説明

フォームシート製品用のプリフォームおよびそれから製造されたフォーム製品

二枚の金属外板間にコアを含んでなり、該コアが発泡剤および発泡可能な金属を含んでなる、発泡可能なラミネートシートのプリフォームであって、該発泡可能な金属が少なくとも一枚の発泡可能な金属シートを含んでなり、該発泡剤が、少なくとも一枚の発泡可能な金属シートの少なくとも片側に塗布されていることを特徴とする、プリフォーム。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、二枚の金属外板間にコアを含んでなり、該コアが発泡剤および発泡可能な金属を含んでなる、発泡可能なラミネートシートのプリフォームに関する。本発明は、さらに、該プリフォームから製造されたフォーム製品に関する。本発明は、該プリフォームの製造方法にも関する。本願では、プリフォームまたは予備発泡シートとも呼ばれる発泡可能なラミネートシートを、粉末を使用せずに製造できる新規な方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
発泡可能なラミネートシートの製造に現在使用されているほとんどの方法では、アルミニウム−ケイ素合金粉末を水素化チタンと混合する。次いで、この混合物を二枚の金属外板シート間で圧縮し、プリフォームを形成する。このプリフォームをアルミニウム−ケイ素合金粉末混合物の融点に加熱することにより、その多泡質構造がこのサンドイッチに与えられる。水素化チタンは、分解し、水素ガスを発生する。この水素が、溶融したアルミニウム−ケイ素合金混合物中で気泡を形成する。発泡構造を適切な時期に冷却することにより、二枚の金属シート間に非常に連続した構造を実現することができる。
【0003】
この公知の方法の欠点は、水素化チタンを混合物に4重量%までの量でしか加えないことである。そのような少量の粉末を大量の多の粉末中に均質に混合することは、実行が困難である。もう一つの欠点は、アルミニウム粉末、または一般的に金属粉末は、非常に危険であり、極度の注意を払って取り扱わないと、粉塵爆発を起こすことがある。この公知の方法のさらに別の欠点は、粉末をある区域に含むのが困難なことである。粉末の圧延または圧縮には、ミルまたは試料の特殊な調節が必要になる。粉末が細かくなる程、常に存在する酸化物の寄与が大きくなることも欠点である。これらの酸化物は、粉末が融解した時にバリヤーとして作用し、粉末粒子の融解を妨害し、不均質な融解挙動を引き起こす。
【発明の具体的説明】
【0004】
本発明の目的は、予備発泡させた金属シートまたはプリフォーム、例えばアルミニウムまたは鋼製のシート、を製造する新規な方法を提供することにより、これらの欠点の一つ以上を解決することである。
【0005】
本発明により、本発明の目的は、二枚の金属外板間にコアを含んでなり、該コアが発泡剤および発泡可能な金属を含んでなる、発泡可能なラミネートシートのプリフォームであって、該発泡可能な金属が少なくとも一枚の発泡可能な金属シートを含んでなり、該発泡剤が、少なくとも一枚の発泡可能な金属シートの少なくとも片側に塗布されていることを特徴とする、プリフォームにより達成される。本発明者らは、アルミニウムフォームの製造では、発泡剤が一様に配分されていることが重要であることを認識した。発泡可能な金属粉末の代わりに、発泡可能な金属シート(該発泡可能な金属シートは、必要量の発泡剤で被覆されている)を使用することにより、発泡可能な金属シート全体に発泡剤を均質に配分することができる。本発明者らは、少量の粉末を大きな表面積全体に配分するのが有利であることを認識した。この、被覆された発泡可能な金属シートのコアを、二枚の金属層の間に配置することにより、二枚の金属外板間に挟まれた金属フォームを製造することができる。得られたラミネートシートは、高い剛性と低い密度を組み合わせている。
【0006】
本発明の一実施態様では、コアが、互いに積み重ねた複数の発泡可能な金属層を含んでなり、該層の少なくとも片側が少なくとも一枚の発泡可能な金属シートで被覆されており、好ましくは、各発泡可能な金属層が、発泡可能な金属シートの少なくとも片側に施されている。
【0007】
