説明

フタルアミド誘導体及び農園芸用殺虫剤並びにその使用方法

【解決手段】一般式(I):
【化1】


{式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル等;R、RはH、アルキル、アルケニル、アルキニル等;R、RはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル等;Aは(置換)テトラゾリル;X、Yはハロゲン、NO、CN、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ等;m、pは0〜4、nは0〜2。}で表されるフタルアミド誘導体又はその塩類、該化合物を有効成分とする農園芸用殺虫剤並びにその使用方法。
【効果】農園芸用殺虫剤として優れた防除効果を示し、他の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、生物農薬等と混合使用することによっても優れた防除効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフタルアミド誘導体及び該化合物を有効成分とする農園芸用殺虫剤並びにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のフタルアミド誘導体が農園芸用殺虫剤として有用であることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。更に本発明類似の骨格を有するフタルアミド誘導体が農園芸用殺虫剤として有用であることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、その構造中にテトラゾリル基を有する本発明化合物については記載も示唆もされていない。
【特許文献1】特開平11−240857号公報
【特許文献2】特開2001−131141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農業及び園芸等の作物生産において、害虫等による被害は今なお大きく、既存薬に対する抵抗性害虫の発生等の要因から新規な農園芸用殺虫剤の開発が望まれている。又、就農者の老齢化等により各種の省力的施用方法が求められるとともに、これらの施用方法に適した性格を有する農園芸用殺虫剤の創出が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は新規な農園芸用殺虫剤を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体又はその塩類が文献未記載の新規化合物であり、前記の文献記載の化合物に対し、低薬量で優れた殺虫効果を示し、特に土壌等に処理することにより、根からの高い吸収移行作用を示す優れた農園芸用殺虫剤であることを見いだし、本発明を完成させた。
【0005】
即ち、本発明は一般式(I)
【化1】

{式中、RはC1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基又はハロC2-C6アルキニル基を示す。
及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基又はハロC2-C6アルキニル基を示す。
及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルキルカルボニル基、ハロC1-C6アルキルカルボニル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又はハロC1-C6アルコキシカルボニル基を示す。
【0006】
AはA−1
【化2】

(式中、Zは水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、ハロC2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基、同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、複素環基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換複素環基を示す。)
【0007】
又はA−2
【化3】

(式中、Zは前記に同じ。)で表されるテトラゾリル基を示す。
Xはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、mは0〜4の整数を示す。
Yはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、pは0〜4の整数を示す。
nは0〜2の整数を示す。}で表されるフタルアミド誘導体又はその塩類及びこれを有効成分とする農園芸用殺虫剤並びにその使用方法に関する。
【0008】
更に本発明は、その中間体である一般式(III)
【化4】

{式中、Rは水素原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルキルカルボニル基、ハロC1-C6アルキルカルボニル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又はハロC1-C6アルコキシカルボニル基を示す。
【0009】
AはA−1
【化5】

(式中、Zは水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、ハロC2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基、同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、複素環基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換複素環基を示す。)
【0010】
又はA−2
【化6】

(式中、Zは前記に同じ。)で表されるテトラゾリル基を示す。
Yはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、pは0〜4の整数を示す。}で表されるアニリン誘導体又はその塩類にも関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体は、農園芸用殺虫剤として優れた防除効果を示すものであり、又、他の農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、生物農薬等と混合使用することによっても優れた防除効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のフタルアミド誘導体の一般式(I)の定義において、「ハロゲン原子」とは、塩素原子、臭素原子、沃素原子又はフッ素原子を示す。「C1-C6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等を例示することができる。「ハロC1-C10アルキル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜10個のアルキル基を示し、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−1―(トリフルオロメチル)エチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2,3−ジブロモプロピル基等を例示することができる。「C1-C6アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を例示することができる。「ハロC1-C6アルコキシ基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、例えばジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等を例示することができる。
【0013】
「複素環基」としては、例えばピリジル基、ピリジン−N−オキシド基、ピリミジニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピラゾリル基等を例示することができ、「縮合環」としては、例えばナフタレン、テトラヒドロナフタレン、インデン、インダン、キノリン、キナゾリン、インドール、インドリン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジヒドロベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール等を例示することができる。
【0014】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体の塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩類、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩類、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等との塩類を例示することができる。また、中間体である一般式(III)で表されるアニリン誘導体の塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩類、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩類を例示することができる。
【0015】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体において、Rとして好ましくはC1-C6アルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。R及びRとして特に好ましくは水素原子又はメチル基である。R及びRとして特に好ましくは水素原子である。Xとして好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。mとして好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。Yとして好ましくはハロゲン原子、C1-C6アルキル基又はハロC1-C6アルキル基であり、特に好ましくはメチル基又は塩素原子である。pとして好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。Zとして好ましくはC1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、ハロC2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基、同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基又は複素環基であり、特に好ましくはハロC1-C10アルキル基である。nとしては0〜2の整数のいずれも好ましいが、特に2が好ましい。
【0016】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体は、その構造式中に1つ又は複数個の不斉炭素原子又は不斉中心を含む場合があり、2種以上の光学異性体及びジアステレオマーが存在する場合もあり、本発明は各々の光学異性体及びそれらが任意の割合で含まれる混合物をも全て包含するものである。又、本発明の一般式(I)で表されるスルホンアミド誘導体は、その構造式中に1つ又は複数個の炭素−炭素二重結合に由来する2種以上の幾何異性体が存在する場合もあるが、本発明は各々の幾何異性体及びそれらが任意の割合で含まれる混合物をも全て包含するものである。
【0017】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体は、特開平11−240857号公報又は特開2001−131141号公報記載の方法に準じて製造することができ、例えば下記に図示する製造方法により製造することができるが、これらに限定されるものではない。
製造方法1.
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、A、X、Y、Z、m、n及びpは前記に同じくし、halはハロゲン原子を示す。)
【0018】
一般式(II)で表されるフタルイソイミド誘導体と一般式(III)で表されるアニリン誘導体とを酸又は塩基の存在下若しくは非存在下に、不活性溶媒中で反応させることにより、一般式(I−1)で表されるフタルアミド誘導体とし、該フタルアミド誘導体(I−1)を脱ハロゲン化水素剤及び不活性溶媒の存在下に一般式(IV)で表されるハライド類と反応させることにより、一般式(I−2)で表されるフタルアミド誘導体とし、該フタルアミド誘導体(I−2)を不活性溶媒の存在下に酸化剤と反応させることにより、一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体を製造することができる。Rが水素原子の場合は、一般式(I−2)で表されるフタルアミド誘導体を経由することなく、一般式(I−1)で表されるフタルアミド誘導体を不活性溶媒の存在下に酸化剤と反応させることにより、一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体を製造することができる。
【0019】
[1−1] 一般式(II)→ 一般式(I−1)
本反応はJ.Med.Chem.,1967年,10巻,p.982に記載の方法に従って目的物を製造することができる。本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。本反応で使用できる酸としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類、塩酸、硫酸等の無機酸類を例示することができ、その使用量は、一般式(II)で表されるフタルイソイミド誘導体に対して触媒量乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基類を例示することができ、その使用量は、一般式(II)で表されるフタルイソイミド誘導体に対して触媒量乃至過剰モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0020】
[1−2] 一般式(I−1)→ 一般式(I−2)
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸等の酸類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶媒を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。脱ハロゲン化水素剤としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基類を例示することができる。本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、いずれかの反応剤を過剰に使用することもできる。反応温度は室温乃至使用する不活性溶媒の還流温度下で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲で適宜選択すれば良い。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。又、反応系から目的物を単離せずに次の反応工程に供することも可能である。
【0021】
[1−3] 一般式(I−1)又は(I−2)→ 一般式(I)
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、酢酸等の酸類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を例示することができる。酸化剤としては、例えばメタクロロ過安息香酸、過酢酸、メタ過ヨウ素酸カリウム、過硫酸水素カリウム(オキソン)、過酸化水素等を例示することができ、その使用量は一般式(I−1)又は(I−2)で表されるフタルアミド誘導体に対して0.5〜3当量の範囲から適宜選択して使用すれば良い。反応温度は−50℃〜使用する不活性溶媒の沸点域の範囲で行えば良く、反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至24時間の範囲である。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0022】
本発明の原料化合物である一般式(II)で表されるフタルイソイミド誘導体は特開平11−240857号公報及び特開2001−131141号公報に記載の製造方法に準じて製造することができる。
【0023】
本発明の原料化合物である一般式(III)で表されるアニリン誘導体は、J.Org.Chem.,1976年,41巻,p.1073又はJ.Org.Chem.,1993年,58巻,p.32に記載の方法を組合わせる事により製造することができ、例えば下記に図示する製造方法により製造することができる。
製造方法2.
【化8】

