説明

フォトレジスト組成物を調製する方法

【課題】 本発明は種々の成分を単離すること無く、フォトレジストを調製する方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、種々の成分を単離すること無く、フォトレジストを調製する方法、例えば、「ワン−ポット」製法に関する。本発明の好ましいワンポット製法は、選択されたフォトレジスト溶媒中でフォトレジスト樹脂バインダーを調製する工程、当該溶媒中から樹脂バインダーを分離することなく、感光性成分及び他の成分を当該樹脂バインダー混合物中に添加して、樹脂バインダーが調製された溶媒中でフォトレジスト組成物を調製する方法を包含している。また、本発明は、フォトレジスト樹脂バインダー、特に、酸不安定基又は不活性ブロッキング基などの基と共有結合することができるフェノール性−OH基を含有するフェノール性ポリマー、の新規な製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物の製造方法、より詳細には、他の改良されたレジスト製品と同様の1つのポットでの製造(one-pot procedure)におけるフォトレジストの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、基板上へ画像を転写するために使用される感光性フィルムである。フォトレジストの塗膜層を基板上に形成し、次にフォトマスクを介してフォトレジスト層を活性化放射線源で露光する。フォトマスクは、活性化放射線を透過しない領域及び活性化放射線を透過する他の領域を有する。活性化放射線で露光するとフォトレジスト塗膜が光誘起化学変化を起こし、それによってフォトマスクのパターンがフォトレジストを塗布した基板に転写される。露光の後、フォトレジストを現像してレリーフ画像を形成すると基板の選択的処理が可能となる。
フォトレジストの用法については、デフォレスト著(Deforest)の「フォトレジスト材料及び方法」(Photoresist Materials and Processes; McGraw Hill Book Company, New york, 1975)、及びモロー著(Moreau)の「半導体リトソグラフィー、原理、実用及び材料」(Semiconductor Lithography, Principles, Practices and Materials; Plenum Press, New york 1988)に記載がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、実用化されているものは、他段階工程により調製されているフォトレジストとその組成物である。例えば、樹脂バインダー成分や光活性成分(photoactive component)等のフォトレジスト組成物の各成分は、別々に調製され、単離されてから、液状コーティング組成物を調製するために、フォトレジスト溶媒中に混ぜ合わされる。このように、現在の実用では、樹脂バインダー成分を合成してから反応溶媒より単離している。単離した固体樹脂原料を、一般的には、その後水などの非溶媒で洗浄し、レジスト生成物を調製するためのフォトレジスト溶媒中に溶解する前に乾燥する。
このような他段階工程は、著しい欠点を呈する。例えば、他段階工程はエンジニアリングにおける重要な課題を提供している。特に、大きいスケールのフォトレジスト製造物において製造費用に負担が増加する。
【0004】
フォトレジスト組成物における不純物の存在も、現在、問題となっている。例えば、水分(moisture)のような溶解性の不純物は、レジスト組成物の製造物や包装用容器(package containers)または調製タンクから、もたらされるかもしれない。これらの不純物は、集積回路の製造にとってダメージを与えるなどの所望の目的には不適切なフォトレジストを提供することになる。
以上のことより、フォトレジスト組成物の製造にかかる新たな方法が望まれてきた。詳細には、レジストの製造に要求される工程を減らすような新たな製造方法が望まれてきた。さらには、純度が高くなったフォトレジストの新たな製造方法が望まれてきた。
そこで、発明者らは新規で極めて好都合のフォトレジスト組成物の調製方法を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のひとつの好ましい態様として、種々の成分の単離をせずにフォトレジストを調製する方法、例えば「ワン・ポット」の工程(one-pot procedure)を提供している。好ましくは、本発明のワン・ポット調製方法は、選ばれたフォトレジスト溶媒中のフォトレジスト樹脂バインダーの調製、これは溶媒からの樹脂バインダーの単離をしない、及び、光活性成分と他の所望のフォトレジスト原料(例えば、ネガ型レジストのための架橋剤、染料、その他)を樹脂バインダーをその中で調製する溶媒中の液状フォトレジスト組成物を提供するために溶液中の該樹脂バインダーに加えることを含んでなる。
【0006】
