説明

フォトレジスト組成物

本発明は、(A)成分として、下記の一般式(1) {RCOO(AO)X{O(AO’)H}(1) (式中、RCOは炭素数6〜22の脂肪酸から水酸基を除いた残基を表わし、Xは少なくとも3つの水酸基を有するポリオールから水酸基を除いた残基を表わし、AO及びAO’は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、aは0又は1以上の数を表わし、bは1以上の数を表わし、m及びnは1以上の数を表わす。但し、m及びnの合計は、前記ポリオールの水酸基の数と同数である。)で表わされるポリエーテルエステル;(B)成分として、アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂又はその変性物を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストのアルカリ現像工程において、スカムの発生が低減されたフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトレジストは、プリント基板回路、集積回路、カラーフィルター等の配線パターンの形成時に広く利用されている。配線パターンの形成工程では、通常、フィルム状又は液状のフォトレジストを基材上にラミネート又は塗布し、次いで、紫外線、X線、電子線等の活性放射線を照射し、露光し、硬化させた後、現像液で未硬化のフォトレジストを除去することにより現像し、パターン状のレジスト膜を形成している。現像液としては、通常、アルカリ性の水溶液が用いられ、現像液のアルカリ剤としては、アルカリ金属炭酸塩、水酸化アルカリ金属等の無機アルカリ性化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ性化合物等が用いられている。
【0003】
このようなアルカリ性の現像液では、未硬化の樹脂成分、染料、顔料、重合開始剤、架橋剤等が凝集し、現像液表面に浮上又は現像液中で沈殿化して、いわゆるスカムが生成する。スカムは、現像装置内に付着して、現像の妨げになるだけでなく、スカムが現像時に被現像物に付着すると、解像度が低下し、良好なレジストパターンが形成されないという問題がある。このため、スカムの発生しにくいフォトレジストやスカムの分散性に優れた現像液が検討されている。
一方、現像液中に空気が巻き込まれると泡が発生するが、現像液は通常、循環使用されるため、生成した泡の消泡性が不充分であると、泡が蓄積されることになる。特に、循環使用により、現像液中のレジスト成分が増えるに従って、泡は消え難くなる。泡は、現像液の循環を妨げるだけでなく、現像液とフォトレジストとの接触を阻害するため、未硬化のレジストが十分除去されず、良好なレジストパターンが形成されないという問題を引き起こす。
【0004】
スカムの発生しにくいフォトレジストとしては、ポリオキシアルキレン基を有する光重合性化合物を含有するフォトレジスト(例えば、特許文献1、2を参照)、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる基を有する樹脂とを含有するフォトレジスト(例えば、特許文献3を参照)、フェノール化合物を配合して解像度を向上させることにより感光剤の添加量を削減し、感光剤によるスカムを減らしたフォトレジスト(例えば、特許文献4を参照)等が知られている。しかしながら、ポリオキシアルキレン基を有する光重合性化合物を含有するフォトレジストでは、十分なスカム分散性を得るために、このような光重合性化合物を比較的多量に配合する必要があり、このため、フォトレジストの解像度が低下し、現像液の泡立ちが多くなるという欠点がある。また、酸発生化合物と酸分解性基を有する樹脂とを含有するフォトレジストや感光剤を削減したフォトレジストのスカム防止効果は十分ではなかった。
【0005】
一方、感光性平版印刷版では、解像度を向上させるためにポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステルが使用される(例えば、特許文献5、6を参照)。しかしながら、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステルを配合することにより、スカムの分散性や泡立ちの防止に効果があることについては知られていない。
【0006】
また、フォトレジストの現像液では、HLBが0〜4のノニオン界面活性剤、HLBが6〜20のノニオン界面活性剤及びアニオン性高分子界面活性剤を含有するアルカリ現像液(例えば、特許文献7を参照)、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有するアルカリ現像液(例えば、特許文献8を参照)等が、スカムの分散性に優れることが知られているが、現像液の泡立ちが多いという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開平5−232699号公報
【特許文献2】特開2003−149809号公報
【特許文献3】特開平10−133376号公報
【特許文献4】特開平5−204144号公報
【特許文献5】特開平1−302349号公報
【特許文献6】特開2002−72461号公報
【特許文献7】特開平8−160632号公報
【特許文献8】特開平11−352700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、スカムの分散性に優れ、現像液の泡立ちの少ないフォトレジストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは、上記課題について鋭意検討し、フォトレジストに特定の構造のポリエーテルエステルを配合することにより、スカムの分散性に優れ、現像液の泡立ちの少ないフォトレジストが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)成分として、下記の一般式(1)
