説明

フォーマット判定装置

【課題】データのフォーマットの判定時間を短縮できるフォーマット判定装置を提供する。
【解決手段】
フォーマット判定装置1のピックアップ3は、光ディスク100に光を照射し、再生信号を生成する。信号処理部5は、再生信号をデコードし、メインデータを生成する。CD−ROMデコーダは、メインデータをデコードする。CD−ROM判定部10は、デコードされたメインデータに基づいて、メインデータがCD-ROMフォーマットか否かを判定する。再生信号判定部9は、メインデータがCD-ROMフォーマットでないとき、再生信号が正常か否かを判定する。システム制御部8は、メインデータがCD-ROMフォーマットでなく、再生信号が正常であるとき、メインデータはCD−DAフォーマットであると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーマット判定装置に関し、さらに詳しくは、光ディスクに記録されたデータのフォーマットを判定するフォーマット判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disk)プレーヤに代表される光ディスク再生装置には、CD−DA(Compact
Disk Digital Audio)フォーマットのデータとともに、CD−ROM(Compact disk
Read Only Memory)フォーマットのデータを再生できるものがある。このような光ディスク再生装置はたとえば、特開2003−77221号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
上述の光ディスク再生装置は、CD−DAフォーマットデータ再生用の信号処理部とともに、CD−ROMデコーダを備える。装填された光ディスクのうち、所望のサブコードアドレスが指定する物理位置のデータをピックアップで読み取ると仮定する。読み取られるデータがCD−DAフォーマットである場合、光ディスク再生装置は、信号処理部によりデコードされたメインデータをアナログ信号に変換した後、外部に出力する。一方、サブコードアドレスが指定する物理位置のデータがCD-ROMフォーマットである場合、光ディスク再生装置は、信号処理部によりデコードされたデジタル信号を、CD−ROMデコーダによりさらにデコードし、外部に出力する。
【0004】
要するに、CD−ROMデコーダを備える光ディスク再生装置は、光ディスクに記録されたデータがCD−DAフォーマットである場合と、CD−ROMデータである場合とで、異なる処理を実行する。したがって、光ディスクのデータを再生するとき、データのフォーマット(CD−DA又はCD−ROM)を特定しなければならない。
【0005】
特許文献1に開示された光ディスク再生装置は、CD-ROMデコーダでデコードされたデータがシンク信号を含むか否かを判定する。シンク信号は、CD-ROMフォーマットのデータには含まれるが、CD−DAフォーマットのデータには含まれない。したがって、データのフォーマットを判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−77221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のシンク信号による判定の結果、デコードされたデータがシンク信号を含まない場合、データがCD-ROMフォーマットでないと判定する。しかしながら、この場合、データがCD−DAフォーマットであるか、何らかの理由でピックアップが再生信号の生成に失敗したか不明である。そのため、従来の光ディスク再生装置では、デコードされたデータがCD-ROMフォーマットでない場合、ピックアップが再生信号の生成に失敗した場合を考慮して、上述の判定処理を複数回繰り返す。そのため、判定に時間が掛かる。
【0008】
本発明の目的は、判定時間を短縮できるフォーマット判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明によるフォーマット判定装置は、CD−DAフォーマットのデータと、CD-ROMフォーマットのデータとをデコード可能である。フォーマット判定装置は、ピックアップと、信号処理手段と、メインデータデコード手段と、CD−ROM判定手段と、再生信号判定手段と、フォーマット判定手段とを備える。ピックアップは、光ディスクに光を照射し、再生信号を生成する。信号処理手段は、再生信号をデコードし、メインデータを生成する。メインデータデコード手段は、メインデータをデコードする。CD−ROM判定手段は、デコードされたメインデータに基づいて、メインデータがCD-ROMフォーマットか否かを判定する。再生信号判定手段は、メインデータがCD-ROMフォーマットでないとき、再生信号が正常か否かを判定する。フォーマット判定手段は、メインデータがCD-ROMフォーマットでなく、再生信号が正常であるとき、メインデータはCD−DAフォーマットであると判定する。