該ワン・ポット反応においては、好ましくはフェノール性ポリマー(「樹脂バインダー前駆体(resin binder precursor)」)を該樹脂バインダー前駆体の有効なフェノールのOH部位をより機能化する化合物(「添加される化合物(addition compound)」)に縮合する。詳細には、酸不安定(acid labile group)または不活性なブロッキング基(inert blocking group)が、ポリビニルフェノールやノボラックのようなフェノール樹脂の懸吊(pendant)状OH部位に共有架橋され(covalently linked)得る。好適な酸不安定基と不活性なブロッキング基は、シンタらの米国特許第5,258,257号及びサッカレーらの同第5,514,520号にそれぞれ開示されている。
さらに、製造における時間と費用を節約することは、本発明のワン・ポット調製方法は、多段階工程により調製された比較生成物に比べて室温での耐用年数(shelf life)が著しく改善されたことを示すレジスト生成物を提供する。
さらに、本発明はレジスト樹脂バインダー、特に他の部位、例えば上記の酸不安定基又は不活性なブロッキング基など、に共有結合したフェノールの水酸基を含有するフェノール性ポリマーの合成のための方法を提供する。
【0007】
好ましい合成方法は、レジスト樹脂バインダー前駆体と無水条件下、例えば1wt%以下の水、より好ましくは0.8又は0.5wt%の水、または約0.2または0.1wt%の水分(反応混合物の全重量に基づく)、で該前駆体と反応する添加される化合物との反応からなるものである。該無水反応条件は上記の本発明のワン・ポット調製方法と同様に多段階レジスト調製工程に適用しても良い。
無水反応混合物などを提供するため、種々のアプローチを適用できる。好ましい方法は、溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前にモレキュラーシーブで処理される。
代わりに、該樹脂バインダー前駆体の溶液を添加される化合物との反応の前に共沸混合してもよい。
【0008】
このような水分除去により、驚くべき利点がもたらされた。詳細には、該水分除去が、該樹脂バインダーと該添加される化合物との反応の効率が実質的に増加した。例えば、比較のための研究で、水分除去を施さずに同じ添加される化合物と反応させた同じ樹脂バインダー前駆体に比べ、本明細書に開示の無水条件下での添加される化合物により樹脂バインダー前駆体に50%以上の置換が見られた。
さらに、水分除去は、該樹脂バインダー前駆体と添加される化合物との反応の間に生成される所望でない高分子量ポリマー原料を減少させることが見出された。これらの高分子量原料は不安定であり、該原料を含有するフォトレジストの貯蔵期間(shelf life)を短くしてしまうことがある。
【0009】
本発明は、さらに、レジスト樹脂バインダー合成の他の方法も提供する。この合成は、該樹脂バインダーを含有するフォトレジストの貯蔵期間を著しく強化することができる。これらの方法は、イオン交換原料を懸吊した酸不安定基又は不活性なブロッキング基を有するフェノール樹脂バインダーに、該樹脂バインダーを合成した後すぐに、接触させることを含む。該樹脂バインダーを酸介在縮合(acidic-mediated condensation)により合成した際は塩基性イオン交換原料を用い、該樹脂バインダーをアルカリ介在縮合(alkaline-mediated condensation)により合成した際は酸性イオン交換原料を用いる。一般的には、懸吊酸不安定基又は不活性なブロッキング基上に挿入する(grafting)反応が完了してすぐ、いかなる該樹脂バインダーの単離又は他の工程にも先がけて、該イオン交換原料をフェノール樹脂バインダーに接触させる。該イオン交換原料は酸性又は塩基性の触媒残留物(catalyst residue)を除去し、該ポリマーと該ポリマーを含有するレジスト組成物の貯蔵期間を強化することが見出された。このようなイオン交換原料の使用は、多段階レジスト調製工程にも適用してもよく、あるいは、より好ましくは、上述の本発明のワン・ポット工程にも適用してもよい。
【0010】
上記のように、「樹脂バインダー前駆体(resin binder precursor)」という用語は、ここでは、フォトレジスト組成物に用いられるポリマー樹脂バインダーを提供する付加反応の前のオリゴマー又はポリマーを指す。例えば、該ポリマーの水酸基上に挿入された懸吊酸不安定基又は不活性なブロッキング基フォトレジスト樹脂バインダーを有するフェノール性ポリマーであるフォトレジスト樹脂バインダーにとっては、樹脂バインダー前駆体はフェノール性OH基を懸吊酸不安定基又は不活性なブロッキング基でより機能化する付加反応の前のフェノール性ポリマーである。
また、「添加される化合物(addition compound)」は、ここでは、フォトレジスト組成物に用いる樹脂バインダーを提供する樹脂バインダー前駆体と反応する化合物を指す。例えば、フェノール樹脂バインダー前駆体の場合では、添加される化合物は、酸不安定基(添加される化合物は、ジ−t−ブチルカルボネートまたはt−ブチルクロロアセテートのような遊離基に酸不安定部位を含有しうる)又は不活性なブロッキング基(添加される化合物は、塩化メタンスルホン酸などの遊離基に不活性部位を含有しうる)該前駆体に所望の機能を提供するために該前駆体と反応する化合物である。
本発明の他の態様については、以下に述べる。
【0011】
(発明の実施の形態)
上記の第1の態様として、本発明はワン・ポットのフォトレジスト製造のための方法を提供している。
該ワン・ポット方法は、調製されたフォトレジスト組成物に用いるために、フォトレジスト樹脂バインダーを溶媒中で生成することを含む。