(式中、R、Y、Z、p及びhalは前記に同じくし、Mはナトリウム原子、カリウム原子等の金属原子又はトリメチルシリル基を示す。)
【0024】
一般式(V)で表されるアニリド誘導体とハロゲン化剤とを不活性溶媒の存在下に反応させることにより、一般式(VI)で表されるハロイミド誘導体とし、該ハロイミド誘導体(VI)を単離し、又は単離せずして一般式(VII)で表されるアジド類と不活性溶媒の存在下に反応させることにより、一般式(VIII)で表されるテトラゾール誘導体とし、テトラゾール誘導体(VIII)を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下に還元することにより、一般式(III−1)で表される本発明のアニリン誘導体を製造することができる。また、一般式(III−1)で表される本発明のアニリン誘導体を一般式(IX)で表されるハライド類と塩基及び不活性溶媒の存在下に反応させることにより、(III−2)で表される本発明のアニリン誘導体を製造することができる。
【0025】
[2−1] 一般式(V)→ 一般式(VI)
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、臭化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リン、オキシ臭化リン、四塩化炭素−トリフェニルホスフィン、四臭化炭素−トリフェニルホスフィン等を例示することができ、その使用量は一般式(V)で表されるアニリド誘導体に対して0.5〜3当量の範囲から適宜選択して使用すれば良い。反応温度は−50℃〜使用する不活性溶媒の沸点域の範囲で行えば良く、反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至24時間の範囲である。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離し、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。又、反応系から目的物を単離せずに次の反応工程に供することも可能である。
【0026】
[2−2] 一般式(VI)→ 一般式(VIII)
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。本反応で使用できるアジド類としては、例えばナトリウムアジド、カリウムアジド、トリメチルシリルアジド等を例示することができ、その使用量は一般式(VI)で表されるハロイミド誘導体に対して0.5〜3当量の範囲から適宜選択して使用すれば良い。反応温度は−50℃〜使用する不活性溶媒の沸点域の範囲で行えば良く、反応時間は反応温度、反応規模等により一定しないが、数分乃至24時間の範囲である。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離し、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。又、反応系から目的物を単離せずに次の反応工程に供することも可能である。
【0027】
[2−3] 一般式(VIII)→ 一般式(III−1)
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、水等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。また、次に示す還元剤として使用する酸の水溶液をそのまま不活性溶媒として使用することもできる。本反応で使用できる還元剤としては、金属−酸、金属−塩等を例示することができ、金属としては、例えば鉄、スズ、亜鉛等を、酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸類、酢酸等の有機酸類、塩化スズ等を、塩としては、例えば塩化アンモニウム等を例示することができる。また、これらを組み合わせて使用することも可能である。還元剤の使用量は一般式(VIII)で表されるテトラゾール誘導体に対して、金属は1〜10モル、酸および塩は0.05〜10モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。又、還元反応は触媒の存在下、接触水素添加法によっても行うことができる。触媒としては、例えばパラジウム炭素、ラネーニッケル等を例示することができ、触媒量は一般式(VIII)で表されるテトラゾール誘導体に対して、0.00001〜0.1倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。水素圧は常圧〜100kg/cmの範囲から適宜選択すれば良いが、好ましくは常圧〜10kg/cmの範囲である。反応温度は0〜150℃の範囲から選択すれば良く、反応時間は反応規模、反応温度等により一定しないが、数分〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。反応終了後、目的物を含む反応系から常法に従って単離し、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。又、反応系から目的物を単離せずに次の反応工程に供することも可能である。
【0028】
[2−4] 一般式(III−1)→ 一般式(III−2)
本反応は[1−2]に同じくすれば良い。
【0029】
製造方法3.
【化9】

