説明

フットマッサージャー

【課題】本体ユニットの揺動を規制できる安定したブレーキ手段を具えるフットマッサージャーを提供する。
【解決手段】
床面に載置されたベースユニット200と、ベースユニット200上に揺動可能に載置され、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段40を有する本体ユニット100と、ベースユニット200に対する本体ユニット100の自由な揺動を規制するブレーキ手段30とを具えたフットマッサージャー10において、ブレーキ手段30は、本体ユニット100の揺動移行路に沿ってベースユニット200に下向きに形成されたブレーキ面29と、本体ユニット100に配備され、前記ブレーキ面29に下方から当接するブレーキ部47と、該ブレーキ部47をブレーキ面29に対して、下方から押しつける押圧手段36と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ手段を配備した本体ユニットを、ベースユニットに対して揺動可能に具えたフットマッサージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足先やふくらはぎ等の脚部にマッサージを施すフットマッサージャーとして、床面に載置されるベースユニット上に、マッサージ手段を有する本体ユニットを、リクライニング可能とすべく揺動可能に配備するフットマッサージャーが提案されている(特許文献1)。
【0003】
この種のフットマッサージャーには、マッサージ中に被施療者の患部からの応力により、本体ユニットがベースユニットに対して移動変化しないようにブレーキ機構を具えるものもある。
【0004】
ブレーキ機構として、本体ユニットから下向きに摩擦材を突設し、ベースユニットに前記摩擦材を上側から押し付けることで、本体ユニットに対するブレーキ力を得るものが提案されている。
【0005】
また、被施療者の大腿にマッサージを施すフットマッサージャーとして、本体ユニットの上方に、連結機構を介して揺動可能なサブユニットを具えたフットマッサージャーも提案されている。(特許文献2)この種のフットマッサージャーには、サブユニットを、所望の位置で、位置決め可能となるように連結機構にブレーキ機構を具えて常にサブユニットの振動に抵抗を加えたり、ソレノイド等の電気的なロック機構を具えることが考えられる。ロック機構の操作は、被施療者がフットマッサージャーを操作する操作部により電気的に行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−268002号公報
【特許文献2】中国実用新案公告第201342077号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のブレーキ機構を具えたフットマッサージャーにおいては、本体ユニットに被施療者の患部を載せたとき、患部の荷重が本体ユニットに加わり、本体ユニットはベースユニット側に撓む。その結果、本体ユニットに設けられたブレーキ機構の摩擦材は、ベースユニットにさらに強く押し付けられることとなり、本体ユニットとベースユニット間に作用するブレーキ力は、非常に強くなってしまう。
【0008】
このため、被施療者は、本体ユニットに患部を載せた状態で、ベースユニットに対する本体ユニットのリクライニング角度を調整し難くなることがあった。
【0009】
また、上記のサブユニットを具えたフットマッサージャーにおいては、サブユニットの揺動にブレーキ機構で抵抗を与える場合、サブユニットを揺動するのに大きな力が必要となり、操作しづらい。又任意の位置に揺動しても、マッサージ中に位置ずれてしまうことがある。またサブユニットの揺動に対して電気的なロック機構を具える場合、左右のどちらの手でも操作できるように本体ユニットやサブユニットの略中央に操作部を配置しているため、サブユニットを位置調整するには、サブユニットのロックを一旦操作部で解除した後、サブユニットの両側を、両手で掴んで動かす必要があった。
【0010】
また、サブユニットを所望位置まで動かした後、位置決めするには、サブユニットの中央に位置する操作部を再度操作する必要があるが、このとき、サブユニットがずれないように、片手はサブユニットを保持しておかなければならない。従って、サブユニットを片手で保持したまま、もう一方の手で、サブユニットの中央に位置する操作部を操作する必要があるので、被施療者の腕にかかる負担は大きく、また、その間にサブユニットが位置ずれしてしまう虞があった。
