説明

フットスイッチ

【課題】他の作業者が誤ってフットスイッチを操作してしまうことによる誤動作を防止することのできるフットスイッチを提供する。
【解決手段】本発明のフットスイッチ1は、作業者の靴に取り付けられて識別情報を記憶して発信する識別情報発信部3と、識別情報発信部3と通信して識別情報を読み取る読取部4と、読取部4で読み取られた識別情報が工作機械の操作を許可された作業者の識別情報として登録されているか否かを判断し、登録されている場合にはペダル2の操作に応じて工作機械の動作を許可し、登録されていない場合には工作機械の動作を禁止する制御部5とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスブレーキ等の工作機械に設置されたフットスイッチに係り、特に誤動作防止機能を備えたフットスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプレスブレーキやプレス装置等の工作機械では、駆動や停止の操作を行うためにフットスイッチが利用されていた。このようなフットスイッチでは安全性を考慮して誤動作を防止する必要があり、例えば図3に示すような邪魔板によるロック機構を設けて異物等による誤動作を防止している。図3に示すフットスイッチ31では、作業者が靴32で邪魔板33を前方に倒すと、ロック機構34が解除されてペダル35が踏み込めるようになっていた。
【0003】
また、特許文献1に開示されたフットスイッチでは、ペダルの操作によってスイッチが切り換えられると、誤動作を防止するために確認用の音声を発生するような構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−272014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の誤動作を防止するための対策では、作業者本人による誤動作の防止には効果があるものの、他の作業者が誤ってフットスイッチを操作してしまった場合の誤動作については防止することができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、他の作業者が誤ってフットスイッチを操作してしまうことによる誤動作を防止することのできるフットスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係るフットスイッチは、ペダルの操作に応じて工作機械の駆動と停止を操作するフットスイッチであって、前記工作機械を操作する作業者の靴に設けられた識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られた識別情報が前記工作機械の操作を許可された作業者の識別情報として登録されているか否かを判断し、登録されている場合には前記ペダルの操作に応じて前記工作機械の動作を許可し、登録されていない場合には前記工作機械の動作を禁止する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るフットスイッチは、前記作業者の靴に取り付けられて前記識別情報を記憶して発信する識別情報発信手段をさらに備え、前記読取手段は前記識別情報発信手段と通信して前記識別情報を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るフットスイッチによれば、作業者の靴に設けられた識別情報を読み取って登録されているか否かを判断し、この結果によって工作機械の動作を許可または禁止するので、登録されていない他の作業者が誤ってフットスイッチを操作してしまう誤動作を防止することができる。
【0010】
また、本発明に係るフットスイッチによれば、識別情報を記憶して発信する識別情報発信部を作業者の靴に取り付け、読取部が識別情報発信部と通信して識別情報を読み取るので、より速く確実に識別情報を読み取って動作の許可または禁止を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した一実施形態に係るフットスイッチの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態に係るフットスイッチによる動作許可の判定処理を示すフローチャートである。
【図3】従来のフットスイッチの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[フットスイッチの構成]
図1は本実施形態に係るフットスイッチの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るフットスイッチ1は、作業者が靴で踏み込むことによって駆動と停止を操作するペダル2と、作業者の靴に取り付けられて作業者の識別情報を記憶して発信する識別情報発信部3と、識別情報発信部3と通信して識別情報を読み取る読取部4と、読み取られた識別情報が登録されているか否かを判断して動作の許可または禁止を判定する制御部5とを備えている。
【0015】
ここで、本実施形態に係るフットスイッチ1は、プレスブレーキ等の工作機械に設置されて工作機械の駆動と停止を操作するためのものである。本実施形態ではプレスブレーキに設置されている場合を一例として説明するが、足で駆動と停止を操作する工作機械であれば、その他の装置に設置してもよい。
【0016】
ペダル2は、作業者が足で踏み込むことによって、フットスイッチ1が設置されているプレスブレーキの駆動と停止を操作するためのものである。
【0017】
