説明

フコキサンチン抽出物を含有する組成物

本発明は、フコキサンチンの抽出物を含有する組成物に関する。この組成物は、さらにトコトリエノールおよび/またはフコイダンを含有する。この組成物は、肥満治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は藻類抽出物を含有する組成物に関する。特に、減量作用を有するフコキサンチン抽出物を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然カロテノイド、例えばβ‐カロテン、リコピン、ルテイン、フコキサンチンは、抗腫瘍特性および高いフリーラジカル除去能をもつため、これまで多くの研究がなされてきた。最近の研究では、数種類のカロテノイドが、さらに特殊かつユニークな薬理作用を有していることが発見された。
その中でも、フコキサンチン(fucoxanthin)は、減量作用を有していることが報告されている。フコキサンチンは、褐藻素とも呼ばれ、褐藻ケイソウ、金藻および黄緑藻に含まれている色素で、光化学系IIの要素として光合成に関与する。
フコキサンチンは分離する際に赤褐色の結晶を得ることが可能であり、それはキサントフィルの一種であるとともに、褐藻類に褐色を表示させる物質であり、褐藻類中に特有の色素であるといえる。ケイソウ類および他の藻類中に点在する。
時として、フコキサンチン(褐色素)と藻褐素(phycophaein、中国語では「褐藻素」と同様に訳されている)とは互いに混同される。しかしながら、藻褐素(phycophaein)は褐藻類に特有の水溶性の色素であると考えられており、植物体が死亡した後に、褐藻類中に含まれているフェノール化合物が酸化された後に形成される黄褐色の物質を指す。ゆえに、フコキサンチン(褐色素)と藻褐素(phycophaein)とは、本質的に異なる物質である。
これまでの研究から、フコキサンチンは、動物白色脂肪組織(WAT)中における、脱共役タンパク質UCP1遺伝子の発現を促進し、内臓脂肪を減少させることを示した。また、フコキサンチンによってラットおよび肥満KK‐Ayマウスの白色脂肪組織量が減少することが実証された。フコキサンチンの介在しているUCP1遺伝子の白色脂肪組織中における発現は、脂肪酸の酸化を促進させた(非特許文献1〜3参照)。
フコキサンチンの減量作用が人々に重視されているが、減量は、生体内における多くの生化学的反応を伴った複合的なプロセスであると認識すべきであり、単一成分の適用のみで理想的な効果を生じ得ることはないと認識すべきである。
そのため、当該分野において、減量作用を発揮させるため、特有の相乗効果を奏するフコキサンチン組成物が必要とされている。
【0003】
トコトリエノール(Tocotrienols)は、パーム油と米糠油の中に存在する一種の機能性成分で、化学構造がトコフェノールに類似する。
近年の研究により、トコトリエノールは、トコフェノールより優れた生理学的な機能を有していることが示された。ビタミンEは、各種の動物の各生長段階において非常に重要である。特に、生殖系、筋肉系、神経系及び免疫系などの最適な機能の発揮には欠かせないものである。ビタミンの中でよくビタミンEと呼称されるα‐トコフェノールは、活性が最も高く、分布も最も広い。そのため、これまでビタミンの重要な研究対象とされている。
しかしながら、最近の研究でトコトリエノールは、ある状況下で、抗酸化作用、抗腫瘍作用、コレステロール低下作用といった、α‐トコフェロールより優れた機能を有していることが示された。トコトリエノールのこれらの機能は、その構造に関係している。
トコトリエノールは、不飽和側鎖を含むため、大脳および肝臓などの飽和脂肪酸層を含む組織中に、より効果的に浸透し、細胞膜の脂質層内にも分布しやすいため、高い抗酸化活性およびフリーラジカルを除去することができる。現在、海外での研究が進んでいるが、中国では研究例が少なく、特に減量への応用における効果に関する研究は少ない。
【0004】
広大な面積をもつ海洋では藻類植物の栄養源が豊富に存在し、フコイダンは徐々に生物多糖源の一つとなっていった。
その藻類植物の生存環境が特異であるため、フコイダンはある独特な生理活性を有する。例えば、ラミナリンは、脾臓内の過酸化物の含有量を低下させ、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)の活性をカタラーゼ(CAT)の活性と同様に増加させることで、抗腫瘍効果を有する。
アマノリ類の多糖類、プロピレングリコールモノステアレート(PGMS;propylene glycol mannate sulfate)などは、抗血栓、微小循環を改善するなどの作用を有している。ラミナリン、アマノリ類の多糖類などは、生物の細胞に対して保護機能を有している。多くの研究結果により、フコイダンは商品開発および応用の幅が広がりを見せている。
