説明

フォトレジスト製造用組成物の製造方法

【課題】フォトレジスト製造において、感度の高いオキシムエステル系光重合開始剤の溶解性が良く、電子材料用途のペースト組成物の特性を損なわないフォトレジスト製造用溶剤組成物を提供する。
【解決手段】特定構造の化合物を含む溶剤Aとオキシムエステル系光重合開始剤とを混合して溶剤組成物(C)とした後、前記溶剤組成物(C)を、前記溶剤Aと相溶する溶剤Bと混合してフォトレジスト製造用組成物(D)を得ることを特徴とするフォトレジスト製造用組成物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合開始剤溶解性に優れたフォトレジスト製造用組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示ディスプレイなどの表示体のカラー化には、2枚の基板の間に赤(R)や緑(G)や青(B)や黄(Y)などの画素領域から構成されたカラーフィルターを必要とする。しかし、カラーフィルターの各画素領域の間が隙間無く埋められていると、その境界でコントラスト低下などが起こる。この問題を防ぐため、通常、各色の画素領域を黒色の隔壁によって区分けするブラックマトリクスが形成されている。
【0003】
一般に、ブラックマトリクスやカラーフィルターの形成には、フォトレジストが用いられている。ブラックマトリクスには金属の遮光材料を使用するものと、非金属の遮光材料を使用するものがある。近年環境的な配慮により、非金属のブラックマトリクスとして樹脂ブラックマトリクスが増えている。樹脂ブラックマトリクスペーストは遮光材料、バインダー樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、溶媒などからなっている。
【0004】
ブラックマトリクスは次の(1)〜(6)の工程を経て製造される。
(1)ブラックマトリクスペーストを調合する。(2)基板に塗布後、薄層化する。(3)100℃程度で溶剤を蒸発させ、乾燥する。(4)100mJ/cm2程度の強度のUVを照射し、光硬化する。(5)炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、不要な樹脂分を洗浄する。(6)200℃程度で加熱し、熱硬化する。
【0005】
ブラックマトリクスの光硬化では、ペースト組成物中に含まれる遮光剤の配合のため、深部まで届く光が弱くなる。そこで、ペースト組成物中に感度の高い光重合開始剤を多量に含有することが必要とされている。感度の高い光重合開始剤としてカルバゾール骨格を持つオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる(特許文献1)。しかしこれらは溶解性に乏しく、多くの量を溶剤に溶解させることは困難であった。
【0006】
そこで、特許文献2では、ブラックマトリクスのペースト用溶剤としては、光重合開始剤に対する溶解性からシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノンを含む混合溶剤が使用されている(特許文献2)。しかしながら、シクロヘキサノンは生態毒性の懸念があり、またVOC規制対象化合物として、取り扱いには有機溶剤作業主任者を設定する必要があるなど、規制があるため、代替溶剤が求められている。
【0007】
カラーフィルター、およびブラックマトリクス用途にその他一般的に使用される溶剤は、塗布性や顔料分散性から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノールアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが用いられている(特許文献3、特許文献4)。しかし、これらは感度の高いカルバゾール骨格を持つオキシムエステル系光重合開始剤に対し、溶解性が十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4448381号公報
【特許文献2】特開2009−173560号公報
【特許文献3】特開2009−271502号公報
【特許文献4】特開2010−249869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、フォトレジスト製造において、感度の高いオキシムエステル系光重合開始剤を高濃度に溶解し、電子材料用途のペースト組成物の特性を損なわないフォトレジスト製造用組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、オキシムエステル系光重合開始剤を特定の溶剤Aで溶解させ、さらにその後、一般的に電子材料用途に使用されており塗布性、顔料分散性が良好と知られている溶剤で希釈することで、高いオキシムエステル系光重合開始剤溶解性を実現できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0011】
すなわち本発明は、下記式(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、及び(A5)
【化1】