【0010】
本発明によるフォーマット判定装置は、メインデータがCD−ROMフォーマットでない場合、再生信号が正常か否かを判定する。そして、フォーマット判定手段は、再生信号が正常であるとき、メインデータがCD−DAフォーマットであると判定する。そのため、フォーマット判定装置は、判定処理のリトライを抑制でき、判定時間を短くできる。
【0011】
好ましくは、CD-ROMフォーマットのデータは、セクタ番号と、セクタ番号に対応するサブコードアドレスとを含み、CD−DAフォーマットのデータは、サブコードアドレスを含む。ピックアップは、選択されたセクタ番号を含む所定範囲の複数のセクタ番号に対応する複数のサブコードアドレスが示す光ディスクの物理位置に光を照射し、複数の再生信号を生成する。フォーマット判定手段は、各物理位置に対応する各メインデータがCD−ROMフォーマットでなく、各物理位置に対応する各再生信号が正常であるとき、各メインデータはCD−DAフォーマットであると判定する。
【0012】
CD−ROMデータ内のセクタ番号とサブコードアドレスは、所定範囲でのずれが規格上認められている。したがって、選択されたセクタ番号を含む所定範囲の複数のセクタ番号に対応する複数のサブコードアドレスに基づいて、再生信号を生成し、データフォーマットを判定すれば、選択されたセクタ番号がCD−DAフォーマットである場合、速やかに判定できる。
【0013】
好ましくは、再生信号判定手段は、再生信号の振幅が、基準値よりも大きいとき、再生信号が正常であると判断する。
【0014】
好ましくは、再生信号判定手段は、検出手段を備える。検出手段は、再生信号をサンプリングしてシンク信号と同じビットパターンの信号を検出する。再生信号判定手段は、検出された信号の周期が、シンク信号の周期と同じであるとき、再生信号が正常であると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるフォーマット判定装置の全体構成図である。
【図2】図1に示したフォーマット判定装置の動作を示すフロー図である。
【図3】図1に示すフォーマット判定装置内の再生信号判定部の構成図である。
【図4】図3に示す再生信号判定部で生成される信号のタイミングチャート図である。
【図5】第2の実施の形態における再生信号判定部の構成図である。
【図6】図5に示す再生信号判定部で生成される信号のタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
[第1の実施の形態]
[フォーマット判定装置の構成]
図1に本実施の形態によるフォーマット判定装置1の構成図を示す。フォーマット判定装置1は、CDプレーヤに代表される光ディスク再生装置に搭載される。図1を参照して、フォーマット判定装置1は、モータ2と、ピックアップ3と、ドライバ4と、信号処理部5と、D/A変換部6と、CD−ROMデコーダ7と、システム制御部8と、再生信号判定部9と、CD−ROM判定部10とを備える。
【0018】
モータ2は、光ディスク100を回転する。ピックアップ3は、レーザ光を光ディスク上の所望の位置に照射し、反射光を受光して再生信号を生成する。ここでいう再生信号は、電気信号である。具体的には、ピックアップ3は、図示しない半導体レーザと、対物レンズと、アクチュエータ(フォーカスアクチュエータ及びトラックアクチュエータ)と、受光素子とを備える。ピックアップ3は、ドライバ4に制御されたモータ2及び各アクチュエータにより、対物レンズを光ディスク100上の所望の物理位置に配置する。そして、ピックアップ3はレーザ光を光ディスク100に照射する。受光素子は、レーザ光の反射光を受光する。ピックアップ3は、受光した反射光の強度に応じた再生信号を生成する。
【0019】
信号処理部5は、再生信号からRF信号を生成する。通常、ピックアップ3の受光素子は、複数のフォトディテクタを備える。信号処理部5は図示しない加算アンプを備える。加算アンプは、複数の再生信号を加算してRF信号を生成する。信号処理部5はさらに、RF信号をデコードする。具体的には、信号処理部5は、RF信号をEFM(Eight to Fourteen Modulation)復調する。信号処理部5はさらに、デコードされたデータに対して、エラー訂正処理を実行する。デコードされたデータは、サブコードと、メインデータとを含む。サブコードは、読み取られたメインデータのアドレス情報(サブコードアドレス)を含む。サブコードアドレスはたとえば、時間情報であり、たとえば、「aa分bb秒ccフレーム」の単位で示される。
【0020】
データがCD−DAフォーマットである場合、信号処理部5は、システム制御部8の指示に応じてメインデータをD/A変換部6に出力する。一方、メインデータがCD−ROMフォーマットである場合、信号処理部5は、システム制御部8の指示に応じてメインデータをCD−ROMデコーダ7に出力する。
【0021】
