説明

フォワード浸透用の螺旋状に巻かれたメンブレインモジュール

フォワード浸透に用いるための螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールが開示されている。前記メンブレインモジュールは、概して、螺旋構造のフォワード浸透用メンブレインを備えている。前記モジュールは、2つの入口部と2つの出口部とを備えると共に、第1及び第2の流体流路を形成することができる。各々の流体流路への入口部は、混合を防止するために全体として分離されている。幾つかの実施形態では、前記メンブレインモジュールは、分配領域と収集領域とを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本発明は、2008年3月20日に出願手続がされた米国仮特許出願番号61/070,087号の優先権の利益を主張するものであり、参照することによりその全体がここに組み入れられる。
一つ若しくはそれ以上の態様は、概して言えば、浸透圧分離(osmotic separation)に関連している。特に、一つ若しくはそれ以上の態様は、例えば、海水淡水化,汽水淡水化,廃水浄化および汚染水浄化など、圧力リタード浸透(pressure retarded osmosis)、或いは、例えばフォワード浸透(forward osmosis)による水溶液からの溶質と水のあらゆる浸透圧分離に用いる、膜モジュール(メンブレインモジュール:membrane module)に関連している。
【背景技術】
【0002】
フォワード浸透は、淡水化に用いられてきた。一般に、フォワード浸透淡水化プロセスは、半透過性の膜(メンブレイン:membrane)によって仕切られた2つの室(チャンバ:chamber)を有する容器を伴うものである。一方のチャンバには海水が入れられる。他方のチャンバには、海水と当該溶液との間に濃度勾配を生じせしめる濃溶液(concentrated solution)が入れられる。この勾配が、水が通過することは選択的に許容するが塩分が通過することは許容しない膜を横切って、海水から濃溶液内へ水を引き入れる。濃溶液へ入る水は、次第に当該溶液を希釈する。その後、低濃度の溶液から溶質が除去されて、飲料水が生成される。
【発明の概要】
【0003】
複数の態様は、概して言えば、浸透圧分離のためのシステム及び方法に関連している。
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、フォワード浸透用の螺旋状に巻かれた(spiral wound)のメンブレインモジュールは、内側領域と外側領域とを有する膜ポケット(メンブレインポケット:membrane pocket)を形成する、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用のメンブレインを備え、該メンブレインは第1及び第2の端部を有している。前記モジュールは、メンブレインポケットの内側領域と流体連通する第1入口部(インレット:inlet)と、メンブレインポケットの外側領域と流体連通する第2入口部とを備えた第1端部に、分配領域(distributer region)を更に備えている。また更に、前記モジュールは、メンブレインポケットの内側領域と流体連通する第1出口部(アウトレット:outlet)と、メンブレインポケットの外側領域と流体連通する第2出口部とを備えた第2端部に、収集領域(collector region)を備えている。
【0004】
幾つかの実施形態では、前記第1入口部は第2入口部から流体的に分離されている(fluidly isolated)かも知れない。また、前記第1出口部は、第2出口部から流体的に分離されていてもよい。分配領域は、第1及び第2の入口部を流体的に分離するように構成され配置され得る端末キャップ(end cap)を備えている。或る実施形態では、端末キャップは、メンブレインポケットの内部領域と、メンブレインポケットの外部領域と流体流通する外部領域に流体的に接続された内腔(ルーメン:lumen)を有する少なくとも一つの管(チューブ:tube)を備えていてもよい。また、前記第1入口部は、前記少なくとも一つのチューブの内腔と流体的に接続されていてもよい。
【0005】
幾つかの実施形態では、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1及び第2端部の一方の少なくとも一部分は、埋め込まれている(potted)かも知れない。他の実施形態では、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1及び第2端部の一方の少なくとも一部分は、板材(プレート:plate)に取り付けられているかも知れない。モジュールは、第1入口部から第1出口部まで、メンブレインポケットの内部領域によって形成された流体流路に沿って位置する、少なくとも一つのスペーサを更に備えていてもよい。モジュールは、また、第2入口部から第2出口部まで、メンブレインポケットの外部領域によって形成された流体流路に沿って位置する、少なくとも一つのスペーサを更に備えていてもよい。幾つかの実施形態では、前記少なくとも一つのスペーサの厚さは、膜モジュールの長手方向の軸線に沿って変化するかも知れない。少なくとも一つの実施形態では、モジュールは、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと機械的に協働する中央支持体(センタサポート:center support)を有しているかも知れない。幾つかの実施形態では、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインは、非対称である。メンブレインポケットの外部領域は、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインのリジェクト層(rejecting layer)で形成されているかも知れない。幾つかの実施形態では、モジュールは、圧力リタード浸透システム内に一体化されているかも知れない。
【0006】
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、水処理システムは、モジュールの長手方向の軸線に沿った、隔離され実質的に平行な第1及び第2の流体流路を形成するように構成され配置された、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと、前記第1流体流路と流体的に接続された第1入口部および第1出口部と、前記第2流体流路と流体的に接続された第2入口部および第2出口部と、を備えた螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを備えているかも知れない。水処理システムは、更に、前記第1入口部に流体的に接続された第1溶液源と、前記第2入口部に流体的に接続された第2溶液源と、を備えているかも知れない。
【0007】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の入口部は、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1端部に位置しているかも知れない。第1溶液源は、食塩水源であるかも知れない。幾つかの実施形態では、食塩水は海水でなる。第2溶液源は、抜き出し側の溶液(ドロー溶液:draw solution)源を備えているかも知れない。少なくとも一つの実施形態では、ドロー溶液は、モル比が約1対1よりも大きい、アンモニアと二酸化炭素でなるかも知れない。
【0008】
幾つかの実施形態では、水処理システムは、更に、第2のフォワード浸透用の螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールを備えているかも知れない。このシステムは、また、第1入口部での第1溶液の流速および第2入口部での第2溶液の流速の少なくとも一方を制御するように構成された制御システムを含んでいるかも知れない。少なくとも一つの実施形態では、システムは、第1及び第2出口部の一方に流体的に接続された分離システムを含んでいるかも知れない。幾つかの実施形態では、分離システムの出口部は、第1及び第2入口部の一方に流体的に接続されているかも知れない。少なくとも一つの実施形態では、システムは、第1及び第2出口部の一方の下流部に流体的に接続されたタービンを更に備えた、圧力リタード浸透システムである。
【0009】
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、淡水化プロセスを容易にする方法は、内部領域と外部領域とを有するメンブレインポケットを形成する渦巻状のフォワード浸透用メンブレインを備えた螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを設けるステップを備えていてもよく、前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインは、第1及び第2の端部と、メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1入口部およびメンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2入口部とを備えた第1端部の分配領域と、メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1出口部およびメンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2出口部とを備えた第2端部の収集領域と、を有している。容易化の方法は、ドロー溶液源を第1入口部に流体的に接続し、塩水(ブライン:brine)溶液源を第2入口部に流体的に接続することを、更に含んでいてもよい。
