説明

フジツボキプリス幼生のセメント腺に発現するセメント関連タンパク質および遺伝子

【課題】フジツボキプリス幼生が付着するのに必要な分子を同定、発見し、その付着機構を解明するために利用でき、また塩水または湿潤環境下における生分解性の接着剤に応用可能なフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現するセメント接着剤関連タンパク質およびこれをコードする遺伝子を提供する。
【解決手段】微細解剖技術と分子生物学的手法を組み合わせて、フジツボキプリス幼生のセメント腺において特異的に発現し、分泌されるセメント関連タンパク質、並びにこれらタンパク質をコードする遺伝子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フジツボキプリス幼生のセメント腺に発現するセメント接着剤関連タンパク質およびこれらをコードする遺伝子に関する。詳細には、フジツボキプリス幼生のセメント腺において特異的に発現し、分泌されるセメント関連タンパク質、並びにこれらタンパク質をコードする遺伝子に関する。
【背景技術】
【0002】
フジツボ付着の防御剤としては、有機スズ化合物が用いられてきたが、その毒性から2007年には、世界中で完全に禁止される。その代用品の亜酸化銅についても多くの問題があり、早急に安全かつ強力な防御剤の開発が求められている。従来の防御剤開発は、フジツボ幼生を用いてスクリーニングしているので、安全で特異性のある防御剤開発には多くの労力と時間を要する。
【0003】
一方、接着剤としては、乾燥環境で強い接着力を発揮する接着剤は種々のものが開発されている。そのうちの多くのものは、いったん乾燥条件下で接着してしまえば、湿潤環境下におかれてもその強度を維持できる。しかし、塩水環境下や湿潤環境下で接着を行う場合、有効な強度を達成できる接着剤は少なく、特に環境にやさしい生分解性の接着剤は存在しない。
【0004】
海洋中で岩などに付着接着し、生態を維持しているフジツボやイガイ、カキなどは、セメントと称されるタンパク質複合体を分泌して、海水中で強く付着することができることが知られている。これらの無脊椎動物が分泌する接着タンパク質は、バイオ接着剤として、医学、薬学、歯学、水中での腐食表面被服材料、導電性電子材料への応用が期待されている。このため、フジツボが生成する難溶解性のタンパク質複合体を塩水または湿潤環境下における接着剤として使用するため、フジツボの成体の接着タンパク質の接着タンパク質、およびその遺伝子が同定されている(特許文献1〜8)。
しかしながら、フジツボの成体が生成する接着タンパク質は少なくとも6〜7種のタンパク質からなる複合体であり、接着剤として機能するタンパク質複合体を分子生物学的手法によりに製造することは難しいと考えられる。また、フジツボが生成する接着タンパク質として未だ知られていないものが存在する可能性もある。
【特許文献1】特開2000−228985号公報
【特許文献2】特開平7−265081号公報
【特許文献3】特開平9−47288号公報
【特許文献4】特開平9−299089号公報
【特許文献5】特開平10−327867号公報
【特許文献6】特開平11−332572号公報
【特許文献7】特開平11−332573号公報
【特許文献8】特開2004−105143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フジツボの付着防止法を開発するためには、究極的には付着期幼生であるキプリス幼生が付着するのに必要な分子を同定、発見することにより、その付着機構を解明することが不可欠である。これらの分子は、キプリス幼生のセメント腺で造られ、神経刺激により、分泌されることが明らかとなっている。しかし、キプリス幼生が1mm以下と小さく、その付着盤(岩と体が接着する部分)が数十ミクロンであり、放出されるセメント量も極微量のため、実際のセメントを集積し、分析することは事実上不可能であった。この技術的な困難さのため、フジツボ幼生の分泌するセメントおよびセメント関連タンパク質は、まったく同定されていなかった。
従って、本発明は、フジツボキプリス幼生が付着するのに必要な分子を同定、発見し、その付着機構を解明するために利用でき、また塩水または湿潤環境下における生分解性の接着剤に応用可能なフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現するセメント接着剤関連タンパク質およびこれをコードする遺伝子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、微細解剖技術と分子生物学的手法を組み合わせて、フジツボキプリス幼生のセメント腺からセメント(接着)タンパク質とセメント接着機能を高めるセメント関連タンパク質をコードする遺伝子を発見、同定する手段を開発した。すなわち、セメントとセメント関連タンパク質の前駆体タンパク質を生産するセメント腺(細胞)に注目し、小さな動物プランクトンであるフジツボキプリス幼生から100ミクロン以下しかないセメント腺を無傷で単離、集積する方法を確立した。ついで、この単離セメント腺から全RNAを抽出し、高品質の単離セメント腺cDNAライブラリーを構築した。これと同時に、セメント腺にだけ特異的に発現する遺伝子のスクリーニング法を開発し、セメント腺に特異的、かつ大量に発現する遺伝子を探索する手段を確立した。加えて、セメントおよびセメント関連遺伝子がセメント腺細胞から分泌されることに注目し、バイオインフォマティックスを用いて、分泌タンパク質だけを選別する手段を確立し、セメントおよびセメント関連タンパク質遺伝子を追求した。その結果、4群の新規遺伝子群を同定することに成功し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、下記の[1]〜[15]に関する。