CD−ROMデコーダ7は、信号処理部5から出力されたメインデータを受け、デコードする。具体的には、CD−ROMデコーダ7はメインデータに対して、誤り訂正処理を実行する。つまり、CD−ROMフォーマットのデータは、信号処理部5及びCD−ROMデコーダ7により、2回の誤り訂正処理が実行される。CD−ROMデコーダ7にデコードされたメインデータは、たとえば、図示しないコンピュータ等に出力される。
【0022】
光ディスク100は、たとえば周知のCD(Compact Disk)である。光ディスク100は、CD−DAフォーマットのデータを記録していてもよいし、CD−ROMフォーマットのデータを記録していてもよい。さらに、CD−DAフォーマットデータとCD−ROMフォーマットデータとを組み合わせて記録していてもよい。
【0023】
CD−ROM判定部10は、CD−ROMデコーダ7によりデコードされたメインデータが、CD−ROMフォーマットか否かを判定する。
【0024】
再生信号判定部9は、CD−ROMデコーダ7によりデコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットでないとき、再生信号が正常か否かを判定する。デコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットでないとき、光ディスク100から読み取られたデータはCD−DAフォーマットであるか、又は、何らかの理由でピックアップ3が光ディスク100からデータを正常に読み取れていない。たとえば、外部からの衝撃等によりピックアップ3が正常な動作を実行できなかった場合や、光ディスク100に汚れやきずがある場合、ピックアップ3は光ディスク100から正常にデータを読み取れない。この場合、再生信号は正常な場合と異なる波形信号となる。そのため、RF信号も正常な場合と異なる波形信号となる。そこで、再生信号判定部9は、RF信号に基づいて、再生信号が正常か否かを判定する。
【0025】
システム制御部8は、フォーマット判定装置1全体を制御する。システム制御部8は、光ディスク100から読み取られたデータのフォーマットを判定する。具体的には、デコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットではなく、かつ、再生信号が正常である場合、システム制御部8は、読み取られたデータはCD−DAフォーマットであると判定する。
【0026】
データのフォーマットが判定された後、システム制御部8は、信号処理部5に対して、メインデータの出力先を指定する。データがCD−DAフォーマットである場合、システム制御部8は、信号処理部5に対して、生成されたメインデータをD/A変換部6に出力するよう指示する。これにより、CD−DAフォーマットデータ(たとえばオーディオデータ)は、図示しないスピーカを介して外部に出力される。
【0027】
一方、データがCD−ROMフォーマットである場合、システム制御部8は、信号処理部5に対して、メインデータをCD−ROMデコーダ7に出力するよう指示する。
【0028】
信号処理部5、CD−ROMデコーダ7、システム制御部8、再生信号判定部9及びCD−ROM判定部10の各々は、ハードウェア構成であってもよいし、フォーマットプログラムをコンピュータに実行させることにより実現するソフトウェア構成であってもよい。上述の各要部がソフトウェア構成である場合、フォーマット判定装置1は、図示しない中央処理演算装置(CPU)、メモリ及びハードディスクを備える。そして、ハードディスク又はメモリに格納されたフォーマット判定プログラムを実行することにより、上述の各要部5、7〜10を実現する。
【0029】
[フォーマット判定装置の動作概要]
フォーマット判定装置1は、デコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットであるか否かを判定し、メインデータがCD−ROMフォーマットでない場合はさらに、RF信号に基づいて再生信号が正常か否かを判定する。これにより、光ディスク100から読み取られたデータがCD−DAフォーマットである場合の判定時間を短くできる。以下、フォーマット判定装置の動作概要を説明する。
【0030】
[CD−DAフォーマットとCD−ROMフォーマット]
初めに、CD−DAフォーマットのデータ構造とCD−ROMフォーマットデータのデータ構造とについて説明する。
【0031】
ピックアップ3により光ディスク100から読み出された再生信号がEFMデコードされ、かつ、誤り訂正処理された後の1サブコードフレーム分のデータは、98個のフレームで構成されるメインデータと、メインデータの付帯情報であるサブコードとを含む。サブコードは、メインデータの光ディスク100上での物理位置を示すサブコードアドレスを含む。上述のとおり、サブコードアドレスは時間情報であり、「aa分bb秒ccフレーム」の単位で示される。CD−DAフォーマットの場合、メインデータはオーディオデータのみである。