好ましい態様として、該樹脂バインダーは、シンタらの米国特許第5,258,257号に開示の酸不安定基又はサッカレーらの同5,514,520号に開示の不活性なブロッキング基のような他の部位に結合しているフェノール性OH部位を含有するフェノール樹脂バインダーである。
【0012】
樹脂バインダー前駆体として用いられ得る好ましいフェノール樹脂にはノボラック及びポリ(ビニルフェノール)樹脂が含まれる。これらのフェノール樹脂の調製は公知である。フェノールを含有するノボラック樹脂の生成のためのアルデヒドとの縮合、特にホルムアルデヒドとの縮合に好適なフェノールの例としては、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、チモール、及びこれらの混合物である。酸触媒による縮合反応は、やく500〜100,000ダルトンの範囲の分子量の好適なノボラック樹脂の生成をもたらす。ポリ(ビニルフェノル)は、米国特許第4,439,516号のように調製されてもよい。好ましい樹脂とその調製方法は、さらに、米国特許第5,128,230号にある。
【0013】
ポリ(ビニルフェノル)は、触媒共存下で対応モノマーの保護重合(block polymerization)、乳化重合(emulsion polymerization)、又は溶液重合(solution polymerization)により生成してよい。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノールは、例えば、ヒドロキシケイ皮酸をもたらす脱炭酸に続く、市販で入手可能なクマリン(coumarin)又は置換クマリンの加水分解により生成してよい。有用なビニルフェノールは、さらに、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水により、または、置換または非置換ベンズアルデヒドとマロン酸との反応より生成されたヒドロキシケイ皮酸の脱炭酸により、調製されてもよい。このようなビニルフェノールより調製された好ましいポリビニルフェノール樹脂は、約2,000〜約60,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0014】
フェノール及び非芳香環アルコール単位を有するコポリマーも、好ましい樹脂バインダー前駆体であり、ノボラックまたはポリ(ビニルフェノール)樹脂の部分的な水素添加により、好適に調製される。これらのコポリマー及びフォトレジスト組成物におけるその使用については、米国特許第5,128,232号に開示されている。
【0015】
さらに好ましい樹脂バインダー前駆体は、ビスヒドロキシメチル化合物より生成された樹脂及び保護ノボラック樹脂を含有する。このような樹脂とフォトレジスト組成物における使用が開示されている米国特許第5,130,410号及び第5,128,230号を参照されたい。さらに、同様の又は異なる組成物の2種以上の樹脂を混合したり、結合したりして、フォトレジスト組成物のリトグラフィー特性の付加的な制御を与えることも可能である。例えば、樹脂の混合は、露光速度及び温度特性を調整したり、現像液中のレジストの溶解特性を制御したりが可能である。
【0016】
フェノール樹脂バインダー前駆体のフェノールOH部位をより機能化するための好ましい酸不安定基に、アセテート基がある。このような基を提供するために、フェノール樹脂バインダー前駆体を、一般式、

L−CRC(=O)−O−R

の好適な添加される化合物で縮合してもよい。
式中、LはBrやClなどの遊離基であり、
及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン(例えばF、ClまたはBr)のような電子吸引基、又は置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、
は、置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、又は、フェニル基またはベンジル基のようなアラルキル基などの置換されていてもよいアリール基である。
【0017】
これらの添加される化合物の縮合は、該樹脂バインダーの骨格に懸吊し、該樹脂の有用な水酸基上に挿入されている基

−RC(=O)−O−R

を提供する。露光時及び/又は露光後の加熱の間これらの基の光酸デグラデーション(photoacid degradation)は、該樹脂バインダーの骨格に懸吊している酢酸エーテルの極性部位を提供する。樹脂バインダーの骨格に懸吊している他の好ましい酸不安定基は、下記式であるオキシカルボニル基を含有する。

C(=O)−O−R

式中、R は上記、及び、好ましくはt−ブチル基またはベンジル基である。
これらの基は、樹脂バインダー前駆体と、ジ−t−ブチル−ジカルボネートのようなジ−アルキル−ジカルボネートなどの好適な添加される化合物との反応により、提供される。酸不安定基については、米国特許第5,258,257号や他の文献を参照されたい。
【0018】