【0010】
幾つかの実施形態では、ドロー溶液源を第1入口部に流体的に接続することは、モル比が約1対1よりも大きい、アンモニアと二酸化炭素でなるドロー溶液の源を流体的に接続することであるかも知れない。前記方法は、第1出口部を蒸留塔へ流体的に接続することを更に含んでいてもよい。少なくとも一つの実施形態では、前記方法は、蒸留塔の出口部を第1入口部へ流体的に接続することを更に含んでいるかも知れない。螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインもしくは設けられたモジュールは、当該モジュールの長手方向の軸線に沿った、隔離された実質的に平行な第1及び第2の流体流路を形成するように構成され配置されていてもよい。少なくとも一つの実施形態では、前記方法は、膜の収集領域をタービンへ流体的に接続することを更に備えた圧力リタード浸透プロセスであってもよい。
【0011】
更に他の態様,実施形態、及びこれらの例示的な態様および実施形態の利点が、以下に詳しく議論されている。更に、前述の情報および以下の詳細な説明は、共に、様々な態様および実施形態の単に説明上の例に過ぎず、権利主張された態様および実施形態の本質および特徴を理解するための概説もしくは枠組みを与えることを意図したものである、ことが理解されるべきである。添付図面は、様々な態様および実施形態の図面上の説明および更なる理解をもたらすために含まれているもので、本明細書に組み込まれ、その一部をなすものである。図面は、明細書の残余の部分と共に、説明され権利主張された態様および実施形態の原理および働きを説明する役割を果たすものである。
【0012】
添付図面には、少なくとも一つの実施形態の様々の態様が示されている。図面は、図示および説明の目的のために提示されたものであり、本発明の限界を規定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールの概略図である。
【図2】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った、端末キャップを備えた螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールの概略図である。
【図3】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った端末キャップの概略図である。
【図4】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った端末キャップの概略的な側面図である。
【図5】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った端末キャップの概略的な断面図である。
【図6】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールの端末部分の概略図である。
【図7】一つ若しくはそれ以上の実施形態に従った螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールの構成要素を通る流れのパターンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1つまたは複数の実施形態によれば、水溶液から水を抽出するための浸透方法は、概して、水溶液をフォワード浸透メンブレインの第1の表面へ暴露することを含む。濃度が水溶液のそれより高い第2の溶液またはドロー溶液は、フォワード浸透メンブレインの第2の反対面へ暴露されてもよい。よって水は、フォワード浸透メンブレインを介して、濃度の低い溶液から高い溶液への移動を伴う流体の移動特性を利用するフォワード浸透により水溶液から第2の溶液内へ引き出され、水分濃度の高い溶液が生成される。希釈ドロー溶液とも呼ばれるこの水分濃度の高い溶液は第1の出口部で収集され、さらなる分離プロセスを経て浄水に生成されてもよい。第2の製品流、即ち減耗または濃縮された水処理溶液は、排出またはさらなる処理のために第2の出口部に集められてもよい。
【0015】
水圧は、概して、膜モジュールを介する第1及び第2の溶液のその個々のチャネルの長手方向軸に沿った輸送を促進する場合があるが、浸透圧は、概して、モジュール内のフォワード浸透メンブレインを通じた水のフィード溶液からドロー溶液への輸送を促進する場合がある。或いは、水圧はフィード溶液に加えられてフィード溶液からドロー溶液への水の流れを援助する場合があり、もしくは、ドロー溶液へかけられて、2つの溶液間の浸透圧の差により駆動されるフィード溶液からのメンブレインにおける水の流束に起因するドロー溶液の容積拡大によって力を生成させる場合もある(PRO)。概して、モジュール内のフローチャネルは、これらのチャネルを介して流れを発生させる(クロスフロー)ために必要な水圧を最小限に抑えるように設計されるが、これは、2つの溶液間の浸透圧差を効率的に発生させるために有利であるフローチャネル内に乱流を生成するという、流れに対する抵抗を増大させる傾向のある、所望とは合わない場合が多い。より大きい浸透圧差は概してメンブレイン透過流束を増大させるが、希釈水製品及び再度濃縮されるドロー溶液を生産するために希釈ドロー溶液からドロー溶液を分離するために要する熱量を増大させる傾向も有する場合がある。
【0016】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは1つまたは複数のフォワード浸透メンブレインを含んでもよい。フォワード浸透メンブレインは概して半透過性であってもよく、例えば水は通過させるが溶液中の塩化ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウム等の溶質は排除する。この目的に関しては、水(即ち、溶媒)の通過を許容する一方で溶質の通過を阻止しかつ溶液中の溶質とは反応しないという能力があることを条件として、多くのタイプの半透過性メンブレインが適合する。メンブレインは、薄膜、中空のファイバメンブレイン、螺旋状に巻かれたメンブレイン、モノフィラメント及びディスクチューブを含む様々な構造を有することができる。半透過性のメンブレインは、水は通過させるが塩化ナトリウム及び塩化物等のそのイオン分子種等の溶質分子は濾過して除くほどに小さい細孔を有することを特徴とする周知の市販品が多く存在する。このような半透過性メンブレインは、有機物質または無機物質で製造されることが可能である。実施形態によっては、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド及びアクリロニトリル共重合体等の物質で製造されるメンブレインが使用されてもよい。他のメンブレインは、ZrO及びTiO等の物質で製造される鉱物膜またはセラミック膜であってもよい。
【0017】
好適には、半透過性メンブレインとして使用するために選択される物質は、概してそのメンブレインが曝される場合のある様々なプロセス条件に耐えることができるものであるべきである。例えば、メンブレインは、殺菌または他の高温処理に関連づけられるもの等の上昇温度に耐え得ることが望ましい場合がある。実施形態によっては、フォワード浸透メンブレインモジュールは摂氏約0度から摂氏約100度までの範囲内の温度で動作されてもよい。非限定的な実施形態によっては、プロセス温度は摂氏約40度から摂氏約50度までの範囲内であってもよい。同様に、メンブレインが様々なpH条件下で完全性を維持し得ることも望ましい場合がある。例えば、ドロー溶液等の膜環境における1つまたはそれ以上の溶液は、多かれ少なかれ酸性または塩基性であってもよい。非限定的な実施形態によっては、フォワード浸透メンブレインモジュールは約2から約11までの範囲内のpHレベルで動作されてもよい。所定の非限定的な実施形態では、pHレベルは約7から約10までであってもよい。使用されるメンブレインは、これらの物質のうちの1つから製造される必要はなく、様々な物質で構成されることが可能である。少なくとも1つの実施形態において、メンブレインは、第1の表面に活性層を有しかつ第2の表面に支持層を有するような非対称膜であってもよい。実施形態によっては、活性層は概してリジェクト層であってもよい。例えば、リジェクト層は、幾つかの非限定的な実施形態では塩分の通過を阻止してもよい。実施形態によっては、バッキング層等の支持層は概して不活性であってもよい。
【0018】
1つまたは複数の実施形態によれば、膜モジュールの少なくとも1つのフォワード浸透メンブレインは螺旋状に巻かれてもよい。螺旋状に巻かれた構造は、概してモジュール内の正浸透の促進に関して効率的である場合がある。螺旋状に巻かれた構造は、単位容積当たりの多量の表面積の封じ込めに関して望ましい場合がある。また螺旋状に巻かれた構造は、フォワード浸透メンブレインモジュール内でのプロセス流の滞留時間に関する液体流路沿いの表面積接触の点でも望ましいことがある。またメンブレインモジュールは、乱流を促進する一方で流体フローチャネルを介する流体クロスフローに対する摩擦抵抗を低減しかつ空所及び少量輸送を低減するように有利に設計されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、ドロー溶液及びフィード溶液の双方はメンブレインモジュールの長手方向軸に沿って最小限の流れ抵抗または分流で進んでもよい。螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインモジュールは、所望される任意の大きさであってもよい。
【0019】
