説明

フォーム用途のポリエーテルポリオール

8より大きい比較的高いモル平均官能価を有し、異なる官能価の複数種を含む第1の開始剤、及び任意に、低い官能価、即ち2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤デカ縊死されたポリオール。本発明の別の側面は、ポリオールの製造方法である。本発明はまた本発明のポリオールをイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造する方法、及びそれから製造されるフォームにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
平均で8より大きい比較的高い官能価を有する第1の開始剤、及び任意に、低い官能価の第2の開始剤(即ち、2〜8の名目官能価の開始剤)を基礎とするポリオールに関する。本発明の別の側面は、そのポリオールの製造方法である。本発明はまた、本発明のポリオールをイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造する方法、及びそれにより製造されたフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネートを、イソシアネートに反応性のある化合物、例えばポリエーテルポリオール(以下、一般にポリエーテルオールとも呼ばれている)、及び所望により、連鎖延長剤及び/又は硬化剤を、触媒、発泡剤、及び所望により難燃剤、助剤及び/又は添加剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法は、一般に知られている。特許文献1〜7(順に、米国特許第4554295、4810729、5143941、5260347、5290823、5830926及び6228889号)を参照。これらの開示内容はここに盛り込まれている。
【0003】
ポリウレタンフォームの特性、例えば、可撓性、剛性、密度、硬度、強度及び伸び特性は、出発材料、反応剤比及び他の反応パラメータを変えることにより調節することができる。ポリウレタンフォームを形成するために使用されるポリエーテルポリオールを変更することは、フォーム特性を変える良く知られた手段である。開始剤の選択、及び特に開始剤の官能価の選択は、得られるポリオールに影響を与え、結果としてそれから作製されるフォームの特性に影響を与えることは知られている。
【0004】
従来から、硬質ポリウレタンフォームは、2〜8の名目官能価(nominal functionality)を有するポリオールから作製される。剛性、密度及び寸法安定性を改良するために、8より大きい官能価を有するイソシアネート−反応性化合物から硬質ポリウレタンフォームを製造することが望ましい。しかしながら、8より大きい官能価のポリオールを製造しようとするこれまでの試みでは、その工業的製造を現実のものとするには困難があった。特に、8より大きい官能価の開始剤は、屡々加工が困難な固体であり、またポリオールを製造するために工業的規模で使用するには余りにも高価すぎるものでもある。より高い官能価の開始剤に基づくポリオールは、高粘度及び/又は劣ったろ過性を有するとの不利な傾向もある。従って、硬質ポリウレタンフォームに使用される、8より大きい官能価を有し、廉価で加工性が改良されたポリオールは必要である。
【0005】
軟質ポリウレタンフォームは、従来から、一般に名目官能価が3のトリオールを基礎とするポリオールを用いて製造されている。このようなポリオールから製造された軟質フォームは、適当な硬度、張力、引き裂き、伸び及び圧縮永久歪の性能を有している。トリオールを基礎とするポリオールの欠点は、人工ポリオール(例、グリセリン/ソルビトール共開始ポリオール)の現在の状態に比較して一般にその低い反応性(分子量構築の速度)である。低反応性は、フォーム製造により長いサイクル時間がかかり、フォームの製造コストを上昇させる。より高い官能価のポリオールは、反応中にポリウレタンフォーム内で分子量をより速く構築し、従ってより有効に高い反応性をもたらすことは当該技術者には認識されている。より高い官能価ポリオールのより速い分子量構築の特徴を利用するために、ソルビトール及びスクロースを基礎とするポリオールが、グリセリンを基礎とするポリオールと共に、軟質フォームを形成するのに使用されてきた。2種の開始剤の使用により得られるポリオール成分は、トリオールを基礎とするポリオールより高い反応性を有し、より高いフォーム安定性をもたらす。
【0006】
グリセリン/ソルビトール及びグリセリン/スクロースを基礎とするポリオールの欠点は、フォーム硬度はトリオールを基礎とするフォームとほぼ同じであるが、引張、引き裂き及び伸びの特性は、スクロース及びソルビトールポリオールを基礎とするフォームでは低下することである。この引張、引き裂き及び伸びの損失は、最終製品の二次加工を困難にする。引張、引き裂き及び伸びの低下は、性能、特に耐久性能を低下させる。従って、トリオール−開始ポリオールより反応性は高いが、これらのフォームと同等又はより良好な引張、引き裂き及び伸びの特性をもたらすような、軟質ポリウレタンフォーム形成に使用する新規なポリオールが求められている。
【0007】
ポリオールの開始剤として、デンプン水解物を使用する試みもなされている。デンプンポリマーは文献に数多く記載されており、エーテル結合で相互に結合されたグルコース環の鎖から構成されている。加水分解されたデンプンでは、デンプンポリマー分子を含むグルコース環は、手つかずで残っているが、一方そのポリマーはグルコース環の間のエーテル結合でより小さいオリゴマーに分解される。デンプンの水解物は、アルコキシル化されてポリオールを形成し得るが、アルコキシル化の工程中に望ましくない副反応受け易い。オリゴマーの末端単位はデンプンポリマーの加水分解に由来するものであるので、上記副反応はヘミアセタールグルコースの存在によるものと考えられる。これらのヘミアセタール末端単位は、グルコースのヒドロキシアルデヒド体と平衡関係にある。強塩基の存在で、グルコースのヒドロキシアルデヒド/ヘミアセタール体は、アセタール結合より安定性が小さく、望ましくない副反応を受けやすい。原則として、ポリエーテルオールを与えるアルキル化反応に触媒作用を及ぼす際に一般に使用されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物塩基等の強塩基の存在で、ヘミアセタール環が、ヒドロキシアルデヒドに転化し、その後アルドール縮合及びカニッツァロ反応を受けて副生物を形成する。これらの副生物は、ポリオールの色の変化及び他の望ましくない特性をもたらし得る。開始剤として水素化されていない加水分解されたデンプンを使用することにより、ポリエーテルオールをもたらす傾向があるが、そのポリエーテルオールから除去するのが困難で且つ高価である副生物が存在するので、現代のポリウレタンフォーム生産にそのポリエーテルオールは受け入れられない。従って、副生物が含有することなく、廉価な原材料及び方法から製造される8より大きい官能価のポリオールが求められている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4554295号明細書
【特許文献2】米国特許第4810729号明細書
【特許文献3】米国特許第5143941号明細書
【特許文献4】米国特許第5260347号明細書
【特許文献5】米国特許第5290823号明細書
【特許文献6】米国特許第5830926号明細書
【特許文献7】米国特許第6228889号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の先行技術の欠点が解消されたポリオールを提供し、そして8より大きいモル平均官能価を有する1種以上の開始剤を基礎とする、ポリオール、ポリオール成分及びポリウレタンフォームールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
少なくとも1種のアルキレンオキシド、及び