[1](a)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
[2](a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるDNA、または(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNAを特徴とする遺伝子。
[3](a)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【0007】
[4](a)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
[5](a)配列番号4に記載の塩基配列で表されるDNA、または(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNAを特徴とする遺伝子。
[6](a)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつかつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【0008】
[7](a)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつかつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
[8](a)配列番号7に記載の塩基配列で表されるDNA、または(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNAを特徴とする遺伝子。
[9](a)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【0009】
[10](a)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
[11](a)配列番号10に記載の塩基配列で表されるDNA、または(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNAを特徴とする遺伝子。
[12](a)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または(b)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【0010】
[13]前記[2]、[5]、[8]、[11]のいずれか1つに記載の遺伝子を含むベクター。
[14]前記[13]に記載のベクターを用いることを特徴とする、タンパク質の製造方法。
[15]得られたタンパク質に酸化、リン酸化、またはグルコシル化することを含む、前記[14]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フジツボキプリス幼生のセメント腺に特異的に発現するセメント関連タンパク質およびこれをコードする遺伝子が提供される。本発明で見出されたセメント関連タンパク質およびこれをコードする遺伝子は、フジツボの付着に必要な分子を同定、発見することにより、その付着機構を解明するための研究材料として非常に有用であることから、フジツボの付着防護剤の開発に利用できるばかりでなく、塩水または湿潤環境下における生分解性の接着剤に応用可能であるため、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、フジツボとは、例えばアカフジツボ(Megabalanus rosa)から得られたものであるが、近種のミネフジツボ(Balanus rostratus)、タテジマフジツボ(Balanus amphitrite)、チシマフジツボ(Semibalanus cariosus)、カメノテ(Capitulum mitella)等の蔓脚類を挙げることができる。これらフジツボのキプリス幼生のセメント腺に発現するセメント接着剤関連タンパク質をコードする遺伝子および当該タンパク質につき詳細に説明する。
(1)遺伝子
本発明の遺伝子は、以下の(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子である。
(a)配列番号2、3、5、6、8、9、11および12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質