1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも1つのフォワード浸透メンブレインはハウジングまたはケーシング内に位置合わせされてもよい。ハウジングは、概して内部に位置合わせされるメンブレインを収容するようなサイズ及び形状にされてもよい。例えば、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインを収容する場合、ハウジングは略円筒であってもよい。モジュールのハウジングは、フィード溶液及びドロー溶液をモジュールへ供給するための入口部、並びにモジュールから製品流を引き出すための出口部を含んでもよい。実施形態によっては、ハウジングは、モジュールへ導入されかつモジュールから引き出されるべき流体を保持または貯蔵するための少なくとも1つのリザーバまたはチャンバを提供してもよい。少なくとも1つの実施形態では、ハウジングは分離されてもよい。非限定的な実施形態によっては、モジュールアッセンブリは、海水がエポキシブロックと主たる巻きシートとの間の空間に流れ込むように管状のハウジング内に密封されてもよい。ドロー溶液は、巻きシート内の支持層側を通して溶液を導く平管の内部を通過してもよい。
【0020】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは、概して第1の溶液及び第2の溶液を各々半透過性メンブレインの第1及び第2の側面に接触させるように構成されかつ配置されてもよい。第1及び第2の溶液は滞留したままであることも可能であるが、第1及び第2の溶液は共にクロスフローによって導入されること、即ち半透過性メンブレインの表面に平行に流れることが好適である。これは、概して1つまたは複数の流体流路に沿ったメンブレインの表面積接触を増大させる場合があり、これにより正浸透の効率が高まる。実施形態によっては、第1及び第2の溶液は同じ方向へ流れてもよい。他の実施形態では、第1及び第2の溶液は反対方向へ流れてもよい。少なくとも幾つかの実施形態では、メンブレイン表面の両側で類似する流体力学が存在する場合がある。これは、モジュールまたはハウジングにおける1つまたは複数のフォワード浸透メンブレインの戦略的統合によって達成されてもよい。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは、概して第1の流体流路と第2の流体流路とを提供するように構成されかつ配置されてもよい。流路は、概して第1の端部から第2の端部へといったモジュールの長手方向軸沿いに延びてもよい。第1及び第2の流体流路は、フォワード浸透メンブレインによって分離されてもよい。第1の溶液は、モジュールを介して第1の流体流路沿いに、かつ第2の溶液は第2の流体流路沿いに進んでもよい。非対称のフォワード浸透メンブレインの場合、メンブレインの活性層は第1の流体流路に関連づけられてもよく、かつ支持層は第2の流体流路に関連づけられてもよい。少なくとも1つの実施形態では、海水等の処理されるべき水はフォワード浸透メンブレインの活性層に接触していてもよく、一方でドロー溶液は支持層に接触していてもよい。他の実施形態では、これが逆であってもよい。実施形態によっては、第1及び第2の流体流路は、メンブレインモジュールの長手方向軸に沿って互いに概して平行または略平行であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、第1及び第2の流体流路は、概して両者間の混合を防止するように互いから略分離されてもよい。但し、モジュール内での第1の溶液から第2の溶液への水のメンブレイン間の浸透通過は上述のような溶媒の分離及び浄化を実行することが望まれる。
【0022】
1つまたは複数の実施形態によれば、第1の溶液は、分離、浄化または他の処理が望まれる1つまたは複数の溶質を含む任意の水溶液または水性溶媒であってもよい。実施形態によっては、第1の溶液は、海水、塩水、汽水、家庭雑排水及び何らかの工業用水等の非飲料水であってもよい。処理されるべきプロセス流には、塩化物、硫酸塩、臭化物、ケイ酸塩、ヨウ化物、リン酸塩、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、硝酸塩、ヒ素、リチウム、ボロン、ストロンチウム、モリブデン、マンガン、アルミニウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、セレン、銀及び亜鉛等の塩類及び他のイオン種が含まれてもよい。例によっては、第1の溶液は塩水または海水等のかん水、排水または汚染水であってもよい。第1の溶液は、フォワード浸透メンブレイン処理システムへ産業施設等の上流ユニット事業から、または海洋等の他の任意のソースから送られてもよい。第2の溶液は、第1の溶液より高い濃度の溶質を含むドロー溶液であってもよい。ドロー溶液は、様々なものが使用されてもよい。例えば、ドロー溶液は熱分解塩溶液を含んでもよい。実施形態によっては、本参照によりその全体があらゆる目的で開示に含まれるMcGinnisに付与された米国特許出願公報第2005/0145568号に開示されているもの等のアンモニア及び二酸化炭素のドロー溶液が使用されてもよい。ある実施形態では、第2の溶液はアンモニア及び二酸化炭素の濃溶液であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、ドロー溶液はアンモニア及び二酸化炭素を約1対1より大きいモル比で含んでもよい。
【0023】
ドロー溶液は、概してフィード溶液の濃度より高い濃度を有する。これは、フィード溶液より高い濃度を有する溶液を生成するに足る可溶性の溶質を用いて達成されてもよい。好適には、第2の溶液内の溶質は、分離プロセスを介して第2の溶液から容易に除去が可能であるべきであり、第2の溶液の溶媒内でより容易に溶解される少なくとも1つの種、即ち可溶種と、前記溶媒内で容易には溶解されない1つの種、即ち難溶性の種を形成しかつ結果的に生じる溶媒内に溶質の種の痕跡量が残っていても健康に対して危険性のないものであるべきである。溶質の可溶性及び難溶性の種の存在は、溶液が必要に応じて調整または操作されることを見込んでいる。典型的には、可溶性及び難溶性の溶質種は、溶液内で、特定の温度、圧力、pH、他の条件下で何れの溶質種も互いより増大も減少もしないポイント、即ち溶質の可溶性の種と難溶性の種との割合が不変であるポイントに達する。これは、平衡と称される。溶液の前記特定の条件を所与として、これらの溶質種は平衡時に1対1の割合で存在する必要はない。試薬と呼ばれる化学物質の添加を介して、これらの溶質種間のバランスはシフトされることが可能である。第1の試薬を用いて、溶液の平衡は可溶性の溶質種の量を増大させるようにシフトされることが可能である。同様に、第2の試薬を用いて、溶液の平衡は難溶性の溶質種の量を増大させるようにシフトされてもよい。試薬の添加後、溶質種の割合は、溶液の条件に選好される新しいレベルで安定してもよい。平衡を可溶性の溶質種に有利に操作すれば、溶液の溶媒がそれ以上溶質を溶かすことができない状態である、飽和に近い濃度を有する第2の溶液を達成することができる。
【0024】
第2の(ドロー)溶液に好適な溶質は、アンモニア及び二酸化炭素ガス及びこれらの生成物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムであってもよい。アンモニア及び二酸化炭素は、約1の割合で水中に溶解されると、主として重炭酸アンモニウム及びこれより少ない程度の関連生成物である炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムを含む溶液を形成する。この溶液内の平衡は、可溶性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウム及びこれより低い程度の炭酸アンモニウムよりも難溶性の溶質種である重炭酸アンモニウムに有利に働く。主として重炭酸アンモニウムから成る溶液を、アンモニアと二酸化炭素との割合が約1.75対約2.0まで増大するように過剰なアンモニアガスで緩衝処理すると、溶液の平衡は可溶性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウムの方へシフトする。アンモニアガスは水中においてより可溶性であり、溶液によって選好的に吸着される。カルバミン酸アンモニウムは第2の溶液の溶媒によってより容易に吸着されることから、その濃度は、溶媒がそれ以上溶質を吸着できないポイント、即ち飽和まで増大されることが可能である。非限定的な実施形態によっては、この操作により達成されるこの第2の溶液内の溶質濃度は約2モルより上、約6モルより上または約6モルから約12モルまでの範囲内である。
【0025】
アンモニアガスは、溶質であるカルバミン酸アンモニウムが分解されると生じる、別段に構成元素とも称される化学元素の1つであることから、カルバミン酸アンモニウムの好適な第1の試薬であってもよい。概して、溶媒の試薬は溶質の構成元素であることが好適であるが、これは、過剰な試薬は溶媒が取り除かれる際に溶液から容易に除去することができ、かつある好適な一実施形態において構成元素は第1の試薬として再利用できることに起因する。しかしながら、溶液内の溶質種の平衡を操作可能な他の試薬も、それが溶液から容易に除去されかつ最終的な溶媒内に試薬の痕跡元素が残っていても健康に対する危険性がない限りにおいて企図される。