アルキレンオキシドに反応性の水素を有する複数の種を含む少なくとも1種の第1の開始剤であって、且つ当該第1の開始剤が8より大きいモル平均官能価を有し、そして上記複数の種の最も大きい部分が18未満の官能価を有する種である、少なくとも1種の第1の開始剤、及び
任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオールを提供する。
【0011】
本発明では、用語「最も大きい部分」は、50%をより大きく、好ましくは100%未満であることを意味する。上記複数の種は、18未満の官能価を有する種を60%より大きい量で、望ましくは65〜95%の範囲の量で含むことができる。1つの好適態様では、第1の開始剤は、それぞれ6〜約27の名目官能価を有する種(複数)を含むことができ、その種の80〜90%が18未満の官能価を有する水素化されたデンプン水解物を含んでいる。
【0012】
本発明はまた、
少なくとも1種のアルキレンオキシド、及び
アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤、及び
任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオールを提供する。
【0013】
1つの態様では、第1の開始剤は、複数の種を含んでいる。この複数の種はそれぞれ6以上の名目官能価を有する種を含みことができる。
【0014】
本発明のポリオールは、それぞれ8より大きい名目官能価を有する、約5〜100質量%のアルコキシル化された種を含むことができる。
【0015】
1つの態様において、第2の開始剤が、2〜3の名目官能価を有する。この態様はまた、約5〜約50質量%の当該ポリエーテルポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有するアルコキシル化された種を含んでいるポリエーテルポリオールを提供する。
【0016】
本発明は、さらに
少なくとも1種のアルキレンオキシドを準備する工程a)、
アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤、及び
任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
を含む開始剤成分を準備する工程b)、及び
少なくとも1種のアルキレンオキシドを開始剤成分と反応させて、ポリエーテルポリオールを得る工程c)
を含むポリエーテルポリオールの製造方法を提供する。
【0017】
任意に、工程c)が、触媒の存在下に行われる。1つの態様において、第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含んでいる。本発明の別の側面では、第1の開始剤が水素化されたデンプン水解物を含んでいる。本発明のさらなる別の側面では、少なくとも1種のアルキレンオキシドを開始剤成分と反応させる前に、開始剤成分を形成するために開始剤はブレンドされ得る。
【0018】
1つの好適態様において、少なくとも1種のアルキレンオキシド、
アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、8より大きいモル平均官能価を有する水素化デンプン水解物を含む少なくとも1種の第1の開始剤、及び
任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオールが提供される。
【0019】
さらなる別の態様では、第2の開始剤が2〜3の名目官能価を有する種を含み、そして第1と第2の開始剤の比が、ポリエーテルポリオールが約2.2〜約4のモル平均官能価を有するように選択される。
【0020】
方法は、1種またはそれ以上のポリオールを別に開始しても、共開始しても良く、また単独または組み合わせて使用しても良い。
【0021】
本発明は、さらに第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含む方法及びポリオールを提供する。約5〜100質量%、好ましくは10〜100質量%、さらに好ましくは20〜100質量%の、ポリオールが、8より大きい名目官能価のアルコキシル化された種(複数)を含んでいる方法を提供することが、本発明の別の目的である。100%の上限は加工性を改善するため、必要により低下することが有利であり得る。
【0022】
本発明はまた、2〜3の名目官能価を有する少なくとも1種の第2の開始剤の使用を含む軟質フォーム用ポリオールの製造方法を提供する。約5〜50質量%、任意に7〜400質量%、そして好ましくは10〜30質量%のポリオールが、8より大きい名目官能価のアルコキシル化された種(複数)である方法を提供することが、本発明の別の目的である
好ましい態様において、第1の開始剤は水素化デンプン水解物(HSH)を含み、及び/又は第2の開始剤はグリセリン及び/又はジエチレングリコール(DEG)を含んでいる。
【0023】
また、上述の方法の反応物であるポリエーテルポリオール及びポリウレタンフォームを提供することが本発明の目的でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ポリエーテルポリオールは一般に、触媒の存在下、オキシランまたはアルキル−、アリール−またはアラルキル(アリールアルキル)−置換オキシランと反応した種々の開始剤のアルコキシル化生成物である。ポリウレタン化学におけるポリオール、その製造方法、性質及び用途の概観は、例えば、"Kunststoff-Handbuch", 第7巻, Polyurethane, 第3版, 1993, G. Oertel編集, Carl Hanser Verlag, Munichに記載されている。
【0025】
アルキレンオキシドと反応して重合を受ける活性水素を有する開始剤分子は、ポリオールに所望の官能価及び反応性を与えるように選択される。当該技術分野で公知の活性水素の例としては、−OH、−NHR、−SH、−COOH及び−C(O)NHR(Rは水素、アルキル、アリール又はアラルキルである)上の水素を挙げることができる。
【0026】
出願人の発明のポリオールは、比較的高い官能価、即ち8より大きいモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤を基礎としている。第1の開始剤は、8より大きい単一の官能価の分子から作製され、その分子は例えばマルチトールに限定されない。或いは、第1の開始剤は、相互に異なる官能価を有する複数の種を含んでいても良い。本発明では、複数の種を含む第1の開始剤は、開始剤のブレンドとして単に考えることもできるが、第1の開始剤は、複数の種及び官能価の分布を含むものでも良い。第1の開始剤が天然物から誘導される限り、官能価の分布を与える異なる種を含む誘導体を使用することが、単一種の誘導体を使用するより一般に経済的である。なぜなら、天然物は屡々誘導体の混合物であるからである。出願人の発明で有用な第1の開始剤は、官能価の分布を含むことが好ましい。第1の開始剤は6以上の名目官能価を有する複数の種を含んでいることが望ましい。好ました態様は、6〜33の範囲の名目官能価を有する種を含むことである。
【0027】
第1の開始剤が2個という少ない名目官能価を有する種を含むことができることが認識されている。例として、水素化デンプン水解物は、一般に痕跡量の水を含んでおり、及び/又は低い官能価の種を含んでも良い。望ましくは、痕跡量の水は35質量%未満、一般には20〜30質量%である。水は、当該技術分野で知られているように、ポリオール形成反応におけるジオールとして使用しても良く、又は除去しても良い。
【0028】
8より大きい(好ましくは9より大きい)名目官能価を有する種である、高い官能価の種の量は、ポリオール及びフォーム特性に影響を与えると考えられる。第1の開始剤における高官能価の異なる種の量は、多くの異なる官能価を与えるように選択されることが望ましい。本発明で有用な第1の開始剤は、8より大きい官能価を有する種を約78〜96%、9より大きい官能価を有する種を約36〜62%、及び12より大きい官能価を有する種を約12〜45%含むことが見いだされた。