{RCOO(AO)X{O(AO’)H} (1)
(式中、RCOは炭素数6〜22の脂肪酸から水酸基を除いた残基を表わし、Xは少なくとも3つの水酸基を有するポリオールから水酸基を除いた残基を表わし、AO及びAO’は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、aは0又は1以上の数を表わし、bは1以上の数を表わし、m及びnは1以上の数を表わす。但し、m及びnの合計は、前記ポリオールの水酸基の数と同数である。)
で表わされるポリエーテルエステル;
(B)成分として、アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂又はその変性物を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフォトレジスト組成物は、現像液中のレジスト成分が増えても、スカムの発生が少なく、泡も消え易い。このため、スカムや泡の発生による、レジストパターンの解像度の低下や、現像装置のトラブルを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(A)成分は一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルである。一般式(1)において、RCOは炭素数6〜22の脂肪酸から水酸基を除いた残基を表わす。炭素数6〜22の脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシステアリン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、2−ペンチルノナン酸、イソテトラデカン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸等の分枝脂肪酸;10−ウンデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。炭素数5以下の脂肪酸の場合には、現像液の泡立ちが多くなり、炭素数23以上の脂肪酸の場合には、スカムの分散性が不十分となる場合がある。また、これらの脂肪酸の中でも、炭素数6〜22の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜18の脂肪酸が更に好ましく、炭素数10〜14の脂肪酸が最も好ましい。また、不飽和脂肪酸よりも飽和脂肪酸の方が、泡立ちが少なく好ましい。
【0012】
Xは少なくとも3つの水酸基を有するポリオールから水酸基を除いた残基を表わす。このようなポリオールとしては、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,4−プロパントリオール、2−ヒドロキシメチル−1,3−ブタンジオール、トリメチロールエタン、1,3,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−ヒドロキシメチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2,5−ジメチル−1,2,5−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、アルキルグルコシド、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;蔗糖等の8価アルコール;トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニルブタン等の3価のフェノール等が挙げられる。
【0013】
これらの中でも、3〜6価のアルコールが好ましく、3価及び4価のアルコールが更に好ましく、グリセリンおよびソルビタンが最も好ましい。
AO及びAO’は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、aは0又は1以上の数を表わし、bは1以上の数を表わす。炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オシキエチレン、オキシプロピレン、オシキ(メチル)エチレン、オキシブチレン、オキシ(エチル)エチレン等が挙げられる。(AO)で表わされる基及び(AO’)で表わされる基は、前記少なくとも3つの水酸基を有するポリオール等に炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加重合すると得ることができる。
このようなアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン(1,4−ブチレンオキシド)等が挙げられる。アルキレンオキシドを重合する場合、1種類のアルキレンオキシド等の単独重合、2種類以上のアルキレンオキシドのランダム重合、ブロック重合又はランダム/ブロック重合等であってよい。アルキレンオキシドのなかでも、エチレンオキシドが好ましい。
【0014】
また、2種類以上のアルキレンオキシドの付加重合物である場合は、そのうちの一種はエチレンオキシドであることが好ましい。ただし、エチレンオキシド含量があまり低い場合には、スカムの分散が不十分になる場合があり、逆にエチレンオキシド含量が高い場合には、現像液の泡立ちが多くなる場合があることから、(AO)で表わされる基及び(AO’)で表わされる基のエチレンオキシドの含量は、付加重合する全アルキレンオキシドに対して、50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることが更に好ましく、70〜85質量%であることが最も好ましい。