【0026】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは概して第1及び第2の入口部を含んでもよい。これらの第1及び第2の入口部は、第1及び第2の溶液のソースに関連づけられてもよい。実施形態によっては、第1の溶液のソースは第1の溶液リザーバであってもよく、第2の溶液のソースは第2の溶液リザーバであってもよい。第1の入口部は処理されるべき水溶液のソースへ流体連通されてもよく、かつ第2の入口部はドロー溶液のソースへ流体連通されてもよい。また第1及び第2の入口部は、第1及び第2の溶液のフォワード浸透用メンブレインモジュールへの送出を容易にするために各々第1及び第2の流体流路に関連づけられてもよい。実施形態によっては、第1の入口部は第1の流体流路と流体連通していてもよく、かつ第2の入口部は第2の流体流路と流体連通していてもよい。第1及び第2の入口部は、互いから流体的に分離されていてもよい。少なくとも1つの実施形態では、第1及び第2の入口部はフォワード浸透メンブレインモジュールの一方の端部、即ち第1または第2の端部に位置合わせされる。他の実施形態では、第1及び第2の入口部はフォワード浸透メンブレインモジュールの反対側の両端部に位置合わせされてもよい。
【0027】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは概して第1及び第2の出口部を含んでもよい。第1及び第2の出口部は、フォワード浸透メンブレインモジュールからの1つまたは複数の製品流の取出しを容易にするために各々第1及び第2の流体流路に関連づけられてもよい。第1の出口部は希釈ドロー溶液を収集してもよく、第2の出口部は減耗または濃縮された水性のプロセス流を収集してもよい。実施形態によっては、第1の出口部は第1の流体流路と流体連通していてもよく、かつ第2の出口部は第2の流体流路と流体連通していてもよい。第1及び第2の出口部は、互いから流体的に分離されていてもよい。少なくとも1つの実施形態では、第1及び第2の出口部はフォワード浸透メンブレインモジュールの一方の端部に位置合わせされる。他の実施形態では、第1及び第2の出口部はフォワード浸透メンブレインモジュールの反対側の両端部に位置合わせされてもよい。
【0028】
実施形態によっては、第1及び第2の入口部は概してフォワード浸透メンブレインモジュールの第1の端部に位置合わせされてもよく、一方で第1及び第2の出口部は概してフォワード浸透メンブレインモジュールの第2の端部に位置合わせされてもよい。このような実施形態によっては、分配領域が概して第1及び第2の入口部を設けてもよく、かつ収集領域が概して第1及び第2の出口部を設けてもよい。分配領域はメンブレインモジュールの第1の端部に位置合わせされてもよく、かつ収集領域はメンブレインモジュールの第2の端部に位置合わせされてもよい。
【0029】
1つまたは複数の実施形態によれば、モジュールのフォワード浸透メンブレインはメンブレインの区画室を形成するように構成されかつ配置されてもよい。メンブレイン区画室は、概して少なくとも1つの部分的に包囲された空間を形成してもよい。従って、メンブレイン区画室は内側領域と外側領域とを有してもよい。メンブレイン区画室の1つまたはそれ以上の側面は密封されてもよい。実施形態によっては、メンブレイン区画室は概して内側領域と外側領域とを有するメンブレインポケットと称されてもよい。第1の流体流路はメンブレインポケットの内側領域に関連づけられてもよく、かつ第2の流体流路はメンブレインポケットの外側領域に関連づけられてもよい。メンブレインポケットは、概して、分離のための所望されるメンブレイン間浸透輸送とは別に混合を防止するために、第1及び第2の流体流路の分離を促進してもよい。非対称のメンブレインを包含する実施形態では、メンブレインの第1の層は区画室の内側領域の表面を提供し、かつメンブレインの第2の層は区画室の外側領域の表面を提供する。実施形態によっては、リジェクト層はメンブレインポケットの外側領域に関連づけられてもよく、かつ支持層はメンブレインポケットの内側領域に関連づけられてもよい。
【0030】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは複数のフォワード浸透メンブレインを含んでもよい。モジュールは、複数の螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインを含んでもよい。メンブレインがメンブレイン区画室またはポケットを設けるまたは形成するように構成されかつ配置される実施形態では、モジュールは、各々が内側領域と外側領域とを有する複数のこのような区画室を備えてもよい。従って、メンブレインモジュールは複数の第1の流体経路と、複数の第2の流体経路とを備えてもよい。実施形態によっては、第1の流体流路はメンブレインポケットの内側領域に関連づけられてもよく、一方で第2の流体流路はメンブレインポケットの外側領域またはモジュールの隣接するメンブレイン間の空間に関連づけられてもよい。第1の溶液は第1の流体経路の各々に沿って流れてもよく、かつ第2の溶液は第2の流体経路の各々に沿って流れてもよい。従ってモジュールは、モジュール内に存在する螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレイン等のフォワード浸透メンブレインの数を増すことによってスケールアップされてもよい。
【0031】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは、メンブレインモジュールへの第1及び第2の溶液の導入を両者間の混合を防止しながら促進する1つまたは複数の機能を含んでもよい。同様に、フォワード浸透メンブレインモジュールは、メンブレインモジュールからの第1及び第2の溶液の引出しまたは収集を両者間の混合を防止しながら促進する1つまたは複数の機能を含んでもよい。実施形態によっては、螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールの各端部に端末キャップが位置合わせされてもよい。少なくとも1つの実施形態では、端末キャップは螺旋状に巻かれたメンブレインの各端部に位置合わせされてもよい。複数の螺旋状に巻かれたメンブレインを有するモジュールでは、螺旋状に巻かれたメンブレインの各々が各端部に位置合わせされる端末キャップを有してもよい。端末キャップは、モジュール内の1つまたは複数の流体流路と流体連通している少なくとも1つの入口部及び/または出口部を含んでもよい。端末キャップは、モジュール内での1つまたは複数の流体流路の分離を容易にするように構成されかつ配置されてもよい。端末キャップは、1つまたは複数の流体入口部及び/または流体出口部を分離するように構成されかつ配置されてもよい。
【0032】
実施形態によっては、端末キャップは、第1の流体流路と流体連通している第1の入口部と、第2の流体流路と流体連通している第2の入口部とを備えてもよい。ある実施形態では、端末キャップは、メンブレイン区画室の内側領域と流体連通している第1の入口部を備えてもよい。端末キャップは、メンブレイン区画室の外側領域と流体連通している第2の入口部を備えてもよい。
【0033】
実施形態によっては、端末キャップは、第1の流体流路と流体連通している第1の出口部と、第2の流体流路と流体連通している第2の出口部とを備えてもよい。ある実施形態では、端末キャップは、メンブレイン区画室の内側領域と流体連通している第1の出口部を備えてもよい。また端末キャップは、メンブレイン区画室の外側領域と流体連通している第2の出口部も含んでもよい。
【0034】
別の実施形態では、第1の端末キャップは、第1の流体流路と流体連通している第1の入口部と、第2の流体流路と流体連通している第1の出口部とを含んでもよい。第2の端末キャップは、第2の流体流路と流体連通している第2の入口部と、第1の流体流路と流体連通している第2の出口部とを含んでもよい。第1の端末キャップは、螺旋状に巻かれたメンブレインの第1の端部に位置合わせされてもよく、かつ第2の端末キャップは、螺旋状に巻かれたメンブレインの第2の端部に位置合わせされてもよい。第1の流体流路はメンブレインポケットの内側領域に沿っていてもよく、かつ第2の流体流路はメンブレインポケットの外側領域に沿っていてもよい。
【0035】
1つまたは複数の実施形態によれば、端末キャップは、メンブレインモジュールの1つまたは複数の流体流路と流体連通している1つまたは複数のポートを備えてもよい。端末キャップのポートは、概して、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインモジュールへ導入される、または前記モジュールから引き出される溶液の端末キャップにおける分離を促進してもよい。ポートは、概して端末キャップにおいて導入及び/または引き出される様々な溶液の混合を防止することのできる任意の構造を有してもよい。ポートは、端末キャップにおいて導入及び/または引き出される様々な溶液を分離するように構成されかつ配置されてもよい。ポートは、第1の流体流路と流体連通している第1の領域と、第2の流体流路と流体連通している第2の領域とを備えてもよい。第1及び第2の領域は、第1及び第2の領域に導入される、かつ/または前記領域から引き出される溶液間の混合を防止するように配置されてもよい。ポートは、所望される流束の達成等を目的としてメンブレインモジュールを介する流体の流れを促進するようにサイズを決定されかつ離隔されてもよい。この流束は、概して、メンブレインモジュールの一方の端部からもう一方の端部への比較的真っ直ぐな流路における乱流を、最小限の流路の偏り及び流路の特殊な寸法から生じる流れに対して最小限の抵抗で促進することによって達成される。
【0036】