【0029】
アルコキシル化された高官能価の開始剤種である、ポリオール中の高官能価種の量は、有効に使用又はろ過するのにポリオールを粘チョウにし過ぎることなく、フォームに改良された特性を与えるように選択される。ポリオール中の高官能価種の量は、原則として、5%より大きい。望ましくは、高官能価種は、ポリオール中に、約5%〜約100%、好ましくは約10%〜約100%、最も好ましくは約20%〜約100%の範囲の量で存在することである。上限は、加工性を改良するために低減され得る。約20%〜約90%の範囲も利用可能である。軟質フォームの製造に有用なポリオールを作製するために、ポリオールは、約5%〜約50%、好ましくは約7%〜約40%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲の高官能価種を含んでいることが有利である。硬質フォームポリオールを作製するために、高官能価が有益であり、実行可能な100%に近い開始剤の高官能価の量が、ポリオール又はフォーム特性に悪影響を与えない限り、好ましい。
【0030】
この例に限定されないが、適当な第1の開始剤は、水素化されたオリゴ−サッカライド(糖)、水素化ポリサッカライド及び水素化デンプン水解物である。8より大きい名目官能価を有する他の第1の開始剤も、適当な第1の開始剤と考えられ、第1の開始剤はまた、この中に記載しているように、異なる官能価の種を適当な範囲で含んでいる。
【0031】
出願人の発明の一態様によるポリオールは、8より大きい官能価を有する種を含み、水素化デンプン水解物(HSH)として知られている物質群から選択される第1の開始剤を基礎としている。水素化デンプン水解物としては、一般に、ソルビトール、マルチトール、及びさらに水素化オリゴサッカライド及び水素化ポリサッカライドを挙げることができる。第一の開始剤は、8より大きく、18未満の範囲のモル平均官能価を有することが有利である。第2の態様では、第1の開始剤は、約9〜11、好ましくは約10のモル平均官能価を有する。別の態様では、第1の開始剤は約12〜14のモル平均官能価を有する。
【0032】
本発明のポリオールを製造するために使用される第1の開始剤の種の官能価の範囲は、グリセリン/ソルビトール又はグリセリン/スクロースを基礎とするポリオールを用いて作製される類似のフォームに比較して、フォーム特性を改良するのに貢献する。一態様では、第1の開始剤として、6〜27の範囲の名目官能価及び約10のモル平均官能価の種を有する水素化デンプン水解物が使用される。このHSHの分析により、それは6、9、12、15、18、21、24及び27の名目官能価を有する種を含んでいることが示されている。本発明の第2の態様に有用である、別のHSHは、さらに30及び33の名目官能価の種を含み、約13のモル平均官能価を有している。
【0033】
水素化デンプン水解物は、トウモロコシ、小麦及び他のデンプン製造植物から誘導される天然材料である。水素化デンプン水解物を形成するために、デンプンポリマー分子は、グルコース環の間のエーテル結合においてより小さなオリゴマーに分解され、グルコース、マルトース、及びより高分子量のオリゴサッカライド及びポリサッカライドが製造される。得られる、末端単位としてヘミアセタールグルコース環を有する分子は、その後水素化され、ソルビトール、マルチトール、及び水素化されたオリゴサッカライド及びポリサッカライドを得る。デンプン水解物の水素化は、少しより高い官能価を得ることを可能にする。水素化も、グルコースのヒドロキシアルデヒド体を形成する末端単位の傾向を低下又は除去することが望ましい。従って、水素化は、開始剤の副反応、例えばアルドール縮合及びカニッツァロ反応がより少なくなり、ポリオール中の副生物の量が小さくなる。
【0034】
水素化デンプン水解物は、市販されており、廉価であり、そして再生可能な資源であるとの付加的利益をもたらす。市販の水素化デンプン水解物の例としては、LycasinR、PolysorbR RA1000及びMaltisorbR(Roquette社製)を挙げることができる。ソルビトール及びマルチトールに加えて、これらのシロップはより高分子量の水素化サッカライド種を含んでいる。
【0035】
1種以上の第2の開始剤は、任意に、活性水素を含む好適な開始剤分子から選択することができ、しかし水、アルコール、アミン、メルカプタン、カルボン酸及びカルボン酸アミド、又はこれらの混合物に限定されるものではない。好適な第2の開始剤は、第1の開始剤と混和性のあるものである。第1の開始剤の官能価範囲より低い官能価を有する第2の開始剤を選択することが望ましい。第2の開始剤は、2〜8の名目官能価を有する種又はこれらの混合物を含むことができる。選択された開始剤は、2〜5又は2〜4(好ましくは2〜3)の名目官能価を有することが有利である。軟質フォームでは、少なくとも1種の第2の開始剤は2〜3の名目官能価を有する。第2の開始剤を使用する場合、混和性があり、開始剤の混合物の粘度を低減させる物質を使用することが望ましい。
【0036】
第1及び第2の開始剤、又は第1及び第2の開始剤から作製されたポリオールは、特定のポリオール成分の目標とする官能価を達成するために選択された比率で組み合わされる。この例に限定されないが、11の平均モル官能価を有する第1の開始剤は、3の名目官能価の第2の開始剤と、50:50の比率で組み合わせることができ、その後アルコキシル化され、約7のモル平均官能価を有するポリオール成分を得る。軟質フォームでは、好ましいポリオール成分の官能価は約2.2〜約4の範囲である。この範囲のポリオール成分は、出願人の発明のポリオールを用いて、この例に限定されないが、11の平均モル官能価を有する第1の開始剤と3の名目官能価の第2の開始剤とを約1:7の比率で組み合わせることにより、得ることができる。
【0037】
適当な開始剤としては、アルコール又はその混合物(これらはモノマーでもポリマーでも良く、単官能でも多官能でも良い)を挙げることができる。モノマーアルコールとしては、ジオール、トリオール、及び高官能アルコールを挙げることができ、これらは脂肪族でも芳香族でも良い。限定されるものではない例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオール等のジオール;グリセロール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン等のトリオール;ジトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等のテトラオール;及びソルビトール、グルコース、フルクトース及びスクロース等の高官能アルコールを挙げることができる。他の好適なアルコールは、アミノ基も含むものである。開始剤分子は、−OH及び−NHR基の両方有する。例として、アルキルジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、及びジアルカノールアミンを挙げることができる。
【0038】
ポリマーアルコールはまた、本発明で有用である。ポリマーアルコールは、ヒドロキシ官能価を有するポリマーである。ほとんど慣用的に使用されるポリマーアルコールは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのオリゴマー及びポリマーである。オリゴマーとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコールを挙げることができる。ポリマーとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを挙げることができる。他のポリマーアルコールとしては、アルキレンオキシド又はアルキレンオキシドの混合物を、開始剤分子に重合することにより作製される。即ち、本発明のものを含むポリエーテルポリオールを、次のポリオキシアルキレンを形成する重合反応の開始剤分子として新たに使用することができる。
【0039】