(上記式中、R1〜R4,R1',R2'は、同一又は異なって、それぞれC1-2のアルキル基であり、R1とR3又はR2とR4は互いに結合してそれぞれ環を形成していても良い;R5とR6は互いに結合して4〜8員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R5'とR6'は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R7とR8は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む溶剤Aとオキシムエステル系光重合開始剤とを混合して溶剤組成物(C)とした後、前記溶剤組成物(C)を、前記溶剤Aと相溶する溶剤Bと混合してフォトレジスト製造用組成物(D)を得ることを特徴とするフォトレジスト製造用組成物の製造方法を提供する。
上記溶剤Aと溶剤Bとの重量比は、溶剤A:溶剤B=10:90〜99:1であることが好ましい。
また、上記溶剤組成物(C)において、上記オキシムエステル系光重合開始剤に対する上記溶剤Aの重量比は、オキシムエステル系光重合開始剤:溶剤A=1:0.1〜1:100であることが好ましい。
さらに、上記溶剤組成物(C)において、上記オキシムエステル系光重合開始剤が4重量%以上溶解していることが好ましい。
【0012】
上記オキシムエステル系光重合開始剤は、下記式(P1)
【化2】

で表される化合物(P1)であることが好ましい。
[上記式中、R11は、C2アシル基、又はフェノイル基を示し;R12は、C1-6アルキル基、又は置換基を有していても良いフェニル基を示し;R13は、下記式(P2)
【化3】

(上記式中、R14は、置換基を有していても良いフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基、置換基を有していても良いアントラシル基、置換基を有していても良いチエニル基、又は置換基を有していても良いジフェニルスルフィド基を示し;R15は、単結合、又は下記式(P3)
【化4】

(上記式中、R16は、C1-2アルキル基、又はフェニル基を示す。)
で表される2価の基を示す。さらに、R15が単結合の場合には、R14は、C65SC64−であってもよい。)
又は、下記式(P4)
【化5】

(上記式中、R15は、単結合、又は上記式(P3)で表される基を示す。)
で表される基を示す。]
【0013】
また、好ましくは、上記オキシムエステル系光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物(1)、(2)で表される化合物(2)又は下記式(3)で表される化合物(3)である。
【化6】

【化7】

【化8】

【発明の効果】
【0014】
本発明のフォトレジスト製造用組成物の製造方法によれば、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)などのオキシムエステル系光重合開始剤の溶解性が高く、電子材料用途のペースト組成物の特性を損なわないフォトレジスト製造用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[フォトレジスト製造用組成物の製造方法]
本発明のフォトレジスト製造用組成物の製造方法は、下記式(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、及び(A5)
【化9】