【0011】
本発明の目的は、ベースユニットと本体ユニットの間に安定したブレーキ力を作用させることができるフットマッサージャーを提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、サブユニットの位置決めの際に、被施療者の負担を少なくすることのできるフットマッサージャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のフットマッサージャーは、
床面に載置されたベースユニットと、
ベースユニット上に揺動可能に載置され、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段を有する本体ユニットと、
ベースユニットに対する本体ユニットの自由な揺動を規制するブレーキ手段と、を具えたフットマッサージャーにおいて、
ブレーキ手段は、
本体ユニットの揺動移行路に沿ってベースユニットに下向きに形成されたブレーキ面と、
本体ユニットに配備され、前記ブレーキ面に下方から当接するブレーキ部と、
該ブレーキ部をブレーキ面に対して、下方から押しつける押圧手段と、
を有するようにしたものである。
【0014】
また、本発明のフットマッサージャーは、
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段を有する本体ユニットと、
本体ユニットの両側部に配備され、一端が本体ユニットに対して前後に揺動可能に支持される左右一対のアームと、
該アームの他端間に配備され、アームに対して前後に揺動可能に支持されるサブユニットと、
アームに対するサブユニットの揺動を許可及び阻止するロック機構と、
を有するフットマッサージャーであって、
サブユニット又はアームの一方には、他方に向けて突設され、アームに対するサブユニットの揺動中心となるロック軸と、
該ロック軸に、回転不能かつスライド可能に嵌まり、一端に係合突起が形成されたロックリングと、
サブユニット又はアームの他方に固定して形成され、前記ロック軸に回転自在に嵌まり、前記ロックリングの係合突起と係脱可能に噛合する係合受部が凹設されたホールドリングと、
前記ロックリングをホールドリングに向けて付勢する付勢手段と、
ロックリングに連繋されるようロック軸に回転可能に嵌まり、回転により、ロックリングを付勢手段の付勢力に抗して、前記係合突起と係合受部の噛み合いを外す方向に移動させるプッシュリングと、
該プッシュリングに連繋され、プッシュリングをロック軸周りに回転させる操作レバーと、を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフットマッサージャーによれば、ブレーキ部は、押圧手段の付勢力により、ブレーキ面に下方から押し付けられている。
従って、被施療者の患部を本体ユニットに載せることで、本体ユニットがベースユニット側に撓んでもブレーキ部とブレーキ面との間に作用する制動力は略一定に維持でき、ベースユニットと本体ユニットの間に安定したブレーキ力を作用させることができる。
【0016】
また、本発明のフットマッサージャーによれば、被施療者が操作レバーを操作していないときには、付勢手段により、ロックリングの係合突起がホールドリングの係合受部と噛合するように付勢されている。
このため、サブユニットは、アームに対して、揺動不能であり、ロック状態が維持される。
【0017】
被施療者が操作レバーをサブユニットの揺動方向に引き上げると、プッシュリングが回転し、該プッシュリングは、ロックリングを付勢手段の付勢方向とは逆方向にスライドさせる。
【0018】
その結果、ロックリングの係合突起とホールドリングの係合受部との噛み合いが外れて、ホールドリングはロック軸に対して回転自在となる。従って、サブユニットを揺動させることができる。
【0019】
被施療者がサブユニットを所望の位置まで揺動させた後、操作レバーから手を離すと、ロックリングとプッシュリングが付勢手段の付勢力によって、元の位置へスライドすると共に、操作レバーも元の位置に復帰する。
【0020】
この結果、ロックリングの係合突起とホールドリングの係合受部が再び噛み合う。これにより、サブユニットはアームに対して、揺動不能にロックされる。
【0021】
上記サブユニットの揺動の許可及び阻止動作は、被施療者がサブユニットを揺動させる際に操作レバーを揺動方向へ引き上げ、又は押し出すことで、揺動操作の流れと一体的な揺動の許可操作を行うことができ、阻止動作は、操作レバーを把持した手を離すだけでよい。