(式中、R、Y、Z、p、hal及びMは前記に同じ。)
【0030】
一般式(V−1)で表されるベンズアミド誘導体とハロゲン化剤とを不活性溶媒の存在下に反応させることにより、一般式(VI−1)で表されるハロイミド誘導体とし、該ハロイミド誘導体(VI−1)を単離し、又は単離せずして一般式(VII)で表されるアジド類と不活性溶媒の存在下に反応させることにより、一般式(VIII−1)で表されるテトラゾール誘導体とし、テトラゾール誘導体(VIII−1)を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下に還元することにより、一般式(III-3)で表される本発明のアニリン誘導体を製造することができる。また、一般式(III-3)で表される本発明のアニリン誘導体を一般式(IX)で表されるハライド類と塩基及び不活性溶媒の存在下に反応させることにより、(III-4)で表される本発明のアニリン誘導体を製造することができる。
【0031】
[3−1] 一般式(V−1)→ 一般式(VI−1)
本反応は[2−1]に同じくすれば良い。
[3−2] 一般式(VI−1)→ 一般式(VIII−1)
本反応は[2−2]に同じくすれば良い。
[3−3] 一般式(VIII−1)→ 一般式(III−3)
本反応は[2−3]に同じくすれば良い。
[3−4] 一般式(III−3)→ 一般式(III−4)
本反応は[1−2]に同じくすれば良い。
【0032】
本発明の一般式(I) で表されるフタルアミド誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤は水稲、果樹、野菜、その他の作物及び花卉類を加害する各種農林、園芸、貯穀害虫や衛生害虫或いは線虫等の害虫防除に適しており、例えばリンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、リンゴコシンクイ(Grapholita inopinata)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、クワハマキ(Olethreutes mori)、チャノホソガ(Caloptilia thevivora)、リンゴホソガ(Caloptilia zachrysa)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoniella)、ナシホソガ(Spulerrina astaurota)、モンシロチョウ(Piers rapae crucivora)、オオタバコガ類(Heliothis sp.)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、コナガ(Plutella xylostella)、リンゴヒメシンクイ(Argyresthia conjugella)、モモシンクイガ(Carposina niponensis)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、チャマダラメイガ(Ephestia elutelia)、クワノメイガ(Glyphodes pyloalis)、サンカメイガ(Scirpophaga incertulas)、イチモンジセセリ(Parnara guttata)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、
【0033】
イネヨトウ(Sesamia inferens)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)等の鱗翅目害虫、フタテンヨコバイ(Macrosteles fascifrons)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ミカンキジラミ(Diaphorina citri)、ブドウコナジラミ(Aleurolobus taonabae)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ツノロウムシ(Ceroplastes ceriferus)、ミカンワタカイガラムシ(Pulvinaria aurantii)、ミカンマルカイガラムシ(Pseudaonidia duplex)、ナシマルカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)等の半翅目害虫、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus sp.)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、マメコガネ(Popilla japonica)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、
【0034】
ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、ヤサイゾウムシ(Listroderes costirostris)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis grandis)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemlineata)、メキシカンビーンビートル(Epilachna varivestis)、コーンルートワーム類(Diabrotica sp.)等の甲虫目害虫、ウリミバエ(Dacus(Zeugodacus)cucurbitae)、ミカンコミバエ(Dacus(Bactrocera)dorsalis)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、タマネギバエ(Delia antiqua)、タネバエ(Dalia platura)、ダイズサヤタマバエ(Asphondylis sp.)、イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex pipiens pipiens)等の双翅目害虫、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、ジャガイモシストセンチュウ(Glabodera rostchiensis)、
【0035】
ネコブセンチュウ(Meloidogyne sp.)、ミカンネセンチュウ(Tylenchulus semipenetrans)、ニセネグサレセンチュウ(Aphelenchus avenae)、ハガレセンチュウ(Aphelenchoides ritzemabosi)等のハリセンチュウ目害虫、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus uimi)、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai Kishida)、ナミハダニ(Tetranychus urticae Koch)、チャノナガサビダニ(Acaphylla theae)、ミカンサビハダニ(Aculops pelekassi)、チャノサビダニ(Calacarus carinatus)、ナシサビダニ(Epitrimerus pyri)等のダニ目害虫に対して強い殺虫効果を有するものである。
【0036】
また、ミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae)のイエシロアリ(Coptotermes formosanus Shiraki)、ヤマトシロアリ(Reticulitermessperatus (Kolbe))、北アメリカに生息するReticulitermes hesperus、Reticulitermes tibialis、Reticulitermes flavipes等、地中海沿岸に生息するReticulitermes lucifugus、Reticulitermes santonensis等、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor (Hagen))やシロアリ科(termitidae)のタイワンシロアリ(Odontotermes formosanus (Shiraki) )、レイビシロアリ科(Kalotermitidae)のダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus (Haviland))及びオオシロアリ科(Termopsidae) のHodotermopsis jzponica (Holmgren) 等の家屋、建材類、家具類、皮革類、繊維類、ビニール加工品、電線・ケーブル等に加害する全ての白蟻類に対して低薬量で顕著な殺蟻効果を有するものである。又、アリ科(Formicidae)のイエヒメアリ(Monomorium pharaoni Linnes)、ヒメアリ(Monomorium nipponense Wheeler) 、ミカドオオアリ(Camponotus kiusiuensis Santschi) 、クロヤマアリ(Formica japonica Motschulsky)、クロクサアリ(Lasius fuliginosus (Latreille))等や北アメリカに生息するファイヤーアント(Solenopsis richteri、Solenopsis invicta、Solenopsis geminata(F))等の農作物又は公園等の公共施設や家屋に侵入し、人に加害する蟻類に対しても低薬量で顕著な殺蟻効果を有するものである。
【0037】
更に、本発明の一般式(I) で表されるフタルアミド誘導体は、牛、馬、羊等の家畜、犬、猫等のペットの他、マウス、ラット、ハムスター、リス等のげっ歯目動物、ウサギ目動物、フェレット等の食肉目動物、アヒル、ニワトリ、ハト等の鳥類の外部寄生虫に対しても使用でき、例えばネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等のノミ目害虫、フタトゲチマダニ(Haemaphyxalis longicornis)、オウシマダニ(Boophilus microplus)等のダニ目害虫、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、ヒツジジラミ(Damalinia ovis)等のシラミ目害虫等の外部寄生虫に対しても強い殺虫効果を有するものである。
【0038】
本発明の一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体を有効成分とする農園芸用殺虫剤は、水田作物、畑作物、果樹、野菜、その他の作物及び花卉等に被害を与える前記害虫に対して顕著な防除効果を有するので、害虫の発生が予測される時期に合わせて、害虫の発生前又は発生が確認された時点で育苗施設、水田、畑、果樹、野菜、その他の作物、花卉等の種子、水田水、茎葉又は土壌等の栽培担体等に処理することにより本発明の農園芸用殺虫剤の所期の効果が奏せられるものである。中でも、作物、花卉等の育苗土壌、移植時の植え穴土壌、株元、灌漑水、水耕栽培における栽培水等に処理して、土壌を介し又は介さずして根から本発明化合物を吸収させることによるいわゆる浸透移行性を利用した施用が好ましい使用形態である。また、近年、遺伝子組み換え作物(除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、保存性向上作物、収量向上作物など)、昆虫性フェロモン(ハマキガ類、ヨトウガ類の交信攪乱剤など)、天敵昆虫などを用いたIPM(総合的害虫管理)技術が進歩しており、本発明の農園芸用殺虫剤はそれらの技術と併用、あるいは体系化して用いることができる。