(上記式中、R1〜R4,R1',R2'は、同一又は異なって、それぞれC1-2のアルキル基であり、R1とR3又はR2とR4は互いに結合してそれぞれ環を形成していても良い;R5とR6は互いに結合して4〜8員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R5'とR6'は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R7とR8は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む溶剤Aとオキシムエステル系光重合開始剤とを混合して溶剤組成物(C)とした後、前記溶剤組成物(C)を、前記溶剤Aと相溶する溶剤Bと混合してフォトレジスト製造用組成物(D)を得ることを特徴とする。
【0016】
<フォトレジスト製造用組成物(D)>
本発明では、オキシムエステル系光重合開始剤をオキシムエステル系光重合開始剤の溶解性の良い以下に挙げる溶剤Aで溶解させ溶剤組成物(C)とし、さらにその後、溶剤Aと相溶し一般的に電子材料用途に使用されている溶剤Bで希釈してフォトレジスト製造用組成物(D)を得る。最初に溶剤Aと溶剤Bを混合した場合は、オキシムエステル系光重合開始剤の溶解性が低くなる。
【0017】
<溶剤組成物(C)>
本発明のフォトレジスト製造用組成物の製造方法では、溶剤Aとオキシムエステル系光重合開始剤とを混合して溶剤組成物(C)を得る。
【0018】
<溶剤A>
溶剤Aは、上記式(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、及び(A5)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでいる。
【0019】
上記式(A1)中、R1とR3又はR2とR4が互いに結合してそれぞれ形成していてもよい環としては、2−イミダゾリジノン環、2−ピリミジノン環などが挙げられる。上記式(A1)で表される化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素などが好ましく用いられる。
【0020】
上記式(A2)中、R1',R2'におけるC1-2のアルキル基はメチル基又はエチル基であり、上記式(A2)で表される化合物としては、具体的には、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドなどが挙げられる。式(A2)で表される化合物としてはジメチルホルムアミドなどが好ましく用いられる。
【0021】
上記式(A3)中、R5とR6が互いに結合して形成している4〜8員の環としては、例えば、4〜8員のラクトン環が挙げられ、側鎖としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などのC1-4アルキル基が挙げられる。上記式(A3)で表される化合物としては、具体的には、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、α−プロピル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、α−メチル−δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−バレロラクトン、α−エチル−δ−バレロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−εカプロラクトン、α−エチル−ε−カプロラクトン、α−プロピル−ε−カプロラクトンなどが挙げられる。上記式(A3)で表される化合物としては、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等が好ましく用いられる。
【0022】
上記式(A4)中、R5'とR6'が互いに結合して形成している3〜7員の環としては、例えば、シクロペンタノン環、シクロヘキサノン環などの3〜7員のシクロアルカノン環が挙げられ、側鎖としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などのC1-4アルキル基が挙げられる。上記式(A4)で表される化合物としては、具体的には、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2−エチルシクロペンタノン、3−エチルシクロペンタノン、2−プロピルシクロペンタノン、2−イソプロピルシクロペンタノン、3−プロピルシクロペンタノン、3−イソプロピルシクロペンタノン、2−ブチルシクロペンタノン、2−イソブチルシクロペンタノン、2−tert−ブチルシクロペンタノン、3−ブチルシクロペンタノン、3−イソブチルシクロペンタノン、3−tert−ブチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロペンタノン、2−エチルシクロヘキサノン、3−エチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−イソプロピルシクロヘキサノン、3−プロピルシクロヘキサノン、3−イソプロピルシクロヘキサノン、4−プロピルシクロヘキサノン、4−イソプロピルシクロヘキサノン、2−ブチルシクロヘキサノン、2−イソブチルシクロヘキサノン、2−tert−ブチルシクロヘキサノン、3−ブチルシクロヘキサノン、3−イソブチルシクロヘキサノン、3−tert−ブチルシクロヘキサノン、4−ブチルシクロヘキサノン、4−イソブチルシクロヘキサノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン等が挙げられる。上記式(A4)で表される化合物としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。
【0023】
上記式(A5)中、R7とR8が互いに結合して形成している3〜7員の環としては、例えば、オキソラン環、オキサン環、モルホリン環などの3〜7員の含酸素環が挙げられ、側鎖としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などのC1-4アルキル基が挙げられる。上記式(A5)で表される化合物としては、具体的には、テトラヒドロフラン、2−メチルヒドロフラン、3−メチルヒドロフラン、テトラヒドロピラン、3-メチルテトラヒドロ−2H−ピラン、モルホリン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリンなどが挙げられる。上記式(A5)で表される化合物としては、テトラヒドロフラン、モルホリン等が好ましく用いられる。上記例示の溶媒Aは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
<オキシムエステル系光重合開始剤>
オキシムエステル系光重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、下記式(P1)
【化10】

で表される化合物が挙げられる。
【0025】
上記式中、R11は、C2アシル基、又はフェノイル基を示し;R12は、C1-6アルキル基、又は置換基を有していても良いフェニル基を示し;R13は、下記式(P2)
【化11】