(b)配列番号2、3、5、6、8、9、11および12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつ(a)のタンパク質と同様の性質を有するタンパク質。
【0013】
ここで、「1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列」とは、遺伝子の配列情報に基づいて作製された適当なPCRプライマーを用いて、フジツボセメント腺から得られた、全RNA、mRNAまたはcDNAを鋳型としてPCRを行って得ることができる(複雑な分子種を反映)。また、当該技術分野において常用される技術、たとえば、部位特異的変異誘発法(Nucleic Acids Res. Vol. 10, 6487-6500, 1982)により作製することもできる。また、本発明の遺伝子は、アカフジツボから得られたものであるが、近種のミネフジツボ、タテジマフジツボ、チシマフジツボ、カメノテなど蔓脚類にも同様なタンパク質があり、これらは前記アミノ酸配列と全く同じか、あるいは1もしくは複数個のアミノ酸のみ異なるものであることが期待され、これらもまた「1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列」に含まれる。
【0014】
また、(a)のタンパク質と同様の性質を有するとは、(a)のタンパク質の有するいくつかの性質、すなわちフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、その接着に関連するタンパク質、具体的にはフジツボ幼生の接着に関連する、塩水環境で働く接着剤または接着剤の機能補助に関連するなどの性質のうち、いずれか1つを有することを意味する。
【0015】
本発明の遺伝子は、下記の実施例に示す方法によっても得ることができるが、本発明の遺伝子配列情報(配列番号1、4、7および10)に基づき、適当なプライマーを作製し、フジツボキプリス幼生のセメント腺、またはキプリス幼生から得られた総RNA、mRNA、これらを用いて作成されたcDNAまたはゲノムDNAを鋳型として、PCRを行うことによっても得ることができる。
配列番号1、4、7および10に示されるDNA配列を有する遺伝子は、フジツボのセメント関連タンパク質をコードしているため、塩水または湿潤環境下で機能する接着剤、およびその機能を改善する素材の生産に幅広く利用することができる。また、配列番号1、4、7および10に示される遺伝子は、フジツボキプリス幼生の付着の鍵をにぎるタンパク質をコードするため、その付着に必要な分子を同定、発見し、その付着機構を解明するための研究材料としてに非常に有用であり、付着防止素材の開発、その部分配列をコードするタンパク質を用いる付着誘引、防護検定法の開発のために利用することができる。
【0016】
また、本発明は、配列番号2、3、5、6、8、9、11および12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質と同様の性質を有し、配列番号1、4、7および10に記載の塩基配列で表されるDNAまたはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするフジツボ由来の遺伝子を包含する。
これらの遺伝子は、例えばミネフジツボ、タテジマフジツボ、チシマフジツボ、カメノテなど蔓脚類のキプリス幼生のセメント腺からRNAを抽出し、実施例1と同様にcDNAライブラリーを構築し、一方で配列番号1、4、7および10に記載の塩基配列に基づいて、市販のキットを用いて、DIGプローブまたは放射性プローブを作製し、ストリンジェントな条件でコロニーハイブリダイゼーションを行うことにより得ることができる。
【0017】
なお、本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起こり、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。この条件とは、通常、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度であり、好ましくは「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度、更に好ましくは「0.2×SSC、0.1% SDS、65℃」程度である。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、配列番号1、4、7および10に記載の塩基配列で表されるDNAと通常高い相同性を有する。高い相同性とは、60%以上の相同性、好ましくは75%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性を意味する。
【0018】
(2)タンパク質
本発明のタンパク質は、以下の(c)、(d)、(e)または(f)に示すタンパク質を包含する。
(c)配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質。
(d)配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつ(a)のタンパク質と同様の性質を有するタンパク質。