【0015】
また、a及びbの合計の数は1〜50であることが好ましく、2〜20が更に好ましく、4〜15が最も好ましい。
m及びnは、m及びnの合計の数が、前記ポリオールの水酸基の数と同数である1以上の数を表わす。mに対するnの比は、0.5〜4が好ましく、0.8〜3が更に好ましく、1〜2が最も好ましい。
一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルの製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造できる。このような方法としては、例えば、(A)脂肪酸とポリオールとの部分エステルにアルキレンオキシドを付加重合する方法、(B)ポリオールにアルキレンオキシドを付加重合した後、脂肪酸のエステルとする方法等が挙げられる。アルキレンオキシドを付加重合する場合の触媒とは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の水酸化アルカリ金属;ナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第三アミン化合物;塩化第一スズ、塩化第二スズ、三フッ化ホウ素等のルイス酸等が挙げられる。エステル化する場合には、脂肪酸で直接エステル化してもよいし、脂肪酸メチル、脂肪酸ブチル等の脂肪酸低級アルコールを用いてエステル交換法によりエステル化してもよい。
なお、(B)の方法では、一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルにおいて、aの数が0のものは得られず、aの数とbの数がほぼ同数のものが得られる。また、(A)の方法においても触媒として水酸化アルカリ金属やアルカリ金属アルコキシドを用いた場合には、エステル交換反応が起こるために、同様にaの数とbの数がほぼ同数のものが得られる場合がある。
【0016】
一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルの含量は、本発明のフォトレジスト組成物の固形分100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることが更に好ましく、5〜10質量部であることが最も好ましい。一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルの含量が1質量部未満では、スカムの分散性が不十分となる場合があり、20質量部を超えるとレジストの基材に対する密着性が低下したり、アルカリ現像後のレジストパターンの解像度が低下する場合があるからである
【0017】
本発明の(B)成分は、アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂又はその変性物である。アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、フェノール性水酸基等が挙げられるが、スカムの分散性が良好であることから、カルボキシル基及びフェノール性水酸基等が好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等のラジカル重合性の不飽和酸を必須成分とし、これに(メタ)アクリル酸のエステル類、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のラジカル重合性モノマーを共重合させることにより得られる。
【0018】
カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性樹脂の酸価は、20〜300mgKOH/gであることが好ましく、40〜200mgKOH/gであることが更に好ましく、60〜170mgKOH/gであることが最も好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像液への溶解性が不十分となり現像性が低下する場合があり、300mgKOH/gを超えると、アルカリ現像後のレジストパターンの解像度が低下する場合がある。
【0019】
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール化合物とアルデヒド類を酸触媒で重縮合させたノボラック樹脂、ヒドロキシスチレンと他のラジカル重合性モノマーとを共重合させたポリビニルフェノール樹脂等が挙げられる。ノボラック樹脂に用いられるアルデヒド類としては、例えば、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノール、ビスフェノールA、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール等が挙げられる。また、ノボラック樹脂に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等が挙げられる。
【0020】
アルカリ可溶性樹脂の分子量は、重量平均分子量で1000〜1000000であることが好ましく、2000〜100000であることが更に好ましく、3000〜50000であることが最も好ましい。重量平均分子量が1000未満の場合は、粘性が低すぎてフォトレジストに使用可能な厚さの膜にならない場合があり、1000000を超える場合は粘度が高くなりすぎて塗布しにくい場合がある。また、ガラス転移温度(Tg)は0℃以上、特に5〜70℃の範囲内にあると塗膜が粘着性を示さないので好適である。
【0021】