[上記式中、R14は、置換基を有していても良いフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基、置換基を有していても良いアントラシル基、置換基を有していても良いチエニル基、又は置換基を有していても良いジフェニルスルフィド基を示し;R15は、単結合、又は下記式(P3)
【化12】

(上記式中、R16は、C1-2アルキル基、又はフェニル基を示す。)
で表される2価の基を示す。さらに、R15が単結合の場合には、R14は、C65SC64−であってもよい。]
又は、下記式(P4)
【化13】

(上記式中、R15は、単結合、又は上記式(P3)で表される基を示す。)
で表される基を示す。
【0026】
上記式(P1)中、R11として例示されるC2アシル基としては、例えば、アセチル基などが挙げられる。上記式(P1)中、R11として例示されるフェノイル基としては、ベンゾイル基などが挙げられる。上記式(P1)中、R12として例示されるC1-6アルキル基としては、メチル、ヘキシル基などが挙げられる。上記式(P1)中、R12におけるフェニル基が有していても良い置換基としては、メチル基、メトキシプロピオキシ基などが挙げられる。
【0027】
上記式(P2)中、R14におけるフェニル基、ナフチル基、アントラシル基、又はチエニル基が有していても良い置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどのC1-4アルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メトキシ基などのC1-4アルコキシ基等が挙げられる。
【0028】
上記式(P3)中、R16として例示されるC1-2アルキル基としては、例えば、メチル、エチル基などが挙げられる。
【0029】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)又は下記式(3)で表される化合物(3)を特に好ましく用いることができ、また、これらの2種以上を併用することもできる。
【化14】