フェノール樹脂バインダー前駆体のフェノール性OH部位をより機能化する好ましい不活性なブロッキング基としては、米国特許第5,514,520号に開示されている。該特許に特定され、ここにも参照されているように、不活性なブロッキング基は樹脂に懸吊している基であり、フォトレジスト組成物の露光や焼成により発生する酸または塩基に化学的に不活性である。樹脂バインダーの有用な水酸基上に挿入された好ましい不活性なブロッキング基は、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのようなアルキル基(−O−アルキル懸吊基を提供するため);アルカノイル基(RCOO−懸吊基を提供するため、Rは好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基);メタンスルホニルエステル、エタンスルホニルエステル、プロパンスルホニルエステル、ベンゼンスルホニルエステル、トルエンスルホニルエステルなどのスルホン酸エステル等を含む。
これらの基は、フェノール樹脂のような好適な樹脂バインダー前駆体上に、好適な添加される化合物とのアルカリ性又は酸性の縮合反応により挿入されてよい。例えば、アルカリ性縮合の場合水酸化ナトリウムのような好適な触媒の存在下でスルホン酸ハロゲン化物または他の化合物と好適な遊離基及びフェノール性ポリマーとの反応あがる。反応工程については、米国特許第5,514,520号を参照されたい。
【0019】
本発明によれば、樹脂バインダー前駆体と付加原料との反応は、エチルエトキシプロピオネート(EEP)のようなプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のようなグリコールエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PMA)のようなグリコールエーテル、またはメチルラクテートやエチルラクテートのようなラクテートなどの選ばれた溶媒中で処理される。他の好適な溶媒は、他の2−メトキシエチルエーテル(diglyme)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びそれに類するもの;メチルセロソルブアセテートのようなセロソルブエステル;トルエン又はキシレンのような芳香族炭化水素;又は、メチルエチルケトンのようなケトン類を含む。
【0020】
樹脂バインダーを生成する好ましい反応は、所望しない副反応や副生成物を最小限にしたり除去する条件下で処理される。例えば、重合反応は、副生成物の生成を促進する著しい温度変化を呈するべきではない。好ましくは、該反応は室温又は約40℃までのごくわずかな温度上昇において、2〜3時間以上、行なわれる。さらに、好ましくは該反応は、実質的に完了までこのような条件で行われる。例えば、該反応は未反応の出発原料が約5モル%以下になるまで行われるか、より好ましくは約2モル%以下、さらに好ましくは約1または0.5モル%になるまで行われる。
【0021】
触媒は、反応が穏やかな条件下で実質的に完了するよう処理させるものが用いられるべきである。懸吊酸不安定基を提供するための酸触媒縮合の場合、シュウ酸又はマロン酸のような穏やかな強さの(moderate strengtth)触媒が、ごくわずかな反応温度の変化を伴う十分な反応率を与えうることが見出された。p−トルエンスルホン酸のようなより強い触媒は、著しい反応熱をもたらし、所望しない副生成物の生成を引き起こす。同様に、p−ヒドロキシベンゼン酸のようなより弱い触媒は、望ましい反応温度において不適当な反応率を呈するため、あまり好ましくない。一般的に、約1〜4のpKa(25℃の水中で測定)を有する酸性触媒が好ましいといえる。塩基触媒は、塩基触媒縮合反応において、用いられる。水素化ナトリウム又は水酸化ナトリウムなどの無機塩基、又は、N,N−ジメチルアミノピリジンのような有機塩基はフェーノールポリマーの有用な水酸基に懸吊酸不安定基又は不活性なブロッキング基を挿入するために用いられ得る。
【0022】
上述のように、本発明は、レジスト樹脂バインダーを合成するための改良された方法を提供し、それは多段階レジスト調製工程と同様に本発明のワン・ポットのレジスト調製方法に用いてもよい。
より詳細には、これらの方法は、実質的な無水条件下、好ましくは水分が約1.0wt%以下、より好ましくは約0.5wt%以下、での該樹脂バインダー前駆体と添加される化合物との反応を含む。
【0023】
このような無水条件は、種々の技術によって提供されうる。好ましい方法は、添加される化合物との反応前に溶液中の樹脂バインダー前駆体がモレキュラーシーブで処理されることを含む。好適なモレキュラーシーブは市販され入手可能であり、好ましくは約10オングストローム以下の孔径を有する。好ましいモレキュラーシーブの重量%は、約5〜10%(溶媒の重量に基づく)で、所望の脱水効果のために樹脂バインダー前駆体に加えられる。後述の本発明の実施例3を参照されたい。
【0024】
さらに、溶液中の該樹脂バインダー前駆体は、実質的無水条件とするために、添加される化合物との反応の前に、共沸混合される。本発明のこの態様のために、樹脂バインダー前駆体を溶かしている溶媒は水と共沸混合物を生成するか、トルエン又はキシレンのような芳香族溶媒等の100℃を越える沸点を有する。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが水と好適な共沸混合を生成する。脱水蒸留が、加熱しながら、減圧下で、例えば、約15〜70 mmHgで、好ましく実施される。好適な温度は蒸留圧に基づいて変化し、溶媒の沸点は約30〜60℃でよい。
【0025】