本発明のフォトレジスト組成物は、ネガ型レジストでもよいし、ポジ型レジストでもよい。ネガ型レジストとしては、例えば、光ラジカル重合型レジスト、化学増幅型レジスト、光カチオン重合型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジストとしては、例えば、キノンジアジド系レジスト、化学増幅型レジスト等が挙げられる。これらの中でも、現像液のスカム分散性が良く、泡立ちも少ないことから、光ラジカル重合型レジストが好ましい。
【0022】
光ラジカル重合型のネガ型レジストは、(B)成分がアニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂であり、更に、多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルと光重合開始剤が含有されたフォトレジスト;又は、(B)成分がアニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂のアニオン性基の一部がラジカル重合性基で置換された変性物であり、更に、光重合開始剤が含有されたフォトレジストである。
【0023】
多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルの多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0024】
また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルキサントン、チオキサントン、アントラキノン等の芳香族カルボニル化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、痾−ヒドロキシイソブチルフェノン、痾,畚quote−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、ジアセチルアセトフェノン、アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物;ジフェニルヨードブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウム塩;四臭化炭素、クロロホルム、ヨードホルム等の有機ハロゲン化物;3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンベンズアントロン等の複素環式及び多環式化合物;2,2’−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;鉄−アレン錯体、チタノセン化合物ビスイミダゾール系化合物、Nーアリールグリシジル系化合物、アクリジン系化合物、芳香族ケトン/芳香族アミンの組み合わせ、ペルオキシケタール等が挙げられる。
【0025】
アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂のアニオン性基の一部がラジカル重合性基で置換された変性物は、前記アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂に、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応することにより得ることができる。ラジカル重合性基の含量は、樹脂の不飽和当量で200〜3000であることが好ましく、230〜1500であることが更に好ましく、250〜750であることが最も好ましい。ラジカル重合性基の含量が不飽和当量で200未満の場合にはアルカリ現像後のレジストパターンの剥離性が不十分となる場合があり、3000を超える場合には、アルカリ現像後の、レジストパターンの現像性が不十分となる場合があるからである。
【0026】
化学増幅型のネガ型レジストは、(B)成分がフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であり、更に光酸発生剤及び架橋剤が含有されたフォトレジストである。光酸発生剤としては、例えば、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジル等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールのメタンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンゼンスルホン酸エステル等のピロガロールと脂肪族又は芳香族スルホン酸エステル;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルフェート等のオニウム塩;ヘンゾイントシレート等のベンゾイントシレート類;2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物;2−(トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、痾−(1−ナフチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等のオキシムスルホネート系化合物等が挙げられる。架橋剤としては、アルコキシメチルメラミン樹脂等のN−アルコキシ化合物が挙げられる。
【0027】
