bを用いて直接に、層102をパターン形成することが望ましい場合がある。直接パターニングが使用されうるかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に応じて定まるであろう。
【0047】
本発明のネガティブトーン現像方法は上述の代表的な方法に限定されない。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、コンタクトホールを製造するためのネガティブトーン現像二重露光方法において使用されうる。代表的なこのような方法は図1を参照して説明されるが、第1の露光とは異なるパターンでのフォトレジスト層のさらなる露光を使用する様々な技術である。このプロセスにおいては、フォトレジスト層は第1の露光工程でフォトマスクを通して化学線に露光される。フォトマスクは、マスクの不透明な領域を形成する一連の平行線を含む。第1の露光の後で、フォトレジスト層の第2の露光が、第1のフォトマスクの方向とは垂直の方向の一連の線を含む第2のフォトマスクを通して行われる。得られるフォトレジスト層は未露光領域、1回露光された領域および2回露光された領域を含む。
【0048】
第2の露光の後で、フォトレジスト層は上述のように、露光後ベークされ、そして現像剤を用いて現像される。2つのマスクの線の交点に対応する未露光領域が除去され、レジストの1回および2回露光された領域を残す。得られる構造は、次いで、図1に関して上述したようにパターン形成されうる。この方法は電子デバイスの製造におけるコンタクトホールの形成に特に適する。
【実施例】
【0049】
マトリックスポリマー合成
以下の実施例におけるコポリマーの合成に以下のモノマーが使用された:
【化10】

【0050】
ポリ(MAMA/α−GBLMA/MNLMA)の合成
27.48gのMAMA、15.96gのα−GBLMAおよび6.57gのMNLMAを62gのPGMEAに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに35gのPGMEAを入れ、この溶液を80℃の温度にした。2.0gのPGMEAに溶解した2.52gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に27.42mL/hの速度で供給した。1時間後、2.0gのPGMEAに溶解した1.26gのV−601をこの反応器に添加し、さらに3時間の間モノマー供給を行った。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに3時間80℃で攪拌した。合計7時間の重合時間の(4時間の供給および3時間の攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。2.0Lのイソプロピルアルコール中で沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、162gのTHFに再溶解し、3.2Lのイソプロピルアルコールに再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させ、41.5gの以下の「ポリマーA」(Mw=6,498およびMw/Mn=1.62)を得た:
【0051】
【化11】

【0052】
ポリ(IPGFMA/α−GBLMA/MNLMA)の合成
15.77gのIPGFMA、6.54gのα−GBLMAおよび2.69gのMNLMAを31gのPGMEAに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに18gのPGMEAを入れ、この溶液を80℃の温度にした。1.0gのPGMEAに溶解した1.03gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に13.0mL/hの速度で供給した。1時間後、1.0gのPGMEAに溶解した0.52gのV−601をこの反応器に添加し、さらに3時間の間モノマー供給を行った。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに3時間80℃で攪拌した。合計7時間の重合時間の(4時間の供給および3時間の攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。1.0Lのイソプロピルアルコール中で沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、52gのTHFに再溶解し、1.1Lのイソプロピルアルコールに再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させ、18.5gの以下の「ポリマーB」(Mw=14,378およびMw/Mn=1.75)を得た:
【0053】
【化12】

【0054】
ポリ(IPGPMA/α−GBLMA/MNLMA)の合成
15.77gのIPGPMA、6.54gのα−GBLMAおよび2.69gのMNLMAを31gのPGMEAに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに18gのPGMEAを入れ、この溶液を80℃の温度にした。1.0gのPGMEAに溶解した1.03gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に13.0mL/hの速度で供給した。1時間後、1.0gのPGMEAに溶解した0.52gのV−601をこの反応器に添加し、さらに3時間の間モノマー供給を行った。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに3時間80℃で攪拌した。合計7時間の重合時間の(4時間の供給および3時間の攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。1.0Lのイソプロピルアルコール中で沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、52gのTHFに再溶解し、1.1Lのイソプロピルアルコールに再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させ、18.0gの以下の「ポリマーC」(Mw=15,239およびMw/Mn=1.84)を得た:
【0055】
【化13】