コアが、複数の(すなわち少なくとも二枚の)発泡可能な金属のシートを含んでなる場合、これらのシートの少なくとも一個が少なくとも片側で被覆されることは明らかである。2個以上の発泡可能な金属シートを被覆することができることも明らかであり、一個以上の発泡可能な金属シートを片側または両側で被覆できることも明らかである。必要な発泡剤の量、従って、被覆された発泡可能な金属シートの数は、発泡可能な金属の発泡性能、およびプリフォームを発泡作用にかけた後に望ましいフォームの種類によって異なる。コアが互いに重ね合わせた2個以上の発泡可能な金属シートを含んでなる場合、コアは、積重構造と呼ぶことができる。積み重ねたコアにより、発泡可能な金属全体にわたる発泡剤の配分が改良され、それによって、プリフォームを発泡作用にかけた時に、より一様に発泡した最終製品が得られる。
【0008】
本発明の一実施態様では、コアは少なくとも3個の発泡可能な金属層、好ましくは少なくとも4個の発泡可能な金属層、より好ましくは少なくとも5個の発泡可能な金属層を含んでなる。コア中にある、発泡剤で被覆した発泡可能な金属シートの層が多い程、発泡可能な材料全体にわたる発泡剤の配分が改良され、プリフォームを発泡作用にかけた時に、より優れた最終製品が得られる。層の最大数が、技術的な制限よりも、製法および得られる製品、プリフォームの経済性に、より大きく左右されることは明らかである。
【0009】
発泡剤は、様々な手段により塗布することができる。好適な標準塗布技術は、ロール塗り、浸漬、スプレー、静電スプレー、等である。塗布技術により、発泡可能な金属シートの表面に発泡剤、例えばTiH粒子、を付けるのに使用するビヒクルをある程度変えなければならない場合もあろう。好ましくは、水との接触は、どの時点でも避けるべきである。発泡可能な金属シート表面に対する適切な密着性を確保するために、結合剤を使用することができる。好ましくは、結合剤は、その残留物がその後の発泡作用、またはプリフォーム製造のすべての工程を妨害しないように、加熱の際に分解すべきである。
【0010】
本発明の一実施態様では、発泡可能な金属シートは、アルミニウム−ケイ素合金である。この合金により、優れた発泡性を有するプリフォームを製造することができる。
【0011】
本発明の一実施態様では、アルミニウム−ケイ素合金シートは、AA4000シリーズアルミニウム合金であり、好ましくはケイ素含有量が4〜14重量%、より好ましくは8〜13重量%である。好適なアルミニウム−ケイ素シートは、アルミニウム協会(「AA」)4000シリーズアルミニウム合金から選択される。AA4000シリーズ合金シートは、約0.05〜4mmの広い厚さ範囲で市販されている。
【0012】
本発明の一実施態様では、アルミニウム−ケイ素合金シートは、湿潤剤として、および/またはケイ素を変性するために、合金化元素をさらに含んでなる。アルミニウム−ケイ素合金は、ケイ素を、合金化元素、例えば亜鉛、銅、マグネシウム、その他、との組合せで含んでなる。これらの元素は、アルミニウム−ケイ素合金の融解温度を下げるか、あるいは湿潤挙動を改良するか、またはフォーム構造を変えるか、もしくはそれらのいずれかの組合せを行うことができる。湿潤挙動には、少量、例えば1重量%まで、の湿潤剤、例えば鉛、ビスマス、スズ、アンチモン、リチウム、およびそれらの混合物、を添加することにより、好ましい影響を及ぼすことができる。
【0013】
本発明の一実施態様では、発泡操作の前に、プリフォームを高温で圧縮しておく。この圧縮、例えば熱間圧延、の前および最中の高温は、発泡剤の分解を避けるために、400℃を超えるべきではなく、熱間圧延は、細片または発泡剤の温度220〜400℃、好ましくは300〜380℃で行うべきである。異なった層間の密着性を得るために、通常の熱間圧延作業を行うことができる。シートの数およびシートの厚さに応じて、25%以上の圧下率で、異なった層間が一様に密着する。しかし、当業者には明らかなように、冷間圧延操作でも、各シート間の密着性が改良されることがある。さらに、圧延により、発泡剤が層間で一様に広がり、その後の均質な発泡操作が可能になる。
【0014】