【0005】
ここ10年間、日本の科学者は、褐藻類の海藻に対して多くの研究を行い、数千もの論文を発表した。これらの論文は、褐藻類の化学成分の分析、薬理作用の研究、および医薬と健康食品における潜在的な新しい用途等に関するものである。
これまでの研究により、褐藻の多糖類は多種の生理活性作用を有しており、抗腫瘍/人体免疫力の増強、抗アレルギー作用、肝臓保護作用、抗凝固活性、整腸作用、血中脂質量低下作用、抗潰瘍作用、血糖値低下作用、皮膚の保湿作用などを含む。そのため、フコイダン類は未来の多種の新薬の原料になる可能性があると指摘されている。
【0006】
今まで分離された様々な褐藻の多糖類の物質中では、フコイダンがその薬理作用によって、科学研究者に最も注目されている。フコイダンの含有量は、多くの海藻中で比較的高いだけでなく、またフコイダンはその薬理作用が多いため、新薬の原料として開発される可能性が最も高い。
さらに魅力的なことに、フコイダンは注目されている利点を多数有している。第1に、フコイダンは水溶性である(硫酸エステル類の化合物に属するため)。第2に、フコイダンは人体に吸収されやすく、人体に対して明らかな害毒作用がない。
現在、日本の研究者は、すでに異なる分子構造を有する3種類のフコイダン、すなわちG型、F型およびU型フコイダンの分離に成功している。この3種類のフコイダンを用いた動物実験の結果では、それら3種類のフコイダンは、非常に強い腫瘍細胞のアポトーシス誘導作用(すなわち腫瘍の進行を抑制する作用)を有しており、また体内における免疫の平衡化作用および生物細胞の再生を促進するなどの作用を有することを示した。この3種類のフコイダンは臨床上での抗腫瘍新薬として開発される見込みがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maeda H, Hosokawa M, Biochem. Biophys. Res. Commun., 332(2): 392-397 (2005)
【非特許文献2】Maeda H, Hosokawa M, Int. J. Mol. Med., 18(1): 147-152(2006)
【非特許文献3】Miyashita K, J. marine Bioscience and Biotechnology, 1(1): 48-58(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、フコキサンチン抽出物の減量作用に対する研究はすでに一応進展があるが、単独成分として用いられたときの減量作用は理想的ではない上に、フコキサンチン抽出物の組成物に対する研究はほとんどなされていない。
【0009】
上述の従来技術の問題点を解決するため、本発明の主な目的は、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、まず、フコキサンチン抽出物を含有する組成物を提供する。前記組成物は、トコトリエノールおよび/またはフコイダンをさらに含有する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記フコキサンチン抽出物は植物由来、微生物由来、または合成化合物由来である。より好ましくは、前記フコキサンチン抽出物は植物由来で、当該植物は海藻である。さらに好ましくは、前記海藻は、コンブ、ホンダワラ、ヒバマタ科の海藻、ウシハコベ、ミクロキスティス、ツルモ、ワカメ、ブルケルプ、カラギーナン、キモク、オカヒジキ、海蒿子およびケイソウの1種または2種以上で構成される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記トコトリエノールの由来は、植物由来、微生物由来、または合成化合物由来を含む。より好ましくは、前記トコトリエノールは植物由来である。さらに好ましくは、当該植物由来は、パーム、米およびアナトー(紅の木)の1種または2種以上である。トコトリエノールは、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノールまたはδ−トコトリエノールの中から選択される1種または2種以上の化合物である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記フコイダンは褐藻類の海藻由来であり、当該褐藻類の海草は、コンブ、ワカメ、ノリ、オカヒジキ、カラギーナン、テングサおよび大カナダ藻の1種または2種以上である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記の組成物は薬学的に許容できる助剤をさらに含む。当該助剤は、賦形剤、増粘剤、分散媒質、コーティング剤、甘味料などから選択する。