実施形態によっては、ポートは、各々が内腔領域と外側領域とを有する複数の管を備えてもよい。少なくとも1つの実施形態では、これらの管は略平坦な管であってもよい。他の実施形態は楕円形または円形の管開口を想定し、かつ管間の空間は例えば長方形、楕円形、三角形または波形の形状をとる。1つまたは複数の内腔は、メンブレインポケットの内側領域等の第1の流体流路へ流体接続されてもよく、かつ管の外側領域は、メンブレインポケットの外側領域等の第2の流体流路と流体連通していてもよい。内腔は、第1の溶液の第1の流路への導入を容易にするためにメンブレインモジュールの第1の入口部へ流体接続されてもよく、一方で管の外側領域は、第2の溶液の第2の流体流路への導入を容易にするためにメンブレインモジュールの第2の入口部へ流体接続されてもよい。別の端末キャップの内腔は、第1の溶液の第1の流路からの引出しを容易にするためにメンブレインモジュールの第1の出口部へ流体接続されてもよく、一方で管の外側領域は、第2の溶液の第2の流体流路からの引出しを容易にするためにメンブレインモジュールの第2の出口部へ流体接続されてもよい。端末キャップが1つの入口部と1つの出口部とを備える実施形態では、内腔は、第1の溶液を第1の流体流路へ送出するためにメンブレインモジュールの第1の入口部へ流体接続されてもよく、一方で管の外側領域は、第2の溶液を第2の流体流路から引き出すためにメンブレインモジュールの第1の出口部へ流体接続されてもよい。これらの例示的構造以外にも、他に様々な構造が可能である。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によれば、メンブレインモジュールは、分離のための所望されるメンブレイン間輸送を別としてモジュール内の流体流路の隔絶を保証する1つまたは複数の機能を含んでもよい。先に述べた端末キャップは、このような機能の1つであってもよい。他の機能は、単独で、または端末キャップとの共同で実装されてもよい。実施形態によっては、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインの1つまたはそれ以上の端部の少なくとも一部はプレートまたはモジュールへ供給される、またはモジュールから引き出される様々な溶液間の混合を防止することのできる他の機械的または構造的手法を取り付けられてもよい。他の実施形態では、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインの1つまたはそれ以上の端部の少なくとも一部は、流体流路の分離を容易にするために埋め込まれてもよい。メンブレインを埋め込む様々な技術及び材料は周知であり、概して硬化性の樹脂材料の使用を含む。実施形態によっては、埋込みは、概して第1の流体流路へ出入りする流体が第2の流体流路へも出入りすること、及びその逆を防止してもよい。例えば、埋込みは、端末キャップの管の内腔へ流れ込む第1の流体が管間にも流れ込むことを防止してもよい。同様に、埋込みは、概して端末キャップの管間を流れる第2の流体が端末キャップの管の内腔へも流れ込むことを防止してもよい。非限定的な実施形態によっては、これは、液体であって次に凝固する任意のエポキシ状物質を用いて達成されてもよい。埋込み材料の中には概して硬質であるとして特徴づけられるものもある一方で、他の材料はより柔軟である。各々の性質が関連する利点を有し、よって実施形態によっては、埋込み用の樹脂材料を組み合わせて用いることが望ましい場合がある。端末キャップ及び/またはプレートまたは他の機械的または構造的デバイスが使用される実施形態では、埋込みは、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインモジュールの流体入口部及び/または出口部における望ましくない混合に対して補助的な防御を提供する。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によれば、フォワード浸透メンブレインモジュールは、概してモジュールの長手方向軸沿い等のメンブレインモジュールを介する一様な流束を促進するように構成されかつ配置されてもよい。一様な流束は、概してメンブレインの利用可能な表面積の効率的な使用を促進してもよい。一様な流束を促進する場合のある設計上の考慮事項には、例えば流速、乱流、フィード及びドロー溶液の濃度と容積との均衡化、フローチャネルの高さ、メンブレイン表面のパターニング、チャネルを介してモジュール半径軸上の如何なる点においても均一な流れを保証するためのメンブレインモジュールの両端部における流れ分配器または補助的な流れ分配器及びメンブレインモジュールの直径及び長さ等のパラメータの最適化が含まれる。
【0039】
1つまたは複数の実施形態によれば、支持構造体が螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールに関連づけられてもよい。例えば、ロッドまたはシャフトが螺旋状に巻かれたメンブレインを支持してもよい。実施形態によっては、1つまたは複数のフォワード浸透メンブレインは支持構造体の周りに巻かれてもよい。所定の実施形態では、複数等の1つまたはそれ以上のフォワード浸透メンブレインポケットが支持構造体の周りに螺旋状に進められてもよい。1つまたは複数のメンブレインは、支持構造体へ接続されてもよい。他の実施形態では、これらは付着されなくてもよい。実施形態によっては、モジュールは、1つまたは複数の流体流を導入または収集するための中央透過管等の透過管を含まない。従って、少なくとも1つの実施形態では、支持構造体は透過管ではない。
【0040】
1つまたは複数の実施形態によれば、1つまたは複数の流体流路に沿って1つまたは複数のスペーサが位置合わせされてもよい。スペーサは、概して流体流路に沿った一様な流束の促進を容易にしてもよく、流体流を流路に沿って方向付けてもよく、モジュール内の任意の所望される乱流を促進してもよい。1つまたは複数のスペーサは、第1の流体流路及び/または第2の流体流路に沿って位置合わせされてもよい。実施形態によっては、スペーサはメンブレインポケットに沿って、かつ/またはメンブレインポケットの外側領域に沿って位置合わせされてもよい。少なくとも幾つかの実施形態では、スペーサはメンブレインモジュールの隣接するメンブレイン間に位置合わせされてもよい。スペーサは、流体流路に関連づけられる1つまたは複数のパラメータを戦略的に調整すべく用いられてもよい。例えば、スペーサの厚さ、幅または高さ等の寸法は、結果的に流体流路の所望される高さ、容積、流束または他のパラメータが生じるように選択されてもよい。流体流路の1つまたは複数のパラメータは、流体流路の長手方向軸に沿って変わることが望ましい場合がある。少なくとも1つの実施形態では、メンブレインモジュールの長手方向軸に沿ったスペーサの厚さは、所望される輪郭を達成するように変えられてもよい。例えば、モジュールの長手方向軸に沿って1つまたは複数の流体流路を先細にすることが望ましい場合がある。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインモジュールは接着剤層を含まず、もしくは実質上接着剤層がない。接着剤層の使用は、通常、概してメンブレインモジュール内の流体流の方向付けを促進することが知られている。実施形態によっては、区画室またはポケットを形成するように折り畳まれた、もしくは別段に構成されかつ配置されたもの等のフォワード浸透メンブレインは、流体流路沿いに流体流を方向付けること等を目的とする接着剤層を含まない。例えば、実施形態の中には、メンブレインポケットの内側領域に関連づけられる接着剤層を含まないものがある。接着剤層のない1つまたは複数のこのようなメンブレインは、1つまたは複数の実施形態によるフォワード浸透メンブレインモジュール内に螺旋状に巻かれてもよい。実施形態によっては、ポケットを密閉し、端末キャップを固定しかつ/またはメンブレインを支持構造体へ接続するために、メンブレインポケットの縁に沿って接着剤または粘着剤が使用されることもある。
【0042】
1つまたは複数の実施形態による螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールは、圧力リタード浸透に使用されてもよい。圧力リタード浸透は、概して、濃縮ドロー溶液と希釈動作流体等の2つの溶液間の塩分濃度差から浸透力または塩分勾配エネルギーを導出することに関連していてもよい。例によっては、海水が第1の溶液であってもよく、淡水または略脱イオン水が第2の溶液であってもよい。実施形態によっては、1つまたは複数の螺旋状に巻かれたフォワード浸透メンブレインモジュールは、圧力リタード浸透を促進するために圧力容器内に囲まれてもよい。メンブレイン、端末キャップ、スペーサまたは流路に関する1つまたは複数の特性またはパラメータ等のフォワード浸透メンブレインモジュールの1つまたは複数の設計態様は、圧力リタード浸透用途に合わせて修正されてもよい。圧力リタード浸透内では、ドロー溶液は、螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールの第1の流体流路沿い等のメンブレインの第1の側面上の圧力チャンバ内に導入されてもよい。実施形態によっては、ドロー溶液の少なくとも一部は、ドロー溶液と希釈動作流体との間の浸透圧差を基礎として加圧されてもよい。希釈動作流体は、螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールの第2の流体流路沿い等のメンブレインの第2の側面上へ導入されてもよい。希釈動作流体は、概して浸透によってメンブレイン内を移動してもよく、よってメンブレインの加圧されるドロー溶液側の容積が増大される。圧力が補償されるにつれて、タービンが回転されて発電されてもよい。結果的に生じる希釈ドロー溶液は、次に再使用のために分離等の処理を受けてもよい。実施形態によっては、産業廃棄物熱等のより低温の熱源を使用して圧力リタード浸透システムまたはプロセスが促進されてもよい。
【0043】
