説明

フコキサンチンを有効成分とするケラチン含有組織保湿用経口組成物

【課題】フコキサンチンの経口投与による新規効果を見出し、それを利用したフコキサンチンの新規用途を提供する。
【解決手段】フコキサンチンを有効成分とするケラチン含有組織保湿用経口組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口で投与することにより、毛髪、皮膚等のケラチン繊維含有組織を保湿することのできる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フコキサンチンはカロテノイド色素の一つであり、褐藻類の主要なカロテノイドである。
【0003】
このフコキサンチンには培養細胞による試験等により血管新生抑制作用、エラスターゼ阻害作用、皮膚老化防止作用等があることが知られている(特許文献1〜3)。
【0004】
しかしながら、フコキサンチンの上記効果は経口投与では確認されていない。なお、フコキサンチンで経口投与により効果が知られているのは脂質代謝改善効果および血糖値抑制作用であり(特許文献4〜5)、フコキサンチンを実際にヒトに経口投与した場合にどのような効果が得られるかはほとんど知られていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−265313号公報
【特許文献2】特開2008−1623号公報
【特許文献3】特開2008−291004号公報
【特許文献4】特開2008−231057号公報
【特許文献5】特表2011−500556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明はフコキサンチンの経口投与による新規効果を見出し、それを利用したフコキサンチンの新規用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、フコキサンチンを経口投与することによりケラチン含有組織を保湿できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明はフコキサンチンを有効成分とするケラチン含有組織保湿用経口組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のケラチン含有組織保湿用経口組成物は、経口で投与するにもかかわらず、ケラチン含有組織を保湿することができ、特にケラチン含有組織内の水分量を増加することができる。
【0010】
そのため、上記経口組成物は、ケラチン含有組織である毛髪のつやを向上することができる。
【0011】
また、上記経口組成物は、ケラチン含有組織である皮膚の水分量や弾力を向上することができるのでしわを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】フコキサンチンの経口投与前後における毛髪のツヤの変化率を示す図である(実施例2)。
【図2】フコキサンチンの経口投与前後における皮膚の水分量の変化率を示す図である(実施例3)。
【図3】フコキサンチンの経口投与前後における皮膚の弾力の変化率を示す図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のケラチン含有組織保湿用経口組成物(以下、単に「本発明組成物」という)は、フコキサンチンを有効成分とするものである。このフコキサンチンは市販品を利用してもよいし、また、例えば、特開2004−35528号公報記載の方法により得られたものであってもよいし、更には、フコキサンチンを含有するコンブ、オキナワモズク等の食品素材を利用してもよい。
【0014】
本発明組成物におけるフコキサンチンの含有量は、特に限定されることはなく、例えば、1日あたり、1mg以上、好ましくは1〜5mgとなる量で含有されていればよい。
【0015】
本発明組成物は、常法に従い、上記必須成分であるフコキサンチンを製剤化することにより調製されるが、上記必須成分のほかに他の薬理活性成分や通常の医薬品に使用される成分を適宜その目的に応じて配合してもよい。
【0016】
本発明組成物の剤形としては、例えば、ソフトカプセル、タブレット、ハードカプセル等が挙げられ、これらの剤形の中でもソフトカプセルが好ましい。
【0017】
本発明組成物は上記量のフコキサンチンを1日1回または複数回に分けて投与すればよく、投与期間は少なくとも4週間、好ましくは6週間以上、より好ましくは8週間以上である。
【0018】
こうして本発明組成物を投与することにより皮膚、毛髪等のケラチン含有組織の保湿することができ、特にケラチン含有組織内の水分量を増加することができるので、皮膚の水分量の低下や弾力が失われることにより生じるしわや、毛髪の水分量が低下することによる生じる髪のつやの低下を改善することができる
【0019】
なお、本発明組成物を毛髪のつや増加用に用いる場合の好ましい態様としては、フコキサンチンを1日あたり1mg以上、好ましくは1〜5mgとなる量で含有されているものが挙げられる。
【0020】
また、本発明組成物を皮膚の水分量増加用に用いる場合の好ましい態様としては、フコキサンチンを1日あたり1mg以上、好ましくは2〜5mgとなる量で含有されているものが挙げられる。
【0021】