アミン及びアルキルアミンが、少なくとも2個の反応性水素、好ましくは2〜3個の反応性水素を含む条件で、そのアミン及びアルキルアミンを開始剤分子として使用することもできる。これらは、モノアミン、ジアミン、トリアミン、高官能アミン、又はこれらの混合物であり得る。これらは、脂肪族、芳香族またはこれらの混合物でも良い。例えば、エチルアミン、アニリン、ドデシルアミン、デシルアミン、オレイルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、トルエンジアミン、プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラアミンを挙げることができる。
【0040】
有用なカルボキシル官能基を有する開始剤分子としては、一般式X−R−COOH[但し、Rが、アルキル基、芳香族基又はアルケニル基(これらは炭素原子数8〜20個を有する)、及びXが活性水素である。]を有する分子を挙げることができる。例えば、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、ドデカン二酸、デカン二酸、ヘキサドデカン二酸等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
N−アルキル脂肪酸アミドが、少なくとも2個の反応性水素、好ましくは2〜3個の反応性水素を含む条件で、このN−アルキル脂肪酸アミドを開始剤分子として使用することもできる。この場合、これらは、一般式R−C(O)NHR’[但し、Rが、炭素原子数8〜20個のアルキル基、R’が、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基又はアラルキル基(これらは炭素原子数2〜20個を有する)、及びXが活性水素である。]を有する。例えば、−OH及び−C(O)NHR’官能価の両方を有する脂肪酸エタノールアミドを挙げることができる。
【0042】
本発明で有用なアルキレンオキシドは、一般にオキシラン、又はアルキル−、アリール−若しくはアラルキル−置換オキシランである。置換オキシランでは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基は、1〜約20個或いはそれ以上の炭素を含む。例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びメチルスチレンオキシド、同様に高級アルキル基(例、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル)を有するオキシラン、を挙げることができる。アルキレンオキシドの混合物は、本発明の組成の末端の用途に求められる特性に依存して、使用することができる。最も慣用的に使用されるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシド異性体であり;従って、これらは本発明において好ましい。最も好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び1,2−ブチレンオキシドである。
【0043】
本発明で有用な重合触媒としては、アルキレンオキシド重合用の従来の基本触媒を挙げることができる。有機及び無機の両方の触媒を使用することができる。ポリオキシアルキレン製造用の従来の有機触媒としては、アルキル基の炭素原子数が1〜4個のアルカリ金属アルキレート、例えばナトリウムメチレート及びカリウムメチレート、ナトリウムエチレート及びカリウムエチレート、カリウムイソプロピレート、及びナトリウムブチレート、或いはこれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
任意ではあるが、適当に選ばれるべき触媒、この例に限定されないが、複金属(double metal)シアニド錯体(DMC)は、当該技術分野で公知のように、他の反応剤及び反応条件に対して変更して使用され得る。触媒的ポリオール形成に有用な複金属シアニド錯体(DMC)も、当該技術分野で良く知られている。DMC触媒の製造、及びポリオールを形成するエポキシドの重合におけるこのような触媒の使用は、米国特許番号第4472560及び4477589(Shell Chemical Company)、及び米国特許番号第3404109、3829505、3900518、3941849及び4355188(General Tire and Rubber)に記載されている。前述の特許の教示はここに取り込まれている。
【0045】
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物等の無機触媒を使用することができる。これらの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム及び水酸化ストロンチウムを挙げることができる。これらの中で、水酸化セシウム及び水酸化カリウムが特に好ましく、水酸化カリウムが最も好ましい。
【0046】
触媒の最初の出発割合は、最終生成物の合計量に対して、約0.002〜約10.0質量%、好ましくは0.01〜5.0質量%、そして最も好ましくは約0.01〜1.5質量%とすることができる。従来からそうであるように、触媒のより高い割合及び低い反応温度は、高分子量のポリオキシアルキレンが求められる場合に、使用される。反対に、低高分子量のポリオキシアルキレンが求められる場合、低い触媒濃度を高い重合温度に適度に利用され得る。重合の進行につれて、触媒は、アルキレンオキシドの添加で薄められ、このため反応容器中の触媒の質量%が最初の触媒の%レベルの1/2〜1/10に小さくなる。
【0047】
本発明のポリオールは、触媒の存在下、1種以上の第1の開始剤を含む開始剤にアルキレンオキシドを重合させることにより製造される。ポリオールを共開始することができる、即ち、1種以上の第1及び第2の開始剤を混合し、その混合物を触媒の存在下にアルキレンオキシドと反応させ、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを得る。或いは、1種以上の開始剤を個々に別の反応でアルコキシル化し、得られたポリオールをブレンドして、所望のポリオール成分を得る。共開始されたポリオール及び個々に開始されたポリオールは、単独で或いは一緒に混合して使用して、目標のヒドロキシル数及び官能価を有するポリオール成分を得ることができる。
【0048】
HSH−開始ポリオールを、水素化デンプン水解物と混和性のある第2の低官能価開始剤で共開始することが望ましい。出願人の発明の一態様において、共開始されたポリオールを、第1の開始剤としてHSHそして第2の開始剤としてジオールを用いて製造される。好ましいジオールはジエチレングリコールである。別の態様において、出願人は第1の開始剤としてHSHそして第2の開始剤としてトリオールを用いて、共開始されたポリオールを製造した。好ましいトリオールはグリセリンである。別の態様では、ポリオール成分は、異なる官能価を有する少なくとも2種のポリオールをブレンドして、ポリオール成分のための選択された最終官能価を達成することにより製造された。これ例に限定されるものではないが、3種の開始剤ポリオールは、開始剤としてHSH,グリセリン及びジエチレングリコールを用いて製造した。本発明の範囲内において、第1及び第2の開始剤、又は第1、第2及び第3の開始剤の他の変化は、当該熟練技術者の1人によって容易に処方することができるであろう。
【0049】