樹脂バインダーが一度所望の溶媒中で合成されたら、該樹脂バインダーは、樹脂バインダーの合成後すぐ、該樹脂の次の処理の前に、イオン交換物質で処理される。ワン・ポット合成の場合は光活性成分の添加の前に、多段階合成の場合は樹脂バインダーの単離又はいかなる精製の前に、処理される。もし樹脂バインダーが酸介在反応で調製されれば、塩基性イオン交換物質が触媒の影響(trace)を除去するために用いられる。もし、樹脂バインダーがアルカリ介在反応で調製されたら、酸性イオン交換物質が触媒の影響を除去するために用いられる。好適なイオン交換物質は市販されて入手可能で、文献にも期さされている。例えば、カーク−オスマーの「エンサイクロペディア オブ ケミカルテクノロジー」第14巻(第4版)、1995年、第737〜783頁、特に第737〜749頁など。好適な酸性イオン交換樹脂は、アンバーリスト15、アンバージェット200H、アンバーライト IRN77、ダイアイオン SAN1、DOWEX 50WX2、Dowex 50WX4、同50WX8 樹脂等のスチレン−ジビニルベンゼンスルホン酸陽イオン樹脂を含む。好適な塩基陰イオン交換樹脂は、アミン置換基を有するスチレン−ジビニルベンゼン樹脂で、Dowex SBR、同 N−196、アンバーライトIRA400(OH)、アンバーリストA260H、アンバーライトIRN−78樹脂バインダーなどを含む。他の好適な塩基性交換樹脂には、アンバーライトIRA−42、同IRA−96、Diaion WA21J、同 WA30、Dowex WBR−2、同 N−283、同 66 MWA−1、及びDuolite A378樹脂がなどがある。
【0026】
所望の樹脂バインダーを生成する反応の完了後、所望のフォトレジスト組成物を提供するための、引き続き処理、例えばイオン交換物質や光活性成分の溶液への添加、が行われる。好ましくは、光酸発生剤が光活性成分として用いられ、コーティング層の潜像を発生させるために十分な量でレジスト組成物に存在することになる。種々の光酸発生剤は用いられる。例えば、スルホネート化合物は好ましいPAGsであり、より好ましくは、スルホン化塩がある。2種の特に好ましい試薬は下記式1及び2である。
【0027】
【化1】

【0028】
このようなスルホネート化合物は、ヨーロッパ特許出願第96118111.2号(同公開第0783136号)に開示されているように、調製することができる。つまり、PAG1はヨウ化カリウム、t−ブチルベンゼン及び無水酢酸のの混合物と氷冷しながら混合物へ滴下する硫酸との反応により調製できる。反応混合物をその後約22時間室温で撹拌し、水を加えて約5〜10℃まで冷却し、ヘキサンで洗浄する。硫酸水素ジアリルヨウ素水溶液を、その後5〜10℃に冷却し、(+/−)−10−ショウノウ−硫酸を加えて続いて水酸化アンモニウムで中和した。上記のスルホネートPAG2は、同様の方法で調製できるが、t−ブチルベンゼンのモル当量が異なり、ベンゼンが無水酢酸とKIOと第1工程で一緒に反応する。
【0029】
好適なスルホン化エステルが、さらに「ジャーナル オブ フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー」(第4巻、第3,337号−340、1991年)に報告されている。これには、ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニル α−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートが含まれる。好ましいPAGsはさらに、米国特許第5,334,742号にも開示されている。
【0030】
オニウム塩が、本発明により調製されたレジストのための好ましい酸発生剤である。オニウム塩は弱い求核性のアニオンで、特に好適であることが見出された。このような陰イオンの例として、2価〜7価の金属又は非金属、例えばSb、Sn、Fe、Bi、Al、Ga、In、Ti、Zr、Sc、D、Cr、Hf、及び、Cu、同様に、B、P、及びAs、のハロゲン錯体アニオンである。好適なオニウム塩の例はジアリル−ジアゾニウム塩及び第Va族とB、第VIa族とBとIのオニウム塩(例えば、ハロニウム塩、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びアルソニウム塩、芳香族スルホニウム塩及びスルホキソニウム塩又はセレニウム塩)が挙げられる。好適な好ましいオニウム塩の例が、米国特許第4,442,197号、同第4,603,101号、及び同第4,624,912号中に見られる。
【0031】
他の有用な酸発生剤としては、ニトロベンジルエステル及びs−トリアジン誘導体の系統が挙げられる。好適なs−トリアジン酸発生剤が、例えば米国特許第4,189,323号に開示されている。