光カチオン重合型のネガ型レジストは、(B)成分がフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であり、更に、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤が含有されたフォトレジストである。カチオン重合性化合物としては、例えば、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、ジフェニルエチレン、インデノン、アセナフテン、2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、2,3−ベンゾフラン、インドール、5−メトキシインドール、5−メトキシ−2−メチルインドール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビスフェノールAジエポキシド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(2−メチル−4,5−エポキシシクロヘキシルメチル)等が挙げられる。
【0028】
キノンジアジド系のポジ型レジストは、(B)成分がフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であり、更にキノンジアジド化合物が含有されたフォトレジストであり、露光前はアルカリ現像液に不溶であるが、露光後、キノンジアジド化合物がインデンカルボン酸化合物になることによりアルカリ可溶性となる。キノンジアジド化合物としては、例えば、フェノール性水酸基含有化合物の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル若しくは1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。フェノール性水酸基含有化合物としては、前記フェノール類の他に、1−ナフトール、2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、没食子酸、没食子酸エステル等が挙げられる。
【0029】
化学増幅型のポジ型レジストは、(B)成分がアニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂であり、更に酸分解性基を有する溶解抑止剤及び光酸発生剤が含有されたフォトレジスト;又は、(B)成分がアニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂のアニオン性基が酸分解性基で保護された変性物であり、更に、光酸発生剤が含有されたフォトレジストである。
【0030】
酸分解性基を有する溶解抑止剤は、アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂の現像液への溶解を減少させる性質を有する化合物であり、具体的には、フェノール性化合物を、t−ブトキシカルボニルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、3−ブロモテトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、t−ブチルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテルなどに変性した化合物が挙げられる。中でも、ポリビニルフェノールのt−ブトキシカルボニルエーテルが好ましい。また、光酸発生剤としては、化学増幅型のネガ型レジストで挙げたものが挙げられる。
【0031】
アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂のアニオン性基が酸分解性基で保護された変性物としては、例えば、カルボキシ基を有するアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基が酸分解性基で保護された樹脂、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂のフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された樹脂等が挙げられる。また、このような酸分解性基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、1−メトキシエチル基、t−ブチル基、ベンジル基等が1−置換アルキル基;トリメチルシリル基等のシリル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;シクロヘキシル基等の環式酸分解性基等が挙げられる。
本発明のフォトレジスト組成物は、その性能を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば、溶剤、光増感剤(色素)、ラジカル重合禁止剤、熱架橋性化合物、塗布性改良剤、密着性改良剤等を含有することができる。
【0032】
溶剤としては、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシ−2−プロパノール、エトキシメトキシ−2−プロパノール等のグリコール系溶剤;メトキシエタノールアセテート、エトキシエタノールアセテート、メトキシ−2−プロパノールアセテート等のエーテルアセテート系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル(乳酸エチル)等のエステル系溶剤;ヘキサノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコー等のアルコール系溶剤;シクロヘキサノン、メチルエトルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶剤等が挙げられる。
【0033】