本発明のポリオールを製造するアルコキシル化反応において、アルキレンオキシド又はアルキレンオキシドの混合物を適当な順序で加えることができ、また増加分を適当な数で加えることができ、或いは連続的に加えることができる。1種より多いアルキレンオキシドを反応器に一度に加えると、アルキレンオキシドの分布がランダムなブロック、いわゆるヘテリックブロック(heteric block)が形成される。選択されたアルキレンオキシドのブロックポリオキシアルキレンを製造するために、アルキレンオキシドの最初の充填物が反応容器内の開始剤分子に加えられる。最初の充填後、第2の充填物を加えることができ、反応は完結に進む。最初の充填物及び第2の充填物が相対的に異なるアルキレンオキシドの組成を有する場合、ブロックポリオキシアルキレンが製造される。このように形成されたブロックが全てエチレンオキシド、或いは全てプロピレンオキシド、或いは全てブチレンオキシドで、ブロックポリオールを製造することが好ましいが、中間の組成で製造することも可能である。ブロックを適当な順序で加えることができ、また適当な数のブロックも可能である。例えば、エチレンオキシドの第1のブロックを加え、次いでプロピレンオキシドの第2のブロックを加えることができる。或いは、プロピレンオキシドの第1のブロックを加え、次いでエチレンオキシドの第2のブロックを加えることができる。第3の続くブロックも加えても良い。全てのブロックの組成は、目的の用途に必要な特性が最終材料にもたらされるように選択される。
【0050】
本発明のポリウレタンフォームは、一般に、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分とを、発泡剤の存在下、任意に付加的なポリヒドロキシル含有成分、連鎖延長剤、触媒、界面活性剤、安定剤、色素(染料)、フィラー及び顔料の存在下に、反応させることにより製造される。
【0051】
ポリオール成分の物質の1種は、固体ポリマー粒子も含むポリオールである、グラフト又はポリマーポリオールとして当該技術分野で公知のポリオールであっても良い。グラフトポリオールは当該技術分野で良く知られており、典型的には、1種以上のビニルモノマー、好ましくはアクリロニトリル及びスチレンを、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールの存在下にその場で重合することにより製造される。このようなグラフトポリオールの製造方法は、米国特許番号第Re33219に記載されており、ここに取り込まれている。本発明の一態様において、ポリオール成分は5〜70質量%の固体含有量を有する。ポリマー粒子は、アクリロニトリル:スチレン比が4:1〜1:4の範囲にあるアクリロニトリル:スチレンであることが望ましい。
【0052】
本発明のポリウレタンフォームの製造に使用することができる適当な連鎖延長剤としては、活性水素原子を有する少なくとも2個の官能基を有する化合物、例えば水、ヒドラジン、一級モノアミン及び二級ジアミン、アミノアルコール、アミノ酸、ヒドロキシ酸(オキシ酸)、ジオール又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
適当なウレタン―形成触媒であればどのようなものでも、本発明のフォームの製造に使用することができ、その例としては、三級アミン(例、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチルピペラジン、3−メトキシプロピルジメチルアミン、N,N,N’−トリメチルイソプロピルプロピレンジアミン、3−ジエチルアミノプロピルジエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等を挙げることができる。他の適当な触媒としては、例えば、塩化第一スズ、ジブチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、酸化第一スズ、同様に、米国特許番号第2846408に開示されているような他の有機金属化合物を挙げることができる。任意に、発泡触媒、例えばビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを添加することができる。
【0054】
界面活性剤は、細泡崩壊を防止し、良好なセル構造を促進するために、本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造に屡々有用である。夥しい数の界面活性剤が有効であることが分かっている。シリコーンポリエーテル等の非イオン界面活性剤が好ましい。他の有用な界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステルの三級アミン又はアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、及びアルキルアリールスルホン酸を挙げることができる。
【0055】
細泡ポリウレタンフォームの好適な製造方法は、米国特許番号第Re.24514に、それと組み合わせて使用される好適な装置類と共に開示されている。発泡剤として水を加えてCO2を発生させる場合、水との反応に対応する過剰のイソシアネート量が使用され得る。二段階プレポリマー法によりポリウレタンフォームの製造を進めることが可能である。第一段階で、過剰の有機ポリイソシアネートを本発明のポリオールと反応させ、遊離イソシアネート基を有するプレポリマーを得る。第二段階において、プレポリマーを水及び/又は付加的ポリオールと反応させてフォームを得る。或いは、成分を、ポリウレタン製造の「ワンショット」法として従来から知られている単一の作業工程で反応させることができる。さらに、水の代わりに、低沸点炭化水素(例、シクロペンタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ペンテン、及びヘプテン);アゾ化合物(例、アゾヘキサヒドロベンゾジニトリル);CFCハロゲン化炭化水素(例、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロエタン、HCFC炭化水素、HFC炭化水素、及び塩化メチレン)を発泡剤として使用することができる。
【0056】
硬質ポリウレタンフォームの製造は当該技術分野で良く知られており、二種の成分A及びBを混合する工程を含んでいる。原則として、イソシアネートと反応する化合物、難燃剤、発泡剤、触媒、及び使用する場合、助剤及び/又は添加剤を混合し、A成分を形成し、一方ポリイソシアネートに、所望により難燃剤、助剤及び/又は添加剤、及び不活性の物理的発泡剤を予備混合して、成分Bとして使用する。ポリウレタン含有フォームの製造方法の種々な並び替え・変更は良く知られている。上記方法について、そして種々な触媒、発泡剤、界面活性剤、他の添加剤及びポリイソシアネートについては、米国特許番号第4209609に記載されており、ここにとり込まれており、またこの文献で引用された文献も取り込まれている。
【0057】
硬質ポリウレタンフォーム組成物は、一般に、300〜1000分子量でヒドロキシル数160〜1000のポリマーを使用する。硬質フォーム製造するための公知且つ慣用のポリオールは、例えば1分子当たり2〜8のヒドロキシル基を有し、好ましくは少なくとも3個(さらに好ましくは3.5個)の数平均官能価を有し、そして100mgKOH/gより大きいヒドロキシル数を有するポリエーテルポリオールである。硬質フォームの用途に有用な、出願人の発明のポリオールは、平均で、1分子当たり6より大きい、好ましくは8より大きいヒドロキシル基を有する。硬質フォームでは、ポリオール成分は、原則として、連鎖延長剤及び/又は架橋剤も含んでいる。使用される連鎖延長剤は、2官能の、低分子量アルコール、特に400までの分子量を有するものであり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。使用される架橋剤は、少なくとも3官能の、低分子量アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース又はソルビトールである。ポリイソシアネートとして、慣用、公知の脂肪族、特に芳香族ポリイソシアネートが使用される。硬質フォーム組成物は、原則として100〜300NCO指数(index)を使用する。
【0058】