本発明の一実施態様では、発泡剤は水素化可能な金属であり、該金属は、Ti、Fe、Co、Al、Cu、Mg、W、Mn、Cr、Beまたはそれらの合金からなる群から選択される。これらの水素化物を加熱する際、水素化物が分解し、必要な水素ガスを発生する。この水素が、溶融した発泡可能な金属、好ましい実施態様では、アルミニウム−ケイ素合金中に気泡を形成する。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、発泡剤は、水素化チタン(TiH)粉末の形態で、アルミニウム−ケイ素合金シートの0.02〜8重量%の量で、好ましくは0.05〜2.5重量%の量で与えられる。
【0016】
本発明の一実施態様では、その後の発泡操作のいずれかで、アルミニウム−ケイ素合金の融点を下げるために、少なくとも一枚の金属シートまたはホイルを該金属外板間にさらに配置する。標準的なAA4000合金を使用する場合、該外板の選択は、AA4000合金の融点のために制限される。この融点は、AA4000合金には、ケイ素含有量に応じて、典型的には約570℃〜600℃である。金属外板は、この範囲より上の融点を有するべきであり、ほとんどのアルミニウム合金が、特に高度に合金化されたものでは、幾つかの関連する相で典型的には570℃未満の融点を有するので、これが合金の選択を制限する。使用可能なアルミニウム外板合金の範囲を拡大するために、本発明の一実施態様では、AA4000シート合金の融点を下げる。これを行う有利な方法は、AA4000合金の融点を下げるために、被覆されたAA4000層間に好適な金属の薄い層を配置する。好ましい実施態様では、アルミニウム−ケイ素合金の融点を下げるためのホイルは、銅または銅合金から製造する。ホイルの厚さは、ホイルおよびAA4000シートを組合せた化学組成物の融点が500〜550℃、典型的には約530℃になるように選択すべきである。
【0017】
本発明者らは、変性したケイ素合金を使用することにより、発泡挙動が改良されることも見出した。本明細書では、変性したとは、AA4000合金中の一次ケイ素粒子の大きさが低下していることを意味する。一次ケイ素粒子の低下により、ケイ素粒子が多くなる。AA4000合金の融解は、ケイ素粒子の表面で開始すると考えられ、より多くのケイ素粒子により、より一様な融解挙動が得られるであろう。少量(0.07重量%まで)の合金化元素、例えばナトリウムまたはストロンチウム、を加えることにより、これらの元素がAA4000合金中のケイ素粒子の大きさを変化させる。
【0018】
本発明の一実施態様では、外板は、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼およびチタンからなる群から選択される。発泡剤で被覆した発泡可能な金属、例えばアルミニウム−ケイ素合金、の層、またはそのような層の積重構造を、異なった合金種類、鋼シートまたはアルミニウムシート、例えばAA1000、AA2000、AA3000、AA5000、AA6000およびAA7000シリーズ合金を含んでなる群から選択されたアルミニウム合金、の二枚の金属外板の間に配置することができる。どの金属外板が適切であるかは、ラミネートを使用する用途によって異なる。金属外板が、発泡可能な金属と同じ合金種類であるか、または発泡可能な金属の融点に近い、またはそれより低い融点を有する場合、発泡操作の際に金属外板を冷却し、金属外板が損傷するか、または融解するのを阻止する必要がある。二枚の金属外板の各外板に、異なった金属を使用できることは明らかである。
【0019】
本発明の一実施態様では、金属層の一方または両方がアルミニウムろう付けシートであり、該アルミニウムろう付けシートは、片側または両側にろう付け合金を有するアルミニウムコア合金クラッドを含んでなり、その際、ろう付け合金は、好ましくはAA4000シリーズ合金であり、ろう付け合金の少なくとも一層が、中間に配置されたアルミニウム−ケイ素合金シートに面している。発泡操作の際に外板の良好な密着性を確保するには、アルミニウムろう付けシートを外板として使用するのが好ましい選択であろう。アルミニウムろう付けシートは、典型的にはAA3000シリーズコア合金を含んでなり、そのコア合金の片側または両側に、ろう付け可能なアルミニウム合金層が結合している。また、AA5000、AA6000、およびAA2000シリーズからなる群からもコア合金を選択できる。ろう付け可能なクラッド層として使用する典型的なアルミニウム合金は、AA4000シリーズ合金であり、典型的には4〜14%のケイ素を含み、例えばAA4343およびAA4045である。ろう付け可能なアルミニウム合金は、この分野で公知の様々な方法で、例えばロールボンディング、クラッド加工、半連続または連続鋳造法、または溶射により、コア合金に接合することができる。