ハロゲン化非イオン性光酸発生化合物もまた好適である。例えば、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン(DDT);1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン;1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン;1,10−ジブロモデカン;1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン;4,4−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ベンズヒドロール(ケルセン);ヘキサクロロジメチルスルホン;2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン;o,o−ジエチル−o−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル)ホスホロチオネート;1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン;N(1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエチル)アセトアミド;トリス[2,3−ジブロモプロピル]イソシアヌレート;2,2−ビス[p−クロロフェニルル]−1,1−ジクロロエチレン;トリス[トリクロロメチル]s−トリアジン;並びにそれらの異性体、類似体、同族体残留組成物などが挙げられる。好適な光酸発生剤はまた、ヨーロッパ特許出願第0164248号及び同第0232972号に開示されている。
【0032】
本発明によるフォトレジストは他の成分、例えば染料化合物等を、含んでもよい。他に選んだフォトレジスト物質には、皺発生防止剤、可塑剤、スピード増強剤などが挙げられる。こうした補助的添加剤は、典型的にはフォトレジスト組成物中に少量存在するが、例外的に、充填剤及び色素は比較的高濃度、例えば、レジスト乾燥成分の全重量の約5〜30重量%で存在する。
【0033】
本発明の組成物は、当業者によって容易に調製することができる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、好適な溶剤(例えば、乳酸エチル、グリコールエーテル(例えば、2−メトキルエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、セロソルブエステル、メチルエチルケトン、3−エトキシプロピオン酸エチルなど)にフォトレジスト成分を溶解させることによって調製できる。典型的には、組成物の固体含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の約5〜35重量%である。樹脂バインダー及びPAG成分は、フィルム塗膜層並びに質の良い潜像及びレリーフ画像を形成するのに十分な量で存在させる必要がある。
【0034】
もし望むなら、該レジスト組成物を使用する前に濾過してもよいし、またはレジスト樹脂バインダーの溶液をレジストを生成する間光活性成分または他の添加物を添加する前に濾過してもよい。
【0035】
本発明の組成物は、一般に知られている手順に従って使用される。本発明の液体塗布組成物は、スピン塗布、ディップ塗布、ローラ塗布、又は他の従来の塗布技術により基板上に塗布される。スピン塗布する場合は、利用する特定のスピン塗布装置、溶液の粘度、スピン塗布機の速度、及びスピン塗布に要する時間に基づいて塗布液の固体含有量を調節することにより、所望のフィルム厚が得られる。
【0036】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストの塗布を含む工程で従来から使用されてきた基板上に好適に塗布される。例えば、該組成物は、マイクロプロセッサ用及び他の集積回路コンポーネント用のシリコンウェーハ又は二酸化珪素ウェーハ上に塗布してもよい。酸化アルミニウム、砒化ガリウム、セラミック、石英、又は銅の基板を利用してもよい。液晶ディスプレイ用及び他のフラットパネルディスプレイ用に使用される基板(例えば、ガラス基板、酸化スズインジウムをコーティングした基板など)もまた、好適に利用される。
フォトレジストを表面へ塗布した後、好ましくはフォトレジスト塗膜の粘着性がなくなるまで加熱乾燥し、溶剤を除去する。その次に、従来の方法によってマスクを介して画像を形成させる。フォトレジスト系の光活性成分を効果的に活性化するのに十分な量の露光を行って、レジスト塗膜層にパターン化された画像を形成させる。より具体的には、露光エネルギーは、露光装置及びフォトレジスト組成物の成分によって変わるが、典型的には約1〜300mJ/cmの範囲である。
【0037】
露光の後、好ましくは組成物のフィルム層を約70℃〜約160℃の範囲の温度でベーキングする。その次に、フィルムを現像する。露光されたレジストフィルムは極性現像剤、好ましくは水性現像剤を用いてポジ型に機能させる。水性現像剤としては、例えば、無機アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム)、第四級水酸化アンモニウム溶液(例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液)、種々のアミン溶液(例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、又はメチルジエチルアミン)、アルコールアミン(例えば、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン)、環状アミン(例えば、ピロール、ピリジン)などが挙げられる。一般的には、当該技術分野で認められた手順に従って現像を行う。
【0038】
本願に記載のすべての文書は参照することにより組み入れられている。以下の非限定的実施例は本発明を説明するものである。