ある非限定的な実施形態において、1つまたは複数の螺旋状に巻かれたメンブレインモジュールを組み込んだ圧力リタード浸透システムは、本参照によりその全体があらゆる目的で開示に含まれるMcGinnis等のWIPO刊行物である国際公開WO 2008/060435号に開示されているもの等の浸透熱機関であってもよい。浸透熱機関は、浸透圧を電力に変換する半透膜を使用して熱エネルギーを機械的動作に変換してもよい。濃縮されたアンモニア−二酸化炭素ドロー溶液は、水圧勾配に対抗して半透膜を介する水束を発生する高浸透圧を生成してもよい。タービン内の増大されたドロー溶液容積の減圧は、電力を生成してもよい。このプロセスは、希釈ドロー溶液の、共に浸透熱機関における再使用するための再濃縮ドロー溶液及び脱イオン水動作流体への分離を介して定常状態運転で保持されてもよい。
【0044】
実施形態によっては、フォワード浸透メンブレインは約2000psiまでの圧力で動作されてもよい。非限定的なフォワード浸透メンブレインの中には、約20psiから約50psiまでの範囲内の圧力を含んでもよいものがある。運転に際して、フォワード浸透モジュールの非限定的な例示的条件は、ドロー溶液のフローチャネルを介するクロスフローを実行するために必要な約20psiから約40psiまで以外には水圧がかからない状態で約5モルのドロー溶液を含んでもよく、これは、半透膜を介するフィード溶液からのメンブレインを介する水束によってほぼ約1.5モルの濃度まで希釈される。この場合のフィード溶液は、例えば、フィードフローチャネルを介してそのクロスフローを誘導するための約20psiから約40psiまで以外には水圧を受けない海水フィード(ほぼ約0.5モル)である。
【0045】
実施形態によっては、圧力リタード浸透モジュールは約2000psiまでの圧力で動作されてもよい。圧力リタード浸透の非限定的な実施形態の中には、約1000psiから約2000psiまでの範囲内の圧力を含むものがある。運転に際して、圧力リタード浸透モジュールの非限定的な例示的条件は約5モルのドロー溶液濃度を含んでもよく、これは、ほぼ約100atmの水圧下で約3モルまでの希釈状態になる。この場合のフィード溶液は、例えば、流体フローチャネルを介してその流れを誘導するために必要な水圧(約20psiから約40psiまで)下のみの脱イオン水動作流体である。
【0046】
図1は、一つ若しくはそれ以上の非制限的な実施形態に従った螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュール100を表している。モジュール100は、複数のスパイラル渦巻き状フォワード浸透用メンブレイン110を含んでいる。モジュール100の各端部は、室(チャンバ:chamber)120,130を有している。チャンバ120は入口部(インレット:inlet)124,126を有する一方、チャンバ130は出口部(アウトレット:outlet)134,136を有している。膜110の各端部は、ポット(pot)140において埋め込まれている。
【0047】
モジュール100は、あらゆる所望の寸法でサイズ設定することができる。例えば、サイズ設定は、流量の要求条件および設置面積スペースを含む様々な要件に基づいていてもよい。モジュールは、一般に、特定用途の仕様に適応するために、大きさを拡大または縮小することができる。幾つかの非制限的な実施形態では、モジュール100の物理的な寸法は、長さが約0.5メートル(meter)から約2メートルの間である。或る特定の実施形態では、モジュール100は約1メートルの長さである。幾つかの非制限的な実施形態では、モジュール100は、直径が約1インチ(inch)から約50インチの間である。或る特定の実施形態では、モジュール100は、直径が約2,約4,約8若しくは約16インチである。
【0048】
図2は、巻かれていない、つまり、螺旋渦巻状にする前の、単体のフォワード浸透用膜210の概略を表している。複数のかかる膜210が、図1の膜110を包含することができる。フォワード浸透用膜210の各端部に端末キャップ(cap)250が配置されている。幾つかの非制限的な実施形態では、端末キャップは、図3に示された端末キャップ350に従って設計されてもよい。端末キャップ350は、間のスペース380によって分離された一列に並んだポート(port)370を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、ポート370は扁平な管(チューブ:tube)であってもよい。取付構造つまりマニフォールド(manifold)360は、端末キャップ350の膜210の側部に対する密封(sealing)を容易にすることができる。ポート370,スペース380及びマニフォールド360の寸法は、あらゆる所望の大きさであってもよく、個別に最適化することができる。
【0049】
端末キャップ450の側面図が図4に示されている。マニフォールド460は、一般に、メンブレインポケットへの端末キャップ450の取付を容易にすることができる。作動中、第1流体は、扁平チューブ470の内腔(ルーメン:lumen)475を通ってのみ、端末キャップ450を流通することができる。第2流体は、扁平チューブ470の周囲のスペース480内を流れることができる。図5は、扁平チューブ570がマニフォールド560と結合している、端末キャップ550の断面を詳しく示している。マニフォールド560は、メンブレインポケットに対して密封されている。マニフォールド560の内部部分は、チューブ570の内腔およびメンブレインポケットの内部領域と流体連通することができ、一方、マニフォールド560の外部部分は、チューブ570の周囲のスペース580およびメンブレインポケットの外部領域と流体連通することができる。
従って、第1及び第2の流体入口部は、図6に示されるように、混合を防止するために互いに分離されていてもよい。図6は、渦巻状フォワード浸透用メンブレインモジュールの端末部分を示している。端末キャップ650のチューブ670は、内腔675と外部領域680とを定めている。第1流体は、内腔675と流体連通する第1入口部624にてモジュール600に流入することができる。第2流体は、外部領域680と流体連通する第2入口部626にてモジュール600に流入することができる。ポッティング部(potting)640は、第1及び第2の入口部624,626の流体分離を容易にすることができる。メンブレインポケットの内部領域および外部領域によって定められた流体の流路もまた、図7に示されるように、浸透圧分離(osmotic separation)のための所望の膜貫通輸送から、流体的に分離され離隔されることができる。図7は、外部領域に沿った溶液Aの第1流体流路と内部領域に沿った溶液Bの第2流体流路とを備えたメンブレインポケットを示している。
【0050】
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールの製作に際して、平坦なシート(sheet)状の膜を用いられてもよい。幾つかの非制限的な実施形態では、平坦なシート状フォワード浸透用メンブレインは、それ自体が、例えば実質的に半分に折り重ねられてもよい。膜シートの第1の縁部が、当該膜シートの第2の平行な縁部に折り重ねられてもよい。非対称のフォワード浸透用メンブレインの場合には、片側の支持層(supporting layer)が他側の支持層に面すると共に、各側の拒絶層(rejecting layer)が外側に面するように、シートが折り畳まれてもよい。ポケット若しくは仕切られた区画室(コンパートメント:compartment)は、一般に、折り畳まれた膜の外部に形成される。他の実施形態では、メンブレインポケットの内部領域において活性層(active layer)が互いに面していてもよい。バッキング層(backing layer)及び活性層の他の配置も可能である。
コンパートメントの必然的に密封される縁部が、折り畳み動作を通じて形成される。必然的に密封される縁部に対向し平行な縁部は、接着剤,エポキシ樹脂,粘着剤あるいは摩擦の使用を含めて、あらゆる一般に知られた技法によって密封することができる。折り畳まれた膜の2つの縁部は、また、以下に説明するように、流体的に分離された入口部および出口部をもたらしながら、実質的に密封されてもよい。他の実施形態では、膜コンパートメントを形成するために、単一のシートを折り畳むのではなく、2つ若しくはそれ以上の膜シートが取り付けられてもよい。
【0051】
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、端末キャップは、モジュールを通して送り側の溶液(フィード溶液:feed solution)及び抜き出し側の溶液(ドロー溶液:draw solution)の分離した流れを達成するために、折り畳まれたメンブレインシート(membrane sheet)の2つの端末縁部(これら縁部は、通常、螺旋状のハウジングの何れかの端部にある)の各々に配置されてもよい。端末キャップの長さ方向の側部は、一般に、密封されている。回転(ローリング:rolling)時の螺旋状の束構造(bundle)の中心に在るであろう長さ方向の側部が、シートを巻くためのバー(bar)若しくは他の内部構造上の支持体に対して、随意的に添付されてもよい。折り畳まれたフォワード浸透用メンブレインシートの端末縁部の各々に対して、端末キャップを密封して取り付けるために、あらゆる既知の技法を用いることができる。メンブレインポケットの内部に、1つ若しくはそれ以上の乱流スペーサ(turbulence spacer)が含まれていてもよい。
【0052】
その結果として得られる、端末キャップを含む、改良された折り畳まれたフォワード浸透用メンブレインシートは、スパイラル状に巻かれることができる。この時点では、巻かれたメンブレインは、巻かれたメンブレインの束構造の何れかの端部から突き出た端末キャップからの扁平チューブを有していてもよい。その後、これらの端部は植え込まれてもよい。幾つかの実施形態では、各端部は、エポキシ若しくは他の形態の封止剤に浸漬されるかも知れない。或る非制限的な実施形態では、チューブの長さの約半分が、このやり方で封止されるかも知れない。エポキシ封止の端末部は、ポッティング(potting)の後に切断されて、チューブの内腔へ流体が流れ込むことができるようにしてもよい。幾つかの非制限的な実施形態では、チューブの長さの約1/4が、封止状態に維持されるかも知れない。