(e)配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質に翻訳後修飾、または人工的な処理で酸化、リン酸化、またはグルコシル化して得られるタンパク質。
(f) 配列番号1、4、7、10に記載の塩基配列で表されるDNAまたはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードするフジツボ由来のタンパク質であって、配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質と同様の性質を有するタンパク質。
ここで、「欠失、置換もしくは付加」および、「(a)と同様の性質を有する」の意味は、上述の遺伝子の場合と同様である。
【0019】
(f)のタンパク質はDNA同士のハイブリダイゼーションを利用することで得られるフジツボ由来のタンパク質である。(f)のタンパク質における「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起こり、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。この条件とは、通常、「1×SSC、0.1% SDS、37℃」程度であり、好ましくは「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」程度、更に好ましくは「0.2×SSC、0.1% SDS、65℃」程度である。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、配列番号1,3、5、7に記載の塩基配列で表されるDNAと通常高い相同性を有する。高い相同性とは、60%以上の相同性、好ましくは75%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性を指す。
【0020】
本発明のタンパク質は、実施例に記載の方法によっても得ることができるが、より簡便にはすでに遺伝子配列、特に配列番号1、4、7および10に示すように、各遺伝子の塩基配列が明らかになっているので、上述の本発明の遺伝子を適当な発現ベクターに挿入し、その遺伝子を大腸菌、酵母、昆虫細胞などの適当な宿主中で発現させることにより、生産することができる。ここで、使用するベクタ−システムとしては、pET系(Novagen)、pYES系(Invitrogen)pIZT系(Novagen)、BacVector系(Novagen)、ViraPowerアデノウィルス発現系(Invitrogen)などが挙げられる。宿主としては、Rosetta−gami(DE3)pLys(Novagen)、INVSc(Invitrogen)、Sf9(Novagen)などが挙げられる。
【0021】
また、本発明のタンパク質は、上述の本発明の遺伝子を適当なベクターに挿入するか、適当な方法でPCR反応させることで、無細胞タンパク質発現系を用いて生産することができる。無細胞系の例としては、例えばラピッドトランスレーションシステム(ロッシュ社)などを挙げることができる。
発現されたタンパク質はフェノールオキシダーゼ、リジン酸化酵素、種々のプロテアーゼなどの酵素を用いて人工的に修飾し、機能を強化したり、機能を修飾したりすることができる。
なお、本発明の遺伝子はすべてシグナルペプチド配列を含むため、オープンリーディングフレーム(ORF)全長配列を持つタンパク質を発現させる場合は、そのタンパク質は、宿主細胞外へ分泌される。タンパク質を細胞内で生産させる場合は、シグナルペプチド配列部分を除去した後、発現ベクターに挿入する必要がある。
【0022】
フジツボキプリス幼生(付着期幼生)のセメント腺は、キプリス幼生の付着に必須のセメントを合成、貯蔵し、分泌するために特殊化した幼生器官である。フジツボキプリス幼生のセメント腺から分泌されるタンパク質は、フジツボの付着の鍵をにぎる。また、フジツボキプリス幼生は親水性、疎水性、硬い素材、柔らかい素材などきわめて多岐にわたる基盤を問わず、付着できる。また、幼生セメントは通常微生物、およびその酵素による分解に常に曝されているはずにもかかわらず、ほとんど分解されない。
このため、本発明のタンパク質、並びにそれらをコードする遺伝子は、フジツボの付着に必要な分子を同定、発見し、その接着機構を解明するための研究に非常に有用な材料であり、フジツボの付着防止法の開発に幅広い範囲で使用可能である。
一方、フジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、セメント腺から分泌されるタンパク質はフジツボ幼生セメント本体または、それと共同して働き、接着効果を高める機能を有する。したがって、これらのタンパク質、およびその遺伝子は、海水中や体内環境などの塩水、湿潤環境で使用できる接着剤またはその機能を高める働きを有する補助剤の原料となる。
【実施例】
【0023】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1] アカフジツボキプリス幼生のセメント腺の全長cDNAライブラリーの作製