【0056】
ポリ(IPGFMA)の合成
15.00gのIPGFMAを18.56gのPGMEAに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに10.56gのPGMEAを入れ、この溶液を80℃の温度にした。0.60gのPGMEAに溶解した0.42gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に8.22mL/hの速度で供給した。1時間後、0.60gのPGMEAに溶解した0.21gのV−601をこの反応器に添加し、さらに3時間の間モノマー供給を行った。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに3時間80℃で攪拌した。合計7時間の重合時間の(4時間の供給および3時間の攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。0.6Lのイソプロピルアルコール中で沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、24gのTHFに再溶解し、0.4Lのイソプロピルアルコールに再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させ、7.4gの以下の「ポリマーD」(Mw=9,887およびMw/Mn=1.65)を得た:
【0057】
【化14】

【0058】
ポリ(IPGPMA)の合成
15.00gのIPGPMAを18.56gのPGMEAに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに10.56gのPGMEAを入れ、この溶液を80℃の温度にした。0.60gのPGMEAに溶解した0.42gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に8.22mL/hの速度で供給した。1時間後、0.60gのPGMEAに溶解した0.21gのV−601をこの反応器に添加し、さらに3時間の間モノマー供給を行った。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに3時間80℃で攪拌した。合計7時間の重合時間の(4時間の供給および3時間の攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。0.6Lのイソプロピルアルコール中で沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、22gのTHFに再溶解し、0.4Lのイソプロピルアルコールに再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させ、8.8gの以下の「ポリマーE」(Mw=10,546およびMw/Mn=1.64)を得た:
【0059】
【化15】

【0060】
添加剤ポリマー合成:ポリ(n−BMA)
13.01gのメタクリル酸n−ブチル(nBMA)を7gのTHFに溶解させた。この混合物を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mLのフラスコに8gのTHFを入れ、この溶液を67℃の温度にした。2gのTHFに溶解した2.11gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート、モノマーに対して10.0モル%)をこのフラスコに入れた。モノマー溶液をこの反応器に6.29mL/hの速度で供給した。モノマー供給は3時間30分間行われた。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに30分間67℃で攪拌した。合計4時間の重合時間の(3時間30分間の供給および30分間の攪拌)後、7gのTHFを反応器に添加し、重合混合物を室温に冷却した。0.4Lの冷メタノール中で沈殿が行われた。ろ過後、真空オーブン中60℃で48時間ポリマーを乾燥させ、8.4gの以下の「添加剤A」(Mw=12,284およびMw/Mn=1.79)を得た:
【0061】
【化16】

【0062】
フォトレジスト組成物配合
例1(比較)
2.921gのポリマーAおよび0.102gの添加剤Aを28.980gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、19.320gのシクロヘキサノンおよび48.300gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に0.361gの以下に記載の「PAG A」、0.007gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、0.010gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、および0.005gのPOLYFOX(登録商標)PF−656界面活性剤(Omnova Solutions Inc.)を添加した。得られた混合物をローラー上で6時間ロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0063】
【化17】

【0064】
例2〜9(例4〜6、8および9は比較)
表1に示される成分および量を使用して、例1と同じ手順を用いてフォトレジスト組成物が製造された。
【0065】
【表1】

クエンチャー:1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン;
界面活性剤:POLYFOX(登録商標)PF−656(Omnova Solutions Inc.);
溶媒A:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;
溶媒B:シクロヘキサノン;
溶媒C:メチル−2−ヒドロキシイソブチラート。
全ての量はグラム単位である。
「比較」=比較例
【0066】
ドライリソグラフィプロセスおよびコントラスト評価
ドライリソグラフィ処理は、ASML/1100スキャナーにリンクしたTELCleanTrackACT8を用いて、0.75の最大開口数(NA)で、200mmのシリコンウェハ上で行われ、それぞれのフォトレジスト組成物についてNTDコントラスト曲線を得た。シリコンウェハはAR商標77反射防止コーティング(BARC)材料(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、60秒間205℃でベークされ、840Åの膜厚を生じさせた。例1〜9のフォトレジスト配合物は、TELCleanTrackACT8コーター/デベロッパーにおいて、BARCコーティングしたウェハ上にコーティングされ、100℃で60秒間ソフトベークされて、1000Åのレジスト層厚みをもたらした。
【0067】
このフォトレジストコーティングしたウェハは、次いで、0.89アウターシグマおよび0.64インナーシグマで、クアドラポール(Quadrapole)30環状照明条件および0.75NAを用いて、ブランクマスクを通して露光された。露光は1.0mJ/cmの開始線量で0.2mJ/cmの増分で実施され、1.0〜20.8mJ/cmの線量範囲で、ウェハ上の10×10アレイにおける100個のダイを露光した。露光されたウェハは100または110℃の温度でで60秒間露光後ベークされ、次いでTELCleanTrackACT8コーター/デベロッパーにおいて2−ヘプタノンを用いて25秒間現像された。様々な露光線量に対して残留膜厚さをTherma Wave Optiprobe(KLA−Tencor)において測定し、残留膜厚さを露光線量の関数としてプロットすることによりNTDコントラスト曲線を得た。得られたコントラスト曲線は図2〜6に認められうる。コントラスト曲線から、露光線量の増大にともなって最終的にプラトーになる膜厚さに基づいて、各フォトレジスト層について厚さ損失が計算された。得られた膜厚さ損失は表2にまとめられる。
【0068】
【表2】