即ち、片手を離して操作部を操作しなくてよいから、被施療者が所望する位置に容易にサブユニットを位置決めできる。
また、片手でサブユニットを保持しておく必要もなく、又常にブレーキのかかったサブユニットを揺動させる必要もないので被施療者の腕にかかる負担を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明を適用したフットマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図2は本発明を適用したフットマッサージャーの背面図である。
【図3】図3は本発明を適用したフットマッサージャーの使用状態を表す側面図である。
【図4】図4はベースユニットと本体ユニットの側面断面図である。
【図5】図5はブレーキ手段を取り付けた状態のベースユニットの要部拡大図である。
【図6】図6はベースユニットの平面図である。
【図7】図7はブレーキ手段の正面断面図である。
【図8】図8は本体ユニットとベースユニットを連結する連結部の斜視図である。
【図9】図9はリクライニング状態で、マッサージを受けている状態を示す側面図である。
【図10】図10はフットマッサージャーをリクライニングさせた状態の側面断面図である。
【図11】図11はサブユニットを後方に揺動させた状態の側面図である。
【図12】図12は本発明のロック機構を適用したフットマッサージャーの側面図である。
【図13】図13はロック機構の分解斜視図である。
【図14】図14はロック解除の実施例を示す斜視図である。
【図15】図15はフットマッサージャーに患部を入れた状態でロック解除を行う実施例を示す側面図である。
【図16】図16はサブユニットを本体ユニットの後方に揺動させた状態を示す側面図である。
【図17】図17はサブユニットを後方に揺動させ、被施療者の大腿をマッサージしている状態を示す側面図である。
【図18】図18は図1のA―Aに沿う本発明のロック機構の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図3は、本発明を適用することのできるフットマッサージャー(10)の一例を示している。図1は、フットマッサージャー(10)を斜め前方から見た斜視図である。図2は、フットマッサージャー(10)の背面図である。図3は、被施療者の患部をマッサージしている状態を示している。何れの図も、本体ユニット(100)がベースユニット(200)に対して最も起立し、サブユニット(300)が本体ユニット(100)に対して最も近接した状態を示している。
【0024】
フットマッサージャー(10)は、床面に載置されるベースユニット(200)上に、被施療者のふくらはぎや足先等の膝下部を挿入可能な本体ユニット(100)を揺動可能に搭載し、本体ユニット(100)の上方に、被施療者の膝関節や大腿を挿入可能なサブユニット(300)を揺動可能に支持したものである。本体ユニット(100)は、膝下部にマッサージを施し、サブユニット(300)は、図3に示すように、本体ユニット(100)に近接した状態で被施療者の膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部をマッサージする。サブユニット(300)は、本体ユニット(100)に対して後方に動かすことで、被施療者の大腿側部をマッサージすることができる。
【0025】
なお、本発明において、脚部とは、被施療者の下肢全体を意味し、大腿とは脚部の膝よりも上の部分、膝関節とは膝の屈折部分及びその周辺、ふくらはぎとは膝と足首の間であって、脛の裏側部分、足先とはくるぶしよりも下の部分、膝下部とは、ふくらはぎと足先を含めた部分を意味する。
【0026】
フットマッサージャー(10)のベースユニット(200)は、図4で示すように、内部中空の樹脂製のベースケーシング(210)から形成され、ベースユニット(200)上部にて本体ユニット(100)を支持し、下面にて安定してフットマッサージャー(10)を床面に載置する。ベースユニット(200)の内部には、空気を供給するエアポンプ(42)、制御手段などの基板(図示せず)等が収容される。
【0027】
ベースユニット(200)の上面には、本体ユニット(100)をベースユニット(200)に対して揺動可能とするリクライニング機構(20)を具える。リクライニング機構(20)については、後述する。