光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3.4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系等の色素が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ナフチルアミン、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、着色剤(染料又は顔料)、発色剤(光照射により発色する染料)、可塑剤、難燃剤、密着性付与剤、有機溶剤等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
【0034】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて、銅張り積層板、シリコンウェーハ、ガラス板等の上にレジストパターンを形成する場合には、フォトレジスト組成物を、ロールコート法、ナイフコート法、スプレーコート法等の方法により塗布した後、必要に応じて乾燥し、所望のマスクパターンを介して照射するか、電子線により描画し、アルカリ現像液により現像処理する。
【0035】
また、本発明のフォトレジスト組成物は、重合体フィルム上に塗布、乾燥し、ドライフィルムレジストとして好適に使用できる。このような重合体フィルムとしては、活性光が透過可能であり、後で、塗布、乾燥されたレジスト組成物から容易に除去できるものが望ましい。こうした重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリメタクリル酸メチル共重合体、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等からなるフィルムが挙げられるが、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。重合体フィルムの厚さは5〜100・mとすることが好ましく、10〜30・mとすることがより好ましい。また、重合体フィルム上に、塗布、乾燥されたレジスト組成物の膜厚は用途により異なるが、薄過ぎると膜強度が低くなり、厚すぎると解像度が低下するので、印刷回路板作成用では1〜100・mが好ましく、5〜60・mがより好ましい。
【0036】
支持体と光重合層の他、光重合層表面に保護フィルムを積層させても良い。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムが好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、スプレーコート法等が挙げられ、乾燥温度及び時間は、通常、80〜150℃で1〜30分間である。本発明の感光性エレメントにおける光重合層の膜厚は用途により異なるが、薄過ぎると膜強度が低くなり、厚すぎると解像度が低下するので、プリント基板回路、集積回路等の印刷回路板作成用では1〜100・mが好ましく、5〜60・mがより好ましい。
【0037】
本発明のフォトレジスト組成物を塗布、露光した後、現像工程で用いられるアルカリ現像液は、特に限定されず、従来知られたアルカリ現像液を用いることができる。このようなアルカリ現像液のアルカリ剤としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のアルカリ金属ホウ酸塩;ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属等の無機アルカリ性化合物;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ性化合物等が挙げられる。これらのアルカリ剤のなかでも、アルカリ金属炭酸塩及び有機アルカリ性化合物が好ましく、炭酸ナトリウム及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが更に好ましい。
【0038】
現像液中のアルカリ剤の濃度は、使用するアルカリ剤の種類やフォトレジストによって異なるが、アルカリ金属炭酸塩の場合には、水100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.3〜3質量部であることが更に好ましく、0.5〜2質量部であることが最も好ましい。また、有機アルカリ性化合物の場合には、現像液中のアルカリ剤の濃度は、水100質量部に対して0.5〜25質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることが更に好ましく、1.5〜10質量部であることが最も好ましい。
現像液の温度は、15〜50℃が好ましく、20〜40℃が更に好ましく、25〜35℃が最も好ましい。現像液の温度が15℃よりも低い場合は、未硬化のレジストの溶解が不充分となる場合があり、50℃を超える場合は、硬化したレジストが剥離を起こす場合があるからである。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り質量基準である。また、EOは−CO−を示し、POは−CO−を示す。
<製造例1:A−1>
攪拌装置、温度計及び窒素ガス導入管を備えたステンレス製オートクレーブに、グリセリン92g(1モル)及び触媒として水酸化ナトリウム4gを仕込み、系内を窒素で置換した後、100℃で1時間撹拌して、水酸化ナトリウムを溶解させた。次に、140℃でエチレンオキシド264g(6モル)及びプロピレンオキシド58g(1モル)を順にフィードし、140℃で2時間熟成した後、常法により触媒を除去し、ポリエーテル化合物を得た。
攪拌装置、温度計及び窒素ガス導入管を備えたガラス製フラスコに、ポリエーテル化合物207g(0.5モル)、ヤシ油脂肪酸219g(0.5モル)及び触媒としてメタンスルホン酸0.5gを仕込み、180℃で5時間反応させ、本発明のポリエーテルエステルA−1を得た:
一般式(1)において、