【0039】
本発明の農園芸用殺虫剤を使用できる植物は特に限定されるものではないが、例えば以下に示した植物が挙げられる。
穀類(例えば、稲、大麦、小麦、ライ麦、オート麦、トウモロコシ等)、豆類(大豆、小豆、そら豆、えんどう豆、インゲン豆、落花生等)、果樹・果実類(林檎、柑橘類、梨、葡萄、桃、梅、桜桃、胡桃、栗、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、葉・果菜類(キャベツ、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、ピーマン、ナス、ペッパー等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、サトイモ、大根、蓮根、カブ、ゴボウ、ニンニク等)、加工用作物(棉、麻、ビート、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、ウリ類(カボチャ、キュウリ、マクワウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、香料等鑑賞用作物(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、生姜等)、花卉類(キク、バラ、カーネーション、蘭等)、庭木(イチョウ、サクラ類、アオキ等)、林木(トドマツ類、エゾマツ類、松類、ヒバ、杉、桧等)等の植物に使用できる。
【0040】
本発明の農園芸用殺虫剤は各種病害虫を防除するためにそのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で病虫害あるいは線虫防除に有効な量を当該病害虫および線虫の発生が予測される植物に使用すればよく、例えば果樹、穀類、野菜等において発生する病害虫および線虫に対しては茎葉部に散布する他に、種子の薬剤への浸漬、種子粉衣、カルパー処理等の種子処理、土壌全層混和、作条施用、床土混和、セル苗処理、植え穴処理、株元処理、トップドレス、イネの箱処理、水面施用等、土壌等に処理して根から吸収させて使用することもできる。加えて、養液(水耕)栽培における養液への施用、くん煙あるいは樹幹注入等による使用もできる。更に、本発明の農園芸用殺虫剤は、そのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で病虫害防除に有効な量を当該病害虫の発生が予測される場所に使用すればよく、例えば貯穀害虫、家屋害虫、衛生害虫、森林害虫等に散布する他に、家屋建材への塗布、くん煙、ベイト等として使用することもできる。
【0041】
種子処理の方法としては、例えば、液状又は固体状の製剤を希釈又は希釈せずして液体状態にて種子を浸漬して薬剤を浸透させる方法、固形製剤又は液状製剤を種子と混和、粉衣処理して種子の表面に付着させる方法、樹脂、ポリマー等の付着性の担体と混和して種子にコーティングする方法、植え付けと同時に種子付近に散布する方法等が挙げられる。
当該種子処理を行う「種子」とは、植物の繁殖に用いられる栽培初期の植物体を意味し、例えば、種子の他、球根、塊茎、種芋、株芽、むかご、鱗茎、あるいは挿し木栽培用の栄養繁殖用の植物体を挙げることができる。
本発明の使用方法を実施する場合の植物の「土壌」又は「栽培担体」とは、作物を栽培するための支持体、特に根を生えさせる支持体を示すものであり、材質は特に制限されないが、植物が生育しうる材質であれば良く、いわゆる土壌、育苗マット、水等であっても良く、具体的な素材としては例えば、砂、軽石、バーミキュライト、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク等であっても良い。
【0042】
作物茎葉部又は貯穀害虫、家屋害虫、衛生害虫若しくは森林害虫等への散布方法としては、乳剤、フロアブル剤等の液体製剤又は水和剤もしくは顆粒水和剤等の固形製剤を水で適宜希釈し、散布する方法、粉剤を散布する方法、又はくん煙等が挙げられる。
土壌への施用方法としては、例えば、液体製剤を水に希釈又は希釈せずして植物体の株元または育苗用苗床等に施用する方法、粒剤を植物体の株元又は育苗のための苗床等に散布する方法、播種前または移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し土壌全体と混和する方法、播種前または植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布する方法等が挙げられる。
【0043】
水稲の育苗箱への施用方法としては、剤型は、例えば播種時施用、緑化期施用、移植時施用などの施用時期により異なる場合もあるが、粉剤、顆粒水和剤、粒剤等の剤型で施用すればよい。培土との混和によっても施用することができ、培土と粉剤、顆粒水和剤又は粒剤等との混和、例えば、床土混和、覆土混和、培土全体への混和等することができる。単に、培土と各種製剤を交互に層状にして施用してもよい。
水田への施用方法としては、ジャンボ剤、パック剤、粒剤、顆粒水和剤等の固形製剤、フロアブル、乳剤等の液体状製剤を、通常は、湛水状態の水田に散布する。その他、田植え時には、適当な製剤をそのまま、あるいは、肥料に混和して土壌に散布、注入することもできる。また、水口や灌漑装置等の水田への水の流入元に乳剤、フロアブル等の薬液を利用することにより、水の供給に伴い省力的に施用することもできる。
【0044】
畑作物においては、播種から育苗期において、種子又は植物体に近接する栽培担体等へ処理ができる。畑に直接播種する植物においては、種子への直接処理の他、栽培中の植物の株元への処理が好適である。粒剤を用いて散布処理又は水に希釈あるいは希釈しない薬剤を液状にて潅注処理を行うこと等ができる。粒剤を播種前の栽培担体と混和させた後、播種するのも好ましい処理である。
移植を行う栽培植物の播種、育苗期の処理としては、種子への直接処理の他、育苗用苗床への、液状とした薬剤の潅注処理又は粒剤の散布処理が好ましい。また、定植時に粒剤を植え穴に処理したり、移植場所近辺の栽培担体に混和することも好ましい処理である。
本発明の農園芸用殺虫剤は、農薬製剤上の常法に従い使用上都合の良い形状に製剤して使用するのが一般的である。
即ち、一般式(I)で表されるフタルアミド誘導体はこれらを適当な不活性担体に、又は必要に応じて補助剤と一緒に適当な割合に配合して溶解、分離、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させて適宜の剤型、例えば懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、パック剤等に製剤して使用すれば良い。
【0045】
本発明で使用できる不活性担体としては固体又は液体の何れであっても良く、固体の担体になりうる材料としては、例えばダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、植物エキス抽出後の残渣、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えばカオリン、ベントナイト、酸性白土等)、タルク類(例えばタルク、ピロフィライト等)、シリカ類{例えば珪藻土、珪砂、雲母、ホワイトカーボン(含水微粉珪素、含水珪酸ともいわれる合成高分散珪酸で、製品により珪酸カルシウムを主成分として含むものもある。)}、活性炭、イオウ粉末、軽石、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機鉱物性粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体、硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等の化学肥料、堆肥等を挙げることができ、これらは単独で若しくは二種以上の混合物の形で使用される。
【0046】
液体の担体になりうる材料としては、それ自体溶媒能を有するものの他、溶媒能を有さずとも補助剤の助けにより有効成分化合物を分散させうることとなるものから選択され、例えば代表例として次に挙げる担体を例示できる。これらは単独で若しくは2種以上の混合物の形で使用され、例えば水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えばエチルエーテル、ジオキサン、セロソルブ、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えばケロシン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩素化ベンゼン等)、エステル類(例えば酢酸エチル、ジイソプピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ−ト等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル等)、ジメチルスルホキシド類等を挙げることができる。
【0047】
補助剤として代表的なものを次に例示するが、これらの補助剤は目的に応じて使用され、単独で、ある場合は二種以上の補助剤を併用し、又ある場合には全く補助剤を使用しないことも可能である。
有効成分化合物の乳化、分散、可溶化及び/又は湿潤の目的で、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル等の界面活性剤を使用することができる。
有効成分化合物の分散安定化、粘着及び/又は結合の目的で、例えばカゼイン、ゼラチン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、松根油、糠油、ベントナイト、リグニンスルホン酸塩等を使用することができる。固体製品の流動性改良の目的で、例えばワックス、ステアリン酸塩、燐酸アルキルエステル等を使用することができる。
【0048】
又、懸濁性製品の解こう剤として、例えばナフタレンスルホン酸縮合物、縮合燐酸塩等を、消泡剤として、例えばシリコーン油等を、防腐剤として、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、パラクロロメタキシレノール、パラオキシ安息香酸ブチル等を使用することができる。
更に必要に応じて機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、プロピレングリコール等の凍結防止剤、BHT等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等その他の補助剤も使用することができる。
有効成分化合物の配合割合は必要に応じて加減することができ、農園芸用殺虫剤100重量部中、0.01〜90重量部の範囲から適宜選択して使用すれば良く、例えば、粉剤、粒剤、乳剤又は水和剤とする場合は0.01〜50重量部が適当である。
本発明の農園芸用殺虫剤は各種害虫を防除するためにそのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で害虫防除に有効な量を当該害虫の発生が予測される作物若しくは発生が好ましくない場所に適用して使用すれば良い。
【0049】