【0053】
メンブレインの束の各端部は、その後、外側ハウジングの内部に取り付け若しくは封止されてもよい。作動期間中、例えば塩水または海水のようなフィード溶液は、エポキシ樹脂の塊(エポキシブロック:epoxy block)と主シート巻きとの間にあるスペース内を指向することができ、ハウジング内へのポート(port)の周囲を流れてメンブレイン内に入りメンブレインの海水側に沿って流れる。同様に、抜き出し側の溶液は、ポートの開口を指向することができ、メンブレイン・ハウジング内へ入りメンブレインの抜き出し側に沿って流れる。この構造は、浸透用メンブレインの両側に、同様の流体力学特性を許容することができる。
【0054】
例えば淡水化システムや他の処理システムのようなシステムは、複数のスパイラル状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを含んでいてもよい。複数のスパイラル状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールは、一列に配置されてもよい。1つのシステムが、複数の入口部および出口部を有していてもよい。第1及び第2の溶液源は、例えばフィード溶液源およびドロー溶液源のように、メンブレインモジュールに流体的に接続されていてもよい。
幾つかの実施形態では、例えば蒸留システムのような分離システムが、メンブレインモジュールの出口部に流体的に結合されるかも知れない。分離システムは、フォワード浸透プロセスによって生産された低濃度のドロー溶液を処理して、ドロー溶液を再生するだけでなく、飲料水や他の製品流(product stream)を生産することができる。その後、ドロー溶液が、フォワード浸透用メンブレインモジュールの入口部に再循環され、一方、製品水は、使用箇所へ送給されることができる。全ての目的のために、引用することによりその全体がここに組み入れられるものであるが、例えばMcGinnis等のWIPO刊行物である国際公開WO 2007/146094号に記載されているような蒸留塔が、様々の実施形態に従って実現することができる。
【0055】
一つ若しくはそれ以上の実施形態によれば、装置,システム及び方法は、限定するものではないが、例えば作動弁やポンプなどの、装置又はシステム要素の少なくとも一つの作動パラメータを調節もしくは調整するための、同様に、スパイラル状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを通る一つ若しくはそれ以上の流体の流れの性質や特性を調節するための、コントローラを含んでいてもよい。
コントローラは、例えば、濃度,流量,pHレベル若しくは温度など、システムの少なくとも一つの作動パラメータを検出するように構成された少なくとも一つのセンサと、電子的に接続されていてもよい。このコントローラは、一般に、一つ若しくはそれ以上の作動パラメータを調節するために、センサによって生成された信号に応答して、制御信号を生成する。例えば、コントローラは、フォワード浸透分離装置のあらゆる流れ,要素またはサブシステムの条件,特性もしくは状態を表す表示を受信するように構成することができる。コントローラは、典型的には、一つ若しくはそれ以上の何らかの前記表示および例えば設定ポイント等の目標値つまり所望の値に基づいた、少なくとも一つの出力信号の生成を容易にするアルゴリズム(algorithm)を有している。一つ若しくはそれ以上の特定の態様によれば、コントローラは、あらゆる流れのあらゆる測定された特性の表示を受信し、あらゆるシステム要素(system component)に制御,駆動または出力信号を生成して、測定された特性の目標値からの逸脱を低減するように、構成することができる。
【0056】
本発明の幾つかの説明に役立つ実施形態を記載したが、前述のものは、単に説明的なもので、限定するものではなく、例示目的にのみ提示された物であることは、当業者にとって明白である。数々の変更および他の実施形態が、当該技術分野における通常の技術の一つの範囲内にあり、本発明の範囲内にあるものとして予期される。特に、ここに提示された例の多くのものは、方法の行為やシステム要素の特定の組み合わせを含んでいるが、同じ目的を達成するために、これらの行為や要素が他の方法で組み合わされることができる、ことが理解されるべきである。
【0057】
ここで議論された装置,システム及び方法の実施形態は、適用においては、後続する記載で説明された或いは添付図面に示された、構造の詳細および構成要素の配置に限定されるものではないことが理解されるべきである。装置,システム及び方法は、他の実施形態においても実行可能であり、様々な方法において実行可能つまり実施可能である。特定の実行例は、説明目的のためにのみここに提示されており、限定されることを意図したものではない。特に、一つ若しくはそれ以上の実施形態に関連して議論された行為(act),要素および特徴は、他のあらゆる実施形態における類似した役割から排除されることを企図したものではない。
【0058】
当業者であれば、ここで説明されたパラメータや構成は例示的なものであり、実際のパラメータ及び/又は構成は、本発明のシステム及び技法が用いられる特定の用途に依ることになる、ことを理解すべきである。また、当業者あれば、本発明の特定の実施形態と同等のものを、認識し、若しくは、通常のものに過ぎない実験を用いて確かめることができる。従って、ここに記載された実施形態は例示のみを目的として提示されていること、及び、添付のクレーム及びそれに同等のものの範囲内において、特に記載されたよりも他に実践することができることが、理解されるべきである。
【0059】
更に、本発明は、ここに記載された各々の特徴,システム,サブシステム或いは技法、及び2つ若しくはそれ以上のここに記載された特徴,システム,サブシステム或いは技法の組み合わせを対象としており、かかる特徴,システム,サブシステム及び技法が相互に矛盾するものでなければ、前記特徴,システム,サブシステム及び/又は方法のあらゆる組み合わせは、クレーム内において具現化された発明の範囲内に在るものと考えられるべきであることが、理解されるべきである。更に、一つの実施形態のみに関連して議論された行為,要素および特徴は、他の実施形態における同様の役割から排除されることを意図したものではない。
【0060】
ここで用いられた表現および用語は、説明を目的としたものであり、限定するものとみなされるべきではない。ここで用いられる限り、用語「複数(plurality)」は2つ若しくはそれ以上の品目または要素を言うものである。用語「構成する(comprising)」,「含む(including)」,「持つ(carrying)」,「有する(having)」,「包含する(containing)」及び「関与する(involving)」は、明細書あるいは請求の範囲の何れに記載されたものであれ、制約がない用語(open-ended term)、すなわち、「含むけれども限定するものではない(including but not limited to)」を意味するものである。従って、かかる用語の使用は、その後に続いて挙げられた品目、及び付加される品目だけでなくそれに均等なものをも包含することを意味する。移行句(transitional phrase)である「から成る(consisting of)」及び「基本的にから成る(consisting essentially of)」は、それぞれ、クレームに関しては閉じた或いは半ば閉じた移行句である。クレーム要素(claim element)を修飾するクレーム中の「第1(first)」,「第2(second)」,「第3(third)」などの序数詞の使用は、それ自体、優先性,先行性あるいは他のものに対する一つのクレーム要素の序列、若しくは方法の行為が実行される時制上の順序を暗示するものではなく、クレーム要素を識別するために、ある名称を有する一つのクレーム要素を、同一の名称を有する他の要素から識別する標識(ラベル:label)としてのみ用いられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部領域と外部領域とを有するメンブレインポケットを形成すると共に、第1及び第2の端部を有する、渦巻状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと、
前記メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1入口部と、前記メンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2入口部とを備えた前記第1端部の分配領域と、
前記メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1出口部と、前記メンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2出口部とを備えた前記第2端部の収集領域と、
を備える、ことを特徴とするフォワード浸透用の螺旋状に巻かれたメンブレインモジュール。
【請求項2】