更に、本発明組成物を皮膚の弾力増加用に用いる場合の好ましい態様としては、フコキサンチンを1日あたり1mg以上、好ましくは1〜5mgとなる量で含有されているものが挙げられる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0023】
実 施 例 1
ソフトカプセルの調製:
フコキサンチン1mgを食用油脂100mgに分散させ、これを常法に従ってソフトカプセルに充填して、1粒あたりフコキサンチンを1mg含有するソフトカプセルを調製した。このソフトカプセルを1、2または3個投与することによりフコキサンチンの投与量を1、2または3mgとした。同様に上記の食用油脂のみを封入したソフトカプセルを調製し、フコキサンチンを含有しないプラセボ(対照)用のソフトカプセルとした。
【0024】
実 施 例 2
毛髪のツヤの測定:
実施例1で調製したソフトカプセルを各13人(何れも男性)に1日1回夕食後、4週間、経口投与した。投与開始前と、投与開始後4週に毛髪のツヤの測定、統計処理を以下の様にして行った。測定結果を図1に示した。
【0025】
<毛髪のつや測定方法>
測定装置としてはグローバルヘアーアンドフェイスフォトグラフィーシステム(NIKON
D200 DSLR Camera)を用いた。髪のつやは頭頂部全体の髪による光の反射の量(%)を指標とした。なお、被験者には、毛髪のツヤの測定前に洗髪をしてもらい、良く乾燥してもらってから、少なくとも10分間は恒温除湿(22±2℃、湿度40〜60%)の室内で皮膚安静を取ってもらってから測定した。
【0026】
<統計処理>
統計処理は双体検定法(paired t-test)で分析した。有意差5%未満(p<0.05)である場合のみ統計的有意差があるとみなした。統計分析はソフトウエア(SPSS10.0)で行った。
【0027】
図1で示される通り、髪のつやはフコキサンチンの投与量に依存して有意に高まることがわかった。特に、1mg群と3mg群では有意な差があった。
【0028】
実 施 例 3
皮膚の水分量:
実施例1で調製したソフトカプセルを各13人に1日1回夕食後、4週間、経口投与した。投与開始前と、投与開始後4週に皮膚の水分の測定を以下の様にして行った。また、統計処理については実施例2と同様にして行った。測定結果を図2に示した。
【0029】
<皮膚の水分量測定方法>
測定装置としてはコルネオメーター(CM825, Courage and Khazaka Electronic Co.)を用いた。皮膚の水分量は目尻から耳側にむけて1cmの所を測定した。皮膚の水分量は皮膚に通電する電気量を指標とした。なお、被験者には、皮膚の水分量の測定前に、少なくとも10分間は恒温除湿(22±2℃、湿度40〜60%)の室内で皮膚安静を取ってもらってから測定した。
【0030】
図2で示される通り、皮膚の水分量はフコキサンチンの投与量に依存して有意に高まることがわかった。特に、2mg群と3mg群では有意な差があった。
【0031】
実 施 例 4
皮膚の弾力:
実施例1で調製したソフトカプセルを各13人に1日1回夕食後、4週間、経口投与した。投与開始前と、投与開始後4週に皮膚の弾力の測定を以下の様にして行った。また、統計処理については実施例2と同様にして行った。測定結果を図3に示した。
【0032】
<皮膚の弾力測定方法>
測定装置措定はキュートメーター(MPA580, Courage and Khazaka Electronic Co.)を用いた。皮膚の弾力は目尻から耳側にむけて1cmの所を測定した。皮膚の弾力は皮膚を空気の力で皮膚を引き、それが元に戻るスピードを指標とした。なお、被験者には、皮膚の水弾力の測定前に、少なくとも10分間は恒温除湿(22±2℃、湿度40〜60%)の室内で皮膚安静を取ってもらってから測定した。
【0033】
図3で示される通り、皮膚の弾力はフコキサンチンの投与量に依存して高まることがわかった。
【0034】
実 施 例 5
タブレットの調製:
フコキサンチンと賦形剤を混合した後、常法に従って打錠し、1錠あたり200mgでフコキサンチンを1mg含有するタブレットを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の経口組成物は、経口投与によりケラチン含有組織を保湿できる。そのため、本発明の経口組成物は、美容目的に利用することができる。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フコキサンチンを有効成分とするケラチン含有組織保湿用経口組成物。
【請求項2】
フコキサンチンを1〜5mg含有するものである請求項1記載のケラチン含有組織保湿用経口組成物。
【請求項3】
ケラチン含有組織が毛髪である請求項1または2記載のケラチン含有組織保湿用経口組成物。
【請求項4】
ケラチン含有組織が皮膚である請求項1または2記載のケラチン含有組織保湿用経口組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−56862(P2013−56862A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197013(P2011−197013)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504426218)株式会社サウスプロダクト (15)
【Fターム(参考)】