具体的に、前記助剤は、希釈液、粘結剤、潤滑剤、分散剤、着色剤、膨張剤、調味料、甘味料およびその他の各種材料、例えば緩衝剤、吸収剤、などを含む特定の治療に常用の組成物であるが、これらの物質に限らない。
当該分野の慣用技術を用いて上記の助剤を上記組成物に添加する。より好ましくは、上記の助剤は、加工でんぷん、デキストリン、中鎖トリグリセライド油、アカシア・ゴム、トゥイーン80、リン酸カルシウムの1種または2種以上から選択される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記薬物の組成物中に含まれるフコキサンチンの有効な用量は0.1mg〜20mgである。さらに好ましくは、前記フコキサンチンの用量は0.5mg〜15mgである。特に好ましくは、前記フコキサンチンの用量は1mg〜10mgである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記組成物中に含まれるトコトリエノールの用量は0.1mg〜50mgである。さらに好ましくは、前記トコトリエノールの用量は0.5mg〜40mgである。特に好ましくは、前記トコトリエノールの用量は1mg〜30mgである。
【0017】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記組成物中に含まれるフコイダンの量は0.1mg〜1000mgである。さらに好ましくは、前記フコイダンの用量は1mg〜600mgである。特に好ましくは、前記フコイダンの用量は10mg〜500mgである。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、本発明で提供される、減量作用をもつ組成物は、腸溶調合剤として製造することができる。前記調合剤は、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、沖剤、経口液体、懸濁液を含む。
【0019】
また、本発明は、被験者である哺乳動物に前記組成物を経口投与する条件下で、「減量」で表現される前記組成物の用途を提供するものである。
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記哺乳動物は人間である。
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記減量作用とは、被験者の体重の軽減である。
本発明の好ましい実施形態において、前記減量作用とは、被験者の腹部脂肪の減少である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、被験者が毎日服用するフコキサンチンの有効成分量は0.1mg〜20mgである。さらに好ましくは、前記フコキサンチンの用量は0.5mg〜15mgである。特に好ましくは、前記フコキサンチンの用量は1〜10mgである。
【0021】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、被験者が毎日服用するトコトリエノールの用量は0.1mg〜50mgである。さらに好ましくは、前記トコトリエノールの用量は0.5mg〜40mgである。特に好ましくは、前記トコトリエノールの用量は1〜30mgである。
【0022】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、被験者が毎日服用するフコイダンの用量は0.1mg〜1000mgである。さらに好ましくは、前記フコイダンの用量は1mg〜600mgである。特に好ましくは、前記フコイダンの用量は10mg〜500mgである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記毎日服用とは、1日1回の単回投与で服用することである。
本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記毎日服用とは、1日複数回の複数回投与で服用することである。
【発明の効果】
【0024】
本発明のデータによれば、フコキサンチンは一定の減量作用を有しており、その効果が、トコトリエノール単独の効果やフコイダン単独の効果より高いことを示した。フコキサンチンとトコトリエノールとを組み合わせて使用する時、両者は明らかな相乗効果を示した。フコキサンチンとフコイダンとを組み合わせて使用する時、両者も明らかな相乗効果を示した。フコキサンチンと、トコトリエノールおよびフコイダンの3種類の成分を組み合わせて使用する時、更なる明らかな相乗効果を示し、高い効率の減量作用を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実験結果を踏まえて、上述、その他の本発明の技術的特徴と優れた点について、さらに詳しく説明する。