【0020】
一実施態様では、良好な密着性を確保するために、被覆された発泡可能な金属シートを波形に製造し、互いに積み重ねることができる。この波形形成により、圧延操作、例えば熱間圧延操作、の際に、2つのシート間で結合させ、発泡剤をより効果的に、一様に配分することができる。
【0021】
本発明は、発泡したアルミニウム−ケイ素合金コア構造を有する、二枚の金属外板を含んでなる発泡ラミネートシートでさらに具体化するが、該フォーム構造は、本明細書で説明した実施態様のいずれかによるプリフォームを使用して製造している。
【0022】
本発明は、上記の発泡可能なラミネートシートのプリフォームの製造方法であって、
(a)発泡剤を含んでなる被覆が少なくとも片側に施されている、少なくとも一枚の発泡可能な金属シートを用意する工程、
(b)該少なくとも一枚の、被覆された発泡可能な金属シートを二枚の金属層の間に組み立てて組立物とする工程、
(c)該組立物の上に制御された負荷を作用させて被覆と発泡可能な金属シートとの間の結合を強化してプリフォームを形成し、その際好ましくは制御された負荷を圧延操作において作用させる工程
を含んでなる方法でも具体化される。
【0023】
この実施態様により、金属外板間に1個の被覆された発泡可能な金属シート、または金属外板間に2個以上の被覆された発泡可能な金属シート(すなわち複数のシートを含んでなる積重構造)を含んでなり、被覆された発泡可能な金属シートまたはシート自体(複数の被覆された発泡可能な金属シートの場合)間および被覆された発泡可能な金属シートと金属外板との間の密着性が優れた、発泡可能なラミネートシートのプリフォームが得られる。
【0024】
本発明の一実施態様では、発泡可能な金属シートがアルミニウム−ケイ素合金である。この合金により、発泡性が優れたプリフォームを製造することができる。
【0025】
本発明の一実施態様では、制御された負荷を熱間圧延操作で、400℃を超えない温度で作用させ、好ましくは負荷を作用させる操作の際にプリフォームの厚さを少なくとも25%下げる。
【0026】
本発明の一実施態様では、被覆された発泡可能な金属シート、例えばアルミニウム−ケイ素合金シート、を波形にし、積み重ねる。この波形形成により、圧延操作の際に、2つの隣接するシート間で結合させ、発泡剤をより効果的に、一様に配分することができる。
【0027】
熱間圧延の前および最中の温度は、発泡剤の分解を避けるために、400℃を超えるべきではなく、熱間圧延は、細片および発泡剤の温度220〜400℃、好ましくは300〜380℃で行う。異なった層間を密着させるために、通常の熱間圧延を行うことができる。シートの数およびシートの厚さに応じて圧下率を25%以上にすることにより、異なった層間を一様に密着させることができる。しかし、当業者には明らかなように、冷間圧延でも様々なシート間の密着性を改良することができる。さらに、圧延により、発泡剤が層間に一様に配分され、その後により均質な発泡操作が可能になる。
【0028】
各層の良好な密着性は、例えばここに参考として含めるWO−03/018223、WO−03/018221およびWO−03/022469に記載されているように、高度の変形または圧下率なしに、穏やかな(dedicated)圧延によっても達成できる。これらの先行技術の文献に開示されている方法は、モノリシックスラブまたはプレートを加工するためであるが、開示されている原理は、本発明の発泡可能なラミネートのプリフォーム製造にも応用できる。
【0029】