本発明の農園芸用殺虫剤の使用量は種々の因子、例えば目的、対象害虫、作物の生育状況、害虫の発生傾向、天候、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動するが、有効成分化合物として10アール当たり0.001g〜10kg、好ましくは0.01g〜1kgの範囲から目的に応じて適宜選択すれば良い。
本発明の農園芸用殺虫剤は、更に防除対象病害虫、防除適期の拡大のため、或いは薬量の低減をはかる目的で他の農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、生物農薬等と混合して使用することも可能であり、又、使用場面に応じて除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合して使用することも可能である。
かかる目的で使用する他の農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤としては、例えばエチオン、トリクロルホン、メタミドホス、アセフェート、ジクロルボス、メビンホス、モノクロトホス、マラチオン、ジメトエート、ホルモチオン、メカルバム、バミドチオン、チオメトン、ジスルホトン、オキシデプロホス、ナレッド、メチルパラチオン、フェニトロチオン、シアノホス、プロパホス、
【0050】
フェンチオン、プロチオホス、プロフェノホス、イソフェンホス、テメホス、フェントエート、ジメチルビンホス、クロルフェビンホス、テトラクロルビンホス、ホキシム、イソキサチオン、ピラクロホス、メチダチオン、クロロピリホス、クロルピリホス・メチル、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、ピリミホスメチル、ホサロン、ホスメット、ジオキサベンゾホス、キナルホス、テルブホス、エトプロホス、カズサホス、メスルフェンホス、DPS(NK−0795)、ホスホカルブ、フェナミホス、イソアミドホス、ホスチアゼート、イサゾホス、エナプロホス、フェンチオン、ホスチエタン、ジクロフェンチオン、チオナジン、スルプロホス、フェンスルフォチオン、ジアミダホス、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、テフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、シハロトリン、ラムダ・シハロトリン、デルタメトリン、アクリナトリン、
【0051】
フェンバレレート、エスフェンバレレート、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、ハルフェンプロックス、シラフルオフェン、フルシトリネート、フルバリネート、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アルジカルブ、アラニカルブ、カルタップ、メトルカルブ、キシリカルブ、プロポキスル、フェノキシカルブ、フェノブカルブ、エチオフェンカルブ、フェノチオカルブ、ビフェナゼート、フェノブカルブ、カルバリル、ピリミカーブ、カルボフラン、カルボスルファン、フラチオカルブ、ベンフラカルブ、アルドキシカルブ、ジアフェンチウロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、クロルフルアズロン、酸化フェンブタスズ、水酸化トリシクロヘキシルスズ、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メトプレン、ハイドロプレン、ビナパクリル、アミトラズ、ジコホル、ケルセン、クロルベンジレート、フェニソブロモレート、テトラジホン、ベンスルタップ、ベンゾメート、テブフェノジド、メトキシフェノジド、ピリダリル、
【0052】
クロマフェノジド、プロパルギット、アセキノシル、エンドスルファン、ジオフェノラン、クロルフェナピル、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、フィプロニル、テブフェンピラド、トリアザメート、エトキサゾール、ヘキシチアゾクス、硫酸ニコチン、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン、フルアジナム、ピリプロキシフェン、ヒドラメチルノン、ピリミジフェン、ピリダベン、シロマジン、TPIC(トリプロピルイソシアヌレート)、ピメトロジン、クロフェンテジン、ブプロフェジン、チオシクラム、フェナザキン、キノメチオネート、インドキサカルブ、ポリナクチン複合体、ミルベメクチン、アバメクチン、エマメクチン・ベンゾエート、スピノサッド、BT(バチルス・チューリンゲンシス)、アザディラクチン、ロテノン、ヒドロキシプロピルデンプン、塩酸レバミゾール、メタム・ナトリウム、酒石酸モランテル、ダゾメット、トリクラミド、パストリア、モナクロスポリウム・フィマトパガム等の農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤を例示することができ、
【0053】
同様の目的で使用する農園芸用殺菌剤としては、例えば硫黄、石灰硫黄合剤、塩基性硫酸銅、イプロベンホス、エディフェンホス、トルクロホス・メチル、チラム、ポリカーバメイト、ジネブ、マンゼブ、マンコゼブ、プロピネブ、チオファネート、チオファネートメチル、ベノミル、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル、オキサジキシル、カルプロパミド、ジクロフルアニド、フルスルファミド、クロロタロニル、クレソキシムメチル、フェノキサニル、ヒメキサゾール、エクロメゾール、フルオルイミド、プロシミドン、ビンクロゾリン、イプロジオン、トリアジメホン、トリフルミゾール、ビテルタノール、トリフルミゾール、イプコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、ミクロブタニル、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、イミベンコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、シプロコナゾール、イソプロチオラン、フェナリモル、ピリメタニル、メパニピリム、ピリフェノックス、フルアジナム、トリホリン、ジクロメジン、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、チアジアジン、キャプタン、チアジニル、プロベナゾール、アシベンゾフラルSメチル(CGA−245704)、フサライド、トリシクラゾール、ピロキロン、キノメチオネート、オキソリニック酸、ジチアノン、シアゾファミド、チアジニル、ジクロシメット、カスガマイシン、バリダマイシン、ポリオキシン、ブラストサイジン、ストレプトマイシン等の農園芸用殺菌剤を例示することができ、
【0054】
同様に除草剤としては、例えばグリホサート、スルホセート、グルホシネート、ビアラホス、ブタミホス、エスプロカルブ、プロスルホカルブ、ベンチオカーブ、ピリブチカルブ、アシュラム、リニュロン、ダイムロン、イソウロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、シノスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、テニルクロール、アラクロール、プレチラクロール、クロメプロップ、エトベンザニド、メフェナセット、フルフェナセット、フェントラザミド、ペンディメタリン、ビフェノックス、アシフルオフェン、ラクトフェン、シハロホップブチル、アイオキシニル、ブロモブチド、アロキシジム、セトキシジム、ナプロパミド、インダノファン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラフルフェンエチル、イマザピル、スルフェントラゾン、カフェンストロ−ル、ベントキサゾン、オキサゾアゾン、パラコート、ジクワット、ピリミノバック、シマジン、アトラジン、ジメタメトリン、トリアジフラム、ベンフレセート、フルチアセットメチル、キザロホップエチル、ベンタゾン、オキサジクロメホン、アザフェニジン、ベンゾビシクロン、過酸化カルシウム等の除草剤を例示することができる。
【0055】
又、生物農薬として、例えば核多角体ウイルス(Nuclear polyhedrosis virus、NPV )、顆粒病ウイルス(Granulosis virus、GV)、細胞質多角体病ウイルス(Cytoplasmic polyhedrosis virus、CPV )、昆虫ポックスウイルス(Entomopox virus 、EPV )等のウイルス製剤、モノクロスポリウム・フィマトパガム(Monacrosporium phymatophagum)、スタイナ−ネマ・カーポカプサエ(Steinernema carpocapsae )、スタイナ−ネマ・クシダエ(Steinernema kushidai)、パスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans )等の殺虫又は殺線虫剤として利用される微生物農薬、トリコデルマ・リグノラン(Trichoderma lignorum)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobactor )、非病原性エルビニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis )等の殺菌剤として使用される微生物農薬、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)等の除草剤として利用される生物農薬などと混合して使用することにより、同様の効果が期待できる。
【0056】
更に、生物農薬として例えばオンシツツヤコバチ(Encarsia formosa)、コレマンアブラバチ(Aphidius colemani )、ショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)、イサエアヒメコバチ(Diglyphus isaea )、ハモグリコマユバチ(Dacnusa sibirica)、チリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis )、ククメリスカブリダニ(Amblyseius cucumeris)、ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri )等の天敵生物、ボーベリア・ブロンニアティ(Beauveria brongniartii)等の微生物農薬、(Z)−10−テトラデセニル=アセタート、(E,Z)−4,10−テトラデカジニエル=アセタート、(Z)−8−ドデセニル=アセタート、(Z)−11−テトラデセニル=アセタート、(Z)−13−イコセン−10−オン、14−メチル−1−オクタデセン等のフェロモン剤と併用することも可能である。
【実施例】
【0057】
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1. N2 −(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−ヨード−N1 −[4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルフェニル]フタルアミド(化合物No.3−19)の製造
(1−1) 4−n−ヘプタフルオロプロピルカルボニルアミノ−2−メチルニトロベンゼンの製造
【化10】