本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するために、有機の、変性又は非変性ポリイソシアネートを、本発明のポリエーテルポリオールを含むイソシアネート−反応性化合物と、発泡剤、及び任意に触媒、難燃剤、助剤及び/又は添加剤の存在下に、反応させる。反応温度は、0〜100℃、好ましくは15〜80℃の範囲である。ポリイソシアネートのイソシアネート−反応性種に対する適当なモル比は、約0.5〜約2、好ましくは約0.8〜約1.3である。一般に、NCO基当たり、約1個の反応性水素原子が、イソシアネートに対して反応性の化合物中に存在し、そして発泡剤として水を使用した場合、水当量のNCO基当量に対するモル比は、0.5〜5:1、好ましくは0.7〜0.95:1、さらに好ましくは0.75〜0.85:1である。軟質フォームは、原則として、500〜3000の平均当量質量及び20〜100のヒドロキシル数のポリオール成分と共に、フォーム組成物中の全ポリオール含有量の一部としてポリマーポリオールを使用している。軟質フォームを製造するために使用されるポリオールのモル平均官能価は約2.2〜約4の範囲にあることが好ましい。
【0059】
軟質ポリウレタンフォームは、2成分A及びBを混合することによりワンショット法によって製造することが有利である。硬質フォーム処方と同様に、イソシアネートに対して反応性の化合物、難燃剤、発泡剤、触媒、及び使用する場合には助剤及び/又は添加剤を混合し、A成分を形成し、一方ポリイソシアネートを、所望により難燃剤、助剤及び/又は添加剤、及び不活性な物理的発泡剤と予め混合して、成分Bとして使用する。反応混合物は、開放金型又は密閉金型で発泡させ、ブロックフォームを得る。
【0060】
以下の実施例は、出願人の発明の要旨を限定するものではない。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
本発明のポリオールAを、グリセリンと、約75質量%のソルビトール、マルチトール及び水素化されたオリゴ−及びポリ−サッカライド種を含む(残りの約25質量%は水である)市販の水素化デンプン水解物シロップ(HSH1)で共開始することにより製造した。HSH1の第1の開始剤は、約10のモル平均官能価を有し、そして水除去後において6〜27の名目官能価の種を有していた。96質量%の種は、8より大きい名目官能価を有し、36質量%の種は、9より大きい名目官能価を有していた。HSH1のグリセリンに対する比は、45:55であった。ポリオールAは、約19質量%のポリオールのエチレンオキシドキャップ(cap)及び29.3のヒドロキシル数を有するものであり、そして以下の方法で製造された:所望量のHSH水溶液、第2の開始剤及び水酸化カリウム水溶液をステンレススチール反応器に充填する。混合物を撹拌しながら105℃まで加熱する。10mmHgの真空にし、溶液の水を除去する。大量のプロピレンオキシドを加え、約250〜500のヒドロキシル数にする(約200〜100の当量質量)。第1のポリオール生成物の一部を第2の圧力反応器に加える。105℃に加熱し、多量のプロピレンオキシドを、次いで多量のエチレンオキシドを加え、最終生成物としての所望のヒドロキシル数及びエチレンオキシド末端ブロックの所望のレベルが達成される。水酸化カリウム触媒を除去し、所望の量のBHTで安定化させる。
【0062】
[実施例2]
本発明のポリオールであるポリオールBを、実施例1に記載の手順に従い製造した。第1及び第2の開始剤は、それぞれHSH1及びジエチレングリコール(DEG)であった。HSH1〜DEGの比率は20:80であった。ポリオールBは、ポリオールの約19質量%のエチレンオキシドキャップを有するものであった。
【0063】
[実施例3]
ポリオールA及び3の名目官能価を有するグリセリン−開始ポリオール(ポリオールC)を、ポリオールCに対するポリオールAの比が40:60で混合し、本発明の別のポリオール(以下「実施例3のポリオール」と呼ぶ)を形成した。得られたポリオールは、約4.2のモル平均官能価を有していた。
【0064】
[実施例4]
ポリオールA、B及びCを、A:B:Cを30:50:20の比で混合し、本発明のさらに別のポリオール(以下「実施例4のポリオール」と呼ぶ)を形成した。ポリオールはHSH1/DEG開始ポリオールから作製され、得られたポリオールは、実施例3のものよりモル平均官能価が低かった。実施例4のポリオールのモル平均官能価は約3.0であった。
【0065】
[実施例5]
ポリオールA、B及びCを、A:B:Cを35:25:40の比で混合し、本発明のさらに別の3開始剤のポリオール(以下「実施例5のポリオール」と呼ぶ)を形成した。実施例4に比較して、この実施例のポリオールは、2倍のグリセリン開始ポリオールの量、少し増加したHSH1/グリセリン開始ポリオール、及び約50%減少したHSH1/DEGポリオールの量を有していた。ポリオールA、B及びCの割合の変更により、モル平均官能価は約3.2であった。
【0066】
[実施例6]
本発明のフォームと比較するために、グリセリン/ソルビトール−開始ポリオール(ポリオールD)を選択し、これらからフォームを製造した。
【0067】
ポリオールC、及び実施例3、4、5及び6のポリオールのそれぞれのゲル粘度分布を、LV−4スピンドルを装備したブルックフィールド(Brookfield)DV-IIIレオメータを用いて測定した。検討された各材料は、以下の手順で、同じ3つのもので行った。400gのポリオール及び0.8gのDabco 33LVを、100mlのプラスチックビーカに加え、2インチの回転翼及び電気ミキサーを用いて1分間当たり2000回転(rpm)で2分間混合し、アルミニウムホイルでしっかりと覆った。その後、3個のサンプルを、25℃の水浴に少なくとも2時間放置した。各ビーカを断熱ジャケット内に置き、10秒間撹拌した。撹拌しながら、100指数に等しい予め計量した量のTDIを各サンプルに添加し、得られた混合物を20秒間撹拌した。その後、レオメータの回転翼を反応混合物に挿入し、初期のスピンドルの速度を20rpmから1rpmに落として、データを集めた。測定トルクがミキサーの最大トルクの50%に達する毎に、ミキサーを毎分1回転だけ遅くした。粘度及び温度のデータは20秒ごとに記録した;結果のグラフを図1に示す。実施例3〜6のゲル粘度分布には、反応混合物の粘度の急速な増加は約500秒で始まることが示されている。従来技術のトリオールに基づくポリオールである、ポリオールCのゲル粘度分布は、500秒で顕著に低い粘度を示している。実施例3〜6及びポリオールCの曲線の勾配を比較すると、ポリオールCフォームの全体の粘度増加はよりゆっくりであることが示されている。本発明(実施例3〜5)のポリオール及びグリセリン/ソルビトール開始ポリオール(実施例6)は、同様の粘度分布を示している。粘度増加は、ポリウレタンフォームの分子量の増加に関連することが当該技術分野では知られている。このデータは、本発明のポリオールがグリセリン/ソルビトール開始ポリオールと同様の速度で反応し、従来のトリオールに基づくポリオールより分子量の構築速度が遙かに速いとの結論を支持している。評価のために機械製造フォームを、実施例3〜6のポリオールを用いて、市販の発泡機(foaming equipment)により製造した。フォームは、表1に記載の反応剤比に従い製造した。水は実施例3〜6で製造されたフォームにおける化学発泡剤として使用した。
【0068】
表1で「ポリオール成分」で列挙した物質は、予めブレンドして、樹脂を形成し、その後、発泡前に24〜72時間熟成させた。2000psiの混合圧力が、樹脂とイソシアネートの両方に対して維持された。フォームは、15×15×4in3の矩形の加熱された金型に65℃で投入し、6分後離型した。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
実施例3〜6から得られるフォームのサンプルは、耐圧縮(クラッシュ)性の試験を行った。フォームを金型から高温で除去し、軟質フォームに対するIFD試験で規定されたものと同一の圧子の先を装備したフォース−ツー−クラッシュ(force-to-crush)(FTC)を用いて圧縮(クラッシュ)に付した(ASTM D3574)。機械により、フォームが各サイクル50%まで圧縮して10サイクル圧縮し、各サイクルに必要な力(force)を測定した。サイクル時間は約10秒であった。試験は、市販の圧縮操作をシミュレートしており、その操作では軟質フォームは圧縮されてセルを開放する。表3は圧縮試験の結果を含んでいる。