【0032】
一方、CD−ROMフォーマットの場合、メインデータは、98個のフレームで構成される1セクタ分のデータである。CD−ROMフォーマットのメインデータ(セクタデータ)は、シンクパターンと、セクタの光ディスク100上での物理位置を示すセクタ番号と、ユーザデータと、エラー訂正処理用のデータ(エラー検出符号(EDC)及びエラー訂正符号(ECC))とを含む。つまり、CD−ROMフォーマットは、シンクパターンやセクタ番号を有するが、CD−DAフォーマットでは、これらのデータが存在しない。CD−DAフォーマットはセクタ構造という概念はないからである。
【0033】
CD−DAフォーマットの1サブコードフレーム分のデータ量は、CD−ROMフォーマットの1セクタ分のデータ量と等しい。つまり、CD−ROMフォーマットにおける1セクタは、CD−DAにおける1サブコードフレームに対応する。
【0034】
上述のとおり、CD−ROMフォーマットのデータは、サブコードとメインデータとを含み、さらに、メインデータは、シンクパターン、セクタ番号、ユーザデータ及びエラー訂正処理用データを含む。したがって、CD−ROMフォーマットのデータは、セクタ番号とサブコードアドレスとを含む。セクタ番号は、サブコードアドレスと同様に、「aa分bb秒ccフレーム」の単位で示すことができる。セクタ番号が示す物理位置は原則、サブコードアドレスが示す物理位置と一致する。
【0035】
しかしながら、エンコード処理等の問題により、セクタ番号が示す物理位置が、サブコードアドレスが示す物理位置と必ずしも一致せず、ずれが生じる場合がある。CD−ROMフォーマットの規格(イエローブック)では、サブコードアドレスが、セクタ番号±10フレーム以内のずれを有することを許容する。
【0036】
[判定動作概要]
上述のとおり、CD−ROMフォーマットには、シンクパターンが存在するが、CD−DAフォーマットには存在しない。そこで、光ディスク再生装置が、デコードされたデータ内のシンクパターンを検出することにより、データフォーマットを判定する方法がある。
【0037】
しかしながら、シンクパターンを検出できなかった場合、データがCD−DAフォーマットであるのか、ピックアップが光ディスク100のデータを正常に読み取れなかったのかが不明である。上述のとおり、選択されたセクタ番号に対応する光ディスク100の物理位置において、汚れが付着していたり、疵が形成されている場合、ピックアップはデータを正常に読み取れない。この場合、データ内にシンクパターンは含まれない。同様に、正常に読み取られたデータがCD−DAフォーマットである場合も、シンクパターンは含まれない。
【0038】
従来の光ディスク再生装置は、上述の場合、判定処理をリトライしていた。つまり、従来の光ディスク再生装置は、選択されたセクタ番号に対応する物理位置に再びビーム光を照射し、再生信号の取得からやり直し、判定処理を繰り返し行っていた。そのため、CD−ROMフォーマットのデータでない場合、判定処理に時間がかかっていた。
【0039】
本実施の形態によるフォーマット判定装置1は、以下の方法により判定時間を短縮する。フォーマット判定装置1内のCD−ROM判定部10は、デコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットであるか否かを判定する。具体的には、CD−ROM判定部10は、CD−ROMデコーダ7によりデコードされたメインデータがシンクパターンを含むか否かを判定する。
【0040】
デコードされたメインデータがシンクパターンを含まない場合、再生信号判定部9は、RF信号に基づいて、ピックアップ3から出力された再生信号が正常か否かを判定する。再生信号が正常であれば、ピックアップ3は光ディスク100からデータを正常に読み取っている。そのため、システム制御部8は、選択されたセクタ番号に対応する物理位置に記録されたデータは、CD−DAフォーマットであると判定する。
【0041】
以上の動作の場合、シンクパターンを検出できない場合であっても、ピックアップ3が正常にデータを読み取っていれば、判定処理は繰り返し実行されない。したがって、判定時間を短縮できる。
【0042】
RF信号が正常か否かの判定方法は、種々の方法があり、たとえば、以下のとおりである。
【0043】
(1)再生信号判定部9は、RF信号のピークレベルと基準レベルとを比較する。RF信号のピークレベルが基準レベルよりも高い場合、再生信号判定部9は、再生信号が正常であると判定する。一方、RF信号のピークレベルが基準レベルよりも低い場合、再生信号判定部9は、再生信号が異常であると判断する。
【0044】
(2)再生信号判定部9は、RF信号の振幅に基づいて、再生信号が正常であるか否かを判断する。具体的には、再生信号判定部9は、RF信号の振幅が基準値よりも大きい場合、再生信号が正常であると判断する。一方、RF信号の振幅が基準値よりも小さい場合、再生信号が異常であると判断する。