R:ヤシ油脂肪酸(炭素数10、12、14、16の混合物で炭素数12が主成分)からカルボキシル基を除いた残基;
(AO):(EO)(PO)0.33ブロック重合体(EOは82.1質量%);
m:1;
X:グリセリンから水酸基を除いた残基;
(AO’):(EO)(PO)0.33ブロック重合体(EOは82.1質量%);
n:2。
【0040】
<製造例2:A−2>
製造例1と同様のオートクレーブに、ソルビタンモノラウレート(花王(株)製、商品名SP−L10)346g(1モル)及び触媒としてナトリウムメチラートの28%メタノール溶液を仕込み、100℃で1kPa以下に減圧して、溶媒のメタノールを除去した。次に、140℃でエチレンオキシド264g(6モル)とプロピレンオキシド116g(2モル)との混合物をフィードし、140℃で2時間熟成した後、常法により触媒を除去し、本発明のポリエーテルエステルA−2を得た:
一般式(1)において、
R:ラウリン酸からカルボキシル基を除いた残基;
a:0;
m:1;
X:ソルビタンから水酸基を除いた残基;
(AO’):[(EO)(PO)0.67]ブロック重合体(EOは69.4質量%);n:3。
【0041】
<製造例3:A−3>
製造例1と同様のオートクレーブに、グリセリンモノオレート351g(1モル)及び触媒として三フッ化ホウ素のエーテル錯体1gを仕込み、60℃でエチレンオキシド176g(4モル)をフィードし、60℃で2時間熟成した後、常法により触媒を除去し、本発明のポリエーテルエステルA−3を得た:
一般式(1)において、
R:オレイン酸からカルボキシル基を除いた残基;
a:0;
m:1;
X:グリセリンから水酸基を除いた残基;
(AO’):EO(EOは100質量%);
b:2;
n:2。
【0042】
<製造例4:A−4>
製造例1と同様のガラス製フラスコに、トリメチロールプロパン134g(1モル)及び牛脂脂肪酸328g(1.2モル)を仕込み、生成する水を除去しながら220℃で10時間反応し、トリメチロールプロパン部分牛脂脂肪酸エステルを得た。次に、製造例1と同様のオートクレーブに、トリメチロールプロパン部分牛脂脂肪酸エステル231g(0.5モル)及び触媒として水酸化カリウム4gを仕込み、140℃でエチレンオキシド220g(5モル)をフィードし、140℃で2時間熟成した後、常法により触媒を除去し、本発明のポリエーテルエステル化合物A−4を得た:
一般式(1)において、
R:牛脂脂肪酸(炭素数16、18、20の混合物で炭素数18が主成分)からカルボキシル基を除いた残基;
a:0;
m:1.2;
X:トリメチロールプロパンから水酸基を除いた残基;
(AO’):(EO)(EOは100質量%);
b:5.6
n:1.8。
【0043】
<製造例5:A−5>
製造例1と同様のガラス製フラスコに、グリセリン92g(1モル)及びイソトリデカン酸257g(1.2モル)を仕込み、生成する水を除去しながら220℃で10時間反応し、グリセリン部分イソトリデカン酸エステルを得た。次に、製造例1と同様のオートクレーブに、グリセリン部分イソトリデカン酸エステル164g(0.5モル)及び触媒として水酸化カリウム4gを仕込み、140℃でエチレンオキシド220g(5モル)及びプロピレンオキシド93g(1.3モル)の混合物をフィードし、140℃で2時間熟成した後、常法により触媒を除去し、本発明のポリエーテルエステル化合物A−5を得た:一般式(1)において、
R:イソトリデカン酸からカルボキシル基を除いた残基;
a:0;
m:1.2;
X:グリセリンから水酸基を除いた残基;
(AO’):[(EO)5.6(PO)0.72]ランダム重合体(EOは85.5質量%);
n:2。
【0044】
また、比較のために、以下の化合物を用いた。
B−1:A−1の中間体であるポリエーテル化合物(グリセリンのエチレンオキシド6モル及びプロピレンオキシド1モル付加物)
B−2:ソルビタンモノラウレート
B−3:グリセリンモノオレート
B−4:A−4の中間体であるグリセリン部分牛脂脂肪酸エステル
B−5:ノニルフェノールのエチレンオキシド15モル及びプロピレンオキシド2モルのブロック付加物
【0045】
≪ラジカル重合型のネガ型レジストでの評価≫
本発明の組成物に使用する(A)成分:A−1〜A−5又は比較品B−1〜B−5を7質量部、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸エチルの質量比22/45/27/6のコポリマー(アルカリ可溶性樹脂:重量平均分子量10万)23質量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量400)ジメタクリレート20質量部、トリプロピレングリコールジメタクリレート20質量部、ベンゾフェノン7質量部、及び4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン0.7質量を2−メトキシエタノール60質量部/トルエン40質量部の混合溶媒40質量部に溶解しフォトレジスト組成物を調製した。
このフォトレジスト組成物を、厚さ25・mのポリエチレンテレフタレートフィルムに均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して厚さ50・mの光重合性層を形成させ、次いで光重合性層の表面上に35・mのポリエチレンフィルムを張り合わせドライフィルムレジストを得た。
35・m圧延銅箔を積層した銅張積層板表面を湿式バフロール研磨(スリーエム社製スコッチブライトSF、2回通し)し、この積層フィルムのポリエチレンフィルムを剥がしながら感光層をホットロールラミネーターにより120℃でラミネートした。
【0046】
≪密着性試験≫