【0028】
本体ユニット(100)は、内部中空の樹脂製の本体ケーシング(110)を有している。本体ユニット(100)は、被施療者の膝下部にマッサージを施すものである。
【0029】
より具体的には、本体ケーシング(110)は、図1に示すように、被施療者の膝下部を挿入する左右一対の凹部(70)(70)を具える構成を例示できる。凹部(70)(70)は、図1に示すように、本体ケーシング(110)がベースユニット(200)に対してほぼ垂直に起立した状態で、底面(71)が床面とほぼ平行となり、底面(71)の後端から上方に向けてほぼ垂直に後面(72)を有し、底面(71)と後面(72)の側部を結ぶように内側面(73)と外側面(74)を有しており、前方及び上方が開口した形状とすることができる。
【0030】
被施療者の膝下部を本体ユニット(100)に挿入したときに、凹部(70)(70)の底面(71)(71)には、被施療者の足裏が当接し、凹部(70)(70)の後面(72)(72)には、ふくらはぎが当接し、内側面(73)(73)及び外側面(74)(74)には、ふくらはぎの内側及び外側が夫々当接又は近接する。
【0031】
本体ユニット(100)の凹部(70)には、膝下部をマッサージするマッサージ手段(40)が配備される。マッサージ手段(40)として、ふくらはぎ用の内側エアバッグ(75)、外側エアバッグ(76)、足裏用マッサージ手段(77)を例示できる。
【0032】
図3に示す本体ユニット(100)の上面後端には、被施療者の大腿をマッサージするサブユニット(300)を連結している。サブユニット(300)は、本体ユニット(100)の上面後端に枢支されたアーム(400)を介して、揺動可能に配備したものである。
【0033】
アーム(400)は、一端にサブユニット(300)を枢支し、他端に本体ユニット(100)を枢支している。アーム(400)が、本体ユニット(100)に対して揺動することにより、本体ユニット(100)の後方へサブユニット(300)を動かすことができる。
【0034】
さらに、サブユニット(300)は、アーム(400)とサブユニット(300)との枢支点を中心として、揺動運動を行なうことができ、サブユニット(300)は、被施療者の大腿の膝寄りから腰寄りまで広い範囲を移動可能である。
サブユニット(300)とアーム(400)との連結手段として、図12乃至図14に示すように、サブユニット(300)側面からアーム(400)に向けて突設し、アーム(400)に対するサブユニット(300)の揺動中心となるロック軸(81)を例示できる。該ロック軸(81)は、サブユニット(300)又はアーム(400)のいずれか一方に取り付け可能である。
【0035】
サブユニット(300)は、左右両側にて前記アーム(400)に対して揺動可能に支持される内部中空の樹脂製のサブケーシング(310)から形成される。サブケーシング(310)は、左右一対の凹部(51)を形成し、アーム(400)に支持される左右両側の外壁(57)と、両凹部(51)を仕切る中央壁(58)を有している。外壁(57)と中央壁(58)は、幅狭の接続片(59)にて連結されている。
【0036】
さらに具体的には、サブユニット(300)には、左右一対の凹部(51)(51)の内面に複数のサブマッサージ手段(52)(52)が配備される。サブマッサージ手段(52)として、凹部(51)の側面に配備されるサブユニット用側面エアバッグ(53)(53)を例示できる。
【0037】
サブユニット(300)は、図1に示すように、中央壁(58)上部に、被施療者がマッサージ手段(40)(52)を操作するための操作部(54)及びフットマッサージャー(10)の動作状況をLED等により視認できるようにした表示部(55)を具える。
【0038】
次に、本体ユニット(100)をベースユニット(200)に対して揺動可能とするリクライニング機構(20)について説明する。
【0039】
<リクライニング機構>
フットマッサージャー(10)のベースユニット(200)上面には、本体ユニット(100)をベースユニット(200)に対して揺動可能とするリクライニング機構(20)を具える。
【0040】
リクライニング機構(20)として、図2及び図4に示すように、ベースユニット(200)の上面左右に形成された円弧状のベース側ガイド(21)と、該ベース側ガイド(21)の後方端に配備されたベース側ローラ(22)と、を具え、本体ユニット(100)の下面左右に形成された円弧状の本体ユニット側レール(23)と、該本体ユニット側レール(23)の前方端に本体ユニット側ローラ(24)と、を具える。