【0026】
フコキサンチンは、コンブ、ホンダワラ、ヒバマタ科の海藻、ウシハコベ、ミクロキスティス、ツルモ、ワカメ、ブルケルプ、カラギーナン、キモク、オカヒジキ、海蒿子およびケイソウを含むグループの海藻から抽出される。
薬学的に許容できる助剤としては、すべての溶媒、分散媒質、コーティング剤、甘味剤などを含む。
具体的には、前記助剤は、希釈液、粘結剤、潤滑剤、分散剤、着色剤、膨張剤、調味料、甘味料およびその他の各種材料、例えば緩衝剤、吸収剤、などを含む特定の治療に常用の組成物であるが、これらの物質に限らない。当該分野の慣用技術を用いて前記助剤を添加する。
【0027】
本発明に係る組成物は、すべての常用剤形として製造することができる。例えば、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、沖剤、経口液体、懸濁液または乳剤である。
【0028】
本発明において、海藻から抽出してフコキサンチン抽出物を得るために、適切なエタノール水溶液を用いることができ、その抽出したフコキサンチンを分散媒質に吸着させ、適切な溶媒でフコキサンチンを抽出し、その抽出液を濃縮することにより、赤色のフコキサンチン抽出物が得られる。具体的な調製方法は、中国特許出願CN200810226391.3(フコキサンチンの精製方法)を参照することができる。
【0029】
フコキサンチンに乳化剤を加えて均一に乳化し、その後フコイダンおよび加工でんぷんを加えて攪拌し、噴霧乾燥する。噴霧乾燥により乾燥した粉末に、薬学的に許容できる助剤が加えられて、経口液体、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、滴丸などを含む腸溶調合剤が製造される。
【0030】
フコキサンチンとトコトリエノールを均一に混合後、食用油または中鎖トリグリセライド油を添加しソフトカプセルを製造することもできる。または乳化剤を加え、水中油滴型の乳剤を製造後、加工でんぷんを添加、攪拌混合し噴霧乾燥することも可能である。乾いた粉末に薬学的に許容できる助剤が加えられて、経口液体、錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセルおよび滴丸などを含む腸溶調合剤を製造される。
【0031】
上記の製剤は、フコキサンチンとトコトリエノールを均一に混合後、フコイダン、加工でんぷんを添加し、それに続いて攪拌混合し噴霧乾燥することによっても可能である。噴霧乾燥により乾いた粉末に薬学的に許容できる助剤を加え、経口液体、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセルおよび滴丸などを含む腸溶調合剤を製造する。
【0032】
上記の製剤は、トゥイーン80とポリエチレン・グリコール400を混合し、均一になるよう十分に攪拌し、その後植物油または中鎖トリグリセライド油を加え、続いてフコキサンチン、トコトリエノール、フコイダンを添加し、さらに、適量のカルボキシメチルセルロースナトリウム、アカシア・ゴム、寒天などの増粘剤を加えることによっても可能である。この混合物を、攪拌混合後、コロイド・ミルまたはホモジナイザーを用いて充分に均質化し、その後、ソフトカプセルの製造方法に基づいて、ゼラチン、グリセリンをカプセル壁として用い、ソフトカプセルを製造することも可能である。
【0033】
また、上記製剤は、フコキサンチンを有機溶媒に溶解することによっても可能である。この溶液に、トコトリエノールを含有する有機溶液を加え、続いてフコイダン水溶液と、適量の乳化剤、例えばトゥイーン、スパンと加工でんぷんの水溶液を加え、減圧下である程度まで濃縮し、噴霧乾燥し、乾燥した粉末にシリカ、タルク粉を加え、均一に攪拌して粉砕される。この粉末を通用の方法によって、水溶性飲料、沖剤、カプセルなど常用の剤形に製造することも可能である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。理解されるべきなのは、これらの実施例は本発明の例証のために用いられ、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0035】
[実施例1]
フコキサンチン抽出物を含有する物質を用いて製造されたハードカプセル(表1参照)。
表1 実施例1の調合
【表1】