(実施例)
実施例1−2:ワンポット樹脂調製法
【実施例1】
【0039】
5ガロンの反応容器に、ポリ(ヒドロキシスチレン)4kgを加える。これに、プロピレングリコールモノメチルエーテル12kgを加え、ポリマーが完全に溶解するように終夜撹拌した。この溶液に酸触媒としてマロン酸2.4kgを加え、この混合物をさらに30分間撹拌した。この時点で、メトキシプロペン1113.2gを加え、混合物をさらに2日間撹拌した。このじてんで、サンプルを取り出し酸化アルミニウムで反応を停止させて、当該サンプルをNMRにかけて、反応が完了していることを確認した。反応が完了していることが確認できたら、反応混合物中に酸化アルミニウムを添加して反応を停止させる。得られた反応混合物に適当な感光性化合物を添加することにより、樹脂バインダー成分を分離すること無く、目的のフォトレジスト組成物を調製することができる。
【実施例2】
【0040】
反応容器にポリ(ヒドロキシスチレン)(PHS)(5403g、45.03モル)、及び、プロピレングリコールモノメチル酢酸エステル(PMA)20kgを加え、ポリマーが完全に溶解するまで、3〜5時間撹拌した。この混合物に、炭酸ジ−tert−ブチルエステル(1890g、8.668モル)のPMA1890g溶液を加え、次いで、N,N−ジメチルアミノピリジン0.214gのPMA800g溶液を加えた。反応混合物から50gのサンプルを取り出し、溶解速度を測定すると共に、炭酸ジ−tert−ブチルエステルの消費を赤外線スペクトルで追跡して、反応をモニターした。
目的のフォトレジスト組成物を調製するのに必要なポリマー溶液を、当該ポリマーを単離すること無く、直接調製することができた。このポリマー溶液に光活性成分及び他のレジスト成分を添加することにより、目的のフォトレジスト組成物を調製することができる。
【実施例3】
【0041】
(モレキュラーシーブによる水分の除去)
反応容器にプロピレングリコールモノメチル酢酸エステル(PMA)150g、及び、水素化ポリ(ビニルフェノール)(マルゼンPHM−Cグレイド)50g(0.417モル)を加え、撹拌した。ポリマーが溶解した後、4オングストロームのモレキュラーシーブ10gを加え、1時間撹拌した。このモレキュラーシーブを濾別した後、マロン酸30mgを加え、完全に溶解するまで撹拌した(約30分を要した。)。次いで、この混合物にメトキシプロペン12.01g(0.167モル)を一度に加えた。室温で18時間撹拌し、PMA中の塩基性イオン交換樹脂ビーズ(ローム&ハス社製、A26−OH)4gを加え、さらに3時間撹拌した。このビーズを0.2μのフィルターを用いて濾別し、室温でこの溶液を貯蔵した。ポリマーの置換度は、30%であった。対照として、乾燥剤を使用せずに調製されたものの置換度は20%であった。
【実施例4】
【0042】
(共沸蒸留による水分の除去)
ポリ(ヒドロキシスチレン)(PHS)(MW=8,000)(52.33g、0.436モル)のプロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル(PGMA)165gの溶液をフラスコに取り、これに減圧蒸留装置を取り付けた。ポリマー溶液を乾燥させるために、減圧下で、(共沸蒸留による)PGMA/水溶液の除去を行った。
フラスコを冷却し、エチルビニルエーテル7.85g(0.109モル)のPGMA溶液を滴下した後、100mgのトリフルオロ酢酸を添加し、16時間撹拌した。反応の終了時に、18gの塩基性アルミナを添加し、2時間撹拌した後、1μのパンケーキフィルタ−で濾過した。H−NMRによる測定結果によると24%の1−エトキシ−1−エチル部分が含有されていた。この値は理論値25%(原料添加量による)に極めて近い値である。
【実施例5】
【0043】
(イオン交換樹脂の使用)
フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PMA)150g、及び、水素化ポリ(ビニルフェノール)(マルゼンPHM−Cグレイド)50g(0.417モル)を加え、撹拌した。ポリマーが溶解した後、マロン酸30mgを加え、完全に溶解するまで撹拌した(約30分を要した。)。次いで、この混合物に2−メトキシプロペン12.01g(0.167モル)を一度に加えた。室温で18時間撹拌し、PMA中の塩基性イオン交換樹脂ビーズ(ローム&ハス社製、A26−OH)4gを加え、さらに3時間撹拌した。このビーズを0.2μのフィルターを用いて濾別し、室温でこの溶液を貯蔵した。
室温で10日後においても、ポリマーを含有するフォトレジストにおいて、溶解速度に何等の変化も観察されなかった。一方、対照として、イオン交換樹脂を用いずに同様な方法で調製されたポリマーを樹脂バインダーとして含有するフォトレジストは、レジストを調製してから10日後には溶解速度が10倍になった。
【0044】
本発明のこれまでの記載は単に実施例であって、特許請求の範囲で説明される発明の意図や範囲から逸脱することなく、変更と修正が可能であることを理解されたい。
なお、本発明の態様を例示すれば次のとおりである。
(1) (a)選択されたフォトレジスト溶媒中でフォトレジスト樹脂バインダーを調製する工程、
(b)当該溶媒中から樹脂バインダーを分離することなく、光活性成分を当該樹脂バインダー混合物中に添加して溶媒中でフォトレジスト組成物を調製する工程、
からなるフォトレジスト組成物の調製方法。