【0041】
本体ユニット側レール(23)には、前記ベース側ローラ(22)が嵌まり、前記ベース側ガイド(21)に本体ユニット側ローラ(24)が嵌まることにより、本体ユニット(100)を後方に向けて傾けると、ベース側ガイド(21)上を本体ユニット側ローラ(24)が転動し、本体ユニット側レール(23)に沿ってベース側ローラ(22)が転動することで、本体ユニット(100)は、ベースユニット(200)に対して揺動する。
【0042】
上記リクライニング機構(20)による本体ユニット(100)の揺動は、次に説明するブレーキ手段(30)により規制される。
【0043】
<ブレーキ手段>
ブレーキ手段(30)は、マッサージ中に、被施療者の患部からの応力によって、本体ユニット(100)のリクライニング角度が変化しないように、本体ユニット(100)の揺動を規制する。
【0044】
ブレーキ手段(30)は、本体ユニット(100)の揺動移行路に沿ってベースユニット(200)に下向きに形成されたブレーキ面(29)と、本体ユニット(100)に配備され、前記ブレーキ面(29)に下方から当接するブレーキ部(47)と、該ブレーキ部(47)をブレーキ面(29)に対して、下方から押しつける押圧手段(36)と、を有する。
【0045】
ブレーキ部(47)は、本体ユニット(100)と連結する連結部(31)に嵌合する。
連結部(31)は、貫通孔(37)を有し、この貫通孔(37)に先端にネジ山が切られ、他端に鍔(39)の形成されたロッド(32)を貫通させ、本体ユニット(100)に形成されたネジ溝が切られた取付穴(33)に螺合することができる。
【0046】
連結部(31)は、本体ユニット(100)から、本体ユニット(100)の揺動方向に沿って形成されたベースユニット(200)上の長孔(25)を通り、ブレーキ手段(30)をベースユニット(200)内に配置させることができる。
連結部(31)は、長孔(25)から抜け出さないように、連結部(31)の外周上に、抜止手段(38)を具えることが好ましい。また抜止手段(38)は、連結部(31)の前後に、本体ユニット(100)と連結するための複数のネジ貫通孔(48)を設けることができる。このネジ貫通孔(48)を介してネジ(46)を本体ケーシング(110)にねじ込む(図4、図10参照)
【0047】
抜止手段(38)には、ベースユニット(200)に具えたポンプ(42)から空気を供給する配管(43)を取り付ける配管保持部(60)を具えることができる。
【0048】
なお、配管保持部(60)は、配管(43)だけでなく、制御手段の基板(図示せず)から電気信号を送信するための電気配線(49)等を取り付けることもできる(図8参照)。
【0049】
また、ベースユニット(200)の左右両側に、ブレーキ手段(30)を配備し、ベースユニット(200)に具えたポンプ(42)に接続した配管(43)を左右いずれか一方に取り付け、他方に電気配線(49)(図8参照)を取り付けることが可能である。
【0050】
さらに、連結部(31)は、ロッド(32)やネジ貫通孔(48)よりねじ込まれたねじ(46)を本体ユニット(100)より外して本体ユニット(100)とベースユニット(200)の連結を解除するとき、ブレーキ手段(30)と配管(43)や電気配線(49)を同時に取り外すことも可能である。これにより、ベースユニット(200)から本体ユニット(100)を取り外すときに、手間を省くことが可能である。
【0051】
ブレーキ部(47)は、本体ユニット(100)の揺動に沿って下向きに具えられたブレーキ面(29)に当接するブレーキ部材(34)と、該ブレーキ部材(34)を嵌合させる凹部(44)と、凹部(44)を上向きに保持する保持部(35)と、を一体に形成している。
【0052】
ブレーキ部材(34)は、図7に示すように、上部がベースユニット(200)内部のブレーキ面(29)に当接し、下部が第1凹部(44)に嵌合するよう形成される。ブレーキ部材(34)として、ブレーキ面(29)に当接する面のみを、摩擦力の高いゴム状部材とすることが例示できる。
【0053】
ブレーキ手段(30)は、ブレーキ部(47)をブレーキ面(29)に、下方から上方に押しつけるための押圧手段(36)を具える。押圧手段(36)は、ブレーキ部(47)の下部に当接することができるように、連結部(31)に嵌合する。