【0045】
(3)RF信号には、シンク信号が周期的に含まれる。シンク信号はたとえば、フレームシンク信号やサブコードフレームシンク信号である。フレームシンク信号の周期は1/7350秒であり、サブコードフレームシンク信号の周期は1/75秒である。再生信号判定部9は、RF信号に基づいて、上述のシンク信号のビットパターンと同じビットパターンを有する信号の周期を検出する。再生信号判定部9は、検出された周期がフレームシンク信号の周期又はサブコードフレームシンク信号の周期と一致するとき、再生信号が正常であると判定する。
【0046】
(4)再生信号判定部9は、RF信号のエラーレートに基づいて、再生信号が正常が否かを判定する。具体的には、再生信号判定部9は、RF信号のエラーレートと基準値とを比較し、エラーレートが基準値未満である場合、再生信号が正常であると判定する。
【0047】
(5)再生信号判定部9は、訂正不能エラーが所定期間検出されなければ、再生信号が正常であると判断する。
【0048】
フォーマット判定装置1では、上記(1)〜(5)の判定方法のうち、1又は2以上の方法が実行される。
【0049】
[フォーマット判定装置1の判定処理の詳細]
図2は、フォーマット判定装置1の判定処理の詳細を示すフロー図である。図2を参照して、シーク対象となるセクタ番号が選択される(S1)。セクタ番号の選択は、フォーマット判定装置1が自動的に実行してもよいし、ユーザ操作により実行されてもよい。このとき、システム制御部8は、選択されたセクタ番号を「変数t」としてシステム制御部8内のメモリに格納する。
【0050】
続いて、判定処理のリトライ回数を設定する(S2)。本例では、リトライ回数を「5」回とするが、リトライ回数はこれに限定されない。システム制御部8は、リトライ回数を「変数c」としてメモリに格納する。
【0051】
続いて、システム制御部8は、判定フラグfをリセットし、「0」にする(S3)。判定フラグfは、RF信号が正常か否かを示すフラグである。判定フラグfが「0」であれば、RF信号が正常であることを示す。判定フラグfが「1」であれば、RF信号が異常であり、ピックアップ3が光ディスク100からデータを正常に読み取れなかったことを示す。以上の動作を終了した後、判定動作を実行する(S4〜S17)。
【0052】
上述のとおり、CD-ROMフォーマットにおいて、サブコードアドレスと、セクタ番号とは、±10フレーム分のずれが許容されている。信号処理部5は、セクタ番号を識別できないため、システム制御部8は、選択されたセクタ番号に対応するサブコードアドレスを指定して、シーク動作を実行しなればならない。そこで、システム制御部8は、サブコードアドレスk=ステップ1で選択されたセクタ番号t−10フレームに設定し、ピックアップ3にシーク動作を指示する(S4)。
【0053】
システム制御部8の指示に応じて、信号処理部5は、ドライバ4を駆動し、モータ2及びピックアップ3を制御する。その結果、ピックアップ3は、ステップS3で指定されたサブコードアドレスが示す物理位置にビーム光を照射し、RF信号を生成する。
【0054】
信号処理部5は、再生信号を受け、RF信号を生成する。信号処理部5はさらに、EFM復調してメインデータ及びサブコードを生成する。続いて、信号処理部5は、メインデータをCD-ROMデコーダ7に出力する。CD-ROMデコーダ7は、メインデータを受け、デコードする。
【0055】
CD−ROM判定部10は、デコードされたメインデータを受ける。そして、デコードされたメインデータがCD-ROMフォーマットか否かを判定する。具体的には、CD−ROM判定部10は、デコードされたメインデータからシンクパターンを検出する。シンクパターンが検出されたとき、CD−ROM判定部10は、デコードされたメインデータがCD−ROMフォーマットであると判定し、デコードOK信号を出力する。
【0056】
また、CD−ROM判定部10は、シンクパターンが検出されたとき、さらに、メインデータに含まれるエラー検査符号を利用して、周知の方法により、メインデータが正常なセクタ構造を有するか否かを判定してもよい。メインデータが正常なセクタ構造を有する場合、CD-ROMデコーダ7はデコードOK信号を出力する。
【0057】
システム制御部8は、ステップS4でシーク動作を指示した後、所定時間、デコードOK信号の入力を監視する(S5)。所定時間内にデコードOK信号がシステム制御部8に入力されたとき(S5でYES)、システム制御部8は、光ディスク100のうち、ステップS4で指定されたサブコードアドレスに対応する物理位置には、CD-ROMフォーマットデータが記録されていると判定する(S14)。
【0058】
一方、所定時間内にデコードOK信号の入力がなかった場合(S5でNO)、指定されたサブコードアドレスに対応する物理位置には、CD-DAフォーマットデータが記録されているか、又は、ピックアップ3がデータを正常に読み取れていない。そこで、システム制御部8は、指定されたサブコードアドレスに対応する物理位置に、CD−DAフォーマットデータが記録されているか否かを判定する(S6〜S17)。