変態直後(0〜2日令)の若いキプリス幼生50個体からセメント腺100個を単離(Okano et al., J. Exp. Biol., vol. 199, 2131-2137, 1996)後、集積し、市販のRNA抽出キット(NucleoSpin RNA II kit, MN社)を用いて全RNAを抽出した。このRNAを用いて、全長配列のライブラリー化に適するキット(Creator SMART cDNA library construction kit, BD Clontech社)を使用し、cDNAライブラリーを構築した。使用したベクターはBD社のマニュアルに従い、pDNR−LIBを用いた。形質転換には、大腸菌JM109を用いた。ただし、セメント腺から抽出される全RNA量が微量であったため、ss cDNAの段階で精製と濃縮のプロセスを導入した。この操作を除き、他の操作は前記ライブラリー化キットのマニュアルに従った。作製したライブラリーは、cg1f(Cement Gland-derived 1st Full length cDNA library)ライブラリーと命名した。
【0024】
[実施例2] アカフジツボキプリス幼生のセメント腺の全長cDNAライブラリーからランダムに選ばれた576クローンのプラスミド抽出とその挿入5’末端配列のシークエンス
cDNAライブラリーからランダムに576クローンを選択し、#1A1〜#6H12と命名し、それぞれからプラスミド抽出機を用いてプラスミドを抽出した。得られたプラスミドは、シークエンス用プライマーTCGACGGTACCGGACATATG(配列番号13;pDNR-LIB vector 46-65)を用いて、ABI 377シークエンサー(秋田県立大学支援センター)を用いて、それぞれの挿入5’端配列を決定した。
【0025】
[実施例3] アカフジツボキプリス幼生のセメント腺と殻部分のサブトラクションプローブの調製
実施例1と同様の方法を用いて、変態直後(0〜2日令)の若いキプリス幼生からセメント腺と殻を50個体分集積し、両者から市販のRNA抽出キット(NucleoSpin RNA II kit, MN社)を用いて、全RNAを抽出した。ついで、Clontech PCR-select cDNA subtraction kit(BD Clontech社)のプライマーを用いて、Super SMART PCR cDNA synthesis kit(BD Clontech社)のマニュアルに従って、セメント腺、殻両者のds cDNAを合成した。セメント腺と殻のサブトラクションcDNA、および非サブトラクションcDNAはセメント腺、殻のds cDNAを用いて、Clontech PCR-select cDNA subtraction kit(BD Clontech社)を使用することにより、作製した。ついで、セメント腺と殻のサブトラクションcDNA、および非サブトラクションcDNAをPCR DIG probe synthesis kit (Roche Diagnostics社)を用いてDIG標識することで、セメント腺と殻のサブトラクションプローブ、およびセメント腺と殻の非サブトラクションプローブを調製した。
【0026】
[実施例4] ディッファレンシャルスクリーニングによるセメント腺特異的発現遺伝子の一次スクリーニング
実施例3で調製した4種類のプローブを用いて、実施例2の574クローン(96x6プレート)の中から、セメント腺特異的発現遺伝子を選抜した(図1)。
すなわち、各クローンから抽出されたプラスミドを、0.6N NaOHで変性した後、96個ずつ膜(Hybond N+,Amersham Pharmacia Biotech) に4連でブロッティングした。ブロッティングした膜と実施例3で得られたプローブとのハイブリダイゼーションは、各プローブを5μg/mlの濃度でDIG Easy Hyb溶液(Roche Diagnostics社)中に溶解した後、42℃、オーバーナイトの条件で行った。洗浄は2×SSC、0.1% SDS、5分間、室温で2回、ついで、0.1×SSC、0.1%SDS、15分間、68℃で2回行った。ハイブリダイゼーションの検出はDIG Luminescent Detection kit(Roche Diagnostics社)による発光定量により行った。発光の検出はLAS1000(Fuji film)で行った。セメント腺のサブトラクションプローブおよび/または非サブトラクションプローブに対し陽性で、殻のサブトラクションプローブと非サブトラクションプローブには陰性のクローンを、セメント腺特異的発現クローンと認定した。その結果、287クローン(約50%)のセメント腺特異的発現クローンが選抜された。
【0027】
[実施例5] アカフジツボノープリウス2期幼生のサブトラクション、非サブトラクションプローブの調製