【化15】

【化16】

【0030】
溶剤組成物(C)において、オキシムエステル系光重合開始剤に対する溶剤Aの比(重量比)は、光重合開始剤:溶剤A=1:0.1〜1:100であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:50、さらに好ましくは1:1.5〜1:25である。また、溶剤組成物(C)において、オキシムエステル系光重合開始剤が4重量%以上(例えば4〜90重量%)溶解していることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは6〜90重量%溶解している。なお、オキシムエステル系光重合開始剤及び溶剤Aの量は、2種類以上を併用する場合には、それぞれ、それらの合計量である。
【0031】
本発明のフォトレジスト製造用組成物の製造方法では、上記溶剤組成物(C)と、上記溶剤Aと相溶する溶剤Bとを混合してフォトレジスト製造用組成物(D)を得る。
【0032】
<溶剤B>
溶剤Bとしては、溶剤Aと相溶するものであれば特に限定されないが、例えば、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート、(シクロ)アルキルアセテート、C3-6アルコール、C3-6アルカンジオール、C3-6アルカンジオールモノアルキルエーテル、C3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテート、C3-6アルカンジオールジアセテート、グリセリントリアセテート、ヒドロキシカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、アルコキシカルボン酸エステル、上記(A4)の化合物を除く環状ケトン、上記(A3)の化合物を除くラクトン、上記(A5)の化合物を除く環状エーテル、ピリジン類、芳香族アセテート、アミン類等が挙げられる。
【0033】
(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等が例示される。
【0034】
(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等が例示される。
【0035】
(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート等が例示される。
【0036】
(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテートとしては、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート等が例示される。(シクロ)アルキルアセテートとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート等が例示される。
【0037】
3-6アルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール等が例示される。C3-6アルカンジオールとしては、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が例示される。C3-6アルカンジオールモノアルキルエーテルとしては、3−メトキシブタノール等が例示される。
【0038】
3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテートとしては、3−メトキシブタノールアセテート等が例示される。C3-6アルカンジオールジアセテートとしては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等が例示される。
【0039】
ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、乳酸メチル、乳酸エチル等が例示される。ヒドロキシカルボン酸ジエステルとしては、乳酸メチルアセテート、乳酸エチルアセテート等が例示される。アルコキシカルボン酸エステルとしては、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等が例示される。
【0040】
環状ケトンとしては、4−ケトイソホロン等が例示される。ラクトン類としては、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が例示される。環状エーテルとしては、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアセテート等が例示される。
【0041】
ピリジン類としては、ピリジン、メチルピリジン等が例示される。芳香族アセテートとしては、酢酸フェニル等が例示される。アミン類としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が例示される。上記例示の溶媒Bは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
フォトレジスト製造用組成物(D)中のオキシムエステル系光重合開始剤[例えば、前記式(1)、(2)又は(3)で表される化合物(1)、(2)又は(3)]の含有量は、例えば4重量%以上(例えば4〜90重量%)溶解していることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは6〜90重量%、さらに好ましくは8重量%以上(8〜90重量%程度)、特に好ましくは10重量%以上(10〜90重量%程度)とすることができる。フォトレジスト製造用組成物(D)中、オキシムエステル系光重合開始剤を4重量%以上溶解していることが光硬化時の感光性の点で好ましい。なお、オキシムエステル系光重合開始剤の量は、2種類以上を併用する場合には、それらの合計量である。
【0043】
フォトレジスト製造用組成物(D)において、溶剤Aの含有量は、例えば95重量%以下(9〜95重量%程度)、好ましくは94重量%以下(9〜94重量%程度)、より好ましくは93重量%以下(9〜93重量%程度)、さらに好ましくは91重量%以下(9〜91重量%程度)、特に好ましくは89重量%以下(9〜89重量%程度)とすることができる。なお、溶剤Aの含有量は、2種類以上を併用する場合には、それらの合計量である。
【0044】
フォトレジスト製造用組成物(D)において、溶剤Bの含有量は、例えば1〜85重量%が好ましく、1〜70重量%がさらに好ましい。溶剤Bの含有量が85重量%を上回ると、オキシムエステル系光重合開始剤の溶解性が十分でない場合がある。なお、溶剤Bの含有量は、2種類以上を併用する場合には、それらの合計量である。
【0045】
フォトレジスト製造用組成物(D)において、溶剤Aと溶剤Bの比(重量比)は、溶剤A:溶剤B=10:90〜99:1であることが好ましい。オキシムエステル系光重合開始剤の溶解性の点からは、溶剤A:溶剤B=30:70〜99:1であることがより好ましく、溶剤A:溶剤B=50:50〜99:1であることがさらに好ましい。なお、溶剤A,Bの量は、2種類以上を併用する場合には、それらのそれぞれの合計量である。フォトレジスト製造用組成物(D)において、溶剤Bで希釈することにより、オキシムエステル系光重合開始剤を高濃度に含有するだけでなく、フォトレジスト製造用組成物の塗布性、顔料分散性、染料溶解性、エポキシ樹脂・アクリル樹脂溶解性、乾燥性、安全性等を改善することができる。
【0046】
フォトレジスト製造用組成物(D)において、例えば、塗布性をより向上するために、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、又はトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、又はジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、又はジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート等の(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、又はジプロピレングリコールジアセテート等の(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート;又は、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のアルコキシカルボン酸エステルなどを溶剤Bとして併用することが効果的である。
【0047】
また、顔料分散性をより向上するために、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノC3-6アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;又は、3−メトキシブタノールアセテート等のC3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテート等を溶剤Bとして併用することが効果的である。
【0048】
また、染料溶解性をより向上するために、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のモノC3-6アルキレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノC3-6アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;3−メトキシブタノール等のC3-6アルカンジオールモノアルキルエーテル;3−メトキシブタノールアセテート等のC3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテート;乳酸メチル、又は乳酸エチル等のヒドロキシカルボン酸エステル;乳酸メチルアセテート、又は乳酸エチルアセテート等のヒドロキシカルボン酸ジエステル;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、又は2−ヘキシルアルコール等のC3-6アルコール;又は、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のC3-6アルカンジオール等を溶剤Bとして併用することが効果的である。
【0049】
また、エポキシ樹脂・アクリル樹脂溶解性をより向上するために、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート等の(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート等の(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート;4−ケトイソホロン等の、(A4)の化合物を除く環状ケトン;α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の、(A3)の化合物を除くラクトン類;テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアセテート等の、(A5)の化合物を除く環状エーテル;ピリジン、又はメチルピリジン等のピリジン類;酢酸フェニル等の芳香族アセテート;又は、ジエチルアミン又はトリエチルアミン等のアミン類などを溶剤Bとして併用することが効果的である。
【0050】
また、乾燥性をより向上するために、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ)C3-6アルキレングリコールC1-2アルキルC3-4アルキルエーテル;又は、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート等の(シクロ)アルキルアセテート等を溶剤Bとして併用することが効果的である。上記例示の溶剤Bは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
実施例1
オキシムエステル系光重合開始剤として化合物(1)(特表2006-516246に記載の方法に準じた方法で合成したダイセル社のラボ製造品)を使用し、20℃環境下、溶剤A(Sol.A)として1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンを使用し、オキシムエステル系光重合開始剤[化合物(1)]を溶剤Aに添加後、1分程度、容器を手で軽く振って溶解し、溶剤組成物を得た。その後、溶剤B(Sol.B)として3−メトキシブタノールアセテートを使用し、表1に記載の開始剤濃度(4重量%〜13重量%)で、且つ溶剤Aと溶剤Bの重量比が表1に記載の重量比となるようにこの溶剤組成物を希釈し、1分程度、容器を手で軽く振った後、化合物(1)の溶解状態を確認した。
なお、溶解状態は、目視にて不溶物が確認出来なかった場合を「○:溶解」とし、不溶物が確認出来た場合を「×:不溶解」とした。以下も同様である。
結果を表1に示す。
【0053】
実施例2〜12
実施例1と同様に以下の表1に記載の溶剤Aでオキシムエステル系光重合開始剤[化合物(1)]を20℃環境下で加えて溶剤組成物を得、表1に記載の溶剤Bで、表1に記載の開始剤濃度(4重量%〜13重量%)の溶液になるようにこの溶剤組成物を希釈し、化合物(1)の溶解状態を目視で確認した。溶剤Aと溶剤Bの重量比は表1に記載の重量比となるようにした。結果を表1に示す。
【0054】
比較例1〜12
以下の表1に記載の溶剤Aと溶剤Bを表1の重量比で混合し、1分程度、容器を手で軽く振った後、その混合溶剤でオキシムエステル系光重合開始剤[化合物(1)]を20℃環境下で表1に記載の開始剤濃度(4重量%〜13重量%)の溶液になるよう調製し、1分程度、容器を手で軽く振った後、化合物(1)の溶解の可否を目視で確認した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