【0054】
押圧手段(36)は、ブレーキ手段(30)が本体ユニット(100)と係合するときに、連結部(31)のロッド(32)に具えた鍔(39)により、上方に押圧されながら、連結部(31)に取り付けられる。押圧手段(36)は、ブレーキ部(47)に当接し、ブレーキ部(47)を上方に押し上げる付勢力を与える。押圧手段(36)として、バネ等の弾性力を有するものを例示できる。
【0055】
次に、ブレーキ手段(30)の作動について説明する。
ブレーキ手段(30)は、本体ユニット(100)に形成された取付穴(33)に、ロッド(32)を螺合する際に、ロッド(32)に形成された鍔(39)が押圧手段(36)を上方に押し上げながら、本体ユニット(100)と連結する。ロッド(32)に押し上げられた押圧手段(36)が、ブレーキ部(47)に、上方への付勢力を与える。
【0056】
該ブレーキ部(47)が、上方に向けて押圧され、ベースユニット(200)に下向きに形成されたブレーキ面(29)に押し付けられた際に生じる摩擦力が、本体ユニット(100)の揺動に対する規制として働く。
【0057】
本ブレーキ手段(30)の作用により、被施療者の患部を本体ユニット(100)に載せることで、本体ユニット(100)がベースユニット(200)側に撓んでも、ブレーキ部(47)が上方に向けて押圧されたときに生じる摩擦力に変化が生じないため、ブレーキ部(47)とブレーキ面(29)との間に作用する制動力は略一定に維持でき、ベースユニット(200)と本体ユニット(100)の間に安定したブレーキ力を作用させることが可能である。
【0058】
<ロック機構>
次に、本体ユニット(100)に対して、揺動可能なサブユニット(300)の揺動の許可及び阻止するためのロック機構(600)について説明する。
【0059】
本発明のフットマッサージャー(10)は、本体ユニット(100)に対するサブユニット(300)の揺動の許可及び阻止ためのロック機構(600)を具えている。
【0060】
該ロック機構(600)には、図18に示すように、サブユニット(300)から、アーム(400)に向けて突設され、アーム(400)に対するサブユニット(300)の揺動中心となるロック軸(81)と、該ロック軸(81)に、回転不能かつスライド可能に嵌まり、一端に係合突起(89)が形成されたロックリング(84)を具える。
【0061】
また、該ロック機構(600)は、アーム(400)に固定して形成され、前記ロック軸(81)に回転自在に嵌まり、前記ロックリング(84)の係合突起(89)が係脱可能に噛合する係合受部(90)を凹設したホールドリング(83)を有し、前記ロックリング(84)をホールドリング(83)に向けて付勢する付勢手段(85)を具える。ホールドリング(83)の上面には、ホールドリング(83)のアーム(400)を当接し、アーム(400)に固定されるフランジ部(91)を具える。
【0062】
さらに、該ロック機構(600)は、ロックリング(84)に連繋されるようロック軸(81)に回転可能に嵌まり、回転により、ロックリング(84)を付勢手段(85)の付勢力に抗して、前記係合突起(89)と係合受部(90)の噛み合いを外す方向に移動させるプッシュリング(82)と、該プッシュリング(82)に連繋され、プッシュリング(82)をロック軸(81)周りに回転させる操作レバー(93)を具える。
【0063】
ロック機構(600)に具えられたロック軸(81)は、サブユニット(300)の側面から、アーム(400)に向けて突設され、アーム(400)に対する揺動中心となる。ロック軸(81)は、アーム(400)側に傾斜を設けた傾斜部(87)を基端側の外周に有し、側面に軸方向に細長の複数の凹部(94)を具える。ロック軸(81)の外周基端に具えた傾斜部(87)は、アーム側(400)に傾斜を具えた1つの突起でもよく、図13に示すように、複数の突起から形成されていてもよい。
【0064】
ロック軸(81)側面に具えた凹部(94)には、ロックリング(84)の軸方向に具えた凸部(99)が、ロック軸(81)の軸方向にスライド可能かつ回転不能に嵌合する。
【0065】
ロックリング(84)は、サブユニット(300)側の外周に係合突起(89)を有し、該係合突起(89)は、ロックリング(84)を回転不能に保持するホールドリング(83)の内周に具えた係合受部(90)と噛合する。
【0066】