ノープリウス2期幼生は孵化直後の幼生であり、当然キプリス幼生のセメント腺を持たない。そこで、キプリス幼生のセメント腺特異的遺伝子からハウスキーピング遺伝子などの非特異的遺伝子をさらに除くことを目的として、ノープリウス2期幼生とキプリス幼生の間で、実施例3と同様のキットを用いてノープリウス2期幼生のサブトラクション、非サブトラクションプローブを作製した。すなわち、変態直後(0〜2日令)の若いキプリス幼生の液体窒素凍結サンプルと餌を与える前のノープリウス2期幼生のRNA保存サンプルから、市販キット(Quick PrepTM Micro mRNA Purification kit, Amersham Pharmacia Biotech社)を用いて、mRNAを抽出した。これらのmRNAを用いて、Clontech PCR-select cDNA subtraction kit(BD Clontech社)のマニュアルに従って、ノープリウス2期幼生とキプリス幼生のサブトラクションcDNA、および非サブトラクションcDNAを作製した。ノープリウス2期幼生とキプリス幼生のサブトラクションプローブ、およびセメント腺と殻の非サブトラクションプローブは実施例3と同様にPCR DIG probe synthesis kit (Roche Diagnostics社)を用いてDIG標識することで調製した。
【0028】
[実施例6] ノープリウス2期幼生プローブを用いたセメント腺特異的発現遺伝子の二次スクリーニング
実施例5で調製した4種類のプローブを用いて、実施例2の574クローン(96×6プレート)のサザンハイブリダイゼーションを行い、さらにセメント腺特異的発現遺伝子を選抜した。
手法は実施例4の方法に従った。すなわち、各クローンから抽出されたプラスミドを、0.6N NaOHで変性した後、96個ずつ膜 (Hybond N+, Amersham Pharmacia Biotech)に4連でブロッティングした。ブロッティングした膜と実施例3で得られたプローブとのハイブリダイゼーションは、各プローブを5 μg/mlの濃度でDIG Easy Hyb溶液(Roche Diagnostics社)中に溶解した後、42℃、オーバーナイトの条件で行った。洗浄は2×SSC,0.1% SDS、5分間、室温で2回、ついで、0.1×SSC,0.1% SDS、15分間、68℃で2回行った。ハイブリダイゼーションの検出はDIG Luminescent Detection kit(Roche Diagnostics社)による発光定量により行った。発光の検出はLAS1000(Fuji film)で行った。実施例4で選抜されたクローンのうち、ノープリウス2期幼生のサブトラクションプローブと非サブトラクションプローブに、完全に陰性のクローンだけを、セメント腺特異的発現クローンと認定した。その結果、34クローンが除外され、253クローン(全体の44%)の候補遺伝子を選抜した。
【0029】
[実施例7] セメントおよびセメント関連タンパク質をコードする遺伝子の同定
実施例6で選抜されたクローンについてのDNA配列情報は、遺伝子情報管理ソフトDNASIS Pro(Hitachi )を用いて、インハウスデータベース化した。さらに、同ソフトを用いて相互の相同性検索によるグループ化、およびORF検索を実行した。加えてそれぞれのグループについて、Signal P プログラムにより、分泌タンパク質をコードする遺伝子群を選抜した。その結果、4グループの新規遺伝子群をセメントおよびセメント関連タンパク質をコードする遺伝子群として同定した。この4グループについては、複数の全長配列を含むクローンについて、適切なプライマーを作製して、順次決定し、最終的にポリA配列を含む完全長の配列について、その配列を明らかにした。配列番号1、4、7、10はこれらのグループの代表的なクローンにおけるORFのヌクレオチド配列である。配列番号1、4、7、10に示されるDNA配列がコードするタンパク質を配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に示す。配列番号2、5、8、11はシグナルペプチド配列を有する。したがって推定される成熟タンパク質の構造を配列番号3、6、9、12に示した。配列番号1、4、7、10に示される遺伝子、およびこれらにコードされ、配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に示されるタンパク質については、DNAレベル、アミノ酸配列レベルでの広範な相同性検索を行ったが、有意な相同性(E値が0.02未満)を有する既知タンパク質(遺伝子)が見出されず、これまで報告のない新規タンパク質をコードする遺伝子であることが明らかになった。
また、アカフジツボの付着後のキプリス幼生のセメントタンパク質について決定された部分配列が配列番号2、3、5、6、8、9、11、12に示されるアミノ酸配列に含まれることから、本発明のタンパク質はキプリス陽性のセメントタンパク質またはその接着に密接に関連するタンパク質であることが確認された。
【0030】
[実施例8] リアルタイムPCRによる発現時期、発現場所の確認