【0072】
【表3】

【0073】
圧縮試験により、本発明のフォームは、実施例6(グリセリン/ソルビトール開始ポリオールに基づくフォーム処方)に比較して、実質的に同じフォース−ツー−クラッシュであるか、又はより小さいフォース−ツー−クラッシュを必要とすることが示されている。フォームが実質的に安定、即ちフォームが良好な嵩及び剪断安定性を有する限りにおいて、より小さいフォース−ツー−クラッシュは軟質フォームの製造に好適である。余りにも高いフォース−ツー−クラッシュが必要なフォームはクラッシュ操作中にフォームの引き裂きが生ずる。これは、フォームがインサート、例えば金属インサートを含む場合に、特に問題である。
【0074】
実施例3〜6で製造されたフォームのサンプルは、1−インチ開口部を有するローラークラッシャーを2回通した後物理特性を試験した。フォームは、密度、硬度、引張強度、引き裂き強度、伸び、レジリエンス及び圧縮永久歪みについて試験した。全てのパラメータは、ウエット圧縮永久歪み以外はASTM法D3574に従い試験した。ウエット圧縮永久歪み法は、JIS−K−6400(日本工業規格)と同じである。その方法は、ASTM法D3574−2002のテストLとして含まれている。簡単に述べれば、その方法は、50℃、相対湿度95%に22時間曝して、30分間回復させる。表4はフォームについてなされた上述の物理試験の結果を示している。
【0075】
【表4】

【0076】
物理試験により、出願人の発明のポリオールから作製されたフォームはグリセリン/ソルビトール開始ポリオールと同様の特性を有するが、引張強度、引き裂き強度及び伸びの特性においては改良されていることが示されている。
【0077】
[実施例7]
以下の手順に従い、HSH1で開始することにより硬質フォーム用途に使用されるより低い当量(質量)のより高い官能価のポリオールを製造した:所望量のHSH水溶液、最終生成物の一部、及び水酸化カリウム水溶液をステンレススチール反応器に充填する。混合物を撹拌しながら110℃まで加熱する。10mmHg以下の真空にし、溶液の水を除去する。大量のオキシドを加え、約250〜1000のヒドロキシル数にする(約200〜100の当量)。水酸化カリウム触媒を除去し、BHTで安定化する。実施例7では、約350OH数のポリオールを得るために、プロピンオキシドのみを十分な量加えた。硬質ポリオールのモル平均官能価は、9.6であった。第2の開始剤は使用しなかった。最終生成物の末端(heel)は加工性の改良に使用された。第1のバッチでは、低分子量ソルビトールポリオールを最終生成物の末端の置換物として反応器に充填した。初期の反応混合物中のソルビトールの量は低かった(94%HSH、6%ソルビトール)。結局、この残さのソルビトール出発材料は最終生成物のかなりの部分である。なぜなら、前の反応で得られる末端(heel)は、数個のバッチの後、実質的に100%のHSHで開始される生成物の製造をもたらす次のポリオールを、製造するために使用されるからである。
【0078】
[実施例8]
本発明の別のポリマーは、実施例1と同じ手順で製造されるが、HSH1は、100%未満の水をエポキシド内の反応の前に除去しながら、第1の開始剤として使用される。異なる官能価を有する種々のポリオールは、除去された水の量に依存して、この工程から得ることができる。
【0079】
前述の発明は、直接関係する法律基準に従い記載した。開示された態様の変化及び変更は、当該技術者により明らかであり、本発明の範囲内においてなされるであろう。従って、本発明に与えられる法的保護範囲は、下記の請求の範囲を検討することによってのみ決定することができる。
【0080】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、本発明のポリオール及び2つの比較ポリオールを用いたゲル粘度分布の粘度対時間のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有する複数の種を含む少なくとも1種の第1の開始剤であって、
i)第1の開始剤が8より大きいモル平均官能価を有し、そして
ii)上記複数の種の最も大きい部分が18未満の官能価を有する種である、
少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項2】
第1の開始剤が、水素化デンプン水解物を含む請求項1に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項3】
水素化デンプン水解物が、それぞれが6〜約27の名目官能価を有する複数の種を含む請求項2に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項4】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項5】
第1の開始剤が、複数の種を含む請求項4に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項6】
複数の種が、それぞれ6以上の名目官能価を有する請求項5に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項7】
約5〜100質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項1又は4に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項8】
少なくとも1種の第2の開始剤が、2〜3の名目官能価を有する請求項1又は4に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項9】
約5〜約50質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項8に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項10】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシドを準備する工程;
b)i)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤、及び
ii)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
を含む開始剤成分を準備する工程;及び
c)少なくとも1種のアルキレンオキシドを開始剤成分と反応させて、ポリエーテルポリオールを形成させる工程
を含むポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項11】
第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
約5〜100質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程c)が、触媒の存在下に行われる請求項10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の第2の開始剤が、2〜3の名目官能価を有する請求項10に記載の方法。
【請求項15】
約5〜50質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程c)の前に、複数の開始剤を混合し、開始剤成分を得る工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、8より大きいモル平均官能価を有する水素化デンプン水解物を含む少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項18】