識別情報発信部3は、例えば非接触型のICチップ等であり、情報を記憶して発信することのできる装置であればよい。また、識別情報発信部3は各作業者に割り当てられたIDや社員番号等の識別情報を記憶しており、作業者の靴の前部にシールで貼り付けられるなどの方法で取り付けられている。そして、識別情報発信部3を読取部4の近傍に近づけると、読取部4との間で通信して識別情報を発信する。
【0018】
読取部4は、非接触型のICチップと通信可能なリーダ・ライター等であり、ペダル2の奥側に設置され、作業者がペダル2を操作しようとしてフットスイッチ1内に靴を挿入すると、識別情報発信部3と通信して識別情報を読み取る。
【0019】
制御部5は、プレスブレーキの操作を許可されている作業者の識別情報を格納したメモリ等の記憶装置を備えており、読取部4で読み取られた識別情報がプレスブレーキの操作を許可された作業者の識別情報として登録されているか否かを判断し、登録されている場合にはペダル2の操作に応じてプレスブレーキの動作を許可し、登録されていない場合にはプレスブレーキの動作を禁止する。
【0020】
[フットスイッチの動作]
次に、図2を参照して本実施形態に係るフットスイッチ1の動作を説明する。図2は、本実施形態に係るフットスイッチ1による動作許可の判定処理を示すフローチャートである。
【0021】
図2に示すように、まずステップS101において作業者がプレスブレーキを操作しようとしてペダル2を操作すると、ステップS102において読取部4が識別情報発信部3と通信して通信の異常判断を行う。この異常判断は、読取部4が識別情報発信部3との間で正常に通信ができたか否かを判断するものであり、作業者の靴に識別情報発信部3が取り付けられていない場合や識別情報発信部3に故障があって通信できない場合には異常と判断し、問題なく通信できれば正常と判断する。
【0022】
次に、ステップS102において正常であると判断された場合には、ステップS103において読取部4が識別情報発信部3との間で通信して識別情報を読み取る。そして、読み取られた識別情報は制御部5へ送信され、制御部5は読み取られた識別情報がプレスブレーキの操作を許可された作業者の識別情報として登録されているか否かを判定する。
【0023】
ここで、読み取られた識別情報が登録されている場合にはステップS104へ進み、制御部5はプレスブレーキの動作を許可して加工が開始され、プレスブレーキの動作許可を判定する処理は終了する。
【0024】
一方、ステップS103において識別情報が登録されていないと判定された場合とステップS102において通信に異常があると判定された場合にはステップS105へ進み、制御部5はプレスブレーキの動作を禁止してアラームを発生させ、プレスブレーキの動作許可を判定する処理は終了する。
【0025】
上述したように、本実施形態に係るフットスイッチ1によれば、作業者の靴に設けられた識別情報を読み取って登録されているか否かを判断し、この結果によって工作機械の動作を許可または禁止するので、登録されていない他の作業者が誤ってフットスイッチを操作してしまう誤動作を防止することができる。
【0026】
また、本発明に係るフットスイッチ1によれば、識別情報を記憶して発信する識別情報発信部3を作業者の靴に取り付け、読取部4が識別情報発信部3と通信して識別情報を読み取るので、より速く確実に識別情報を読み取って動作の許可または禁止を判断することができる。
【0027】
[変形例]
上述した実施形態では、ICチップ等で構成された識別情報発信部3と読取部4との間で通信して識別情報を読み取る場合について説明したが、識別情報発信部3は必ずしも必要ではなく、識別情報を単にバーコードやQRコード(登録商標)として表し、バーコードやQRコード(登録商標)を表示したタグ等を作業者の靴に取り付けるようにしてもよい。また、バーコードやQRコード(登録商標)を直接靴に表示してもよい。
【0028】
ここで、識別情報としてバーコードを用いる場合には読取部4はバーコードリーダーで構成すればよく、識別情報としてQRコード(登録商標)を用いる場合には読取部4はカメラを搭載した端末で構成すればよい。
【0029】
尚、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 フットスイッチ
2 ペダル
3 識別情報発信部
4 読取部
5 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルの操作に応じて工作機械の駆動と停止を操作するフットスイッチであって、
前記工作機械を操作する作業者の靴に設けられた識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取られた識別情報が前記工作機械の操作を許可された作業者の識別情報として登録されているか否かを判断し、登録されている場合には前記ペダルの操作に応じて前記工作機械の動作を許可し、登録されていない場合には前記工作機械の動作を禁止する制御手段と
を備えていることを特徴とするフットスイッチ。
【請求項2】
前記作業者の靴に取り付けられて前記識別情報を記憶して発信する識別情報発信手段をさらに備え、前記読取手段は前記識別情報発信手段と通信して前記識別情報を読み取ることを特徴とする請求項1に記載のフットスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−107099(P2013−107099A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253540(P2011−253540)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】