4−アミノ−2−メチルニトロベンゼン3.0g(20ミリモル)のテトラヒドロフラン50ml溶液に、トリエチルアミン2.4g(24ミリモル)を加え、氷水冷下、n−ヘプタフルオロ酪酸無水物8.1g(20ミリモル)を滴下した。室温に戻し、12時間攪拌した後、反応溶液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して目的物6.8gを得た。
収率:定量的
物性:[HNMR,CDCl,δ値(ppm)]
8.21(br,1H),8.10(d,1H),7.64(d,1H),
7.62(dd,1H),2.68(s,3H).
【0058】
(1−2) 4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルニトロベンゼンの製造
【化11】

4−n−ヘプタフルオロプロピルカルボニルアミノ−2−メチルニトロベンゼン4.3g(12ミリモル)のアセトニトリル30ml溶液に、トリフェニルホスフィン4.8g(19ミリモル)、四臭化炭素6.1g(19ミリモル)を加え、3時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮した後DMF30mlに溶かし、アジ化ナトリウム2.4g(37ミリモル)のDMF溶液にゆっくり滴下した。5時間攪拌した後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物2.5gを得た。
収率:34%
物性:[HNMR,CDCl,δ値(ppm)]
8.19(d,1H),7.51(s,1H),7.50(d,1H),
2.71(s,3H).
【0059】
(1−3) 4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルアニリン(化合物No.7−3)の製造
【化12】