本発明の一実施態様では、組立物を組み立てる際にも、少なくとも一枚の金属シートまたはホイルを二枚の金属層間に配置し、その後のいずれかの発泡操作の際にアルミニウム−ケイ素合金の融点を下げる。標準的なAA4000シリーズ合金を使用する場合、該金属外板の選択は、AA4000合金の融点のために制限される。典型的にはAA4000合金に関するこの融点は、使用するケイ素の量に応じて、約570℃〜600℃である。金属外板は、この範囲より上の融点を有するべきであるが、ほとんどのアルミニウム合金、特に高度に合金化された合金、は関連する幾つかの相で570℃未満の融点を有するので、これが合金の選択を制限する。使用可能なアルミニウム外板合金の範囲を拡大するために、本発明の一実施態様では、AA4000シート合金の融点を下げる。これを行う有利な方法は、AA4000合金の融点を下げるために、被覆されたAA4000層間に好適な金属の薄い層を配置する。好ましい実施態様では、アルミニウム−ケイ素合金の融点を下げるための金属シートまたはホイルは、銅または銅合金から製造する。厚さは、ホイルおよびAA4000シートを組合せた化学組成物の融点が500〜550℃、典型的には約530℃になるように選択すべきである。
【0030】
別の方法は、鋼製、例えば低炭素鋼またはステンレス鋼製の二枚の外板の間のサンドイッチを熱間圧延することであろう。好ましくは、この組合せを、アルミニウム/ケイ素と鋼製外板との間の良好な密着性を確保するために、小さな熱間圧延に通すことが必要である。しかし、チタンシートも使用できる。また、異なった金属シート、例えばアルミニウムシートと炭素鋼シートの組合せ、も使用できる。
【0031】
本発明の一実施態様では、発泡可能なラミネートシートのプリフォームを製造するための上記方法の工程(c)の際に、得られるプリフォームを、コイル巻きにしたプリフォームの形態で提供する。本発明のこの実施態様では、二枚の金属外板および一個以上の被覆されたアルミニウム−ケイ素シートを含んでなる組立物の上に制御された負荷を作用させて得られる発泡可能なプリフォームを、コイル巻きにしたプリフォームの形態で提供する。これは、例えば打ち抜き、ブランキングまたはカッティングにより、大量の製品を製造する必要がある場合に、特に有利である。
【実施例】
【0032】
ここで本発明を添付の図面を参照しながら、非限定的な例によりさらに説明する。
【0033】
図1は、二枚の金属外板間に挟まれた、発泡剤3で被覆したアルミニウム−ケイ素合金シート4の複数の層(この例では6層)の形態にある、本発明の発泡可能なラミネートシート1を図式的に示す。金属外板は両側共、同じものでよいが、異なった合金または金属でもよい。金属外板の融点は、発泡操作中に金属外板が融解しないように、あるいは金属外板の損傷または融解を阻止する手段が講じられるように選択する必要がある。アルミニウム−ケイ素合金は、例えばAA4000合金(例えばAA4343またはAA4045)でよい。図1で、アルミニウム−ケイ素合金シート4の被覆3は、上表面だけにあるように示されている。被覆3は、アルミニウム−ケイ素合金シート4の下側表面にあっても、あるいは両側表面上にあってもよいことに注意すべきである。厚さ全体にわたって層を対称的に配分する必要はないが、層の配分が均質であればある程、発泡製品はより均質になる。
【0034】
図2は、波形の被覆された発泡可能な金属シート4個の積重構造を図式的に示す。二枚の金属外板は示していない。
【0035】
図3は、発泡剤3で被覆されたアルミニウム−ケイ素合金シート4の複数の層(この例では6)が、コア合金7およびクラッドろう付け合金6を含んでなる二枚の金属外板間に挟まれている形態にあり、これらの金属外板が、被覆されたアルミニウム−ケイ素合金の複数層の積重構造に隣接している、本発明の発泡可能なラミネートシート5を図式的に示す。図3で、アルミニウム−ケイ素合金シート4の被覆3は、上表面だけにあるように示されている。被覆3は、アルミニウム−ケイ素合金シート4の下側表面にあっても、あるいは両側表面上にあってもよいことに注意すべきである。厚さ全体にわたって層を対称的に配分する必要はないが、層の配分が均質であればある程、発泡製品はより均質になる。無論、発泡可能なラミネートシートの用途および必要条件に応じて、ろう付けシートを積重構造の片側に、別の金属外板を反対側に配置することも可能である。
【0036】
図4は、発泡剤3で被覆されたアルミニウム−ケイ素合金シート4の複数の層(この例では6)が、二枚の金属外板2の間に挟まれている形態にあり、被覆されたアルミニウム−ケイ素合金の層間に銅ホイル9が挿入され、それらの融点を下げている、本発明の発泡可能なラミネートシート8を図式的に示す。
【0037】