【0059】
システム制御部8は、再生信号判定部9に対して、再生信号判定指示を出力する(S6)。再生信号判定指示を受けた再生信号判定部9は、RF信号に基づいて、再生信号が正常か否かを判定し、システム制御部8に通知する。以下、再生信号判定部9の判定方法の一例として、上記(2)の方法により判定する方法について詳述する。
【0060】
再生信号判定部9はたとえば、RF信号の振幅をmsオーダ(たとえば1ms)で測定し、測定された振幅が基準値Vrよりも大きいか否かを判定する。
【0061】
図3は、上記(2)の方法により判定する場合の、再生信号判定部9の機能ブロック図である。また、図4は、図3に示す再生信号判定部9で生成される信号のタイミング図である。
【0062】
図3及び図4を参照して、再生信号判定部9は、加算アンプ51と、上包絡線検波回路52と、下包絡線検波回路53と、減算回路54と、コンパレータ55とを備える。ピックアップ3内の受光素子は、複数のフォトディテクタを備える。各フォトディテクタは、反射光を受光し、反射光の光の強弱に応じた再生信号を出力する。加算アンプ51は、複数のフォトディテクタから出力された再生信号を加算し、図4に示すようなRF信号Aを出力する。
【0063】
msオーダでRF信号をみる場合、正常な再生信号から生成されたRF信号の上側のエンベロープと下側のエンベロープとは安定した一定レベルになる。このときのRF信号の振幅をW0と仮定する(図4参照)。光ディスク100の表面に傷が形成されていたり、反射率の低い汚れが付着している場合、反射光の強度は弱まる。その結果、RF信号の上側エンベロープのレベルが低下する(図4中の時刻t1参照)。この場合、RF信号の振幅は、W0よりも小さくなる。
【0064】
また、光ディスク100の表面に反射率の高い汚れが付着していたり、レーザ光がピット列から離れてしまった場合、反射光の強度は上昇する。そのため、図4中の時刻t2に示すとおり、RF信号の下エンベロープのレベルが上昇する。その結果、RF信号の振幅はW0よりも小さくなる。
【0065】
要するに、ピックアップ3が光ディスク100のデータを正常に読み取れなかった場合、RF信号の振幅は、正常な場合と比較して小さくなる。
【0066】
そこで、再生信号判定部9は、上包絡線検波回路52と、下包絡線検波回路53と、減算回路54と、コンパレータ55とを用いて、RF信号の振幅が基準値Vrよりも大きいか否かを判断する。
【0067】
上包絡線検波回路52は、RF信号Aを受け、RF信号の上側の包絡線であるピークエンベロープ波形信号Bを生成する(図4参照)。下包絡線検波回路53は、RF信号の下側の包絡線であるボトムエンベロープ波形信号Cを生成する。減算回路54は、ピークエンベロープ波形Bからボトムエンベロープ波形信号Cを減算し、振幅波形信号Dを生成する。
【0068】
コンパレータ55は、振幅波形信号Dのレベルと基準値Vrとを比較し、RF信号が正常か否かを判定する。振幅波形信号Dのレベルが基準値Vrよりも高い場合、つまり、再生信号が正常である場合、コンパレータ55は、H(ハイ)レベルの判定信号を出力する。一方、振幅波形信号Dが基準値Vrよりも小さい場合、つまり、再生信号が異常である場合、コンパレータ55は、ロウ(L)レベルの判定信号を出力する。
【0069】
図2に戻って、ステップS6において、システム制御部8は、再生信号判定部9から判定信号を受ける。システム制御部8は、判定信号がHレベルである場合(S7でYES)、ステップS9に進む。一方、判定信号がLレベルである場合(S7でNO)、システム制御部8は、判定フラグを「1」に更新して(S8)、ステップS9に進む。要するに、システム制御部8は、判定信号に基づいて、判定フラグを更新する。
【0070】
ステップS9において、システム制御部8は、シークしたサブコードアドレスkが変数t+10フレームであるか否かを判断する(S9)。そして、サブコードアドレスkが変数t+10フレームでない場合(S9でNO)、ステップS5に戻る。CD−DA及びCD−ROMでは、サブコードがk,k+1フレーム,k+2フレーム,…の順に、螺旋状に配置されている。そのため、ピックアップ3がサブコードアドレスkの物理位置にビーム光を照射してから1/75秒後に、ピックアップ3は、サブコードアドレスk=k+1フレーム(つまりk=t−9フレーム)の物理位置にビーム光を照射する。ピックアップ3は、サブコードアドレスk=t−9フレームの物理位置のデータを読み取り、再生信号を生成する。システム制御部8は、生成されたRF信号を用いて、ステップS5〜S16の動作を進める。