(2) 樹脂バインダーが、酸不安定基が懸垂されているフェノール性ポリマーである(1)に記載の方法。
(3) 樹脂バインダーが、不活性なブロッキング基が懸垂されているフェノール性ポリマーである(1)に記載の方法。
(4) 前記工程(a)が、ポリマーの水酸基と共有結合を形成することができる化合物と、ポリマーとの反応を包含している(1)に記載の方法。
(5) 溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前には実質的に無水の状態で処理される(1)に記載の方法。
(6) 溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前には水分含有量が約1重量%又はそれ以下である(1)に記載の方法。
(7) 溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前にモレキュラーシーブで処理される(5)に記載の方法。
(8) 溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前に共沸蒸留で処理される(5)に記載の方法。
(9) 樹脂バインダー前駆体と、添加される化合物とが酸触媒の存在下に反応させられ、当該反応の後に塩基性イオン交換樹脂が樹脂バインダー中に添加される(1)に記載の方法。
(10) 樹脂バインダー前駆体と、添加される化合物とが塩基触媒の存在下に反応させられ、当該反応の後に酸性イオン交換樹脂が樹脂バインダー中に添加される(1)に記載の方法。
(11) 溶媒が、プロピオネート、グリコールエーテル又はラクテートである(1)に記載の方法。
(12) 溶媒が、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、乳酸メチル又は乳酸エチルである(1)に記載の方法。
(13) (a)樹脂バインダー前駆体と溶媒との混合物を実質的に無水の状態で処理する工程、
(b)溶媒中の樹脂バインダー前駆体と、添加される化合物とを反応させて、フォトレジスト樹脂バインダーを調製する工程、及び、
(c)当該樹脂バインダーに、光活性成分を混合してフォトレジスト組成物を調製する工程、
からなるフォトレジスト組成物の調製方法。
(14) 樹脂バインダーが、酸不安定基又は不活性なブロッキング基が懸垂されているフェノール性ポリマーである(13)に記載の方法。
(15) 溶媒と樹脂バインダー前駆体との混合物が、添加される化合物との反応前には水分含有量が約1重量%又はそれ以下である(13)に記載の方法。
(16) 溶媒と樹脂バインダー前駆体との混合物が、添加される化合物との反応前にモレキュラーシーブで処理される(13)に記載の方法。
(17) 溶媒と樹脂バインダー前駆体との混合物が、添加される化合物との反応前に共沸蒸留で処理される(13)に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フェノール性ポリマーと当該ポリマーの水酸基と共有結合を形成することができる化合物とを溶媒中で反応させて、溶媒中でフォトレジスト樹脂バインダーを調製する工程、及び、
(b)溶媒中から当該樹脂バインダーを単離すること無く、当該樹脂バインダーに光活性成分を添加して当該溶媒中でフォトレジスト組成物を調製する工程、
からなるフォトレジスト組成物を製造する方法。
【請求項2】
樹脂バインダーの調製が、酸触媒の存在下に反応させられ、当該反応の後に塩基性イオン交換樹脂が樹脂バインダー中に添加される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂バインダーが、酸不安定基が懸垂されているフェノール性ポリマーである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
樹脂バインダーが、不活性なブロッキング基が懸垂されているフェノール性ポリマーである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
溶媒中の樹脂バインダー前駆体の混合物が、添加される化合物との反応前には実質的に無水の状態で処理される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
溶媒が、プロピオネート、グリコールエーテル又はラクテートである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
溶媒が、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、乳酸メチル又は乳酸エチルである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2008−276265(P2008−276265A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202040(P2008−202040)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【分割の表示】特願平10−347750の分割
【原出願日】平成10年10月30日(1998.10.30)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】