前記第1入口部は前記第2入口部から流体的に分離している、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記第1出口部は前記第2出口部から流体的に分離している、ことを特徴とする請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記分配領域は端末キャップを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記端末キャップは、第1入口部と第2入口部とを流体的に分離するように構成され配置されている、ことを特徴とする請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記端末キャップは、前記メンブレインポケットの内部領域に流体的に接続された内腔を有する少なくとも一つのチューブと、前記メンブレインポケットの外部領域と流体連通する外部領域と、を備えている、ことを特徴とする請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記第1入口部は、前記少なくとも一つのチューブの内腔に流体的に接続されている、ことを特徴とする請求項6に記載のモジュール。
【請求項8】
前記第2入口部は、前記少なくとも一つのチューブの外部領域と流体連通している、ことを特徴とする請求項6に記載のモジュール。
【請求項9】
前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1及び第2端部の一方の少なくとも一部分が埋め込まれている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のモジュール。
【請求項10】
前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1及び第2端部の一方の少なくとも一部分がプレートに取り付けられている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のモジュール。
【請求項11】
前記第1入口部から前記第1出口部まで前記メンブレインポケットの内部領域により形成された流体流路に沿って配置された少なくとも一つのスペーサを更に備えている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のモジュール。
【請求項12】
前記第2入口部から前記第2出口部まで前記メンブレインポケットの外部領域により形成された流体流路に沿って配置された少なくとも一つのスペーサを更に備えている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のモジュール。
【請求項13】
前記少なくとも一つのスペーサの厚さが前記メンブレインモジュールの長手方向軸線に沿って変化する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと機械的に協働する中央サポートを更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項15】
前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインは非対称である、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項16】
前記メンブレインポケットの外部領域は前記螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの拒絶層によって形成されている、ことを特徴とする請求項15に記載のモジュール。
【請求項17】
前記モジュールは圧力リタード浸透システム内に一体化されている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のモジュール。
【請求項18】
分離された実質的に平行な前記モジュールの長手方向軸線に沿った第1及び第2流体流路を形成するように構成され配置された渦巻状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと;
前記第1流体流路に流体的に接続された第1入口部および第1出口部と;
前記第2流体流路に流体的に接続された第2入口部および第2出口部と;
を備えた螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを備える、ことを特徴とする水処理システム。
【請求項19】
前記第1入口部に流体的に接続された第1溶液源と、前記第2入口部に流体的に接続された第2溶液源とを更に備える、ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1及び第2の入口部は前記渦巻状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインの第1端部に位置している、ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1溶液源は塩水の源である、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記塩水は海水でなる、ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2溶液源は抜き出し側の溶液の源でなる、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記抜き出し側の溶液は、モル比が1対1よりも大きい、アンモニア及び二酸化炭素でなる、ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第2のフォワード浸透用渦巻状メンブレインモジュールを更に備える、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1入口部での第1溶液の流速および前記第2入口部での第2溶液の流速の少なくとも一方を制御するように構成された制御システムを更に備えている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1及び第2の出口部の一方に流体的に接続された分離システムを更に備えている、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のシステム。
【請求項28】
前記分離システムの出口部は前記第1及び第2の入口部の一方に流体的に接続されている、ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムは、前記第1及び第2の出口部の一方の下流側に流体的に接続されたタービンを更に備える圧力リタード浸透システムである、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のシステム。
【請求項30】
螺旋状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインモジュールを設けるステップであって、
内部領域と外部領域とを有するメンブレインポケットを形成すると共に、第1及び第2の端部を有する、渦巻状に巻かれたフォワード浸透用メンブレインと、
前記メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1入口部と、前記メンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2入口部とを備えた前記第1端部の分配領域と、
前記メンブレインポケットの内部領域と流体連通する第1出口部と、前記メンブレインポケットの外部領域と流体連通する第2出口部とを備えた前記第2端部の収集領域と、
を備えたフォワード浸透用メンブレインモジュールを設けるステップと、
抜き出し側の溶液の源を前記第1入口部に流体的に接続するステップと、
塩水溶液の源を前記第2入口部に流体的に接続するステップと、
を備える、ことを特徴とする淡水化プロセスを促進する方法。
【請求項31】
抜き出し側の溶液の源を前記第1入口部に流体的に接続することは、モル比が1対1よりも大きい、アンモニア及び二酸化炭素でなる抜き出し側の溶液の源を流体的に接続することを含んでいる、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1出口部を蒸留塔に流体的に接続することを更に備える、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記蒸留塔の出口部を前記第1入口部に流体的に接続することを更に含む、ことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
設けられたモジュールの螺旋状フォワード浸透用メンブレインは、当該モジュールの長手方向軸線に沿った、分離された実質的に平行な第1及び第2の流体流路を形成するように、構成され配置されている、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、前記メンブレインモジュールの収集領域をタービンに流体的に接続することを更に含む圧力リタード浸透プロセスである、ことを特徴とする先行する請求項の何れか一に記載のシステム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520750(P2012−520750A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500983(P2011−500983)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/037817
【国際公開番号】WO2009/151709
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(392019352)イェール ユニバーシティー (38)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】