つまり、ピックアップ3は1/75秒ごとにサブコードアドレスk=t−10フレーム〜t+10フレームの物理位置にビーム光を照射し、再生信号を生成する。そして、システム制御部8は、生成された各再生信号に対して、ステップS5〜ステップS16の動作を実行する。要するに、CD-ROMフォーマットの規格で許容されている、サブコードアドレスとセクタ番号とのずれの範囲(t−10フレーム≦k≦t+10フレーム:以下、許容範囲という)について、判定処理を行う。
【0071】
許容範囲内の全てのサブコードアドレスに対してステップS7の判定を行った後(S9でYES)、システム制御部8は、判定フラグfが「0」であるか否かを判定する(S10)。判定フラグが「0」である場合(S10でYES)、再生信号は正常である。したがって、システム制御部8は、選択されたセクタ番号のデータはCD−DAフォーマットであると判断する(S17)。
【0072】
一方、ステップS10において、判定フラグが「1」であると判断した場合(S10でNO)、生成されたRF信号及び再生信号は異常である。異常な再生信号は、光ディスク100に欠陥(傷や汚れ等)がある場合と、なんらかの原因、たとえば、外部からの衝撃等により、ピックアップ3がうまくデータを読み取れなかった場合がある。そこで、システム制御部8は、判定動作のリトライ回数の変数cをc−1にデクリメントして(S11)、リトライ回数の変数cが0になるまで(S12でYES)、S3〜S10の動作を繰り返す。変数cが0になったとき、システム制御部8は、メインデータがセクタ構造を持たないと判定する(S13)。この場合、メインデータはCD−DAフォーマットであるか、再生信号が何らかの原因で異常であるかのいずれかである。
【0073】
以上の動作により、フォーマット判定装置1は、メインデータがセクタ構造を有さない場合、つまり、メインデータがCD-ROMフォーマットでない場合、再生信号が正常か否かを判定し、再生信号が正常である場合、メインデータがCD−DAフォーマットであると判定できる。したがって、データがCD−DAフォーマットである場合、判定処理時間を短くできる。
【0074】
[第2の実施の形態]
上述の実施の形態では、図2中のステップS6において、再生信号判定指示を受けた再生信号判定部9は、上記(2)の方法により判定した。しかしながら、再生信号判定部9は、(1)、(3)〜(5)の方法によって再生信号が正常か否かを判定してもよい。以下、再生信号判定部9が上記(3)の方法によって、再生信号が正常か否かを判定する場合のフォーマット判定装置1の動作について詳述する。
【0075】
図5は、本実施の形態における再生信号判定部9の機能ブロック図である。また、図6は図5に示す再生信号判定部9で生成される信号のタイミング図である。
【0076】
図5を参照して、再生信号判定部9は、加算アンプ51と、波形整形回路502と、基準クロック発振器503と、シフトレジスタ504と、フレームシンクコンパレータ505と、サブコードフレームシンクコンパレータ506と、周期判定部507とを含む。
【0077】
図3と同様に、加算アンプ51は、RF信号aを生成する(図6参照)。図6中のRF信号はns(ナノセカンド)オーダで示される。波形整形回路502は、RF信号を2値化して、方形波形信号bを生成する。
【0078】
基準クロック発振器503は、基準クロックcを生成する。基準クロック発振器503はたとえば、水晶等を用いた周知の発振器である。図6に示すとおり、基準クロックcの周期は、方形波形信号bの周期よりも短い。
【0079】
シフトレジスタ504は、基準クロックcに基づいて方形波形信号bをサンプリングする。具体的には、シフトレジスタ504は、複数のレジスタを備え、基準クロックcの立ち上がりエッジで方形波形信号bを取り込む。この動作により、シフトレジスタ504内には、基準クロックcの立ち上がりごとに、「0」又は「1」のビットデータが順次格納される。
【0080】
ここで、本実施の形態におけるフレームシンク信号が22ビットであり、サブコードフレームシンク信号が14ビットであると仮定する。この場合、シフトレジスタ504は、ビットデータを取り込むごとに、シフトレジスタ504の末尾のレジスタから22ビット分のビットデータをフレームシンクコンパレータ505に出力する。シフトレジスタ504はさらに、ビットデータを取り込むごとに、シフトレジスタ504の末尾のレジスタから14ビット分のビットデータをサブコードフレームシンクコンパレータ506に出力する。
【0081】
フレームシンクコンパレータ505は、シフトレジスタ504からデータ列を受けるごとに、受けたデータ列と、規格上のフレームシンク信号のビットパターン(22ビット)とを比較する。CD−DAフォーマットとCD−ROMフォーマットのフレームシンク信号のビットパターンは同じである。比較の結果、両者が一致する場合、フレームシンクコンパレータ505は、Hレベルの第1検知信号dを出力する。
【0082】