本発明のプリフォームは、発泡したアルミニウム−ケイ素合金コア構造を有する二枚の金属板を含んでなる、発泡したサンドイッチ構造または発泡したラミネート構造であって、該発泡構造が本発明のプリフォームを使用して製造されている構造を製造するのに使用することができる。発泡層の厚さは、発泡ラミネートの用途に応じて選択できるが、典型的には2〜25mmである。
【0038】
プリフォームを公知の方法(例えば、プリフォームの加熱)で発泡させた後、得られた発泡シートラミネートは、低重量と良好な剛性の組合せが必要な部品、例えば自動車部品、例えば自動車のフロアパン、テールゲートまたはフロントパネル、あるいは鉄道客車の屋根構造または床構造、に使用できる。得られた発泡シートラミネートは、船舶用部品、例えば甲板または上部構造用の剛性を強化した部品、あるいは耐熱性または難燃性の壁、に使用できる。この製品は、建物建築で、例えば音響および/または断熱用の壁の形態でも使用できる。
【0039】
無論、本発明は、上記の実施態様および例に限定されるものではなく、本説明および下記の請求項の範囲内に入るすべての実施態様を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の概念の実施態様を図式的に示す図である。
【図2】波形パターンの例を図式的に示す図である。
【図3】発泡剤被覆されたAA4000合金シートを、金属外板としてのろう付けシートと組み合せた実施態様を示す。
【図4】発泡剤被覆されたAA4000合金シートを、シート間にある銅ホイルと組み合せた実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の金属外板間にコアを含んでなり、前記コアが発泡剤および発泡可能な金属を含んでなる、発泡可能なラミネートシートのプリフォームであって、前記発泡可能な金属が少なくとも一枚の発泡可能な金属シートを含んでなり、前記発泡剤が、少なくとも一枚の発泡可能な金属シートの少なくとも片側に塗布されている、発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項2】
前記コアが、互いに積み重ねられた複数の発泡可能な金属層を含んでなり、前記層の、前記発泡可能な金属シートの少なくとも一枚の少なくとも片側が被覆されており、好ましくは、各発泡可能な金属層の、前記発泡可能な金属シートの少なくとも片側が被覆されている、請求項1に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項3】
前記コアが、少なくとも3個の発泡可能な金属層、好ましくは少なくとも4個の発泡可能な金属層、より好ましくは少なくとも5個の発泡可能な金属層を含んでなる、請求項2に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項4】
前記発泡可能な金属がアルミニウム−ケイ素合金である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項5】
前記アルミニウム−ケイ素合金シートが、AA4000シリーズアルミニウム合金から選択され、好ましくはケイ素含有量が4〜14重量%、より好ましくは8〜13重量%である、請求項4に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項6】
前記アルミニウム−ケイ素合金シートが、湿潤剤として、および/またはケイ素を変性するために、合金化元素をさらに含んでなる、請求項4または5に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項7】
前記プリフォームが、発泡操作の前に、高温で圧縮されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項8】
前記発泡剤が、水素化可能な金属であり、前記金属が、Ti、Fe、Co、Al、Cu、Mg、W、Mn、Cr、Beまたはそれらの合金からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項9】
前記発泡剤が、水素化チタン(TiH)粉末の形態で、前記アルミニウム−ケイ素合金シートの0.02〜8重量%の量で、好ましくは0.05〜2.5重量%の量である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項10】