アカフジツボノープリウス幼生2期、4期、5期、6期ステージI、6期ステージIII、キプリス幼生、付着後のキプリス幼生、変態後の幼体、および親の底部から、市販のRNA抽出キット(NucleoSpin RNA II kit, MN社)を用いてトータルRNAを抽出した。ついで、それぞれの全RNAから、オリゴdTプライマーを用いた逆転写反応により、cDNAを調製した。配列番号1、4、7、10の遺伝子の発現量は、各配列に基づき作製された適当なプライマーセットを用いて、LightCycler-FastStart DNAマスターSYBR Green I試薬とライトサイクラーV3システム(ロッシュ・ダイアグノスティック社)により定量した。外部標準には配列番号1、4、7、10を含むプラスミド(実施例2)を用いた。その結果、配列番号1、4、7、10の遺伝子は、それぞれキプリス幼生時期、またはノープリウス6期後期幼生を頂点とする鋭い山型の発現パターンをしめすことが判明した(図2)。また、キプリス幼生から実施例3と同一の手法を用いて、セメント腺、殻、蔓脚部分を単離し、市販のRNA抽出キット(NucleoSpin RNA II kit, MN社)を用いて全RNAを抽出し、上記の手法で、セメント腺、殻、蔓脚部分に含まれる配列番号1、4、7、10各遺伝子の発現量を定量した。その結果、配列番号1、4、7、10遺伝子はセメント腺にのみ発現していることが明らかとなった(図3)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】セメント腺特異的発現遺伝子の一次スクリーニングの結果を示す図である。
【図2】遺伝子の発現時期を示す実験の例を示す図である。
【図3】遺伝子の発現場所を示す実験の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質
をコードする遺伝子。
【請求項2】
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるDNA、または
(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNA
を特徴とする遺伝子。
【請求項3】
(a)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号2もしくは3に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【請求項4】
(a)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質
をコードする遺伝子。
【請求項5】
(a)配列番号4に記載の塩基配列で表されるDNA、または
(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNA
を特徴とする遺伝子。
【請求項6】
(a)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号5もしくは6に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【請求項7】
(a)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質
をコードする遺伝子。
【請求項8】
(a)配列番号7に記載の塩基配列で表されるDNA、または
(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNA
を特徴とする遺伝子。
【請求項9】
(a)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号8もしくは9に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【請求項10】
(a)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質
をコードする遺伝子。
【請求項11】
(a)配列番号10に記載の塩基配列で表されるDNA、または
(b)前記(a)のDNAもしくはこれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質をコードするDNA
を特徴とする遺伝子。
【請求項12】
(a)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質、または
(b)配列番号11もしくは12に記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつフジツボキプリス幼生のセメント腺に発現し、塩水環境下で働く効果を発する接着剤、または接着剤関連の機能を有するタンパク質。
【請求項13】
請求項2、5、8、11のいずれか1項に記載の遺伝子を含むベクター。
【請求項14】
請求項13に記載のベクターを用いることを特徴とするタンパク質の製造方法。
【請求項15】
得られたタンパク質に酸化、リン酸化、またはグルコシル化することを含む、請求項14記載の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−223226(P2006−223226A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42800(P2005−42800)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】