ロックリング(84)の係合突起(89)が、ホールドリング(83)の係合受部(90)に噛合したとき、ロックリング(84)が回転不能に固定される。ロックリング(84)の係合突起(89)とホールドリング(83)の係合受部(90)として、図13に示すように、櫛形を例示することができる。係合突起(89)と係合受部(90)は、一組の係合する凹凸部から形成することもでき、摩擦力の強い部材から形成されることもできる。
【0067】
また、ロック軸(81)の先端面(95)には、ロック軸(81)に嵌合するロックリング(84)等が、ロック軸(81)から抜け出るのを防止する押さえ蓋(86)が固定されている。
【0068】
ロック軸(81)と押さえ蓋(86)の間に、ロックリング(84)をサブユニット(300)側に付勢する付勢手段(85)を配設することができる。付勢手段(85)が、ロックリング(84)を、ホールドリング(83)側に付勢し、ロックリング(84)の係合突起(89)とホールドリング(83)の係合受部(90)とを噛合させることにより、常時サブユニット(300)のロック状態を維持することができる。
【0069】
ロック軸(81)の外周基端には、プッシュリング(82)が嵌合する。
プッシュリング(82)は、内周に突設した突出部(88)を、ロック軸(81)の傾斜部(87)に摺接させる。プッシュリング(82)は、外周上の一部が外側に突出し、プッシュリングをロック軸(81)周りに回転させる操作レバー(93)と係合可能な係合部を具える。該係合部として、プッシュリング(93)側に凹部(96)を形成し、該凹部に係合するように操作レバー(93)側に凸状のピン(97)を形成した構成を例示できる。
【0070】
操作レバー(93)は、凹部(96)と係合するピン(97)と被施療者が操作レバー(93)を操作するための把持部(98)を有している。
【0071】
次に、ロック機構(600)の作動について説明する。図14の状態は、ロック機構(600)が、サブユニット(300)の揺動を阻止する状態を示している。ロック軸(81)の先端部に固定された押さえ蓋(86)が、付勢手段(85)を押圧し、ロックリング(84)の係合突起(89)がホールドリング(83)の係合受部(90)に噛合することにより、サブユニット(300)の揺動が阻止される。
【0072】
この状態において、操作レバー(93)を、サブユニット(300)の揺動方向へ引き上げ、プッシュリング(82)を回転させると、プッシュリング(82)の突出部(88)が、ロック軸(81)の外周基端に具えた傾斜部(87)の傾斜を摺動しながら回転する。これにより、突出部(88)が傾斜部(87)を乗り上げ、ロック軸(81)の先端側に、プッシュリング(82)を移動させる。
【0073】
プッシュリング(82)がロック軸(81)の先端側に移動することで、プッシュリング(82)に摺接するロックリング(84)を、付勢手段(85)の付勢力に抗して先端側に押し出し、ロックリング(84)の係合突起(89)が、ホールドリング(83)の係合受部(90)との噛合から外す方向に移動する。
【0074】
プッシュリング(82)が回転させられると、ロックリング(84)の係合突起(89)とホールドリング(83)の係合受部(90)との噛合が離れて、揺動阻止状態が解除され、サブユニット(300)は、本体ユニット(100)に対して、揺動可能となる。
【0075】
次に、図17に示すように、被施療者が、大腿の腰寄りの方までサブユニット(300)を動かした後、操作レバー(93)を離すと、付勢手段(85)の付勢力により、プッシュリング(82)の突出部(88)が、傾斜部(87)を下り、ロック軸(81)の元の位置に復帰する。
【0076】
これにより、ロックリング(84)に対するプッシュリング(84)の押圧がなくなると共に、付勢手段(85)の付勢により、ロックリング(84)の係合突起(89)が、ホールドリング(83)の係合受部(90)に噛合し、サブユニット(300)の揺動がロックされる。
【0077】
該ロック機構(600)により、被施療者は片手を離して操作部を操作しなくてよいから、被施療者が所望する位置に容易にサブユニット(300)を位置決めできる。また、片手でサブユニット(300)を保持しておく必要もなく、又常にブレーキのかかったサブユニット(300)を揺動させる必要もないので被施療者の腕にかかる負担を少なくすることができる。
【0078】