4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルニトロベンゼン2.5g(6.7ミリモル)のエタノール70ml溶液に、5%パラジウム炭素0.4gを加え、3気圧の水素下で一晩撹拌を行った。反応液をろ過し、減圧濃縮して目的物2.1gを得た。
収率:85%
物性:[HNMR,CDCl,δ値(ppm)]
7.24(m,3H),7.18(m,2H),2.36(s,3H).
【0060】
(1−4) 3−ヨード−N−[4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルフェニル]−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)フタルアミド(化合物No.3−19)の製造
【化13】

3−ヨード−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)フタルイソイミド0.7g(2.0ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶かし、4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルアニリン0.7g(2.0ミリモル)、トリフルオロ酢酸10mgを加え、室温下で12時間撹拌した。析出した結晶を濾過しアセトニトリルで洗浄して、目的物0.65gを得た。
収率:46%
物性:融点 164−166℃
【0061】
実施例2. 3−ヨード−N−[4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルフェニル]−N−(1,1−ジメチル−2−メチルスルホニルエチル)フタルアミド(化合物No.3−21)の製造
【化14】

3−ヨード−N−[4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルフェニル]−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)フタルアミド0.4g(0.6ミリモル)のクロロホルム10ml溶液に、氷水冷下、m−クロロ過安息香酸0.3g(1.2ミリモル)を加え、室温下で3時間攪拌した。炭酸カリウム水溶液ついで亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた結晶をエーテルで洗い、3−ヨード−N−[4−(5−n−ヘプタフルオロプロピルテトラゾール−1−イル)−2−メチルフェニル]−N−(1,1−ジメチル−2−メチルスルホニルエチル)フタルアミド0.37gを得た。
収率:93%
物性:融点 141−142℃
【0062】
実施例3. N2 −(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−ヨード−N1 −[4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルフェニル]フタルアミド(化合物No.4−1)の製造
(3−1) N−シクロプロピル−3−メチル−4−ニトロベンズアミドの製造
【化15】

シクロプロピルアミン1.65g(29ミリモル)のテトラヒドロフラン50ml溶液に、トリエチルアミン3.35g(33ミリモル)を加え、氷水冷下、3−メチル−4−ニトロベンゾイルクロリド5.0g(28ミリモル)を滴下した。室温に戻し、12時間攪拌した後、反応溶液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して目的物4.7gを得た。このものは精製せずに次の反応に用いた。
【0063】
(3−2) 4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルニトロベンゼンの製造
【化16】

N−シクロプロピル−3−メチル−4−ニトロベンズアミド4.7g(21ミリモル)のトルエン40mlとジオキサン4ml混合溶液に、五塩化燐6.3g(30ミリモル)を加え、3時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮した後DMF30mlに溶かし、アジ化ナトリウム2.8g(43ミリモル)のDMF溶液にゆっくり滴下した。5時間攪拌した後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、残渣をエーテルでろ過し目的物3.7gを得た。
収率:71%
物性:[HNMR,CDCl,δ値(ppm)]
8.15(d,1H),8.02(s,1H),7.97(d,1H),
3.76(m,1H),2.71(s,3H),1.39(m,4H).
【0064】
(3−3) 4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルアニリン(化合物No.8−1)の製造
【化17】

4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルニトロベンゼン1.6g(6.5ミリモル)のエタノール70ml溶液に、5%パラジウム炭素0.4gを加え、3気圧の水素下で一晩撹拌を行った。反応液をろ過し、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物1.0gを得た。
収率:72%
物性:融点 139−140℃
【0065】
(3−4) N2 −(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−ヨード−N1 −[4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルフェニル]フタルアミド(化合物No.4−1)の製造
【化18】

3−ヨード−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)フタルイソイミド0.8g(2.3ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶かし、4−(1−シクロプロピルテトラゾール−5−イル)−2−メチルアニリン0.50g(2.3ミリモル)、トリフルオロ酢酸10mgを加え、室温下で12時間撹拌した。析出した結晶を濾過しアセトニトリルで洗浄して、目的物1.30gを得た。
収率:99%
物性:融点 131−132℃
【0066】
実施例と同様にして製造できる本発明の一般式(I)で表されるフタルアミドの代表的な化合物を第1表から第4表に、その中間体である一般式(III)で表されるアニリン誘導体の代表的な化合物を第5表から第8表に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表中、物性は融点を示し、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Ph」はフェニル基を、「c−」はシクロを示す。
又、第9表には、第5表から第8表に物性記載のない化合物の一部についてのNMRデータを示した。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
【表5】

【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
【表9】

【0076】
【表10】

【0077】
以下に本発明の代表的な製剤例及び試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、製剤例中、部とあるのは重量部を示す。
製剤例1.
第1表から第4表記載の化合物 10部
キシレン 70部
N−メチルピロリドン 10部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 10部
以上を均一に混合溶解して乳剤とする。
製剤例2.
第1表から第4表記載の化合物 3部
クレー粉末 82部
珪藻土粉末 15部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。
【0078】
製剤例3.
第1表から第4表記載の化合物 5部
ベントナイトとクレーの混合粉末 90部
リグニンスルホン酸カルシウム 5部
以上を均一に混合し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
製剤例4.
第1表から第4表記載の化合物 20部
カオリンと合成高分散珪酸 75部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0079】
試験例1.コナガ(Plutella xylostella) に対する殺虫試験
ハクサイ実生にコナガの成虫を放飼して産卵させ、放飼2日後に産下卵の付いたハクサイ実生を第1表〜第4表に記載の化合物を有効成分とする薬剤を50ppmに希釈した薬液に約30秒間浸漬し、風乾後に25℃の恒温室に静置した。薬液浸漬6日後に孵化虫数を調査し、下記の式により死虫率を算出し、下記基準に従って判定を行った。1区10頭3連制。
[数1]
無処理区孵化虫数−処理区孵化虫数
死虫率(%)= ―――――――――――――――――― ×100
無処理区孵化虫数