少なくとも1種の第2の開始剤が2〜3の名目官能価を有する種を含み、そして第1と第2の開始剤の比が、ポリエーテルポリオールが約2.2〜約4のモル平均官能価を有するように選択される請求項17に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項19】
第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項17に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項20】
a)有機イソシアネート及び
b)請求項1〜9及び17〜19のいずれか1項に記載のポリエーテルポリオール
を、
c)発泡剤及び
d)任意に、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、フィラー、顔料、酸化防止剤及び安定剤
の存在下に反応させることにより得られる反応生成物を含み、且つ
上記ポリオールが約2.2〜約4のモル平均官能価を有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項21】
a)有機イソシアネート及び
b)請求項1〜9及び17〜19のいずれか1項に記載のポリエーテルポリオール
を、
c)発泡剤及び
d)任意に、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、フィラー、顔料、酸化防止剤及び安定剤
の存在下に反応させることにより得られる反応生成物を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有する複数の種を含む少なくとも1種の水素化デンプン水解物の第1の開始剤であって、
i)第1の開始剤が8より大きいモル平均官能価を有し、そして
ii)上記複数の種の最も大きい部分が18未満の官能価を有する種である、
少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項2】
水素化デンプン水解物が、それぞれが6〜約27の名目官能価を有する複数の種を含む請求項1に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項3】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項4】
第1の開始剤が、複数の種を含む請求項3に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項5】
複数の種が、それぞれ6以上の名目官能価を有する請求項4に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項6】
約5〜100質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する種を含んでいる請求項1又は3に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項7】
少なくとも1種の第2の開始剤が、2〜3の名目官能価を有する請求項1又は3に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項8】
約5〜約50質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する種を含んでいる請求項7に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項9】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシドを準備する工程;
b)i)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、実質的にヒドロキシアルデヒド官能基を持たず、そして8を超えて18未満の範囲のモル平均官能価を有する少なくとも1種の第1の開始剤、及び
ii)任意に、アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
を含む開始剤成分を準備する工程;及び
c)少なくとも1種のアルキレンオキシドを開始剤成分と反応させて、ポリエーテルポリオールを形成させる工程
を含むポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項10】
第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
約5〜100質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程c)が、触媒の存在下に行われる請求項9に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種の第2の開始剤が、2〜3の名目官能価を有する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
約5〜50質量%の当該ポリオールが、それぞれ8より大きい名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程c)の前に、複数の開始剤を混合し、開始剤成分を得る工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項16】
a)少なくとも1種のアルキレンオキシド;
b)アルキレンオキシドに反応性の水素を有し、8より大きいモル平均官能価を有する水素化デンプン水解物を含む少なくとも1種の第1の開始剤;及び
c)アルキレンオキシドに反応性の水素及び2〜8の名目官能価を有する第2の開始剤
の反応生成物を含むポリエーテルポリオール。
【請求項17】
少なくとも1種の第2の開始剤が2〜3の名目官能価を有する種を含み、そして第1と第2の開始剤の比が、ポリエーテルポリオールが約2.2〜約4のモル平均官能価を有するように選択される請求項16に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項18】
第1の開始剤が、それぞれ6以上の名目官能価を有する複数の種を含んでいる請求項16に記載のポリエーテルポリオール。
【請求項19】
a)有機イソシアネート及び
b)請求項1〜8及び16〜18のいずれか1項に記載のポリエーテルポリオール
を、
c)発泡剤及び
d)任意に、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、フィラー、顔料、酸化防止剤及び安定剤
の存在下に反応させることにより得られる反応生成物を含み、且つ
上記ポリオールが約2.2〜約4のモル平均官能価を有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項20】
a)有機イソシアネート及び
b)請求項1〜8及び16〜18のいずれか1項に記載のポリエーテルポリオール
を、
c)発泡剤及び
d)任意に、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、フィラー、顔料、酸化防止剤及び安定剤
の存在下に反応させることにより得られる反応生成物を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2006−503931(P2006−503931A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−522154(P2004−522154)
【出願日】平成15年1月14日(2003.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/000265
【国際公開番号】WO2004/009671
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】3000 Continental Drive−North,Mount Olive, NJ 07828−1234, U.S.A
【Fターム(参考)】