なお、ロック軸(81)をサブユニット(300)側に固定して説明したが、ロック軸(81)をアーム(400)側に固定してもよく、またサブユニット(300)の左右両側に、ロック機構(600)を連動して具えることもできる。さらに、該ロック機構(600)を、アーム(400)と本体ユニット(100)を軸支する軸部分に具えることにより、サブユニット(300)の揺動をロックすることも可能である。
【0079】
また、本体ユニット(100)のベースユニット(200)に対するスライド長さ、および、サブユニット(300)の本体ユニット(100)に対する揺動角度は任意であり、これらを調整することでサブユニット(300)の位置を調整することができ、被施療者の所望する患部の高さや位置に応じた大腿のマッサージを施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、本体ユニットとベースユニットに対して、安定したブレーキ力を作用させることができるフットマッサージャーとして有用である。また、サブユニットの揺動操作の流れと一体に自然な動作でサブユニットの揺動を位置決めすることができるので、被施療者の負担を軽減したフットマッサージャーとして有用である。
【符号の説明】
【0081】
(10) フットマッサージャー
(20) リクライニング機構
(29) ブレーキ面
(30) ブレーキ手段
(36) 押圧手段
(47) ブレーキ部
(40) マッサージ手段
(81) ロック軸
(82) プッシュリング
(83) ホールドリング
(84) ロックリング
(85) 付勢手段
(93) 操作レバー
(100) 本体ユニット
(200) ベースユニット
(300) サブユニット
(400) アーム
(600) ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置されたベースユニットと、
ベースユニット上に揺動可能に載置され、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段を有する本体ユニットと、
ベースユニットに対する本体ユニットの自由な揺動を規制するブレーキ手段と、
を具えたフットマッサージャーにおいて、
ブレーキ手段は、
本体ユニットの揺動移行路に沿ってベースユニットに下向きに形成されたブレーキ面と、
本体ユニットに配備され、前記ブレーキ面に下方から当接するブレーキ部と、
該ブレーキ部をブレーキ面に対して、下方から押しつける押圧手段と、
を有することを特徴とするフットマッサージャー。
【請求項2】
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段を有する本体ユニットと、
本体ユニットの両側部に配備され、一端が本体ユニットに対して前後に揺動可能に支持される左右一対のアームと、
該アームの他端間に配備され、アームに対して前後に揺動可能に支持されるサブユニットと、
アームに対するサブユニットの揺動を許可及び阻止するロック機構と、を有するフットマッサージャーであって、
該ロック機構は、
サブユニット又はアームの一方には、他方に向けて突設され、アームに対するサブユニットの揺動中心となるロック軸と、
該ロック軸に、回転不能かつスライド可能に嵌まり、一端に係合突起が形成されたロックリングと、
サブユニット又はアームの他方に固定して形成され、前記ロック軸に回転自在に嵌まり、前記ロックリングの係合突起と係脱可能に噛合する係合受部が凹設されたホールドリングと、
前記ロックリングをホールドリングに向けて付勢する付勢手段と、
ロックリングに連繋されるようロック軸に回転可能に嵌まり、回転により、ロックリングを付勢手段の付勢力に抗して、前記係合突起と係合受部の噛み合いを外す方向に移動させるプッシュリングと、
該プッシュリングに連繋され、プッシュリングをロック軸周りに回転させる操作レバーと、
を有することを特徴とするフットマッサージャー。
【請求項3】
操作レバーは、サブユニットを揺動させるために被施療者がサブユニットを把持したときに、同時に操作できる位置に設けられる請求項2に記載のフットマッサージャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−179136(P2012−179136A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43030(P2011−43030)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】