判定基準. A・・・死虫率100%
B・・・死虫率99%〜90%
C・・・死虫率89%〜80%
D・・・死虫率79%〜50%
【0080】
上記試験の結果、Aの殺虫活性を示した化合物は1−4、1−5、1−6、1−13、1−15、1−16、1−17、1−18、1−19、1−21、2−4、2−6、2−7、2−10、2−12、2−13、2−15、2−16、2−18、3−7、3−8、3−9、3−13、3−14、3−15、3−16、3−18、3−19、3−20、3−21、3−22、3−24、3−25、3−27、3−28、3−30、3−31、3−32、3−33、3−34、3−36、3−37、3−39、3−55、3−57、3−58、3−60、4−4、4−5、4−7、4−9であった。
【0081】
試験例2.ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)に対する殺虫試験
第1表〜第4表に記載の化合物を有効成分とする薬剤を500ppmに希釈した薬液にキャベツ葉片(品種:四季穫)を約30秒間浸漬し、風乾後に直径9cmのプラスチックシャーレに入れ、ハスモンヨトウ2令幼虫を接種した後、蓋をして25℃の恒温室に静置した。接種8日後に生死虫数を調査し、下記の式により死虫率を算出し、判定基準は試験例1に従って行った。1区10頭3連制。
[数2]
無処理区生存虫数−処理区生存虫数
死虫率(%)= ―――――――――――――――――― ×100
無処理区生存虫数
【0082】
上記試験の結果、Aの殺虫活性を示した化合物は1−4、1−5、1−6、1−13、1−15、1−16、1−17、1−18、1−19、1−21、2−7、2−10、2−12、2−13、2−15、3−7、3−8、3−9、3−13、3−14、3−15、3−16、3−18、3−19、3−20、3−21、3−22、3−24、3−25、3−27、3−28、3−30、3−31、3−32、3−33、3−34、3−36、3−37、3−39、3−55、3−57、3−58、3−60、4−7であった。
【0083】
試験例3.チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)に対する殺虫試験
第1表〜第4表に記載の化合物を有効成分とする薬剤を500ppmに希釈した薬液にチャ葉を約30秒間浸漬し、風乾後に直径9cmのプラスチックシャーレに入れ、チャノコカクモンハマキ幼虫を接種した後、25℃、湿度70%の恒温室に静置した。接種8日後に生死虫数を調査し、試験例2と同様に判定を行った。1区10頭3連制。
【0084】
上記試験の結果、Aの殺虫活性を示した化合物は1−4、1−13、1−15、1−16、1−17、1−18、2−7、2−9、2−13、2−15、2−18、3−7、3−8、3−9、3−13、3−14、3−18、3−19、3−20、3−21、3−22、3−24、3−25、3−27、3−28、3−31、3−32、3−33、3−34、3−39、3−55、3−57、3−58、3−60、4−7、4−9であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

{式中、RはC1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基又はハロC2-C6アルキニル基を示す。
及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基又はハロC2-C6アルキニル基を示す。
及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルキルカルボニル基、ハロC1-C6アルキルカルボニル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又はハロC1-C6アルコキシカルボニル基を示す。
AはA−1
【化2】

(式中、Zは水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、ハロC2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基、同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、複素環基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換複素環基を示す。)
又はA−2
【化3】

(式中、Zは前記に同じ。)で表されるテトラゾリル基を示す。
Xはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、mは0〜4の整数を示す。
Yはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、pは0〜4の整数を示す。
nは0〜2の整数を示す。}で表されるフタルアミド誘導体又はその塩類。
【請求項2】
がC1-C6アルキル基を示し、R及びRが同一又は異なっても良く、水素原子、C1-C6アルキル基又はハロC1-C6アルキル基を示し、R及びRが水素原子を示し、AがA−1又はA−2を示し、ZがC1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基を示し、Xがハロゲン原子又はC1-C6ハロアルキル基を示し、mが1又は2を示し、Yがハロゲン原子、C1-C6アルキル基又はハロC1-C6アルキル基を示し、pが0〜2の整数を示し、nが0〜2の整数を示す請求項1に記載のフタルアミド誘導体又はその塩類。
【請求項3】
がC1-C6アルキル基を示し、R及びRが同一又は異なっても良く、水素原子又はC1-C6アルキル基を示し、R及びRが水素原子を示し、AがA−1又はA−2を示し、ZがC1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、ハロC1-C6アルキル基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基を示し、Xがハロゲン原子を示し、mが1を示し、Yがハロゲン原子又はC1-C6アルキル基を示し、pが1を示し、nが0〜2の整数を示す請求項1に記載のフタルアミド誘導体又はその塩類。
【請求項4】
一般式(III)
【化4】

{式中、Rは水素原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルキルカルボニル基、ハロC1-C6アルキルカルボニル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又はハロC1-C6アルコキシカルボニル基を示す。
AはA−1
【化5】

(式中、Zは水素原子、C1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C2-C6アルケニル基、ハロC2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、ハロC2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基、同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、複素環基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換複素環基を示す。)
又はA−2
【化6】

(式中、Zは前記に同じ。)で表されるテトラゾリル基を示す。
Yはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、ハロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、ハロC1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、ハロC1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基又はハロC1-C6アルキルスルホニル基を示し、pは0〜4の整数を示す。}で表されるアニリン誘導体又はその塩類。
【請求項5】
が水素原子を示し、AがA−1又はA−2を示し、ZがC1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキル基、ハロC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基を示し、Yがハロゲン原子、C1-C6アルキル基又はハロC1-C6アルキル基を示し、pが0〜2の整数を示す請求項3に記載のアニリン誘導体又はその塩類。
【請求項6】
が水素原子を示し、AがA−1又はA−2を示し、ZがC1-C6アルキル基、ハロC1-C10アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、ハロC3-C6シクロアルキル基、フェニル基又は同一若しくは異なっても良く、ハロゲン原子、ハロC1-C6アルキル基及びハロC1-C6アルコキシ基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基を示し、Yがハロゲン原子又はC1-C6アルキル基を示し、pが1を示す請求項3に記載のアニリン誘導体又はその塩類。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフタルアミド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺虫剤。
【請求項8】
請求項7に記載の農園芸用殺虫剤の有効量を、有用植物から害虫を防除するため、対象植物又は土壌に処理することを特徴とする農園芸用殺虫剤の使用方法。

【公開番号】特開2007−186507(P2007−186507A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339101(P2006−339101)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】