ドライフィルムレジストをラミネートした銅張積層板の光重合性層を、3kW高圧水銀ランプ(オーク製作所製HMW−201B)により60mJ/cmで露光した。ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を60秒スプレーし、未露光部分を溶解除去し、水洗し乾燥して現像した。この現像後の基板を用いて下記のクロスカット試験により密着性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
[評価方法]
基板上の硬化膜に1mm間隔にタテ及びヨコに10本ずつの切れ目を入れ100個の碁盤目を作り、セロハンテープを張り、十分圧着した後テープを引き剥がし、剥がれた測定点の個数を数え、次の基準でレジストの密着性を評価した。
○:全ての測定点で全く剥離が認められず、密着性が良好。
△:100個の測定点中1〜20の点で剥離が認められ、密着性がやや不良。
・:100個の測定点中21以上の点で剥離が認められ、密着性が不良。
【0048】
≪泡立ち試験≫
ドライフィルムレジストをラミネートした銅張積層板からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露光することなしに、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を60秒スプレーし、未硬化のレジストが2質量%含有された現像液を調製した。この現像液を用いて、下記の方法により泡立ちを評価した。結果を表1に示す。
【0049】
[評価方法]
容量100mLの共栓つきメスシリンダーに、試験液50mLを入れ、1分間に50回激しく振盪し、振盪終了直後の泡の量(mL)を読み取り、泡の量により下記の基準で泡立ち性を評価した。
○:泡の量が20mL未満であり泡立ち性が少ない。
△:泡の量が20mL以上、40mL未満であり泡立ち性がやや多い。
・:泡の量が40mL以上であり泡立ち性が多い。
【0050】
≪スカム分散性試験≫
泡立ち試験に用いたのと、同様の試験液100mLを100mLの円柱状のフタ付ガラスビンに入れ、30℃の恒温槽に1週間保存した。ガラスビンの底部に沈降するスカムを目視し、下記の基準によりスカム分散性を評価した。結果を表1に示す。
○:スカムの沈降がみられず、スカム分散性が良好。
△:スカムの沈降がややみられ、スカム分散性がやや不良。
・:スカムの沈降が多く、スカム分散性が不良。
【0051】
【表1】

【0052】
≪化学増幅型のポジ型レジストでの評価≫
本発明の組成物に使用する(A)成分:A1〜A5又は比較品B−1〜5を7質量部、ポリ(ヒドロキシスチレン)の水酸基の20モル%をブロモ酢酸−t−ブチルでエーテル化したもの(フェノキシ基が酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性樹脂:メタクレゾール/パラクレゾール=6/4質量比,重量平均分子量4500)90質量部、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート(光酸発生剤)3質量部を、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル400質量部に溶解し、フォトレジスト組成物を調製した。このフォトレジスト組成物を、清浄なシリコンウェハー上にスピナーを用いて塗布し、90℃のホットプレート上で60秒間乾燥して、膜厚1.5・mのレジスト膜を得た。これを波長248nmのレーザー光で露光し、直ちに110℃のホットプレート上で120秒間加熱してから、30℃の2.4質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(現像液)を60秒スプレーして、露光部分のレジストを溶解除去し、未硬化のレジストが2質量%含有された現像液を調製した。この現像液を用いて、ラジカル重合型のネガ型レジストでの評価と同様の方法により、泡立ち性及びスカム分散性を評価した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として、下記の一般式(1)
{RCOO(AO)X{O(AO’)H} (1)
(式中、RCOは炭素数6〜22の脂肪酸から水酸基を除いた残基を表わし、Xは少なくとも3つの水酸基を有するポリオールから水酸基を除いた残基を表わし、AO及びAO’は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、aは0又は1以上の数を表わし、bは1以上の数を表わし、m及びnは1以上の数を表わす。但し、m及びnの合計は、前記ポリオールの水酸基の数と同数である。)で表わされるポリエーテルエステル;
(B)成分として、アニオン性基を有するアルカリ可溶性樹脂又はその変性物、
を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項2】
フォトレジスト組成物の固形分100質量部に対する、一般式(1)で表わされるポリエーテルエステルの含量が1〜20質量部である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフォトレジスト組成物を、重合体フィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルムレジスト。

【国際公開番号】WO2005/036268
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514594(P2005−514594)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014832
【国際出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】