【0036】
[実施例2]
フコキサンチン抽出物を含有する物質を用いて製造されたソフトカプセル(表2参照)
表2 実施例2の調合

【0037】
[実施例3]
フコキサンチン抽出物を含有する物質を用いて製造された粉末(表3参照)
表3 実施例3の調合

【0038】
[実施例4]
実験対象物:各調合は、表4に記載されている割合で調合する。
動物飼料の調合:高脂肪飼料は、80%の基礎飼料、10%のラードおよび10%の卵黄粉で構成される。
実験動物のグループ分けおよび処理:健康な成年雄で体重が180〜210gのクリーングレードのSDラット80匹を、基礎飼料で1週間適応飼育後、10匹を取り出し、基礎飼料対照グループとする。他の70匹に高脂肪飼料を与える。
1か月後、高脂肪飼料で飼育したラットを、それらの体重に基づき、各グループに10匹の7つのグループにランダムに分ける。すなわち、モデル対照グループ、フコキサンチン(A)投与グループ、トコトリエノール(B)投与グループ、フコイダン(C)投与グループ、組成物A+B+C投与グループ、組成物A+B投与グループおよび組成物A+C投与グループである。
基礎飼料対照グループに基礎飼料を与え続け、他の各グループには高脂肪飼料を与え続ける。基礎飼料対照グループおよびモデル対象グループに、蒸留水を腹腔投与し、他の各投薬グループに薬を腹腔投与する。
全てのグループに30日間(d)連続に腹腔投与する。かごを分けて各グループの動物を飼育し、自然照明とし、室温を(22±2)℃にコントロールし、飲食は制限しない。週に1回体重測定、観察を行い、ラットの食べ物の摂取量を記録する。30日後、体重を測定する。
【0039】
統計分析:今回の実験で集められたデータについて、SASソフトパッケージで分散分析を行い、ダネット(Dunnett’s t)検定で各グループ間の比較分析を行い、P<0.05の場合は、統計的有意とした。
【0040】
結果:実験結果によれば、各グループのラットの食べ物の摂取量は、投薬時間の変化に従って変化せず、有意な差が認められなかったため、ここでは省略する。表5から分かるように、実験終了時に、モデル対象グループの体重は基礎飼料対照グループの体重と比較して有意に高い値となり(P<0.05)、ラットの肥満モデルの作成が成功したことを示した。
【0041】
同時に、A+B+C,A+B、A+Cの各グループのラットの体重は、モデル対照グループのラットの体重と比べて、さらに低下して異なっている(P<0.05、P<0.01)。これは、フコキサンチン(A)を含有する組成物は肥満ラットに対して減量作用を有しており、かつ組成物A+B+C,A+B、A+Cの減量作用は、フコキサンチン(A)単独投与よりさらに大きい(P<0.01)ことを示した。
【0042】
表4 実施例4の調合

【0043】

【0044】
[実施例5]
実験手順は実施例4と同様であり、各調合は表6に示される。30日間飼育後、体重測定を行う。全てのラットを屠殺後、腹部脂肪を剥離し、重量を測定した。統計分析は実施例4と同様である。
【0045】
結果:表7から分かるように、モデル対照グループの動物の体重、腹部脂肪重量、腹部脂肪重量/体重は、基礎飼料対照グループと比較して統計学的に有意に高い値となり(P<0.05)、ラットの肥満モデルの作成が成功したことを示した。
【0046】
同時に、A+B+C、A+B、A+CおよびAの各グループのラットの体重、腹部脂肪重量および腹部脂肪重量/体重は、モデル対照グループと比べてさらに低下している(P<0.05)。
これは、フコキサンチン(A)を含有する組成物は肥満ラットに対して減量作用を有しており、かつ組成物A+B+C、A+CおよびA+Bの減量作用は、フコキサンチン(A)の単独投与よりさらに大きいことを示した。
【0047】
表6 実施例5の調合

【0048】

【0049】
[実施例6]
実験手順は実施例4と同様であり、各調合は表8に示される。30日間飼育した後に、体重を測定する。その後、全てのラットを屠殺し、睾丸周辺の脂肪組織を剥離し、正確に重量を測定する。統計分析は実施例4と同様である。
【0050】
表9から分かるように、実験の終了時に、モデル対照グループの動物の体重、睾丸周辺の脂肪組織重量/体重は、基礎飼料対照グループと比較して、統計学的に有意に高い値となり(P<0.05)、ラットの肥満モデルの作成が成功したことを示した。
【0051】
同時に、A+B+C、A+B、A+CおよびAの各グループのラットの体重、睾丸周辺の脂肪組織重量および睾丸周辺の脂肪組織重量/体重は、モデル対象グループより低く、(P<0.05)異なっていた。これは、フコキサンチン(A)を含有する組成物が肥満ラットに対して減量作用を有しており、フコキサンチン(A)の単独投与よりさらに大きく減量作用を有することを示した。
【0052】
表8 実施例6の調合