同様に、サブコードフレームシンクコンパレータ506は、シフトレジスタ504からデータ列を受けるごとに、受けたデータ列と、規格上のサブコードフレームシンク信号のビットパターン(14ビット)とを比較する。CD−DAフォーマットとCD−ROMフォーマットのサブコードフレームシンク信号のビットパターンは同じである。比較の結果、両者が一致する場合、サブコードフレームシンクコンパレータ506は、Hレベルの第2検知信号eを出力する。
【0083】
周期判定部507は、Hレベルの第1検知信号d及びHレベルの第2検知信号eを受信する。そして、Hレベルの第1検知信号dの周期がフレームシンク信号の周期(1/7350秒)と一致し、かつ、Hレベルの第2検知信号eの周期がサブコードフレーム信号の周期(1/75)と一致するとき、Hレベルの判定信号をシステム制御部8に出力する。
【0084】
図2中のステップS7以降の動作は、第1の実施の形態と同じである。
【0085】
上述の実施の形態では、周期判定部507は、フレームシンク信号及びサブコードフレームシンク信号について検知した。しかしながら、いずれか1つのシンク信号のみを検知してもよい。たとえば、周期判定部507は、第1検知信号dがフレームシンク信号の周期と一致するか否かを判定し、第2検知信号eについては判定しなくてもよいし、その逆でもよい。
【0086】
本実施の形態では、周期判定部507は再生信号判定部9に含まれるが、周期判定部507が、再生信号判定部9に代えて、システム制御部8内に格納されていてもよい。
【0087】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 フォーマット判定装置
2 モータ
3 ピックアップ
4 ドライバ
5 信号処理部
7 CD−ROMデコーダ
8 システム制御部
9 再生信号判定部
10 CD−ROM判定部
51 加算アンプ
52 上包絡線検波回路
53 下包絡線検波回路
54 減算回路
55 コンパレータ
100 光ディスク
502 波形整形回路
503 基準クロック発振器
504 シフトレジスタ
505 フレームシンクコンパレータ
506 サブコードフレームシンクコンパレータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD−DAフォーマットのデータと、CD-ROMフォーマットのデータとをデコード可能なフォーマット判定装置であって、
光ディスクに光を照射し、反射光に応じた再生信号を生成するピックアップと、
前記再生信号をデコードしてメインデータを生成する信号処理手段と、
前記メインデータをデコードするメインデータデコード手段と、
前記デコードされたメインデータに基づいて、前記メインデータがCD-ROMフォーマットか否かを判定するCD-ROM判定手段と、
前記メインデータがCD-ROMフォーマットでないとき、前記再生信号が正常か否かを判定する再生信号判定手段と、
前記メインデータがCD-ROMフォーマットでなく、前記再生信号が正常であるとき、前記メインデータはCD−DAフォーマットであると判定するフォーマット判定手段とを備える、フォーマット判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォーマット判定装置であって、
前記CD-ROMフォーマットのデータは、セクタ番号と、セクタ番号に対応するサブコードアドレスとを含み、前記CD−DAフォーマットのデータは、前記サブコードアドレスを含み、
前記ピックアップは、選択されたセクタ番号を含む所定範囲の複数のセクタ番号に対応する複数のサブコードアドレスが示す前記光ディスクの物理位置に光を照射し、複数の再生信号を生成し、
前記フォーマット判定手段は、前記各物理位置に対応する各メインデータがCD−ROMフォーマットでなく、前記各物理位置に対応する前記各再生信号が正常であるとき、前記各メインデータはCD−DAフォーマットであると判定する、フォーマット判定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフォーマット判定装置であって、
前記再生信号判定手段は、
前記再生信号の振幅が、基準値よりも大きいとき、前記再生信号が正常であると判断する、フォーマット判定装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフォーマット判定装置であって、
前記再生信号判定手段はさらに、
前記再生信号をサンプリングしてシンク信号と同じビットパターンの信号を検出する検出手段を備え、
前記再生信号判定手段は、前記検出された信号の周期が、シンク信号の周期と同じであるとき、再生信号が正常であると判定する、フォーマット判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−227942(P2011−227942A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93769(P2010−93769)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】