DMTHP :1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(和光純薬工業製)
DMI :1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(和光純薬工業製)
MBA :3−メトキシブタノールアセテート(ダイセル社製)
MMPGAC :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル社製)
【0056】
実施例13
オキシムエステル系光重合開始剤として化合物(2)(BASF製)を使用し、20℃環境下、溶剤A(Sol.A)として1,3−ジメチル−イミダゾリジノンを使用し、オキシムエステル系光重合開始剤[化合物(2)]を溶剤Aに添加後、1分程度、容器を手で軽く振って溶解し、溶剤組成物を得た。その後、溶剤B(Sol.B)としてプロピレングリコールモノメチルアセテートを使用し、表2に記載の開始剤濃度(5重量%〜30重量%)で、且つ溶剤Aと溶剤Bの重量比が表2に記載の重量比となるようにこの溶剤組成物を希釈し、1分程度、容器を手で軽く振った後、化合物(2)の溶解状態を目視で確認した。結果を表2に示す。
【0057】
実施例14
実施例13と同様に以下の表2に記載の溶剤Aでオキシムエステル系光重合開始剤[化合物(2)]を20℃環境下で加えて溶剤組成物を得、1分程度、容器を手で軽く振った後、表2に記載の溶剤Bで、表2に記載の開始剤濃度(5重量%〜30重量%)の溶液になるようにこの溶剤組成物を希釈し、1分程度、容器を手で軽く振った後、化合物(2)の溶解状態を目視で確認した。溶剤Aと溶剤Bの重量比は表2に記載の重量比となるようにした。結果を表2に示す。
【0058】
比較例13〜14
以下の表2に記載の溶剤Aと溶剤Bを表2の重量比で混合した後、その混合溶剤でオキシムエステル系光重合開始剤[化合物(2)]を20℃環境下で表2に記載の開始剤濃度(5重量%〜30重量%)の溶液になるよう調製し、化合物(2)の溶解の可否を目視で確認した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】