【0053】

【0054】
[実施例7]
実験手順は実施例4と同様であり、各調合は表10に示される。30日間飼育した後に、体重測定を行う。その後、全てのラットを屠殺し腎臓周辺脂肪組織を取り出し、正確に重量を測定する。統計分析は実施例4と同様である。
【0055】
表11から分かるように、モデル対照グループの動物の体重、腎臓周辺の脂肪組織の総重量、腎臓周辺の脂肪組織の総重量/体重は、基礎飼料対照グループと比較して統計学的に有意に高い値となり(P<0.05)、ラットの肥満モデルの作成が成功したことを示した。
【0056】
同時に、A+B+C、A+C、A+B、Aの各グループのラットの体重、腎臓周辺の脂肪組織の総重量、腎臓周辺の脂肪組織の総重量/体重、モデル対照グループより低く、異なっている。これは、フコキサンチン(A)を含有する組成物は肥満ラットに対して減量作用を有しており、フコキサンチン(A)の単独投与よりさらに大きく減量作用を有することを示した。
【0057】
表10 実施例7の調合

【0058】

【0059】
[実施例8]
臨床実験
ランダム化(無作為)比較試験を用いて、フコキサンチン組成物の減量作用を調べた。20〜50歳の適格な被験者20名を乱数表法に基づき、A+B+C、A+C、A+B、AおよびB+Cの5つのグループに分けた。各グループの被験者数はn=4である。毎日の投薬量は表12に示す通りである。被験者に、毎日の朝食時に、それぞれの服用法に従って上記の異なる試薬のそれぞれを与えること以外の、その他の日常の生活習慣および飲食習慣はすべて変えずに実験を行った。低カロリーの食物とはせずに、食事制限や飲食制限を行わず、他の肉体的な運動を行わなかった。各薬の摂取効果を調べるため、フコキサンチン組成物摂取前、摂取後1か月、摂取後2か月および摂取後3か月の際に、それぞれ健康診断を行い、体重、腰周りおよびヒップ周り、血糖値、血中脂質量を測量し、腹部CTスキャンなどの検査を行った。
同時に、被験者に対して定期的に追跡調査を行い、被験者のユーザー体験を確かめ、かつその服用順守を監督して保証する。
被験者には、薬品でコントロールする必要のある深刻な代謝性疾病を患う者、および3か月以内にその他の減量製品を服用した者を除いている。
【0060】
CTを用いて腹部脂肪面積を測定する。
装置:CT 型番Pronto、日立製作所、日本
120kV、175mA
スキャン層厚:10mm
臍部断面を取ってスキャンする
脂肪組織の減衰値:−250〜−50HU(CT値の単位)
脂肪面積を計算する:腹部総脂肪、内臓脂肪および皮下脂肪(mm)。
CTスキャンにより、臍部断面から総脂肪(total fat)区域および内臓脂肪(visceral fat)区域を区画し、それぞれの面積を計算し、皮下脂肪(subcutaneous fat)面積は両方の差である。
【0061】
各グループの被験者の臨床実験前および臨床実験後の体重、腹部総脂肪面積、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の変化は表13および表14に示されている。
【0062】
腹部脂肪面積のCTスキャンの結果は以下のことを示した。フコキサンチンを含有する組成物を服用した各被験者の体重が軽減し、腹部総脂肪、内臓脂肪および皮下脂肪はすべて減少した。フコキサンチン組成物の減量作用は腹部脂肪の減少と関連があり、A+B+C、A+C、A+B、Aの各グループの減量作用は、B+Cグループの減量作用より有意に高いものとなった(P<0.05)。各組成物グループの減量作用は、フコキサンチン単体より高かった。また、A+B+Cグループの減量作用は、その他の各グループより高く、次いでA+Bグループの減量作用、A+Cグループの減量作用の順となった。
【0063】
その他の検査:
一般的な血液検査、一般的な尿検査、肝機能検査、血圧、心拍数、血糖値などに異常は認められなかった。被験者のユーザー体験および服用遵守の情報を得るため、追跡調査のアンケートをとり、その結果は以下の通りである。
消化系では食欲抑制、吐き気、嘔吐、胃腸の不快症状はみられなかった。
口渇、多尿頻尿現象はみられなかった。
精神状態について、抑鬱、不眠あるいは寝汗現象はみられなかった。
心臓血液系では、血圧あるいは心拍の上昇、動悸、めまいなどはみられなかった。
【0064】
フコキサンチン組成物の減量作用は、従来の食欲抑制型の減量製品が脂肪摂取をコントロールするのと異なり、脂肪の代謝に着目しているため、食欲とは無関係である。そのため、理論上では、他の減量製品のように、服用を停止した後に食欲が回復し、体重が戻ることはない。フコキサンチン組成物は継続的な減量作用を発揮し、各種の副作用がない。実際、フコキサンチン組成物の服用を停止した1か月後も、被験者の体重が維持された。そのため、生活習慣を変えたり、節食したり、過度な運動を行なったりする必要はない。また、単回投与の服用法、または複数回投与の服用法を選ぶことが可能である。これにより、フコキサンチンの製剤がより便利となる。
上記のことから、フコキサンチンとフコイダンから構成された組成物、フコキサンチンとトコトリエノールから構成された組成物、並びにフコキサンチン、フコイダンおよびトコトリエノールから構成された組成物は、安全、有効、かつ便利で理想的な減量製品である。
このフコキサンチン組成物は、単なるフコキサンチンよりさらに高い減量作用を有しており、健康の維持・増進や減量を望む方に適している。また安心して他の薬の併服することができ、減量作用が期待できる。当該減量用の組成物は、食品添加物、食品、健康食品、薬品として適用できる。
【0065】
表12 各経口投与量