パターン形成について不充分なNTDコントラストのせいで、パターン崩壊評価のための液浸リソグラフィ処理は行われなかった。
【0069】
図2は例1〜3の組成物について得られたコントラスト曲線を示す。従来の193nmフォトレジスト組成物の典型であるポリマーAを含む比較例1はNTDの後で約40%の重大な厚さ損失を示すことが見いだされた。これに対して、実施例2および3はNTDの後で約10%の厚さ損失しか示さなかったことが見いだされた。よって、ポリマーAのMAMAモノマーをポリマーBもしくはCにおけるようなIPGFMAモノマーもしくはIPGPMAモノマーで置き換えることはNTD後の有意に向上した厚さ保持をもたらした。
【0070】
図3は、それぞれポリマーBおよびDを使用する実施例2および比較例4のレジスト組成物について得られたNTDコントラスト曲線を比較する。ポリマーD(IPGFMAホモポリマー)を使用する比較例4の組成物は、約90%の厚さ損失をもたらし、許容できないNTDコントラストを提供した。しかし、実施例2におけるようなラクトン含有メタクリルモノマーとIPGFMAとのコポリマーを使用した場合、優れたNTDコントラストが得られた。同じ観察が比較例5においてIPGPMAホモポリマー(ポリマーE)を用いてなされた。実施例3および比較例5についてNTDコントラスト曲線を提供する図4に示されるように、この比較例は約98%の厚さ損失という劣ったNTDコントラストをもたらした。実施例3のポリマーCにおける様に、IPGPMAがラクトン含有メタクリルモノマーと共重合された場合には、優れたNTDコントラストが得られた。これらの結果に基づいて、IPGFMAもしくはIPGPMAとラクトン含有メタクリルモノマーとを含むコポリマーは、IPGFMAもしくはIPGPMAホモポリマーとそれぞれ比較して、有意に向上したNTDコントラストを示すと考えられる。
【0071】
図5および6並びに表2に示されるように、界面活性ポリマー(添加剤A)を使用することなく配合された例6〜9のフォトレジスト組成物については、例1、2、4および5とそれぞれ比較して、NTDコントラストについて同様の結果が得られた。よって、界面活性ポリマーの存在は本発明のマトリックスポリマーで得られるコントラストに悪影響を及ぼさないであろうと考えられた。
【0072】
パターン崩壊評価のための液浸リソグラフィプロセス
TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コーター/デベロッパーにおいて、300mmシリコンウェハがAR商標40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、第1の反射防止塗膜(BARC)を形成した。このウェハは60秒間215℃でベークされ、840Åの第1のBARC膜厚を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR商標124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間ベークされて、200Åの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コーター/デベロッパーにおいて、この二重BARCコートしたウェハ上に例1〜3のフォトレジスト配合物がコーティングされ、100℃で60秒間ソフトベークされて、1000Åのレジスト層厚を提供した。
【0073】
フォトレジストコーティングしたウェハは、回折光学素子を用いて、1.35の最大NAでASML TWINSCAN XT:1900i液浸スキャナにおいて、マスクを通して露光された。それぞれのレジスト組成物について2つの露光条件が使用された。単一露光NTDプロセスについては、1.35NA、0.988アウターシグマ、0.9インナーシグマおよびXY偏光で、C−クアッド(Quad)20照明が使用された。コンタクトホール像を印刷するために垂直方向のライン/スペースパターンの二重露光を伴っていた二重露光NTDプロセスについては、第1の露光は、1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびX偏光の2極照明(dipole illumination)を用いて行われた。第1の露光工程の直後に、ウェハは、第1のマスクのラインに対して垂直なラインを有する異なるマスクを用いて、1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびY偏光の2極照明を用いて再び露光された。露光されたウェハは、TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標i+コーター/デベロッパーにおいて、100〜120℃で60秒間露光後ベークされ、次いで2−ヘプタノンを用いて25秒間現像されて、ネガティブトーンパターンを生じさせた。様々なマスクCDおよびピッチで、日立CG4000CD SEMにおいて臨界寸法(CD)が測定され、そのパターンはパターン崩壊の発生について検査された。
【0074】
ポリマーBおよびCをそれぞれ使用する実施例2および3の組成物は、ポリマーAを使用する比較例1の組成物と比較して優れたパターン崩壊マージンを示した。図7A〜Cはそれぞれ例1〜3の組成物について、32mJ/cmで、80nmのピッチで40nmのラインのマスクCDを用いて得られたCDのSEM顕微鏡写真像を提供する。1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびX偏光の2極照明(dipole illumination)条件が使用された。比較例1はいくつかのパターン崩壊を示したことが見いだされたが、実施例2および3は優れた崩壊マージンを提供したことが見いだされた。
【符号の説明】
【0075】
100 基体
102 パターン形成される層
102’フィーチャ
104 ハードマスク層
104’ハードマスクパターン
106 反射防止塗膜
108 フォトレジスト層
108a 未露光領域
108b 露光領域
110 活性化放射線
112 第1のフォトマスク
113 光学的に透明な領域
114 光学的に不透明な領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト組成物であって、
当該フォトレジスト組成物はコポリマーと光酸発生剤とを含み;
前記コポリマーは第1の単位および1種以上の追加の単位を含み;
前記第1の単位は重合性官能基と下記式(I)もしくは式(II)の第1部分とを含むモノマーから形成されており;
【化1】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)線状、分岐および環式有機基から選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびaもしくはbは1であり、かつaもしくはbのうちのもう一方は1もしくは2であり;
【化2】