DMI :1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(和光純薬工業製)
MMPGAC :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル社製)
【0060】
表1、表2から分かるように、溶剤A(Sol.A)と溶剤B(Sol.B)の混合溶剤(比較例1〜14)による化合物(1)や化合物(2)の溶解性に比べ、溶剤A(Sol.A)で予め化合物(1)や化合物(2)を溶解した後、溶剤B(Sol.B)で希釈する方(実施例1〜14)が、最終的に同じ組成になるにも関わらず、より多くの化合物(1)や化合物(2)を溶解でき、より高濃度にオキシムエステル系光重合開始剤を含有するフォトレジスト製造用組成物を製造できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、及び(A5)
【化1】

(上記式中、R1〜R4,R1',R2'は、同一又は異なって、それぞれC1-2のアルキル基であり、R1とR3又はR2とR4は互いに結合してそれぞれ環を形成していても良い;R5とR6は互いに結合して4〜8員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R5'とR6'は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い;R7とR8は互いに結合して3〜7員の環を形成しており、環は分岐して側鎖があっても良い)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む溶剤Aとオキシムエステル系光重合開始剤とを混合して溶剤組成物(C)とした後、前記溶剤組成物(C)を、前記溶剤Aと相溶する溶剤Bと混合してフォトレジスト製造用組成物(D)を得ることを特徴とするフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
【請求項2】
上記溶剤Aと溶剤Bとの重量比が、溶剤A:溶剤B=10:90〜99:1である、請求項1記載のフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
【請求項3】
上記溶剤組成物(C)において、上記オキシムエステル系光重合開始剤に対する上記溶剤Aの重量比が、オキシムエステル系光重合開始剤:溶剤A=1:0.1〜1:100である、請求項1又は2記載のフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
【請求項4】
上記溶剤組成物(C)において、上記オキシムエステル系光重合開始剤が4重量%以上溶解している、請求項1〜3の何れか1項に記載のフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
【請求項5】
上記オキシムエステル系光重合開始剤が下記式(P1)
【化2】

で表される化合物(P1)である、請求項1〜4の何れか1項に記載のフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
[上記式中、R11は、C2アシル基、又はフェノイル基を示し;R12は、C1-6アルキル基、又は置換基を有していても良いフェニル基を示し;R13は、下記式(P2)
【化3】

(上記式中、R14は、置換基を有していても良いフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基、置換基を有していても良いアントラシル基、置換基を有していても良いチエニル基、又は置換基を有していても良いジフェニルスルフィド基を示し;R15は、単結合、又は下記式(P3)
【化4】

(上記式中、R16は、C1-2アルキル基、又はフェニル基を示す。)
で表される2価の基を示す。さらに、R15が単結合の場合には、R14は、C65SC64−であってもよい。)
又は、下記式(P4)
【化5】

(上記式中、R15は、単結合、又は上記式(P3)で表される基を示す。)
で表される基を示す。]
【請求項6】
上記オキシムエステル系光重合開始剤が、下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)又は下記式(3)で表される化合物(3)である、請求項5に記載のフォトレジスト製造用組成物の製造方法。
【化6】

【化7】

【化8】