A:フコキサンチン、B:トコトリエノール、C:フコイダン
【0066】
表13 被験者の体重および腹部総脂肪面積の変化

【0067】
表14 被験者の内臓脂肪および皮下脂肪面積の変化


(注:B+Cとの比較;*:P<0.05)
【0068】
以上、本発明の実施形態、実施例を説明したが、これらは本発明を説明するものに過ぎず、本発明の要旨を限定するものではない。当業者は、本発明の特許請求の範囲が限定する精神および範囲内において、その発明の属する技術の分野において通常の知識を有する者が様々な変更、改良を行うことができるが、すべて本発明の保護範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フコキサンチン抽出物を含有する組成物であって、前記組成物はトコトリエノールおよび/またはフコイダンをさらに含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記のフコキサンチン抽出物の由来は、植物由来、微生物由来、または合成化合物由来であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記のフコキサンチン抽出物の植物由来は、海藻であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記海藻は、コンブ、ホンダワラ、ヒバマタ科の海藻、ウシハコベ、ミクロキスティス、ツルモ、ワカメ、ブルケルプ、カラギーナン、キモク、オカヒジキ、海蒿子およびケイソウの1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記トコトリエノールの由来は、植物由来、微生物由来、または合成化合物由来を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記トコトリエノールは、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール及びδ−トコトリエノールの中の1種または2種以上から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記フコイダンの由来は、褐藻類の海藻であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記褐藻類の海藻は、コンブ、ワカメ、ノリ、オカヒジキ、カラギーナン、テングサおよび大カナダ藻の中の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、薬学的に許容できる助剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物に含まれるフコキサンチンの用量は0.1mg〜20mgであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物に含まれるトコトリエノールの量は0.1mg〜50mgであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物に含まれるフコイダンの量は0.1mg〜1000mgであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は腸溶調合剤であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記調合剤は、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、沖剤、経口液体、懸濁液及び乳化剤を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物の減量での使用において、前記組成物を経口投与する被験者は哺乳動物であることを特徴とする。
【請求項16】
前記哺乳動物は人間であることを特徴とする請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項17】
前記減量とは、被験者の体重を軽減させることを特徴とする請求項16に記載の組成物の使用。
【請求項18】
前記減量とは、被験者の腹部脂肪を減少させることを特徴とする請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項19】
各被験者が毎日服用するフコキサンチンの有効成分の量は0.1mg〜20mgであることを特徴とする請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項20】
各被験者が毎日服用するトコトリエノールの量は0.1mg〜50mgであることを特徴とする請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項21】
各被験者が毎日服用するフコイダンの量は0.1mg〜1000mgであることを特徴とする請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項22】
前記毎日服用とは、単回投与で服用することであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
前記毎日服用とは、複数回投与で服用することであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2012−515174(P2012−515174A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545607(P2011−545607)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000073
【国際公開番号】WO2010/081259
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511173239)北京緑色金可生物技術股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】