式中、RおよびRは独立して(C−C10)線状、分岐および環式有機基から独立して選択され、場合によっては一緒になって環を形成し、およびcもしくはdは1であり、かつcもしくはdのうちのもう一方は1もしくは2であり;
前記コポリマーは、開裂されるとカルボン酸基の形成をもたらすであろう酸により開裂可能な基を含まない;
フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記モノマーがラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンをさらに含み、前記第1部分が前記ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンを介して前記重合性基に連結されている、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記第1部分が前記ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンと縮合環構造を形成している、請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記第1部分が前記ラクトン、環式エーテルもしくは環式アルカンに対してペンダントである、請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記モノマーが、式(I)もしくは式(II)の第2部分をさらに含み、前記第1部分および第2部分が同じかもしくは異なっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記重合性基が(メタ)アクリラート基である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記1種以上の追加の単位がラクトン部分を含むモノマーから形成される単位を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記コポリマーのよりも低い表面自由エネルギーを有する界面活性ポリマー添加剤をさらに含み、前記界面活性ポリマーの表面自由エネルギーが10〜40mJ/mである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
基体と、前記基体の表面上の請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物の層とを含む、コーティングされた基体。
【請求項10】
(a)パターン形成される1以上の層を基体の表面上に含む基体を提供し;
(b)請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物の層を前記パターン形成される1以上の層上に適用し;
(c)フォトレジスト組成物層を化学線でパターン様式で露光し;
(d)露光したフォトレジスト組成物層を露光後べークプロセスにおいて加熱し;並びに
(e)現像剤を前記フォトレジスト組成物層に適用し、前記フォトレジスト層の未露光領域が現像剤によって除去され、そして前記パターン形成される1以上の層上に前記フォトレジスト層の露光領域がフォトレジストパターンを形成する;
ことを含む、ネガティブトーン現像によるフォトリソグラフィパターンを形成する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2012−103679(P2012−103679A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−195533(P2011−195533)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】