その後のいずれかの発泡操作の際にアルミニウム−ケイ素合金の融点を下げるために、少なくとも一枚の金属シートまたはホイルが前記金属層間にさらに配置される、請求項4〜9のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項11】
前記アルミニウム−ケイ素合金の前記融点を下げるための前記金属シートまたはホイルが、銅または銅合金で製造されてなる、請求項10に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項12】
前記金属層の一方または両方が、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼およびチタンからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項13】
前記金属層の一方または両方が、アルミニウムろう付けシートであり、前記アルミニウムろう付けシートが、片側または両側にろう付け合金を有するアルミニウムコア合金クラッドを含んでなり、前記ろう付け合金が、好ましくはAA4000シリーズ合金であり、前記ろう付け合金の少なくとも一層が、中間に配置された前記アルミニウム−ケイ素合金シートに面している、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォーム。
【請求項14】
発泡したアルミニウム−ケイ素合金コア構造を有する、二枚の金属外板を含んでなる発泡ラミネートシート構造であって、前記発泡構造が、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプリフォームを使用して製造されている、構造。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の発泡可能なラミネートシートのプリフォームの製造方法であって、
(a)発泡剤を含んでなる被覆で少なくとも片側が被覆された、少なくとも一枚の発泡可能な金属シートを用意する工程と、
(b)前記少なくとも一枚の、被覆された発泡可能な金属シートを二枚の金属層の間に組み立てて組立物とする工程と、
(c)前記組立物の上に制御された負荷を作用させて被覆と発泡可能な金属シートとの間の結合を強化してプリフォームを形成し、その際好ましくは前記制御された負荷を圧延操作において作用させる工程と
を含んでなる、方法。
【請求項16】
前記発泡可能な金属シートがアルミニウム−ケイ素合金である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記制御された負荷を熱間圧延操作で、400℃を超えない温度で作用させ、好ましくは前記負荷を作用させる操作の際に前記プリフォームの厚さを少なくとも25%下げる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記組立物を組み立てる際に、少なくとも一枚の金属シートまたはホイルを前記二枚の金属外板間に配置し、その後のいずれかの発泡操作の際に発泡可能な金属の融点を下げる、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程(c)の際に、得られる前記プリフォームを、コイル巻きにしたプリフォームの形態で提供する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−523771(P2006−523771A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505225(P2006−505225)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004250
【国際公開番号】WO2004/091835
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500269255)コラス・アルミニウム・バルツプロドウクテ・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】